説明

リモコン送信機

【課題】異なる面に配設された複数の操作部を備えるリモコン送信機において、消費電力の増大を抑えつつ誤操作を防止する。
【解決手段】リモコン送信機100は、表面に配設されたテレビ操作ボタン群11と、裏面に配設されたレコーダ操作ボタン群12と、重力センサ14aとを備える。重力センサ14aによりリモコン送信機100の姿勢が検知され、テレビ操作ボタン群11およびレコーダ操作ボタン群12のうち上向きのものの操作のみが有効となる。重力センサ14aの電源は、テレビ操作ボタン群11またはレコーダ操作ボタン群12の操作があってから、リモコン送信機100の姿勢の検知が完了するまでの間のみ、電源が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の複数の面に操作部を備えるリモコン送信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばデジタルテレビ等の放送受信表示装置や、デジタルディスクレコーダやハードディスクレコーダ等の放送番組記録再生装置など、複数の機器をコントロール可能なコマンドコードを送信するリモコン送信機が知られている(例えば下記の特許文献1)。
【0003】
特許文献1のリモコン送信機は、リモコン送信機に多くの操作ボタンを配設するために、その本体(筐体)の両面に操作ボタンを配置している。通常、リモコン送信機は使用者が手で握り、親指で上面側の操作ボタンを操作するが、特許文献1のリモコン送信機は、使用者の指が下面側の操作ボタンに誤って触れることによって生じる誤操作を防止するために、上面側となっている操作ボタンのみが有効になるように構成されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−233576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のリモコン送信機は、その姿勢(両面の操作ボタンのどちらが上になっているか)を検知するための重力センサを備えている。特許文献1に記載の重力センサは金属球を使用しているが、現在多く使用されている一般的な重力センサは、発光ダイオードおよびフォトトランジスタを含み、その動作には電力を必要とする。従って重力センサをリモコン送信機に組み込むと、その分だけ消費電力が増加する。リモコン送信機の電源としては電池(バッテリー)が使用されるため、消費電力の削減は重要な課題である。
【0006】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、異なる面に配設された複数の操作部を備えるリモコン送信機において、消費電力の増大を抑えつつ誤操作を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るリモコン送信機は、互いに向きの異なる第1および第2の面を備える筐体と、前記第1および第2の面にそれぞれ配設された第1および第2操作部と、所定のコマンドコードを外部へ送信可能な送信部と、前記第1および第2操作部の操作に応じたコマンドコードを生成し、当該コマンドコードを前記送信部から外部へ送信させる制御部と、前記筐体の姿勢を検知する姿勢検知部とを備え、前記制御部は、前記姿勢検知部による前記筐体の姿勢の検知結果に基づいて前記第1および第2操作部の片方の操作を無効にし、前記姿勢検知部は、前記第1および第2操作部のいずれかの操作があると動作可能な状態となり、前記筐体の姿勢の検知が完了した後は電力消費の少ない待機状態となるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るリモコン送信機によれば、筐体の姿勢に基づいて第1および第2の操作部の片方を無効にすることにより、誤操作を防止することができる。またその姿勢を検知する姿勢検知部は、第1または第2操作部の操作が行われた後に動作可能な状態になり、筐体の姿勢の検知が完了すると待機状態になるため、姿勢検知部による電力消費が抑えられ、バッテリーの寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係るリモコン送信機の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係るリモコン送信機の動作を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態1に係るリモコン送信機の姿勢検知処理のフローチャートである。
【図4】実施の形態1に係るリモコン送信機の操作有効判定処理のフローチャートである。
