リンパ球化学誘引因子およびその用途
【課題】リンパ球化学誘引因子の探索方法及びその利用方法を提供する。
【解決手段】LCFをコードする精製DNAおよび該DNAから発現する組換蛋白質を開示する。さらに、LCFアゴニストまたはアンタゴニスト活性を示すLCFのフラグメントまたは類縁体を含み、LCF−CD4相互作用を抑制する方法および候補LCFアゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニングする方法。哺乳動物におけるCD4+T細胞の増殖の刺激に有用な組成物およびその方法。
【解決手段】LCFをコードする精製DNAおよび該DNAから発現する組換蛋白質を開示する。さらに、LCFアゴニストまたはアンタゴニスト活性を示すLCFのフラグメントまたは類縁体を含み、LCF−CD4相互作用を抑制する方法および候補LCFアゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニングする方法。哺乳動物におけるCD4+T細胞の増殖の刺激に有用な組成物およびその方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリンパ球化学誘引因子に関する。
【0002】
(背景技術)
CD4は、細胞−細胞付着蛋白であり、Tリンパ球のサブセット(クリンスキーら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスィズ・USA、79巻2365−2369頁(1982年);ビディソンら、ジャーナル・オブ・イクスペリメンタル・メディシン、156巻1065−1076頁(1982年);およびワイルドら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、131巻152−157頁(1983年))、単核球細胞(スチュワートら、ジャーナル・オブ・イムノロジー136巻3773−3778頁(1986年))および好酸球(ランドら、ジャーナル・オブ・イクスペリメンタル・メディシン、173巻1521−1528頁(1991年))上に存在する。リンパ球中で、CD4はMHCクラスII分子との直接的相互作用(ドイルら、ネイチャー、330巻256−259頁(1987年))によって抗原受容体認識(コリンズら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、148巻2159−2162頁(1992年);アンダーソンら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、139巻678−682頁(1987年);アイヒマンら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、17巻643−650頁(1987年);ウォーカーら、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・イムノロジー、17巻873−880頁(1987年);スレックマンら、ネイチャー、328巻351−353頁(1987年))に寄与する。さらに、天然の可溶性リンホカイン、リンパ球化学誘引因子(LCF)、は単球(クルークシャンクら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、138巻3817−3823頁(1987年))、好酸球(ランドら、ジャーナル・オブ・イクスペリメンタル・メディシン、173巻1521−1528頁(1991年))およびTリンパ球(クルークシャンクら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、138巻3817−3823頁(1987年);クルークシャンクら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、146巻2928−2934頁(1991年))中に走化活性を誘発するためにCD4の細胞表面発現が必要である。その化学的誘引活性と協力して、LCFはヒトTリンパ球の受容能力成長因子として作用する(クルークシャンクら、ジャーナル・オブ・イムノロジー138巻3817−3823頁(1987年))。
【0003】
LCFは陽イオン性の、4個の14−kD単量体の鎖の4量体で示される56−kD糖タンパク質である。LCFはTリンパ球によって産生され、具体的にはCD4+ T細胞、単球および好酸球のための化学誘引因子である(例えば、バーマンら、セルラー・イムノロジー、95巻105−112頁(1985年);ランドら、ジャーナル・オブ・イクスペリメンタル・メディシン、173巻1521−1528頁(1991年)参照)。CD8+ T細胞によるLCFの分泌はミトゲン、抗原、ヒスタミンまたはセロトニンによる刺激後に生じる。後者の2つは脱顆粒されたマスト細胞および塩基性染色細胞が遅延型過敏症反応の組織部位に存在することから、特に興味深い。マスト細胞および塩基性染色細胞生成物によるLCFの誘導は免疫応答の初期の仲介物質段階と後期のT−リンパ球−支配炎症反応の発達段階の間を連結する。
【0004】
発明の要約
概して、本発明は組換リンパ球化学誘引因子(LCF)ポリペプチド、例えば、原核生物またはバキュロウイルス発現系で産生されるLCFとして特徴づけられる。好ましくは、このポリペプチドは図2に示されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:1(配列番号1))と実質的に同一のアミノ酸配列を含む。「リンパ球化学誘引因子ポリペプチド」とは、CD4と特異的に結合し、適当な生物学的現象のLCF−仲介カスケードのきっかけを与えるものであり、例えば、不活性化または活性化CD4+ リンパ球、塩基性染色細胞、単球などの遊走を促進または刺激し得るポリペプチドである。「ポリペプチド」とは、長さまたは後−翻訳修飾(例えば、グリコシル化)に関係なくアミノ酸の鎖をいう。「実質的に同一の」アミノ酸配列とは、保存的アミノ酸置換、例えば、1個のアミノ酸を同種の他のアミノ酸(例えば、グリシンに対するバリン、リジンに対するアルギニンなど)による置換、またはポリペプチドの生物学的活性を消失させないアミノ酸配列の部位における1個またはそれ以上の非−保存的アミノ酸の置換、削除または挿入だけが異なるアミノ酸配列を意味する。このような均等なポリペプチドは、天然にこのようなポリペプチドを産生し得るか、またはそのように誘導され得る動物の組織または細胞から、下記に記載の方法またはそれらと均等な方法を用いて抽出によって分離され得るか、または化学的合成法によって、または組換DNA技術の標準的な技法、例えば、このようなポリペプチドをコードするcDNAまたはゲノムDNAの分離、によって分離され得る。
【0005】
他の態様としては、本発明はLCFアゴニストまたはアンタゴニスト活性を示すLCFのフラグメントまたは類縁体を特徴とする。すなわち、本発明はLCFポリペプチドの生物学的活性フラグメントまたは類縁体を含む。「生物学的活性」とは、図2(配列番号1)に示される130−アミノ酸LCFポリペプチドの特徴であるなんらかの活性を有することをいう。LCFポリペプチドは一定の範囲の生理学的特性示し、このような特性はLCFポリペプチド分子の種々の部分に起因し得るから、有用なLCFポリペプチドフラグメントまたはLCFポリペプチド類縁体は、LCFポリペプチド活性についての生物学的試験、例えば、ここに記載のアッセイにおいて、生物学的活性を示すものである。それはLCFポリペプチド試験において、LCFポリペプチド(図2;配列番号1で示される)の活性の最も好ましくは10%、より好ましくは40%、または少なくとも90%を有するものである。
【0006】
好ましい類縁体は、配列が保存的アミノ酸置換、例えば、1個のアミノ酸を他の同様の特性を有する他のアミノ酸(例えば、グリシンに対するバリン、リジンに対するアルギニンなど)との置換、またはポリペプチドの生物学的活性を消失させない1個またはそれ以上の非保存的アミノ酸の置換、削除または挿入のみが、野生型配列と異なるLCFポリペプチド(またはそれらの生物学的活性フラグメント)を含む。他の有用な変異体にはペプチドの安定性を増大させたもの;このような類縁体には、例えば、1個またはそれ以上の非ペプチド結合(ペプチド結合に代替し得る)か、またはペプチド配列中にD−アミノ酸を含み得る。
【0007】
類縁体はアミノ酸配列において天然生成のLCFポリペプチドと異なり得るか、または配列が関与しない方法で修飾され得るか、またはその両方である。本発明の類縁体は、一般に天然生成LCFポリペプチド配列の20個のアミノ酸残基、より好ましくは40個以上のアミノ酸残基のセグメント、さらにより好ましくは完全配列を有する、一般に少なくとも70%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%または99%の相同性を示す。
【0008】
最初の配列の変更は天然および誘導の両方の遺伝学的変異体を含む。また、類縁体には天然生成L−アミノ酸以外の残基、例えば、D−アミノ酸または非天然生成または合成アミノ酸、例えば、βまたはγアミノ酸を含むものも含まれる。他方、安定性の増大はペプチド分子の環化によって与えられる。修飾には、ポリペプチドのインビボまたはインビトロの化学的誘導体化、例えば、アセチル化、メチル化、リン酸化、フレミレーション、イスプレミレーション、ミリスチル化、カルボキシル化またはグリコシル化を含む。グリコシル化は、例えば、その合成およびプロセシングまたはさらなるプロセシング工程中の、ポリペプチドのグリコシル化様式を変えることによって、例えば、正常にこのようなプロセシングをもたらす細胞から誘導されるグリコシル化作用酵素、例えば、哺乳動物グリコシル化酵素にこのポリペプチドをさらすことによって変更され得る;リン酸化はリン酸化−修正酵素、例えば、キナーゼまたはホスファターゼその他、にこのポリペプチドをさらすことによって変更し得る。「実質的純粋」とは、本発明によって提供されるLCFポリペプチドが、本来それが結合しているタンパク質および天然−生成有機分子を少なくとも60重量%含まないことを意味する。好ましくは、調製物の少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%および最も好ましくは少なくとも99重量%のLCFポリペプチドであることである。実質的に純粋なポリペプチドは、例えば、下記に概要を述べる方法を用いて、天然資源(例えば、ヒト周辺血液単核細胞)からの抽出によって;または組換DNA技術の標準的な技法、例えば、LCFポリペプチドをコードする組換核酸の発現による分離、例えば、このようなLCFポリペプチドをコードするcDNAまたはゲノムDNAの分離によって、またはタンパク質、フラグメント、またはそれらの類縁体の化学的合成によって得られる。純度は適当な方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によって測定することができる。
