リニアアクチュエータ
【課題】小型で高性能なアクチュエータを安定させて動作させること。
【解決手段】本発明のリニアアクチュエータは、内筒の外周面に沿って形成される円筒状のインナーヨーク10と、インナーヨーク10の外周部に所定のギャップを持って配置されるアウターヨーク20とを備え、アウターヨーク20は、両端面に配置される合わせフレーム21X、21Yと、合わせフレーム21X、21Yに設けた穴とアウターヨーク20に設けた貫通孔25Bとを連結する締結部材25Cとを有し、インナーヨーク10の端面とアウターヨーク20の端面とを連接する平面形状の板バネからなる支持バネ30を備え、支持バネ30の一端を、インナーヨーク10を固定する内筒11に連結し、支持バネ30の他端を、合わせフレーム21X、21Yに連結することを特徴とする。
【解決手段】本発明のリニアアクチュエータは、内筒の外周面に沿って形成される円筒状のインナーヨーク10と、インナーヨーク10の外周部に所定のギャップを持って配置されるアウターヨーク20とを備え、アウターヨーク20は、両端面に配置される合わせフレーム21X、21Yと、合わせフレーム21X、21Yに設けた穴とアウターヨーク20に設けた貫通孔25Bとを連結する締結部材25Cとを有し、インナーヨーク10の端面とアウターヨーク20の端面とを連接する平面形状の板バネからなる支持バネ30を備え、支持バネ30の一端を、インナーヨーク10を固定する内筒11に連結し、支持バネ30の他端を、合わせフレーム21X、21Yに連結することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状のインナーヨークと、インナーヨークの外周部に所定のギャップを持って配置されるアウターヨークとの協働作用により発電機や電動機を構成するリニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、既に、固定子と、それに対向して軸方向に直線的に往復移動する可動子との協働作用により発電機や電動機を構成するリニアアクチュエータを提案している。(特許文献1、特許文献2)。
特許文献1によれば、補助ヨークによって効率が向上し、所定の能力を維持した上で、用いる永久磁石の量を低減することができる。また、永久磁石とヨークとを連結して可動子とすることで、可動子と固定子とのエアギャップを1つにすることにより、アクチュエータを小型化することができる。
また特許文献2によれば、所定の能力を維持した上で、用いる永久磁石の量を低減することができるとともに、第1のヨークのコ字型ヨーク先端部にメイン磁石に対向させて設けたスプリング磁石によって、所定の出力を維持した上で、可動子が固定子の端部にある場合でも固定子から抜けることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−151750号公報
【特許文献2】特開2006−288088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、小型で高効率なリニアアクチュエータを実現する上では、アウターヨークに対してインナーヨークが安定した動作を行う必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、特許文献1及び特許文献2で提案した小型で高性能なアクチュエータを安定させて動作させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明のリニアアクチュエータは、内筒の外周面に沿って形成される円筒状のインナーヨークと、前記インナーヨークの外周部に所定のギャップを持って配置されるアウターヨークとを備えたリニアアクチュエータであって、前記アウターヨークは、両端面に配置される合わせフレームと、前記合わせフレームに設けた穴と前記アウターヨークに設けた貫通孔とを連結する締結部材とを有し、前記インナーヨークの端面と前記アウターヨークの端面とを連接する平面形状の板バネからなる支持バネを備え、支持バネの一端を、前記インナーヨークを固定する内筒に連結し、前記支持バネの他端を、前記合わせフレームに連結することを特徴とする。
請求項2記載の本発明のリニアアクチュエータは、内筒の外周面に沿って形成される円筒状のインナーヨークと、前記インナーヨークの外周部に所定のギャップを持って配置されるアウターヨークとを備えたリニアアクチュエータであって、前記アウターヨークは、両端面に配置される合わせフレームと、前記合わせフレームに設けた穴と前記アウターヨークの外周面に設けた溝とを連結する締結部材とを有し、前記インナーヨークの端面と前記アウターヨークの端面とを連接する平面形状の板バネからなる支持バネを備え、支持バネの一端を、前記インナーヨークを固定する内筒に連結し、前記支持バネの他端を、前記合わせフレームに連結することを特徴とするリニアアクチュエータ。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、第1の前記支持バネによって前記インナーヨークの一方の端面と前記アウターヨークの一方の端面とを連接し、第2の前記支持バネによって前記インナーヨークの他方の端面と前記アウターヨークの他方の端面とを連接することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記支持バネを円弧部が180度以下の略C字状に形成したことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記支持バネを円弧部が180度以上の略C字状に形成したことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記インナーヨークを、複数の磁性板を周方向に配列して構成し、前記磁性板を、前記インナーヨークを構成した状態で磁石が配置されるヨーク本体部と、前記ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、前記ヨーク突出部にエンボスを形成したことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記アウターヨークを、複数の磁性板を周方向に配列して構成し、前記磁性板を、前記アウターヨークを構成した状態でコイルが配置されるヨーク本体部と、前記ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、前記ヨーク本体部にエンボスを形成したことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記インナーヨークを、磁性粉末を固めて一体成形し、一体成形した前記インナーヨークの外周面に磁石を配置したことを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記アウターヨークを、磁性粉末を固めて一体成形し、一体成形した前記アウターヨークにコイルを配置したことを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記インナーヨークの外周面の両端には、それぞれ円筒状の補助ヨークを備え、前記補助ヨークの間に空隙を持たせて円筒状のコイルを配置し、前記アウターヨークの内周面には、一対のティース部の間に空隙を形成し、最大ストローク状態では、前記補助ヨークの磁石側の端面が、前記アウターヨークの端面から外方に位置しないことを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記インナーヨークの外周面の両端には、それぞれ円筒状の補助ヨークを備え、前記補助ヨークの間に空隙を持たせて円筒状のコイルを配置し、前記アウターヨークの内周面には、一対のティース部の間に空隙を形成し、最大ストローク状態では、磁石の端面が、前記アウターヨークの前記空隙を形成する端面から、前記アウターヨークの前記空隙側に位置しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、インナーヨークとアウターヨークとを支持バネで連接することで、インナーヨークとアウターヨークとの位置調整を行いやすく、リニアアクチュエータをコンパクトに構成できる。
さらに、機器の出力軸又は入力軸をインナーヨーク中心部に取り付けるだけでよいため、機器の組み立てを容易に行うことができる。すなわち、機器側の出力軸又は入力軸の軸芯とインナーヨークの軸芯とを合わせるだけでよく、機器側の軸心とアウターヨークの軸心とを合わせる必要がない。
また、インナーヨークとアウターヨーク間は非接触であるため、機械ロスの非常に小さい高効率駆動が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図
【図2】図1の支持バネの平面図
【図3】図1の要部斜視図
【図4】本実施例によるインナーヨークを構成する磁性板の平面図
【図5】図1の要部分解斜視図
【図6】本実施例によるアウターヨークを構成する磁性板の平面図
【図7】本実施例によるアウターヨークの一部斜視図
【図8】本実施例によるインナーヨークとアウターヨークを示す要部斜視図
【図9】他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図
【図10】図9の支持バネの平面図
【図11】本発明の他の実施例による支持バネの平面図
【図12】他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図
【図13】図12の支持バネの平面図
【図14】他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図
【図15】本実施例による外筒の構成を示す分解斜視図
