説明

リモート操作端末、車両

【課題】リモート操作中に停止操作が必要な状況下で、速やかに車両の走行又は動作を停止させることができるリモート操作端末及び車両を提供すること。
【解決手段】上記課題を解決するため、本発明は、ボタン2Aの操作により車両3をリモート操作するリモート操作端末2において、車両3を停止するための停止ボタン2Bを有し、停止ボタン2B以外のボタン2Aの操作に基づき、車両3へ停止信号を送信する停止信号送信出手段14、15を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両をリモート操作するリモート操作端末及び車両に関し、特に、車両を停止させる停止ボタンを供えたリモート操作端末及びその車両に関する。
【背景技術】
【0002】
端末を操作して車両等をリモート操作するリモート操作システムが知られている。車両と離れた地点から端末を操作すると、車載装置が無線を受信して操作内容に応じて、通電や部材の駆動だけでなく、車両を走行させることができる。
【0003】
端末から車両をリモート操作している場合、電波信号異常や操作ミス、端末の故障等により車両が所望の動作を行わない場合がある。そこで、車両に異常の検出手段を備え、車両側で停止が必要と判定した場合、車両の動作を停止することができるリモート操作システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1記載のリモート操作装置では、停止が必要と判定された場合、走行速度を徐々に下げることで急ブレーキやスリップを防止して停止することができる。
【特許文献1】特開2004−338817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、端末を操作するユーザの意志により車両の動作を停止したい場合があるため、端末に停止ボタンを配置して、停止ボタンの操作により動作を停止することが考えられる。
【0005】
しかしながら、ユーザが車両動作の停止が必要と判断した場合でも、ユーザがパニック状態に陥り停止ボタンを速やかに押下できないおそれがある。したがって、リモート操作システムにおいては、停止ボタンを備えていても車両の走行又は動作を速やかに停止させることができないおそれがあるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、リモート操作中に停止操作が必要な状況下で、速やかに車両の走行又は動作を停止させることができるリモート操作端末及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、ボタンの操作により車両をリモート操作するリモート操作端末(例えば、端末2)において、車両を停止するための停止ボタンを有し、停止ボタン以外の前記ボタンの操作に基づき、車両へ停止信号を送信する停止信号送信出手段(例えば、図4の意志推定手段14、信号送信手段15)を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、緊急停止ボタン以外のボタンが操作されても車両を停止することができるため、緊急時に緊急停止ボタンを操作できない場合でも車両を停止することができる。なお、ボタンは電気回路を開閉をスイッチするものであればよく、レバー状、トラックポインタ等、形状はどのようなものであってもよい。
【発明の効果】
【0009】
リモート操作中に停止操作が必要な状況下で、速やかに車両の走行又は動作を停止させることができるリモート操作端末及び車両を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0011】
本実施例では、緊急停止ボタン2Bのボタン操作により直接的に車両3の走行を停止させる停止制御について説明する。
【0012】
図1は、リモート操作システムの概略図を示す。車両3はリモート操作装置5を車載しており、端末2から信号を送信するとリモート操作装置5が信号を受信して、リモート操作装置5は信号に応じて車両を制御する。無線の通信方式は、例えば電波を使用したラジオコントロールであるが、赤外線やレーザを用いてもよい。また、無線LAN等のデータ通信によりコマンドを送信して車両を操作してもよい。