【0009】
別の態様として、本発明は、上記のLCFポリペプチド(またはポリペプチドフラグメントまたはそれらの類縁体)をコードする実質的に純粋なDNAを特徴とする。好ましくは、このDNAは図2(配列番号2)に示されるヌクレオチド配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含む。さらに、このようなDNAはcDNAであり、哺乳動物、例えば、ヒトのLCFポリペプチドをコードしている。本発明はまたこの実質的に純粋なDNAを含み、ベクター含有細胞中にこのDNAによってコードされたタンパク質の発現を誘導し得るベクターを特徴とするものである。本発明の特徴は実質的に純粋なDNAを含む細胞である。細胞は原核細胞、例えば、E.コリ、または真核生物、例えば、哺乳動物細胞または節足動物、例えば、バッタのいずれでもよい。
【0010】
「実質的に純粋なDNA」とは、本発明のDNAが誘導される生物の天然生成ゲノム中にその遺伝子の両端に隣接する遺伝子を含まないことを意味する。従って、この用語は、例えば、ベクター中、自律的複製プラスミドまたはウィルス中、または原核細胞または真核細胞のゲノムDNA中に組み込まれる組換DNAか;または他の配列と独立して別の分子(例えば、cDNA、またはポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)方法論または制限エンドヌクレアーゼ消化によって産生されるゲノムあるいはcDNAフラグメント)として存在する組換DNAを含む。この用語はまた、追加のポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換DNAを含む。
【0011】
別の態様として、本発明は組換LCFポリペプチド(またはそれらのフラグメントまたは類縁体)を製造する方法を特徴とする。この方法は(a)細胞中での発現のために位置するLCFポリペプチドまたはそれらのフラグメントまたは類縁体をコードするDNAで形質転換した細胞(例えば、E.コリまたはS.フルギデラ)を提供すること、(b)DNAを発現するための条件下で、形質転換された細胞を培養すること、(c)組換LCFポリペプチドを分離すること、を含む。「形質転換された細胞」とは、組換技術によって、LCFポリペプチドをコードするDNA(この明細書中で用いる場合)を導入された細胞(またはその原型)をいう。このようなDNA分子は「発現のために位置して」おり、このことは、そのDNA分子が配列の転写および翻訳を管理するDNA配列(すなわち、例えば、LCFまたはそれらのフラグメントまたは類縁体の産生を容易にする)に隣接して位置することをいう。
【0012】
なおまた、別の態様として、本発明はLCF(またはそれらのフラグメントまたは類縁体)に優先的に結合する実質的に純粋な抗体を特徴とする。「実質的に純粋な抗体」とは、本来それが結合しているタンパク質および天然−生成有機分子を少なくとも60重量%含まない抗体を意味する。好ましくは、この調製物の少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%および最も好ましくは少なくとも99重量%の抗体、例えば、LCF抗体であることである。実質的に純粋なLCF抗体は、例えば、組換−産生LCFポリペプチドを用いるアフィニティクロマトグラフィーおよび標準技術によって得られる。さらに、この精製された抗体は、本来結合している他のタンパク質、炭水化物および脂肪が十分に除去されており、治療的投与が可能である。このような「抗体」がLCFポリペプチド(またはそれらのフラグメントまたは類縁体)に「優先的に結合する」とは、すなわち、他の抗原的−無関係分子を実質的に認識しないことをいう。
【0013】
好ましくは、この抗体はそれが結合するタンパク質の生物学的活性を中和する。「中和」するとは、部分的または完全に(例えば、LCFポリペプチドの生物学的活性)を阻害することをいう。
他の態様において、上記のポリペプチドまたは抗体は治療的組成物の活性成分として用いられる。このような治療的組成物において、活性成分は生理学的に許容され得る担体とともに処方される。これらの治療的組成物はLCF−CD4相互作用仲介生理学的応答を抑制または擬態する方法に用いられる。具体的には、これらの方法は免疫応答/または炎症を減少させるために用いられる。この方法を実施するのに有用な化合物は、これらに限定されるものではないが、LCF抗体、またはLCFフラグメントまたは類縁体、または、例えば、有機化合物などの薬物である。
【0014】
さらに、他の態様として、本発明は候補化合物のLCFとCD4の相互作用を阻害する能力についてのスクリーニング方法を特徴とする。この方法は、a)候補アンタゴニスト化合物とLCFとを混合し;b)LCF−CD4結合を測定し;c)その結合を妨げる化合物をアンタゴニスト化合物として確認することを含む。
なおまた、別の態様として、本発明は候補化合物のLCF活性を擬態する能力についてのスクリーニング方法を特徴とする。この方法は、a)候補アゴニスト化合物とCD4受容体とを混合し;b)上記化合物のCD4受容体に対する結合を測定し;c)CD4受容体に結合し、細胞遊走を仲介する化合物をアゴニスト化合物として確認することを含む。
別の態様として、本発明は、哺乳動物におけるCD4+ T細胞の増殖を刺激するための組成物を特徴とし、この組成物はLCFおよび成長因子を含む。この組成物は、例えば、1:100から1:1(成長因子に対するLCF)の範囲で相乗作用を生じさせる割合でLCFおよび成長因子を含む。好ましくは、成長因子は、サイトカインであり、例えば、IL−2、IL−4、IL−6、IL−7、IL−8、インシュリン、およびインシュリン−様成長因子 Iである。
【0015】
本発明はまた、哺乳動物におけるCD4+ T細胞の増殖を刺激する方法を特徴とし、この方法は、LCFおよびIL−2を共に、または相乗作用を生じさせるのに十分な程度に時間的に近接させて、細胞と接触させることを含む。好ましい具体例において、この方法は哺乳動物(例えば、ヒト患者)にLCFおよび成長因子の有効量を投与する方法であって、成長因子と組み合わせたLCFの増殖活性が成長因子の不存在下でのLCFの増殖活性およびLCF不存在下での成長因子の増殖活性より大きいことを特徴とする方法を含む。好ましい具体例において、成長因子はサイトカインであり、所望により、組成物の投与は1回以上である。
【0016】
本発明のタンパク質は、免疫応答および炎症の両方の重要な構成要素および仲介体である、例えば、好酸球、単球およびTリンパ球などの分化免疫細胞に遊走の誘発のきっかけとなる現象に関与していると考えられている。従って、このようなタンパク質は、Tリンパ球、単球および好酸球の活性化およびその後の浸潤に関係する過剰反応性免疫反応および炎症の処置、または処置のための治療剤の開発に有用である。本発明のタンパク質および/または方法を用いて治療され得る具体的な疾患として、これらに限定されるものではないが、肉芽腫性免疫反応、例えば、組織−侵入性蠕虫寄生虫によるもの、アレルゲンに対する皮膚性および呼吸性遅延型反応、喘息、ザルコイドーシス、過敏性肺炎、間隙性肺線維症、結核、慢性間接リウマチ、およびエリテマトーデス、同種異系臓器移植拒否反応、接触性(細胞媒介)皮膚炎、および免疫性媒介皮膚病(例えば、類天疱瘡および水泡性類天疱瘡)が含まれる。上記の疾患に関する総合的記載は内科学指針12版(ウイルソンら、マックグローヒル・インコーポレーション、ニユーヨーク)に見ることができる。好ましい治療剤は、アンタゴニスト、例えば、ペプチドフラグメント、または抗体、または薬物であり、これらはLCF:CD4受容体相互作用およびLCFによって生じる付随性生物学的活性を妨げることによって、LCFまたはLCF:CD4受容体機能を阻害する。
【0017】
組換LCFはまた、免疫抑制剤としてまたは免疫抑制的治療の一部として用いられ得る。特に、組換LCFは、結局は組織または臓器移植の免疫学的拒否反応をもたらす現象のカスケードを弱め、妨げまたは阻害するのに役立ち得る。例えば、組換LCFは、患者の腎臓、肺または心臓−肺同時、または肝臓の移植の拒否反応を弱め、妨げ、または阻害するために用いられ得る。さらに、CD4受容体との相互作用および結合能力によって、組換LCFは、CD4+受容体保有細胞を選択的に破壊する免疫毒の設計に有用である。最後に、組換LCFは、単独でまたは他の化合物(例えば、成長因子)と組み合わせて、CD4リンパ球数の減少した患者のCD4リンパ球数の活性化および補充に用いられ得る。
【0018】
なぜなら、LCFは今や組換技術によって調製され得、また候補のアンタゴニストおよびアゴニストは上記のアッセイによってスクリーニングされ得るからである。本発明は有用な治療剤の確認のための簡単かつ迅速な手段を提供するものである。従来は、不十分なLCFが動物モデルの疾患におけるLCFの役目を確認するのに用いられており、抗体およびDNAおよびRNAプローブは、これまで障害組織中のLCFタンパク質または遺伝子発現の検索に利用されていなかったから、このような手段は不可能であった。
すなわち、確認されて始めて、ペプチド−または抗体−含有治療剤が、大量にかつ安価に、組換および分子生物学的技術および本発明の方法を用いて製造され得る。最後に、合成化合物、例えば、有機化合物はLCF:CD4相互作用に対する効果を評価するためにここに概括した方法によって容易にスクリーニングされ得る。
本発明の他の特徴および利点は下記のそれらの好ましい態様および請求の範囲の記載から明らかであろう。
【0019】
好ましい態様の詳細な説明
LCFポリペプチド
