リベットセット装置
【課題】頭部に比して首下部の長さ寸法が短いリベットをセットする場合であっても、セット作業を良好且つスムーズに行わせることができるリベットセット装置を提供する。
【解決手段】リベット供給手段から順次送り込まれたリベットRをワークの所定部位に形成された孔に挿通させてセットするためのリベットセット装置において、リベットRをセット可能位置Aまで滑落させて搬送し得る搬送路1a、2aと、該搬送路の下面におけるリベットRの搬送方向に沿って形成され、当該搬送路にて搬送途中のリベットRの頭部を支持しつつ首下部を下方へ垂下させた吊下げ状態とし得るとともに、セット可能位置Aまで延設された切欠きa、bとを備えたものである。
【解決手段】リベット供給手段から順次送り込まれたリベットRをワークの所定部位に形成された孔に挿通させてセットするためのリベットセット装置において、リベットRをセット可能位置Aまで滑落させて搬送し得る搬送路1a、2aと、該搬送路の下面におけるリベットRの搬送方向に沿って形成され、当該搬送路にて搬送途中のリベットRの頭部を支持しつつ首下部を下方へ垂下させた吊下げ状態とし得るとともに、セット可能位置Aまで延設された切欠きa、bとを備えたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リベット供給手段から順次送り込まれたリベットをワークの所定部位に形成された孔に挿通させてセットするためのリベットセット装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワークの所定部位に形成された孔にリベットを挿通させてセットするためのリベットセット装置は、従来、リベット供給手段とホースを介して接続され、当該リベット供給手段からエア圧によって順次リベットが送り込まれるよう構成されていた。このリベットセット装置は、作業者が把持可能とされるとともに、リベットをセット可能位置まで搬送し得る搬送路と、セット可能位置まで送り込まれたリベットの頭部を係止してその首下部(頭部と連続して形成された小径部位であって、かしめられる部位側)を外部に突出した状態とし得る係止爪と、該係止爪で係止されたリベットの頭部を押圧可能な押圧部材とが配設されていた。
【0003】
而して、係止爪で頭部が係止されたリベットの首下部をワークの所定部位に形成された孔に挿通させた状態とした後、係止爪による係止を解くと同時に押圧部材にてリベットの頭部を押圧させることにより、当該孔にリベットをセットすることができるようになっていた。そして、全てのリベットがセットされた後、それぞれの首下部の先端部がかしめ装置にて押し潰されることにより、かしめ可能とされる。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のリベットセット装置においては、リベット供給手段から送り込まれたリベットの姿勢がホースや搬送路にて搬送される過程で変化し、セット可能位置に至った時点で正規の状態と異なってしまう虞があった。特に、頭部に比して首下部の長さ寸法が短いリベットをセットする場合においては、搬送過程でその姿勢が変化してしまう確率が著しく高くなってしまい、良好且つスムーズなリベットのセット作業が困難となってしまうという不具合があった。然るに、頭部に比して首下部の長さ寸法が短いリベットをセットするには、リベットセット装置を用いず、例えばペンチ等の工具を用いているのが実情であるが、その場合、セットのための作業性は著しく悪化してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、頭部に比して首下部の長さ寸法が短いリベットをセットする場合であっても、セット作業を良好且つスムーズに行わせることができるリベットセット装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、リベット供給手段から順次送り込まれたリベットをワークの所定部位に形成された孔に挿通させてセットするためのリベットセット装置において、リベットをセット可能位置まで滑落させて搬送し得る搬送路と、該搬送路の下面におけるリベットの搬送方向に沿って形成され、当該搬送路にて搬送途中のリベットの頭部を支持しつつ首下部を下方へ垂下させた吊下げ状態とし得るとともに、前記セット可能位置まで延設された切欠きとを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のリベットセット装置において、前記搬送路に対して出没可能とされ、当該搬送路にて前記セット可能位置まで搬送途中のリベットと干渉して待機位置で停止させるストッパを具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のリベットセット装置において、前記切欠きは、前記セット可能位置から少なくとも前記待機位置まで延びて形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載のリベットセット装置において、押圧操作によって前記ストッパを搬送路に対して任意に出没させ得る操作ノブを具備するとともに、当該操作ノブが押圧操作されたことを条件として前記リベット供給手段から順次リベットを送り込み可能とされたことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のリベットセット装置において、前記操作ノブは、前記セット可能位置にあるリベットの頭部と当接可能な当接部が形成されるとともに、当該操作ノブの操作によって当該当接部がリベットの頭部に対する当接位置と離間位置との間で移動可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、搬送路に形成された切欠きによってリベットの頭部を支持しつつ首下部を下方へ垂下させた吊下げ状態とするので、リベットの姿勢を吊下げ状態(首下部を下方へ垂下させた姿勢)に揃えてセット可能位置まで搬送させることができ、頭部に比して首下部の長さ寸法が短いリベットをセットする場合であっても、セット作業を良好且つスムーズに行わせることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、搬送路に対して出没可能とされ、当該搬送路にてセット可能位置まで搬送途中のリベットと干渉して待機位置で停止させるストッパを具備したので、勢いよくリベット供給手段から送り込まれたリベットを待機位置にて一旦停止させ、その後、セット可能位置まで滑落させて搬送することができる。