【図16】他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面要部概略図
【図17】本実施例による側断面要部概略図
【図18】他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面要部概略図
【図19】他の実施例によるインナーヨークとアウターヨークを示す要部斜視図
【図20】本実施例のリニアアクチュエータの最大ストローク状態を示す要部断面構成図であり、アウターヨークに対してインナーヨークが一方へ最大変位した状態図
【図21】本実施例のリニアアクチュエータの最大ストローク状態を示す要部断面構成図であり、アウターヨークに対してインナーヨークが他方へ最大変位した状態図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態によるリニアアクチュエータは、アウターヨークは、両端面に配置される合わせフレームと、合わせフレームに設けた穴とアウターヨークに設けた貫通孔とを連結する締結部材とを有し、インナーヨークの端面とアウターヨークの端面とを連接する平面形状の板バネからなる支持バネを備え、支持バネの一端を、インナーヨークを固定する内筒に連結し、支持バネの他端を、合わせフレームに連結するものである。本実施の形態によれば、インナーヨークとアウターヨークとを支持バネで連接することで、インナーヨークとアウターヨークとの位置調整を行いやすく、機器の出力軸又は入力軸をインナーヨーク中心部に取り付けるだけでよいため、機器の組み立てを容易に行うことができる。また、本実施の形態によれば、インナーヨークとアウターヨークとの位置調整をあらかじめ調整した後にアクチュエータの組立を行うことができる。また、本実施の形態によれば、外筒のようにアウターヨーク外周側に部材を設けないため、外筒と比較して外形寸法を小さくすることができる。また、本実施の形態によれば、合わせフレームに設けた穴と、アウターヨークに設けた貫通孔とを締結部材で連結することで、合わせフレームをアウターヨークに確実に連結することができる。
本発明の第2の実施の形態によるリニアアクチュエータは、アウターヨークは、両端面に配置される合わせフレームと、合わせフレームに設けた穴とアウターヨークの外周面に設けた溝とを連結する締結部材とを有し、インナーヨークの端面とアウターヨークの端面とを連接する平面形状の板バネからなる支持バネを備え、支持バネの一端を、インナーヨークを固定する内筒に連結し、支持バネの他端を、合わせフレームに連結するものである。本実施の形態によれば、インナーヨークとアウターヨークとを支持バネで連接することで、インナーヨークとアウターヨークとの位置調整を行いやすく、機器の出力軸又は入力軸をインナーヨーク中心部に取り付けるだけでよいため、機器の組み立てを容易に行うことができる。また、本実施の形態によれば、インナーヨークとアウターヨークとの位置調整をあらかじめ調整した後にアクチュエータの組立を行うことができる。また、本実施の形態によれば、外筒のようにアウターヨーク外周側に部材を設けないため、外筒と比較して外形寸法を小さくすることができる。また、本実施の形態によれば、合わせフレームに設けた穴と、アウターヨークの外周面に設けた溝とを締結部材で連結することで、アウターヨークに貫通孔設ける場合と比較して磁気回路に与える影響を少なくし、アクチュエータの効率低下を防止することができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、第1の支持バネによって内筒の一方の端面と合わせフレームの一方の端面とを連接し、第2の支持バネによって内筒の他方の端面と合わせフレームの他方の端面とを連接するものである。本実施の形態によれば、インナーヨークを挟むように一対の支持バネで支持することで、リニアアクチュエータをコンパクトに構成できる。
本発明の第4の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、支持バネを円弧部が180度以下の略C字状に形成したものである。本実施の形態によれば、インナーヨークとアウターヨークとの中心ずれを少なくすることができる。
本発明の第5の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、支持バネを円弧部が180度以上の略C字状に形成したものである。本実施の形態によれば、インナーヨークとアウターヨークとの相対移動量を大きくすることができる。
本発明の第6の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、インナーヨークを、複数の磁性板を周方向に配列して構成し、磁性板を、インナーヨークを構成した状態で磁石が配置されるヨーク本体部と、ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、ヨーク突出部にエンボスを形成したものである。本実施の形態によれば、インナーヨークのヨーク突出部にエンボスを設けることで、外周側のギャップを確実に確保することができる。
本発明の第7の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、アウターヨークを、複数の磁性板を周方向に配列して構成し、磁性板を、アウターヨークを構成した状態でコイルが配置されるヨーク本体部と、ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、ヨーク本体部にエンボスを形成したものである。本実施の形態によれば、アウターヨークのヨーク本体部にエンボスを設けることで、外周側のギャップを確実に確保することができる。
本発明の第8の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、インナーヨークを、磁性粉末を固めて一体成形し、一体成形したインナーヨークの外周面に磁石を配置したものである。本実施の形態のように、磁性粉末を固めて一体成形したインナーヨークを用いることができる。
本発明の第9の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、アウターヨークを、磁性粉末を固めて一体成形し、一体成形したアウターヨークにコイルを配置したものである。本実施の形態のように、磁性粉末を固めて一体成形したアウターヨークを用いることができる。
本発明の第10の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、インナーヨークの外周面の両端には、それぞれ円筒状の補助ヨークを備え、補助ヨークの間に空隙を持たせて円筒状のコイルを配置し、アウターヨークの内周面には、一対のティース部の間に空隙を形成し、最大ストローク状態では、補助ヨークの磁石側の端面が、アウターヨークの端面から外方に位置しないものである。本実施の形態によれば、インナーヨークがアウターヨークから外れることがなく安定した動作を確保できる。
本発明の第11の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、インナーヨークの外周面の両端には、それぞれ円筒状の補助ヨークを備え、補助ヨークの間に空隙を持たせて円筒状のコイルを配置し、アウターヨークの内周面には、一対のティース部の間に空隙を形成し、最大ストローク状態では、磁石の端面が、アウターヨークの空隙を形成する端面から、アウターヨークの空隙側に位置しないものである。本実施の形態によれば、インナーヨークがアウターヨークから外れることがなく安定した動作を確保できる。
【実施例】
【0010】
以下本発明の一実施例について図面とともに詳細に説明する。
図1は本実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図である。
本実施例によるリニアアクチュエータは、インナーヨーク10とアウターヨーク20とが相対的に往復動作することで発電機や電動機を構成する。
インナーヨーク10は内筒11の外周面に固定され、インナーヨーク10の外周面には磁石12が配置される。
アウターヨーク20は外筒21の内周面に固定され、アウターヨーク20の内周側にはコイル22が配置される。
コイル22が磁石12と対向するように、アウターヨーク20は、インナーヨーク10の外周部に所定のギャップを持って配置される。
インナーヨーク10とアウターヨーク20とは、平面形状が略C字状の支持バネ30A、30Bで連接されている。
ここで、第1の支持バネ30Aによってインナーヨーク10の一方の端面とアウターヨーク20の一方の端面とを連接し、第2の支持バネ30Bによってインナーヨーク10の他方の端面とアウターヨーク20の他方の端面とを連接する。
支持バネ30A、30Bの一端は、締結材31によってインナーヨーク10に連結され、支持バネ30A、30Bの他端は、締結材32によってアウターヨーク20に連結されている。
【0011】
本実施例では、内筒11の両端面にはフランジ部11aが形成され、締結材31はこのフランジ部11aに設けた孔で固定される。また、締結材32は、外筒21の両端面に設けた孔で固定される。
図2は図1の支持バネの平面図である。
インナーヨーク10の一端には2つの支持バネ30Aが配置され、インナーヨーク10の他端には2つの支持バネ30Bが配置されている。ここで、4つの支持バネ30A、30Bは同一構成であるので、1つの支持バネ30Aについて説明する。
支持バネ30Aは、平面形状が略C字状に形成され、支持バネ30Aの一端には締結材31が配置され、支持バネ30Aの他端には締結材32が配置される。
2つの支持バネ30Aを、互いに位相を180℃異ならせて、対照に配置し、2つの支持バネ30Aで囲まれる空間に内筒11が配置される。
