説明

リニアモータ及び部品移載装置

【課題】いわゆる可動マグネット形リニアモータおよび該リニアモータを用いた部品移載装置においてコギング力を低減して可動部を安定して高精度に駆動する。
【解決手段】電機子3の歯部列の両端に磁性体からなるサブティース9a、9bが設けられている。また、可動子の永久磁石列は移動方向Zにおいて電機子(固定子)3の歯部列(ならびに該歯部列に巻回されたコイル3cの配列)よりも長くなっており、サブティース9a、9bに対向しながら移動方向Zに移動する。したがって、可動ベース4が移動方向Zに移動する間、いずれのサブティース9a、9bも永久磁石列と対向しており、サブティース9a、9bによるコギング力低減の効果が継続して得られ、可動ベース4を安定して移動方向Zに駆動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースプレートに対して可動ベースを直線的に移動させるリニアモータおよび該リニアモータを用いた部品移載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リニアモータは、複数の電機子巻線(コイル)が磁極鉄心に列設された1次側要素と、強磁性材料より形成されたヨークに複数の永久磁石が列設された2次側要素とを有しており、永久磁石が電機子巻線に対向しながら離間配置されている。そして、電機子巻線に印加する駆動電流を制御することによって磁極鉄心の磁界を移動させることによって、1次側要素(または2次側要素)が2次側要素(または1次側要素)に対して相対移動する。このようなリニアモータとしては、例えば特許文献1に記載されているように、複数の界磁用永久磁石を移動方向に列状に配置した可動子と、複数の電子機巻線を移動方向に列状に配置した固定子とをエアギャップを介して対向配置させた、いわゆる可動マグネット形リニアモータが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3818342号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のリニアモータの可動子は、複数の界磁用永久磁石を移動方向に配列してなる永久磁石列を有している。一方、固定子では、電子機巻線を巻回した分割コアが複数の移動方向に列状に連結され、移動方向の固定子長さは永久磁石列よりも長くなっている。そして、可動子および固定子で発生する磁束の相互作用により可動子を移動方向に駆動する。しかしながら、可動子が固定子の移動方向の端部周辺を移動する際に比較的大きなコギング力が発生して安定した駆動や高精度な位置決めが困難となっていた。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、いわゆる可動マグネット形リニアモータにおいてコギング力を低減して可動部を安定して高精度に駆動することを第1の目的とする。
【0006】
また、この発明は上記リニアモータを用いた部品移載装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかるリニアモータは、上記第1の目的を達成するため、ベースプレートと、所定の移動方向に移動自在に設けられた可動部と、基部から延びる複数の歯部が列状に配置されて歯部列を構成しているコアと、各歯部に巻回された複数の電機子巻線とを有し、歯部列を移動方向と平行に配置した状態でベースプレートのベース面上に固定された固定子と、可動部に対して複数の永久磁石が移動方向に歯部列よりも長く配置された永久磁石列を有し、移動方向と直交する幅方向に永久磁石列を複数の電機子巻線から離間して対向配置した可動子と、移動方向の歯部列の両端部のうち少なくとも一方に配置されたサブティースとを備え、可動部が移動方向に移動する間、サブティースが永久磁石列と対向していることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明では、歯部列を構成する各歯部に電機子巻線を巻回したものが固定子としてベースプレートのベース面上に固定される一方、複数の永久磁石を列状に配置したものが可動子として可動部に設けられており、いわゆる可動マグネット方式で可動部が移動方向に駆動される。この可動子の永久磁石列は移動方向において固定子の歯部列(ならびに該歯部列に巻回された電機子巻線の配列)よりも長くなっており、移動方向の歯部列の両端部のうち少なくとも一方に配置されているサブティースに対向しながら移動方向に移動する。したがって、可動部を駆動している間、サブティースによるコギング力低減の効果が継続して得られ、可動部を安定して移動方向に駆動するとともに、可動部を高精度に位置決めすることができる。
【0009】
また、この発明にかかる部品移載装置は、部品収容部から部品搭載領域に部品を移載する部品移載装置であって、上記第2の目的を達成するため、ベース部材と、ベース部材に対して上下方向に移動自在に支持され、先端部に吸着ノズルが取り付けられるとともに、後端部に接続された負圧配管を介して供給される負圧を吸着ノズルに与えるノズルシャフトと、ノズルシャフトを上下方向に駆動する上下駆動機構とを有する、ヘッドユニットと、部品収容部の上方位置と部品搭載領域の上方位置との間でヘッドユニットを移動させるヘッド駆動手段とを備え、上下駆動機構が請求項1ないし10のいずれかに記載のリニアモータであり、リニアモータは、移動方向が上下方向と平行となるように、ベース部材に取り付けられ、リニアモータの可動部がノズルシャフトに連結されていることを特徴としている。
【0010】
