説明

リポペプチドとポリI:Cをアジュバントとして含む強力なワクチン組成物

本発明は、リポペプチドとポリI:Cを含むアジュバントに関するもので、本発明のリポペプチド及びポリI:Cアジュバントを同時に使用する場合、抗原特異的抗体の量が増加されてTh1タイプ免疫反応が誘導される効果が現われるので、ウイルス感染及び癌の予防または治療のための投与ワクチン用アジュバントとして有用に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リポペプチドとポリI:C(polyinosinic:polycytidylic acid)を含むアジュバント及びそれを含むワクチンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アジュバントは、免疫反応を誘導する多くの工程中の一つまたはそれ以上の特定工程を促進させたり増幅させたりして、窮極的に免疫反応がさらによく発生するようにするものを意味する。したがって、抗原と一緒に投与される場合、抗原に対する免疫反応を増進させて抗原に対する免疫反応の形態を変化させることができる。典型的なアジュバントの例としては、オイルエマルジョン(Freund’s adjuvant)、モノホスホリルリピドA(MPL)、Qサポニン、水酸化アルミニウム、アルミニウムのリン酸塩またはカルシウム塩(alum)、非イオンブロック重合体活性剤、脂質多糖類、マイコバクテリア、破傷風トキソイド、CpGなどが知られている。
【0003】
タンパク質抗原を単独で用いることは、しばしば十分に強い免疫反応と所望の類型の免疫反応を誘導することができず、一般にワクチン組成物は、抗原とアジュバント(adjuvant)を含む。免疫反応に関する2種の信号モデルにしたがい、MHCにより提示される抗原エピトープと抗原受容体の結合を通じて伝達される信号は、免疫反応を誘導できる程度に十分なものではない。これは、共刺激分子から発生する追加の信号を必要とする。ここで、アジュバントは、共刺激分子により発生した信号強度を増強させて及び/又は共刺激分子を誘導し、また、免疫反応の類型を決定するサイトカイン類を誘導できる。脂タンパク質、糖タンパク質、または全微生物のような特定の抗原は、エピトープ及び免疫増強機能をいずれも病原菌関連分子パターン(PAMP)の形態で提供できる。タンパク質抗原の一次構造、即ち、抗原のアミノ酸の配列は変わることができないが、抗原のPAMPは、適切なアジュバントまたは免疫原性に影響を与える補助構造剤を添加することによって改質または補充できる(Dempsey PW等,Science,1996年,第111巻,p.348−350;Deres K等,Nature,1989年,第342巻,p.561−564)。抗原の分子パターンの変形は、免疫原性を増加させることができ、また免疫反応類型に影響を与えることができることは、すでによく知られた事実である。例えば、HBV表面抗原の場合、preS1とpreS2を含まないSタンパク質は、類似遺伝子形マウス種では、免疫原性が現われない一方、preS1とpreS2を含むLタンパク質は、preS1とpreS2に対する抗体を誘導するだけでなく、S抗原に対する抗体形成も誘導する(Milich DR等,1986年.New approaches to immunization,pp377−382.Cold Spring Harbor Laboratories,New York)。また、病原性微生物全体が抗原に使用される場合、このような抗原には、リポポリサッカライド、核酸、脂質タンパク質または複合タンパク質のような多くの種類のPAMPリガンドが混じっている。ここで、APC(抗原提示細胞)表面にあるPRR(病原体認識受容体)は、前記PAMPを認知して多様な共同刺激分子とサイトカインを誘導するための信号を起こし、免疫反応の類型に影響を与えるようになる。例えば、インターフェロンγとIL−12は、ウイルス感染に対する免疫反応に重要なTh1(ヘルパーT細胞1)細胞反応を誘導するようになり、Th1タイプ免疫反応は、より多くのIgG2a生成と強力な細胞性免疫反応として現われる。ThI類型の免疫反応は、IgG2aとIgG2bの生成をリードし、強い細胞媒介免疫反応を誘導する。ここで、抗原と関連したPAMPの多様な類型は、アジュバントの機能として作用しており、そのようなアジュバントは、免疫反応の制御に役立つ。しかし、抗原と関連した天然アジュバントの機能のこのような類型は、しばしば免疫反応の所望の強度と質を誘導できるほど強力なものではなく、ワクチンの製造に適したアジュバントが求められている。
【0004】
したがって、優れたアジュバントの開発は、よいワクチンを開発するにおいて非常に重要なことではあるが、アジュバントの開発は、依然として主に実験的作業に依存しなければならない。例えば、Toll様受容体(TLR)は、抗原提示細胞(APC)の活性、及びAPCによる抗原提示にかかわる抗原提示細胞(APC)上にある最も重要なPRRである。しかし、強力な抗体反応は、TLR信号に全く依存しない(Gavin.A.L.等,Science 2006年,第314巻,p.1936−1938)。しかも、TLR2リガンドの1つであるPam3cysは、免疫反応を誘導するにおいてTLR2と関係なく作用する(Yoder等,Infect.Immun.2003年,第71巻,p.3894−3900)。さらに問題を複雑にするものとしては、優れた防御的免疫反応は、強い細胞媒介免疫反応及び体液性抗原反応の両方を含み、バランスの取れた免疫反応を要求している。したがって、バランスの取れた適応性(後天的)免疫反応を誘導するのに役立つアジュバントを開発することは、依然として合理的予想を越える問題を有している。
【0005】
本発明では、最もよく知られたアジュバントの水酸化アルミニウムに関し、良質の抗原特異的抗体を多量生産することができるワクチン製剤として強力なワクチンを定義した。適合した良質の抗体形成は、予防目的または治療目的の強力なワクチンを作るのに重要な要素である。例えば、腫瘍を除去するにおいて、IgGアイソタイプ等は、互いに異なる効力を示すが、その中でIgG2aは、IgG1、IgG2bまたはIgG3に比較して最も効果的である(Nimmerjahn F & Ravetch JV,Science 2005年,第310巻,p.1510−1512)。また、抗ウイルス免疫には、IgG2aとIgG2bが最も効果的なことが知られているが(Coutelier JP等,J Exp Med 1987年,第165巻,p.64−69;Markine−Gorianoff D & Coutelier JP,J of Virol 2002年,第76巻,p.432−435)、これらは、細胞性免疫反応によって形成されたTh1細胞が生産するサイトカインの影響で生成される。したがって、良質の抗体形成は、細胞性免疫反応誘導が隋伴する。したがって、Th1細胞反応の誘導は、適合した良質の抗体形成のための卓越した試みである。最も広く使用されているアジュバントであるAlumは、Th2形態免疫反応を誘導し、誘導された抗体は、主にIgG1である。
【0006】
ゆえに、本発明において強力なワクチン製剤は、生産される抗原特異的抗体の量とIgG2a/IgG1及びIgG2b/IgG1の割合によって判断され、同時に本発明で良いアジュバントの基準は、強力な抗体反応及び細胞性免疫反応を誘導し、免疫グロブリンクラスを変更してIgG2a及びIgG2bを生産するものである。
【0007】