【図5】実施の形態2に係るリモコン送信機の構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態2に係るリモコン送信機の姿勢検知処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係るリモコン送信機を示すブロック図である。当該リモコン送信機100は、マイクロコンピュータ10、テレビ操作ボタン群11、レコーダ操作ボタン群12、バッテリー13、姿勢検知部14、センサ電源スイッチ15および送信部16を備えている。
【0011】
テレビ操作ボタン群11は、デジタルテレビ110(第1の機器)を遠隔操作するための第1の操作部であり、レコーダ操作ボタン群12は、デジタルレコーダ120(第2の機器)を遠隔操作するための第2の操作部である。例えば、テレビ操作ボタン群11には、デジタルテレビ110の電源ボタンや、チャンネル切り替えボタン、入力切り替えボタン等が割り当てられている。一方、レコーダ操作ボタン群12には、デジタルレコーダ102の電源ボタンや録画ボタン、再生ボタン等が割り当てられている。
【0012】
テレビ操作ボタン群11とレコーダ操作ボタン群12は、リモコン送信機100の筐体(不図示)の互いに向きの異なる面にそれぞれ配設される。本実施の形態では、リモコン送信機100の筐体の形状は薄い直方体であり、テレビ操作ボタン群11はその表側の面(表面)に配設され、レコーダ操作ボタン群12はその裏側の面(裏面)に配設されているものとする。
【0013】
マイクロコンピュータ10は、テレビ操作ボタン群11およびレコーダ操作ボタン群12のキースキャンを行うことで、使用者によりテレビ操作ボタン群11およびレコーダ操作ボタン群12のボタンが操作(押下)されたか否かを監視する。またマイクロコンピュータ10は、テレビ操作ボタン群11およびレコーダ操作ボタン群12のいずれかが操作されると、その操作に応じたコマンドコードを生成し、当該コマンドコードを送信部16から外部へ送信させる送信制御部として機能する。
【0014】
姿勢検知部14は、リモコン送信機100の姿勢、すなわち筐体のどの面が上向きであるか(上側に位置しているか)を検知する。本実施の形態の姿勢検知部14は、姿勢検知素子としての重力センサ14aを備え、テレビ操作ボタン群11が配設された表面とレコーダ操作ボタン群12が配設された裏面のどちらが上向きであるかを検知することができる。
【0015】
重力センサ14aは、発光ダイオードと、フォトトランジスタと、重力の方向に応じて移動する可動部品とを含む。重力センサ14aは、リモコン送信機100が特定の姿勢になったときに、稼働部品が発光ダイオードとフォトトランジスタとの間で光を遮るような向きで、リモコン送信機100内に配設される。よってマイクロコンピュータ10は、重力センサ14aの出力信号(フォトトランジスタの出力信号)の変化を観察することで、リモコン送信機100の姿勢を検知できる。またマイクロコンピュータ10は、重力センサ14aによる姿勢の検知結果を記憶するメモリ(姿勢情報メモリ)を備えている。
【0016】
マイクロコンピュータ10は、重力センサ14aの出力信号に基づき、テレビ操作ボタン群11とレコーダ操作ボタン群12のどちらが上向きになっているかを判定し、上向きのもののみを有効にすることで、下向きのものの誤操作を防止する。つまりテレビ操作ボタン群11が上向きのときは、レコーダ操作ボタン群12は無効になり、レコーダ操作ボタン群12が上向きのときはテレビ操作ボタン群11が無効になる。
【0017】
バッテリー13は、マイクロコンピュータ10および重力センサ14aを動作させるための電源である。但し、重力センサ14aへの電力の供給/遮断は、マイクロコンピュータ10が制御するセンサ電源スイッチ15によって切り換えられる。マイクロコンピュータ10は、テレビ操作ボタン群11およびレコーダ操作ボタン群12のいずれかが操作されると重力センサ14aへ電力を供給し、重力センサ14aによるリモコン送信機100の姿勢の検知結果を認識するとその電力を遮断するように、センサ電源スイッチ15を制御する。
【0018】
重力センサ14aは、電力が供給されている間、リモコン送信機100の姿勢検知の動作が可能な状態となり、その電力が遮断されている間は待機状態となる。重力センサ14aが待機状態である期間は、重力センサ14aには電力が供給されていないため、重力センサ14aによる電力消費はない。
【0019】
以下、実施の形態1に係るリモコン送信機100の動作を、図2〜図4のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0020】