このように構成された部品移載装置では、上記リニアモータの可動部がノズルシャフトに連結されて可動部を駆動することでノズルシャフトが上下方向に駆動される。したがって、ノズルシャフトの先端部に取り付けられた吸着ノズルによる部品移載を安定して、しかも高精度に行うことができ、装置の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、ベースプレートに対して可動部を直線的に移動させるリニアモータおよび該リニアモータを用いた部品移載装置に関するものであり、以下においては、本発明にかかるリニアモータと、同リニアモータを用いた部品移載装置の一実施形態である表面実装機に分けて詳述する。
【0012】
<リニアモータ>
図1は本発明にかかるリニアモータの一実施形態を示す斜視図である。また、図2は図1のリニアモータのA−A線断面図である。さらに、図3は図1のリニアモータの分解組立斜視図である。なお、これらの図面及び後で説明する図面では、各図の方向関係を明確にするために、XYZ直角座標軸が示されている。これら3つの方向X、Y、ZのうちZ方向が本発明の「移動方向」に相当し、Y方向が本発明の「幅方向」に相当し、X方向が「移動方向」および「幅方向」の両方向に直交する「厚み方向」に相当している。
【0013】
このリニアモータLMは所定の移動方向Zに伸びる薄型トレイー状のベースプレート1を有している。このベースプレート1では、図3に示すように、その内底面がベース面1aとなっており、ベースプレート1の(+Y)方向側端部、(−Y)方向側端部および(+Z)方向側端部に立壁1b〜1dが厚み方向(+X)にそれぞれ立設され、これらの立壁1b〜1dとベース面1aにより上方向(+X)に開口する凹部1eが形成されている。そして、当該凹部1eにリニアモータLMの構成部品が後述するように収容される。なお、この実施形態では、アルミニウム合金等によりベース面1aと立壁1b〜1dを一体的に成形して非磁性のベースプレート1を構成しているが、ベース面1aと立壁1b〜1dを個別に形成した上、これらの構成要素を組み付けてベースプレート1を構成してもよい。このようにベースプレート1を非磁性体材料で構成しているが、ベースプレート1を樹脂材料で構成してもよいことは言うまでもない。なお、図1および図2中の符号1hはリターンスプリングを取り付けるためのスプリング係合部である。
【0014】
このベース面1a上には、1本のリニアガイド2がZ方向に延設されている。すなわち、ベースプレート1に対して移動方向Zに延びる直線状のレール2aが固定されるとともに該レール2aに沿って2つのスライダ2b1、2b2が移動方向Zにスライド自在に(Y方向及びX方向に規制されて)取り付けられている。また、レール2aからのスライダ2b1、2b2の抜け落ちを防止するために、2つのリニアガイドストッパ2c1、2c2がベースプレート1のベース面1aに取り付け可能となっている。
【0015】
また、これらのスライダ2b1、2b2に対して逆凹状またはH字状の断面を有する可動ベース4が取り付けられ、Z方向に移動自在となっている。より詳しくは、可動ベース4はXY断面にて逆凹形状を有する内部空間を有しており、この内部空間の天井面がスライダ2b1、2b2の上面上に位置した状態で、可動ベース4がスライダ2b1、2b2に固定されている。また、可動ベース4の軽量化を図るために、本実施形態では、複数個の貫通孔4aが可動ベース4の天井面に形成されている。このように本実施形態では、可動ベース4およびスライダ2b1、2b2が一体的に移動方向Zに移動自在となっており、本発明の「可動部」に相当している。そして、次に説明するように可動ベース4の(−Y)側端部側面に可動子が取り付けられる一方、(+Y)側端部側面にリニアスケール7bが取り付けられている。
【0016】
図4は可動部材と可動子の取付構造を示す斜視図であり、また図5は可動部材と可動子の取付構造を示す図である。これらの図に示すように、可動ベース4の(−Y)側端部側面に強磁性材料より形成されたヨーク5が取り付けられ、さらに当該ヨーク5の表面には、N極側が該表面に対向する永久磁石6と、S極側が該表面に対向する永久磁石とが、交互にZ方向に沿って複数(この実施形態では14個)配列されて取り付けられており、これら永久磁石6とヨーク5によりリニアモータLMの可動子が構成されている。また、この実施形態では、永久磁石6は樹脂層10によりモールドされて表面保護されており、永久磁石6の破損などを効果的に防止することができる。さらに、可動ベース4の(−Y)側端部側面では、可動子(ヨーク5+永久磁石6)の(−Z)側に雌ネジ部4bが2箇所形成されている。これらの雌ネジ部4bは可動ベース4の(−Y)側端部に被駆動物を直接または連結部を介して取り付けるためのものである。例えば後で説明する表面実装機では、雌ネジ部4bを用いて可動ベース4に連結部を連結し、さらに当該連結部にノズルシャフトを被駆動物として接続している。つまり、雌ネジ部4bを用いて可動ベース4の端部に連結される、連結部を介して被駆動物を可動ベース4に取付可能となっている。なお、それについては後の「表面実装機」の項で詳述する。
【0017】