発明者らは、リポペプチド及びポリI:C(polyinosinic:polycytidylic acid)を含むアジュバントの組成物が、通常のアジュバントの水酸化アルミニウムよりはるかに強力であることを確認することにより、リポペプチド及びポリI:Cが、添加物の代わりに、後天的免疫反応の刺激に相乗作用的であるということをさらに確認することによって本発明を完成した。たとえPam3Cys及びポリI:Cが大食細胞でTNF−α及びIL−6を誘導するにおいて相乗作用的であることが知られているとしても(Bagchi,A.等,J.Immun.2007年,第178巻,p.1164−1171)、リポペプチド及びポリI:Cで構成される類似の組み合わせのバランスの取れた強力な免疫増強機能は、予想し得ない発見である。さらに本発明者等は、リポペプチドを抗原に共有結合的に連結することが要求されないことを確認した。リポペプチド、ポリI:C及び少なくとも一つの抗原との混合物の形態である単純な組成であれば十分なのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、抗原が強力な免疫反応を誘導する助けをするアジュバントを提供することである。
また、本発明の他の目的は、前記アジュバントと抗原を含むワクチン組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、前記アジュバントを用いて相応しい良質の抗体を形成させる方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、前記アジュバントを用いてTh1免疫反応を増進させる方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、前記アジュバント及び少なくとも一つのウイルスまたは寄生虫抗原を含む、ウイルスまたは寄生虫感染用治療ワクチンを提供することである。
同時に、本発明の他の目的は、前記アジュバント及び少なくとも一つの癌特異的抗原を含む、癌の予防または治療ワクチンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、リポペプチド及びポリI:C(polyinosinic:polycytidylic acid)を含むアジュバントを提供する。
また、本発明は、前記アジュバントと少なくとも一つの相応しい抗原を含むワクチン組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記ワクチン組成物をそれを必要とする個体に投与する工程を含む相応しい良質の抗体を形成させる方法を提供する。
また、本発明は、前記ワクチン組成物をそれを必要とする個体に投与する工程を含むTh1免疫反応を増進させる方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、前記アジュバント組成物及び少なくとも一つのウイルスまたは寄生虫抗原を含む、ウイルスまたは寄生虫感染に対する治療ワクチンを提供する。
【0012】
また、本発明は、前記アジュバント組成物及び少なくとも一つの癌特異的抗原を含む、癌の予防または治療ワクチンを提供する。
【0013】
また、本発明は、前記アジュバント及び少なくとも一つのウイルスまたは寄生虫抗原をウイルスまたは寄生虫感染治療剤の製造に用いる用途を提供する。
同時に、本発明は、前記アジュバント及び少なくとも一つの癌特異的抗原を癌の治療用治療剤の製造に用いる用途を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のアジュバントを同時に使用する場合、抗原特異的抗体の量が増加してTh1タイプ免疫反応が誘導される効果が現われるので、ウイルスまたは寄生虫感染及び癌の予防または治療のためのワクチン用アジュバントとして有用に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】アジュバントとして、水酸化アルミニウム(Alum)、Pam3Cys−SKKKK単独、ポリI:C単独、またはPam3Cys−SKKKK及びポリI:Cの両方で、L−タンパク質(S−タンパク質−preS2−preSl)、M−タンパク質(S−タンパク質−preS2)、及びS−タンパク質からなるL−HBsAgを含む多様なワクチン組成物により誘導されたS−タンパク質の抗体価を示すグラフである。
【図2】L−HbsAg、及びアジュバントとして、Alum、Pam3Cys−SKKKK単独、ポリI:C単独、またはPam3Cys−SKKKK及びポリI:Cの両方を有する多様なワクチン組成物により誘導されたpreS抗原に対する抗体価を示すグラフである。このような実験から、Pam3Cys−SKKKK及びポリI:C間の相乗作用の効果が確認され得る。
【図3】L−HBsAg及びアジュバントとして、Alum、Pam3Cys−SKKKK単独、ポリI:C単独、またはPam3Cys−SKKKK及びポリI:Cの両方を有する多様な異なるワクチン組成物により誘導された抗体のアイソタイプを示すグラフである。a;各アイソタイプの抗体価、b;IgG2a/IgGl、c;IgG2b/IgGl。
【図4】異なるアジュバント;Alum、Pam3Cys−SKKKK単独、ポリI:C単独、またはPam3Cys−SKKKK及びポリI:Cの両方で組成されたインフルエンザウイルスHA抗原に対する免疫原性を示すグラフである。
【図5】異なる類型のアジュバント:Alum、Pam3Cys−SKKKK単独、ポリI:C単独、またはPam3Cys−SKKKK及びポリI:Cの両方で組成されたインフルエンザウイルス抗原により誘導された抗体のアイソタイプを示すグラフである。a;各アイソタイプの抗体価、b;IgG2a/IgGl。
【図6】異なるアジュバント:Alum、Pam3Cys−SKKKK単独、ポリI:C単独、またはPam3Cys−SKKKKの両方で組成されたハンセヌラ・ポリモルファのHBsAg抗原(S−タンパク質)及びサッカロマイセス・セレビシエのpreSに対する免疫原性を示すグラフである。
【図7】異なるアジュバント:Alum、Pam3Cys−SKKKK単独、ポリI:C単独、またはPam3Cys−SKKKKの両方で、ハンセヌラのS−タンパク質及び酵母のpreSで組成されたワクチンによるpreSに対する免疫原性を示すグラフである。
【図8】異なるアジュバント;Alum、Pam3Cys−SKKKK単独、ポリI:C単独、またはPam3Cys−SKKKKの両方で、ハンセヌラのHBsAg(S−タンパク質)及び酵母のpreSで組成されたワクチンにより誘導された抗体のアイソタイプを示すグラフである。a;各アイソタイプの抗体価、b;IgG2a/IgGl、c;IgG2b/IgGl。
【図9】アジュバントとして、水酸化アルミニウム(Alum)、Pam3Cys−SKKKK単独、Pam3Cys−SR8単独、FSL−I単独、ポリI:C単独、Pam3Cys−SKKKKとポリI:Cの組み合わせ、Pam3Cys−SR8とポリI:Cの組み合わせ、またはFSL−IとポリI:Cの組み合わせを用い、L−タンパク質(S−タンパク質−preS2−preSl)、M−タンパク質(S−タンパク質−preS2)、及びS−タンパク質からなるL−HBsAgを含む多様なワクチン組成物により誘導されたS−タンパク質の抗体価を示すグラフである。
【図10】L−HbsAg、及びアジュバントとして、水酸化アルミニウム(Alum)、Pam3Cys−SKKKK単独、Pam3Cys−SR8単独、FSL−I単独、ポリI:C単独、Pam3Cys−SKKKKとポリI:Cの組み合わせ、Pam3Cys−SR8とポリI:Cの組み合わせ、またはFSL−IとポリI:Cの組み合わせで組成された多様なワクチン組成物により誘導されたpreS抗原に対する抗体価を示すグラフである。このような実験から、リポペプチドとポリI:C間の相乗作用の前記効果が確認され得る。
