説明

リニアアクチュエータ

【課題】リニアアクチュエータにおいて、大型化を抑制しつつ、スライドテーブルの軸方向への変位を確実に規制する。
【解決手段】リニアアクチュエータ10を構成するシリンダ本体12には、その一端部にスライドテーブル14の変位を規制可能なロック機構20が設けられる。ロック機構20は、スプリング132の弾発力によってスライドテーブル14側に向かって回動し、挿入溝76に挿入されて前記スライドテーブル14の変位を規制するロックプレート100と、供給ポート110に供給される圧力流体によって変位し、前記ロックプレート100による前記スライドテーブル14の変位規制状態を解除するサブピストン98とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体出入ポートから圧力流体を導入することにより、シリンダ本体の軸方向に沿ってスライドテーブルを往復動作させるリニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワーク等の搬送手段として、例えば、流体圧シリンダ等のリニアアクチュエータが用いられている。本出願人は、シリンダ本体に沿ってスライドテーブルを直線状に往復運動させることにより、前記スライドテーブルに載置されたワークを搬送可能なリニアアクチュエータを提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−110011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記の提案に関連してなされたものであり、大型化を抑制しつつ、スライドテーブルの軸方向への変位を確実に規制することが可能なリニアアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するために、本発明は、流体出入ポートから圧力流体を導入することにより、シリンダ本体の軸方向に沿ってスライドテーブルを往復動作させるリニアアクチュエータにおいて、
前記流体出入ポートと連通し、前記圧力流体の導入されるシリンダ室を有したシリンダ本体と、
前記シリンダ本体の軸方向に沿って往復動作するスライドテーブルと、
前記シリンダ室に沿って摺動自在に配設されるピストンを有し、前記ピストンの変位作用下に前記スライドテーブルを往復動作させるシリンダ機構と、
前記スライドテーブルの変位方向と直交方向に変位し、該スライドテーブルに係合されるロック部材と、前記ロック部材を変位させる付勢手段とを有し、前記シリンダ本体の端部に設けられて前記スライドテーブルの往復動作を規制するロック機構と、
を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、シリンダ本体の端部に、スライドテーブルの往復動作を規制可能なロック機構を設け、該ロック機構は、前記スライドテーブルの変位方向と直交方向に変位し、該スライドテーブルに係合されるロック部材と、前記ロック部材を変位させる付勢手段とから構成されている。そして、ロック部材が付勢手段の付勢作用下にスライドテーブルに対して係合されることによって、前記スライドテーブルの往復動作が規制される。
【0007】
従って、ロック機構では、ロック部材が、スライドテーブルの変位方向と直交方向に変位するため、リニアアクチュエータが該変位方向に大型化してしまうことが回避される。その結果、リニアアクチュエータが長手方向に大型化してしまうことを抑制しつつ、ロック機構を介してスライドテーブルの往復動作を確実に規制することができる。
【0008】
また、ロック部材を、付勢手段による付勢作用下に回動させ、スライドテーブルの溝部に挿入して係合させるとよい。
【0009】
さらに、ロック機構は、流体出入ポートから供給される圧力流体によってロック部材によるスライドテーブルの往復動作規制状態を解除する解除機構を備えるとよい。
【0010】
さらにまた、解除機構は、圧力流体の供給作用下に軸方向に変位し、ロック部材を前記スライドテーブルから離間させる方向に回動させる変位体とするとよい。
【0011】
またさらに、解除機構は、スライドテーブルの変位作用下に溝部がロック部材と臨む位置に到達した際、前記ロック部材による往復動作規制状態に復帰させるとよい。
【0012】
また、流体出入ポートは、変位体の設けられた室と、シリンダ室とにそれぞれ連通し、前記流体出入ポートと前記シリンダ室との間には、前記シリンダ室への圧力流体の流量を絞る絞り手段が設けるとよい。
【0013】
さらに、付勢手段は、弾発力を有したスプリングとするとよい。
【0014】
さらにまた、ロック部材は、回動動作の中心となる一端部を、外部に露呈して設けるとよい。