このように構成された可動子(永久磁石6+ヨーク5)の幅方向(−Y)側に本発明の「固定子」に相当する電機子3が配置され、ベースプレート1のベース面1aに固定されている。この電機子3は、コア3aと、複数の中空形状のボビン3bと、各ボビン3bの外周部に電線を巻きつけてなるコイル(電機子巻線)3cとで構成されている。このコア3aはZ方向に延びる矩形プレート部から一定間隔で(+Y)方向に設けられた歯部を有する櫛型形状の珪素鋼板を複数枚X方向に積層したものである。このように構成されたコア3aでは、複数の歯部がZ方向に一定間隔で並設されて歯部列を形成している。そして、各歯部に対し、予めコイル3cが巻き付けられたボビン3bが装着されている。こうして、複数(この実施形態では9個)のコア3aの歯部とこの歯部の周りに巻かれたコイル3cがZ方向に同一間隔で設けられて電機子3を構成しており、可動子(永久磁石6+ヨーク5)に対向配置されている。なお、本実施形態では、図2(b)に示すようにコイル3cが巻かれたコア3aの歯部の先端面8と、その先端面8の対向面となる可動子の永久磁石6の対向面8’との共通の法線8aが移動方向Zおよび幅方向Yを含むYZ平面に対して平行となるように、電機子3は構成されている。そして、図示を省略するモータコントローラから各コイル3cに所定の順番で通電が行われると、上記のように先端面8の磁極と対向面8′の磁極の相互作用により可動子(永久磁石6+ヨーク5)にZ方向の推力が生じて可動ベース4をZ方向に駆動する。
【0018】
この実施形態では、コア3aの矩形プレート部が本発明の「基部」に相当しており、矩形プレート部から延びる複数の歯部の各々にコイル(電機子巻線)3cを巻回した電機子3が固定子としてベースプレート1のベース面1a上に固定されている。一方、複数の永久磁石6を移動方向Zに列状に配置した永久磁石列を有する可動子が可動ベース4に設けられている。こうして、いわゆる可動マグネット方式で可動ベース4が移動方向Zに駆動される。なお、可動ベース4の移動範囲が後述する2つの移動規制ストッパ12a、12bにより規制されており、移動規制ストッパ12aに対応する位置(移動方向の一方端側(+Z):図6(a))と、移動規制ストッパ12bに対応する位置(移動方向の他方端側(−Z):図6(b))との間を可動ベース4は移動可能となっている。
【0019】
また、本実施形態では、可動子に永久磁石を用い、固定子に磁性体で構成されるコア3aを用いているため、コア3aの歯部と可動子の永久磁石との間にコギング力が発生する。「コギング力の発生」とは、従来周知のようにコア3aの歯部位置により永久磁石6の磁束密度が変化し、これによって磁気エネルギーが変化するため、電機子3に作用する電磁気力の脈動が生じる現象である。そこで、コギング力を低減するために、電機子3の歯部列の両端に磁性体からなるサブティース9a、9bが設けられている。すなわち、歯部列の(+Z)側において歯列ピッチと一致あるいは異なる所望の位置にサブティース9aが、また(−Z)側において同歯列ピッチと一致あるいは異なる所望の位置にサブティース9bが、永久磁石6からの離間距離がそれぞれ所望の距離となるように、それぞれベースプレート1のベース面1aに対して着脱自在に設けられている。
【0020】
このサブティース9aは、図3および図6に示すように、コア3aと別体形成されており、幅方向Yのサブティース9aの反永久磁石側端面9a1がコア3aの矩形プレート部(基部)に接触あるいは近接する位置に配置される。より具体的には、ベースプレート1のベース面1aの法線方向(+X)側からベース面1aに向けてサブティース9aをアプローチさせてベース面1aに載置する。こうしてベース面1a上にサブティース9aを配置しながら同じ方向、つまり法線方向(+X)側からサブティース9aにネジなどの締結部材9cを作用させてサブティース9aをベースプレートに固定する。一方、サブティース9aの交換や位置調整などを行う際には、法線方向(+X)側から締結部材9cにアクセスしてサブティース9aの固定を解除することができる。さらに、固定解除後にサブティース9aを法線方向(+Z)にベース面1aから取り外すことも可能である。このように、本実施形態では、法線方向(+X)側からサブティース9aの配置、固定および取外作業を実行可能となっているため、サブティース9aの着脱作業が容易であり、作業性に優れている。
【0021】
また、コア3aと別体形成してベースプレート1に対して着脱自在としたことによって、次の作用効果が得られる。サブティース9aはコギング力の低減効果と密接に関連しており、サブティース9aの形状、大きさ、材質などを変更したり、サブティース9aの配置位置を調整することにより、コギング力の低減効果を調整することができる。すなわち、その調整作業を行う際には、サブティース9aの固定解除、配置変更、取外、再装着などの作業が必要であるが、上記したように構成されたリニアモータLMでは、いずれも作業も法線方向(+Z)側から行うことができ、簡単にしかも高精度に調整作業を行うことができる。なお、(−Z)側のサブティース9bも(+Z)側のサブティース9aと全く同様である。
【0022】
ところで、上記のように構成したリニアモータLMでは、コア3aに繋がるプレート部位がサブティース9a、9bの近傍まで延ており、電機子のコアとサブティースとが磁気的結合を生じ、磁束密度分布の偏在を生じてしまう。このため、サブティース9a、9bを所定の位置に配置しただけでは、安定したコギング力低減機能を発揮できない場合がある。特に、加速・減速時等において、あるいは作動条件(加速後の一定移動速度)そのものが変化する場合においては、コイル3cに流れる電流量が想定値より変化し、サブティース9a、9bにおける永久磁石との対向面の磁極あるいはその強さが所望のものとはならず、サブティース9a、9bによるコギング力低減の効果が必ずしも得られない場合がある。そこで、本実施形態では、サブティース9a、9bによるコギング力の低減効果を補うために、サブティース9a、9bとベースプレート1の間に磁性体プレート11が設けられている。より詳しくは、次のように構成されている。
【0023】
