説明

リモコン装置

【課題】操作部の各ボタンの裏面側の導体部が磨耗しても接点部分での当接状態を良好状態へ復帰できる、使用回数に対して長寿命なリモコン装置を提供する。
【解決手段】リモコン装置本体1は、複数のボタン2が設けられ、各ボタン2の裏面側に導体部12が形成された操作部11と、前記各ボタン2の裏面側の導体部12に対向する位置に接点部16が形成されたリモコン基板15と、を備えている。前記操作部11と前記リモコン基板15との間に、フィルム6が水平方向(図3において左方)摺動可能に介装され、前記接点部16に対応する導体部12を備えている。各ボタン2の裏面側の導体部12が劣化した時、フィルム6をリモコン基板15に対し水平方向(図3において左方)へ摺動させることで、フィルム6の導体部12が各ボタン2の裏面側の導体部12に代わり接点部16と当接し、当接不良状態となっても接点部分を良好状態に復帰させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコン、テレビジョンなどの家庭用電化製品、業務用電化製品などに用いられるリモコン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、テレビジョン等の映像装置を遠隔操作する従来のリモコン装置は、複数のボタンが設けられ、各ボタンの裏面側に導体部を形成した操作部と、前記操作部の各ボタンの裏面側に形成されている導体部に対向する位置に接点部が形成され、前記各ボタンの裏面側の導体部がその導体部に対向する接点部に当接したかどうかを検出するリモコン基板と、を備えている。以上の構成からなるリモコン装置において、操作者がいずれかのボタンを押すと、そのボタンの裏面側の導体部とこの導体部に対向する接点部とが当接し、リモコン基盤やLEDなどからなる送信手段により、その当接した接点部に対応する信号が送信され、映像装置の映像画面の切り換え等が行われる。
【0003】
上記の従来のリモコン装置では、ボタンに対し長期間押圧動作を繰り返すことにより、ボタンの裏面側の導体部が磨耗し当接不良となる。その場合、当接不良となった時点でリモコン装置の新品交換または部品交換修理が必要となるため、一般には、上記の構造のリモコン装置は短寿命であった。
【0004】
一方、例えば、特許文献1に記載されたようなワイヤレスキーボードが従来から提案されている。
【0005】
このワイヤレスキーボードは、金属製の基板上部に、スペーサを介して内側に対向スイッチ接点部を有する一対の可撓性を有する配線フィルムを水平方向に摺動可能に保持し、このフィルムをキー不使用時にずらすことにより、操作者が意図しない原因によりキーオンされるのを防止できる構成となっている。
【0006】
したがって、キーボード不使用時には、操作者が意図しない原因によりキーオン状態にならないため、無駄なバッテリ消耗を防止できるとともに対向スイッチ接点部の特性低下が防止されるから、結果として装置の長寿命化を期待できる。
【特許文献1】特開平9−54642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記構造のワイヤレスキーボードにおいても、キーオンの有効使用回数は変わらないため、接点部分においての装置の長寿命化は実現できていない。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決しようとするものであり、操作部の各ボタンの裏面側の導体部が磨耗しても接点部分での当接状態を良好な状態へ復帰できる、使用回数に対して長寿命なリモコン装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のリモコン装置は、前記課題を解決するために以下の構成を備えている。
(1)複数のボタンが設けられ、各ボタンの裏面側に導体部を形成した操作部と、
前記操作部の各ボタンの裏面側に形成されている導体部に対向する位置に接点部が形成され、前記各ボタンの裏面側の導体部がその導体部に対向する接点部に当接したかどうかを検出するリモコン基板と、
前記各ボタンの裏面側の導体部とその導体部に対向する前記接点部との当接により、前記リモコン基板により当接が検出され、各接点部に応じた信号を送信する送信手段と、を備えたリモコン装置において、
前記接点部に対応する導体部が前記リモコン基板側に形成されたフィルムを備え、
前記フィルムは、前記操作部と前記リモコン基板との間を、前記リモコン基板に対し水平方向へ摺動可能であることを特徴としている。
【0010】
この構成では、前記各ボタンの裏面側の導体部が劣化した時に、前記フィルムを前記リモコン基板に対し水平方向へ摺動させることにより、前記フィルムの導体部が前記各ボタンの裏面側の導体部に代わり前記接点部と当接する。
【0011】
これにより、操作部の各ボタンの裏面側の導体部が磨耗し当接不良状態となっても接点部分を良好な状態に復帰させることができる。
(2)前記フィルムは、前記導体部と複数の孔部とが摺動方向に交互に形成されたことを特徴とする。
【0012】
