説明

リング状照明装置及びその製造方法

【課題】 LEDのリードとプリント配線基板との電気的接触不良が生じるのを防止でき、また容易に製造することができるリング状照明装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 複数のLED8と、複数のLED8を支持するリング状の台板10と、複数のLED8が電気的に接続されるプリント配線基板12と、を備え、台板10には、その片面から他面まで延びる複数の貫通孔24が設けられ、またその片面には、径方向内方に向かって下り傾斜する傾斜面20が設けられている。複数のLED8の各々のリード16は、台板10の複数の貫通孔24を通してプリント配線基板12の複数のスルーホール32に挿通されてハンダ付けされ、複数のLED8の各々の発光部14は、台板10の傾斜面20上に略垂直方向に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像処理検査等において被検査物を照明するために用いるリング状照明装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリント配線基板や半導体等の工業製品の品質、例えば、ハンダ付けの不良や異物の付着等、あるいは飲料用缶に印字される製造日等の印字ミス等を製造ライン上で検査する際に、CCDカメラ等による撮像を利用した画像処理検査が行われている。この画像処理検査においては、照明領域に配置された被検査物を照明するためのリング状照明装置が用いられている。
【0003】
上述のようなリング状照明装置は、リング状に光を照射するリング状光源を備え、このリング状光源は、複数のLEDと、複数のLEDが電気的に接続される屈曲可能なプリント配線基板と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。このリング状照明装置は、例えば次のようにして製造される。プリント配線基板は切欠きを有するリング状に構成され、このプリント配線基板を平面状に保持した状態で、プリント配線基板の片面に複数のLEDの各々のリードをハンダ付けする。その後に、プリント配線基板の片面が内側になるようにして、プリント配線基板を切頭円錐状に屈曲させてその両端部を相互に接合し、これにより複数のLEDの各々の発光部がプリント配線基板の切頭円錐凹面側に配設される。
【0004】
【特許文献1】特許第2975893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のリング状照明装置では、次のような問題がある。プリント配線基板に対する複数のLEDの実装密度は比較的高いため、プリント配線基板を切頭円錐状に屈曲させるのは容易でなく、それ故に、リング状照明装置を容易に製造することができないという問題がある。また、上述のようにプリント配線基板を切頭円錐状に屈曲させると、プリント配線基板にストレスが作用するようになり、これによりプリント配線基板にハンダ付けされたLEDのリードなどにストレスが作用し、LEDのリードのハンダ付け部分にクラックが生じ、LEDのリードとプリント配線基板との電気的接触不良が生じるおそれがあるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、LEDのリードとプリント配線基板との電気的接触不良が生じるのを防止でき、また容易に製造することができるリング状照明装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載のリング状照明装置は、複数のLEDと、前記複数のLEDが電気的に接続されるプリント配線基板と、を備え、前記複数のLEDの各々は、樹脂で覆われた発光部と、前記発光部から延びるリードと、を有し、前記プリント配線基板には、前記複数のLEDの各々の前記リードに対応して複数のスルーホールが設けられ、前記複数のLEDの各々の前記リードが前記プリント配線基板の前記複数のスルーホールに挿通されてハンダ付けされるリング状照明装置において、
前記プリント配線基板は平板状且つリング状に構成され、前記プリント配線基板と前記複数のLEDの各々の前記発光部との間には絶縁性を有するリング状の台板が介在されており、前記台板には、その片面から他面まで延びる複数の貫通孔が設けられ、またその片面には、径方向内方に向かって下り傾斜する傾斜面が設けられ、