本実施例のように、インナーヨーク10を挟み込むように、4つの支持バネ30A、30Bでインナーヨーク10とアウターヨーク20とを連接することで、リニアアクチュエータをコンパクトに構成でき、安定した動作を行わせることができる。
【0012】
図3は、図1の要部斜視図であり、インナーヨーク10と磁石12を示している。
また、図4は、本実施例によるインナーヨークを構成する磁性板の平面図である。
図3に示すように、インナーヨーク10の外周には、複数の円弧状の磁石12が配置され、このインナーヨーク10は、図4に示すように、複数の磁性板41を周方向に配列して構成している。
磁性板41は、配列した状態で磁石が配置されるヨーク本体部と、このヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、一方のヨーク突出部には第1のエンボス41Aを形成し、他方のヨーク突出部には第2のエンボス41Bを形成し、第1のエンボス41Aと第2のエンボス41Bとを非対称に設けている。図においては、第1のエンボス41Aは、2つのエンボスで構成し、第2のエンボス41Bは1つのエンボスで構成した場合を示している。
図4に示すように、磁性板41は、表面と表面、裏面と裏面が重なるように、交互に配列する。従って、隣り合う磁性板41は、第1のエンボス41Aと第2のエンボス41Bとが隣り合う状態となり、仮に第1のエンボス41Aと第2のエンボス41Bとが、凹部が形成されるようなエンボス加工であったとしても、凸部が凹部にはまりこむことを防止することができる。
【0013】
図5は、図1の要部斜視図であり、アウターヨーク20とコイル22を示している。
また、図6は、本実施例によるアウターヨークを構成する磁性板の平面図、図7は、本実施例によるアウターヨークの一部斜視図である。
図5に示すように、本実施例では、アウターヨーク20は、コイル22を挟み込むように第1のヨーク部20Aと第2のヨーク部20Bで構成している。
第1のヨーク部20Aと第2のヨーク部20Bを構成する磁性板60は、ヨークを構成した状態でコイル22が配置されるヨーク本体部と、ヨーク本体部の一端に設けたヨーク突出部とで構成し、ヨーク本体部にエンボス加工を施している。
第1のヨーク部20Aと第2のヨーク部20Bは、それぞれ図6に示すように、少なくとも2種類の磁性板60を用い、第1の磁性板61には第1のエンボス61Aを形成し、第2の磁性板62には第2のエンボス62Aを形成し、第1のエンボス61Aと第2のエンボス62Aとを異ならせている。図においては、第1のエンボス61Aは、3つのエンボスで構成し、第2のエンボス62Aは2つのエンボスで構成した場合を示している。
第1のヨーク部20Aと第2のヨーク部20Bとは、第1の磁性板61と第2の磁性板62とを交互に周方向に配列して構成している。隣り合う第1の磁性板61と第2の極性板62とは、第1のエンボス61Aと第2のエンボス62Aとが隣り合う状態となり、仮に第1のエンボス61Aと第2のエンボス62Aとが、凹部が形成されるようなエンボス加工であったとしても、凸部が凹部にはまりこむことを防止することができる。
図8は、本実施例によるインナーヨークとアウターヨークを示す要部斜視図である。
同図に示すように、インナーヨーク10とアウターヨーク20とは、同心円上に配置され、インナーヨーク10がアウターヨーク20に対して摺動移動する。
【0014】
図9は他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図である。なお、上記実施例と同一機能を有する部材には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施例では、内筒11の両端面には中心軸方向に突出させたボス部11bが形成され、締結材31はこのボス部11bに設けた孔で固定される。また、締結材32は、外筒21の両端面に設けた孔で固定される。
図10は図9の支持バネの平面図である。
インナーヨーク10の一端には3つの支持バネ30Aが配置され、インナーヨーク10の他端には3つの支持バネ30Bが配置されている。ここで、6つの支持バネ30A、30Bは同一構成である。
3つの支持バネ30Aを、互いに位相を120℃異ならせて、対照に配置し、3つの支持バネ30Aで囲まれる空間に内筒11が配置される。支持バネ30Aは、締結材31から締結材32までの円弧部が180度以上に形成されたものである。そして、このような支持バネ30Aを3枚用いて構成している。2つの支持ばねより、3つの支持ばねで構成することにより、支持剛性を向上させ、耐久性を高めることができる。さらに、支持ばねが一体構成になっていることで、ばね同士の位置決めをする必要がないので、組み付けが簡便になり、高精度に組み付けることができる。
本実施例のように、インナーヨーク10を挟み込むように、6つの支持バネ30A、30Bでインナーヨーク10とアウターヨーク20とを連接することで、リニアアクチュエータをコンパクトに構成でき、安定した動作を行わせることができる。
図11に示す支持バネ30Aは、図10に示す3枚の支持バネ30Aを、中心部において連結したものである。
【0015】
図12は他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図である。なお、上記実施例と同一機能を有する部材には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施例では、内筒11の両端面の中心に突出させたボス部11cが形成され、締結材31はこのボス部11cに設けた孔で固定される。また、締結材32は、外筒21の両端面に設けた孔で固定される。
図13は図12の支持バネの平面図である。
インナーヨーク10の一端には1つの支持バネ30Aが配置され、インナーヨーク10の他端には1つの支持バネ30Bが配置されている。ここで、支持バネ30A、30Bは同一構成である。
支持バネ30Aは、平面形状がS字状に構成され、両端でアウターヨークに固定し、中心部でインナーヨーク10に固定する。
本実施例のように、インナーヨーク10を挟み込むように、2つの支持バネ30A、30Bでインナーヨーク10とアウターヨーク20とを連接することで、リニアアクチュエータをコンパクトに構成でき、安定した動作を行わせることができる。なお、図11に示すように3つの支持バネを採用することによって、支持剛性を高めて構成し、信頼性を高めることができる。
図14は他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図、図15は本実施例による外筒の構成を示す分解斜視図である。なお、上記実施例と同一機能を有する部材には、同一符号を付して説明を省略する。
外筒21は、アウターヨーク20の外周面を覆う円筒部と、アウターヨーク20の両端面を覆うフランジ部とから構成され、ボルト孔25にボルトを用いてアウターヨーク20を固定する。アウターヨーク20の両端面を覆うフランジ部には、アウターヨーク20を固定するボルト孔25とともに、締結材32を固定するためのボルト孔26を有する。外筒21は、2つの部材21A、21Bに分割され、これらの部材21A、21Bを付き合わせることで構成される。
【0016】
図16は他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面要部概略図、図17は本実施例による側断面要部概略図である。なお、上記実施例と同一機能を有する部材には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施例は、図14に示す外筒21の代わりに、一対の合わせフレーム21X、21Yを用いたものである。一対の合わせフレーム21X、21Yは、リング形状をしており、アウターヨーク20の両端面に配置している。一対の合わせフレーム21X、21Yには、アウターヨーク20を固定するボルト孔25Aとともに、締結材32を固定するためのボルト孔26を有する。
本実施例では、アウターヨーク20には、貫通孔25Bを設けており、ボルト孔25Aと貫通孔25Bとに締結部材(通しボルト)25Cを挿入することで、一対の合わせフレーム21X、21Yとアウターヨーク20を連結する。
本実施例によれば、図14に示す外筒21のようにアウターヨーク20の外周側に部材を設けないため、外筒21と比較して外形寸法を小さくすることができる。
【0017】
図18は他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面要部概略図であり、図17に相当する。なお、上記実施例と同一機能を有する部材には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施例は、図17に示す貫通孔25Bの代わりに溝25Dを設けたものである。溝25Dは、アウターヨーク20の外周面に設けている。
本実施例によれば、図17に示す貫通孔25Bと比較して磁気回路に与える影響を少なくし、アクチュエータの効率低下を防止することができる。
【0018】
図19は、他の実施例によるインナーヨークとアウターヨークを示す要部斜視図である。
本実施例では、インナーヨーク10Xとして、磁性粉末を固めて一体成形したものを用い、一体成形したインナーヨーク10Xの外周面に図示しない磁石を配置する。また、アウターヨーク20Zとして、磁性粉末を固めて一体成形したものを用い、一体成形したアウターヨーク20Zにコイル22を配置する。
本実施の形態のように、磁性粉末を固めて一体成形したインナーヨーク10X及びアウターヨーク20Zを用いることができる。
同図に示すように、インナーヨーク10Xとアウターヨーク20Zとは、同心円上に配置され、インナーヨーク10Xがアウターヨーク20Zに対して摺動移動するが、アウターヨーク20Zがインナーヨーク10Xに対して摺動移動するものでもよい。
なお、アウターヨーク20Zは、コイル22を挟み込むように第1のヨーク部20Xと第2のヨーク部20Yで構成している。