従って、当該セット可能位置までのリベットの搬送をより正確且つスムーズに行わせることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、切欠きは、セット可能位置から少なくとも待機位置まで延びて形成されたので、リベットを待機位置にて停止させてその姿勢を吊下げ状態(首下部を下方へ垂下させた姿勢)とすることができ、より一層確実に搬送路による搬送途中でリベットの姿勢を吊下げ状態(首下部を下方へ垂下させた姿勢)に揃えることができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、押圧操作によってストッパを搬送路に対して任意に出没させ得る操作ノブを具備するとともに、当該操作ノブが押圧操作されたことを条件としてリベット供給手段から順次リベットを送り込み可能とされたので、任意タイミングでリベットのセット作業を行わせることができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、操作ノブは、セット可能位置にあるリベットの頭部と当接可能な当接部が形成されるとともに、当該操作ノブの操作によって当該当接部がリベットの頭部に対する当接位置と離間位置との間で移動可能とされたので、セット可能位置にあるリベットの頭部を押さえてその後のセット作業をスムーズ且つ良好に行わせることができるとともに、操作ノブの押圧操作に伴ってリベット供給手段から順次リベットを送り込ませて待機位置で待機させることができ、連続したリベットのセット作業をスムーズに行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るリベットセット装置を示す正面図
【図2】同リベットセット装置を示す平面図
【図3】同リベットセット装置における本体を示す3面図
【図4】同リベットセット装置における取付部材を示す正面図及び平面図
【図5】同リベットセット装置における操作ノブを示す模式図
【図6】同リベットセット装置が接続されるリベット供給手段を示す模式図
【図7】同リベットセット装置で用いられるリベットを示す模式図
【図8】同リベットセット装置における切欠きにて吊下げ状態とされたリベットを示す模式図
【図9】同リベットセット装置における切欠きにて吊下げ状態とされ、セット可能位置に至ったリベットを示す模式図
【図10】同リベットセット装置においてリベットが待機位置からセット可能位置に至るまでの過程を説明するための模式図
【図11】同リベットセット装置においてリベット(向きが異なって搬送される場合)が待機位置からセット可能位置に至るまでの過程を説明するための模式図
【図12】同リベットセット装置でリベットをセットする作業過程を説明するための模式図
【図13】同リベットセット装置でリベットをセットすべき対象のワークを示す3面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るリベットセット装置は、リベット供給手段から順次送り込まれたリベットをワークの所定部位に形成された孔に挿通させてセットするためのもので、図1〜5に示すように、装置本体1と、取付部材2と、操作ノブ4と、押さえ部材7と、検知センサ8とから主に構成されている。
【0018】
本実施形態においては、リベットRがセットされるワークとして、図13に示すように、トルクダンパ装置W(ロックアップクラッチ装置)としているが、リベットRをセットしてかしめるものであれば他のワークであってもよい。かかるトルクダンパ装置Wは、任意タイミングでトルコンカバーとタービンとを連結し得るもので、周縁に複数のダンパスプリングWrを保持可能な本体Waと、当該ダンパスプリングWrを押さえる押さえ板Dとを有している。
【0019】
更に、当該本体Waには、孔Waaが形成されるとともに、押さえ板Dには、孔Daが形成されており、これら孔Waaと孔Daとを合致させつつリベットRを挿通させてセットし、当該リベットRを別個のかしめ装置にてかしめることで本体Waと押さえ板Dとが接合されるようになっている。本実施形態に係るリベットセット装置は、このような接合のための孔Waa及び孔Daに順次リベットRをセットさせるためのものである。
【0020】
セットする対象のリベットRは、図7に示すように、大径の頭部Raと該頭部Raと一体的に形成された小径の首下部Rbとを有しており、当該首下部Rbの先端部を潰してかしめが可能とされている。尚、本実施形態においては、首下部Rbの長さ寸法αが比較的短いものとされており、例えば頭部Raの径とリベットRの長さ寸法とが略等しいものとされている。
【0021】
装置本体1は、本リベットセット装置の筐体を構成するもので、接続パイプ3が突出形成されるとともに、当該接続パイプ3にはホースHが接続されている。このホースHの他端は、図6に示すように、リベットRに対してエア圧を付与して順次供給し得るリベット供給手段11に接続されており、当該リベット供給手段11からホースHを介して順次装置本体1に送り込み可能とされている。
【0022】
より具体的には、装置本体1は、図3に示すように、接続パイプ3(図1参照)と連通した搬送路1aと、操作ノブ4及びストッパ5(図5参照)を挿通可能な挿通孔1c、1bとがそれぞれ形成されている。搬送路1aは、下方に向かって滑らかに屈曲したリベットRを通過させるための通路から成り、取付部材2の搬送路2a(図4参照)と連続した状態とされ、当該搬送路1a及び2aにてリベットRが滑落し得るようになっている。
【0023】
取付部材2は、装置本体1の下部に取り付けられるもので、図4に示すように、搬送路2aと、吊下げ支持部2bとを有している。搬送路2aは、上述したように搬送路1aと連続した状態とされてリベットRを搬送し得るもので、先端部にリベットRを吊下げ状態で支持し得る吊下げ支持部2bが形成されている。かかる吊下げ支持部2bは、切欠きbによって形成された左右2本の棒状部材から成る部位とされ、図9に示すように、当該左右2本の棒状部材にリベットRの頭部Raを引っ掛けて吊下げ状態とし得るもので、リベットRをワークにセット可能な位置である「セット可能位置A」とされている。
【0024】
而して、取付部材2が装置本体1に取り付けられた状態で、搬送路1aと搬送路2aとが連続した状態とされるので、当該搬送路1a及び2aにより、リベット供給手段11から送り込まれたリベットRをセット可能位置Aまで滑落させて搬送し得るようになっている。尚、装置本体1には、作業者が把持し得る把持部9、10が形成されており、かかる把持部9、10を把持して本リベットセット装置を持つことが可能とされている。
【0025】