図2を参照し、リモコン送信機100のマイクロコンピュータ10は、動作を開始すると(ステップS201)、テレビ操作ボタン群11およびレコーダ操作ボタン群12の操作(ボタンの押下)の有無を監視する(ステップS202,S203)。
【0021】
マイクロコンピュータ10は、テレビ操作ボタン群11およびレコーダ操作ボタン群12のいずれかのボタンが操作されたことを検出すると、どのボタンが操作されたのかを記憶した上で、重力センサ14aを用いた姿勢検知処理を行う(ステップS204)。
【0022】
図3は、姿勢検知処理におけるマイクロコンピュータ10の動作を示すフローチャートである。マイクロコンピュータ10は、姿勢検知処理を開始すると(ステップS301)、姿勢情報メモリを初期化すると共に(ステップS302)、センサ電源スイッチ15を制御して、重力センサ14aへバッテリー13からの電力を供給する(ステップS303)。
【0023】
電源の供給を受けた重力センサ14aは、テレビ操作ボタン群11が配設された表面と、レコーダ操作ボタン群12が配設された裏面のどちらが上向きになっているかを検知し、その検知結果に応じた信号を出力する。本実施の形態では、重力センサ14aは、リモコン送信機100の表面が上向きの姿勢(「正姿勢」と定義)のときはH(High)レベルの信号を出力し、裏面が上向きの姿勢(「逆姿勢」と定義)のときはL(Low)レベルの信号を出力するものとする。
【0024】
マイクロコンピュータ10は、重力センサ14aの出力信号を受信し(ステップS304)し、そのレベルに基づいて、リモコン送信機100の姿勢を判定して(ステップS305)、その結果を姿勢情報メモリに記憶する。例えば重力センサ14aの出力信号がHレベルであれば、姿勢情報メモリには「正姿勢」の情報が格納され(ステップS306)、Lレベルであれば姿勢情報メモリには「逆姿勢」の情報が格納される(ステップS307)。
【0025】
マイクロコンピュータ10は、リモコン送信機100の姿勢の情報を姿勢情報メモリに格納した後、センサ電源スイッチ15を制御して、重力センサ14aの電源を遮断し(ステップS308)、姿勢検知処理を終了する(ステップS309)。
【0026】
なお図3では、マイクロコンピュータ10がリモコン送信機100の姿勢の情報を記憶するステップ(ステップS306,S307)の後に、重力センサ14aへの電源供給を停止させているが、そのタイミングは、重力センサ14aの出力信号の受信が完了した後(ステップS305)であればよい。
【0027】
このように本実施の形態のリモコン送信機100では、重力センサ14aの電源は、テレビ操作ボタン群11およびレコーダ操作ボタン群12の操作があった直後から、重力センサ14aがリモコン送信機100の姿勢を検知し、マイクロコンピュータ10が重力センサ14aの出力信号(検知結果)を受信するまでの間のみ供給される。
【0028】
再び図2を参照し、マイクロコンピュータ10は、姿勢検知処理(ステップS204)が終了すると、姿勢の検知結果に基づき、操作されたボタンが有効か否かの判定処理(操作有効判定処理)を行う(ステップS205)。
【0029】
図4は、操作有効判定処理のフローチャートである。マイクロコンピュータ10が操作有効判定処理を開始すると(ステップS401)、操作されたボタンがテレビ操作ボタン群11に属するものか、レコーダ操作ボタン群12に属するものかを調べる(ステップS402)。
【0030】
操作されたボタンがテレビ操作ボタン群11に属するものであった場合、マイクロコンピュータ10は、上記の姿勢検知処理(図3)で姿勢情報メモリに格納した情報が「正姿勢」かどうか、すなわちテレビ操作ボタン群11が上向きかどうかを確認する(ステップS403)。このとき姿勢情報メモリの情報が「正姿勢」であれば、使用者がリモコン送信機100の上向きのボタンを操作したと判断できるので、マイクロコンピュータ10は、当該操作は有効なものと判定する(ステップS405)。逆に、姿勢情報メモリの情報が「逆姿勢」であれば、リモコン送信機100の下向きのボタンが誤って操作されたと判断できるため、マイクロコンピュータ10は、当該操作は無効なものと判定する(ステップS406)。
【0031】