【0015】
またさらに、変位体には、軸方向に対して傾斜した傾斜部を備え、該傾斜部をロック部材に対して当接させるとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0017】
すなわち、シリンダ本体の端部に、スライドテーブルの往復動作を規制可能なロック機構を設け、前記ロック機構のロック部材が、スライドテーブルの変位方向と直交方向に変位し、スライドテーブルに係合されることによって該スライドテーブルの往復動作を規制することができるため、リニアアクチュエータが変位方向に大型化してしまうことが防止される。その結果、リニアアクチュエータが長手方向に大型化してしまうことを抑制しつつ、ロック機構を介してスライドテーブルの往復動作を確実に規制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータの全体断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図1に示すリニアアクチュエータをロック機構側から見た正面図である。
【図6】図6Aは、ロック機構によってスライドテーブルの変位が規制された変位規制状態を示す断面図であり、図6Bは、図6AのVIB−VIB線に沿った断面図である。
【図7】図7Aは、ロック機構によってスライドテーブルの変位規制状態が解除された状態を示す断面図であり、図7Bは、図7AのVIIB−VIIB線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るリニアアクチュエータについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0020】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータを示す。
【0021】
このリニアアクチュエータ10は、図1〜図5に示されるように、シリンダ本体12と、該シリンダ本体12の上部に設けられ、長手方向(矢印A、B方向)に沿って直線状に往復動作するスライドテーブル14と、前記シリンダ本体12とスライドテーブル14との間に介装され、前記スライドテーブル14を長手方向(矢印A、B方向)に沿って案内するガイド機構16と、前記スライドテーブル14の軸方向への変位量を調整自在なストローク調整機構18と、前記スライドテーブル14の変位動作を規制するロック機構20とを含む。
【0022】
シリンダ本体12は、断面長方形状で長手方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さで形成され、その一側面には、圧力流体の供給・排出される第1及び第2ポート(流体出入ポート)22、24が該シリンダ本体12の長手方向と直交するように形成され、他側面には、前記圧力流体の供給・排出される別の第3及び第4ポート(流体出入ポート)26、28が形成される(図2参照)。この第1〜第4ポート22、24、26、28は、後述する一対の第1及び第2貫通孔34、36と連通している。
【0023】
なお、この第1及び第2ポート22、24、第3及び第4ポート26、28は、リニアアクチュエータ10の設置環境において使用に適したいずれか一組のポートに対して選択的に配管(図示せず)が接続され使用される。例えば、第1及び第2ポート22、24を使用して圧力流体の供給・排出を行う場合には、第3及び第4ポート26、28に対して閉塞プラグ30がそれぞれ装着される。
【0024】
さらに、シリンダ本体12の一側面及び他側面には、長手方向(矢印A、B方向)に沿ってセンサ取付溝32がそれぞれ形成され、図示しない検出センサが装着される(図4参照)。
【0025】
また、シリンダ本体12の内部には、図2に示されるように、長手方向(矢印A、B方向)に沿って貫通した一対の第1及び第2貫通孔34、36が形成され、第1貫通孔34と第2貫通孔36とは、所定間隔離間して略平行に並設されている。第1及び第2貫通孔34、36には、外周面にシールリング38が外周面に装着されたピストン40と、前記ピストン40に連結されたピストンロッド42とを含むシリンダ機構44が収納される。なお、第1及び第2貫通孔34、36は、シリンダ本体12の一端部から他端部まで一直線上に貫通している。
【0026】
このシリンダ機構44は、一対のピストン40及びピストンロッド42が第1及び第2貫通孔34、36にそれぞれ内装されることによって構成される。また、ピストン40の外周面には、シールリング38と隣接してマグネット46が装着される。そして、マグネット46は、センサ取付溝32に装着される検出センサ(図示せず)によってその磁気が検出されることによりピストン40の軸方向(矢印A、B方向)に沿った変位位置が検出される。