ここで、本実施形態においては、搬送路1a及び2aの下面には、それぞれ切欠きa、bが形成されている。かかる切欠きa、bは、搬送路1a、2aにおいてリベットRの搬送方向に沿ってそれぞれ形成されており、当該搬送路1a、2aにて搬送途中のリベットRの頭部Raを支持しつつ首下部Rbを下方へ垂下させた吊下げ状態とし得るとともに、セット可能位置Aまで延設されている。
【0026】
即ち、リベットRは、搬送路1aを滑落する過程で、図8に示すように、頭部Raが切欠きaの両縁部にて支持されつつ首下部Rbを下方へ垂下させた吊下げ状態とされ、その後、搬送路2aを通過する過程で、切欠きbにて吊下げ状態が保たれつつセット可能位置Aに至る。セット可能位置Aにおいては、リベットRは、図9に示すように、吊下げ支持部2bの切欠きbによって搬送過程の吊下げ状態が維持されている。
【0027】
操作ノブ4は、図5に示すように、先端部(図中下端部)から延設されたストッパ5と、当該先端部に形成された当接部6とを有したもので、装置本体1の挿通孔1cに挿通させて取り付けられ、リターンスプリングS(図1参照)にて常時上方へ付勢されるものである。これにより、操作ノブ4を下方に向かって押圧操作すると、ストッパ5及び当接部6が下方に移動し、押圧を止めると上方の初期位置まで戻るようになっている。
【0028】
また、操作ノブ4が挿通孔1cに挿通して取り付けられた状態では、図10に示すように、ストッパ5が挿通孔1bに挿通した状態とされる。ストッパ5は、操作ノブ4に対する押圧操作に伴って搬送路1aに対して出没可能とされ、当該搬送路1a、2aにてセット可能位置Aまで搬送途中のリベットRと干渉して待機位置Bで停止させるためのものである。一方、切欠きa、bは、セット可能位置Aから待機位置Bまで延びて形成(本実施形態においては待機位置Bから更に所定寸法延びて形成)されている。かかる切欠きa、bは、セット可能位置Aから少なくとも待機位置Bまで延びて形成されていれば足りる。
【0029】
これにより、例えば図10に示すように、頭部RaからリベットRを滑落させた際、操作ノブ4を押圧操作してストッパ5にリベットRを干渉させて待機位置Bにて停止させることができる(同図(a))。停止したリベットRは、搬送路1aの切欠きaにて姿勢が変わろうとし(同図(b))、図8に示す如く切欠きaにて吊下げ状態とされる(同図(c))。その後、操作ノブ4の押圧を止めて上方に移動させれば、リベットRは、吊下げ状態が維持されつつ自重にてセット可能位置Aまで滑落する(同図(d))。
【0030】
同様に、例えば図11に示すように、首下部RaからリベットRを滑落させた際、操作ノブ4を押圧操作してストッパ5にリベットRを干渉させて待機位置Bにて停止させることができる(同図(a))。停止したリベットRは、搬送路1aの切欠きaにて姿勢が変わろうとし(同図(b))、図8に示す如く切欠きaにて吊下げ状態とされる(同図(c))。その後、操作ノブ4の押圧を止めて上方に移動させれば、リベットRは、吊下げ状態が維持されつつ自重にてセット可能位置Aまで滑落する(同図(d))。
【0031】
操作ノブ4に形成された当接部6は、セット可能位置AにあるリベットRの頭部Raと当接可能な部位から成り、当該操作ノブ4の操作によって当該当接部6がリベットRの頭部Raに対する当接位置(図12(d)参照)と離間位置(同図(c)参照)との間で移動可能とされている。即ち、リベットRをセット可能位置Aまで搬送させた後、操作ノブ4を押圧操作することにより、図12(d)に示すように、当該セット可能位置AにあるリベットRの頭部Raに対して当接部6を当接させて押さえることができ、同図(e)に示すように、そのまま本リベットセット装置全体を略水平方向に移動させて吊下げ支持部2bを同方向に移動させれば、リベットRをワークの孔(本実施形態においては、孔Waaと孔Da)に良好にセットすることができるのである。
【0032】
押さえ部材7は、揺動軸L(図1参照)を中心に揺動可能に装置本体1に取り付けられたものであり、押さえ部7aが延設して構成されている。かかる押さえ部7aは、図12(e)に示すように、リベットRをワークの孔にセットする過程で当該リベットRの頭部Raと当接して押さえるものである。即ち、セット可能位置AにあるリベットRの頭部Raに対して当接部6を当接させて押さえ、そのまま本リベットセット装置全体を略水平方向に移動させて吊下げ支持部2bを同方向に移動させると、リベットRの頭部Raに対する当接部6による当接に代わり、押さえ部7aによる当接がなされることとなるのである。これにより、リベットRの頭部Raは、セット過程において、当接部6に続き押さえ部7aで押さえられ、安定したセットが可能とされる。
【0033】
検知センサ8は、ストッパ5の位置を検知するためのセンサから成り、例えばストッパ5が上方にあるとき(即ち、搬送路1aに対して没入状態とされてリベットRと干渉がなされないとき)電気的導通がなされ、下方に移動すると(即ち、搬送路1aに対して突出状態とされてリベットRと干渉し得るとき)その導通が断たれて非導通とされる導通手段で構成されている。尚、検知手段8は、操作ノブ4が押圧操作されてストッパ5がリベットRと干渉する位置に至ったことを検知するものであれば、他の形態のセンサで構成してもよい。
【0034】
また、検知センサ8は、コードh(図1参照)を介してリベット供給手段11と電気的に接続されており、当該検知センサ8による検知信号がリベット供給手段11に送信可能とされている。そして、操作ノブ4が押圧操作されると、検知センサ8にて検知(導通が断たれたことを検知)し、その検知信号をリベット供給手段11に送信し、これをトリガとして当該リベット供給手段11から本リベットセット装置にリベットRが1個圧送されるようになっている。即ち、操作ノブ4が押圧操作されたことを条件としてリベット供給手段11から順次リベットRを送り込み可能とされているのである。
【0035】
次に、本実施形態に係るリベットセット装置によるリベットRのセット作業工程について、図12を用いて説明する。
まず、図12(a)で示すように、初期状態にある操作ノブ4を押圧操作することにより、リベット供給手段11からリベットRを送り込ませ、搬送路1aの途中でストッパ5に干渉させて停止させ、待機位置Bで待機させる(同図(b))。その後、操作ノブ4の押圧操作を止めて当該操作ノブ4がリターンスプリングSの付勢力で上方に移動し、初期位置に至ると、待機位置BのリベットRは、ストッパ5との干渉が解かれ、自重にて更に下方に滑落してセット可能位置Aまで搬送されることとなる(同図(c))。
【0036】