一方、操作されたボタンがレコーダ操作ボタン群12に属するものであった場合、マイクロコンピュータ10は、上記の姿勢検知処理(図3)で姿勢情報メモリに格納した情報が「逆姿勢」かどうか、すなわちレコーダ操作ボタン群12が上向きかどうかを確認する(ステップS404)。このとき姿勢情報メモリの情報が「逆姿勢」であれば、使用者がリモコン送信機100の上向きのボタンを操作したと判断できるので、マイクロコンピュータ10は、当該操作は有効なものと判定する(ステップS407)。逆に、姿勢情報メモリの情報が「正姿勢」であれば、リモコン送信機100の下向きのボタンが誤って操作されたと判断できるため、マイクロコンピュータ10は、当該操作は無効なものと判定する(ステップS408)。
【0032】
マイクロコンピュータ10は、ボタン操作の有効/無効を判定すると、操作有効判定処理を終了する(ステップS409)。このように操作有効判定処理では、先の姿勢検知処理において検知されたリモコン送信機100の姿勢に基づいて、テレビ操作ボタン群11およびレコーダ操作ボタン群12のうち、上向きのボタンの操作のみを有効にし、下向きのボタンの操作を無効にする。
【0033】
再び図2を参照し、マイクロコンピュータ10は、操作有効判定処理によってボタン操作が有効と判定された場合、その操作に応じたコマンドコードを生成し、送信部16を制御して当該コマンドコードを外部へ送信する。例えば有効と判断された操作がテレビ操作ボタン群11に対するものであれば、送信部16からデジタルテレビ110を制御するコマンドコードが送信される。また有効と判断された操作がレコーダ操作ボタン群12に対するものであれば、送信部16からデジタルレコーダ102を制御するコマンドコードが送信される。その後、マイクロコンピュータ10は、テレビ操作ボタン群11およびレコーダ操作ボタン群12の操作監視のステップ(ステップS202)へと戻る。
【0034】
一方、操作有効判定処理の結果、ボタン操作が無効と判定された場合は、マイクロコンピュータ10はコマンドコードの生成および送信を行わずに、テレビ操作ボタン群11およびレコーダ操作ボタン群12の操作監視のステップ(ステップS202)へと戻る。
【0035】
以上のように本実施の形態に係るリモコン送信機100によれば、テレビ操作ボタン群11およびレコーダ操作ボタン群12のうち、上向きのボタンの操作が行われた場合にだけ、その操作に対応するコマンドコードが送信される。従って、使用者が下向きのボタンに触れることで意図しないコマンドコードが送信されることが防止される。
【0036】
また重力センサ14aの電源は、テレビ操作ボタン群11およびレコーダ操作ボタン群12の操作がなされてから、マイクロコンピュータ10が重力センサ14aの出力信号(検知結果)を読み取るまでの短い期間にのみ供給されるので、重力センサ14a(内部の発光ダイオードやフォトトランジスタ等)による電力消費を最低限に抑えることができる。よってバッテリー13の寿命を長くすることができる。
【0037】
なお本実施の形態では、重力センサ14aは、電力を供給するだけで動作可能なものとして説明したが、重力センサの種類によっては動作開始時に所定の初期化処理が必要になる場合もある。
【0038】
また本実施の形態では、重力センサ14aは、電源が遮断されることにより待機状態となるものとして説明したが、例えば電力を供給したままで電力消費を抑えた待機状態にすることが可能な、いわゆる「ディスエーブル機能」を有する重力センサ14aを用いてもよい。その場合、マイクロコンピュータ10が、重力センサ14aの動作可能状態(イネーブル状態)と待機状態(ディスエーブル)を切り替えることができ、センサ電源スイッチ15は不要になる。
【0039】
さらに、本実施の形態では、テレビ操作ボタン群11またはレコーダ操作ボタン群12の操作がなされる毎に、重力センサ14aによるリモコン送信機100の姿勢検知動作が1回だけ行われる例を示したが、その検知動作は所定の時間間隔を空けて複数回行ってもよい。複数回(例えば2回)の検知を行い、それらの検知結果が一致するまで検知を繰り返し行って次のステップに進まないようにすれば、リモコン送信機100の姿勢の検知精度を高めることができる。例えば、使用者がリモコン送信機100を持ち替えたときの振動により、重力センサ14aがリモコン送信機100の姿勢を誤検知することが考えられるが、複数回の検知を行うことでそのような誤検知を防止でき、リモコン送信機100の動作信頼性を向上させることができる。
【0040】
<実施の形態2>
図5は、実施の形態2に係るリモコン送信機の構成を示すブロック図である。同図において、図1に示したものと同様の機能を有する要素には同一符号を付してあるので、ここではそれらの説明は省略する。また実施の形態1と同様に、テレビ操作ボタン群11はリモコン送信機100の表面、レコーダ操作ボタン群12はその裏面に配設されているものとする。
【0041】
