説明

リモコン装置

【課題】簡単な構造で落下等の衝撃に対する耐衝撃性を有するリモコン装置を提供する。
【解決手段】リモコン装置10は、液晶表示素子40と、液晶表示素子40を収納し、収納した液晶表示素子40の表示面を露出させる開口63が形成されたケースと、ケースの上面に固着され、開口63をケースの外側から覆う平板状の透明部材70と、を備え、液晶表示素子40の表示面の法線方向から見て、透明部材70の少なくとも三つの辺がケースの上面の端部に達するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からエアコン、テレビ、ビデオ等の電子機器を遠隔操作するためにリモコン装置が使用されている。リモコン装置は、人が持って使用することから、落下等による衝撃を受け易い。このため、表示素子が故障する等の問題が発生し易いという問題がある。一方で、リモコン装置は、小型軽量化が望まれている。このような問題を解決しうる一例として、特許文献1には、配線基板の上方に配置された液晶表示部の一辺を弾性コネクタで支持し、他辺側を弾性材料製のスイッチ操作部から延設された保持部で支持することによって、液晶表示部を押し上げて上ケースとの間で挟持させると共に、液晶表示部下方の空間部に電子回路部を配設した液晶表示部付電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−108968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の液晶表示部付電子機器では、スイッチ操作部から延設された保持部が液晶表示部の収納部を構成しており、その保持部はケースの外殻より内側に別途に形成されていたため、その内部構造が複雑になってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構造で落下等の衝撃に対して耐衝撃性を有するリモコン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の観点に係るリモコン装置は、
表示面の法線方向から見た形状が略四角形である表示素子と、
前記表示素子を駆動する駆動回路が形成された回路基板と、
前記表示素子と前記回路基板とを収納し、収納した前記表示素子の表示面を露出させる開口が形成されたケースと、
前記ケースの上面に固着され、前記開口を前記ケースの外側から覆う平板状の透明部材と、
前記表示素子と前記回路基板との間であって、前記表示素子の厚さ方向から見て前記表示素子の背面中央に配置した緩衝部材と、
を備え、
前記表示素子の前記表示面の法線方向から見て、前記透明部材の少なくとも三つの辺が前記ケースの前記上面の端部に達し、
前記ケースは、少なくとも対向する一対の壁が前記ケースの外殻の一部によって構成され、その他の壁が前記ケース内に形成された仕切壁によって構成された、前記表示素子を収納する収納部を備え、前記法線方向から見て、前記表示素子の形状と、前記収納部の内周の形状とが、略同一であり、前記収納部の内周の角部の形状は凹んでおり、
前記ケースは、前記回路基板に当接して前記回路基板を押さえつける基板当接部をさらに備え、前記基板当接部の長手方向は、前記回路基板の長手方向と略平行である、
ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の第二の観点に係るリモコン装置は、
表示素子と、
前記表示素子を収納し、収納した前記表示素子の表示面を露出させる開口が形成されたケースと、
前記ケースの上面に固着され、前記開口を前記ケースの外側から覆う平板状の透明部材と、
を備え、
前記表示素子の前記表示面の法線方向から見て、前記透明部材の少なくとも三つの辺が前記ケースの前記上面の端部に達している、
ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第三の観点に係るリモコン装置は、
表示面の法線方向から見た形状が略四角形である表示素子と、
前記表示素子を収納するケースと、
を備え、
前記ケースは、少なくとも対向する一対の壁が前記ケースの外殻の一部によって構成され、その他の壁が前記ケース内に形成された仕切壁によって構成された、前記表示素子を収納する収納部を備え、
前記法線方向から見て、前記表示素子の形状と、前記収納部の内周の形状とが、略同一であり、前記収納部の内周の角部は凹んでいる、
ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第四の観点に係るリモコン装置は、
表示素子と、
前記表示素子を駆動する駆動回路が形成された回路基板と、
前記表示素子と前記回路基板とを収納するケースと、
前記表示素子と前記回路基板との間であって、前記表示素子の厚さ方向から見て前記表示素子の背面中央に配置した緩衝部材と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第五の観点に係るリモコン装置は、
表示素子と、
前記表示素子を駆動する駆動回路が形成された回路基板と、
前記表示素子と前記回路基板とを収納するケースと、
を備え、
前記ケースは、前記回路基板に当接して前記回路基板を押さえつける基板当接部を備え、
前記基板当接部の長手方向は、前記回路基板の長手方向と略平行である、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るリモコン装置は、簡単な構造で落下等の衝撃に対して耐衝撃性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るリモコン装置の分解斜視図であり、斜め上方側から見た図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るリモコン装置の分解斜視図であり、斜め下方側から見た図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るリモコン装置の平面図である。
【図4】図3におけるX−X断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るリモコン装置の上ケースを下方から見た図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る上ケース内に液晶表示素子を配置した場合の、図5のY部を拡大した図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る液晶表示素子の上下方向の長さと緩衝部材の上下方向の長さと弾性導電部材の上下方向の長さとを説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で下記の実施形態及び図面に変更を加えることが出来るのはもちろんである。
【0014】
本発明の実施形態に係るリモコン装置10は、エアコン、テレビ、ビデオ等を遠隔操作するために使用される。リモコン装置10は、図1及び図2に示すように、主として下ケース20と、回路基板30と、液晶表示素子40と、ボタン50と、上ケース60と、前方透明保護部材70と、後方透明保護部材80と、LEDカバー28と、から構成されている。
【0015】
なお、下記の説明では、リモコン装置10における、LEDカバー28側を前方といい、その反対側を後方という。また、下記の説明では、リモコン装置10における、透明保護部材70,80側を上方といい、その反対側を下方という。また、下記の説明では、平面形状とは、液晶表示面41の法線方向から見た形状、つまり、上方又は下方から見た形状をいう。
【0016】
ここで、リモコン装置10は、上ケース60と下ケース20とを組み合わせることによって、ケースA(図4参照)が構成される。このケースAの内部に、回路基板30と、液晶表示素子40と、ボタン50と、LEDカバー28と、が収納される。
【0017】
下ケース20は、上面を開口した合成樹脂製の箱体であり、前後方向に長く、略長方形である。
【0018】
下ケース20は、基板当接部23を備えている。
【0019】
基板当接部23は、回路基板30の下面に当接し、回路基板30を上方向に押さえつける。基板当接部23の回路基板30と当接する部分は、回路基板30の長手方向と略平行な方向に長尺な略矩形である。基板当接部23は、後述する液晶表示素子40の下方に位置するように形成されている。
【0020】
回路基板30は、ガラスエポキシ樹脂製であり、ケースA内に収納可能な大きさに形成されている。また、回路基板30には、例えば、液晶表示素子40を駆動する駆動回路、その他の回路(例えば接点31を含む回路)、及び、CPU等の素子が形成されている。駆動回路は、液晶表示素子40と電気的に接続される端子32a及び32bを備える。また、回路基板30は、前方に、LED33を備えている。LED33は、赤外線を発するように構成されている。
【0021】