図7はサブティースと磁性体プレートの配置関係を示す平面図である。同図においては、サブティース9a、9bに対する磁性体プレート11の相対位置と、磁性体プレート11の平面形状を明確にするため、磁性体プレート11にハッチングを付している。ベースプレート1のベース面1aには、磁性体プレート11の平面形状とほぼ同一形状のプレート嵌合部1gが(−X)方向に形成されている(図2(a)参照)。そして、当該プレート嵌合部1gに磁性体プレート11が嵌合されて磁性体プレート11の表面がベース面1aと面一状態となっている。この磁性体プレート11の配設によって、Y−Z面上においてコア3a,サブティース9a、永久磁石6、ヨーク5、隣の永久磁石6、そして隣の歯部を通ってコア3aに到る磁束だけでなく、サブティース9a、永久磁石6、ヨーク5、磁性体プレート11を通じてサブティース9aに到るX−Y面上の磁束が発生し、コギング力の効果的な低減を図っている。
【0024】
上記のように可動子(永久磁石6+ヨーク5)と電機子3で発生する磁束の相互作用により可動ベース4が移動方向Zに駆動されるが、可動ベース4が所定の移動範囲を超えてしまうのを防止するために、ベースプレート1のベース面1aに2つの移動規制ストッパ12a、12bが取付可能となっている。
【0025】
また、可動ベース4の位置を正確に検出するため、可動ベース4の反電機子側、つまり(+Y)側にセンサ7aとリニアスケール7bを有する検出ユニット7が設けられている。このリニアスケール7bは可動ベース4の(+Y)側端部側面に対してZ方向に延設されている。また、リニアスケール7bの(−Y)側でセンサ7aがベースプレート1に固定配置されている。このため、可動ベース4のZ方向移動に応じてリニアスケール7bのうちセンサ7aと対向する領域が変位し、その変位に基づき移動方向Zにおける可動ベース4の位置を正確に検出することが可能となっている。
【0026】
このセンサ7aはセンサ制御ユニット7cと一体的に構成されており、この構造体(センサ7a+センサ制御ユニット7c)は図3に示すように立壁1bに形成された切欠部1fを介して凹部1eに対して挿脱自在となっている。すなわち、構造体は切欠部1fを介してベースプレート1内に挿入され、図2に示すように幅方向Yにおいてセンサ7aがリニアスケール7bに対向して配置されるとともにセンサ制御ユニット7cがセンサ7aの反リニアスケール側、つまり(+Y)側に配置された状態で、ベースプレート1に固定される。特に、この実施形態では、図2(c)に示すように、リニアスケール7bの表面7eと、当該表面7eと対向するセンサ7aのセンシング面7e′との共通の法線7fが移動方向Zおよび幅方向Yを含むYZ平面に対して平行となるように、センサ7aおよびリニアスケール7bの取付位置が設定されている。なお、センサ制御ユニット7cに埃やゴミなどの異物が進入を防止するため、上記構造体を取り付けた後にセンサカバー7dがセンサ制御ユニット7cを覆うようにベースプレート1の立壁1bに取り付けられている。
【0027】
なお、この実施形態では、可動ベース4にリニアスケール7bを取り付ける一方、ベースプレート1にセンサ7aを配置しているが、センサ7aとリニアスケール7bを逆転配置してもよい。また、検出ユニット7の構成要素(センサ7a、リニアスケール7b)の一方を可動ベース4に取り付ける代わりに、スライダ2b1、2b2に取り付けるように構成してもよい。また、検出ユニット7の検出方式としては、磁気を用いた磁気方式であっても、光学方式であってもよい。
【0028】
以上のように、この実施形態にかかるリニアモータLMでは、いわゆる可動マグネット方式で可動ベース4が所定の移動範囲内で移動方向Zに駆動される。この移動範囲は2つの移動規制ストッパ12a、12bにより規制されている。つまり、当該移動範囲における移動方向の一方端側(+Z)では、図6(a)に示すように、永久磁石列中の最も(−Z)側に位置する永久磁石6aが(−Z)側サブティース9bに対向するとともに、永久磁石6aの(+Z)側に配置された永久磁石のひとつが(+Z)側サブティース9aに対向する。なお、ここでの「永久磁石6aとサブティース9bの対向」とは、幅方向Yから見て永久磁石6aとサブティース9bが完全に又は部分的に重なっていることを意味しており、仮想XZ平面に対して永久磁石6aとサブティース9bを投影した場合に仮想XZ平面に形成される各投影像が完全に又は部分的に重なるように永久磁石6aとサブティース9bが位置している(なお、この点に関しては次に説明する「永久磁石6bとサブティース9aの対向」についても同様である)。逆に、当該移動範囲における移動方向の他方端側(−Z)では、図6(b)に示すように、永久磁石列中の最も(+Z)側に位置する永久磁石6bが(+Z)側サブティース9aに対向するとともに、永久磁石6bの(−Z)側に配置された永久磁石のひとつが(−Z)側サブティース9bに対向する。このように、可動ベース4が移動方向Zに移動する間、いずれのサブティース9a、9bも永久磁石列と対向しており、サブティース9a、9bによるコギング力低減の効果が継続して得られ、可動ベース4を安定して移動方向Zに高精度に駆動することができる。
【0029】
また、上記したようにサブティース9a、9bを交換したり、サブティース9a、9bの位置を調整することができるように構成しているので、リニアモータ毎、および移動方向の一方端側/他方端側毎にコギング力の低減効果を調整することができ、可動ベース4の駆動をより高精度に安定して行うことができる。
【0030】
また、可動ベース4への可動子の取付位置については特に限定されるものではないが、上記実施形態のように可動ベース4への可動子の取付位置を幅方向Yの可動ベース4の(−Y)側端部側面に設定することで可動ベース4の上面や下面に可動子を取り付ける場合よりもリニアモータLMの薄型化を図ることができる。
【0031】
また、上記実施形態では、可動ベース4の(−Y)側に可動子および電機子(固定子)3を配置して可動ベース4を駆動する一方、(+Y)側に検出ユニット7を配置して可動ベース4の位置を検出しているため、リニアモータLMを幅方向Yにダウンサイズすることができ、リニアモータLMをコンパクト化することができる。