本発明のLCFポリペプチドは、(図2、配列番号1に記載)完全な長さのLCFポリペプチドを含む。このようなポリペプチドは、任意の資源から得ることができる。これらのポリペプチドは、例えばLCF:CD4受容体相互作用またはLCF:仲介生理学的反応(下記参照)を妨害するアンタゴニストのスクリーニングに使用する。LCFフラグメントまたは類縁体は、LCF:CD4受容体活性のアンタゴニストの有効な候補でもあり得る。LCFフラグメントまたは類縁体アンタゴニストの効果は、そのCD4と相互作用する能力に依存する;このような相互作用は、多くの標準的結合法およびLCF−仲介CD4受容体機能アッセイ(例えば、下記に記載)を使用して容易に試験し得る。本発明のポリペプチドは、CD4受容体と相互作用する能力を有し、LCF生理学的カスケードを仲介する任意のフラグメントまたは類縁体、即ちLCFアゴニストをも含む。
【0020】
興味の対象の特異的LCFポリペプチドフラグメントは、CD4受容体と相互作用できるLCFポリペプチドの任意の部分、例えば総てまたはN末端の一部または、例えば親水性ドメインを含む。親水性分析(図9参照)および生物的阻害データに基づくと、他の可能性のある候補は、A、B、CおよびD(図5参照)およびLCF(図2および配列番号1)のアミノ酸96−99由来のFEAW(Phe、Glu、Ala、Trp)配列を含むが、これらに限定されない。このようなフラグメントは、アゴニストまたは(上記のような)アンタゴニストとして有用であり得、LCFの活性を中和する抗体を産生する免疫源としてまた有用である(下記参照)。
【0021】
別法として、アミノ酸一次配列から、タンパク質二次構造、従ってLCFのドメインを、任意の標準的疎水性/親水性計算、例えばチョウ−ファスマン法(例えば、チョウおよびファスマン、Ann.Rev.Biochem. 47:251、1978)を使用して、半経験的に推論し得る。親水性ドメインは、それ自身抗原性の強力な候補として、疎水性領域は結合領域として存在するため、有用なアンタゴニストまたはアゴニストである。
【0022】
次いで、候補フラグメント(例えば、ドメインAまたはDの全部または一部;図9参照)は、本明細書に記載のアッセイで、CD4受容体との相互作用およびLCF−仲介生理的反応を誘発する、即ちLCFアゴニストとして役立つ能力について試験される。フラグメントは、本明細書に記載のアッセイを用いて、LCFとCD4の相互作用と拮抗する能力についても試験される。(上記の)有用なLCFフラグメントの類縁体をも産生され、スクリーニング用成分またはアンタゴニストとしての効果について試験する(本明細書に記載のアッセイを使用);このような類縁体は、本発明でまた有用であると見なされる。
以下に、本発明で有用なヒトLCFcDNAのクローニングおよび特徴を記載する。この実施例は、本発明を説明する目的で記載され、限定するものと見なしてはならない。
【0023】
ヒトLCFcDNAの単離
ヒトLCF遺伝子は下記のようにして単離した。
ミトゲン−刺激ヒト末梢血単核細胞(PBMC)のcDNAライブラリーを、COS細胞発現ベクターpXM(ウォンら、Science 228:801-815、1985)にライゲートした。プールされたプラスミドでトランスフェクションした細胞由来の上清を、修正ボイデンチャンバーアッセイ(クルークシャンクら、J.Immunol. 128:2569-2574、1982)を使用してリンパ球化学誘引活性についてスクリーニングした。トランスフェクション24時間後に集めた上清を、マイクロチャンバーの下部ウェルに入れた。これらの上清の存在に反応したヒトT細胞の8μmニトロセルロースフィルターを通した遊走を測定し、疑似(ベクターのみ)トランスフェクションCOS細胞と比較した。化学誘引活性を有する上清を更に、フルオレセイン結合抗−Tac抗体とインキュベーションした細胞をFACS分析することにより、休止T細胞にIL−2Rを発現する能力について、およびこの誘発を阻止するモノクローナルOKT4抗体のFabフラグメントの能力をスクリーニングした(クルークシャンクら、J.Immunol. 138:3817-3723、1987)。7種の異なったサブクローニングをスクリーニングし、サブクローン化された元の上清中の上清当たり約200クローンが、陽性であることが判明した。次に、上清を、上清当たり1個のクローンが得られるまで連続してサブクローン化および希釈した。LCF含有上清の存在について確立された基準は、両方のアッセイにおける陽性反応および、さらに、OTK4抗体(Ortho Pharmac, Raritan, N.J.)から産生されたFabフラグメントと共にインキュベーションして、活性が阻害されることであった。これらの特徴を有する単一クローン(LCF−7)を単離し、両方の鎖をジデオキシヌクレオチド鎖停止法(サンガーら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463-5467、1977)で配列決定した。配列分析およびノーザン・ブロット(図1)は、LCF−7 cDNAが完全な長さ(表示の配列のヌクレオチド441から1450に対応)でないことを示唆した。次いで、バクテリオファージラムダZAP中にライゲートされた2番目のミトゲン刺激ヒトPBMC cDNAライブラリーをプローブするのに、LCF−7 cDNAを使用した。125,000プラークを完全な長さのLCF−7でスクリーニングした。スクリーニングにおいて、0.6−から2.2−kbの大きさの範囲の3個のクローンを単離した。最も大きいクローンは、両方の鎖を配列決定した(図2;配列2参照)。2個の短いクローンの部分的な配列決定は、それらがLCF−Aと同一であるが、5’方向が不完全な長さであることを明らかにした。
【0024】
上記のように、LCF cDNAは、ミトゲン刺激ヒト末梢血単核細胞(PMBC)のCOS細胞発現ライブラリーから、スクリーニングにより単離された。上清は、ヒトCD4+T細胞走化性の誘発によるLCFの存在およびIL−2受容体(IL−2R)の上向調節により測定される、細胞周期の変化について試験した(クルークシャンクら、J.Immunol. 138:3817-3823、1987)。以下の4連続スクリーニングにより、1−kbの単一クローン由来の陽性上清を同定した。ヒトT細胞から単離された全RNAのノーザン・ブロットをプローブするためにLCF cDNAを使用した(図1)。2.2−kbの単一バンドを検出した。完全な長さのクローンを単離するために、1−kb LCF cDNAを、2番目のミトゲン刺激ヒトPBMC cDNAライブラリーをプローブするのに使用した。3個のクローンを単離し、最も大きいクローンの配列を図2および配列番号2に示す。
【0025】
LCF cDNA内に、ヌクレオチド783から1176に存在する393塩基対の読み取り枠があり、これは、推定分子量13,385ダルトンの130残基タンパク質をコードしている。ヌクレオチド783のメチオニンは、フィッケット分析(フィッケット、Nucleic Acids Res. 10:5303-5318、1982)による開始の良い情況にある。他の唯一の可能な開始部位は、下流にあり、枠内であり、推定アミノ酸配列の38残基に相当する。開始メチオニンの5残基後に位置するセリンに一つの有力なN−架橋グリコシル化部位がある。先行技術は、天然LCFが分泌されたサイトカインであることを示唆しているが(クルークシャンクら、J.Immunol. 128:2569-2574、1982)、推定アミノ酸配列中には、一致する疎水性シグナル配列はないが、有効な膜透過ドメインもない。ほとんどの分泌されたサイトカインはシグナル配列を含むが、シグナル配列の欠如は、分泌IL−1αおよびIL−1βの両方に報告されている。同じく、ゲンバンク核酸およびタンパク質データベースの検索では、関連配列は発見されなかった。DNAおよびタンパク質相同性検索は、ゲンバンクおよびPIRデータベースのFASTA、SEARCHおよびBLASTプログラムを使用して行った。
【0026】
RNA単離およびノーザン分析
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、既述のフィコール−パーク密度勾配遠心で調製した(クルークシャンクら、J.Immunol. 138:3817-3823、1987;クルークシャンクら、J.Immunol. 146:2928-2934、1991)。Tリンパ球集団を、プラスチック粘着、ついでナイロンウール粘着および最後にヒツジ赤血球ロゼットおよび遠心により精製した。ペレットから回収した細胞は、蛍光分析により測定して、>99%Tリンパ球であった。単核細胞を、Tリンパ球を減少させるためにヒツジ赤血球ロゼット法を行い、続いてロゼット工程の後、上清に残っている細胞のプラスチック粘着を使用してPBMCから精製した。プラスチックから回収された粘着細胞は、蛍光分析で>92%単核細胞であった。全ての細胞を冷4M グアニジウムイソチオシアネートに融解し、RNAをCsCl遠心で単離した(オースベルら、Current Protocols in Molecular Biology、ジョン・ウィリー&サンズ、ニューヨーク、1989)。各サンプル由来のRNA10μgを、1%アガロース−ホルムアルデヒドゲルに電気泳動のために導入し、ナイロン膜上にブロットした。組換LCF−7の704bp Pst Iフラグメント由来のcDNAプローブを、ランダムプライマー法(ファインベルグら、Anal.Biochem. 132:6-13、1983)で[32P]dCTP標識し、ブロットを1×106cpm/mlで24時間ハイブリダイズした。ハイブリダイズした後、ブロットを0.2×SSC(30mM NaCl、3mM クエン酸ナトリウム、0.05%ピロリン酸ナトリウム、0.1%ラウリルサルコシンナトリウム)で56℃にて洗浄し、オートラジオグラフィーでハイブリダイゼーションを可視化した。図1に示すように、プローブは、約2.2キロ塩基対のリンパ球RNAと特異的にハイブリダイズした。このことは、LCFがTリンパ球内で発現されていることを確認し、クローンが完全な長さであったことを示した。
【0027】
LCFポリペプチド発現および合成
本発明のポリペプチドは、好適な発現ビヒクル中の、LCFコードcDNAフラグメントの全部または一部(例えば、上記のcDNA)で好適な宿主細胞を形質転換することにより製造し得る。