【0019】
次に、本実施例のリニアアクチュエータのストローク範囲について説明する。
図20、及び図21は、本実施例のリニアアクチュエータの最大ストローク状態を示す要部断面構成図であり、図20はアウターヨークに対してインナーヨークが一方へ最大変位した状態、図21はアウターヨークに対してインナーヨークが他方へ最大変位した状態である。
インナーヨーク10の外周面の両端には、それぞれ円筒状の補助ヨーク10Aを備え、補助ヨーク10Aと磁石12との間には、空隙10Bが形成されている。この空隙10Bは、高磁気抵抗領域として機能し、磁石12からの磁束が補助ヨーク10Aに漏れるのを防止する。
一方、アウターヨーク20の内周面には、一対のティース部の間に空隙20Aが形成されている。
図に示すように、最大ストローク状態では、インナーヨーク10の補助ヨーク10Aの磁石12側の端面が、アウターヨーク20の端面から外方に位置せず、また磁石10の端面が、アウターヨーク20の空隙20Aを形成する端面から、空隙20A側に位置しないことが好ましい。
インナーヨーク10の補助ヨーク10Aの磁石12側の端面を、アウターヨーク20の端面から外方に位置させると、パワーは出るがインナーヨーク10がアウターヨーク20から外れてしまう。また、磁石10の端面を、アウターヨーク20の空隙20Aを形成する端面から、空隙20A側に位置させると、パワーは出るがインナーヨーク10がアウターヨーク20から外れてしまう。
一方、インナーヨーク10の補助ヨーク10Aの磁石12側の端面を、アウターヨーク20の端面より内側に位置させると、パワーは出ないがインナーヨーク10がアウターヨーク20から外れることがなく安定した動作を確保できる。また、磁石10の端面を、アウターヨーク20の空隙20Aを形成する端面から、ティース部側に位置させると、パワーは出ないがインナーヨーク10がアウターヨーク20から外れることがなく安定した動作を確保できる。
【0020】
以上のように本実施例によれば、インナーヨーク10とアウターヨーク20との位置調整をあらかじめ調整した後に組立を行うことができる。
本実施例によれば、インナーヨーク10の端面とアウターヨーク20の端面とを、板バネからなる支持バネ30で連接することで、インナーヨーク10とアウターヨーク20との位置調整を行いやすい。
また本実施例によれば、インナーヨーク10を挟むように一対の支持バネ30で支持することで、リニアアクチュエータをコンパクトに構成できる。
また本実施例によれば、支持バネ30の一端を、インナーヨーク10を固定する内筒11に連結し、支持バネ30の他端を、アウターヨーク20を固定する外筒21に連結するため、インナーヨーク10とアウターヨーク20との位置調整をあらかじめ調整した後にアクチュエータの組立を行うことができる。
また本実施例によれば、外筒21を分割された二つの部材で構成することで、インナーヨーク10とアウターヨーク20との組み立て誤差を少なくすることができる。
また本実施例によれば、支持バネ30を円弧部が180度以下の略C字状に形成することで、インナーヨーク10とアウターヨーク20との中心ずれを少なくすることができる。
また本実施例によれば、支持バネ30を円弧部が180度以上の略C字状に形成することで、インナーヨーク10とアウターヨーク20との相対移動量を大きくすることができる。
また本実施例によれば、インナーヨーク10を、複数の磁性板41を周方向に配列して構成し、磁性板41を、インナーヨーク10を構成した状態で磁石12が配置されるヨーク本体部と、ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、ヨーク突出部にエンボスを形成したことで、インナーヨーク10のヨーク突出部にエンボスを設けることで、外周側のギャップを確実に確保することができる。
また本実施例によれば、アウターヨーク20を、複数の磁性板60を周方向に配列して構成し、磁性板60を、アウターヨーク20を構成した状態でコイル22が配置されるヨーク本体部と、ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、ヨーク本体部にエンボスを形成したことで、アウターヨーク20のヨーク本体部にエンボスを設けることで、外周側のギャップを確実に確保することができる。
なお、上記実施例では、インナーヨーク10がアウターヨーク20に対して摺動移動する場合で説明したが、アウターヨーク20がインナーヨーク10に対して摺動移動する場合であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明のリニアアクチュエータは、発電機や電動機として利用することができる。
【符号の説明】
【0022】
10 インナーヨーク
11 内筒
12 磁石
20 アウターヨーク
21 外筒
22 コイル
30A、30B 支持バネ
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状のインナーヨークと、インナーヨークの外周部に所定のギャップを持って配置されるアウターヨークとの協働作用により発電機や電動機を構成するリニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、既に、固定子と、それに対向して軸方向に直線的に往復移動する可動子との協働作用により発電機や電動機を構成するリニアアクチュエータを提案している。(特許文献1、特許文献2)。
特許文献1によれば、補助ヨークによって効率が向上し、所定の能力を維持した上で、用いる永久磁石の量を低減することができる。また、永久磁石とヨークとを連結して可動子とすることで、可動子と固定子とのエアギャップを1つにすることにより、アクチュエータを小型化することができる。
また特許文献2によれば、所定の能力を維持した上で、用いる永久磁石の量を低減することができるとともに、第1のヨークのコ字型ヨーク先端部にメイン磁石に対向させて設けたスプリング磁石によって、所定の出力を維持した上で、可動子が固定子の端部にある場合でも固定子から抜けることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−151750号公報
【特許文献2】特開2006−288088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、小型で高効率なリニアアクチュエータを実現する上では、アウターヨークに対してインナーヨークが安定した動作を行う必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、特許文献1及び特許文献2で提案した小型で高性能なアクチュエータを安定させて動作させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明のリニアアクチュエータは、内筒の外周面に沿って形成される円筒状のインナーヨークと、前記インナーヨークの外周部に所定のギャップを持って配置されるアウターヨークとを備えたリニアアクチュエータであって、前記アウターヨークは、両端面に配置される合わせフレームと、前記合わせフレームに設けた穴と前記アウターヨークに設けた貫通孔とを連結する締結部材とを有し、前記インナーヨークの端面と前記アウターヨークの端面とを連接する平面形状の板バネからなる支持バネを備え、支持バネの一端を、前記インナーヨークを固定する内筒に連結し、前記支持バネの他端を、前記合わせフレームに連結することを特徴とする。
請求項2記載の本発明のリニアアクチュエータは、内筒の外周面に沿って形成される円筒状のインナーヨークと、前記インナーヨークの外周部に所定のギャップを持って配置されるアウターヨークとを備えたリニアアクチュエータであって、前記アウターヨークは、両端面に配置される合わせフレームと、前記合わせフレームに設けた穴と前記アウターヨークの外周面に設けた溝とを連結する締結部材とを有し、前記インナーヨークの端面と前記アウターヨークの端面とを連接する平面形状の板バネからなる支持バネを備え、支持バネの一端を、前記インナーヨークを固定する内筒に連結し、前記支持バネの他端を、前記合わせフレームに連結することを特徴とするリニアアクチュエータ。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、第1の前記支持バネによって前記インナーヨークの一方の端面と前記アウターヨークの一方の端面とを連接し、第2の前記支持バネによって前記インナーヨークの他方の端面と前記アウターヨークの他方の端面とを連接することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記支持バネを円弧部が180度以下の略C字状に形成したことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記支持バネを円弧部が180度以上の略C字状に形成したことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記インナーヨークを、複数の磁性板を周方向に配列して構成し、前記磁性板を、前記インナーヨークを構成した状態で磁石が配置されるヨーク本体部と、前記ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、前記ヨーク突出部にエンボスを形成したことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記アウターヨークを、複数の磁性板を周方向に配列して構成し、前記磁性板を、前記アウターヨークを構成した状態でコイルが配置されるヨーク本体部と、前記ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、前記ヨーク本体部にエンボスを形成したことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記インナーヨークを、磁性粉末を固めて一体成形し、一体成形した前記インナーヨークの外周面に磁石を配置したことを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記アウターヨークを、磁性粉末を固めて一体成形し、一体成形した前記アウターヨークにコイルを配置したことを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記インナーヨークの外周面の両端には、それぞれ円筒状の補助ヨークを備え、前記補助ヨークの間に空隙を持たせて円筒状のコイルを配置し、前記アウターヨークの内周面には、一対のティース部の間に空隙を形成し、最大ストローク状態では、前記補助ヨークの磁石側の端面が、前記アウターヨークの端面から外方に位置しないことを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記インナーヨークの外周面の両端には、それぞれ円筒状の補助ヨークを備え、前記補助ヨークの間に空隙を持たせて円筒状のコイルを配置し、前記アウターヨークの内周面には、一対のティース部の間に空隙を形成し、最大ストローク状態では、磁石の端面が、前記アウターヨークの前記空隙を形成する端面から、前記アウターヨークの前記空隙側に位置しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、インナーヨークとアウターヨークとを支持バネで連接することで、インナーヨークとアウターヨークとの位置調整を行いやすく、リニアアクチュエータをコンパクトに構成できる。
さらに、機器の出力軸又は入力軸をインナーヨーク中心部に取り付けるだけでよいため、機器の組み立てを容易に行うことができる。すなわち、機器側の出力軸又は入力軸の軸芯とインナーヨークの軸芯とを合わせるだけでよく、機器側の軸心とアウターヨークの軸心とを合わせる必要がない。
また、インナーヨークとアウターヨーク間は非接触であるため、機械ロスの非常に小さい高効率駆動が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図
【図2】図1の支持バネの平面図
【図3】図1の要部斜視図
【図4】本実施例によるインナーヨークを構成する磁性板の平面図
【図5】図1の要部分解斜視図
【図6】本実施例によるアウターヨークを構成する磁性板の平面図
【図7】本実施例によるアウターヨークの一部斜視図
【図8】本実施例によるインナーヨークとアウターヨークを示す要部斜視図
【図9】他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図
【図10】図9の支持バネの平面図
【図11】本発明の他の実施例による支持バネの平面図
【図12】他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図
【図13】図12の支持バネの平面図
【図14】他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図
【図15】本実施例による外筒の構成を示す分解斜視図
【図16】他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面要部概略図
【図17】本実施例による側断面要部概略図
【図18】他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面要部概略図
【図19】他の実施例によるインナーヨークとアウターヨークを示す要部斜視図
【図20】本実施例のリニアアクチュエータの最大ストローク状態を示す要部断面構成図であり、アウターヨークに対してインナーヨークが一方へ最大変位した状態図
【図21】本実施例のリニアアクチュエータの最大ストローク状態を示す要部断面構成図であり、アウターヨークに対してインナーヨークが他方へ最大変位した状態図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態によるリニアアクチュエータは、アウターヨークは、両端面に配置される合わせフレームと、合わせフレームに設けた穴とアウターヨークに設けた貫通孔とを連結する締結部材とを有し、インナーヨークの端面とアウターヨークの端面とを連接する平面形状の板バネからなる支持バネを備え、支持バネの一端を、インナーヨークを固定する内筒に連結し、支持バネの他端を、合わせフレームに連結するものである。本実施の形態によれば、インナーヨークとアウターヨークとを支持バネで連接することで、インナーヨークとアウターヨークとの位置調整を行いやすく、機器の出力軸又は入力軸をインナーヨーク中心部に取り付けるだけでよいため、機器の組み立てを容易に行うことができる。また、本実施の形態によれば、インナーヨークとアウターヨークとの位置調整をあらかじめ調整した後にアクチュエータの組立を行うことができる。また、本実施の形態によれば、外筒のようにアウターヨーク外周側に部材を設けないため、外筒と比較して外形寸法を小さくすることができる。また、本実施の形態によれば、合わせフレームに設けた穴と、アウターヨークに設けた貫通孔とを締結部材で連結することで、合わせフレームをアウターヨークに確実に連結することができる。
本発明の第2の実施の形態によるリニアアクチュエータは、アウターヨークは、両端面に配置される合わせフレームと、合わせフレームに設けた穴とアウターヨークの外周面に設けた溝とを連結する締結部材とを有し、インナーヨークの端面とアウターヨークの端面とを連接する平面形状の板バネからなる支持バネを備え、支持バネの一端を、インナーヨークを固定する内筒に連結し、支持バネの他端を、合わせフレームに連結するものである。本実施の形態によれば、インナーヨークとアウターヨークとを支持バネで連接することで、インナーヨークとアウターヨークとの位置調整を行いやすく、機器の出力軸又は入力軸をインナーヨーク中心部に取り付けるだけでよいため、機器の組み立てを容易に行うことができる。また、本実施の形態によれば、インナーヨークとアウターヨークとの位置調整をあらかじめ調整した後にアクチュエータの組立を行うことができる。また、本実施の形態によれば、外筒のようにアウターヨーク外周側に部材を設けないため、外筒と比較して外形寸法を小さくすることができる。また、本実施の形態によれば、合わせフレームに設けた穴と、アウターヨークの外周面に設けた溝とを締結部材で連結することで、アウターヨークに貫通孔設ける場合と比較して磁気回路に与える影響を少なくし、アクチュエータの効率低下を防止することができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、第1の支持バネによって内筒の一方の端面と合わせフレームの一方の端面とを連接し、第2の支持バネによって内筒の他方の端面と合わせフレームの他方の端面とを連接するものである。本実施の形態によれば、インナーヨークを挟むように一対の支持バネで支持することで、リニアアクチュエータをコンパクトに構成できる。
本発明の第4の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、支持バネを円弧部が180度以下の略C字状に形成したものである。本実施の形態によれば、インナーヨークとアウターヨークとの中心ずれを少なくすることができる。
本発明の第5の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、支持バネを円弧部が180度以上の略C字状に形成したものである。本実施の形態によれば、インナーヨークとアウターヨークとの相対移動量を大きくすることができる。
本発明の第6の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、インナーヨークを、複数の磁性板を周方向に配列して構成し、磁性板を、インナーヨークを構成した状態で磁石が配置されるヨーク本体部と、ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、ヨーク突出部にエンボスを形成したものである。本実施の形態によれば、インナーヨークのヨーク突出部にエンボスを設けることで、外周側のギャップを確実に確保することができる。
本発明の第7の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、アウターヨークを、複数の磁性板を周方向に配列して構成し、磁性板を、アウターヨークを構成した状態でコイルが配置されるヨーク本体部と、ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、ヨーク本体部にエンボスを形成したものである。本実施の形態によれば、アウターヨークのヨーク本体部にエンボスを設けることで、外周側のギャップを確実に確保することができる。
本発明の第8の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、インナーヨークを、磁性粉末を固めて一体成形し、一体成形したインナーヨークの外周面に磁石を配置したものである。本実施の形態のように、磁性粉末を固めて一体成形したインナーヨークを用いることができる。
本発明の第9の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、アウターヨークを、磁性粉末を固めて一体成形し、一体成形したアウターヨークにコイルを配置したものである。本実施の形態のように、磁性粉末を固めて一体成形したアウターヨークを用いることができる。