【0013】
端末2は作動ボタン2Aと緊急停止ボタン2Bを有し、作動ボタン2Aを押下し続けると車両3が所定方向に走行し、作動ボタン2Aを離すと停止する。すなわち、作動ボタン2Aを離すことで車両3は停止するが、フェイルセーフのために緊急停止ボタン2Bを有する。緊急停止ボタン2Bについては後述するが、緊急停止ボタン2Bを押下すると作動ボタン2Aの操作状態に関わらずリモート操作装置5は車両を停止させる。なお、単にボタンという場合、作動ボタン2Aと緊急停止ボタン2Bの双方を示す。また、図1では緊急停止ボタン2Bを作動ボタン2Aと同様の大きさ・位置に示したが、緊急停止ボタン2Bは誤操作防止のため作動ボタン2Aと異なる位置に設けられる。
【0014】
〔ソフトウェア処理による停止〕
図2はリモート操作システムのブロック図を示す。リモート操作装置5は、端末2からの信号を受信する信号受信手段21、信号に応じて車両を制御するリモートECU22を備える。
【0015】
信号受信手段21は、例えば、作動信号と停止信号をそれぞれ受信する2つ以上のチャネルを備える。作動信号は作動ボタン2Aが操作されている間は「H(ハイ)」を示す信号であるので、信号受信手段21は作動信号用のチャネルで受信した電波を復調して、「H」の作動信号を検出する。また、停止信号用のチャネルで「H」の信号を受信した場合、停止信号を検出する。
【0016】
リモート操作ECU22は、プログラムを実行するCPU、プログラムを格納したROM、プログラム実行のための作業メモリとなるRAM、不揮発性のメモリ、他のECUとの通信手段、信号を入出力する入出力インターフェイスを備えたマイコンである。リモート操作ECU22のCPUがプログラムを実行することで、停止制御手段が実現される。
【0017】
リモートECU22は車輪を駆動する例えばモータECUと通信し、「H」の作動信号が検出されている間、モータECUに車両の走行を指示する。また、「H」の作動信号が検出されなくなれば、モータECUへの走行の指示を停止する。また、信号受信手段21が停止信号を受信した場合、停止制御手段はモータECUへの走行の指示を停止すると共に、ブレーキECUに車両の停止を指示する。
【0018】
端末2は、プログラムを実行するCPU、プログラムを格納したROM、プログラム実行のための作業メモリとなるRAM、作動ボタン2A及び緊急停止ボタン2Bからの信号を入力する入力チャネル、アンテナから信号を送信するための出力チャネル、等を備えるマイコンを有する。CPUがプログラムを実行することで、ボタン操作検出手段12及び信号送信手段15が実現される。
【0019】
ボタン操作検出手段12は、例えば、入出力インターフェイスから入力される信号に応じて作動ボタン2A及び緊急停止ボタン2Bの操作を検出する。ボタン操作検出手段12は、ボタンが押下されている間は継続して「H」状態の作動信号を検出する。
【0020】
信号送信手段15は、少なくとも2つのチャネルを有する信号送信回路から作動信号又は停止信号を車両3に送信する。
【0021】
本実施例のリモート操作システムの制御手順について図3のフローチャート図に基づき説明する。ユーザが端末2の作動ボタン2Aを押下するとボタン操作検出手段12がそれを検出し(S1)、信号送信手段15が作動信号をリモート操作装置5に送信する(S2)。
【0022】
作動信号を送信すると、ユーザの判断による車両3の停止を検出するため、ボタン操作検出手段12は緊急停止ボタン2Bが押下されるか否かを判定する(S3)。緊急停止ボタン2Bが押下されない場合(S3のNo)、ステップS1の作動ボタン2Aの押下の検出及び作動信号の送信を繰り返すので、作動ボタン2Aが押下されている間は作動信号がリモート操作装置5に送信される。
【0023】
そして、ボタン操作検出手段12が緊急停止ボタン2Bの押下を検出すると、信号送信手段15が停止信号をリモート操作装置5に送信する(S4)。ユーザが作動ボタン2Aの押下を継続している場合、作動信号と停止信号が共に送信される。
【0024】
ついで、リモート操作装置5の制御に移る。リモートECU22は、停止信号又は作動信号を受信すると(S11)、まず、停止信号を受信したか否かを判定する(S12)。例えば、リモート操作の開始時は作動信号を受信するのでステップS12の判定はNoになる。
【0025】
ついで、作動信号を受信したか否かを判定し(S14)、作動信号を受信した場合、リモートECU22はモータECUと通信し、車両3を走行制御する(S16)。ステップS11に戻り、作動信号を継続的に受信している間は、ステップS11とS16が繰り返され、車両3が走行制御される。
【0026】
また、ステップS11に戻り、作動信号及び停止信号のいずれも受信しない場合、ステップS14の判定がNoになるので、リモートECU22はモータECUへの走行の指示を停止する(S15)。
【0027】
そして、ステップS11において停止信号を受信した場合、作動信号の受信判定(S14)の前に停止信号の受信を判定し(S12)、リモートECU22は車両3を緊急停止する(S13)。緊急停止であるので、リモートECU22は、例えば作動信号の受信されない場合よりも早急に車両を停止する。
【0028】
図3のように常に、停止信号の受信を判定することで、停止信号と作動信号を同時に受信した場合でも、優先的に車両を停止させることができる。
【0029】
〔予備の端末による停止〕
複数の端末2を備えておくことで、端末2の故障等に対応することができる。ユーザは、図2の点線に囲まれた端末2のように予備の端末(以下、予備端末という)6を有する。
【0030】
端末2及び予備端末6は予めリモート操作装置5にID番号等が登録されており、リモート操作に先立って認証処理を経ることで第三者による車両3の制御を防止している。
【0031】
ユーザが端末2を用いて車両3を走行制御している場合、リモート操作装置5は予備端末6のようにリモート操作装置5に登録された端末から受信した停止信号による停止を許可する。このように予備端末6による停止を許可することで、端末2の作動ボタン2Aが押下されたままになったり、落としてしまったり等、正常に操作できない場合でも、車両3を停止することができる。
【0032】
〔緊急停止ボタン及び作動ボタン以外による停止〕
例えば、作動ボタン2Aが押下されたままや内部で通電したままになり、かつ、端末2の緊急停止ボタン2Bが故障した場合、車両3の走行を停止するための信号を送信することができない。そこで、緊急停止ボタン2Bを押下しなくても停止信号をリモート操作装置5に入力する手段があることが好ましい。ここでは、リモート操作装置5が端末2を認証することで、車両3を停止制御する。
【0033】
車両3の所定部位と端末2は、例えば非接触ICと同様の通信手順で通信する。端末2はトランスポンダ(アンテナ、送受信回路、固有のIDコードを記憶したメモリ等)を有する。ユーザが車両3の所定部位に端末2をかざすと、車両3から発信されるリクエスト電波を受信して起電力を得て、IDコードを車両3に送信する。車両3は受信したIDコードをリモート操作装置5に送信するので、リモート操作装置5は該IDコードが予め登録されているIDコードと一致する場合には緊急停止が必要と判断し、車両を停止制御する。
【0034】
このように、緊急停止ボタン2Bが有効に機能しない場合であっても、単に端末2を車両3にかざすだけで車両を停止することができる。また、端末2とリモート操作装置5が通信しないのでタイムアウト等が生じても、確実に車両を停止することができる。
【実施例2】
【0035】
本実施例では、作動ボタン2Aが押下されかつ緊急停止ボタン2Bが押下されない場合であっても、運転者の意志を推定して車両5を停止させる停止制御について説明する。緊急停止ボタン2B以外のボタンであれば、操作するボタンは作動ボタン2Aでなくてもよい。
【0036】
なお、作動ボタン2Aと緊急停止ボタン2Bの機能は実施例1と同様である。すなわち、作動ボタン2Aによる作動信号をリモート操作装置5が受信している間、リモート操作装置5は車両3を所定方向に走行させ、作動信号が受信されなくなると車両3を停止する。また、緊急停止ボタン2Bの停止信号を受信した場合、作動信号を受信されたままであってもリモート操作装置5は車両を停止させる。