【0028】
分子生物学の分野の当業者には、任意の広範囲の発現系を組換LCFタンパク質を提供するために使用し得ることが理解される。使用された正確な宿主細胞は、本発明では重要ではない。LCFポリペプチドは、原核宿主(例えば、E.コリ)または真核宿主(例えば、S.セレビシアエまたは哺乳類細胞、例えばCOS1、NIH3T3およびJEG3細胞、もしくは節足動物の細胞、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(SF9)細胞)中で産生され得る。このような細胞は、広範囲の資源(例えばアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、ロックランド、MD;例えば、オースベルら、前掲もまた参照)から利用可能である。トランスフェクション法および発現ビヒクルの選択は、選択した宿主系に依存する。形質転換およびトランスフェクション法は、例えば、オースベルら、前掲に記載されている;発現ビヒクルは、例えばクローニング・ベクターズ:ア・ラボラトリー・マニュアル(P.H.パウエルズら、1985、追補1987)に提供されているものから選択し得る。
【0029】
好ましいLCF発現系の一つは、オースベルら(前掲)に記載の、原核生物発現系である。すなわち、フランキングBamH1およびNde1制限部位を伴うLCF cDNA読み取り枠を含むDNAフラグメントを、標準法に従ったPCRにより産生させ、E.コリ発現ベクターpT−16b(ノヴァゲン)中にライゲートした。次いで、このプラスミド、pET−166−ICFを、E.コリJM109を形質転換するのに使用した。組換LCFの産生を刺激するために、形質転換細菌をIPTGで刺激し、培養培地中で成育させ、続いて融解させた。組換タンパク質を、周知の方法の金属キレートクロマトグラフィー(例えば、ステュディール、Meth.Enzymol. 185:60-89、1990参照)により単離した。組換LCFは、次いでSDS−PAGEに付し(図3A)、プロブロットトランスファーフィルター(アプライド・バイオシステムズ)にブロットした。17.5kDaの見かけ分子量に見られる顕著なバンドを切り取り、標準法に従ったN−末端アミノ酸配列決定に付した。組換LCFのN−末端の25アミノ酸残基を配列決定し、図2(配列番号1)に示した推定アミノ酸配列と同じであることが分かった。17.5kDaのSDS−PAGE質量は、ヌクレオチド配列に基づいて推定した13.4kDaより大きいが、35S−標識インビトロ翻訳タンパク質の遊走パターンは同じである(図3B)。SDS−PAGEにより測定された分子量と、推定分子量の違いは、SDSアクリルアミドゲル系における組換LCFの異常な遊走によるものであり得る。
【0030】
他の好適なLCF発現系は、オースベルら(前掲)に記載のバキュロウィルス発現系である。LCFポリペプチドをコードするDNAを、好適な輸送ベクター、例えばpVL1392(インビトロゲン・コーポレイテッド、サンディエゴ、CA)に挿入する。次いで、ベクターを野生型バキュロウィルスゲノムDNAと共にスポトプテラ・フルギペルダ(SF9)細胞(ATCC受託番号:CRL1711)に共形質導入し、組換ウィルスを例えばオースベルら(前掲)のような標準法で単離する。バキュロウィルス系で製造された組換LCFは、図3Aおよび図3Bに示したE.コリ発現系を使用して合成されたタンパク質と同様の見かけの分子量17.5kDaのタンパク質を産生することが判明した。バキュロウィルス組換LCFの最初の5個のN−末端アミノ酸残基の配列決定を行った。配列は、図2(配列番号1)に示す、783位に開始部位としてのメチオニンを有する推定アミノ酸配列と同じであることが判明した。
【0031】
別法として、LCFポリペプチドは、安定に形質導入された哺乳類細胞系により産生し得る。哺乳類細胞の安定な形質導入に好適な多くのベクターが、一般に利用可能である、例えば、パウエルズら(前掲)参照;このような細胞系を構築する方法は、また一般に利用可能である、例えばオースベルら(前掲)。一つの例として、LCFポリペプチドをコード化するcDNAを、ジハイドロフォレートレダクターゼ(DHFR)遺伝子を含む発現ベクター中にクローン化する。プラスミド、即ちLCFコード遺伝子の宿主細胞染色体中への組込みは、細胞培養培地中の0.01−300μMメトトレキサートの包含により選択される(オースベルら、前掲に記載に従う)。この優性選択は、殆どの細胞型で達成できる。組換タンパク質発現は、形質導入遺伝子のDHFR−媒介増幅により増加できる。遺伝子増幅を担う細胞系の選択法は、オースベルら(前掲)に記載されている;このような方法は、一般に、メトトレキサートを段階的に増加させた濃度で含む培地中での広範な培養を含む。この目的で通常使用されるDHFR−含有発現ベクターは、オースベルら(前掲)に記載のpCVSEII−DHRFおよびpAdD26SV(A)を含む。上記の任意の宿主細胞または、好ましくはDHFR欠損CHO細胞系(例えば、CHO DHFR−細胞、ATCC受託番号:CRL 9096)は、安定に形質導入された細胞系またはDHFR媒介遺伝子増幅のDHFR選択に好ましい宿主細胞の中の一つである。
【0032】
一度組換LCFポリペプチドが発現されれば、それを、例えばアフィニティクロマトグラフィーを使用して分離する。実施例において、組換可溶性CD4(rsCD4)とCNBrセファロース4Bに、先に記載の方法(例えば、クルークシャンクら、Journal of Immunology 1991)に従って結合させることにより、CD4アフィニティカラムを製造した。すなわち、rsCD4 100μgを、CNBr活性化セファロース4B(ファルマシア、ピスキャタウェイ、NJ)と共有結合させた。次に、LCFのインビトロRNA転写物を産生させ、ウサギ網状赤血球融解物で、標準法に従って、[35S]メチオニン存在下、インビトロ翻訳するのに使用した。35S−標識インビトロLCFを、3時間、37℃でカラムに付し、その時点でカラムを洗浄緩衝液(0.01M トリス−Cl、pH8.0、0.14M NaCl、0.025% NaN3、0.5%トリトンX−100、0.5%デオキシコール酸ナトリウム)で完全に洗浄した。LCFをトリエタノールアミン溶液(50mM トリエタノールアミン、pH11、0.1トリトンX−100、0.15M NaCl)で、1M トリス−Cl、pH6.7を含む管に溶出させ分析した。
【0033】
分離後、組換タンパク質は、所望により、例えば高速液体クロマトグラフィーにより、更に精製し得る。ポリペプチド発現および精製のこれらの一般的な技術も、また有用なLCFフラグメントまたは類縁体(下記参照)を産生および分離のために使用し得る。更に、次いで、溶出物を、所望によりSDS−PAGEに流し、オートラジオグラフィーで可視化し得る(例えば、図3に示す上記実験の結果参照)。
最後に、LCFポリペプチド、特に短いLCFフラグメントは化学合成により産生できる(例えば、ソリッド・フェーズ・ペプチド・シンセシズ、1984、第2版、スチュワートおよびヤング編集、ピアス・ケミカル・カンパニー、ロックフォード、ILに記載の方法により)。
【0034】
LCFの結合および機能アッセイ
本発明に有用なLCFポリペプチドフラグメントまたはその類縁体は、CD4受容体と相互作用をする(たとえばLCFアゴニストまたはアンタゴニストなど)。このような相互作用は、インビトロ結合アッセイ(後記)を行い、次いで機能分析を行うことによって検出される。このように、該フラグメントまたはその類縁体を、機能(すなわちCD4受容体に結合し、T4+リンパ球、単球、好酸球などの遊走を誘発する能力)に関してアッセイすることもできる(後記)。これらのアッセイは、LCF(あるいは適当なLCFフラグメントまたはその類縁体)および結合を検出しうる形状の組換可溶性CD4受容体(rsCD4)またはCD4受容体産生細胞(たとえば好酸球)から構成される。すなわち、本発明はLCFアゴニストとして有用な化合物をスクリーニングする方法を包含する。
【0035】
このようなアッセイ法の一例を以下に示す。全長LCFポリペプチド(フラグメントまたはその類縁体)は前述の記載にしたがって生産される。CD4受容体成分は、組換可溶性成分として生産されるか、またはTリンパ球、単球または好酸球などによる膜成分生産される。
次に、LCF(フラグメントまたはその類縁体)のrsCD4またはCD4受容体含有細胞に対する結合の度合を定量するインビトロアッセイを行う。たとえば、全細胞アッセイは、CD4受容体を発現する細胞(たとえば好酸球)を、当業者に公知の手段[オースベルらの前記文献を参照]によって固相基質(たとえば試験管またはマイクロタイターウエル)に固定し、該基質に標識したLCFポリペプチド(たとえば125I−標識LCF)を接触させることによって行われるのが好ましい。LCFの標識(たとえば125Iで)は当業界における標準法にしたがって行う。結合のアッセイは、受容体成分に結合した標識(すなわち固相基質およびCD4受容体に結合した標識)を検出することにより行う。
【0036】
該アッセイの形式は、適切な結合検出のための多くの適当な形式のうちのいずれを用いてもよく、たとえばラジオイムノアッセイ形式が挙げられる[オースベルらの前記文献を参照]。CD4受容体産生細胞を固相基質(たとえばマイクロタイタープレートのウエル)に固定し、125Iなどの放射性標識あるいはアルカリホスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼなどのアッセイ可能な酵素によって検出可能に標識されたLCFポリペプチドと反応させるのが好ましい。すなわち、125I標識LCFを細胞に結合させ、その特異的活性のアッセイを行う;特異的結合は過剰の非標識LCFポリペプチドの存在下に行った結合アッセイとの比較により測定される。
別法として、LCFポリペプチド(フラグメントまたはその類縁体)を固相基質に固定(たとえばELISAアッセイ用に細胞を固定する方法と同様の方法を用いてマイクロタイタープレートに固定[オースベルらの前記文献を参照])し、標識rsCD4受容体のLCFへの結合能力を利用して、固定化LCFへのrsCD4受容体の特異的結合を検出することができる。
【0037】