このとき、待機位置BにあるリベットRは、図8に示すように、その頭部Raが切欠きa、bにて支持されつつ首下部Rbが下方へ垂下した吊下げ状態となっており、その状態が維持されつつ搬送路1a、2aを滑落してセット可能位置Aに至る(図9参照)こととなる。そして、再び操作ノブ4を押圧操作することにより、リベット供給手段11から次のリベットRを送り込ませ、搬送路1aの途中でストッパ5に干渉させて停止させ、待機位置Bで待機させるとともに、セット可能位置AにあるリベットRの頭部Raを当接部6で当接して押さえる(同図(d))。
【0037】
この状態でリベットRの首下部Rbをワークの所定部位に形成された孔(本実施形態においては、孔Waaと孔Da)に挿通させ、本リベットセット装置全体を略水平方向(図中右方向)に移動させてる吊下げ支持部2bを同方向に移動させると、同図(e)に示すように、ワークの孔(孔Waaと孔Da)に挿通されたリベットRの頭部Raを当接部6に代わって押さえ部材7の押さえ部7aが当接して押さえることとなる。これにより、リベットRがワークの孔(孔Waaと孔Da)にセットされるので、操作ノブ4の押圧操作を止めて当該操作ノブ4を待機位置まで上昇させ、同図(c)に示すように、次のリベットRをセット可能位置Aまで滑落させる。以下、同図(c)〜(f)と同様の操作を繰り返してリベットRをワークの孔(孔Waaと孔Da)に順次セットさせる。
【0038】
上記実施形態によれば、搬送路1a、2aに形成された切欠きa、bによってリベットRの頭部Raを支持しつつ首下部Rbを下方へ垂下させた吊下げ状態とするので、リベットRの姿勢を吊下げ状態(首下部Rbを下方へ垂下させた姿勢)に揃えてセット可能位置Aまで搬送させることができ、頭部Raに比して首下部Rbの長さ寸法が短いリベットRをセットする場合であっても、セット作業を良好且つスムーズに行わせることができる。
【0039】
また、搬送路1a、2aに対して出没可能とされ、当該搬送路1a、2aにてセット可能位置Aまで搬送途中のリベットRと干渉して待機位置Bで停止させるストッパ5を具備したので、勢いよくリベット供給手段11から送り込まれたリベットRを待機位置Bにて一旦停止させ、その後、セット可能位置Aまで滑落させて搬送することができる。従って、当該セット可能位置AまでのリベットRの搬送をより正確且つスムーズに行わせることができる。
【0040】
更に、切欠きabは、セット可能位置Aから少なくとも待機位置Bまで延びて形成されたので、リベットRを待機位置Bにて停止させてその姿勢を吊下げ状態(首下部Rbを下方へ垂下させた姿勢)とすることができ、より一層確実に搬送路1a、2aによる搬送途中でリベットRの姿勢を吊下げ状態(首下部Rbを下方へ垂下させた姿勢)に揃えることができる。
【0041】
また更に、押圧操作によってストッパ5を搬送路1aに対して任意に出没させ得る操作ノブ4を具備するとともに、当該操作ノブ4が押圧操作されたことを条件としてリベット供給手段11から順次リベットRを送り込み可能とされたので、任意タイミングでリベットRのセット作業を行わせることができる。尚、本実施形態においては、操作ノブ4にストッパ5が一体的に形成されているが、これらを別体構成とし、操作ノブ4の押圧操作が検知されたときにストッパ5が別個の駆動源にてリベットRとの干渉位置まで移動し得るものとしてもよい。
【0042】
また、操作ノブ4は、セット可能位置AにあるリベットRの頭部Raと当接可能な当接部6が形成されるとともに、当該操作ノブ4の操作によって当該当接部6がリベットRの頭部Raに対する当接位置と離間位置との間で移動可能とされたので、セット可能位置AにあるリベットRの頭部Raを押さえてその後のセット作業をスムーズ且つ良好に行わせることができるとともに、操作ノブ4の押圧操作に伴ってリベット供給手段11から順次リベットRを送り込ませて待機位置Bで待機させることができ、連続したリベットRのセット作業をスムーズに行わせることができる。
【0043】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばセット可能位置AにあるリベットRを上方から押圧し、その押圧力でワークの孔(孔Waaと孔Da)にセットさせるものとしてもよい。また、操作ノブ4は、当接部6或いは押さえ部材7が形成されないものとし、専らストッパ5を動作させてリベットRを待機位置Bで待機させるものとしてもよい。尚、本実施形態においては、トルクダンパ装置W(ロックアップクラッチ装置)の孔Waaと孔DaにリベットRをセットするものとしているが、他の形態のワークの孔にリベットRをセットするものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
リベットをセット可能位置まで滑落させて搬送し得る搬送路と、該搬送路の下面におけるリベットの搬送方向に沿って形成され、当該搬送路にて搬送途中のリベットの頭部を支持しつつ首下部を下方へ垂下させた吊下げ状態とし得るとともに、セット可能位置まで延設された切欠きとを備えたリベットセット装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 装置本体
1a 搬送路
2 取付部材
2a 搬送路
3 接続パイプ
4 操作ノブ
5 ストッパ
6 当接部
7 押さえ部材
8 検知センサ
9、10 把持部
11 リベット供給手段
a、b 切欠き
A セット可能位置
B 待機位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、リベット供給手段から順次送り込まれたリベットをワークの所定部位に形成された孔に挿通させてセットするためのリベットセット装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワークの所定部位に形成された孔にリベットを挿通させてセットするためのリベットセット装置は、従来、リベット供給手段とホースを介して接続され、当該リベット供給手段からエア圧によって順次リベットが送り込まれるよう構成されていた。このリベットセット装置は、作業者が把持可能とされるとともに、リベットをセット可能位置まで搬送し得る搬送路と、セット可能位置まで送り込まれたリベットの頭部を係止してその首下部(頭部と連続して形成された小径部位であって、かしめられる部位側)を外部に突出した状態とし得る係止爪と、該係止爪で係止されたリベットの頭部を押圧可能な押圧部材とが配設されていた。
【0003】