【図11】L−HBsAg及びアジュバントとして、水酸化アルミニウム(Alum)、Pam3Cys−SKKKK単独、Pam3Cys−SR8単独、FSL−I単独、ポリI:C単独、Pam3Cys−SKKKKとポリI:Cの組み合わせ、Pam3Cys−SR8とポリI:Cの組み合わせ、またはFSL−IとポリI:Cの組み合わせで組成された多様に異なるワクチン組成物により誘導された抗体のアイソタイプを示すグラフである。a;各アイソタイプの抗体価、b;IgG2a/IgGl、c;IgG2b/IgGl。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0017】
本発明は、一つまたはそれ以上のリポペプチド及びポリI:Cを含むワクチン用アジュバントを提供する。
【0018】
本発明の実施例で、リポペプチドの一種であるPam3Cys−SKKKK及びポリI:Cを混合してアジュバントに使用してB型肝炎ウイルス抗原(L−HBsAg)、インフルエンザ抗原またはHBsAg S−タンパク質及びPreS混合抗原を対象に製剤化したワクチンが、前記アジュバントを単独で使用した場合または従来から強力なアジュバントとして知られた水酸化アルミニウムを使用した場合より、抗原特異的抗体生産量を顕著に増加させた(図1、2、4、6及び7、表1、2及び3参照)。
【0019】
Pam3Cys−SKKKKとポリI:Cの混合物を用いる場合、免疫反応を刺激するにおいて相乗作用を示した。すなわち、前記混合物により誘導されたpreS抗体価は、混合物の個別成分により誘導された抗体価の合計値より数倍も高かった。これは、図2に最もよく例示されており、ここで、preS抗体価は、混合物または個別成分について評価されている。このような相乗効果は、S−タンパク質抗体の誘導については、十分に言及されていない(図l)。これは、全ての実験に用いた抗原の量が、アジュバントの依存性を示す正確な量ではなく飽和量であるためである。L−タンパク質でのpreSの含量は、全体の10%未満である(5mg)。
【0020】
Th2の免疫反応を誘導すると知られている水酸化アルミニウムを用いてワクチンを組成する場合、IgGl抗体は、優勢なIgGのアイソタイプであった。その反面、Pam3Cys−SKKKK及びポリI:Cを含む混合物を用いてワクチンを組成する場合、IgG2a及びIgG2bが優勢に生成された。したがって、Pam3Cys−SKKKKの割合及びポリI:Cの混合物から得られるIgG2a/IgGl及びIgG2b/IgGlの割合は、通常のアジュバントである水酸化アルミニウムで得た割合に比較してさらに高かった(図3、5と8、及び表1、2と3参照)。ウイルス性感染及び癌に対する防御に非常に効果的なものと知られているIgG2a及びIgG2bのこのような増加は、前記新規なアジュバントで免疫反応の質が向上したことを提示している。このような発見は、本発明によるリポペプチド及びポリI:Cを含むアジュバントが強力な治療及び予防ワクチンの剤形を開発するのに効果的に用いられ得るということを示している。
【0021】
前記リポペプチドは、バクテリアとマイコプラズマに由来したリポペプチドの合成類似体でMetzgerなどによって初めて合成され(Metzger J等,Int J Peptide Protein Res 1991年,第37巻,p.46−57)、以後、多様な類似体が合成された(EMC microcollections GmbH Sindelfinger Str.3 72070 Tubingen,ドイツ)。リポペプチドの一種であるPam3Cys−Ser−SerをインフルエンザウイルスT細胞エピトープと結合させてマウスに投与した場合、ウイルス特異的な細胞毒性Tリンパ球(CTL)が誘導されたと報告されたことがあり(Schild H等,Eur J Immunol 1991年,第21巻,p.2649−2654)、一般的にリポペプチドは、TLR2に対するリガンドで知られている(Trinchieri G & Sher A,Nat Rev Immunol 2007年,第7巻,p.179−190)。
【0022】
本発明において、前記リポペプチドは、グリセロール分子に結合された脂肪酸及び多くのアミノ酸で構成されたもので、分子内に前記脂肪酸の数は、一つまたはそれ以上であり得る。前記リポペプチドは、グラム陽性やグラム陰性のバクテリアやマイコプラズマから由来した分子の一部または分子全体形態からなる脂質タンパク質であり得、また前記脂肪酸とアミノ酸は、化学的に変形して合成されたものであり得る。前記リポペプチドの例としては、Pam3Cys−SKKKK(化学式1;分子構造:N−パルミトイル−S−[2,3−ビス(パルミトイロキシ)−(2RS)−プロピル]−[R]−システイン−SKKKK)、PHC−SKKKK、Ole2PamCys−SKKKK、Pam2Cys−SKKKK、PamCys(Pam)−SKKKK、Ole2Cys−SKKKK、Myr2Cys−SKKKK、PamDhc−SKKKK、PamCSKKKK、Dhc−SKKKKなどが含まれ得るが、これに限定されるのではない。
【0023】
【化1】

【0024】
また、ポリI:Cは、インビボとインビトロ研究でタイプ1インターフェロンの強力な誘導体として使用されてきて(Magee ME & Griffith MJ,life Science II,1972年,第11巻,p.1081−1086;Manetti YR等,Eur J Immunol 1995年,第25巻,p.2656−2660)、ホ乳類で最も強力なAPCである樹状細胞を免疫反応を効果的に誘導することができる成熟型に作ることが報告された(Rous R等,International Immunol,2004年,第16巻,p.767−773)。すなわち、ポリI:Cは、強力なIL−12誘導物質であり、前記IL−12は、免疫反応をTh1が発達するように推進して細胞性免疫反応とIgG2a抗体形成を誘導する重要なサイトカインである。また、ポリI:Cは、ペプチド抗原に対する強力なアジュバント活性を有することが報告された(Cui Z & Qui F,Cancer Immunol Immunotherapy 2005年,第16巻,p.1−13)。
前記ポリI:Cは、二重ラセン構造を有する合成RNAで、その長さが50〜2,000bpであることが相応しく、100〜500bpが好ましい。
【0025】
また、本発明は、リポペプチド及びポリI:C及び少なくとも一つの抗原で構成された前記アジュバントを含むワクチン組成物を提供する。より詳細には、本発明は、それぞれのアジュバント成分による相加的効果を提供する代りに相乗的に免疫反応を誘導することができる一つまたはその以上のリポペプチド及びポリI:Cで構成されたアジュバントを提供する。
【0026】
本発明の好ましい実施例において、本発明のアジュバントを用いて製造されたワクチンは、抗原特異性抗体の生成を相乗的に増加させることはもとより、IgG2a及びIgG2bを誘導しながら、免疫反応の質を変更したことが証明された(図1−8及び表1−3参照)。したがって、本発明の前記アジュバントの成分を含むアジュバントの組成物は、抗原の免疫原性を増加させ、それによってワクチンの効能を改善させるのに効果的に用いられ得る。前記抗原は、宿主の体内に入った時、宿主の免疫系によって認識されて免疫反応を起こすことができるすべての物質を意味し、前記抗原の全長または断片であり得る。