LCF:CD4相互作用の分析に有用なさらに別の方法を以下に具体例を挙げて説明する。この方法では、組換LCF含有大腸菌(E.coli)の粗製上清を10μgのrsCD4とともに4℃で1時間インキュベートを行った。次に、該組換LCF−CD4複合体を、1μgのウサギ抗CD4ポリクローナル抗体とともにインキュベートし、適当な緩衝液で洗浄したプロテインAセファロースビーズに添加した。次いで混合物を4℃で2時間インキュベートし、15%SDS−ポリアクリルアミドゲルシステムに付す前に、TSB(0.01Mトリス、pH8.0、0.14M NaCl、0.025%NaS3)で4回洗浄した。次いでSDS−ゲルで分離したタンパク質をプロブロット(Problott)トランスファーフィルターに移し、ウサギ 抗ペプチドD抗体(1:200希釈)(後記の抗−LCF抗体のセクションも参照)、次いでヤギ 抗ウサギ125I−IgG抗体をプローブとして処理した。
この試験の結果を図4に示す。図4に示されるように、組換LCFとrsCD4の間には特異的な物理的相互作用がある。
【0038】
LCFポリペプチド(あるいはフラグメントまたはその類縁体)の機能について、T4+リンパ球、単球、好酸球などの遊走仲介能力のアッセイを行う。遊走アッセイは、Tリンパ球、単球または好酸球などの適当な細胞のいずれを用いて行ってもよい[クルークシャンク(Cruikshank)らの「J.Immunol.」,128:2569〜2571(1987年);ランド(Rand)らの「J.Exp.Med.」,173:1521〜1528(1992年)の記載を参照]。たとえば、大腸菌またはバキュロウイルス発現系などの発現系(前記)で合成された組換LCFの細胞遊走誘発能力をアッセイする。ひとつの実施例では、修正ボイデン走化性チェンバーを用い、マウス細胞走化性を測定した[クルークシャンクらの「J.Immunol.」,128:2569〜2571を参照]。RPMI1640含有10%FBSに、5×106細胞/mlの濃度で細胞を懸濁した。12μmのニトロセルロース膜を用い、細胞を4時間インキュベートした。次に、該膜をヘマトキシリンで着色し、エタノール、プロパノール、次いで最後にキシレンで連続洗浄を行い脱水し、フィルターを清澄化して細胞を光学顕微鏡でカウントできるようにした。50μm以上遊走した細胞の数をカウントして細胞遊走を定量した。全ての総数を、常に100%に標準化した対照細胞(非刺激)の遊走と比較した。さらに、全サンプルに対して2回ずつ試験を行い、2回の試験それぞれにおいて5つの高検定力領域(high-powered field)をカウントした。図5に大腸菌発現系(前記)が産生したタンパク質の代表的な用量応答曲線を示す。この用量応答曲線からわかるように、組換LCF濃度が10−9Mのときに最大の遊走が誘発され、ED50は10−11Mであった。スチューデントのT検定(または多数回の試験からのデータを集めた場合は、分散修正分析)を用いて統計処理を行ったが、対照細胞の遊走とは統計的に異種であるカウント数(p<0.05)には、星印を付している。大腸菌産生LCFの代わりにバキュロウイスル産生LCFを用いても同様な結果が得られた。
【0039】
溶液中の組換タンパク質間のこのような物理的関連が、組換LCFと細胞表面CD4間の特定の機能的関連に対応することを説明するために、完全あるいは不完全ヒトCD4のいずれかを発現するマウスT細胞ハイブリドーマ細胞系における組換LCFの効果についての試験が行われた(スレックマン(Sleckman)ら,1987年および1988年)。ここでは3つの細胞系が用いられた:CD4を発現しない偽感染細胞系;完全(野生型)CD4発現細胞系;CD4の細胞質尾部の31個の最末端残基が欠失している不完全CD4発現細胞系。CD4の濃度の比較のために、完全CD4またはデルタ13CD4のいずれかを発現する細胞系を選択した。図6に示すように、完全CD4発現細胞は組換LCF刺激に応答して遊走した。CD4欠損細胞またはデルタ13CD4発現細胞は組換LCFに応答しなかった。抗体2C11は偽形質導入細胞系およびデルタ13CD4細胞系に対してそれぞれ198%±4%および192%±3%の遊走応答を誘発するので、これらの細胞はマウスT細胞受容体刺激性遊走に対して応答性があった(図6)。これらの研究から、LCF誘発性の細胞運動性応答が起こるにはCD4が発現されなければならず、また細胞質尾部が必要であることがわかる。
【0040】
LCF応答細胞を同定するために、ヒトT細胞において、LCF刺激に対するCD4特異性を、IL−2Rの発現を用いて実証した。組換LCF(10−8M)の存在下に混合T細胞を24時間および48時間培養し、該細胞中のCD4とIL−2Rの両方の発現を検出するために、この時点で細胞を標識した。図7に示すように、CD4+である細胞のみが、表面発現IL−2Rを増加した。この試験では、CD4+細胞の17%にIL−2Rの増加が見られた。このことは、CD4+細胞に対するLCFの特異性を示すのみならず、組換LCFがCD4+細胞のサブセットにのみ作用することをも示唆している。
【0041】
最後に、組換LCFの分子量篩クロマトグラフィーを行うが、ここでは大部分の化学誘引活性が50〜60kDa領域で溶出することが示される。図8Aおよび図8Bに示されるように、この化学誘引活性のピークは、35S標識組換LCFにおいて同じクロマトグラフィーを行った場合の溶出プロファイルに対応する。14〜18kDa領域に、対応する化学活性のない小さい放射活性ピークが存在した。走化性と放射活性の両方に対するピークフラクション(フラクション13)および放射活性のみを含むフラクション(フラクション17)をSDS−PAGEで展開し、オートラジオグラフィーに付した。各フラクションからのLCFタンパク質は、17.5kDaにおいてシングルバンドとして現れた(図8B)。これらのデータから、生理的条件下ではLCFが非共有的に結合した多量体として優勢に存在するがいくつかのLCFは一量体として存在することが示唆される。しかし、多量体の形体は化学誘引活性をもつと考えられる。
【0042】
LCF:CD4相互作用を阻害する化合物のスクリーニング
上記で論じたように、本発明の一つの態様は、LCFとCD4の間の相互作用を阻害し、該相互作用によって仲介される生理的カスケード反応を妨害または減少させる化合物をスクリーニングすることである。応答を誘発することなくLCFまたはLCF/CD4受容体もしくはCD4受容体に結合する、LCFに対する化学アンタゴニストを用いて、LCFまたは架橋LCFアゴニストもしくは生物学的に活性なLCFポリペプチドフラグメントまたはその類縁体(これらは免疫応答および炎症などのLCF仲介生理的反応を刺激あるいは活性化するために働く)の影響を減少させるかまたは妨害することができる。したがって、本発明は、このような有用な化合物をスクリーニングする方法を提供する。このようなアンタゴニストとしては、架橋LCF、合成LCF、抗−LCF抗体または他の薬剤(たとえば有機化合物)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
すなわち、LCFポリペプチドから、その活性を中和または妨害するのに役立つ化合物を製造することができる。その方法の一例は、LCFポリペプチドの活性部位を同定し、該活性部位内のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換することによってLCFアミノ酸配列中の活性部位を変更することであり、それによって該ペプチドはCD4受容体に対するその結合親和性は失わないけれども、結合しても活性を促進することが不可能となり、LCFの影響を遮断することができる。抗体(モノクローナル抗体など)またはLCFに対する化学アンタゴニストを用いて、LCF活性を遮断、減少あるいは妨害することもできる。このような化学アンタゴニストは、有機化合物またはその他の前述の化合物のいずれでもよく、それらのLCF:CD4仲介生理的反応を妨害する能力を、以下の方法によってアッセイまたはスクリーニングすることができる。
【0044】
該スクリーニング法は、LCFポリペプチド(あるいは適当なフラグメントまたはその類縁体)、および結合を検出しうる形状にしたrsCD4またはCD4受容体発現細胞(たとえばCD4+リンパ球、単球または好酸球など)から構成される。全長LCFポリペプチド(フラグメントまたはその類縁体)およびrsCD4は前述の記載にしたがって生産する。
【0045】
受容体へのLCFの結合アッセイは、適当な方法ならばいずれの方法で行ってもよい(前記参照)。たとえば、前記のように、CD4受容体を発現する細胞(たとえば好酸球)を、固相基質(たとえばマイクロタイタープレートのウェル)に固定し、検出可能に標識したLCFポリペプチド(フラグメントまたはその類縁体)と反応させる。受容体成分に結合した標識(すなわち固相基質に結合した標識)を検出することによって、結合に関するアッセイを行う。標識した全長組換LCFポリペプチドのCD4受容体産生細胞への結合を、アンタゴニストアッセイにおける「対照」として用いる。アンタゴニストアッセイでは、まずCD4受容体産生細胞を適当な量の候補アンタゴニスト(たとえば抗体または有機化合物など)とともにインキュベートする。この混合物に、当量の標識LCFを加える。本発明に有用なアンタゴニストは、標識LCFが固定化受容体産生細胞へ結合するのを妨害する。別の言い方では、アンタゴニストとは、結合することはできても、生物学的応答を活性化しないものである。
【0046】
続いて、所望により、アンタゴニストのLCF機能妨害能力(すなわち、通常全長LCFポリペプチドによって仲介されるシグナル形質導入を起こすことなく標識LCFの結合を特異的に妨害する能力)を試験することもできる。
【0047】
好適な候補アンタゴニストとしては、たとえばポリペプチドFEAW(アミノ酸96〜99におけるPhe−Glu−Ala−Trp)およびRKSLQSKETTAAGDS(アミノ酸116〜130におけるArg−Lys−Ser−Leu−Gln−Ser−Lys−Glu−Thr−Thr−Ala−Ala−Gly−Asp−Ser)[例えば、LCFの配列番号1の類縁体を参照]、および他のペプチドならびに非ペプチド化合物、およびLCF/CD4受容体相互作用の分析から設計または誘導された抗LCFポリペプチド抗体もしくはLCFの一次構造などが挙げられる。
【0048】
抗−LCFポリペプチド抗体