【0027】
また、第1貫通孔34の一端部は、キャップ48によって閉塞され、第2貫通孔36の一端部は、後述するロック機構20の継手102によって閉塞される。一方、第1及び第2貫通孔34、36の他端部は、止め輪を介して保持されるロッドホルダ50によって気密に閉塞される。なお、ロッドホルダ50の外周面には、環状溝を介してOリング52が装着され、第1及び第2貫通孔34、36との間を通じた圧力流体の漏れを防止している。
【0028】
さらに、第1貫通孔34は、第1及び第2ポート22、24とそれぞれ連通し、第2貫通孔36は、第3及び第4ポート26、28とそれぞれ連通し、さらに、第1貫通孔34と第2貫通孔36とは、その間に形成された一組の接続通路54a、54bを介して互いに連通している。
【0029】
スライドテーブル14は、図1及び図4に示されるように、テーブル本体56と、該テーブル本体56の一端部に連結されるストローク調整機構18と、前記テーブル本体56の他端部に連結されるエンドプレート58とを備え、前記エンドプレート58は、前記テーブル本体56に対して直交するように連結される。
【0030】
テーブル本体56は、長手方向(矢印A、B方向)に沿って所定厚さで延在するベース部60と、該ベース部60の両側部から直交するように下方へと延在した一対のガイド壁62a、62bとからなり、前記ガイド壁62a、62bの内面には、後述するガイド機構16のボール63が案内される第1ボール案内溝64が形成される。
【0031】
また、テーブル本体56の一端部には、一対のボルト66aを介して後述するストローク調整機構18のホルダ部68が固定され、他端部には、別のボルト66bを介してエンドプレート58が固定される(図3参照)。
【0032】
このストローク調整機構18は、テーブル本体56における一端部の下面に設けられるホルダ部68と、前記ホルダ部68に対して螺合されるストッパボルト70と、前記ストッパボルト70の進退動作を規制するロックナット72とを有し、シリンダ本体12に設けられたガイド機構16の端面に臨むように設けられる。
【0033】
ホルダ部68は、ブロック状に形成され、その略中央部にはストッパボルト70の螺合されるねじ孔74が形成されると共に、前記ホルダ部68の下面には、所定深さだけ上方に窪み、後述するロック機構20のロックプレート(ロック部材)100が挿入される挿入溝(溝部)76と、所定角度傾斜した傾斜面78とが形成される(図5〜図7参照)。この挿入溝76は、ホルダ部68の下面において、エンドプレート58側(矢印A方向)となる他端部に断面矩形状で形成され、一方、傾斜面78は、後述するロックナット72側(矢印B方向)となる一端部に上方へ向かうように傾斜して形成される。
【0034】
ストッパボルト70は、例えば、外周面にねじの刻設された軸状のスタッドボルトからなり、ホルダ部68のねじ孔74に螺合された状態で、該ねじ孔74から突出する長さで形成される。そして、ストッパボルト70には、ホルダ部68の端面から突出した部位にロックナット72が螺合される。
【0035】
そして、ストッパボルト70をホルダ部68に対して螺回させることにより、該ストッパボルト70が軸方向(矢印A、B方向)に沿って変位し、ガイド機構16に接近・離間する。例えば、ストッパボルト70を螺回させ所定長さだけガイド機構16側(矢印A方向)へと突出させた後、ロックナット72を螺回することにより移動させ前記ホルダ部68の側面に当接させることにより、前記ストッパボルト70の進退動作が規制される。
【0036】
エンドプレート58は、図1及び図2に示されるように、テーブル本体56の他端部に固定され、シリンダ本体12の端面に臨むように設けられると共に、一組のロッド孔に挿通されたピストンロッド42の端部がそれぞれ固定される。これにより、エンドプレート58を含むスライドテーブル14が、ピストンロッド42と共にシリンダ本体12の長手方向(矢印A、B方向)に沿って変位することとなる。
【0037】
また、エンドプレート58には、一方のロッド孔と他方のロッド孔との間となる位置に、ダンパ装着孔を介して弾性材料からなるダンパ80が装着される。そして、ダンパ80は、シリンダ本体12側となるエンドプレート58の他側面から突出しているため、エンドプレート58がスライドテーブル14と共に変位した際、ダンパ80の端部が前記シリンダ本体12の端面に当接し、前記エンドプレート58と前記シリンダ本体12とが直接当接した際に懸念される衝撃や衝撃音の発生が回避される。
【0038】