前記複数のLEDの各々の前記リードは、前記台板の前記複数の貫通孔を通して前記プリント配線基板の前記複数のスルーホールに挿通されてハンダ付けされ、前記複数のLEDの各々の前記発光部は、前記台板の前記傾斜面上に略垂直方向に支持されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載のリング状照明装置では、前記台板の他面には、前記プリント配線基板の前記複数のスルーホールを通してその片面に吸い上げられたハンダを収容するためのリング状凹部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の請求項3に記載のリング状照明装置では、前記台板の前記傾斜面側における前記複数の貫通孔の各々の開口端部には、外側に拡がるテーパ部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4に記載のリング状照明装置では、前記台板及び前記プリント配線基板にはそれぞれ、これらを相互に重ね合わせて位置決めするための位置決め手段が設けられていることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の請求項5に記載のリング状照明装置では、前記位置決め手段は、前記台板に設けられた位置決め用突部又は凹部と、前記位置決め用突部又は凹部と相互に係合される前記プリント配線基板に設けられた位置決め用凹部又は突部と、から構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項6に記載のリング状照明装置では、前記台板及び前記プリント配線基板を保持するためのハウジングを更に備え、前記プリント配線基板の他面と前記ハウジングとの間には、柔軟性を有する放熱部材が介在されており、前記複数のLEDの各々の前記リードの先端部は、前記放熱部材に熱伝的に接触されていることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の請求項7に記載のリング状照明装置の製造方法では、複数のLEDと、前記複数のLEDを支持する絶縁性を有するリング状の台板と、前記複数のLEDが電気的に接続されるプリント配線基板と、を備え、
前記複数のLEDの各々は、樹脂で覆われた発光部と、前記発光部から延びるリードと、を有し、前記プリント配線基板は平板状且つリング状に構成され、前記プリント配線基板には、前記複数のLEDの各々の前記リードに対応して複数のスルーホールが設けられ、前記台板には、その片面から他面まで延びる複数の貫通孔が設けられ、またその片面には、径方向内方に向かって下り傾斜する傾斜面が設けられたリング状照明装置の製造方法であって、
前記複数のLEDの各々の前記リードを折り曲げる工程と、前記複数のLEDの各々の前記リードを所定の長さに切断する工程と、前記台板の前記複数の貫通孔と前記プリント配線基板の前記複数のスルーホールとを一致させる工程と、前記台板の他面と前記プリント配線基板の片面とが対向されるようにしてこれらを相互に重ね合わせる工程と、前記複数のLEDの各々の前記発光部を前記台板の前記傾斜面に支持するとともに、前記複数のLEDの各々の前記リードを前記台板の前記複数の貫通孔及び前記プリント配線基板の前記複数のスルーホールに挿通する工程と、前記貫通孔及び前記スルーホールに挿通された前記リードを前記スルーホールにハンダ付けする工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のリング状照明装置によれば、複数のLEDの各々のリードが、台板の複数の貫通孔を通してプリント配線基板の複数のスルーホールに挿通されてハンダ付けされることにより、複数のLEDの各々の発光部が台板の傾斜面上に略垂直方向に支持されるので、従来のようにプリント配線基板を屈曲させることなく、複数のLEDの各々の発光部をリング状に所要の通りに配設することができ、リング状照明装置を容易に製造することが可能となり、また、複数のLEDを傾斜面によって正確に所定角度傾斜させて配置することができる。さらに、プリント配線基板にストレスが作用することがなく、そのためLEDのリードのハンダ付け部分にクラックが生じることがなく、LEDのリードとプリント配線基板との電気的接触不良が生じるのを防止することが可能となる。
【0015】
また、本発明のリング状照明装置によれば、台板の他面にはリング状凹部が設けられているので、複数のLEDの各々のリードをプリント配線基板の複数のスルーホールに挿通してハンダ付けした際に、プリント配線基板の複数のスルーホールを通してその片面に吸い上げられたハンダがこのリング状凹部に収容される。したがって、プリント配線基板の両面においてLEDのリードをプリント配線基板に確実にハンダ付けすることができ、LEDのリードとプリント配線基板との電気的接続状態を良好に保つことが可能となる。
【0016】