液晶表示素子40は、上面に液晶表示面41を備えている。また、図4に示すように、液晶表示素子40は、回路基板30の端子32a,32bと対向する位置に端子42a,43aを備えている。液晶表示素子40は、平面形状が略四角形である。
【0022】
ボタン50は硬質樹脂製であり、図1に示すように、ボタン本体50aと鍔部50bとによって構成される。鍔部50bは、上ケース60のボタン孔62の周縁部下面に当接し、ボタン50が上ケース60から飛び出すことを防止する。また、ボタン50は、軟質材で形成されたボタンパッド55の上に配置されている。ボタンパッド55は、回路基板30の上に配置されている。
【0023】
ボタン50が押下されると、ボタンパッド55が押下されて変形し、ボタンパッド55の裏面の導電部56は、回路基板30の上面に設けた接点31と接触し、接点31を短絡させる。ボタン50を押下した力を取り除くと、ボタン50は、ボタンパッド55が有する弾性力で元の高さに回復する構造となっている。
【0024】
上ケース60は、下面を開口した合成樹脂製の箱体であり、前後方向に長く、略長方形である。
【0025】
上ケース60は、上面前方66aに、ケースA内に収納される液晶表示素子40の液晶表示面41が露出する開口63を備えている。開口63は、枠部64によって構成される。開口63の輪郭形状は、液晶表示面41の大きさよりも小さい。枠部64は、開口63の周縁部を構成し、所定の幅を有する。
【0026】
また、上ケース60は、上面後方66bに、ボタン本体50aを露出させるボタン孔62を備える。
【0027】
上ケース60の下面開口は、下ケース20の上面開口とほぼ同じ大きさで形成され、上ケース60は、下ケース20と結合可能に形成されている。
【0028】
前方透明保護部材70は、透明な硬質樹脂(例えばアクリル樹脂)製の平板であり、ケースAの上面(上ケース60の上面)に固着され、開口63及び枠部64をケースAの外側から覆う。
【0029】
液晶表示素子40の液晶表示面41の法線方向から見て、前方透明保護部材70の三つの辺がケースAの上面の端部に達している。開口63は、枠部64(開口63の周縁部)によって規定される。前方透明保護部材70の三つの辺がケースAの上面の端部に達すればよいので、前方透明保護部材70は、開口63以外の開口(例えば、開口63よりも前方に位置する開口)を別に備えても良い。
【0030】
前方透明保護部材70によって、ケースAにさらなる剛性が付加される。特に、前方透明保護部材70の三つの辺がケースAの上面の端部に達しているので、ケースAを強固にできる。また、前方透明部材70をケースAに固着するだけなので、リモコン装置10の構造も簡単である。このため、リモコン装置10は、簡単な構造で耐衝撃性を有する。
【0031】
さらに、このような前方透明保護部材70によって、リモコン装置10は耐衝撃性を有するので、液晶表示素子を収納部の壁とケースの外殻との二重構造にて保護していた従来の構造(上記特許文献1参照)を変更することができる。つまり、後述のように、液晶表素子40の収納部の一部の壁をケースAの外殻によって構成でき、液晶表示素子40を一重構造でも保護できる。
【0032】
前方透明保護部材70は、上ケース60の上面前方66aに透明な粘着テープ76を使用してケースAの上面に固着されており、前方透明保護部材70と、ケースAにおける開口63の周縁部(枠部64)と、が固着されている。これにより、強度の弱い枠部64を前方透明保護部材70によって補強できるので、リモコン装置10は、簡単な構造でより大きな耐衝撃性を有する。なお、前方透明保護部材70は、接着剤など他の固着方法でケースAの上面に固着されてもよい。
【0033】
また、透明保護部材70の左右側面70b、70dおよび前側面70aは、上ケース60の上面前方66aの端部まで達しており、上ケース60の側面外壁60b、60dおよび前面外壁60aと略面一となるよう構成されている。
【0034】
透明保護部材70の三つの辺を含む透明保護部材70の側面は、それぞれ、ケースAの外面と略面一である。これによって、周縁部を効果的に補強できるので、リモコン装置10は簡単な構造で耐衝撃性を有する。
【0035】