ガイド機構16は、図1、図3及び図4に示されるように、幅広扁平状のガイドブロック82と、該ガイドブロック82に設けられ、ボール63を循環させる一対のボール循環部材84a、84bと、前記ガイドブロック82の長手方向に沿った両端部にそれぞれ装着される一組のカバー86と、前記カバー86の表面をそれぞれ覆う一組のカバープレート88とを含む。
【0039】
ガイドブロック82の両側面には、長手方向に沿って第2ボール案内溝90が形成され、前記第2ボール案内溝90に近接する部位には、ボール循環部材84a、84bの挿入される一対の装着溝が長手方向に沿って貫通している。第2ボール案内溝90は、断面半円状に形成され、ガイド機構16の上部にスライドテーブル14が配置された際、第1ボール案内溝64と対向する位置に形成される。
【0040】
ボール循環部材84a、84bは、装着溝に対応して断面矩形状に形成され、その内部にボール63の循環するボール循環孔92が貫通すると共に、その両端部には、前記ボール63の循環方向を反転させる反転部(図示せず)がそれぞれ設けられる。
【0041】
すなわち、ボール63が、ボール循環部材84a、84bにおいてボール循環孔92から反転部を介して該ボール循環部材84a、84bの外側に設けられた第1及び第2ボール案内溝64、90へと180°方向変換して転動する。
【0042】
そして、スライドテーブル14が往復動作した際、ストローク調整機構18を構成するストッパボルト70がガイドブロック82の端面に当接する。
【0043】
ロック機構20は、図1〜図7に示されるように、シリンダ本体12の一端部に連結され、該シリンダ本体12に対してスペーサ94を介して連結されるエンドブロック96と、該エンドブロック96の内部で進退動作するサブピストン(変位体)98と、前記エンドブロック96の内部に回動自在に設けられるロックプレート100と、該ロックプレート100を付勢するスプリング(付勢手段)132と、前記エンドブロック96の内部とシリンダ本体12の第2貫通孔36とを連通する継手102とを含む。
【0044】
スペーサ94は、所定厚さを有したプレート状に形成され、シリンダ本体12とエンドブロック96との間に挟持されると共に、シリンダ本体12の第1貫通孔34に臨む第1孔部104と、前記シリンダ本体12の第2貫通孔36に臨む第2孔部106とが形成される。なお、第1孔部104は、第1貫通孔34に対して非同軸上に形成され、第2孔部106は、第2貫通孔36と同軸上に形成される(図2参照)。
【0045】
エンドブロック96は、複数のボルト108を介してスペーサ94と共にシリンダ本体12の一端部に固定され、その両側面には、圧力流体の供給される供給ポート(流体出入ポート)110が形成される。この供給ポート110は、シリンダ本体12の長手方向(矢印A、B方向)と略直交方向に延在し、エンドブロック96の両側面に開口するように貫通している。そして、供給ポート110は、エンドブロック96の両側面に開口した両端部のいずれか一方を封止ボルト112で閉塞し、開口した一方の端部のみを供給ポート110として選択的に使用する。なお、本実施の形態においては、供給ポート110は、シリンダ本体12の第1及び第2ポート22、24と同じ一側面側を開口させ、第3及び第4ポート26、28の設けられた他側面側を封止ボルト112で閉塞して使用する場合について説明する(図2参照)。
【0046】
また、エンドブロック96の内部には、図2に示されるように、スペーサ94の第1孔部104に臨むようにピストン室(室)114が形成され、その内部には、サブピストン98が軸方向(矢印A、B方向)に沿って変位自在に設けられる。また、ピストン室114は、その一端部が連通路118aを介して供給ポート110に連通すると共に、他端部が前記第1孔部104と連通している。
【0047】
サブピストン98は、円筒状に形成され、その一端部には先端に向かって徐々に縮径する円錐部(傾斜部)120を備える。そして、サブピストン98の円錐部120が、後述するロックプレート100のピストン孔138又はスペーサ94の第1孔部104に挿入自在に設けられる。
【0048】
また、エンドブロック96の内部には、シリンダ本体12における第2貫通孔36に臨むように装着孔122が形成され、該装着孔122は、その一端部が連通路118bを介して供給ポート110と連通し、他端部が、スペーサ94の第2孔部106を介して前記第2貫通孔36と連通するように形成されている。そして、装着孔122には継手102の一部が挿入される。
【0049】
継手102は、装着孔122に挿入される小径部124と、該小径部124に対して拡径した大径部126とを備え、前記小径部124が、前記装着孔122、ロックプレート100の継手孔136及びスペーサ94の第2孔部106に挿入され、大径部126がシリンダ本体12の第2貫通孔36に挿入され封止する。すなわち、装着孔122、継手孔136、第2孔部106及び第2貫通孔36が同軸上に形成されている。