【0032】
なお、本発明にかかるリニアモータは上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、電機子3の歯部列の両端にサブティース9a、9bが設けているが、いずれか一方にサブティースを設けた場合にも、当該サブティースによるコギング力の低減効果が得られる。
【0033】
また、上記実施形態では、サブティース9a、9bはコア3aと別体形成されているが、コア3aと一体形成してもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、可動ベース4の(−Z)側端部の側面に雌ネジ部4bを設けて被駆動物を連結可能に構成しているが、可動ベース4の上面にネジ部を設け、ネジ部を用いて直接被駆動物を可動ベース4に取付可能に構成してもよい。また、ネジ部を用いて可動ベース4にテーブルを固定し、当該テーブルを介して被駆動物を可動ベース4に取付可能に構成してもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、可動ベース4の(−Y)側にのみ可動子および電機子(固定子)3を配置して可動ベース4を駆動しているが、可動ベース4の(+Y)側にも可動子および電機子(固定子)3を配置してもよい。このように構成することで可動ベース4を駆動するための推進力をさらに高めることができる。この場合、可動ベース4の(+Y)側についても、上記実施形態と同様に、可動子の永久磁石列を移動方向Zにおいて電機子の歯部列(ならびに該歯部列に巻回されたコイル3cの配列)よりも長く設定し、移動方向Zの歯部列の両端部のうち少なくとも一方に配置されているサブティースに対向しながら移動方向Zに移動するように構成するのが望ましい。
【0036】
また、上記実施形態ではスライダ2b1,2b2に固定された可動ベース4の幅方向Yの端部側面にヨーク5を取り付け、さらに当該ヨーク5に永久磁石6を取り付けているが、可動ベース4を強磁性材料で形成し、当該可動ベース4の幅方向Yの端部側面に直接永久磁石6をZ方向に延設し、磁気回路を形成してもよい。また、上記実施形態ではスライダ2b1,2b2の幅方向Yの端部側面にヨーク5を取り付け、さらに当該ヨーク5に永久磁石6を取り付けてもよい。この場合、スライダ2b1、2b2は本発明の「可動部」に相当する。さらに、スライダを強磁性材料で構成するとともに、スライダの幅方向Yの端部側面に直接永久磁石6をZ方向に延設して磁気回路を形成してもよい。
【0037】
また、本発明の適用対象は、図2(b)に示すように法線8aが移動方向Zおよび幅方向Yを含むYZ平面に対して平行となるように可動子および電機子(固定子)3が配置されたリニアモータに限定されるものではなく、いわゆる可動マグネット形リニアモータ全般に対して本発明を適用可能である。
【0038】
また、上記実施形態のいずれも、いわゆる単軸リニアモータであるが、図8に示すように2つの単軸リニアモータLM1、LM2を組み合わせて多軸リニアモータMLMを構成してもよい。
【0039】
図8は本発明にかかるリニアモータの他の実施形態を示す斜視図である。この実施形態では、同一構成の単軸リニアモータを2個準備し、その一方のリニアモータLM1の立壁1b〜1dの(+X)側端面がもう一方のリニアモータLM2のベースプレート1の裏面に当接してリニアモータLM1、LM2がX方向に積層配置されて多軸リニアモータMLMが形成されている。また、各リニアモータLM1、LM2のベースプレート1には、3個の貫通孔1p〜1rが形成されている。そして、リニアモータLM1、LM2の貫通孔1pを貫くようにボルト13pが挿通されるとともに、ボルト13pの先端部に対してナット14pが螺合される。また、他の貫通孔1q、1rについても、貫通孔1pと同様に、ボルト13q、13rが挿通されるとともにナットが螺合される。また、各単軸リニアモータLM1、LM2に各々2個づつ取り付けられる位置決めピン20が貫通穴21(図3参照)の(−X)側端部に嵌合して位置決めを果たす。このように3箇所でリニアモータLM1、LM2が相互に締結固定されて一体化されて2軸のリニアモータMLMが形成される。
【0040】
このように構成された2軸のリニアモータMLMでは、図1に示す薄型のリニアモータLM1、LM2をX方向に積層配置したものであるため、2軸のX方向ピッチを狭く設定することができる。また、各リニアモータLM1、LM2では、可動子や電機子(固定子)などの全構成部品の厚み(X方向の長さ)はベースプレート1の立壁1b〜1dのそれ以下となっており、しかもリニアモータの主要構成(可動部、電機子3および可動子)はベース面1aと立壁1b〜1dで囲まれた凹部1eに収容されている。このため、2軸の相対位置を高精度に保ちながらモータ組立を容易に行うことができる。
【0041】
なお、組み合わせる単軸リニアモータの数は「2」に限定されるものではなく、3以上の単軸リニアモータを組み合わせて多軸リニアモータMLMを構成することができる。例えば、次に説明する表面実装機では、10本の吸着ノズルを用いて部品を移載するために各吸着ノズルを上下方向に駆動する上下駆動機構を装備するが、10個の単軸リニアモータLM1〜LM10を組み合わせた多軸リニアモータMLMを当該上下駆動機構として用いることができる。
【0042】
<表面実装機>
図9は本発明にかかる部品移載装置の一実施形態である表面実装機の概略構成を示す平面図である。また、図10はヘッドユニットの正面図および側面図である。さらに、図11は図9に示す表面実装機の電気的構成を示すブロック図である。なお、これらの図面及び後で説明する図面では、上記したリニアモータの移動方向Z、幅方向Yおよび厚み方向Xに対応した三次元の座標系を採用している。