【0027】
また、前記抗原は、精製されたまたは精製されていない形態で提供することができ、精製された形態で提供されることが好ましい。
【0028】
前記抗原には、例えば、病原体のタンパク質、組換えタンパク質、ペプチド、多糖類、糖タンパク質、脂質多糖類及びDNA分子、癌細胞、生ウイルス、またはハプテン分子などがあり得る。前記病原体のタンパク質は具体的に、インフルエンザウイルス抗原(HA:ヘマグルチニンまたはノイラミニダーゼ抗原)、百日咳菌抗原、百日咳毒素、線維状赤血球凝集素、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原、ヘリコバクテリアピロリ抗原(capsula polysaccharides of serogrup A,B,C,Y及びW−135)、破傷風菌抗原、ジフテリア菌抗原(diphtheria toxoid)、肺炎菌抗原(Streptococcus pnemoniae type 3 capsular polysaccharide)、結核菌抗原、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原(GP−120、GP−160)、コレラ抗原(cholera toxin B subunit)、ブドウ球菌抗原(staphylococcal enterotoxin B)、赤痢菌抗原(shigella polysaccharides)、水疱性口内炎ウイルス抗原(vesicular stomatitis virus glycoprotein)、サイトメガロウイルス(CMV)抗原、肝炎ウイルス(hepatitis)抗原[肝炎A(HAV),B(HBV),C(HCV),D(HDV)及びG(HGV)抗原:L−HBsAg、S−HBsAg、M−HBsAg及びpreS抗原]、呼吸器多核体ウイルス(RSV)抗原、ヘルペスシンプレックス抗原またはその組み合わせ(例えば、ジフテリア、百日咳菌及び破傷風菌、DPT)などを含むことができるが、これに限定されるのではない。
【0029】
本発明のワクチン組成物は、本発明のアジュバント及び抗原以外に追加で同一または類似の機能を示す有効成分を1種以上含むことができる。また、前記ワクチン組成物は、投与のために前記記載した有効成分以外に追加で薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含んで製造することができる。薬剤学的に許容可能な担体は、食塩水、リンゲル液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エチルアルコール及びこれら成分の中で1成分以上を混合して使用することができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤成分を添加することができる。また希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形などに製剤化することができる。さらに、当分野の適正な方法で、またはRemington’s Pharmaceutical Science(最近版)、Mack Publishing Company、Easton PAに開示されている方法を用いて各疾患によってまたは成分によって好ましく製剤化することができる。
【0030】
本発明のワクチン組成物は、非経口で投与することができ、非経口投与は、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射または胸部内注射注入方式による。非経口投与用剤形に製剤化するためには、本発明のワクチン組成物を安定剤または緩衝剤とともに混合して溶液または懸濁液に製造してそれをアンプルまたはバイアルの単位投与型に製剤化する。
本発明のワクチン組成物は、投与経路によって多様な形態に製造することができる。例えば、本発明のワクチン組成物は、注射用途に相応しい滅菌水溶液または分散液の形態に製造することができ、または凍結乾燥技術を用いてフリーズドライされた形態に製造することができる。フリーズドライされたワクチン組成物は、典型的に約4℃で維持され、補助剤を含むか含まない安定化溶液、例えば、食塩水または/及びHEPESによって復元することができる。
【0031】
本発明の方法を実施するのにおいて、投与されるワクチン組成物の量に影響を及ぼす因子としては、これに限定されるのではないが、投与方式、投与頻度、治療が進行中の特定疾病、疾病の深刻性、疾病の病歴、個体が他の治療剤とともに協力治療法を進行中かどうか、及び治療が進行中の個体の年齢、身長、体重、健康、及び身体条件を含む。一般的に治療が進行中の患者の体重が増加するほど、この製剤をより多く投薬することが好ましい。
【0032】
また、本発明は、前記ワクチン組成物を個体に投与する工程を含む相応しい良質の抗体を形成させる方法を提供する。
【0033】
本発明の実施例で、本発明のアジュバントを使用して製剤化したワクチン組成物を用いる場合、抗原特異的抗体生産量及びIgG2a及びIgG2bの生成が非常に高いことが示された(図1ないし10及び表1ないし4参照)。それで、本発明のワクチン組成物は、免疫原性を改善するため、相応しい良質の抗体を多量生産するのに効果的に用いることができる。
【0034】
本発明の方法を実施するにおいて、本発明のワクチン組成物は、非経口投与することができ、腹腔内注射、皮下注射、静脈注射または筋肉内注射によって投与することができる。また、本発明のワクチン組成物は、個体で免疫反応を刺激するのに効果的な量で投与することができる。例えば、ワクチンは、ヒトに一回ないし数回に分けて投与することができ、投与量は、1〜250μgで、より好ましくは10〜100μgである。
【0035】
また、本発明は、前記ワクチン組成物をそれを必要とする個体に投与する工程を含む Th1免疫反応を増進させる方法を提供する。
本発明の実施例で、本発明のアジュバントを使用して製剤化したワクチン組成物を用いる場合、IgG2a及びIgG2bの生成が非常に高いことが示された(図3、5、8及び10、表1、2、3及び4)。ゆえに、本発明のワクチン組成物は、免疫原性を改善するため、Th1免疫反応を増進させるのに効果的に用いることができる。
【0036】
また、本発明は、前記アジュバント及び少なくとも一つのウイルスまたは寄生虫抗原組成物を有効成分として含む、ウイルスまたは寄生虫感染免疫治療剤を提供する。
また、本発明は、前記アジュバント及び少なくとも一つのウイルスまたは寄生虫抗原をウイルスまたは寄生虫感染治療用治療剤の製造に用いる用途を提供する。
【0037】
本発明の実施例で、本発明のアジュバントを使用して製剤化した治療剤組成物を用いる場合、抗原特異的抗体生産量及びIgG2a及びIgG2bの生成が非常に高いことが示された(図1ないし10及び表1ないし4参照)。IgG2a及びIgG2bは、ウイルス感染及び細胞感染に対する防御に効果的であることが知られている。それで、本発明のワクチン用アジュバントと少なくとも一つのウイルスまたは寄生虫抗原を含むワクチン組成物は、ウイルスまたは寄生虫感染治療剤として効果的に用いることができる。本発明の好ましい実施例において、ウイルス性抗原は、インフルエンザウイルス抗原(HA:ヘマグルチニンまたはノイラミニダーゼ抗原)、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原(GP−120,GP−160)、水疱性口内炎ウイルス抗原(水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質)、サイトメガロウイルス(CMV)抗原、肝炎ウイルス抗原[肝炎A(HAV)、B(HBV)、C(HCV)、D(HDV)及びG(HGV):L−HbsAg、S−HbsAg、M−HbsAg、preS]、呼吸器多核体ウイルス(RSV)抗原または単純ヘルペスウイルス抗原である。