【0050】
また、継手102の内部には、小径部124及び大径部126を軸方向(矢印A、B方向)に沿って貫通するように連通孔128が形成され、前記連通孔128の一端部が連通路118bを通じて供給ポート110と連通し、他端部が、シリンダ本体12における第2貫通孔36と連通している。また、連通孔128の小径部124側(矢印B方向)には、該連通孔128の他の部位と比較して縮径したオリフィス(絞り手段)130が設けられ、前記連通孔128を流通する圧力流体の流量が前記オリフィス130で絞られて第2貫通孔36へと供給される。
【0051】
すなわち、供給ポート110に供給される圧力流体は、ロック機構20を構成するピストン室114に供給されると同時に、継手102の連通孔128を通じてシリンダ本体12の第2貫通孔36へと供給される。
【0052】
さらに、継手102には、小径部124の外周側に、例えば、コイルスプリングからなるスプリング132が設けられ、エンドブロック96とロックプレート100との間に介装される。
【0053】
ロックプレート100は、図6A及び図7Aに示されるように、一定厚さで断面U字状に形成されたプレート体からなり、エンドブロック96においてスペーサ94側(矢印A方向)となる端面に形成された凹部134に装着される。このロックプレート100は、凹部134においてシリンダ本体12の長手方向(矢印A、B方向)と略直交するように配置され、その一端部100aに、継手102の挿通される継手孔136が形成され、他端部100bにはサブピストン98の一部が挿入されるピストン孔138が形成される。そして、ロックプレート100は、凹部134内において継手102が挿通された継手孔136を中心としてピストン孔138を有した他端部100b側が所定角度だけ回動自在に設けられる。
【0054】
継手孔136には、継手102の小径部124が挿通され、ピストン孔138は、サブピストン98から離間する方向、すなわち、スペーサ94側(矢印A方向)に向かって徐々に縮径したテーパ面140を有し、前記テーパ面140に対してサブピストン98の円錐部120が当接している(図6B及び図7B参照)。
【0055】
また、ロックプレート100には、スプリング132の弾発力が付勢され、該弾発力によって継手孔136を有した一端部100aを中心として他端部100bが上方(図6A中、矢印C方向)に向かって所定角度だけ回動する。そして、図6A及び図6Bに示されるように、ロックプレート100の他端部100bが、エンドブロック96の上面から突出し、スライドテーブル14に固定されたホルダ部68の挿入溝76に挿入されることによって前記スライドテーブル14の軸方向(矢印A、B方向)に沿った変位動作が規制される。すなわち、スライドテーブル14の変位が規制されたロック状態とすることができる。
【0056】
この際、ロックプレート100におけるピストン孔138の中心P1は、図6Aに示されるように、サブピストン98の中心P2に対して上方(矢印C方向)に位置した状態であり、前記サブピストン98の円錐部120が、前記ピストン孔138の下部のみに当接した状態にある。換言すれば、ピストン孔138は、その中心P1がサブピストン98の中心P2に対して所定距離だけ上方にオフセットした位置にある。
【0057】
さらに、ロックプレート100の一端部100aには、図6A及び図7Aに示されるように、凹部134を通じてエンドブロック96の側面に露呈する押圧部142が設けられ、前記押圧部142は、例えば、作業者がリニアアクチュエータ10の外部から押圧可能に設けられ、該押圧部142をエンドブロック96の内部側(図6A中、矢印E方向)に向かって押圧することによって前記ロックプレート100を、その他端部100bが下降する方向に手動で回動させることが可能である。この押圧部142は、ロックプレート100の一端部100aにおいて、継手孔136より上方(矢印C方向)となる側面に設けられている。
【0058】
本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、図1に示されるように、スライドテーブル14を構成するエンドプレート58が、シリンダ本体12の端面に当接し、且つ、図6A及び図6Bに示されるように、ロック機構20を構成するロックプレート100がホルダ部68の挿入溝76に挿入されてスライドテーブル14の変位が規制された変位規制状態(ロック状態)を初期位置として説明する。
【0059】