【0037】
図4は端末2とリモート操作装置5からなるリモート操作システムのブロック図を示す。なお、図4において図2と同一構成部分には同一の符号を付しその説明は省略する。図4の端末2は、操作圧力検出手段13、音声検出手段17及び意志推定手段14を有する点で図2と異なる。これらの手段は、端末2のCPUがプログラムを実行することで実現される。
【0038】
図4に示すように作動ボタン2Aには圧電素子11が備えられており、圧電素子11は作動ボタン2Aを押す力に応じた電圧を出力する。操作圧力検出手段12は、A/D変換された電圧をユーザの操作圧力として取得する。なお、緊急停止ボタン2Bには圧電素子が配置されていないが配置してもよい。
【0039】
また、マイク16は端末2の周囲の音を検出する。マイク16は人間の音声を通過させるフィルタを介した後、所定以上の振幅の音声のみを通過させるフィルタを介して、音声検出手段17に入力される。音声検出手段17はこのように所定以上の音声が検出されている間、意志推定手段14に音声信号を入力する。なお、ユーザが緊急時に発する言葉を予め登録しておき、音声検出手段17が検出した信号波形と比較して、類似している音声を検出してもよい。また、ユーザの声紋を予め登録しておき、音声検出手段17が検出した声紋と比較して、類似している声紋の音声のみを検出してもよい。
【0040】
意志推定手段14には、作動ボタン2Aの作動信号、操作圧力信号及び音声信号が入力される。意志推定手段14は、ユーザが車両3を停止したいという意志を、緊急停止ボタン2Bの操作以外の操作から、例えばニューロモデルのロジックに基づき推定する。
【0041】
緊急時にユーザがパニック状態に陥り、車両3を停止させたいにも関わらず作動ボタン2Aを押してしまう場合があるが、意志推定手段14は所定以上(例えば、平均的な操作圧力以上)の操作圧力で作動ボタン2Aが押下されている場合、ユーザは実は車両3を停止したのではないかと推定する。
【0042】
また、緊急停止ボタン2Bと間違って作動ボタン2Aを押下してしまうことがある。例えば、ユーザは緊急停止ボタン2Bを押下しているつもりだが車両3が停止しないので、作動ボタン2Aを繰り返し何回も押下する。意志推定手段14は、ボタン操作検出手段12が出力する操作ボタン2Aのパルス数をカウントし、単位時間当たりの押下回数が多ければ(周期が小さければ)、ユーザは実は車両3を停止したのではないかと推定する。
【0043】
また、車両3を停止したいが停止できない場合、ユーザが大声を発することがある。音声認識手段17は焦りや緊急を示す音声を検出した場合、意志推定手段14に音声信号を入力する。
【0044】
意志推定手段14は、作動ボタン2Aの作動信号の操作回数、操作圧力信号及び音声信号をニューロモデルに入力して、ユーザの意志を判定する。なお、作動信号の操作回数、操作圧力信号及び音声信号のいずれか1つに基づきユーザの意志を検出してもよい。
【0045】
信号送信手段15は、意志推定手段14が停止すべき意志があると推定した場合、又は、緊急停止ボタン2Bが押下された場合には停止信号を、単に作動ボタン2Aが押下された場合には作動信号を、それぞれ出力する。
【0046】
また、意志推定手段14は、車両3が意志推定により停止された後に所定時間内(例えば数秒内)に再度作動ボタン2Aが押下された場合、推定が誤っていたことを学習する。このように、ニューロモデルを利用することでユーザの行動を学習することができ、より最適な意志推定が可能になっていく。
【0047】
なお、意志推定手段14がユーザに停止すべき意志があると「ある程度」推定した場合、その時点でユーザに正しい操作方法をアドバイスしてもよい。例えば、作動ボタン2Aが所定時間に5回以上押下されたら停止すべき意志を推定する場合、3回の押下を検出した時点で、「停止する時は□ボタンを押してください!」(□は緊急停止ボタン2Bに付されたマーク)と音声や文字を出力する。完全に意志を推定する前にアドバイスを行うことで、ユーザは緊急停止ボタン2Bを押下することができ、確実に車両3を停止することができる。
【0048】
〔車両側で停止を推定する場合〕