【0038】
本発明の好ましい実施例において、前記寄生虫は、原生動物、線虫類、吸虫綱または条虫綱であるが、これに限るものではない。
【0039】
原生動物は、好ましくは根足虫類、鞭毛虫類、繊毛虫類または胞子虫類であるが、これに限るものではない。
【0040】
根足虫類は、赤痢アメーバと大腸アメーバを含む。鞭毛虫類は、ランブル鞭毛虫、膣トリコモナス、腸トリコモナス及びHaemoflagellatesを含む。
【0041】
繊毛虫類は、大腸繊毛虫を含む。条虫綱は、好ましくは三日熱マラリア原虫及び熱帯熱マラリア原虫を始めとするマラリア原虫、トキソプラズマ原虫、カリニ肺炎菌、ヒトイソスポラ、及び小形クリプトスポリジウムとC.murisを始めとするクリプトスポリジウム属である。
【0042】
線虫類は、好ましくは鞭虫、鈎虫、蟯虫、回虫または糸状虫であるが、これに限るものではない。
【0043】
鞭虫は、好ましくはヒト鞭虫またはTrichocephalus trichiurisであるが、これに限るものではない。しかし、犬、猫及び豚のような動物に感染する他の鞭虫を含み得る。
【0044】
鈎虫は、好ましくはズビニ(十二指腸)鈎虫またはアメリカ鈎虫であるが、これに限るものではない。
【0045】
蟯虫は、好ましくはヒト蟯虫またはEnterobius gregoriiである。回虫は、好ましくは、通常豚に感染するA.suum及びヒトに感染するA.lumbricoidesである。
【0046】
糸状虫は、好ましくはバンクロフト糸状虫、回旋糸状虫、ロア糸状虫または犬糸状虫である。
【0047】
吸虫綱は、好ましくは二生亜綱であるが、これに限るものではない。二生亜綱は、住血吸虫または非−住血吸虫を含む。
【0048】
住血吸虫は、マンソン住血吸虫、ビルハルツ住血吸虫、Schistosoma japonicun及びSchistosoma intercalatumを含むが、これに限るものではない。
【0049】
前記非−住血吸虫は、肥大吸虫、Heterophyes heterophyes、Metagonimus yokogawaii、Gastrodiscoides hominis、肝ジストマ、肝蛭及びウェステルマン肺吸虫を含むが、これに限るものではない。条虫綱は、好ましくはテニア科または裂頭条虫科であるが、これに限るものではない。
【0050】
条虫綱は、有鈎条虫及び無鈎条虫を含む。裂頭条虫科は、広節裂頭条虫、サナダムシ(Diphyllobothrium dendriticum)、日本海裂頭条虫、太平洋裂頭条虫、カメロン裂頭条虫、ヒグマ裂頭条虫、槍形吸虫、ダリア裂頭条虫、及びD.yonagoensisのような頭条虫属を含む。「寄生虫抗原」は、宿主で体液性反応を誘導できる寄生虫から誘導された分子を意味する。寄生虫抗原は、表面糖タンパク質またはこれの炭水化物または脂質分子であり得る。
【0051】
特定の寄生虫抗原について、先行技術は、多様な寄生虫抗原を開示している。特に、WO9526402A1は、(i)自然な状態で、内在性膜タンパクであること;(ii)寄生虫の内臓で天然的部位を有すること;(iii)チオール親和性媒体に結合できること;及び(iv)免疫化された動物の宿主の血清により認知されることと特徴づけられる蠕虫類の寄生虫抗原を開示している。WO9512671Alは、アミノペプチダーゼ−類似活性を持つ蠕虫類の寄生虫を開示している。US6399077は、トキソプラズマ原虫に感染した細胞培養物の分解物の中で非感染性の溶解分を開示している。US6413521は、選択的な被供給蠕虫類に対して防御免疫性を提供し、アミノペプチダーゼ−類似活性を持つことを特徴とする、分離されて精製された抗原を開示している。US20070087012A1は、マラリア原虫及び関連寄生虫に由来した新規のファシクリン関連粘性タンパク質(FRAP)を開示する。WO9402169A1は、ペプスタチンに結合できる防御性後生動物の寄生虫抗原を開示している。US4656251は、犬糸状虫の寄生虫抗原を開示している。US4839275は、犬糸状虫の循環性寄生虫抗原を開示している。
【0052】
前記ウイルスまたは寄生虫感染治療剤は、非経口投与することができ、皮下注射、静脈注射または筋肉内注射注入方式を選択することが好ましい。非経口投与用剤形に製剤化するためには、本発明のワクチン組成物をオイルエマルジョンで製造し、それをアンプルまたはバイアルの単位投与型に製剤する。本発明による有効成分の投与量は、体内で活性成分の吸収度、不活性化率、患者の年齢、性別及び状態、治療する疾病の重症程度によって適切に選択される。
【0053】
また、本発明は、前記アジュバント及び少なくとも一つの癌特異的抗原組成物を有効成分として含む癌の予防または治療剤を提供する。
【0054】
本発明は、また、アジュバント及び活性成分として、少なくとも一つの癌特異性抗原の組成を含有する癌の予防または治療剤を提供する。前記癌は、好ましくは、腎細胞癌、黒色腫、慢性リンパ性白血病、肺癌、子宮頚部癌、胃癌、甲状腺癌、膵贓癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、胆管(細胞)癌、肝臓癌、結腸癌、または直腸癌であるが、これに限るものではない。
【0055】
前記「癌特異性抗原」は、正常組織よりは癌性組織で差別的に発現されるタンパク質またはその免疫学的活性分体である。多様な癌特異性抗原が、当該分野で公知されている。例えば、gplOO、MART−I及びMAGE−Iは、黒色腫に特異的であることが公知された抗原である。他の癌特異性抗原としては、チロシナーゼ、CEA(癌胎児性抗原)、PSA(前立腺特異抗原)、HER2/neu、MAGE−I、MAGE−2、MAGE−3、NY−ESO−I、MUC−I、SART−IまたはSART−3、TERT(テロメラーゼ逆転写酵素)またはTERTに由来した部分ペプチド、WTlまたはWTlに由来した部分ペプチド、サバイビン2Bまたはサバイビン2Bに由来した部分ペプチド、gp75、MDM2、テロメラーゼ、alph−1胎児タンパク質、CA125、CA15−3、CA19−9、G250及びNY−ESO−Iを含むが、これに限るものではない(参照WO2006/078059及びWO2007/065957)。
【0056】
さらに癌関連抗原(CAA)及びCAAを鑑別する方法としては、Miller(Drig Discovery Today,2003年,第8巻,p.31−38)、カワカミとローゼンベルグ(Immunol.Res.2003年,第16巻,p.313)、及びSlingluffなど(Curr.Opin.Immunol.,1994年,第6巻,p.733)に開示されており、これら文献は、参照文献に含まれている。
【0057】
同時に、本発明は、ワクチン組成物として前記アジュバントを、強力な細胞免疫反応が求められる癌治療用免疫学的治療剤の製造に用いる用途を提供する。
【0058】
本発明の実施例で、本発明のアジュバントを使用して製剤化した免疫学的治療剤組成物を用いる場合、抗原特異的抗体生産量及びIgG2a及びIgG2bの生成が非常に高いことが示された(図1ないし10及び表1ないし4参照)。IgG2a及びIgG2bは、抗癌免疫反応に効果的なことが知られている。それで、本発明のワクチン用アジュバントと相応しい癌特異的抗原を含む免疫学的治療剤組成物は、癌予防または治療用予防または治療剤として効果的に用いることができる。