図5の如く、実施の形態2のリモコン送信機100が有する姿勢検知部14は、姿勢検知素子として重力センサ14a(第1重力センサ)と重力センサ14b(第2重力センサ)の2つを備えている。重力センサ14a,14bは同一構造のものであり、それぞれ発光ダイオードと、フォトトランジスタと、重力の方向に応じて移動する可動部品を含む構成のものとする。またセンサ電源スイッチ15は、マイクロコンピュータ10からの制御により、重力センサ14a,14bの両方の電源の供給/遮断を切り替える。
【0042】
重力センサは、可動部品が重力の方向に応じて移動する特性を利用して姿勢を検知しているため、例えば外部から振動が加わると、可動部品の揺れによってチャタリングが発生し、正しい検知結果が得られない場合がある。但しその振動耐性(チャタリングの生じ難さ)は、振動の加わる方向によって異なる。重力センサによっては、例えば、可動部品が発光ダイオードの光をフォトトランジスタで受光できる側に位置している状態よりも、可動部品が発光ダイオードの光を遮る側に位置している状態の方が、チャタリングが生じやすいなどの特性を有する。
【0043】
本実施の形態では、この特性を利用し、重力センサ14a,14bを180°異なる向きでリモコン送信機100に配設し、マイクロコンピュータ10が重力センサ14a,14bの出力を比較するように構成している。2つの重力センサ14a,14bを180°異なる方向で配置することで、重力センサ14a,14bに加わる振動の方向の違いを打ち消し、姿勢検知部14によるリモコン送信機100の姿勢の検知精度を高くすることができる。
【0044】
本実施の形態に係るリモコン送信機100の動作は基本的に実施の形態1と同様であるが、姿勢検知処理(図2のステップS204)の動作が異なる。よって以下では、姿勢検知処理のみについて説明する。
【0045】
図6は、実施の形態2に係る姿勢検知処理を示すフローチャートである。本実施の形態において、重力センサ14a,14bは共に、リモコン送信機100の表面が上向きの姿勢(正姿勢)のときはHレベルの信号を出力し、裏面が上向きの姿勢(逆姿勢)のときはLレベルの信号を出力するものとする。
【0046】
マイクロコンピュータ10は、姿勢検知処理を開始すると(ステップS601)、姿勢情報メモリを初期化し(ステップS602)、センサ電源スイッチ15を制御して、重力センサ14a,14bに電力を供給する(ステップS603)。
【0047】
電源の供給を受けた重力センサ14a,14bは、テレビ操作ボタン群11が配設された表面と、レコーダ操作ボタン群12が配設された裏面のどちらが上向きになっているかをそれぞれ検知し、その検知結果に応じた信号を出力する。
【0048】
続いてマイクロコンピュータ10は、重力センサ14a(第1重力センサ)および重力センサ14b(第2重力センサ)それぞれの出力信号を受信して(ステップS604,S604)、それらのレベルを比較する(ステップS606)。重力センサ14a,14bの出力信号のレベル(検知結果)が一致しない場合は、振動等による誤検知があった可能性が高いため、それらが一致するまで、重力センサ14a,14bにリモコン送信機100の姿勢を検知させ、それらの出力信号を受信する動作を繰り返し行う。
【0049】
重力センサ14a,14bの出力信号のレベルが一致すれば、リモコン送信機100の姿勢の検知が正しく行われたと判断できるため、マイクロコンピュータ10は、そのレベルに基づいてリモコン送信機100の姿勢を判定し(ステップS607)、その結果を自己の姿勢情報メモリに記憶する。例えば重力センサ14a,14bの出力信号が共にHレベルであれば、姿勢情報メモリには「正姿勢」の情報が格納され(ステップS608)、共にLレベルであれば姿勢情報メモリには「逆姿勢」の情報が格納される(ステップS609)。
【0050】
マイクロコンピュータ10は、リモコン送信機100の姿勢の情報を姿勢情報メモリに格納した後、センサ電源スイッチ15を制御して、重力センサ14a,14bの電源を遮断し(ステップS610)、姿勢検知処理を終了する(ステップS610)。
【0051】
なお、図6ではマイクロコンピュータ10がリモコン送信機100の姿勢の情報を記憶するステップ(ステップS608,S609)の後に、重力センサ14a,14bへの電源供給を停止させているが、そのタイミングは、重力センサ14a,14bの出力信号が一致した後(ステップS606でYesと判定された後)であればよい。
【0052】