図4では端末2に意志推定手段14を備えることとしたが、意志推定手段14はリモート操作装置5が備えていてもよい。図4のリモート操作装置5は図2と同様に停止制御手段を有するが、図4の停止制御手段は本実施例の意志推定手段14の機能を兼ねる。
【0049】
リモート操作装置5が意志推定手段14を備える場合、端末2は、操作ボタン2Aの作動信号、操作圧力信号及び音声信号をリモート操作装置5に送信する。以降の処理は端末2に意志推定手段14が搭載されている場合と同様である。すなわち、停止制御手段は作動ボタン2Aの押し方、操作圧力及び音声に基づきユーザの車両を停止すべきという意志を推定する。停止信号以外のこれらの信号(操作信号等)に基づき意志を推定した停止制御手段は車両3の作動を停止する。すなわち、所定以上の圧力の操作圧力信号を受信したり、停止信号以外の操作信号等を所定以下の周期で受信した場合に作動を停止する。
【0050】
〔端末2からの信号以外の情報に基づく停止制御〕
また、リモート操作装置5が意志推定手段14を有する場合、意志推定手段14は車両3への物理的な刺激に基づき、ユーザの停止すべきという意志を推定することができる。ユーザが車両を止めたい場合、車両3に「押す、たたく、引っ張る」という刺激を加えることが考えられる。そこで、ユーザがこのような刺激を与えそうな部位(バンパ、ボンネット、サイドミラーなど)に圧力センサやスイッチを設け、車両3への刺激の検出信号を停止制御手段に入力する。停止制御手段は車両への刺激に応じてユーザの意志を推定することができる。
【0051】
本実施例によれば、緊急停止ボタン以外のボタン等を操作した場合でもユーザの停止すべきという意志を推定して車両3の作動を停止することができるので、ユーザが焦って緊急停止ボタン2Bを押下できない場合でも確実に車両3を停止することができる。
【実施例3】
【0052】
車両3が停止すべきと判断して車両3を停止させる場合について説明する。なお、ブロック図は図4と同様であるので説明は省略する。
【0053】
例えば、車両が走行中に人の乗降が行われる場合、端末2のユーザが停止すべきと判断しなくても停止することが好ましい。車両に乗降する場合、「ドアのアンロック・ドアロック」「ドアの開閉」「サイドミラー操作」「アンテナ操作」等が行われることが多いので、これらの部材が操作された場合、リモート操作装置5は車両を停止する。
【0054】
このように、車外から操作可能な部材で車両を停止することができる場合、端末2の緊急停止ボタン2Bを操作することが煩わしいと感じるユーザでも簡単に車両を停止させることができる。
【0055】
また、車両3の近くにユーザがいる場合、又は、ユーザの近くまで車両3が走行した場合、車両3とユーザの接触を回避するために、車両3を停止することが好ましい。
【0056】
ここでは、スマートキー(登録商標)と同様な手順によりリモート操作装置5が端末2を認証した場合に、ユーザと車両3が接近したと判定する。リモート操作装置5は、車両3の周囲に所定範囲の端末検出エリアを形成する。端末2は、制御回路、固有のID情報を記憶したメモリ、アンテナ、送受信回路及びバッテリ等を有する。端末2が端末検出エリアに入ると、端末2はリモート操作装置5から送信されるリクエスト電波に応じてメモリに記憶したID情報を送信する。リモート操作装置5は、端末2から受信したID情報とリモート操作装置5のメモリ内に予め登録されているID情報とが一致しているか否かを判定する。
【0057】
判定の結果、一致していた場合、リモート操作装置5は車両3の近くにユーザが存在すると判断して、車両3の走行を停止する。
【0058】
なお、車両3の車外から操作できるスイッチやセンサを備え、ユーザがスイッチやセンサを操作した場合にリモート操作装置5が車両3を停止することとしてもよい。
【0059】
本実施例によれば、センサによりリモート操作装置5が車両3を停止すべきと判定して車両を停止することができる。
【実施例4】
【0060】
本実施例では、1回の緊急停止ボタン2Bの操作により2つの停止制御を実行するリモート操作システムについて説明する。
【0061】