さらに、本発明のリング状照明装置によれば、台板の傾斜面側における複数の貫通孔の各々の開口端部には外側に拡がるテーパ部が設けられているので、LEDのリードを台板の貫通孔に挿通すると、LEDの発光部を樹脂でモールド成型した際に発光部の下端部に形成される樹脂突出部が、このテーパ部の内側に形成される収容空間に収容される。これにより、LEDの発光部の下端面が台板の傾斜面に当接されるようになり、LEDの発光部を台板の貫通孔部分における傾斜面に安定して支持させることが可能となる。
【0017】
また、本発明のリング状照明装置によれば、台板及びプリント配線基板にはそれぞれ、これらを相互に重ね合わせて位置決めするための位置決め手段が設けられているので、台板の複数の貫通孔とプリント配線基板の複数のスルーホールとがそれぞれ一致するように、台板とプリント配線基板とを相互に重ね合わせる際の位置決めを容易に行うことが可能となる。さらに、位置決め手段は、台板に設けられた位置決め用突部又は凹部と、位置決め用突部又は凹部と相互に係合されるプリント配線基板に設けられた位置決め用凹部又は突部と、から構成されているので、台板とプリント配線基板とを相互に重ね合わせる際の位置決めをより容易に且つ確実に行うことが可能となる。
【0018】
また、本発明のリング状照明装置によれば、プリント配線基板の他面とハウジングとの間には、柔軟性を有する放熱部材が介在されているので、複数のLEDの各々のリードの先端部が放熱部材に覆われて熱伝的に接触されるようになり、これによりリードからの熱は、放熱部材を通してハウジングに伝達されて放熱される。したがって、複数のLEDの各々の発光部にて発生した熱を効率良く放熱することが可能となる。また、リードが放熱部材により押圧されてリードに外力が作用することがなく、これによりリードのハンダ付け部分にクラックが生じるのが防止される。
【0019】
さらに、本発明のリング状照明装置の製造方法によれば、複数のLEDの各々のリードを折り曲げて所定の長さに切断し、複数のスルーホールと複数の貫通孔とを一致させて台板とプリント配線基板とを相互に重ね合わせ、複数のLEDの各々の発光部を台板の傾斜面に支持するとともに、複数のLEDの各々のリードを台板の複数の貫通孔を通してプリント配線基板の複数のスルーホールに挿通してハンダ付けするので、従来のようにプリント配線基板を屈曲させることなく、複数のLEDの各々の発光部をリング状に所要の通りに配設することができ、リング状照明装置を容易に製造することが可能となり、また、複数のLEDを傾斜面によって正確に所定角度傾斜させて配置することができる。さらに、プリント配線基板にストレスが作用することがなく、そのためLEDのリードのハンダ付け部分にクラックが生じることがなく、LEDのリードとプリント配線基板との電気的接触不良が生じるのを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うリング状照明装置及びその製造方法の各種実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態によるリング状照明装置を示す斜視図であり、図2は、図1のリング状照明装置を示す分解斜視図であり、図3は、図1のリング状照明装置の概略断面図であり、図4は、図3の台板の貫通孔及びその周辺の構成を示す拡大断面図である。
【0021】
図1〜図4において、図示のリング状照明装置2は、リング状に光を照射するリング状光源4と、リング状光源4を保持するためのハウジング6と、を備えている。以下、これら各構成要素について詳細に説明する。
【0022】
リング状光源4は、複数のLED8と、複数のLED8を支持するリング状の台板10と、複数のLED8が電気的に接続されるプリント配線基板12と、を備えている。
LED8は、発光部14と、発光部14から延びる一対のリード16と、を有している。発光部14は、発光体であるチップ(図示せず)が透明樹脂などによってモールドされることにより砲弾型に構成され、また一対のリード16の各々は発光部14の下端部より外部に延びている。また、発光部14の下端部(即ち、リード16が発光部14より導出される部分)には、発光部14を形成する透明樹脂が山状に幾分突出された樹脂突出部18が存在している(図4参照)。この樹脂突出部18は、発光部14をモールド成型する際に形成されるものである。なお、図2においては、LED8は1個のみ図示してある。
【0023】