前方透明保護部材70は、液晶表示面41に接することなく、開口63及び四方の枠部64をケースAの外側から(上方から)覆っている。また、前方透明保護部材70は、ボタン50と干渉しないための切欠部71を有しているが、貫通孔を有していない。すなわち、前方透明保護部材70は、表面(上面)及び裏面が全面において平坦(つまり、凹凸がなく)形成されている。前方透明保護部材70が貫通孔を有する場合、前方透明保護部材70が捩じれたりすると、この貫通孔から亀裂等が入ってしまう場合がある。つまり、前方透明保護部材70が貫通孔を有する場合、前方透明保護部材70の強度は低下する場合がある。前方透明保護部材70は、貫通孔を有していないので、リモコン装置10は簡単な構造で耐衝撃性を有する。
【0036】
後方透明保護部材80は、透明なアクリル樹脂製等の透明硬質樹脂性の平板であり、上ケース60の上面後方66bに透明な粘着テープ86を使用して固着されている。後方透明保護部材80の左右側面80b、80dおよび後側面80cは、上ケース60の上面後方66bの端部まで達しており、上ケース60の側面外壁60b、60dおよび外壁後面60cと略面一となるよう構成されている。後方透明保護部材80によっても、リモコン装置10は簡単な構造で耐衝撃性を有する。
【0037】
また、後方透明保護部材80は、ボタン50を露出させるためのボタン孔82を有している。ボタン本体50aは、上ケース60が有するボタン孔62と、透明保護部材80が有するボタン孔82とを介して、後方透明保護部材80から露出する。
【0038】
LEDカバー28は、リモコン装置10の前側面に配置されている。LEDカバー28は、回路基板30に形成されているLED33等を覆い、LED33が出射する光(例えば、制御用の赤外線)を透過する。LEDカバー28は、下ケース20の切欠部21及び上ケース60の切欠部61によって形成される孔に嵌め込まれて固定される。
【0039】
次に、リモコン装置10の内部構成を説明する。リモコン装置10の内部とは、下ケース20と上ケース60とで包囲された内部(つまりケースAの内部)を言い、主として、回路基板30と、弾性導電部材110a,110bと、緩衝部材120と、液晶表示素子40と、基板押さえ130とで構成されている。
【0040】
上ケース60は、図5に示すように、下方から見ると、内部に液晶表示素子40を配置可能(収納可能)な収納部67を備えている。液晶表示素子40の輪郭と、収納部67の内周とは、平面形状が略同一(略四角形)に形成されている。収納部67は、対向する側面外壁60b,60dと、収納部67を仕切るための仕切壁67a,68aとで構成されている。収納部67は、途中が途切れた壁を有しても良い(仕切壁67a参照)。この場合の収納部67の内周とは、例えば、途切れた壁同士を延長して繋げた場合に形成される内周をいう。収納部67は、壁が途切れていないものであってもよい。開口63は、四方の枠部64で構成され、枠部64は、収納部67上方に庇状に形成されている。なお、収納部67は、少なくとも対向する一対の壁がケースAの外殻(例えば、側面外壁60b,60d)の一部によって構成され、その他の壁がケースA内に形成された仕切壁によって構成されればよく、例えば、仕切壁67a又は68aをケースAの外殻によって形成してもよい。このような収納部67によって、液晶表示素子40を大きくできたり、ケースAを小さくしたりすることができる。
【0041】
図5および図6に示すように、収納部67を構成する側面外壁60b,60dは、角部の薄肉部60ba,60daと、角部以外の厚肉部60bb,60dbとで構成されている。また、仕切壁67a,68aは、角部の薄肉部67aa,68aaと、角部以外の厚肉部67ab,68abとで構成されている。側面外壁60b,60dが厚肉に形成されている部分を有することによって、ケースAは補強される。このため、リモコン装置10は簡単な構造で耐衝撃性を有する。
【0042】
また、図5のY部を拡大した図6に示すように、側面外壁60dと仕切壁67aで構成する角部は、薄肉部60daと、薄肉部67aaとで構成されている。したがって、収納部67に液晶表示素子40(二点鎖線)を配置した場合、角部には、液晶表示素子40の角45が当接しない程度の凹部が形成されている。つまり、収納部67の内周の角部の平面形状は凹んでいることになる。
【0043】
ケースAが歪んだりすると、収納部67も歪む。このとき、収納部67の内周の角部の平面形状が凹んでいないとすると、収納部67内の液晶表示素子40の角(平面形状における角)が最初に収納部67の内壁面に当たってしまい、これによって、液晶表示素子40は、破損してしまう場合がある。しかし、収納部67の内周の角部の平面形状は凹んでいれば、液晶表示素子40の角が収納部67の内壁面に当たってしまうことを略防ぐことができる。これによって、リモコン装置10は簡単な構造で耐衝撃性を有する。