ヒトLCF(あるいはフラグメントまたは類縁体)を用いて、本発明に有用な抗体を産生することができる;このようなポリペプチドは組換またはペプチド合成技術によって生産される(たとえば「固相ペプチド合成」(前記):オースベルら(前記)を参照)。オースベルら(前記)の記載に準じ、該ペプチドをKLHなどの担体タンパク質とカップリングさせる。KLH−ペプチドをフロイントアジュバントと混合し、モルモット、ラットなど、あるいは好ましくはウサギに注射する。ペプチド抗原アフィニティークロマトグラフィーにて抗体を精製する。
【0049】
予測されるアミノ酸配列について、たとえばカイト−ドゥーリトル(Kyte-Doolittle)分析[カイトの「J.Molec.Bio.」,157:105〜132(1982年)を参照]を行うと、4つの主要な親水性領域の存在が示された(図9)。LCFの親水性プロットに基づき、残基3〜11、47〜58、68〜81および115〜130における4つの主要親水性領域(図9において、それぞれA,B,C,Dで表示)の合成ポリペプチドに対するウサギ抗体を生産した。ペプチド特異的ポリクローナル抗血清を各ペプチドに対するELISAによって同定し、次いでプロテインAセファロースクロマトグラフィーによって精製した。このような抗体を用いた一例では、D領域に対して産生された抗体が、194%±7%(平均±S.D.,N=4)〜112%±5%の組換LCF(10−9M)誘発遊走を遮断することが走化性指示計アッセイシステム(前記)において測定された。さらに、抗ペプチドD抗体が、ウエスタンブロッティングに適していることがわかり、図3Aおよび図3Bにおけるタンパク質染色によって観察されたものと同じ17.5kDaバンドが同定された。
別法として、前記LCFポリペプチドおよび標準的ハイブリドーマ法を用いてモノクローナル抗体を生産してもよい[たとえばコーラー(Kohler)ら「Nature」,256:495(1975年);コーラーらの「Eur.J.Immunol.」,6:511(1976年);コーラーらの「Eur.J.Immunol.」,6:292(1976年);ハマーリング(Hammerling)らの「モノクローナル抗体およびT細胞ハイブリドーマ」,エルセヴィア(Elsevier),ニューヨーク(1981年);オースベルらの前記文献を参照]。したがって、一例を挙げると、精製または部分精製したLCF(フラグンメントまたはその類縁体)で免疫感作させることによってマウスのBalb/Cまたはその他の同種株にLCF(フラグンメントまたはその類縁体)に対するモノクローナル抗体を産生させることができる。このようなマウスの脾臓を切除し、そのリンパ球を融合してマウス骨髄腫細胞系が得られる。公知技術によりハイブリッドをスクリーニングした後、LCF(フラグンメントまたはその類縁体)に対する抗体を産生する安定なハイブリッドを分離する。このような抗体の活性は、放射標識されたLCF(たとえば125I−LCF)がCD4受容体へ結合するのを妨害する能力で表わすことができる。したがってLCFの生物学的活性(たとえば前述の細胞遊走など)を妨害するモノクローナル抗体の能力について試験を行う。ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を生産し、その特異的LCFポリペプチド認識について、ウエスタンブロットまたは免疫沈降分析による試験を行う(オースベルらの前記文献に記載の方法によって行う)。LCF(フラグンメントまたはその類縁体)を特異的に認識する抗体が、有用なアンタゴニストとして有望であると考えられる。またこのような抗体は、哺乳動物(たとえばヒト)に産生したLCFポリペプチドの濃度をモニターするイムノアッセイなどに用いることもできる。LCF/CD4受容体の結合またはLCFの仲介する受容体機能に拮抗する抗体は本発明において有用なアンタゴニストである。
【0050】
LCFおよび成長因子を用いる細胞分割の刺激
本発明者らは、組換LCFが細胞受容体(IL−2Rなど)の発現を誘発し、続いて、該受容体産生細胞(T細胞など)をその同種の成長因子(IL−2など)へ応答可能にすることを発見した。ひとつの実施例では、ヒトT細胞を組換LCFで24時間刺激し、この時点で細胞培養物にrIL−2(2U/ml)または抗CD3(OKT3,50ng/ml)を加えた(LCFは10−5M〜10−10Mの濃度範囲を用いたが同じ結果が得られたので、10−8Mのデータを示す)。rIL−2またはOKT3の添加の4日後に、3H チミジンの取り込みを測定して抗体細胞増殖のアッセイを行った。表1に示す3回の実験結果全部を平均し、抗CD3およびrIL−2誘発チミジン取り込みにおける組換LCFの影響を示すと、組換LCFとのプレインキュベーションによってIL−2応答性が増強されることがわかった。ヒトT細胞は組換LCF単独と24あるいは48時間インキュベーションを行った後も3H チミジンの取り込みを増加しないが、組換LCFとrIL−2刺激T細胞とプレインキュベーションを行った後には3H チミジンの取り込みを1079cpmから13818cpmへと増加した。しかし、組換LCF処理細胞培養物において、抗CD3抗体に対する増殖応答は、抗CD3刺激単独時は21257cpmであるが、組換LCF刺激細胞では12047cpmとおよそ50%減少した。
【0051】
このように、該実験においては、得られたヒトT細胞を、T細胞成長因子インターロイキン2で刺激する前に、組換LCFとともに24時間インキュベートした。T細胞を組換LCFとプレインキュベーションすることによって、72時間合成の3H チミジンの取り込み(DNA合成)は、組換LCFまたはrIL−2それぞれ単独の場合のいずれと比較しても5倍程度増加した。T細胞を組換LCFとともにプレインキュベーションすることにより、抗CD3においては引き続いておこるT細胞抗原に応答した3H チミジン取り込みが減少するので、この相乗作用はIL−2に特異的なものであった(抗CD3の応答を参照)。
【0052】
【表1】
*)抗CD3抗体またはrIL−2の添加前に培養物を24時間LCFで刺激した。培養は5日間行った。
【0053】
治療法
過応答性免疫応答および炎症疾患の特に適当な治療剤は、生理的食塩水などの適当な緩衝液剤として製剤した可溶性の前記のアンタゴニストフラグメントである。前記のとおり産生させた抗LCFポリペプチド(フラグメントまたはその類縁体)抗体を治療剤として用いてもよい。該抗体を医薬的に許容しうる緩衝液(生理的食塩水など)剤として投与される。適当ならば、該抗体製剤を適当なアジュバントと組み合わせてもよい。また、本発明方法は、LC4:CD4相互作用を拮抗するのに有用な有機化合物の同定法を提供する。このような化合物を同定し、分離して適当な緩衝液剤に製剤化し、治療剤として用いることができる。
【0054】
さらに、免疫抑制剤として、またはCD4+受容体産生細胞(前記)の増殖を刺激するための治療剤として、LCFまたはLCFアゴニストを利用するための適当な治療剤を、生理的食塩水などの適当な緩衝液剤として製剤化することができる。これらの製剤は、医薬的に許容しうる緩衝液(生理的食塩水など)剤の形態で投与される。
【0055】
通常、該治療用組成物は、非経口で投与され、その投与量は、新規CD4リンパ球集団の活性化を刺激し;アネルギーを誘発して(前記表を参照)移植における拒絶反応を抑制し;および過応答性免疫応答および炎症(喘息など)の緩和するのに有効な量である
【0056】
別の投与形態としては、該治療剤を一次産物の形態またはLCF cDNAを運搬するウイルスベクターの形態において、経口、経鼻、または液剤またはスプレー剤などの局所適用剤で投与してもよい。投与量は上記のとおりである。しかし、上述の疾患のいずれかを治療するための該化合物の投与量は、投与方法、患者の年令および体重、および治療を受ける患者の健康状態に応じて変化し、最終的には担当医または担当獣医によって決定されるものである。このような担当医または担当獣医によって決定される有効化合物の量を「医薬的有効量」と称する。本発明化合物は、哺乳動物、たとえばヒトの患者では0.5μg/kg/日〜5mg/kg/日の範囲の投与量で投与することができる。
【0057】
組換LCFと成長因子(IL−2など)間の相乗効果は、組換LCF(0.5μg/kg/日〜5mg/kg/日)の投与の24時間後に同量のrIL−2を投与する連続投与法によって誘発しうる。
本発明方法を用いて、たとえばヒト、家庭のペットまたは家畜などの哺乳動物における前記疾患を減少することができる。ヒト以外の哺乳動物を治療する場合、使用したLCFポリペプチドまたは抗体はその種に対して特定のものであるのが好ましいが必ずしもそうでなくともよい。
【0058】
その他の具体例
本発明は、LCFポリペプチド(図2の配列番号1)と実質的に相同なタンパク質のすべてを包含する。LCFはヒトT細胞および外分泌すい臓において発現する。LCFはヒト単球細胞系THP−1においても発現する。本発明に包含されるタンパク質としては、対立遺伝子変異体;天然突然変異体;誘発突然変異体;高または低ストリンジェンシー条件下で天然の核酸にハイブリダイズするDNA(たとえば長さが少なくとも40ヌクレオチドのプローブを用い、40℃にて2xSSCで洗浄する)によってコードされるタンパク質[高および低ストリンジェンシーのその他の定義は、「カレント・プロトコルズ・イン・モレキュラー・バイオロジー」,ジョン・ウイリー・アンド・サンズ、ニューヨーク(1989年)を参照];および抗血清によってLCFポリペプチドに結合したポリペプチドまたはタンパク質(特にLCFポリペプチドの活性部位または結合ドメインに特異的に結合したもの)が挙げられる。LCFポリペプチドを含むキメラポリペプチドも本発明に包含される。実質的に全長のポリペプチドに加えて、本発明には該ポリペプチドの生物学的に活性なフラグメントも包含される。本明細書中で用いる語句「フラグメント」とは、ポリペプチドに適用される場合、通常少なくとも約残基、より特徴的には少なくとも約40残基、好ましくは少なくとも約60残基の長さのものを意味する。LCFポリペプチドのフラグメントは当業者に公知の方法で生産することができる。候補フラグメントの、LCFポリペプチドの生物学的活性を示す能力は、本明細書に記載されている当業者に公知の方法によって評価できる。該ポリペプチド中の生物学的活性を示すために必要ではない残基などの、該ペプチドの生物学的活性を示すために必要ではない残基を含有するLCFポリペプチド、または別法のmRNAスプライシングまたは別法のタンパク質プロセシングから得られる残基を含有するLCFポリペプチドも本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1はヒトTリンパ球から調製した全細胞性RNA由来のLCFのノーザン分析を示す。エチジウムブロマイド染色により可視化した18Sおよび28SRNAの位置を、各々の矢印で示す。