台板10は、高い耐熱性及び絶縁性を有する材料、例えばポリカーボネートから形成され、リング状に構成されている。台板10の片面には、リング状照明装置2の軸線Cに対して角度θ1(例えば、約72度)(図3参照)でもって径方向内方に向かって下り傾斜する傾斜面20が設けられており、またその他面にはリング状凹部22が設けられている。また台板10には、複数のLED8の各々のリード16が挿通される複数の貫通孔24がその片面から他面まで軸線C方向に延びて設けられており、これら複数の貫通孔24は、同心円状に複数列(本実施形態では4列)設けられている。台板10の傾斜面20側における貫通孔24の開口端部には外側に拡がるテーパ部26が設けられ(図4参照)、このテーパ部26の大きさは、台板10の径方向内方からその径方向外方に向かって漸増されており、このテーパ部26の内側には、LED8の発光部14の樹脂突出部18が収容される収容空間28が形成されている。また、台板10の他面における外周部には、位置決め手段としての位置決め用突部30(図2及び図4参照)が設けられている。
【0024】
プリント配線基板12は平板状且つリング状に構成され、その外径及び内径はそれぞれ、台板10の外径及び内径と略同一に構成されている。プリント配線基板12には、複数のLED8の各々のリード16に対応して(即ち、台板10の複数の貫通孔24に対応して)複数のスルーホール32が設けられている。複数のスルーホール32の各々の両端部には導電ランド部(図示せず)が設けられ、この導電ランド部は、プリント配線基板12に設けられた配線パターン(図示せず)と電気的に接続されている。プリント配線基板12の他面側における配線パターンには、電力供給装置(図示せず)から延びる電力ケーブル34の一端部がハンダ付けにより電気的に接続されている。またプリント配線基板12の片面における外周部には、台板10の位置決め用突部30に対応して位置決め手段としての位置決め用凹部36(図2及び図4参照)が設けられており、位置決め用突部30と位置決め用凹部36とが相互に係合されるようにして、台板10とプリント配線基板12とを相互に重ね合わせる。すると、台板10の複数の貫通孔24とプリント配線基板12の複数のスルーホール32とがそれぞれ一致されるようになる。
【0025】
ハウジング6は、筒状のハウジング本体部38と、ハウジング本体部38の一方の開口部に取り付けられるリング状のカバー部40と、から構成されている。ハウジング本体部38の内径は、台板10及びプリント配線基板12の外径と略同一又はこれらよりも僅かに大きく構成されている。ハウジング本体部38の内周面には、径方向内方に突出したリング状の係止突部42が設けられ、またその一方の端部には、プリント配線基板12から延びる電力ケーブル34を挿通するための矩形状の第1切欠き部44と、周方向に所定の間隔を置いて配設された複数のネジ挿通孔46と、が設けられている。
【0026】
カバー部40の外径は、ハウジング本体部38の内径と略同一又はこれよりも僅かに小さく構成されている。カバー部40には、複数のネジ孔48が周方向に所定の間隔を置いて設けられ、またその片面には、後述する放熱部材50を収容するためのリング状の収容凹部52が設けられている。カバー部40の外周部には、ハウジング本体部38の複数のネジ挿通孔46に対応して複数のネジ孔54が設けられ、また、ハウジング本体部38の第1切欠き部44に対応して第2切欠き部56が設けられている(図2参照)。
【0027】
カバー部40の収容凹部52に収容される放熱部材50はリング状に構成され、電気的絶縁性及び熱伝導性を有する変形可能な柔軟性材料、例えばシリコーンやフロロシリコーン、SEPなどから形成される。
【0028】
次に、リング状照明装置2の製造方法について説明すると、次の通りである。まず、LED8の一対のリード16の樹脂突出部18近傍の部位を例えば工具などを用いて、発光部14に対して角度θ2(例えば、約18度)(図3参照)でもって折り曲げ、更に、LED8の一対のリード16を例えば工具などを用いて所定の長さに切断する。例えば、台板10の最も外側の貫通孔24部分における厚さD1が約6mm、プリント配線基板12の厚さD2が約1.5mmである場合には、この貫通孔24に挿入するLED8の一対のリード16を約8.5〜9.0mm程度の長さに切断し、台板10の外側から2列目の貫通孔24に挿通するLED8の一対のリード16をこれよりも所定長さだけ短い長さに切断する。以下同様に、台板10の外側から2列目の貫通孔24、外側から3列目の貫通孔24及び最も内側の貫通孔24に挿通するLED8の一対のリード16をこの順に長さが短くなるように切断する。かく切断することにより、後述するようにLED8のリード16を台板10の貫通孔24を通してプリント配線基板12のスルーホール32に挿通した際に、プリント配線基板12の他面より突出されるリード16の先端部の長さを約1.0〜1.5mm程度確保することができる。
【0029】