このように本実施の形態では、2つの重力センサ14a,14bによるリモコン送信機100の姿勢の検知結果を比較した上で、リモコン送信機100の姿勢が判定されるため、振動による重力センサ14a,14bの誤検知に起因する誤動作を防止でき、リモコン送信機100の動作信頼性を向上させることができる。
【0053】
なお本実施の形態では、2つの重力センサ14a,14bによるリモコン送信機100の姿勢の検知結果が一致していなければ、すぐに重力センサ14a,14bにリモコン送信機100の姿勢の再検知を行わせるように説明したが、その間に一定の間隔を開けるようにしてもよい。
【0054】
また以上の説明では、リモコン送信機100の逆方向の2面(表面と裏面)に操作部が配置されるものとして説明したが、本発明における操作部の配置はそれに限られるものではない。例えば姿勢検知部14が備える重力センサをさらに増やすなどして、上下以外の多方向の姿勢を検知できるように構成すれば、操作部をさらに側面にも設けてもよい。その場合にも、上向きの面の操作のみを有効にすれば、それ以外の面の操作部に使用者の指が触れることによる誤操作を防止することができる。
【符号の説明】
【0055】
100 リモコン送信機、110 デジタルテレビ、120 デジタルレコーダ、10 マイクロコンピュータ、11 テレビ操作ボタン群、12 レコーダ操作ボタン群、13 バッテリー、14 姿勢検知部、14a,14b 重力センサ、15 センサ電源スイッチ、16 送信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに向きの異なる第1および第2の面を備える筐体と、
前記第1および第2の面にそれぞれ配設された第1および第2操作部と、
所定のコマンドコードを外部へ送信可能な送信部と、
前記第1および第2操作部の操作に応じたコマンドコードを生成し、当該コマンドコードを前記送信部から外部へ送信させる制御部と、
前記筐体の姿勢を検知する姿勢検知部とを備え、
前記制御部は、前記姿勢検知部による前記筐体の姿勢の検知結果に基づいて前記第1および第2操作部の片方の操作を無効にし、
前記姿勢検知部は、前記第1および第2操作部のいずれかの操作があると動作可能な状態となり、前記筐体の姿勢の検知が完了した後は電力消費の少ない待機状態となる
ことを特徴とするリモコン送信機。
【請求項2】
前記姿勢検知部は、前記筐体の姿勢の検知を所定間隔で複数回行い、
前記制御部は、前記複数回の検知結果が一致しなければ、前記コマンドコードを前記送信部から外部へ送信させない
請求項1記載のリモコン送信機。
【請求項3】
前記姿勢検知部は、前記複数回の検知結果が一致するまで、前記筐体の姿勢を検知するための動作を繰り返す
請求項2記載のリモコン送信機。
【請求項4】
前記姿勢検知部は、
それぞれが前記筐体の姿勢を検知する第1および第2姿勢検知素子を含み、
前記制御部は、前記第1および第2姿勢検知素子による前記筐体の姿勢の検知結果が一致しなければ、前記コマンドコードを前記送信部から外部へ送信させない
請求項1記載のリモコン送信機。
【請求項5】
前記第1および第2姿勢検知素子は、当該第1および第2検知部による前記筐体の姿勢の検知結果が一致するまで、前記筐体の姿勢を検知するための動作を繰り返す
請求項4記載のリモコン送信機。
【請求項6】
前記第1および第2姿勢検知素子は同一構造のものであり、互いに異なる向きで設置されている
請求項4または請求項5記載のリモコン送信機。
【請求項7】
前記姿勢検知部の電源は、当該姿勢検知部が前記待機状態の間供給されない
請求項1から請求項6のいずれか一項記載のリモコン送信機。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1の面が上向きのときは第2の操作部を無効にし、前記第2の面が上向きのときは第1の操作部を無効にする
請求項1から請求項7のいずれか一項記載のリモコン送信機。
【請求項9】
前記第1および第2の面は、互いに逆向きである
請求項1から請求項8のいずれか一項記載のリモコン送信機。
【請求項10】
前記第1操作部は、第1の機器を操作するためのものであり、
前記第2操作部は、前記第1の機器とは異なる第2の機器を操作するためのものである
請求項1から請求項9のいずれか一項記載のリモコン送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−205209(P2012−205209A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69917(P2011−69917)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】