本発明の第10の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、インナーヨークの外周面の両端には、それぞれ円筒状の補助ヨークを備え、補助ヨークの間に空隙を持たせて円筒状のコイルを配置し、アウターヨークの内周面には、一対のティース部の間に空隙を形成し、最大ストローク状態では、補助ヨークの磁石側の端面が、アウターヨークの端面から外方に位置しないものである。本実施の形態によれば、インナーヨークがアウターヨークから外れることがなく安定した動作を確保できる。
本発明の第11の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるリニアアクチュエータにおいて、インナーヨークの外周面の両端には、それぞれ円筒状の補助ヨークを備え、補助ヨークの間に空隙を持たせて円筒状のコイルを配置し、アウターヨークの内周面には、一対のティース部の間に空隙を形成し、最大ストローク状態では、磁石の端面が、アウターヨークの空隙を形成する端面から、アウターヨークの空隙側に位置しないものである。本実施の形態によれば、インナーヨークがアウターヨークから外れることがなく安定した動作を確保できる。
【実施例】
【0010】
以下本発明の一実施例について図面とともに詳細に説明する。
図1は本実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図である。
本実施例によるリニアアクチュエータは、インナーヨーク10とアウターヨーク20とが相対的に往復動作することで発電機や電動機を構成する。
インナーヨーク10は内筒11の外周面に固定され、インナーヨーク10の外周面には磁石12が配置される。
アウターヨーク20は外筒21の内周面に固定され、アウターヨーク20の内周側にはコイル22が配置される。
コイル22が磁石12と対向するように、アウターヨーク20は、インナーヨーク10の外周部に所定のギャップを持って配置される。
インナーヨーク10とアウターヨーク20とは、平面形状が略C字状の支持バネ30A、30Bで連接されている。
ここで、第1の支持バネ30Aによってインナーヨーク10の一方の端面とアウターヨーク20の一方の端面とを連接し、第2の支持バネ30Bによってインナーヨーク10の他方の端面とアウターヨーク20の他方の端面とを連接する。
支持バネ30A、30Bの一端は、締結材31によってインナーヨーク10に連結され、支持バネ30A、30Bの他端は、締結材32によってアウターヨーク20に連結されている。
【0011】
本実施例では、内筒11の両端面にはフランジ部11aが形成され、締結材31はこのフランジ部11aに設けた孔で固定される。また、締結材32は、外筒21の両端面に設けた孔で固定される。
図2は図1の支持バネの平面図である。
インナーヨーク10の一端には2つの支持バネ30Aが配置され、インナーヨーク10の他端には2つの支持バネ30Bが配置されている。ここで、4つの支持バネ30A、30Bは同一構成であるので、1つの支持バネ30Aについて説明する。
支持バネ30Aは、平面形状が略C字状に形成され、支持バネ30Aの一端には締結材31が配置され、支持バネ30Aの他端には締結材32が配置される。
2つの支持バネ30Aを、互いに位相を180℃異ならせて、対照に配置し、2つの支持バネ30Aで囲まれる空間に内筒11が配置される。
本実施例のように、インナーヨーク10を挟み込むように、4つの支持バネ30A、30Bでインナーヨーク10とアウターヨーク20とを連接することで、リニアアクチュエータをコンパクトに構成でき、安定した動作を行わせることができる。
【0012】
図3は、図1の要部斜視図であり、インナーヨーク10と磁石12を示している。
また、図4は、本実施例によるインナーヨークを構成する磁性板の平面図である。
図3に示すように、インナーヨーク10の外周には、複数の円弧状の磁石12が配置され、このインナーヨーク10は、図4に示すように、複数の磁性板41を周方向に配列して構成している。
磁性板41は、配列した状態で磁石が配置されるヨーク本体部と、このヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、一方のヨーク突出部には第1のエンボス41Aを形成し、他方のヨーク突出部には第2のエンボス41Bを形成し、第1のエンボス41Aと第2のエンボス41Bとを非対称に設けている。図においては、第1のエンボス41Aは、2つのエンボスで構成し、第2のエンボス41Bは1つのエンボスで構成した場合を示している。
図4に示すように、磁性板41は、表面と表面、裏面と裏面が重なるように、交互に配列する。従って、隣り合う磁性板41は、第1のエンボス41Aと第2のエンボス41Bとが隣り合う状態となり、仮に第1のエンボス41Aと第2のエンボス41Bとが、凹部が形成されるようなエンボス加工であったとしても、凸部が凹部にはまりこむことを防止することができる。
【0013】
図5は、図1の要部斜視図であり、アウターヨーク20とコイル22を示している。
また、図6は、本実施例によるアウターヨークを構成する磁性板の平面図、図7は、本実施例によるアウターヨークの一部斜視図である。
図5に示すように、本実施例では、アウターヨーク20は、コイル22を挟み込むように第1のヨーク部20Aと第2のヨーク部20Bで構成している。
第1のヨーク部20Aと第2のヨーク部20Bを構成する磁性板60は、ヨークを構成した状態でコイル22が配置されるヨーク本体部と、ヨーク本体部の一端に設けたヨーク突出部とで構成し、ヨーク本体部にエンボス加工を施している。
第1のヨーク部20Aと第2のヨーク部20Bは、それぞれ図6に示すように、少なくとも2種類の磁性板60を用い、第1の磁性板61には第1のエンボス61Aを形成し、第2の磁性板62には第2のエンボス62Aを形成し、第1のエンボス61Aと第2のエンボス62Aとを異ならせている。図においては、第1のエンボス61Aは、3つのエンボスで構成し、第2のエンボス62Aは2つのエンボスで構成した場合を示している。
第1のヨーク部20Aと第2のヨーク部20Bとは、第1の磁性板61と第2の磁性板62とを交互に周方向に配列して構成している。隣り合う第1の磁性板61と第2の極性板62とは、第1のエンボス61Aと第2のエンボス62Aとが隣り合う状態となり、仮に第1のエンボス61Aと第2のエンボス62Aとが、凹部が形成されるようなエンボス加工であったとしても、凸部が凹部にはまりこむことを防止することができる。
図8は、本実施例によるインナーヨークとアウターヨークを示す要部斜視図である。
同図に示すように、インナーヨーク10とアウターヨーク20とは、同心円上に配置され、インナーヨーク10がアウターヨーク20に対して摺動移動する。
【0014】
図9は他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図である。なお、上記実施例と同一機能を有する部材には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施例では、内筒11の両端面には中心軸方向に突出させたボス部11bが形成され、締結材31はこのボス部11bに設けた孔で固定される。また、締結材32は、外筒21の両端面に設けた孔で固定される。
図10は図9の支持バネの平面図である。
インナーヨーク10の一端には3つの支持バネ30Aが配置され、インナーヨーク10の他端には3つの支持バネ30Bが配置されている。ここで、6つの支持バネ30A、30Bは同一構成である。
3つの支持バネ30Aを、互いに位相を120℃異ならせて、対照に配置し、3つの支持バネ30Aで囲まれる空間に内筒11が配置される。支持バネ30Aは、締結材31から締結材32までの円弧部が180度以上に形成されたものである。そして、このような支持バネ30Aを3枚用いて構成している。2つの支持ばねより、3つの支持ばねで構成することにより、支持剛性を向上させ、耐久性を高めることができる。さらに、支持ばねが一体構成になっていることで、ばね同士の位置決めをする必要がないので、組み付けが簡便になり、高精度に組み付けることができる。
本実施例のように、インナーヨーク10を挟み込むように、6つの支持バネ30A、30Bでインナーヨーク10とアウターヨーク20とを連接することで、リニアアクチュエータをコンパクトに構成でき、安定した動作を行わせることができる。
図11に示す支持バネ30Aは、図10に示す3枚の支持バネ30Aを、中心部において連結したものである。
【0015】
図12は他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図である。なお、上記実施例と同一機能を有する部材には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施例では、内筒11の両端面の中心に突出させたボス部11cが形成され、締結材31はこのボス部11cに設けた孔で固定される。また、締結材32は、外筒21の両端面に設けた孔で固定される。
図13は図12の支持バネの平面図である。
インナーヨーク10の一端には1つの支持バネ30Aが配置され、インナーヨーク10の他端には1つの支持バネ30Bが配置されている。ここで、支持バネ30A、30Bは同一構成である。
支持バネ30Aは、平面形状がS字状に構成され、両端でアウターヨークに固定し、中心部でインナーヨーク10に固定する。
本実施例のように、インナーヨーク10を挟み込むように、2つの支持バネ30A、30Bでインナーヨーク10とアウターヨーク20とを連接することで、リニアアクチュエータをコンパクトに構成でき、安定した動作を行わせることができる。なお、図11に示すように3つの支持バネを採用することによって、支持剛性を高めて構成し、信頼性を高めることができる。