端末2は、ラジオコントロールのための信号送信手段と、ネットワークに接続して信号を送信する第2の信号送信手段とを備える。第2の信号送信手段は、例えば、携帯電話網、無線LAN等の通信網に接続して、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等のプロトコルに基づく処理を停止信号に施し送信する。所定のサーバが端末2からの停止信号を受信すると、サーバは車両3の近くの基地局を介し、停止信号を車両3に送信する。
【0062】
図5は、1回の緊急停止ボタン2Bの操作により実行される2つの停止制御のフローチャート図を示す。なお、図5では車両3は既に走行制御されている。
【0063】
ユーザが緊急停止ボタン2Bを押下すると、ボタン操作検出手段12が緊急停止ボタン2Bの押下を検出する(S31)。
【0064】
これにより本実施例では、信号送信手段15がラジオコントロールによる停止信号を車両3に送信すると共に(S32)、第2の信号送信手段がサーバを経由する停止信号をネットワークを介し車両3に送信する(S33)。
【0065】
ついで、リモート操作装置5の処理に移り、リモート操作装置5はいずれかの停止信号が受信されたか否かを判定し(S41)、いずれかのうち一方が受信された場合、車両を緊急停止する(S42)。
【0066】
このように、1回のボタン操作で2つの停止信号を送信することができ、リモート操作装置5は端末2から送信される2つの停止信号のうち、一方が受信されたら車両を停止させることができる。したがって、一方の通信に不具合が生じても確実に車両3を停止することができる。
【0067】
以上説明したように本実施形態の遠隔操作システムは、リモート操作中に停止操作が必要な状況下で、速やかに車両の走行又は動作を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】リモート操作システムの概略図である。
【図2】端末とリモート操作装置からなるリモート操作システムのブロック図である。
【図3】リモート操作システムの制御手順を示すフローチャート図である。
【図4】リモート操作システムのブロック図である。
【図5】1回の緊急停止ボタン2Bの操作により実行される2つの停止制御のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0069】
2 端末
2A 作動ボタン、2B 緊急停止ボタン
3 車両
5 リモート操作装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタンの操作により車両をリモート操作するリモート操作端末において、
前記車両を停止するための停止ボタンを有し、
前記停止ボタン以外の前記ボタンの操作に基づき、前記車両へ停止信号を送信する停止信号送信出手段を有する、
ことを特徴とするリモート操作端末。
【請求項2】
前記停止信号送信出手段は、前記停止ボタン以外の前記ボタンが所定以上の力で操作された場合に、前記車両へ前記停止信号を送信する、
ことを特徴とする請求項1記載のリモート操作端末。
【請求項3】
前記停止信号送信手段は、前記停止ボタン以外の前記ボタンが所定以下の周期で操作された場合に、前記車両へ前記停止信号を送信する、
ことを特徴とする請求項1記載のリモート操作端末。
【請求項4】
操作端末から送信される信号に基づき作動及び停止する車両であって、
停止信号を受信した場合に作動を停止する停止制御手段を有し、
前記停止制御手段は、前記停止信号以外の前記信号を所定条件下で受信した場合に作動を停止する、
ことを特徴とする車両。
【請求項5】
前記停止制御手段は、前記停止信号以外の前記信号を所定以下の周期で受信した場合に、作動を停止する、
ことを特徴とする請求項4記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−28661(P2008−28661A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198475(P2006−198475)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】