その後に、台板10の位置決め用突部30とプリント配線基板12の位置決め用凹部36とを相互に係合させることにより台板10の複数の貫通孔24とプリント配線基板12の複数のスルーホール32とを一致させ、台板10の他面とプリント配線基板12の片面とが対向されるようにしてこれらを相互に重ね合わせて両者を例えば仮固定用のテープ(図示せず)などで一体に固定する。そして、上述のようにして折り曲げたLED8の一対のリード16をそれぞれ、台板10の対応する一対の貫通孔24を通してプリント配線基板12の対応する一対のスルーホール32に挿入する。この挿入時、リード16の先端部を、台板10の径方向外方におけるテーパ部26の表面に沿って移動させながら台板10の貫通孔24に挿入するので、LED8のリード16を台板10の貫通孔24に容易に挿入することができる。このようにLED8のリード16を挿入すると、LED8の発光部14の樹脂突出部18がテーパ部26の内側の収容空間28に収容され、これにより発光部14の下端面が台板10の傾斜面20上に当接され、発光部14を貫通孔24部分における傾斜面20に安定して支持することができる。
【0030】
上述のようにLED8のリード16を台板10の貫通孔24を通してプリント配線基板12のスルーホール32に挿入し、リード16の先端部をプリント配線基板12の他面側の導電ランド部(スルーホール32)にハンダ付けする。このようにハンダ付けを行うと、ハンダ58がプリント配線基板12の他面からスルーホール32を通してその片面に吸い上げられ、この吸い上げられたハンダ58は台板10のリング状凹部22に収容され(図4参照)、これによりプリント配線基板12の片面側においてもLED8のリード16を導電ランド部に確実にハンダ付けすることができる。
【0031】
なお、このハンダ付けは例えばフローハンダにより行われるが、LED8の発光部14とプリント配線基板12との間には、例えばポリカーボネートなどの耐熱性の高い材料から形成された台板10が介在されているので、ハンダ槽(図示せず)の上面にプリント配線基板12の他面を接触させた際に、ハンダ槽内の溶融したハンダの熱がLED8の発光部14に伝達され難くなり、これによりLED8の発光部14がハンダの熱により損傷するのが防止される。
【0032】
このようにハンダ付けを行うと、台板10及びプリント配線基板12は、LED8の発光部14と、プリント配線基板12の導電ランド部にハンダ付けされたリード16の先端部との間に挟持されるので、上記の仮固定用のテープを取り除くことができる。また、電力供給装置から延びる電力ケーブル34の一端部をプリント配線基板12の他面側の配線パターンにハンダ付けする。
【0033】
上述のようにして組み立てられたリング状光源4は、次のようにしてハウジング6に保持される。まず、リング状光源4をハウジング本体部38の一方の開口部よりその内部に挿入し、台板10の片面側の外周部をハウジング本体部38の係止突部42に係止させる。そして、カバー部40の収容凹部52に放熱部材50を収容し、このカバー部40をハウジング本体部38の一方の開口部に挿入する。かく挿入すると、プリント配線基板12の他面とカバー部40の片面との間に放熱部材50が介在され、プリント配線基板12の他面より突出されたリード16の先端部が放熱部材50に覆われ、リード16と放熱部材50とが熱伝的に接触されるようになる。そして、プリント配線基板12より延びる電力ケーブル34をカバー部40の第2切欠き部56及びハウジング本体部38の第1切欠き部44を通して外部に引き出し、その後に複数の固定用ネジ60をハウジング本体部38の複数のネジ挿通孔46を通してカバー部40の複数のネジ孔54に螺着する。これにより、ハウジング本体部38及びカバー部40が一体に固定されることにより、リング状光源4は、ハウジング本体部38の係止突部42とカバー部40の片面との間に挟持される。以上のようにして、リング状照明装置2の製造が完了される。
【0034】
上述のようにして構成されたリング状照明装置2において、複数のLED8の各々の発光部14は台板10の傾斜面20にリング状に配設され、軸線Cに対して角度θ2でもってリング状光源4の径方向内方(即ち、台板10の傾斜面20に対して略垂直方向)を向くようになる。
【0035】
このリング状照明装置2は、例えば次のような画像処理検査に用いられる。例えば複数の取付用ネジ(図示せず)をカバー部40の複数のネジ孔48に螺着することにより、リング状光源4の傾斜面20が下側になるようにしてリング状照明装置2を検査用機器(図示せず)などに取り付ける。リング状照明装置2の下方には照明領域(図示せず)が位置され、この照明領域の中央部には被検査物(図示せず)が配置される。また、リング状照明装置2の上方にはCCDカメラ(図示せず)が設置されており、このCCDカメラは、リング状照明装置2の開口部62を通して被検査物が覗けるように構成されている。