図14は他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面概略図、図15は本実施例による外筒の構成を示す分解斜視図である。なお、上記実施例と同一機能を有する部材には、同一符号を付して説明を省略する。
外筒21は、アウターヨーク20の外周面を覆う円筒部と、アウターヨーク20の両端面を覆うフランジ部とから構成され、ボルト孔25にボルトを用いてアウターヨーク20を固定する。アウターヨーク20の両端面を覆うフランジ部には、アウターヨーク20を固定するボルト孔25とともに、締結材32を固定するためのボルト孔26を有する。外筒21は、2つの部材21A、21Bに分割され、これらの部材21A、21Bを付き合わせることで構成される。
【0016】
図16は他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面要部概略図、図17は本実施例による側断面要部概略図である。なお、上記実施例と同一機能を有する部材には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施例は、図14に示す外筒21の代わりに、一対の合わせフレーム21X、21Yを用いたものである。一対の合わせフレーム21X、21Yは、リング形状をしており、アウターヨーク20の両端面に配置している。一対の合わせフレーム21X、21Yには、アウターヨーク20を固定するボルト孔25Aとともに、締結材32を固定するためのボルト孔26を有する。
本実施例では、アウターヨーク20には、貫通孔25Bを設けており、ボルト孔25Aと貫通孔25Bとに締結部材(通しボルト)25Cを挿入することで、一対の合わせフレーム21X、21Yとアウターヨーク20を連結する。
本実施例によれば、図14に示す外筒21のようにアウターヨーク20の外周側に部材を設けないため、外筒21と比較して外形寸法を小さくすることができる。
【0017】
図18は他の実施例によるリニアアクチュエータの側断面要部概略図であり、図17に相当する。なお、上記実施例と同一機能を有する部材には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施例は、図17に示す貫通孔25Bの代わりに溝25Dを設けたものである。溝25Dは、アウターヨーク20の外周面に設けている。
本実施例によれば、図17に示す貫通孔25Bと比較して磁気回路に与える影響を少なくし、アクチュエータの効率低下を防止することができる。
【0018】
図19は、他の実施例によるインナーヨークとアウターヨークを示す要部斜視図である。
本実施例では、インナーヨーク10Xとして、磁性粉末を固めて一体成形したものを用い、一体成形したインナーヨーク10Xの外周面に図示しない磁石を配置する。また、アウターヨーク20Zとして、磁性粉末を固めて一体成形したものを用い、一体成形したアウターヨーク20Zにコイル22を配置する。
本実施の形態のように、磁性粉末を固めて一体成形したインナーヨーク10X及びアウターヨーク20Zを用いることができる。
同図に示すように、インナーヨーク10Xとアウターヨーク20Zとは、同心円上に配置され、インナーヨーク10Xがアウターヨーク20Zに対して摺動移動するが、アウターヨーク20Zがインナーヨーク10Xに対して摺動移動するものでもよい。
なお、アウターヨーク20Zは、コイル22を挟み込むように第1のヨーク部20Xと第2のヨーク部20Yで構成している。
【0019】
次に、本実施例のリニアアクチュエータのストローク範囲について説明する。
図20、及び図21は、本実施例のリニアアクチュエータの最大ストローク状態を示す要部断面構成図であり、図20はアウターヨークに対してインナーヨークが一方へ最大変位した状態、図21はアウターヨークに対してインナーヨークが他方へ最大変位した状態である。
インナーヨーク10の外周面の両端には、それぞれ円筒状の補助ヨーク10Aを備え、補助ヨーク10Aと磁石12との間には、空隙10Bが形成されている。この空隙10Bは、高磁気抵抗領域として機能し、磁石12からの磁束が補助ヨーク10Aに漏れるのを防止する。
一方、アウターヨーク20の内周面には、一対のティース部の間に空隙20Aが形成されている。
図に示すように、最大ストローク状態では、インナーヨーク10の補助ヨーク10Aの磁石12側の端面が、アウターヨーク20の端面から外方に位置せず、また磁石10の端面が、アウターヨーク20の空隙20Aを形成する端面から、空隙20A側に位置しないことが好ましい。
インナーヨーク10の補助ヨーク10Aの磁石12側の端面を、アウターヨーク20の端面から外方に位置させると、パワーは出るがインナーヨーク10がアウターヨーク20から外れてしまう。また、磁石10の端面を、アウターヨーク20の空隙20Aを形成する端面から、空隙20A側に位置させると、パワーは出るがインナーヨーク10がアウターヨーク20から外れてしまう。
一方、インナーヨーク10の補助ヨーク10Aの磁石12側の端面を、アウターヨーク20の端面より内側に位置させると、パワーは出ないがインナーヨーク10がアウターヨーク20から外れることがなく安定した動作を確保できる。また、磁石10の端面を、アウターヨーク20の空隙20Aを形成する端面から、ティース部側に位置させると、パワーは出ないがインナーヨーク10がアウターヨーク20から外れることがなく安定した動作を確保できる。
【0020】
以上のように本実施例によれば、インナーヨーク10とアウターヨーク20との位置調整をあらかじめ調整した後に組立を行うことができる。
本実施例によれば、インナーヨーク10の端面とアウターヨーク20の端面とを、板バネからなる支持バネ30で連接することで、インナーヨーク10とアウターヨーク20との位置調整を行いやすい。
また本実施例によれば、インナーヨーク10を挟むように一対の支持バネ30で支持することで、リニアアクチュエータをコンパクトに構成できる。
また本実施例によれば、支持バネ30の一端を、インナーヨーク10を固定する内筒11に連結し、支持バネ30の他端を、アウターヨーク20を固定する外筒21に連結するため、インナーヨーク10とアウターヨーク20との位置調整をあらかじめ調整した後にアクチュエータの組立を行うことができる。
また本実施例によれば、外筒21を分割された二つの部材で構成することで、インナーヨーク10とアウターヨーク20との組み立て誤差を少なくすることができる。
また本実施例によれば、支持バネ30を円弧部が180度以下の略C字状に形成することで、インナーヨーク10とアウターヨーク20との中心ずれを少なくすることができる。
また本実施例によれば、支持バネ30を円弧部が180度以上の略C字状に形成することで、インナーヨーク10とアウターヨーク20との相対移動量を大きくすることができる。
また本実施例によれば、インナーヨーク10を、複数の磁性板41を周方向に配列して構成し、磁性板41を、インナーヨーク10を構成した状態で磁石12が配置されるヨーク本体部と、ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、ヨーク突出部にエンボスを形成したことで、インナーヨーク10のヨーク突出部にエンボスを設けることで、外周側のギャップを確実に確保することができる。
また本実施例によれば、アウターヨーク20を、複数の磁性板60を周方向に配列して構成し、磁性板60を、アウターヨーク20を構成した状態でコイル22が配置されるヨーク本体部と、ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、ヨーク本体部にエンボスを形成したことで、アウターヨーク20のヨーク本体部にエンボスを設けることで、外周側のギャップを確実に確保することができる。
なお、上記実施例では、インナーヨーク10がアウターヨーク20に対して摺動移動する場合で説明したが、アウターヨーク20がインナーヨーク10に対して摺動移動する場合であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明のリニアアクチュエータは、発電機や電動機として利用することができる。
【符号の説明】
【0022】
10 インナーヨーク
11 内筒
12 磁石
20 アウターヨーク
21 外筒
22 コイル
30A、30B 支持バネ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒の外周面に沿って形成される円筒状のインナーヨークと、前記インナーヨークの外周部に所定のギャップを持って配置されるアウターヨークとを備えたリニアアクチュエータであって、
前記アウターヨークは、両端面に配置される合わせフレームと、前記合わせフレームに設けた穴と前記アウターヨークに設けた貫通孔とを連結する締結部材とを有し、
前記インナーヨークの端面と前記アウターヨークの端面とを連接する平面形状の板バネからなる支持バネを備え、前記支持バネの一端を、前記インナーヨークを固定する内筒に連結し、前記支持バネの他端を、前記合わせフレームに連結することを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項2】
内筒の外周面に沿って形成される円筒状のインナーヨークと、前記インナーヨークの外周部に所定のギャップを持って配置されるアウターヨークとを備えたリニアアクチュエータであって、
前記アウターヨークは、両端面に配置される合わせフレームと、前記合わせフレームに設けた穴と前記アウターヨークの外周面に設けた溝とを連結する締結部材とを有し、
前記インナーヨークの端面と前記アウターヨークの端面とを連接する平面形状の板バネからなる支持バネを備え、前記支持バネの一端を、前記インナーヨークを固定する内筒に連結し、前記支持バネの他端を、前記合わせフレームに連結することを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項3】