先ず、図示しない圧力流体供給源に接続された配管を、例えば、切換弁(図示せず)を介して供給ポート110及び第2ポート24へと接続した後、前記圧力流体供給源から圧力流体を前記供給ポート110へと導入する。この場合、第2ポート24は、前記切換弁の操作下に大気開放状態としておくと共に、第1ポート22は、閉塞プラグ30によって閉塞しておく。
【0060】
この供給ポート110に供給された圧力流体は、図2に示されるように、連通路118aを通じてピストン室114に供給されると共に、別の連通路118bを通じて継手102の連通孔128へと流通した後、シリンダ本体12の第2貫通孔36へと供給される。この際、連通孔128には、オリフィス130が設けられているため第2貫通孔36に供給される圧力流体の流量は、ピストン室114に供給される圧力流体の流量に対して小さくなる。
【0061】
そのため、先ず、ピストン室114に供給された圧力流体によってサブピストン98がシリンダ本体12側(矢印A方向)へと押圧され、その円錐部120がロックプレート100の第2孔部106に当接した状態で移動する。これにより、ロックプレート100は、第2孔部106のテーパ面140がピストン40の円錐部120によってスプリング132の弾発力に抗して下方(矢印D方向)へと押し下げられ、それに伴って、図7A及び図7Bに示されるように、前記ロックプレート100の他端部100bが、ホルダ部68の挿入溝76から離脱する。その結果、ロックプレート100によるスライドテーブル14の変位規制状態が解除され、該スライドテーブル14が軸方向(矢印A方向)に変位可能な状態となる。すなわち、サブピストン98は、圧力流体の供給作用下に変位し、ロックプレート100の他端部100bを挿入溝76から離間させる方向に回動させ、前記ロックプレート100によるスライドテーブル14の変位規制状態を解除可能な解除機構として機能する。
【0062】
なお、ロック機構20による該スライドテーブル14の変位規制状態を解除させる場合、上述したような供給ポート110に供給された圧力流体によってサブピストン98を変位させロックプレート100を回動させる方法のほかに、作業者が、リニアアクチュエータ10の外部からロックプレート100の押圧部142を押圧することによって該ロックプレート100を回動させ、その他端部100bを挿入溝76から離脱させるようにして解除することも可能である。
【0063】
そして、ロック機構20によるスライドテーブル14の変位規制状態(ロック状態)が解除された後、第2貫通孔36へ供給されている圧力流体がピストン40を押圧可能な供給量に達し、接続通路54bを通じて第1貫通孔34へと同時に供給された圧力流体と共に一対のピストン40をロッドホルダ50側(矢印A方向)に向かって押圧する。これにより、ピストン40に連結されたピストンロッド42及びエンドプレート58と共に、スライドテーブル14がシリンダ本体12から離間する方向へと変位する。
【0064】
この際、ガイド機構16を構成するボール63が、スライドテーブル14の変位に伴ってボール循環通路に沿って転動することにより、前記スライドテーブル14が前記ガイド機構16によって軸方向に沿って案内される。
【0065】
そして、スライドテーブル14の一端部に設けられたストッパボルト70の端部が、ガイド機構16を構成するガイドブロック82の端面に当接することにより、前記スライドテーブル14の変位が停止した変位終端位置となる。この際、ロック機構20では、供給ポート110を通じてピストン室114へ継続的に圧力流体が供給されているため、サブピストン98がシリンダ本体12側(矢印A方向)へと付勢され続けており、それに伴って、ロックプレート100の他端部100bが下方(矢印D方向)へと押し下げられた状態、すなわち、ロック解除状態で保持される。
【0066】
一方、上述した変位終端位置からスライドテーブル14を前記とは反対方向(矢印B方向)に変位させる場合には、図示しない切換弁の切換作用下に第2ポート24に対して圧力流体を供給すると同時に、供給ポート110に対しても所定流量で前記圧力流体を供給する。これにより、第2ポート24から一対の第1及び第2貫通孔34、36へと供給された圧力流体によってピストン40がロッドホルダ50から離間する方向(矢印B方向)へと変位し、該ピストン40と共にピストンロッド42及びエンドプレート58を介してスライドテーブル14がシリンダ本体12に接近する方向へと変位する。
【0067】
そして、スライドテーブル14を構成するエンドプレート58に設けられたダンパ80が、シリンダ本体12の端面に当接することにより初期位置へと復帰する。
【0068】