【0036】
電力供給装置からの所定の電力が電力ケーブル34を介してリング状照明装置2に供給されると、この電力は、プリント配線基板12の配線パターン、導電ランド部及びハンダ58を介してLED8のリード16に供給され、複数のLED8の各々の発光部14が発光される。これにより照明領域に配置された被検査物の表面が照明され、このようにして被検査物の画像処理検査が行われる。
【0037】
また、上述のようにLED8のリード16の先端部は放熱部材50により覆われ且つ接触しているので、LED8の発光部14が発光すると、発光部14にて発生した熱がリード16より放熱部材50を通してカバー部40及びハウジング本体部38に伝達されて放熱され、これにより発光部14にて発生した熱を効率良く放熱することができる。
【0038】
本実施形態のリング状照明装置2では、複数のLED8の各々のリード16が、台板10の複数の貫通孔24を通してプリント配線基板12にハンダ付けされることにより、複数のLED8の各々の発光部14が台板10の傾斜面20に支持されるので、従来のようにプリント配線基板12を屈曲させることなく、複数のLED8の各々の発光部14をリング状に所要の通りに配設することができ、リング状照明装置2を容易に製造することが可能となる。また、プリント配線基板12にストレスが作用することがなく、そのためLED8のリード16のハンダ付け部分にクラックが生じることがなく、LED8のリード16とプリント配線基板12との電気的接触不良が生じるのを防止することが可能となる。また、台板10の傾斜面20の傾斜角度θ1を適宜変更することにより、複数のLED8からの光の照射方向を容易に変更することができる。
【0039】
次に、図5を参照して、リング状照明装置の第2の実施形態について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態によるリング状照明装置を示す概略要部斜視図である。図5において、図1〜図4に示す実施形態の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0040】
この実施形態によるリング状照明装置2Aでは、台板10Aに設けられた複数の貫通孔24Aの各々は長孔状に構成され、1つの貫通孔24AにはLED8の一対のリード16がそれぞれ挿入される。この貫通孔24Aの長さは、LED8の一対のリード16の離間距離(ピッチ)と略同一又はこれよりも僅かに大きく構成されている。
【0041】
この他の実施形態のリング状照明装置2Aでは、LED8のリード16を台板10Aの1つの貫通孔24Aに挿通するので、リード16の挿通作業を容易に行うことができる。
【0042】
以上、本発明に従うリング状照明装置及びその製造方法の種々の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0043】
例えば、上記各実施形態では、台板10の他面に位置決め用突部30を設け、プリント配線基板12の片面に位置決め用凹部36を設けるように構成したが、これとは反対に、台板10の他面に位置決め用凹部を設け、プリント配線基板12の片面に位置決め用突部を設けるように構成してもよい。あるいは、位置決め用突部30及び位置決め用凹部36を設けることに代えて、位置決め手段を台板10の他面及びプリント配線基板12の片面にそれぞれ設けたマーキングから構成し、これらのマーキングが一致するようにして、台板10及びプリント配線基板12を重ね合わせて位置決めするようにしてもよい。
【0044】
また例えば、上記各実施形態では、フローハンダによりLED8のリード16をプリント配線基板12にハンダ付けするように構成したが、例えばハンダごてなどを用いてハンダ付けするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態によるリング状照明装置を示す斜視図である。
【図2】図1のリング状照明装置を示す分解斜視図である。
【図3】図1のリング状照明装置の概略断面図である。
【図4】図3の台板の貫通孔及びその周辺の構成を示す拡大断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態によるリング状照明装置を示す概略要部斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
2,2A リング状照明装置
4 リング状光源
6 ハウジング
8 LED
10,10A 台板
12 プリント配線基板
14 発光部
16 リード
20 傾斜面
22 リング状凹部
24,24A 貫通孔
26 テーパ部
30 位置決め突部
32 スルーホール
36 位置決め凹部