【0059】
前記癌の予防または治療用免疫学的薬剤は、非経口投与することができ、皮下注射、静脈注射または筋肉内注射注入方式を選択することが好ましい。非経口投与用剤形に製剤化するためには、本発明のワクチン組成物をオイルエマルジョンに製造し、それをアンプルまたはバイアルの単位投与型に製剤する。本発明による有効成分の投与量は、体内で活性成分の吸収度、不活性化率、患者の年齢、性別及び状態、治療する疾病の重症程度によって適切に選択される。
【0060】
以下、本発明を実施例によってさらに詳しく説明する。
【0061】
但し、下記実施例は、本発明を例示するだけのものであって、本発明の内容が下記実施例によって限定されるのではない。
<実施例1>B型肝炎ウイルス抗原の免疫原性の刺激
B型肝炎ウイルス抗原及び水酸化アルミニウム(Brenntag Biosector、ドイツ)、Pam3Cys−SKKKK(リポペプチド)(EMC microcollections GmbH、ドイツ)単独、ポリI:C(Sigma,米国)単独、またはPam3Cys−SKKKKまたはポリI:C混合物を含む多様なアジュバントを使用してワクチンを製造し、それぞれのワクチン製剤の誘導された抗体価を比較した。
<1−1>ワクチンの製造及び投与
B型肝炎ウイルス全体表面抗原(L−HBsAg;韓国第10−0836745号)と前記アジュバントを混合してワクチンを製造した後、マウスに投与した。ここで、L−HBsAgは、S−タンパク質(preS1及びpreS2がない小さなタンパク質)、M−タンパク質(preS2のみを有する中間タンパク質)、及びL−タンパク質(preS1及びpreS2をすべて有する巨大タンパク質)で構成される。
具体的に、下記表1に示されたように、Pam3Cys−SKKKKまたはポリI:CまたはPam3Cys−SKKKK及びポリI:C混合物20μgとL−HBsAg0.5μgを混合してオイルエマルジョン製剤形態のワクチンを製造した後、他の剤形によって誘導された抗体価を比較した。陽性対照群として、同一な量の抗原を水酸化アルミニウムで製剤化した。ワクチンは、6週齢のC57BL/6マウスのメスに2週間隔で3回筋肉注射した。陰性対照群は、抗原とアジュバントなしにPBS緩衝溶液のみを投与した。
【0062】
【表1】

【0063】
<1−2>免疫反応分析
<1−2−1>HBsAg(S−タンパク質)に対する抗体価
ワクチン投与前と3次ワクチン投与完了後2週目に血清を分離して抗原特異的な抗体形成をELISA法で分析して抗体価を決定した。
【0064】
具体的に、組換えS−タンパク質((株)ドゥビエル、韓国)を96ウェルマイクロプレートに100ng/ウェルの濃度でコーティングした後、1%BSAで1時間ブロッキングした。マイクロプレートを洗浄した後、各ウェルに順次に希釈した血清を入れて37℃で2時間反応させた。2次抗体に抗マウスヤギIgG−HRP(Horse Radish Heroxidase;Sigma,米国)を入れて1時間同一な条件で反応させた。PBST(ツイーン20を含んだPBS)で洗浄後、発色試薬TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)ペルオキシダーゼ基質溶液(KPL,米国)を入れて、20分間常温で反応させた後、ELISAリーダー器を用いて450nmでOD値を測定した。抗体価は、陰性対照群のOD値の3倍に該当するOD値を示す抗体希釈倍数の逆数で定義した。
【0065】
その結果、表1及び図1に示されたように、Pam3Cys−SKKKKまたはポリI:Cを用いる場合、水酸化アルミニウムを使用した時よりさらに高いHBV表面タンパク質のS−タンパク質に対する抗体価を誘導することができる効果を示した。特に、Pam3Cys−SKKKK及びポリI:Cを混合して使用する場合、単独で使用したよりさらに高い抗体価を誘導することができる相乗効果を示した。Pam3Cys−SKKKK及びポリI:Cの混合の相乗効果は、PreS抗体の誘導においてさらに明確だった。L−HBsAg製造において、preSの量が総量の10%以下なので、これは使用された抗原の量によるものであるといえる。0.5μgの抗原は、マウスにおける免疫反応のためのほぼ飽和用量である。
<1−2−2>preSに対する抗体価
抗原にpreS抗原((株)ドゥビエル、韓国)を用いたことを除いて、実施例1−2−1と同一な方法で抗体価を決定した。
その結果、表1及び図2に示されたように、Pam3Cys−SKKKK及びポリI:Cを混合して使用する場合、preSに対するさらに高い抗体価を誘導するのにさらに効果的だった。前記アジュバント混合物によるpreSタンパク質の誘導は、相乗効果を有し、Pam3Cys−SKKKK単独及びポリI:C単独によって誘導されたpreS抗体価の増加した値と比較して、preS抗体の4倍以上誘導した。
<1−2−3>誘導されたHBsAg抗原特異的抗体のアイソタイプ
2次抗体にアイソタイプIgG1、IgG2a及びIgG2b(mouse monoclonal antibody isotyping reagents;Sigma,米国)を用いたことを除いて、実施例1−2−1と同一な方法で抗体価を決定した。また、前記抗体価を用いてIgG2a/IgG1及びIgG2b/IgG1を計算した。
その結果、図3aに示されたように、アイソタイプIgG2a及びIgG2bは、水酸化アルミニウムで得られた値と比較して、前記アジュバント混合物によってさらに高かった。特に、IgG2bの誘導は、水酸化アルミニウムと比較して20倍以上高かった。Pam3Cys−SKKKKとポリI:Cを混合して使用する場合、IgG2a/IgG1の割合は、水酸化アルミニウムより10倍高かった。特に、IgG2bの生成が顕著に高く、IgG2b/IgG1の割合が、IgG2a/IgG1より非常に高かった(図3b及び図3c)。
<実施例2>インフルエンザウイルス抗原に対する強力なワクチンの製造
インフルエンザ抗原を対象に、水酸化アルミニウム、Pam3Cys−SKKKK単独、ポリI:C単独、またはPam3Cys−SKKKK及びポリI:Cの混合をアジュバントに使用してワクチンを製造し、HBsAg抗体分析のためにキャプチャリング抗原としてインフルエンザウイルス抗原を使用して誘導された抗体価を測定した。
<2−1>試験ワクチンの製造及び投与
組換え分割ワクチン抗原(Influenza Split Vaccine;Korea Vaccine Co.,ltd,韓国)と前記アジュバントを混合してワクチンを製造した後、マウスに投与した。ここで、前記抗原は、インフルエンザウイルス株A/New Caledonia/20/99(H1N1)、a/Wisconsin/67/2005(H3N2)及びB/Malaysia/2506/2004を発育卵の尿膜腔内に接種して培養、精製及び不活性化して製造されたものである。
具体的に、下記表2に示されたように、Pam3Cys−SKKKK単独、ポリI:C単独、Pam3Cys−SKKKK及びポリI:Cの混合、または水酸化アルミニウム20μgと分割ワクチン抗原1.8μgを混合してオイルエマルジョン製剤形態のワクチンを製造した後、ワクチンは、5週齢のC57BL/6マウスのメスに3週間隔で2回筋肉注射した。ここで、陰性対照群は、PBS緩衝溶液のみを投与し、陽性対照群は他のアジュバントなしに前記抗原のみ投与した。すべてのグループは、6匹のマウスで構成した。