【0043】
この表面実装機MTでは、基台111上に基板搬送機構102が配置されており、基板103を所定の搬送方向Xに搬送可能となっている。より詳しくは、基板搬送機構102は、基台111上において基板103を図9の右側から左側へ搬送する一対のコンベア121、121を有している。これらのコンベア121、121は表面実装機MT全体を制御する制御ユニット104の駆動制御部141により制御される。すなわち、コンベア121,121は駆動制御部141からの駆動指令に応じて作動し、搬入されてきた基板103を所定の実装作業位置(同図に示す基板103の位置)で停止させる。そして、このように搬送されてきた基板103は図略の保持装置により固定保持される。この基板103に対して部品収容部105から供給される電子部品(図示省略)がヘッドユニット106に搭載された吸着ノズル161により移載される。また、基板103に実装すべき部品の全部について実装処理が完了すると、基板搬送機構102は駆動制御部141からの駆動指令に応じて基板103を搬出する。
【0044】
基板搬送機構102の両側には、上記した部品収容部105が配置されている。これらの部品収容部105は多数のテープフィーダ151を備えている。また、各テープフィーダ151には、電子部品を収納・保持したテープを巻回したリール(図示省略)が配置されており、電子部品を供給可能となっている。すなわち、各テープには、集積回路(IC)、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等の小片状のチップ電子部品が所定間隔おきに収納、保持されている。そして、テープフィーダ151がリールからテープをヘッドユニット106側に送り出すことによって該テープ内の電子部品が間欠的に繰り出され、その結果、ヘッドユニット106の吸着ノズル161による電子部品のピックアップが可能となる。
【0045】
また、この実施形態では、基板搬送機構102の他に、ヘッド駆動機構107が設けられている。このヘッド駆動機構107はヘッドユニット106を基台111の所定範囲にわたりX方向及びY軸方向(X軸及びZ方向と直交する方向)に移動するための機構である。そして、ヘッドユニット106の移動により吸着ノズル161で吸着された電子部品が部品収容部105の上方位置から基板103の上方位置に搬送される。すなわち、ヘッド駆動機構107は、X方向に延びる実装用ヘッド支持部材171を有しており、この実装用ヘッド支持部材171はヘッドユニット106をX軸に沿って移動可能に支持している。また、実装用ヘッド支持部材171は、両端部がY軸方向の固定レール172に支持され、この固定レール172に沿ってY軸方向に移動可能になっている。さらに、ヘッド駆動機構107は、ヘッドユニット106をX方向に駆動する駆動源たるX軸サーボモータ173と、ヘッドユニット106をY軸方向に駆動する駆動源たるY軸サーボモータ174とを有している。モータ173はボールねじ175に連結されており、駆動制御部141からの動作指令に応じてモータ173が作動することでヘッドユニット106がボールねじ175を介してX方向に駆動される。一方、モータ174はボールねじ176に連結されており、駆動制御部141からの動作指令に応じてモータ174が作動することで実装用ヘッド支持部材171がボールねじ176を介してY軸方向へ駆動される。
【0046】
ヘッド駆動機構107によりヘッドユニット106は電子部品を吸着ノズル161により吸着保持したまま基板103に搬送するとともに、所定位置に移載する(部品移載動作)。より詳しく説明すると、ヘッドユニット106は次のように構成されている。このヘッドユニット106では、鉛直方向Zに延設された実装用ヘッドが10本、X方向(基板搬送機構102による基板103の搬送方向)に等間隔で列状配置されている。実装用ヘッドのそれぞれの先端部には、吸着ノズル161が装着されている。すなわち、図10に示すように、各実装用ヘッドはZ方向に伸びるノズルシャフト163を備えている。ノズルシャフト163の軸心部には、上方(Z方向)に延びる空気通路が形成されている。そして、ノズルシャフト163の下方端部には、吸着ノズル161が接続されて空気通路と連通している。一方、上方端部は開口しており、連結部164、接続部材165、空気パイプ166および真空切替バルブ機構167を介して真空吸引源および正圧源に接続される。
【0047】
また、ヘッドユニット106では、ノズルシャフト163を上下方向Zに昇降させる上下駆動機構168が設けられており、駆動制御部141のモータコントローラ142により上下駆動機構168を駆動制御してノズルシャフト163を上下方向Zに昇降させ、これによって吸着ノズル161を上下方向Zに移動し、位置決めする。この実施形態では、10個の単軸リニアモータLM1〜LM10を組み合わせた多軸リニアモータMLMを上下駆動機構168として用いている。なお、この構成の詳細については、後で詳述する。
【0048】
また、吸着ノズル161をR方向に回転させるR軸サーボモータ169が設けられており、制御ユニット104の駆動制御部141からの動作指令に基づきR軸サーボモータ169が作動して吸着ノズル161をR方向に回転させる。したがって、上記のようにヘッド駆動機構107によってヘッドユニット106が部品収容部105に移動されるとともに、上下駆動機構168およびR軸サーボモータ169を駆動することによって、部品収容部105から供給される電子部品に対して吸着ノズル161の先端部が適正な姿勢で当接する。
【0049】