【0044】
次に、液晶表示素子40と、緩衝部材120と、弾性導電部材110a,110bの上下方向の長さについて説明する。
【0045】
液晶表示素子40は、図7に示すように、上下方向の長さがt1で形成されている。また、液晶表示素子40は鍔部42,43を備えている。鍔部42,43は上下方向の長さが異なっており、鍔部42は長さt2、鍔部43は長さt3で形成されている。
【0046】
緩衝部材120は、ポリウレタン等のスポンジで構成されており、液晶表示素子40の下、つまり、液晶表示素子40と回路基板30との間の、液晶表示面30の背面に配置される。そして、緩衝部材120は、表示素子40の厚さ方向から見て表示素子の背面中央に配置される。緩衝部材120は、表示素子40の厚さ方向から見て表示素子の背面中央と重なっている。緩衝部材120は、上下方向(液晶表示素子40の厚さ方向)の長さがt4で形成されている。この緩衝部材120により、液晶表示素子40等が移動することによって、液晶表示素子40に加わる衝撃等を吸収できる。このため、液晶表示素子40を保護することができ、リモコン装置10は簡単な構造で耐衝撃性を有する。
【0047】
緩衝部材120の左右には、弾性導電部材110a,110bが配置されている。弾性導電部材110a,110bは、板状導電体をシリコンゴム等によって挟んで形成される。弾性導電部材110a,110bは弾性を有する。
【0048】
弾性導電部材110a,110bは、液晶表示素子40の鍔部42,43の下に配置されている。弾性導電部材110aは上下方向の長さt5、弾性導電部材110bは上下方向の長さt6で形成されている。
【0049】
弾性導電部材110a,110bは、液晶表示素子40と回路基板30との間の、前記液晶表示素子40の厚さ方向から見て緩衝部材120と重ならない位置に配置されている。
【0050】
液晶表示素子40の長さt1と緩衝部材120の長さt4の和(t1+t4)は、鍔部42の長さt2と弾性導電部材110aの長さt5の和Ta(=t2+t5)及び鍔部43の長さt3と弾性導電部材110bの長さt6の和Tb(=t3+t6)より小さく構成されている((t1+t4)<Ta,(t1+t4)<Tb)。
【0051】
また、鍔部42の長さt2と弾性導電部材110aの長さt5の和Ta(=t2+t5)は、鍔部43の長さt3と弾性導電部材110bの長さt6の和Tb(=t3+t6)と等しく構成されている。(Ta=Tb)
【0052】
弾性導電部材110a,110bと、緩衝部材120と、液晶表示素子40と、は、図1等に示すように、基板押さえ130によって、回路基板30と、上ケース60の間に固定される。
【0053】
基板押さえ130は、金属製のL字金具であり、回路基板30の前後方向に長く形成され、弾性導電部材110a,110bより長く形成されている。基板押さえ130は、前後2ヶ所にネジ孔130a,130bを備えている。また、ネジ孔130a,130bは、上ケース60のネジ孔69a,69bと対応した位置に形成されている。
【0054】
ネジ孔69a,69bは、収納部67の四隅、すなわち上ケース60の側面外壁60b、60dと、仕切壁67a,68aとから構成される長方形の四隅近傍に形成されている。
【0055】
弾性導電部材110a,110bと、緩衝部材120と、液晶表示素子40とは、基板押さえ130のネジ孔130a,130bを挿通したネジ135を、ネジ孔69a,69bに螺合することで、回路基板30と上ケース60との間に固定される。
【0056】
弾性導電部材110a,110bは、固定されたことにより、液晶表示素子40の鍔部42,43と回路基板30とによって挟まれ、変形した状態となっている。したがって、弾性導電部材110a,110bは、変形する前の状態における長さt5,t6より、わずかに短くなっている。また、弾性導電部材110a,110bが固定されることによって、弾性導電部材110a,110bによって液晶表示素子40が押さえつけられ、リモコン装置10に衝撃が加わっても、移動しないか、殆ど移動しない。
【0057】
また、弾性導電部材110a,110bの一端側の面(弾性導電部材110a,110bの導電部材)は、液晶表示素子40の端子42a,43aと接触し、他端側の面は、回路基板30の端子32a,32bと接触する。この接触によって、弾性導電部材110a,110bは、液晶表示素子40の端子42a,43aと、回路基板30の端子32a,32bとを電気的に接続する。