【0066】
【表2】

【0067】
<2−2>体液性免疫反応分析
ワクチン投与前と2次ワクチン投与完了後、2週目に血清を分離して抗原特異的な抗体形成をELISA法で分析して抗体価を決定した。
<2−2−1>HA抗原に対する抗体価
抗原にHA抗原(Korea Vaccine Co.,ltd,韓国)を用いたことを除いて、実施例1−2−1と同一な方法で抗体価を決定した。
その結果、表2及び図4に示されたように、Pam3Cys−SKKKK及びポリI:Cを混合して使用する場合、単独で使用した場合及び水酸化アルミニウムを使用した場合よりさらに高いHA抗原に対する抗体価を誘導することができる相乗効果を示した。
<2−2−2>誘導されたHA抗原特異的抗体のアイソタイプ
2次抗体にアイソタイプIgG1及びIgG2aを用いたことを除いて、実施例2−2−1と同一な方法で抗体価を決定した。また、前記抗体価を用いてIgG2a/IgG1及びIgG2b/IgG1を計算した。
その結果、図5aに示されたようにアイソタイプIgG1及びIgG2aに対する抗体価を得た。前記抗体価を用いてアイソタイプの割合を計算した結果、Pam3Cys−SKKKKとポリI:Cを混合して使用する場合、IgG2a/IgG1が特異的に高かった(図5b)。
<実施例3>組換えHBsAg(ハンセヌラ・ポリモルファ由来S−タンパク質)及び組換えpreSタンパク質(サッカロマイセス・セレビシエ由来)に対する強力なワクチンの製造
組換えHBsAg及び組換えpreSタンパク質を対象に、水酸化アルミニウム、Pam3Cys−SKKKK及びポリI:Cをアジュバントに使用して製造されたワクチンの効果を比較した。
<3−1>試験ワクチンの製造及び投与
組換えHBsAg((株)ドゥビエル、韓国)及び組換えpreSタンパク質((株)ドゥビエル、韓国)と前記アジュバントを混合してワクチンを製造した後、マウスに投与した。ここで、組換えHBsAgは、preS抗原なしにS−タンパク質のみを含み、組換えpreSタンパク質はコロイダルゴールドにコンジュケーションしてパーティクル形態に製造した。
【0068】
具体的に、下記に記載したように、Pam3Cys−SKKKKまたはポリI:C及び水酸化アルミニウム20μgと組換えS−タンパク質0.5μg及びpreS抗原5μgを混合してオイルエマルジョン製剤形態のワクチンを製造した後、各試験ワクチンは、一回用量当り組換えS−タンパク質0.5μg及びpreS抗原5μgを使用して5週齢のC57BL/6マウスのメスに2週間隔で3回筋肉注射した。
【0069】
陰性対照群は、PBS緩衝溶液のみを投与した。陽性対照群は、水酸化アルミニウム、S−タンパク質、及びコロイダルゴールドにコンジュケーションされた組換えpreS抗原を混合して投与した。実験群1は、S−タンパク質、Pam3Cys−SKKKK及びポリI:Cと混合した後オイルエマルジョン形態に製造し、コロイダルゴールドにコンジュケーションされた組換えpreS抗原を混合して投与した。実験群2は、S−タンパク質とコロイダルゴールドにコンジュケーションされた組換えpreS抗原をPam3Cys−SKKKK及びポリI:Cと混合した後オイルエマルジョン形態に製造して投与した。
<3−2>体液性免疫反応分析
ワクチン投与前と3次ワクチン投与完了後2週目に血清を採取し、抗原特異的な抗体形成をELISA法で分析して抗体価を決定した。
<3−2−1>S−タンパク質に対する抗体価
実施例1−2−1と同一な方法で、S−タンパク質に対する抗体価を決定した。
その結果、表3及び図6に示されたように、Pam3Cys−SKKKKとポリI:Cを混合して使用した場合、水酸化アルミニウムを使用したより10倍さらに高いS−タンパク質に対する抗体価を誘導した。特に、S−タンパク質とpreS抗原を前記アジュバントとともに混合して製剤化したワクチンが、S−タンパク質のみ前記アジュバントとともに混合して製剤化したワクチンよりさらに高い抗体価を示した。
【0070】
【表3】

【0071】
<3−2−2>preSに対する抗体価
実施例1−2−2と同一な方法でpreS抗原に対する抗体価を決定した。
その結果、表3及び図7に示されたように、Pam3Cys−SKKKKとポリI:Cを混合して使用した場合、水酸化アルミニウムを使用したよりさらに高いpreS抗原に対する抗体価を誘導した。特に、HBsAgとpreS抗原を前記アジュバントとともに混合してエマルジョンして製剤化したワクチンが、水酸化アルミニウムより3倍高いpreS抗体を効果的に誘導した。
<3−2−3>誘導されたHBsAg抗原特異的抗体のアイソタイプ
実施例1−2−3と同一な方法で抗体価を決定した後、前記抗体価を用いてIgG2a/IgG1及びIgG2b/IgG1を計算した。
その結果、図8aに示されたようにアイソタイプIgG1、IgG2a及びIgG2bに対する抗体価を得た。前記抗体価を用いてアイソタイプの割合を計算した結果、Pam3Cys−SKKKKとポリI:Cを混合して使用した場合、水酸化アルミニウムを使用したよりIgG2a/IgG1とIgG2b/IgG1が高く誘導され、特に、HBsAgとpreS抗原を前記アジュバントとともに混合して製剤化したワクチンが、preS抗原のみ前記アジュバントとともに混合して製剤化したワクチンよりさらに高く示された(図8b及び図8c)。
<実施例4>多様なリポペプチドを用いたアジュバントの組成物
多様なリポペプチド類のポリI:Cとの相乗作用的免疫増強の効果を試験するために、Pam3Cys−SKKKK、Pam3Cys−SR8またはFSL−I(線維芽細胞−刺激リポペプチド)を肝炎Bウイルス抗原と剤形化した。
<4−1>ワクチンの製造及び投与
水酸化アルミニウムに予め吸着させた肝炎Bウイルスの全表面抗原と前記アジュバントの成分とを混合することによってワクチンを製造し、それをマウスに投与した。実験中に、水酸化アルミニウムの吸着抗原は、より安定であり、前記水酸化アルミニウムは、リポペプチド及びポリI:Cの混合物の免疫増強に顕著な効果を奏しないことが明らかになった(データは未提示)。
【0072】
特に、表4に示されたように、水酸化アルミニウムに吸着したL−HBsAgの0.5μgを前記リポペプチド類またはポリI:Cの20μgと剤形化した(実験群1−4)。また、同量の抗原をリポペプチド及びポリI:Cの混合物と剤形化した(実験群5−7)。
【0073】
ワクチンを6週齢のC57BL/6マウスのメスに2週間間隔で3回筋肉内に注射した。陰性対照群は、ワクチンと抗原なしにPBSのみ投与し、陽性対照群は、水酸化アルミニウムと剤形化した前記抗原を投与した。
【0074】
【表4】

【0075】
<4−2>免疫反応の分析
ワクチンの投与前と最後のワクチン投与2週間後に血清をそれぞれのマウスから収集し、抗原特異性抗体の生成をELISAで分析し、抗体価を決定した。
<4−2−l>HBsAg(S−タンパク質)に対する抗体価
実施例<l−2−l>と同一な方法で抗体価を決定した。
表4及び図9に示されたように、リポペプチド(Pam3Cys−SKKKK及びPam3Cys−SR8のような)及びポリI:Cの混合物を用いた場合、誘導された抗体価は、個別的に誘導された抗体の和よりも若干高く、これは、このような二つの成分の相乗効果を示している。
<4−2−2>preSに対する抗体価
preS抗原((株)ドゥビエル、韓国)を抗体捕獲の抗原として用いたことを除き、実施例<1−2−1>と同一な方法で抗体価を決定した。
表4及び図10に示されたように、前記リポペプチド類の一つ及びポリI:Cを含むアジュバントの混合物は、preSに対してより高い抗体価を誘導するのにさらに効果的であった。