而して、係止爪で頭部が係止されたリベットの首下部をワークの所定部位に形成された孔に挿通させた状態とした後、係止爪による係止を解くと同時に押圧部材にてリベットの頭部を押圧させることにより、当該孔にリベットをセットすることができるようになっていた。そして、全てのリベットがセットされた後、それぞれの首下部の先端部がかしめ装置にて押し潰されることにより、かしめ可能とされる。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のリベットセット装置においては、リベット供給手段から送り込まれたリベットの姿勢がホースや搬送路にて搬送される過程で変化し、セット可能位置に至った時点で正規の状態と異なってしまう虞があった。特に、頭部に比して首下部の長さ寸法が短いリベットをセットする場合においては、搬送過程でその姿勢が変化してしまう確率が著しく高くなってしまい、良好且つスムーズなリベットのセット作業が困難となってしまうという不具合があった。然るに、頭部に比して首下部の長さ寸法が短いリベットをセットするには、リベットセット装置を用いず、例えばペンチ等の工具を用いているのが実情であるが、その場合、セットのための作業性は著しく悪化してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、頭部に比して首下部の長さ寸法が短いリベットをセットする場合であっても、セット作業を良好且つスムーズに行わせることができるリベットセット装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、リベット供給手段から順次送り込まれたリベットをワークの所定部位に形成された孔に挿通させてセットするためのリベットセット装置において、リベットをセット可能位置まで滑落させて搬送し得る搬送路と、該搬送路の下面におけるリベットの搬送方向に沿って形成され、当該搬送路にて搬送途中のリベットの頭部を支持しつつ首下部を下方へ垂下させた吊下げ状態とし得るとともに、前記セット可能位置まで延設された切欠きとを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のリベットセット装置において、前記搬送路に対して出没可能とされ、当該搬送路にて前記セット可能位置まで搬送途中のリベットと干渉して待機位置で停止させるストッパを具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のリベットセット装置において、前記切欠きは、前記セット可能位置から少なくとも前記待機位置まで延びて形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載のリベットセット装置において、押圧操作によって前記ストッパを搬送路に対して任意に出没させ得る操作ノブを具備するとともに、当該操作ノブが押圧操作されたことを条件として前記リベット供給手段から順次リベットを送り込み可能とされたことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のリベットセット装置において、前記操作ノブは、前記セット可能位置にあるリベットの頭部と当接可能な当接部が形成されるとともに、当該操作ノブの操作によって当該当接部がリベットの頭部に対する当接位置と離間位置との間で移動可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、搬送路に形成された切欠きによってリベットの頭部を支持しつつ首下部を下方へ垂下させた吊下げ状態とするので、リベットの姿勢を吊下げ状態(首下部を下方へ垂下させた姿勢)に揃えてセット可能位置まで搬送させることができ、頭部に比して首下部の長さ寸法が短いリベットをセットする場合であっても、セット作業を良好且つスムーズに行わせることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、搬送路に対して出没可能とされ、当該搬送路にてセット可能位置まで搬送途中のリベットと干渉して待機位置で停止させるストッパを具備したので、勢いよくリベット供給手段から送り込まれたリベットを待機位置にて一旦停止させ、その後、セット可能位置まで滑落させて搬送することができる。従って、当該セット可能位置までのリベットの搬送をより正確且つスムーズに行わせることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、切欠きは、セット可能位置から少なくとも待機位置まで延びて形成されたので、リベットを待機位置にて停止させてその姿勢を吊下げ状態(首下部を下方へ垂下させた姿勢)とすることができ、より一層確実に搬送路による搬送途中でリベットの姿勢を吊下げ状態(首下部を下方へ垂下させた姿勢)に揃えることができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、押圧操作によってストッパを搬送路に対して任意に出没させ得る操作ノブを具備するとともに、当該操作ノブが押圧操作されたことを条件としてリベット供給手段から順次リベットを送り込み可能とされたので、任意タイミングでリベットのセット作業を行わせることができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、操作ノブは、セット可能位置にあるリベットの頭部と当接可能な当接部が形成されるとともに、当該操作ノブの操作によって当該当接部がリベットの頭部に対する当接位置と離間位置との間で移動可能とされたので、セット可能位置にあるリベットの頭部を押さえてその後のセット作業をスムーズ且つ良好に行わせることができるとともに、操作ノブの押圧操作に伴ってリベット供給手段から順次リベットを送り込ませて待機位置で待機させることができ、連続したリベットのセット作業をスムーズに行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るリベットセット装置を示す正面図
【図2】同リベットセット装置を示す平面図
【図3】同リベットセット装置における本体を示す3面図
【図4】同リベットセット装置における取付部材を示す正面図及び平面図
【図5】同リベットセット装置における操作ノブを示す模式図
【図6】同リベットセット装置が接続されるリベット供給手段を示す模式図
【図7】同リベットセット装置で用いられるリベットを示す模式図
【図8】同リベットセット装置における切欠きにて吊下げ状態とされたリベットを示す模式図
【図9】同リベットセット装置における切欠きにて吊下げ状態とされ、セット可能位置に至ったリベットを示す模式図
【図10】同リベットセット装置においてリベットが待機位置からセット可能位置に至るまでの過程を説明するための模式図
【図11】同リベットセット装置においてリベット(向きが異なって搬送される場合)が待機位置からセット可能位置に至るまでの過程を説明するための模式図
【図12】同リベットセット装置でリベットをセットする作業過程を説明するための模式図