50 放熱部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDと、前記複数のLEDが電気的に接続されるプリント配線基板と、を備え、前記複数のLEDの各々は、樹脂で覆われた発光部と、前記発光部から延びるリードと、を有し、前記プリント配線基板には、前記複数のLEDの各々の前記リードに対応して複数のスルーホールが設けられ、前記複数のLEDの各々の前記リードが前記プリント配線基板の前記複数のスルーホールに挿通されてハンダ付けされるリング状照明装置において、
前記プリント配線基板は平板状且つリング状に構成され、前記プリント配線基板と前記複数のLEDの各々の前記発光部との間には絶縁性を有するリング状の台板が介在されており、前記台板には、その片面から他面まで延びる複数の貫通孔が設けられ、またその片面には、径方向内方に向かって下り傾斜する傾斜面が設けられ、
前記複数のLEDの各々の前記リードは、前記台板の前記複数の貫通孔を通して前記プリント配線基板の前記複数のスルーホールに挿通されてハンダ付けされ、前記複数のLEDの各々の前記発光部は、前記台板の前記傾斜面上に略垂直方向に支持されることを特徴とするリング状照明装置。
【請求項2】
前記台板の他面には、前記プリント配線基板の前記複数のスルーホールを通してその片面に吸い上げられたハンダを収容するためのリング状凹部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のリング状照明装置。
【請求項3】
前記台板の前記傾斜面側における前記複数の貫通孔の各々の開口端部には、外側に拡がるテーパ部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリング状照明装置。
【請求項4】
前記台板及び前記プリント配線基板にはそれぞれ、これらを相互に重ね合わせて位置決めするための位置決め手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリング状照明装置。
【請求項5】
前記位置決め手段は、前記台板に設けられた位置決め用突部又は凹部と、前記位置決め用突部又は凹部と相互に係合される前記プリント配線基板に設けられた位置決め用凹部又は突部と、から構成されていることを特徴とする請求項4に記載のリング状照明装置。
【請求項6】
前記台板及び前記プリント配線基板を保持するためのハウジングを更に備え、前記プリント配線基板の他面と前記ハウジングとの間には、柔軟性を有する放熱部材が介在されており、前記複数のLEDの各々の前記リードの先端部は、前記放熱部材に熱伝的に接触されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のリング状照明装置。
【請求項7】
複数のLEDと、前記複数のLEDを支持する絶縁性を有するリング状の台板と、前記複数のLEDが電気的に接続されるプリント配線基板と、を備え、
前記複数のLEDの各々は、樹脂で覆われた発光部と、前記発光部から延びるリードと、を有し、前記プリント配線基板は平板状且つリング状に構成され、前記プリント配線基板には、前記複数のLEDの各々の前記リードに対応して複数のスルーホールが設けられ、前記台板には、その片面から他面まで延びる複数の貫通孔が設けられ、またその片面には、径方向内方に向かって下り傾斜する傾斜面が設けられたリング状照明装置の製造方法であって、
前記複数のLEDの各々の前記リードを折り曲げる工程と、前記複数のLEDの各々の前記リードを所定の長さに切断する工程と、前記台板の前記複数の貫通孔と前記プリント配線基板の前記複数のスルーホールとを一致させる工程と、前記台板の他面と前記プリント配線基板の片面とが対向されるようにしてこれらを相互に重ね合わせる工程と、前記複数のLEDの各々の前記発光部を前記台板の前記傾斜面に支持するとともに、前記複数のLEDの各々の前記リードを前記台板の前記複数の貫通孔及び前記プリント配線基板の前記複数のスルーホールに挿通する工程と、前記貫通孔及び前記スルーホールに挿通された前記リードを前記スルーホールにハンダ付けする工程と、を有することを特徴とするリング状照明装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−78066(P2008−78066A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258482(P2006−258482)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(392026888)京都電機器株式会社 (43)
【Fターム(参考)】