【図2】図2はLCF−AcDNAのヌクレオチド配列(配列番号2)およびコード化タンパク質の推定アミノ酸配列(配列番号1)を示す。ヌクレオチドは、cDNAの最初のヌクレオチドで始まって左端から番号が付されている。ポリA末端は、最後の指示ヌクレオチド(2152)の直後に始まり、除去される。推定LCFコード配列の翻訳は、Metで始まる対応するヌクレオチド配列の下に示されている。各アミノ酸は連続して番号が付されている。Asn残基(アミノ酸残基5)は、有効なグリコシル化部位を示す(点線で示す)。2個の候補ポリアデニル化シグナル配列に下線を引いている。
【図3A】図3Aおよび図3Bは、E.コリ中で発現した組換LCFおよびLCFcDNAから合成されたRNAのウサギ網状赤血球細胞インビトロ翻訳のSDS−PAGEを示す。図3Aは、15%SDS−PAGEに流し、続いてクマーシーブルー染色した組換LCFタンパク質を示す。図3Aにおいて、レーンAは、LCFタンパク質を発現するように誘発したE.コリの粗上清を示し、レーンBは、ニッケルアフィニティクロマトグラフィーで精製したポリヒスチジンリンカーと結合した融合タンパク質として産生されたLCFタンパク質を示し、レーンCは第Xa因子開裂後のLCFを示す。17.5kDaのバンドをブロットし、切除し、N−末端アミノ酸配列決定に付した。
【図3B】図3Aおよび図3Bは、E.コリ中で発現した組換LCFおよびLCFcDNAから合成されたRNAのウサギ網状赤血球細胞インビトロ翻訳のSDS−PAGEを示す。図3Bは、LCFcDNAのウサギ網状赤血球インビトロ翻訳を示す:ウサギ網状赤血球で翻訳されたLCFcDNAの35S−標識タンパク質生産物を、15%SDS−PAGEに流した。図3Bにおいて、レーンAは、非グリコシル化条件で翻訳されたLCFタンパク質を示し、レーンBは、グリコシル化条件下で翻訳されたLCFを示す。
【図4】図4は、rsCD4による組換LCFの免疫沈降を示す。図4において、レーン1は、組換LCF10μgを示す;レーン2は、ウサギポリクローナル抗−CD4抗体10μgと免疫沈降させたrsCD4 50μgとインキュベーションした組換LCFを示す;レーン3は、ポリクローナル抗−CD4抗体と免疫沈降させたrsCD4 10μgとインキュベーションした組換LCFを示す;レーン4は、ウサギポリクローナル抗−IgG(10μg)と免疫沈降させたrsCD4(10μg)とインキュベーションした組換LCFを示す;レーン5は、rsCD4とインキュベーションし、モノクローナル抗−CD4(10μg)と免疫沈降させた組換LCFを示す;レーン6は、rsCD4とインキュベーションし、モノクローナル抗CD8抗体(10μg)と免疫沈降させた組換LCFを示す;およびレーン7は、モノクローナル抗−CD8抗体とインキュベーションしたrsCD4(10μg)を示す。
【図5】図5は、ヒト末梢血Tリンパ球のLCF誘発走化性の用量依存曲線を示す。図5において、星印(*)はp<0.05の統計的有意性を示す(対照細胞遊走からのスチューデントのt検定を使用)。
【図6】図6は、マウスT細胞ハイブリドーマ細胞におけるLCF誘発走化性を示す。野生型CD4(13.13)、切断CD4(デルタ−13)またはCD4発現を欠く疑似感染細胞(155.16)のいずれかを発現するマウス細胞系は、組換LCF(10−9M)(白抜き棒)または2C11抗体(10μg/ml)(横縞棒)により促進され、移動反応を定量した。100倍過剰の抗−CD4 Fabフラグメント(10μg/ml)の存在下で組換LCFにより刺激された細胞をも示す(黒塗り棒)。細胞遊走は、10個の高検定力領域±S.D.の平均として示す。対照細胞遊走(100%とする)と有意に異なる(スチューデントt検定でp<0.05)遊走は星印により示す。
【図7】図7は、FACs分析を使用した、CD4+ヒトT細胞に対する組換LCFの特異性を示す。2×106ヒトTリンパ球を、10−8M組換LCFの存在下、24時間および48時間培養した。フィコエリトリン−結合抗−CD4抗体およびフルオレセイン−結合抗−IL−2R抗体で2重標識した細胞を、ベクトン・ディキンソン・FACスキャンフローサイトメーターで分析した。組換LCFは、48時間で、対照レベルの3%(最上図)から17%(最下図)のCD4+/IL−2R+細胞の増大を誘発する。24時間時点で、細胞の9%増大を示した。どの時点でも、CD4−細胞は、IL−2R発現の増加を示さなかった。これは、3種の異なった実験の代表的FACs分析である。他の実験は、48時間の時点で、細胞の15%および19%のIL−2R+細胞の増加を示した。
【図8A】図8Aおよび図8Bは、生理的条件下で組換LCFの凝集を示す。図8Aは、35S−標識組換LCFの分子篩HPLCを示す(リン酸緩衝化食塩水、pH8.0中で流した)。フラクションを集め、シンチレーション計数により分析した(白四角)。平行サンプルを集め、リンパ球走化性の誘発を試験した(黒四角)。
【図8B】図8Aおよび図8Bは、生理的条件下で組換LCFの凝集を示す。図8BのレーンAおよびレーンBは、それぞれ、SDS−PAGEで分離した後の、放射活性および細胞遊走の両方のピークフラクション(図8Aに記載のフラクション13)並びに対応する化学誘引活性を有しない放射活性の2番目ピーク(図8Aのフラクション17)のオートラジオグラムを示す。
【図9】図9は、キートおよびドーリトル(キートら、J.Molec.Biol. 157:105-132(1982))の方法で予想した組換LCFの親水性プロットを示す。ペプチドを合成し、ウサギ抗−ペプチド特異的抗血清を、A、B、C、Dと名付けた4つの主要な親水性領域について産生させた。
【技術分野】
【0001】
本発明はリンパ球化学誘引因子に関する。
【0002】
(背景技術)
CD4は、細胞−細胞付着蛋白であり、Tリンパ球のサブセット(クリンスキーら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスィズ・USA、79巻2365−2369頁(1982年);ビディソンら、ジャーナル・オブ・イクスペリメンタル・メディシン、156巻1065−1076頁(1982年);およびワイルドら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、131巻152−157頁(1983年))、単核球細胞(スチュワートら、ジャーナル・オブ・イムノロジー136巻3773−3778頁(1986年))および好酸球(ランドら、ジャーナル・オブ・イクスペリメンタル・メディシン、173巻1521−1528頁(1991年))上に存在する。リンパ球中で、CD4はMHCクラスII分子との直接的相互作用(ドイルら、ネイチャー、330巻256−259頁(1987年))によって抗原受容体認識(コリンズら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、148巻2159−2162頁(1992年);アンダーソンら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、139巻678−682頁(1987年);アイヒマンら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、17巻643−650頁(1987年);ウォーカーら、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・イムノロジー、17巻873−880頁(1987年);スレックマンら、ネイチャー、328巻351−353頁(1987年))に寄与する。さらに、天然の可溶性リンホカイン、リンパ球化学誘引因子(LCF)、は単球(クルークシャンクら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、138巻3817−3823頁(1987年))、好酸球(ランドら、ジャーナル・オブ・イクスペリメンタル・メディシン、173巻1521−1528頁(1991年))およびTリンパ球(クルークシャンクら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、138巻3817−3823頁(1987年);クルークシャンクら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、146巻2928−2934頁(1991年))中に走化活性を誘発するためにCD4の細胞表面発現が必要である。その化学的誘引活性と協力して、LCFはヒトTリンパ球の受容能力成長因子として作用する(クルークシャンクら、ジャーナル・オブ・イムノロジー138巻3817−3823頁(1987年))。
【0003】
LCFは陽イオン性の、4個の14−kD単量体の鎖の4量体で示される56−kD糖タンパク質である。LCFはTリンパ球によって産生され、具体的にはCD4+ T細胞、単球および好酸球のための化学誘引因子である(例えば、バーマンら、セルラー・イムノロジー、95巻105−112頁(1985年);ランドら、ジャーナル・オブ・イクスペリメンタル・メディシン、173巻1521−1528頁(1991年)参照)。CD8+ T細胞によるLCFの分泌はミトゲン、抗原、ヒスタミンまたはセロトニンによる刺激後に生じる。後者の2つは脱顆粒されたマスト細胞および塩基性染色細胞が遅延型過敏症反応の組織部位に存在することから、特に興味深い。マスト細胞および塩基性染色細胞生成物によるLCFの誘導は免疫応答の初期の仲介物質段階と後期のT−リンパ球−支配炎症反応の発達段階の間を連結する。
【0004】
発明の要約