【図13】同リベットセット装置でリベットをセットすべき対象のワークを示す3面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るリベットセット装置は、リベット供給手段から順次送り込まれたリベットをワークの所定部位に形成された孔に挿通させてセットするためのもので、図1〜5に示すように、装置本体1と、取付部材2と、操作ノブ4と、押さえ部材7と、検知センサ8とから主に構成されている。
【0018】
本実施形態においては、リベットRがセットされるワークとして、図13に示すように、トルクダンパ装置W(ロックアップクラッチ装置)としているが、リベットRをセットしてかしめるものであれば他のワークであってもよい。かかるトルクダンパ装置Wは、任意タイミングでトルコンカバーとタービンとを連結し得るもので、周縁に複数のダンパスプリングWrを保持可能な本体Waと、当該ダンパスプリングWrを押さえる押さえ板Dとを有している。
【0019】
更に、当該本体Waには、孔Waaが形成されるとともに、押さえ板Dには、孔Daが形成されており、これら孔Waaと孔Daとを合致させつつリベットRを挿通させてセットし、当該リベットRを別個のかしめ装置にてかしめることで本体Waと押さえ板Dとが接合されるようになっている。本実施形態に係るリベットセット装置は、このような接合のための孔Waa及び孔Daに順次リベットRをセットさせるためのものである。
【0020】
セットする対象のリベットRは、図7に示すように、大径の頭部Raと該頭部Raと一体的に形成された小径の首下部Rbとを有しており、当該首下部Rbの先端部を潰してかしめが可能とされている。尚、本実施形態においては、首下部Rbの長さ寸法αが比較的短いものとされており、例えば頭部Raの径とリベットRの長さ寸法とが略等しいものとされている。
【0021】
装置本体1は、本リベットセット装置の筐体を構成するもので、接続パイプ3が突出形成されるとともに、当該接続パイプ3にはホースHが接続されている。このホースHの他端は、図6に示すように、リベットRに対してエア圧を付与して順次供給し得るリベット供給手段11に接続されており、当該リベット供給手段11からホースHを介して順次装置本体1に送り込み可能とされている。
【0022】
より具体的には、装置本体1は、図3に示すように、接続パイプ3(図1参照)と連通した搬送路1aと、操作ノブ4及びストッパ5(図5参照)を挿通可能な挿通孔1c、1bとがそれぞれ形成されている。搬送路1aは、下方に向かって滑らかに屈曲したリベットRを通過させるための通路から成り、取付部材2の搬送路2a(図4参照)と連続した状態とされ、当該搬送路1a及び2aにてリベットRが滑落し得るようになっている。
【0023】
取付部材2は、装置本体1の下部に取り付けられるもので、図4に示すように、搬送路2aと、吊下げ支持部2bとを有している。搬送路2aは、上述したように搬送路1aと連続した状態とされてリベットRを搬送し得るもので、先端部にリベットRを吊下げ状態で支持し得る吊下げ支持部2bが形成されている。かかる吊下げ支持部2bは、切欠きbによって形成された左右2本の棒状部材から成る部位とされ、図9に示すように、当該左右2本の棒状部材にリベットRの頭部Raを引っ掛けて吊下げ状態とし得るもので、リベットRをワークにセット可能な位置である「セット可能位置A」とされている。
【0024】
而して、取付部材2が装置本体1に取り付けられた状態で、搬送路1aと搬送路2aとが連続した状態とされるので、当該搬送路1a及び2aにより、リベット供給手段11から送り込まれたリベットRをセット可能位置Aまで滑落させて搬送し得るようになっている。尚、装置本体1には、作業者が把持し得る把持部9、10が形成されており、かかる把持部9、10を把持して本リベットセット装置を持つことが可能とされている。
【0025】
ここで、本実施形態においては、搬送路1a及び2aの下面には、それぞれ切欠きa、bが形成されている。かかる切欠きa、bは、搬送路1a、2aにおいてリベットRの搬送方向に沿ってそれぞれ形成されており、当該搬送路1a、2aにて搬送途中のリベットRの頭部Raを支持しつつ首下部Rbを下方へ垂下させた吊下げ状態とし得るとともに、セット可能位置Aまで延設されている。
【0026】
即ち、リベットRは、搬送路1aを滑落する過程で、図8に示すように、頭部Raが切欠きaの両縁部にて支持されつつ首下部Rbを下方へ垂下させた吊下げ状態とされ、その後、搬送路2aを通過する過程で、切欠きbにて吊下げ状態が保たれつつセット可能位置Aに至る。セット可能位置Aにおいては、リベットRは、図9に示すように、吊下げ支持部2bの切欠きbによって搬送過程の吊下げ状態が維持されている。
【0027】
操作ノブ4は、図5に示すように、先端部(図中下端部)から延設されたストッパ5と、当該先端部に形成された当接部6とを有したもので、装置本体1の挿通孔1cに挿通させて取り付けられ、リターンスプリングS(図1参照)にて常時上方へ付勢されるものである。これにより、操作ノブ4を下方に向かって押圧操作すると、ストッパ5及び当接部6が下方に移動し、押圧を止めると上方の初期位置まで戻るようになっている。
【0028】
また、操作ノブ4が挿通孔1cに挿通して取り付けられた状態では、図10に示すように、ストッパ5が挿通孔1bに挿通した状態とされる。ストッパ5は、操作ノブ4に対する押圧操作に伴って搬送路1aに対して出没可能とされ、当該搬送路1a、2aにてセット可能位置Aまで搬送途中のリベットRと干渉して待機位置Bで停止させるためのものである。一方、切欠きa、bは、セット可能位置Aから待機位置Bまで延びて形成(本実施形態においては待機位置Bから更に所定寸法延びて形成)されている。かかる切欠きa、bは、セット可能位置Aから少なくとも待機位置Bまで延びて形成されていれば足りる。
【0029】
これにより、例えば図10に示すように、頭部RaからリベットRを滑落させた際、操作ノブ4を押圧操作してストッパ5にリベットRを干渉させて待機位置Bにて停止させることができる(同図(a))。停止したリベットRは、搬送路1aの切欠きaにて姿勢が変わろうとし(同図(b))、図8に示す如く切欠きaにて吊下げ状態とされる(同図(c))。その後、操作ノブ4の押圧を止めて上方に移動させれば、リベットRは、吊下げ状態が維持されつつ自重にてセット可能位置Aまで滑落する(同図(d))。
【0030】
同様に、例えば図11に示すように、首下部RaからリベットRを滑落させた際、操作ノブ4を押圧操作してストッパ5にリベットRを干渉させて待機位置Bにて停止させることができる(同図(a))。停止したリベットRは、搬送路1aの切欠きaにて姿勢が変わろうとし(同図(b))、図8に示す如く切欠きaにて吊下げ状態とされる(同図(c))。その後、操作ノブ4の押圧を止めて上方に移動させれば、リベットRは、吊下げ状態が維持されつつ自重にてセット可能位置Aまで滑落する(同図(d))。