Pam3Cys−SKKKKよりは、他のリポペプチド及びポリI:Cの組み合わせの使用による相乗作用が、実施例<l−2−2>でPam3Cys−SKKKK及びポリI:Cで示されたように、preS抗体に対してより顕著である。
<4−2−3>誘導されたHBsAg特異性抗体のアイソタイプ
IgGl5、IgG2a及びIgG2bを二次抗原として用いたことを除き、実施例<1−2−1>と同一な方法で抗体価を決定した。また、得た抗体価を用いてIgG2a/IgGl及びIgG2b/IgGlの割合を計算した。
図11aに示されたように、アイソタイプのIgG2a及びIgG2bの抗体価は、前記リポペプチド及びポリI:Cの組み合わせをアジュバントとして用いた場合、アジュバントとして水酸化アルミニウムで誘導された値と比較して、はるかに高かった。結論として、IgG2a/IgGl及びIgG2b/IgGlの割合も、前記アジュバントの混合物を用いた場合にさらに高かった(図l1b、c)。前記相乗効果は、Pam3Cys−SKKKK、Pam3Cys−SR8またはFLS−Iをリポペプチドの成分として用いた場合と類似であった。特に、Pam3Cys−SKKKK及びポリI:Cの組み合わせが最も効果的であった。
【0076】
当該分野の熟練者は、前記説明で開示された概念及び特定の実施例は、本発明の同じ目的を遂行するための他の実施例を変形して考案する基礎として容易に用いられ得ることを理解するだろう。当該分野の熟練者はまた、各同等の実施例は、添付された請求の範囲に設定されたような本発明の思想と範囲を逸脱しないことを理解するだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後天性免疫反応の誘導を相乗的に刺激する一つまたはそれ以上のリポペプチド及びポリI:C(polyinosinic:polycytidylic acid)を含むワクチン用アジュバント。
【請求項2】
前記リポペプチドが、Pam3Cys−SKKKK、Pam3Cys−SR8、FLS−1、PHC−SKKKK、Ole2PamCys−SKKKK、Pam2Cys−SKKKK、PamCys(Pam)−SKKKK、Ole2Cys−SKKKK、Myr2Cys−SKKKK、PamDhc−SKKKK、PamCSKKKK及びDhc−SKKKKからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のワクチン用アジュバント。
【請求項3】
ポリI:Cは、その長さが50〜2,000bpであることを特徴とする、請求項1に記載のワクチン用アジュバント。
【請求項4】
請求項1のアジュバント及び少なくとも一つの抗原を含むワクチン組成物。
【請求項5】
抗原が、病原体のタンパク質、組換えタンパク質、ペプチド、ハプテン、多糖類、糖タンパク質、脂質多糖類、DNA分子(ポリヌクレオチド)、癌細胞、及び微生物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載のワクチン組成物。
【請求項6】
抗原が、L−HBsAg、インフルエンザHA、S−タンパク質及びpreSからなる群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載のワクチン組成物。
【請求項7】
細胞性免疫を効果的に誘導して、IgG1、IgG2a及びIgG2bを含む、相応しい抗原特異的良質の抗体を生産することができることを特徴とする、請求項4に記載のワクチン組成物。
【請求項8】
前記相応しい良質の抗体が、IgG1、IgG2a及びIgG2bタイプであることを特徴とする、請求項7に記載のワクチン組成物。
【請求項9】
請求項4のワクチン組成物をそれを必要とする個体に投与する工程を含む相応しい良質の抗体を形成させる方法。
【請求項10】
相応しい良質の抗体を多量生産することができることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項4のワクチン組成物をそれを必要とする個体に投与する工程を含むTh1免疫反応を増進させる方法。
【請求項12】
請求項1のアジュバント及び少なくとも一つのウイルス抗原または寄生虫抗原を含むウイルスまたは寄生虫感染治療剤。
【請求項13】
前記ウイルス抗原が、インフルエンザウイルス抗原(HA:ヘマグルチニンまたはノイラミニダーゼ抗原)、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原(GP−120、GP−160)、水疱性口内炎ウイルス抗原(水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質)、サイトメガロウイルス(CMV)抗原、肝炎ウイルス抗原[肝炎A(HAV),B(HBV),C(HCV),D(HDV)及びG(HGV)抗原:L−HBsAg、S−HBsAg、M−HBsAg及びpreS抗原]、呼吸器多核体ウイルス(RSV)抗原、又はヘルペスシンプレックス抗原であることを特徴とする、請求項12に記載の治療剤。
【請求項14】
前記寄生虫が、原生動物、線虫類、吸虫類または条虫類であることを特徴とする、請求項12に記載の治療剤。
【請求項15】
請求項1のアジュバント及び少なくとも一つの癌特異的抗原を含む癌の予防または治療用ワクチン。
【請求項16】
前記癌が、腎臓癌、悪性黒色腫、慢性リンパ球性白血病、肺癌、子宮頚部癌、胃癌、甲状腺癌、膵臓癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、胆管癌、肝臓癌、結腸癌、または直腸癌であることを特徴とする、請求項15に記載の予防または治療用ワクチン。
【請求項17】
前記癌特異的抗原が、gplOO、MART−I及びMAGE−I、チロシナーゼ、CEA(癌胎児性抗原)、PSA(前立腺特異抗原)、HER2/neu、MAGE−I、MAGE−2、MAGE−3、NY−ESO−I、MUC−I、SART−IまたはSART−3、TERT(テロメラーゼ逆転写酵素)またはTERTに由来した部分ペプチド、WTlまたはWTlに由来した部分ペプチド、サバイビン2Bまたはサバイビン2Bに由来した部分ペプチド、gp75、MDM2、テロメラーゼ、alph−1胎児タンパク質、CA125、CA15−3、CA19−9、G250又はNY−ESO−Iであることを特徴とする、請求項15に記載の予防または治療用ワクチン。
【請求項18】
請求項1のアジュバント及び少なくとも一つのウイルスまたは寄生虫抗原の、ウイルスまたは寄生虫感染治療用治療剤の製造における使用。
【請求項19】
請求項1のアジュバント及び少なくとも一つの癌特異的抗原の、癌の予防または治療用免疫学的薬剤の製造における使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2011−506309(P2011−506309A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536835(P2010−536835)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006842
【国際公開番号】WO2009/072767
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(507140298)ドゥビエル カンパニー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】