図12は上下駆動機構の構成を示す図である。この実施形態において上下駆動機構168として用いられている多軸リニアモータMLMは図12に示すように10個の単軸リニアモータLM1〜LM10と2枚のサイドプレートSPa、SPbとで構成されている。これらの単軸リニアモータLM1〜LM10はX方向に積層配置されている。また、リニアモータLM1の(−X)側にサイドプレートSPaが配置される一方、リニアモータLM10の(+X)側にサイドプレートSPbが配置されており、これら2枚のサイドプレートSPa、SPbにより単軸リニアモータLM1〜LM10を挟み込んでいる。これらサイドプレートSPa、SPbおよび単軸リニアモータLM1〜LM10のいずれにも予め設定された位置に3つの締結用の貫通孔が形成されており、これらの締結用貫通孔に貫くようにボルト13p〜13qが挿通されるとともに、ナットによって締結されてサイドプレートSPa、単軸リニアモータLM1〜LM10およびサイドプレートSPbが一体化されて多軸リニアモータMLMが形成されている。この多軸リニアモータMLMは図10に示すようにヘッドユニット106のベースプレート160に取り付けられる。なお、サイドプレートSPbは、端部のリニアモータLM10の凹部1e(図3参照)を覆うカバーとしても機能する。
【0050】
また、各リニアモータLM1〜LM10の可動ベース4には、連結部164を介してノズルシャフト163が連結されている。各連結部164は図10に示すようにL字状のブロック部材164aとシャフトホルダ164bを備えている。各ブロック部材164aでは、(+Z)方向に延びる端部により、ネジで可動ベース4に螺合されている。これによって、各リニアモータLM1〜LM10でブロック部材164aが可動ベース4の下端部、つまり(−Z)側端部に連結される。また、各ブロック部材164aの(−Y)方向に延びる端部の下面にシャフトホルダ164bが取り付けられ、シャフトホルダ164bの下面側、つまり(−Z)方向側でノズルシャフト163を保持可能となっている。また、シャフトホルダ164bの(−Y)側端部側面には接続部材165が取り付けられている。この接続部材165には空気パイプ166の一方端が接続されており、当該空気パイプ166を介して真空切替バルブ機構167から送られてくる空気をシャフトホルダ164bに送り込んだり、逆にシャフトホルダ164bから空気を空気パイプ166を介して真空切替バルブ機構167に吸引可能としている。このように空気パイプ166−シャフトホルダ164b内の空気経路(図示省略)−ノズルシャフト163という経路で真空切替バルブ機構167と吸着ノズル161が接続されており、各吸着ノズル161に正圧を供給したり、逆に各吸着ノズル161に負圧を供給可能となっている。
【0051】
なお、この実施形態では、多軸リニアモータMLMは上下駆動機構168として用いられており、各可動ベース4の移動方向は上下方向Zと平行となっている。このため、各可動ベース4には垂直荷重が常時付与されている。そこで、各リニアモータLM1〜LM10では、リターンスプリング15の上端部をベースプレート1のスプリング係合部1hに係合させるとともに、その下端部をブロック部材164aの(−Y)側端部に設けられたスプリング係合部164cに係合させ、このリターンスプリング15により可動ベース4を上方側、つまり(+Z)方向側に付勢している。これによって、各リニアモータLM1〜LM10のコイル3cへの電流供給を停止している間に、可動ベース4はベースプレート1内に収納される。これにより各吸着ノズル161は上方に位置することになり、上下駆動機構168が電流停止により機能しない状態で、例えばX軸サーボモータ173やY軸サーボモータ174が作動したとしても、各吸着ノズル161、あるいは吸着されている電子部品が基板103やコンベア121等と干渉事故を起こすことがない。
【0052】
このように構成された表面実装機では、制御ユニット104のメモリ(図示省略)に予め記憶されたプログラムにしたがって制御ユニット104の主制御部143が装置各部を制御してヘッドユニット106を部品収容部105の上方位置と基板103の上方位置の間を往復移動させる。また、ヘッドユニット106は部品収容部105の上方位置に停止した状態で上下駆動機構168およびR軸サーボモータ169を駆動制御して部品収容部105から供給される電子部品に対して吸着ノズル161の先端部を適正な姿勢で当接させるとともに、負圧吸着力を吸着ノズル161に与えることで、該吸着ノズル161による部品保持を行う。そして、部品を吸着保持したままヘッドユニット106は基板103の上方位置に移動した後、所定位置に移載する。このように部品収容部105から基板103の部品搭載領域に部品を移載する、部品移載動作が繰り返して行われる。
【0053】
以上のように、この実施形態にかかる表面実装機では、図1に示すリニアモータLMと同一構成を有する10個のリニアモータLM1〜LM10をX方向に積層配置してなる多軸リニアモータMLMを用いてノズルシャフト163を上下方向Zに昇降駆動するように構成しているので、ノズルシャフト163の先端部に取り付けられた吸着ノズル161による部品移載を安定して高精度に行うことができ、装置の信頼性を高めることができる。
【0054】
<その他>
なお、上記実施形態では、部品移載装置として機能する表面実装機MTに対して本発明を適用しているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、ICハンドラー等の部品移載装置に対しても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明にかかるリニアモータの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のリニアモータのA−A線断面図である。