【0031】
操作ノブ4に形成された当接部6は、セット可能位置AにあるリベットRの頭部Raと当接可能な部位から成り、当該操作ノブ4の操作によって当該当接部6がリベットRの頭部Raに対する当接位置(図12(d)参照)と離間位置(同図(c)参照)との間で移動可能とされている。即ち、リベットRをセット可能位置Aまで搬送させた後、操作ノブ4を押圧操作することにより、図12(d)に示すように、当該セット可能位置AにあるリベットRの頭部Raに対して当接部6を当接させて押さえることができ、同図(e)に示すように、そのまま本リベットセット装置全体を略水平方向に移動させて吊下げ支持部2bを同方向に移動させれば、リベットRをワークの孔(本実施形態においては、孔Waaと孔Da)に良好にセットすることができるのである。
【0032】
押さえ部材7は、揺動軸L(図1参照)を中心に揺動可能に装置本体1に取り付けられたものであり、押さえ部7aが延設して構成されている。かかる押さえ部7aは、図12(e)に示すように、リベットRをワークの孔にセットする過程で当該リベットRの頭部Raと当接して押さえるものである。即ち、セット可能位置AにあるリベットRの頭部Raに対して当接部6を当接させて押さえ、そのまま本リベットセット装置全体を略水平方向に移動させて吊下げ支持部2bを同方向に移動させると、リベットRの頭部Raに対する当接部6による当接に代わり、押さえ部7aによる当接がなされることとなるのである。これにより、リベットRの頭部Raは、セット過程において、当接部6に続き押さえ部7aで押さえられ、安定したセットが可能とされる。
【0033】
検知センサ8は、ストッパ5の位置を検知するためのセンサから成り、例えばストッパ5が上方にあるとき(即ち、搬送路1aに対して没入状態とされてリベットRと干渉がなされないとき)電気的導通がなされ、下方に移動すると(即ち、搬送路1aに対して突出状態とされてリベットRと干渉し得るとき)その導通が断たれて非導通とされる導通手段で構成されている。尚、検知手段8は、操作ノブ4が押圧操作されてストッパ5がリベットRと干渉する位置に至ったことを検知するものであれば、他の形態のセンサで構成してもよい。
【0034】
また、検知センサ8は、コードh(図1参照)を介してリベット供給手段11と電気的に接続されており、当該検知センサ8による検知信号がリベット供給手段11に送信可能とされている。そして、操作ノブ4が押圧操作されると、検知センサ8にて検知(導通が断たれたことを検知)し、その検知信号をリベット供給手段11に送信し、これをトリガとして当該リベット供給手段11から本リベットセット装置にリベットRが1個圧送されるようになっている。即ち、操作ノブ4が押圧操作されたことを条件としてリベット供給手段11から順次リベットRを送り込み可能とされているのである。
【0035】
次に、本実施形態に係るリベットセット装置によるリベットRのセット作業工程について、図12を用いて説明する。
まず、図12(a)で示すように、初期状態にある操作ノブ4を押圧操作することにより、リベット供給手段11からリベットRを送り込ませ、搬送路1aの途中でストッパ5に干渉させて停止させ、待機位置Bで待機させる(同図(b))。その後、操作ノブ4の押圧操作を止めて当該操作ノブ4がリターンスプリングSの付勢力で上方に移動し、初期位置に至ると、待機位置BのリベットRは、ストッパ5との干渉が解かれ、自重にて更に下方に滑落してセット可能位置Aまで搬送されることとなる(同図(c))。
【0036】
このとき、待機位置BにあるリベットRは、図8に示すように、その頭部Raが切欠きa、bにて支持されつつ首下部Rbが下方へ垂下した吊下げ状態となっており、その状態が維持されつつ搬送路1a、2aを滑落してセット可能位置Aに至る(図9参照)こととなる。そして、再び操作ノブ4を押圧操作することにより、リベット供給手段11から次のリベットRを送り込ませ、搬送路1aの途中でストッパ5に干渉させて停止させ、待機位置Bで待機させるとともに、セット可能位置AにあるリベットRの頭部Raを当接部6で当接して押さえる(同図(d))。
【0037】
この状態でリベットRの首下部Rbをワークの所定部位に形成された孔(本実施形態においては、孔Waaと孔Da)に挿通させ、本リベットセット装置全体を略水平方向(図中右方向)に移動させてる吊下げ支持部2bを同方向に移動させると、同図(e)に示すように、ワークの孔(孔Waaと孔Da)に挿通されたリベットRの頭部Raを当接部6に代わって押さえ部材7の押さえ部7aが当接して押さえることとなる。これにより、リベットRがワークの孔(孔Waaと孔Da)にセットされるので、操作ノブ4の押圧操作を止めて当該操作ノブ4を待機位置まで上昇させ、同図(c)に示すように、次のリベットRをセット可能位置Aまで滑落させる。以下、同図(c)〜(f)と同様の操作を繰り返してリベットRをワークの孔(孔Waaと孔Da)に順次セットさせる。
【0038】
上記実施形態によれば、搬送路1a、2aに形成された切欠きa、bによってリベットRの頭部Raを支持しつつ首下部Rbを下方へ垂下させた吊下げ状態とするので、リベットRの姿勢を吊下げ状態(首下部Rbを下方へ垂下させた姿勢)に揃えてセット可能位置Aまで搬送させることができ、頭部Raに比して首下部Rbの長さ寸法が短いリベットRをセットする場合であっても、セット作業を良好且つスムーズに行わせることができる。
【0039】
また、搬送路1a、2aに対して出没可能とされ、当該搬送路1a、2aにてセット可能位置Aまで搬送途中のリベットRと干渉して待機位置Bで停止させるストッパ5を具備したので、勢いよくリベット供給手段11から送り込まれたリベットRを待機位置Bにて一旦停止させ、その後、セット可能位置Aまで滑落させて搬送することができる。従って、当該セット可能位置AまでのリベットRの搬送をより正確且つスムーズに行わせることができる。
【0040】
更に、切欠きabは、セット可能位置Aから少なくとも待機位置Bまで延びて形成されたので、リベットRを待機位置Bにて停止させてその姿勢を吊下げ状態(首下部Rbを下方へ垂下させた姿勢)とすることができ、より一層確実に搬送路1a、2aによる搬送途中でリベットRの姿勢を吊下げ状態(首下部Rbを下方へ垂下させた姿勢)に揃えることができる。
【0041】