この構成では、前記操作部の各ボタンの裏面側に形成されている導体部が劣化していない時に、つまり、前記フィルムを前記リモコン基板に対し水平方向へ摺動させていない状態の時に、前記フィルムの各孔部は、前記各ボタンの裏面側の導体部とその導体部に対向する前記接点部との当接を可能とする。
(3)前記操作部と前記リモコン基板との間に介装されたスペーサを備え、
前記スペーサは、前記接点部に対向する部分に孔部が形成されたことを特徴とする。
【0013】
この構成では、前記操作部の各ボタンの裏面側に形成されている導体部と前記対向する接点部との当接を可能としつつ、ユーザーが前記操作部の各ボタンを押下した時に、抵抗感(以下、「クリック感」という。)を得られる。
(4)前記フィルムの端部を保持する保持部を備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成では、前記フィルムが外力により容易に水平摺動しないよう出来、且つ、フィルム端部を手で持って引き出す(摺動させる)ことを容易にする。
【発明の効果】
【0015】
操作部の各ボタンの裏面側の導体部が磨耗し当接不良状態となっても接点部分を良好な状態へ復帰させることができる。
【0016】
また、ユーザーが前記操作部の各ボタンを押下した時に、クリック感を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図6を用いて説明する。
【0018】
図1は本発明の実施形態であるリモコン装置の外観図である。短形状のリモコン装置本体1の表面には整列して配置された複数のボタン2と、操作内容等を表示する表示部3とが設けられている。各ボタン2は射出成型などにより一体形成され、ボタントップ部分が本体1の上部に露出している。
【0019】
図2は上記リモコン装置を裏から見た斜視図である。装置本体1の下部にはバッテリ収納部4が設けられ、この部分に後述のフィルム6の端部を挟持することにより保持する保持部5が設けられている。
【0020】
操作者は、このフィルム6の端部を指先で持って、矢印方向にスライド(摺動)させることができる。
【0021】
なお、図2において、保持部5は、フィルム6が外力により容易に水平摺動しないよう出来、且つ、フィルム6の端部を手で持って引き出す(摺動させる)ことを容易にすることが可能であれば良いため、バッテリ収納部4の内部に必ずしも設ける必要はない。
【0022】
図3はリモコン装置のスイッチ部の要部断面図、図4はリモコン装置のフィルムの要部下面図、図5はフィルムを摺動させた状態のリモコン装置のスイッチ部の要部断面図である。
【0023】
図3〜5において、リモコン装置本体1には、複数のボタン2が設けられ、各ボタン2の裏面側に導体部12が形成された操作部11と、操作部11の各ボタンの裏面側に形成されている導体部12に対向する位置に接点部16が形成されたリモコン基板15と、当接を検知し信号を送信する送信手段と、接点部16に対応する導体部12がリモコン基板15側に形成されたフィルム6と、操作部11とリモコン基板15との間に介装されたスペーサ13と、が設けられている。
【0024】
リモコン基板15は、各ボタン2の裏面側の導体部12がその導体部12に対向する接点部16に当接したかどうかを検出する。
【0025】
送信手段は、リモコン基板15により当接が検出されれば、各接点部16に応じた信号を赤外発光ダイオードなどにより送信する。
【0026】
フィルム6は、操作部11とスペーサ13との間に介装され、この間を、リモコン基板15に対し水平方向(図3において左方)へ摺動可能である。また、フィルム6は、図3〜5に示すように、導体部12と摺動方向に交互に複数の孔部14が形成されている。この孔部14は、操作部11の各ボタン2の裏面側に形成されている導体部12が劣化していない時に、つまり、フィルム6をリモコン基板15に対し水平方向(図3において左方)へ摺動させていない状態の時に、各ボタン2の裏面側の導体部12とその導体部12に対向する接点部16との当接を可能とするように、複数形成されている。
【0027】
スペーサ13は、図3および図5に示すように、各ボタン2の裏面側の導体部12とその導体部12に対向する接点部16との当接を可能とするように、接点部16に対向する部分に孔部14が形成されている。
【0028】
リモコン装置本体1では、図3において、各ボタン2の裏面側の導体部12が劣化した時に、フィルム6をリモコン基板15に対し水平方向(図3において左方)へ摺動させることにより、フィルム6が図5の配置状態となる。図5において、フィルム6の導体部12が各ボタン2の裏面側の導体部12に代わり接点部16と当接する。
【0029】
これにより、操作部11の各ボタン2の裏面側の導体部12が磨耗し当接不良状態となっても接点部分を良好な状態に復帰させることができる。
【0030】
また、上記スペーサ13の存在により、ユーザーが操作部11の各ボタン2を押下した時に、クリック感を得られる。
【0031】
なお、ユーザーが操作部11の各ボタン2を押下した時に、クリック感を得られなくなるが、上記スペーサ13を構成要素に加えない実施形態も考えられる。
【0032】