第1の前記支持バネによって前記内筒の一方の端面と前記合わせフレームの一方の端面とを連接し、第2の前記支持バネによって前記内筒の他方の端面と前記合わせフレームの他方の端面とを連接することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記支持バネを円弧部が180度以下の略C字状に形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項5】
前記支持バネを円弧部が180度以上の略C字状に形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項6】
前記インナーヨークを、複数の磁性板を周方向に配列して構成し、前記磁性板を、前記インナーヨークを構成した状態で磁石が配置されるヨーク本体部と、前記ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、前記ヨーク突出部にエンボスを形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項7】
前記アウターヨークを、複数の磁性板を周方向に配列して構成し、前記磁性板を、前記アウターヨークを構成した状態でコイルが配置されるヨーク本体部と、前記ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、前記ヨーク本体部にエンボスを形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項8】
前記インナーヨークを、磁性粉末を固めて一体成形し、一体成形した前記インナーヨークの外周面に磁石を配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項9】
前記アウターヨークを、磁性粉末を固めて一体成形し、一体成形した前記アウターヨークにコイルを配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項10】
前記インナーヨークの外周面の両端には、それぞれ円筒状の補助ヨークを備え、前記補助ヨークの間に空隙を持たせて円筒状のコイルを配置し、前記アウターヨークの内周面には、一対のティース部の間に空隙を形成し、最大ストローク状態では、前記補助ヨークの磁石側の端面が、前記アウターヨークの端面から外方に位置しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項11】
前記インナーヨークの外周面の両端には、それぞれ円筒状の補助ヨークを備え、前記補助ヨークの間に空隙を持たせて円筒状のコイルを配置し、前記アウターヨークの内周面には、一対のティース部の間に空隙を形成し、最大ストローク状態では、磁石の端面が、前記アウターヨークの前記空隙を形成する端面から、前記アウターヨークの前記空隙側に位置しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項1】
内筒の外周面に沿って形成される円筒状のインナーヨークと、前記インナーヨークの外周部に所定のギャップを持って配置されるアウターヨークとを備えたリニアアクチュエータであって、
前記アウターヨークは、両端面に配置される合わせフレームと、前記合わせフレームに設けた穴と前記アウターヨークに設けた貫通孔とを連結する締結部材とを有し、
前記インナーヨークの端面と前記アウターヨークの端面とを連接する平面形状の板バネからなる支持バネを備え、前記支持バネの一端を、前記インナーヨークを固定する内筒に連結し、前記支持バネの他端を、前記合わせフレームに連結することを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項2】
内筒の外周面に沿って形成される円筒状のインナーヨークと、前記インナーヨークの外周部に所定のギャップを持って配置されるアウターヨークとを備えたリニアアクチュエータであって、
前記アウターヨークは、両端面に配置される合わせフレームと、前記合わせフレームに設けた穴と前記アウターヨークの外周面に設けた溝とを連結する締結部材とを有し、
前記インナーヨークの端面と前記アウターヨークの端面とを連接する平面形状の板バネからなる支持バネを備え、前記支持バネの一端を、前記インナーヨークを固定する内筒に連結し、前記支持バネの他端を、前記合わせフレームに連結することを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項3】
第1の前記支持バネによって前記内筒の一方の端面と前記合わせフレームの一方の端面とを連接し、第2の前記支持バネによって前記内筒の他方の端面と前記合わせフレームの他方の端面とを連接することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記支持バネを円弧部が180度以下の略C字状に形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項5】
前記支持バネを円弧部が180度以上の略C字状に形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項6】
前記インナーヨークを、複数の磁性板を周方向に配列して構成し、前記磁性板を、前記インナーヨークを構成した状態で磁石が配置されるヨーク本体部と、前記ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、前記ヨーク突出部にエンボスを形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項7】
前記アウターヨークを、複数の磁性板を周方向に配列して構成し、前記磁性板を、前記アウターヨークを構成した状態でコイルが配置されるヨーク本体部と、前記ヨーク本体部の両端に設けたヨーク突出部とで構成し、前記ヨーク本体部にエンボスを形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項8】
前記インナーヨークを、磁性粉末を固めて一体成形し、一体成形した前記インナーヨークの外周面に磁石を配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項9】
前記アウターヨークを、磁性粉末を固めて一体成形し、一体成形した前記アウターヨークにコイルを配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項10】
前記インナーヨークの外周面の両端には、それぞれ円筒状の補助ヨークを備え、前記補助ヨークの間に空隙を持たせて円筒状のコイルを配置し、前記アウターヨークの内周面には、一対のティース部の間に空隙を形成し、最大ストローク状態では、前記補助ヨークの磁石側の端面が、前記アウターヨークの端面から外方に位置しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項11】
前記インナーヨークの外周面の両端には、それぞれ円筒状の補助ヨークを備え、前記補助ヨークの間に空隙を持たせて円筒状のコイルを配置し、前記アウターヨークの内周面には、一対のティース部の間に空隙を形成し、最大ストローク状態では、磁石の端面が、前記アウターヨークの前記空隙を形成する端面から、前記アウターヨークの前記空隙側に位置しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−78263(P2013−78263A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−18983(P2013−18983)
【出願日】平成25年2月1日(2013.2.1)
【分割の表示】特願2008−9849(P2008−9849)の分割
【原出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「国等の委託研究の成果に係る特許出願(エネルギー使用合理化技術戦略的開発、エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発、セラミックス製熱交換器と新形式リニア発電機を用いた次世代エンジンの開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)」
【出願人】(506065725)株式会社eスター (17)
【出願人】(503361400)独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 (453)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年2月1日(2013.2.1)
【分割の表示】特願2008−9849(P2008−9849)の分割
【原出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「国等の委託研究の成果に係る特許出願(エネルギー使用合理化技術戦略的開発、エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発、セラミックス製熱交換器と新形式リニア発電機を用いた次世代エンジンの開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)」
【出願人】(506065725)株式会社eスター (17)
【出願人】(503361400)独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 (453)
【Fターム(参考)】
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