また更に、押圧操作によってストッパ5を搬送路1aに対して任意に出没させ得る操作ノブ4を具備するとともに、当該操作ノブ4が押圧操作されたことを条件としてリベット供給手段11から順次リベットRを送り込み可能とされたので、任意タイミングでリベットRのセット作業を行わせることができる。尚、本実施形態においては、操作ノブ4にストッパ5が一体的に形成されているが、これらを別体構成とし、操作ノブ4の押圧操作が検知されたときにストッパ5が別個の駆動源にてリベットRとの干渉位置まで移動し得るものとしてもよい。
【0042】
また、操作ノブ4は、セット可能位置AにあるリベットRの頭部Raと当接可能な当接部6が形成されるとともに、当該操作ノブ4の操作によって当該当接部6がリベットRの頭部Raに対する当接位置と離間位置との間で移動可能とされたので、セット可能位置AにあるリベットRの頭部Raを押さえてその後のセット作業をスムーズ且つ良好に行わせることができるとともに、操作ノブ4の押圧操作に伴ってリベット供給手段11から順次リベットRを送り込ませて待機位置Bで待機させることができ、連続したリベットRのセット作業をスムーズに行わせることができる。
【0043】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばセット可能位置AにあるリベットRを上方から押圧し、その押圧力でワークの孔(孔Waaと孔Da)にセットさせるものとしてもよい。また、操作ノブ4は、当接部6或いは押さえ部材7が形成されないものとし、専らストッパ5を動作させてリベットRを待機位置Bで待機させるものとしてもよい。尚、本実施形態においては、トルクダンパ装置W(ロックアップクラッチ装置)の孔Waaと孔DaにリベットRをセットするものとしているが、他の形態のワークの孔にリベットRをセットするものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
リベットをセット可能位置まで滑落させて搬送し得る搬送路と、該搬送路の下面におけるリベットの搬送方向に沿って形成され、当該搬送路にて搬送途中のリベットの頭部を支持しつつ首下部を下方へ垂下させた吊下げ状態とし得るとともに、セット可能位置まで延設された切欠きとを備えたリベットセット装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 装置本体
1a 搬送路
2 取付部材
2a 搬送路
3 接続パイプ
4 操作ノブ
5 ストッパ
6 当接部
7 押さえ部材
8 検知センサ
9、10 把持部
11 リベット供給手段
a、b 切欠き
A セット可能位置
B 待機位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リベット供給手段から順次送り込まれたリベットをワークの所定部位に形成された孔に挿通させてセットするためのリベットセット装置において、
リベットをセット可能位置まで滑落させて搬送し得る搬送路と、
該搬送路の下面におけるリベットの搬送方向に沿って形成され、当該搬送路にて搬送途中のリベットの頭部を支持しつつ首下部を下方へ垂下させた吊下げ状態とし得るとともに、前記セット可能位置まで延設された切欠きと、
を備えたことを特徴とするリベットセット装置。
【請求項2】
前記搬送路に対して出没可能とされ、当該搬送路にて前記セット可能位置まで搬送途中のリベットと干渉して待機位置で停止させるストッパを具備したことを特徴とする請求項1記載のリベットセット装置。
【請求項3】
前記切欠きは、前記セット可能位置から少なくとも前記待機位置まで延びて形成されたことを特徴とする請求項2記載のリベットセット装置。
【請求項4】
押圧操作によって前記ストッパを搬送路に対して任意に出没させ得る操作ノブを具備するとともに、当該操作ノブが押圧操作されたことを条件として前記リベット供給手段から順次リベットを送り込み可能とされたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のリベットセット装置。
【請求項5】
前記操作ノブは、前記セット可能位置にあるリベットの頭部と当接可能な当接部が形成されるとともに、当該操作ノブの操作によって当該当接部がリベットの頭部に対する当接位置と離間位置との間で移動可能とされたことを特徴とする請求項4記載のリベットセット装置。
【請求項1】
リベット供給手段から順次送り込まれたリベットをワークの所定部位に形成された孔に挿通させてセットするためのリベットセット装置において、
リベットをセット可能位置まで滑落させて搬送し得る搬送路と、
該搬送路の下面におけるリベットの搬送方向に沿って形成され、当該搬送路にて搬送途中のリベットの頭部を支持しつつ首下部を下方へ垂下させた吊下げ状態とし得るとともに、前記セット可能位置まで延設された切欠きと、
を備えたことを特徴とするリベットセット装置。
【請求項2】
前記搬送路に対して出没可能とされ、当該搬送路にて前記セット可能位置まで搬送途中のリベットと干渉して待機位置で停止させるストッパを具備したことを特徴とする請求項1記載のリベットセット装置。
【請求項3】
前記切欠きは、前記セット可能位置から少なくとも前記待機位置まで延びて形成されたことを特徴とする請求項2記載のリベットセット装置。
【請求項4】
押圧操作によって前記ストッパを搬送路に対して任意に出没させ得る操作ノブを具備するとともに、当該操作ノブが押圧操作されたことを条件として前記リベット供給手段から順次リベットを送り込み可能とされたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のリベットセット装置。
【請求項5】
前記操作ノブは、前記セット可能位置にあるリベットの頭部と当接可能な当接部が形成されるとともに、当該操作ノブの操作によって当該当接部がリベットの頭部に対する当接位置と離間位置との間で移動可能とされたことを特徴とする請求項4記載のリベットセット装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−224640(P2011−224640A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99023(P2010−99023)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000128175)株式会社エフ・シー・シー (109)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000128175)株式会社エフ・シー・シー (109)
【Fターム(参考)】
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