【0058】
上述のように、弾性導電部材110a,110bが変形する前の状態、かつ、弾性導電部材110a,110bの一端側の面を液晶表示素子40の端子42a,43aに接触させた状態における液晶表示素子40の液晶表示面41から弾性導電部材110a,110bの他端側の面までの長さTa,Tbが、弾性導電部材110a,110bが変形する前の状態、かつ、緩衝部材120を液晶表示面41の背面に配置した状態における液晶表示素子40の液晶表示面41から緩衝部材120の液晶表示素子40側と反対側の面までの長さ(t1+t4)よりも長い。これによって、弾性導電部材110a,110bが液晶表示素子40の鍔部42,43と回路基板30とによって挟まれて変形しても、緩衝部材120が液晶表示素子40と回路基板30とによって挟まれて変形する(圧縮される)ことが無いか、変形の度合い(圧縮の度合い)を少なくすることができる。これによって、緩衝部材120の衝撃吸収力を保つことができるので、液晶表示素子40を保護することができ、リモコン装置10は簡単な構造で耐衝撃性を有する。
【0059】
上ケース60の開口部を下ケース20で覆うことで、リモコン装置10の内部は、下ケース20と上ケース60とで包囲される。下ケース20と上ケース60は、ネジなど、公知の手段で結合されて、組み合わされる。
【0060】
以上のような構成としたので、リモコン装置10は、強い衝撃に耐えうる構造となっている。また、液晶表示素子40を収納している収納部67の側壁は、上ケース60の左右の側面外壁60bと60dとで構成している。その結果、従来のリモコン装置より上枠64を狭くすることができ、液晶表示面41を大きく露出でき、見栄えを向上させることができる。
【0061】
なお、回路基板30上に形成される回路等は、回路基板30の長手方向に沿って配置されていくことが多い。このため、上記で説明したように、基板当接部23の長手方向が回路基板30の長手方向と略平行であることによって、基板当接部23が回路基板30上の回路等に当接する等して、回路等を傷つけることを防止又は軽減できる。また、基板当接部23が回路基板30を押さえつけることによって、回路基板30等を介して液晶表示素子40が移動しないように固定される。このため、リモコン装置10に衝撃が加わっても液晶表示素子40が移動せず又は殆ど移動せず、液晶表示素子40の破損を防ぐことができる。また、基板当接部23は、その構造も簡単なものである。基板当接部23によって、リモコン装置10は簡単な構造で耐衝撃性を有する。
【0062】
(変形例)
なお、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形および応用が可能である。
【0063】
例えば、前記実施形態において、表示素子を液晶表示素子としたが、これに限られるものではなく、ガラス基板を用いた表示素子であればよい。例えば、有機ELを用いた表示素子であってもよい。
【0064】
また、例えば、前記実施形態において、収納部の内周の角部に形成された凹部を、側面及び仕切壁に薄肉部を形成することにより略L字型に形成したが、これに限られるものではなく、表示素子の角が当たらなければ、他の形状でもよい。例えば、凹部が円形であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 リモコン装置
20 下ケース
23 基板当接部
28 LEDカバー
30 回路基板
31 接点
32a 端子
32b 端子
40 液晶表示素子
41 液晶表示面
42 鍔部
42a 端子
43 鍔部
43a 端子
50 ボタン
56 導電部
60 上ケース
60b 側面外壁
60d 側面外壁
63 開口
64 枠部
66a 上面前方
66b 上面後方
67 収納部
67a 仕切壁
68a 仕切壁
70 前方透明保護部材
80 後方透明保護部材
110a 弾性導電部材
110b 弾性導電部材
120 緩衝部材
130 基板押さえ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面の法線方向から見た形状が略四角形である表示素子と、
前記表示素子を駆動する駆動回路が形成された回路基板と、
前記表示素子と前記回路基板とを収納し、収納した前記表示素子の表示面を露出させる開口が形成されたケースと、
前記ケースの上面に固着され、前記開口を前記ケースの外側から覆う平板状の透明部材と、