また、スライドテーブル14が初期位置に向けて変位している間、供給ポート110に対して圧力流体が供給されているため、サブピストン98の変位作用下にロックプレート100が押し下げられるように回動し、前記スライドテーブル14の変位規制状態が解除されたままの状態で維持される。
【0069】
そして、スライドテーブル14が初期位置に到達すると略同時に、供給ポート110に対する圧力流体の供給が図示しない切換手段によって停止され、ロックプレート100がスプリング132の弾発力によって回動し、その他端部100bが上方に開口したホルダ部68の挿入溝76へと挿入される(図6A及び図6B参照)。これにより、スライドテーブル14の軸方向(矢印A方向)への変位が再び規制された変位規制状態(ロック状態)となる。
【0070】
また、例えば、供給ポート110に対する圧力流体の供給停止等の何らかの原因で、スライドテーブル14が初期位置へと復帰する以前に、スプリング132の弾発作用下にロックプレート100の他端部100bが上方(矢印C方向)へと移動し、エンドブロック96の上面より突出してしまっている場合でも、前記スライドテーブル14のホルダ部68に設けられた傾斜面78が、前記他端部100bに当接し、該スライドテーブル14がさらに変位することによってロックプレート100がスプリング132の弾発力に抗して前記傾斜面78によって徐々に下方(矢印D方向)へと押し下げられ、最終的には挿入溝76へと挿入される。そのため、スライドテーブル14が初期位置へと復帰する以前に、誤ってロックプレート100の他端部100bが上方(矢印C方向)へと突出した場合でも、前記ロックプレート100にホルダ部68が接触することによって所望の位置より手前で前記スライドテーブル14の変位が規制されてしまうことが確実に回避される。
【0071】
以上のように、本実施の形態では、シリンダ本体12の一端部に、スライドテーブル14の軸方向(矢印A、B方向)への変位を規制可能なロック機構20を設け、該ロック機構20を、供給ポート110に供給される圧力流体によって変位するサブピストン98と、該サブピストン98の変位作用下に回動し、前記スライドテーブル14に装着されたホルダ部68の挿入溝76に挿入されるロックプレート100とから構成している。このロック機構20は、ロックプレート100がプレート状に形成されると共に、リニアアクチュエータ10が軸方向(矢印A、B方向)と略直交方向に回動自在に設けられているため、前記リニアアクチュエータ10が軸方向に大型化してしまうことがなく、しかも、サブピストン98がシリンダ本体12の長手方向(矢印A、B方向)に変位する構成としているため、高さ寸法が大型化してしまうことがない。その結果、リニアアクチュエータ10が長手方向(矢印A、B方向)及び高さ方向(矢印C、D方向)に大型化してしまうことを抑制しつつ、ロック機構20を介してスライドテーブル14の軸方向への変位を確実に規制することが可能となる。
【0072】
また、ロック機構20は、スライドテーブル14の下方に形成された空間に配置されているため、デッドスペースとなっていた前記空間を有効に活用することができると共に、高さ寸法の増加を回避することができる。
【0073】
さらに、ロック機構20のサブピストン98は、シリンダ機構44のピストン40を変位させるために供給される圧力流体の一部を利用して駆動させることができるため、前記サブピストン98を駆動させるための圧力流体を別個に供給する場合と比較し、その配管レイアウトを簡素化できて好適である。
【0074】
さらにまた、供給ポート110からシリンダ本体12の第2貫通孔36へと供給される圧力流体は、継手102の連通孔128にオリフィス130が設けられているため、ロック機構20のピストン室114に供給される圧力流体の供給量に対して少なくなる。そのため、先行して所定流量をピストン室114に供給してサブピストン98を変位させロックプレート100によるスライドテーブル14の変位規制状態を解除した後に、シリンダ機構44のピストン40を押圧して前記スライドテーブル14を変位させることが可能となる。
【0075】
換言すれば、オリフィス130を設けることによってピストン室114に供給される圧力流体の供給量と、第2貫通孔36に供給される圧力流体の供給量との間に差を設け、サブピストン98とピストン40の動作し始める時間に時間差を設けている。これにより、ロック機構20によるスライドテーブル14のロック状態が解除された後に、前記スライドテーブル14を確実に変位させることができる。
【0076】
なお、本発明に係るリニアアクチュエータは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0077】
10…リニアアクチュエータ 12…シリンダ本体
14…スライドテーブル 16…ガイド機構