【図3】図1のリニアモータの分解組立斜視図である。
【図4】可動部材と可動子の取付構造を示す斜視図である。
【図5】可動部材と可動子の取付構造を示す図である。
【図6】サブティースと永久磁石列との相対位置関係を示す図である。
【図7】サブティースと磁性体プレートの配置関係を示す平面図である。
【図8】本発明にかかるリニアモータの他の実施形態を示す斜視図である。
【図9】本発明にかかる部品移載装置の一実施形態である表面実装機の概略構成を示す平面図である。
【図10】ヘッドユニットの正面図および側面図である。
【図11】図9に示す表面実装機の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】上下駆動機構の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1…ベースプレート
1a…ベース面
2a…レール
2b1、2b2…スライダ
3…電機子(固定子)
3a…コア
3c…コイル(電機子巻線)
4…可動ベース(可動部)
5…ヨーク
6…永久磁石
9a、9b…サブティース
9a1、9b1…反永久磁石側端面
9c…締結部材
106…ヘッドユニット
107…ヘッド駆動機構
161…吸着ノズル
163…ノズルシャフト
168…上下駆動機構
LM、LM1〜LM10…リニアモータ
MLM…多軸リニアモータ
MT…表面実装機(部品移載装置)
X…厚み方向(ベース面の法線方向)
Y…幅方向
Z…移動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、
所定の移動方向に移動自在に設けられた可動部と、
基部から延びる複数の歯部が列状に配置されて歯部列を構成しているコアと、各歯部に巻回された複数の電機子巻線とを有し、前記歯部列を前記移動方向と平行に配置した状態で前記ベースプレートのベース面上に固定された固定子と、
前記可動部に対して複数の永久磁石が前記移動方向に前記歯部列よりも長く配置された永久磁石列を有し、前記移動方向と直交する幅方向に前記永久磁石列を前記複数の電機子巻線から離間して対向配置した可動子と、
前記移動方向の前記歯部列の両端部のうち少なくとも一方に配置されたサブティースとを備え、
前記可動部が前記移動方向に移動する間、前記サブティースが前記永久磁石列と対向していることを特徴とするリニアモータ。
【請求項2】
前記移動方向の前記歯部列の両端部に前記サブティースが形成されている請求項1記載のリニアモータ。
【請求項3】
前記サブティースは前記コアと一体形成されている請求項1または2記載のリニアモータ。
【請求項4】
前記サブティースは前記コアと別体形成され、前記ベースプレートに対して着脱自在に設けられている請求項1または2記載のリニアモータ。
【請求項5】
前記幅方向の前記サブティースの反永久磁石側端面が前記コアの前記基部に接触あるいは近接する位置に前記サブティースが配置される請求項4記載のリニアモータ。
【請求項6】
前記ベースプレートの前記ベース面の法線方向側から前記ベース面に前記サブティースを装着し、また前記法線方向に前記ベース面から前記サブティースを取り外し可能となっている請求項4または5記載のリニアモータ。
【請求項7】
前記ベースプレートの前記ベース面の法線方向側から前記ベース面に配置された前記サブティースに締結部材を作用させて前記サブティースを前記ベースプレートに固定可能となっている請求項6記載のリニアモータ。
【請求項8】
前記ベースプレートの前記ベース面に対して前記移動方向に延設された直線状のレールをさらに備え、
前記可動部は、前記レールに沿って前記移動方向にスライド自在に設けられたスライダと、前記スライダに取り付けられた可動ベースとを有しており、
前記幅方向の前記可動ベースの端部側面に対して前記可動子が取り付けられている請求項1ないし7のいずれかに記載のリニアモータ。
【請求項9】
前記ベースプレートの前記ベース面に対して前記移動方向に延設された直線状のレールをさらに備え、
前記可動部は前記レールに沿って前記移動方向にスライド自在に設けられたスライダを有しており、
前記幅方向の前記スライダの端部側面に対して前記可動子が取り付けられている請求項1ないし7のいずれかに記載のリニアモータ。
【請求項10】
前記ベースプレートが非磁性体材料で形成されている請求項1ないし9のいずれかに記載のリニアモータ。
【請求項11】
部品収容部から部品搭載領域に部品を移載する部品移載装置において、
ベース部材と、前記ベース部材に対して上下方向に移動自在に支持され、先端部に吸着ノズルが取り付けられるとともに、後端部に接続された負圧配管を介して供給される負圧を前記吸着ノズルに与えるノズルシャフトと、前記ノズルシャフトを前記上下方向に駆動する上下駆動機構とを有する、ヘッドユニットと、
前記部品収容部の上方位置と前記部品搭載領域の上方位置との間で前記ヘッドユニットを移動させるヘッド駆動手段とを備え、
前記上下駆動機構が請求項1ないし10のいずれかに記載のリニアモータであり、
前記リニアモータは、前記移動方向が前記上下方向と平行となるように、前記ベース部材に取り付けられ、
前記リニアモータの前記可動部が前記ノズルシャフトに連結されている
ことを特徴とする部品移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−171659(P2009−171659A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4079(P2008−4079)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】