前記表示素子と前記回路基板との間であって、前記表示素子の厚さ方向から見て前記表示素子の背面中央に配置した緩衝部材と、
を備え、
前記表示素子の前記表示面の法線方向から見て、前記透明部材の少なくとも三つの辺が前記ケースの前記上面の端部に達し、
前記ケースは、少なくとも対向する一対の壁が前記ケースの外殻の一部によって構成され、その他の壁が前記ケース内に形成された仕切壁によって構成された、前記表示素子を収納する収納部を備え、前記法線方向から見て、前記表示素子の形状と、前記収納部の内周の形状とが、略同一であり、前記収納部の内周の角部の形状は凹んでおり、
前記ケースは、前記回路基板に当接して前記回路基板を押さえつける基板当接部をさらに備え、前記基板当接部の長手方向は、前記回路基板の長手方向と略平行である、
ことを特徴とするリモコン装置。
【請求項2】
表示素子と、
前記表示素子を収納し、収納した前記表示素子の表示面を露出させる開口が形成されたケースと、
前記ケースの上面に固着され、前記開口を前記ケースの外側から覆う平板状の透明部材と、
を備え、
前記表示素子の前記表示面の法線方向から見て、前記透明部材の少なくとも三つの辺が前記ケースの前記上面の端部に達している、
ことを特徴とするリモコン装置。
【請求項3】
前記三つの辺を含む前記透明部材の側面は、それぞれ、前記ケースの外面と略面一に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリモコン装置。
【請求項4】
前記透明部材は、貫通孔を有さないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリモコン装置。
【請求項5】
前記透明部材と、前記ケースにおける前記開口の周縁部と、が固着されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のリモコン装置。
【請求項6】
表示面の法線方向から見た形状が略四角形である表示素子と、
前記表示素子を収納するケースと、
を備え、
前記ケースは、少なくとも対向する一対の壁が前記ケースの外殻の一部によって構成され、その他の壁が前記ケース内に形成された仕切壁によって構成された、前記表示素子を収納する収納部を備え、
前記法線方向から見て、前記表示素子の形状と、前記収納部の内周の形状とが、略同一であり、前記収納部の内周の角部は凹んでいる、
ことを特徴とするリモコン装置。
【請求項7】
表示素子と、
前記表示素子を駆動する駆動回路が形成された回路基板と、
前記表示素子と前記回路基板とを収納するケースと、
前記表示素子と前記回路基板との間であって、前記表示素子の厚さ方向から見て前記表示素子の背面中央に配置した緩衝部材と、
を備えることを特徴とするリモコン装置。
【請求項8】
前記表示素子と前記回路基板との間の、前記表示素子の厚さ方向から見て前記緩衝部材と重ならない位置に配置され、前記表示素子と前記回路基板とによって挟まれて変形し、一端側の面が前記表示素子の端子と接触し他端側の面が前記回路基板の端子と接触して前記表示素子の端子と前記回路基板の端子とを電気的に接続する弾性導電部材をさらに備え、
前記緩衝部材は、前記表示素子と前記回路基板との間の、前記表示面の背面に配置され、
前記弾性導電部材が変形する前の状態、かつ、前記弾性導電部材の前記一端側の面を前記表示素子の前記端子に接触させた状態における前記表示素子の表示面から前記弾性導電部材の他端側の面までの長さが、前記弾性導電部材が変形する前の状態、かつ、前記緩衝部材を前記表示面の背面に配置した状態における前記表示素子の表示面から前記緩衝部材の前記表示素子側と反対側の面までの長さよりも長い、
ことを特徴とする請求項1又は7に記載のリモコン装置。
【請求項9】
表示素子と、
前記表示素子を駆動する駆動回路が形成された回路基板と、
前記表示素子と前記回路基板とを収納するケースと、
を備え、
前記ケースは、前記回路基板に当接して前記回路基板を押さえつける基板当接部を備え、
前記基板当接部の長手方向は、前記回路基板の長手方向と略平行である、
ことを特徴とするリモコン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−71654(P2011−71654A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219719(P2009−219719)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】