18…ストローク調整機構 20…ロック機構
34…第1貫通孔 36…第2貫通孔
44…シリンダ機構 56…テーブル本体
58…エンドプレート 68…ホルダ部
70…ストッパボルト 76…挿入溝
94…スペーサ 96…エンドブロック
98…サブピストン 100…ロックプレート
102…継手 110…供給ポート
114…ピストン室 118a、118b…連通路
120…円錐部 128…連通孔
130…オリフィス 132…スプリング
134…凹部 136…継手孔
138…ピストン孔 140…テーパ面
142…押圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体出入ポートから圧力流体を導入することにより、シリンダ本体の軸方向に沿ってスライドテーブルを往復動作させるリニアアクチュエータにおいて、
前記流体出入ポートと連通し、前記圧力流体の導入されるシリンダ室を有したシリンダ本体と、
前記シリンダ本体の軸方向に沿って往復動作するスライドテーブルと、
前記シリンダ室に沿って摺動自在に配設されるピストンを有し、前記ピストンの変位作用下に前記スライドテーブルを往復動作させるシリンダ機構と、
前記スライドテーブルの変位方向と直交方向に変位し、該スライドテーブルに係合されるロック部材と、前記ロック部材を変位させる付勢手段とを有し、前記シリンダ本体の端部に設けられて前記スライドテーブルの往復動作を規制するロック機構と、
を備えることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記ロック部材は、前記付勢手段による付勢作用下に回動し、前記スライドテーブルの溝部に挿入されて係合されることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記ロック機構は、前記流体出入ポートから供給される圧力流体によって前記ロック部材による前記スライドテーブルの往復動作規制状態を解除する解除機構を備えることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項4】
請求項3記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記解除機構は、前記圧力流体の供給作用下に軸方向に変位し、前記ロック部材を前記スライドテーブルから離間させる方向に回動させる変位体からなることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項5】
請求項3又は4記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記解除機構は、前記スライドテーブルの変位作用下に前記溝部が前記ロック部材と臨む位置に到達した際、前記ロック部材による往復動作規制状態へと復帰させることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項6】
請求項4記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記流体出入ポートは、前記変位体の設けられた室と、前記シリンダ室とにそれぞれ連通し、前記流体出入ポートと前記シリンダ室との間には、前記シリンダ室への圧力流体の流量を絞る絞り手段が設けられることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記付勢手段は、弾発力を有したスプリングであることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項8】
請求項2記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記ロック部材は、回動動作の中心となる一端部が、外部に露呈して設けられることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項9】
請求項4記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記変位体には、前記軸方向に対して傾斜した傾斜部を備え、前記傾斜部が前記ロック部材に対して当接することを特徴とするリニアアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−219967(P2012−219967A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88862(P2011−88862)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】