図6は本発明の他の実施形態であるリモコン装置のスイッチ部の要部断面図である。この他の実施形態と先の実施形態とが相違する点は、フィルム6に孔部を設けていない点、フィルム6をリモコン基板15に対し水平方向(図6において左方)へ摺動させていない状態の時に、操作部11とスペーサ13との間にフィルム6が介装されていない点、である。
【0033】
この場合、フィルム6をリモコン基板15に対し水平方向(図6において左方)へ摺動させていない状態の時に、各ボタン2の裏面側の導体部12とその導体部12に対向する接点部16との当接が可能である。
【0034】
この他の実施形態は、リモコン基板15がリモコン装置本体1に対し小さい等の理由によりフィルム6に孔部を設けなくとも済む場合において、実施される。
【0035】
図6において、リモコン装置本体1では、各ボタン2の裏面側の導体部12が劣化した時に、フィルム6をリモコン基板15に対し水平方向(図6において左方)へ摺動させることにより、フィルム6の導体部12が各ボタン2の裏面側の導体部12に代わり接点部16と当接する。
【0036】
これにより、操作部11の各ボタン2の裏面側の導体部12が磨耗し当接不良状態となっても接点部分を良好な状態に復帰させることができる。
【0037】
また、上記スペーサ13の存在により、ユーザーが操作部11の各ボタン2を押下した時に、クリック感を得られる。
【0038】
なお、ユーザーが操作部11の各ボタン2を押下した時に、クリック感を得られなくなるが、上記スペーサ13を構成要素に加えない実施形態も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態であるリモコン装置の外観図
【図2】本発明の実施形態であるリモコン装置を裏から見た斜視図
【図3】本発明の実施形態であるリモコン装置のスイッチ部の要部断面図
【図4】本発明の実施形態であるリモコン装置のフィルムの要部下面図
【図5】本発明の実施形態であるフィルムを摺動させた状態のリモコン装置のスイッチ部の要部断面図
【図6】本発明の他の実施形態であるリモコン装置のスイッチ部の要部断面図
【符号の説明】
【0040】
1‐本体
2‐ボタン
3‐表示部
4‐バッテリ収納部
5‐保持部
6‐フィルム
11‐操作部
12‐導体部
13‐スペーサ
14‐孔部
15‐リモコン基板
16‐接点部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のボタンが設けられ、各ボタンの裏面側に導体部を形成した操作部と、
前記操作部の各ボタンの裏面側に形成されている導体部に対向する位置に接点部が形成され、前記各ボタンの裏面側の導体部がその導体部に対向する接点部に当接したかどうかを検出するリモコン基板と、
前記各ボタンの裏面側の導体部とその導体部に対向する前記接点部との当接により、前記リモコン基板により当接が検出され、各接点部に応じた信号を送信する送信手段と、を備えたリモコン装置において、
前記接点部に対応する導体部が前記リモコン基板側に形成されたフィルムと、
前記操作部と前記リモコン基板との間に介装されたスペーサと、
前記フィルムの端部を保持する保持部と、を備え、
前記フィルムは、前記操作部と前記リモコン基板との間を、前記リモコン基板に対し水平方向へ摺動可能であり、且つ、前記フィルムには前記導体部と複数の孔部とが摺動方向に交互に形成され、
前記スペーサは、前記接点部に対向する部分に孔部が形成されたこと、を特徴とするリモコン装置。
【請求項2】
複数のボタンが設けられ、各ボタンの裏面側に導体部を形成した操作部と、
前記操作部の各ボタンの裏面側に形成されている導体部に対向する位置に接点部が形成され、前記各ボタンの裏面側の導体部がその導体部に対向する接点部に当接したかどうかを検出するリモコン基板と、
前記各ボタンの裏面側の導体部とその導体部に対向する前記接点部との当接により、前記リモコン基板により当接が検出され、各接点部に応じた信号を送信する送信手段と、を備えたリモコン装置において、
前記接点部に対応する導体部が前記リモコン基板側に形成されたフィルムを備え、
前記フィルムは、前記操作部と前記リモコン基板との間を、前記リモコン基板に対し水平方向へ摺動可能であることを特徴とするリモコン装置。
【請求項3】
前記フィルムは、前記導体部と複数の孔部とが摺動方向に交互に形成されたことを特徴とする請求項2記載のリモコン装置。
【請求項4】
前記操作部と前記リモコン基板との間に介装されたスペーサを備え、
前記スペーサは、前記接点部に対向する部分に孔部が形成されたことを特徴とする請求項2または3記載のリモコン装置。
【請求項5】
前記フィルムの端部を保持する保持部を備えたことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のリモコン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−156240(P2006−156240A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347363(P2004−347363)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】