概して、本発明は組換リンパ球化学誘引因子(LCF)ポリペプチド、例えば、原核生物またはバキュロウイルス発現系で産生されるLCFとして特徴づけられる。好ましくは、このポリペプチドは図2に示されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:1(配列番号1))と実質的に同一のアミノ酸配列を含む。「リンパ球化学誘引因子ポリペプチド」とは、CD4と特異的に結合し、適当な生物学的現象のLCF−仲介カスケードのきっかけを与えるものであり、例えば、不活性化または活性化CD4+ リンパ球、塩基性染色細胞、単球などの遊走を促進または刺激し得るポリペプチドである。「ポリペプチド」とは、長さまたは後−翻訳修飾(例えば、グリコシル化)に関係なくアミノ酸の鎖をいう。「実質的に同一の」アミノ酸配列とは、保存的アミノ酸置換、例えば、1個のアミノ酸を同種の他のアミノ酸(例えば、グリシンに対するバリン、リジンに対するアルギニンなど)による置換、またはポリペプチドの生物学的活性を消失させないアミノ酸配列の部位における1個またはそれ以上の非−保存的アミノ酸の置換、削除または挿入だけが異なるアミノ酸配列を意味する。このような均等なポリペプチドは、天然にこのようなポリペプチドを産生し得るか、またはそのように誘導され得る動物の組織または細胞から、下記に記載の方法またはそれらと均等な方法を用いて抽出によって分離され得るか、または化学的合成法によって、または組換DNA技術の標準的な技法、例えば、このようなポリペプチドをコードするcDNAまたはゲノムDNAの分離、によって分離され得る。
【0005】
他の態様としては、本発明はLCFアゴニストまたはアンタゴニスト活性を示すLCFのフラグメントまたは類縁体を特徴とする。すなわち、本発明はLCFポリペプチドの生物学的活性フラグメントまたは類縁体を含む。「生物学的活性」とは、図2(配列番号1)に示される130−アミノ酸LCFポリペプチドの特徴であるなんらかの活性を有することをいう。LCFポリペプチドは一定の範囲の生理学的特性示し、このような特性はLCFポリペプチド分子の種々の部分に起因し得るから、有用なLCFポリペプチドフラグメントまたはLCFポリペプチド類縁体は、LCFポリペプチド活性についての生物学的試験、例えば、ここに記載のアッセイにおいて、生物学的活性を示すものである。それはLCFポリペプチド試験において、LCFポリペプチド(図2;配列番号1で示される)の活性の最も好ましくは10%、より好ましくは40%、または少なくとも90%を有するものである。
【0006】
好ましい類縁体は、配列が保存的アミノ酸置換、例えば、1個のアミノ酸を他の同様の特性を有する他のアミノ酸(例えば、グリシンに対するバリン、リジンに対するアルギニンなど)との置換、またはポリペプチドの生物学的活性を消失させない1個またはそれ以上の非保存的アミノ酸の置換、削除または挿入のみが、野生型配列と異なるLCFポリペプチド(またはそれらの生物学的活性フラグメント)を含む。他の有用な変異体にはペプチドの安定性を増大させたもの;このような類縁体には、例えば、1個またはそれ以上の非ペプチド結合(ペプチド結合に代替し得る)か、またはペプチド配列中にD−アミノ酸を含み得る。
【0007】
類縁体はアミノ酸配列において天然生成のLCFポリペプチドと異なり得るか、または配列が関与しない方法で修飾され得るか、またはその両方である。本発明の類縁体は、一般に天然生成LCFポリペプチド配列の20個のアミノ酸残基、より好ましくは40個以上のアミノ酸残基のセグメント、さらにより好ましくは完全配列を有する、一般に少なくとも70%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%または99%の相同性を示す。
【0008】
最初の配列の変更は天然および誘導の両方の遺伝学的変異体を含む。また、類縁体には天然生成L−アミノ酸以外の残基、例えば、D−アミノ酸または非天然生成または合成アミノ酸、例えば、βまたはγアミノ酸を含むものも含まれる。他方、安定性の増大はペプチド分子の環化によって与えられる。修飾には、ポリペプチドのインビボまたはインビトロの化学的誘導体化、例えば、アセチル化、メチル化、リン酸化、フレミレーション、イスプレミレーション、ミリスチル化、カルボキシル化またはグリコシル化を含む。グリコシル化は、例えば、その合成およびプロセシングまたはさらなるプロセシング工程中の、ポリペプチドのグリコシル化様式を変えることによって、例えば、正常にこのようなプロセシングをもたらす細胞から誘導されるグリコシル化作用酵素、例えば、哺乳動物グリコシル化酵素にこのポリペプチドをさらすことによって変更され得る;リン酸化はリン酸化−修正酵素、例えば、キナーゼまたはホスファターゼその他、にこのポリペプチドをさらすことによって変更し得る。「実質的純粋」とは、本発明によって提供されるLCFポリペプチドが、本来それが結合しているタンパク質および天然−生成有機分子を少なくとも60重量%含まないことを意味する。好ましくは、調製物の少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%および最も好ましくは少なくとも99重量%のLCFポリペプチドであることである。実質的に純粋なポリペプチドは、例えば、下記に概要を述べる方法を用いて、天然資源(例えば、ヒト周辺血液単核細胞)からの抽出によって;または組換DNA技術の標準的な技法、例えば、LCFポリペプチドをコードする組換核酸の発現による分離、例えば、このようなLCFポリペプチドをコードするcDNAまたはゲノムDNAの分離によって、またはタンパク質、フラグメント、またはそれらの類縁体の化学的合成によって得られる。純度は適当な方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によって測定することができる。
【0009】
別の態様として、本発明は、上記のLCFポリペプチド(またはポリペプチドフラグメントまたはそれらの類縁体)をコードする実質的に純粋なDNAを特徴とする。好ましくは、このDNAは図2(配列番号2)に示されるヌクレオチド配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含む。さらに、このようなDNAはcDNAであり、哺乳動物、例えば、ヒトのLCFポリペプチドをコードしている。本発明はまたこの実質的に純粋なDNAを含み、ベクター含有細胞中にこのDNAによってコードされたタンパク質の発現を誘導し得るベクターを特徴とするものである。本発明の特徴は実質的に純粋なDNAを含む細胞である。細胞は原核細胞、例えば、E.コリ、または真核生物、例えば、哺乳動物細胞または節足動物、例えば、バッタのいずれでもよい。
【0010】
「実質的に純粋なDNA」とは、本発明のDNAが誘導される生物の天然生成ゲノム中にその遺伝子の両端に隣接する遺伝子を含まないことを意味する。従って、この用語は、例えば、ベクター中、自律的複製プラスミドまたはウィルス中、または原核細胞または真核細胞のゲノムDNA中に組み込まれる組換DNAか;または他の配列と独立して別の分子(例えば、cDNA、またはポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)方法論または制限エンドヌクレアーゼ消化によって産生されるゲノムあるいはcDNAフラグメント)として存在する組換DNAを含む。この用語はまた、追加のポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換DNAを含む。
【0011】
別の態様として、本発明は組換LCFポリペプチド(またはそれらのフラグメントまたは類縁体)を製造する方法を特徴とする。この方法は(a)細胞中での発現のために位置するLCFポリペプチドまたはそれらのフラグメントまたは類縁体をコードするDNAで形質転換した細胞(例えば、E.コリまたはS.フルギデラ)を提供すること、(b)DNAを発現するための条件下で、形質転換された細胞を培養すること、(c)組換LCFポリペプチドを分離すること、を含む。「形質転換された細胞」とは、組換技術によって、LCFポリペプチドをコードするDNA(この明細書中で用いる場合)を導入された細胞(またはその原型)をいう。このようなDNA分子は「発現のために位置して」おり、このことは、そのDNA分子が配列の転写および翻訳を管理するDNA配列(すなわち、例えば、LCFまたはそれらのフラグメントまたは類縁体の産生を容易にする)に隣接して位置することをいう。
【0012】
なおまた、別の態様として、本発明はLCF(またはそれらのフラグメントまたは類縁体)に優先的に結合する実質的に純粋な抗体を特徴とする。「実質的に純粋な抗体」とは、本来それが結合しているタンパク質および天然−生成有機分子を少なくとも60重量%含まない抗体を意味する。好ましくは、この調製物の少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%および最も好ましくは少なくとも99重量%の抗体、例えば、LCF抗体であることである。実質的に純粋なLCF抗体は、例えば、組換−産生LCFポリペプチドを用いるアフィニティクロマトグラフィーおよび標準技術によって得られる。さらに、この精製された抗体は、本来結合している他のタンパク質、炭水化物および脂肪が十分に除去されており、治療的投与が可能である。このような「抗体」がLCFポリペプチド(またはそれらのフラグメントまたは類縁体)に「優先的に結合する」とは、すなわち、他の抗原的−無関係分子を実質的に認識しないことをいう。
【0013】
好ましくは、この抗体はそれが結合するタンパク質の生物学的活性を中和する。「中和」するとは、部分的または完全に(例えば、LCFポリペプチドの生物学的活性)を阻害することをいう。
他の態様において、上記のポリペプチドまたは抗体は治療的組成物の活性成分として用いられる。このような治療的組成物において、活性成分は生理学的に許容され得る担体とともに処方される。これらの治療的組成物はLCF−CD4相互作用仲介生理学的応答を抑制または擬態する方法に用いられる。具体的には、これらの方法は免疫応答/または炎症を減少させるために用いられる。この方法を実施するのに有用な化合物は、これらに限定されるものではないが、LCF抗体、またはLCFフラグメントまたは類縁体、または、例えば、有機化合物などの薬物である。
【0014】
さらに、他の態様として、本発明は候補化合物のLCFとCD4の相互作用を阻害する能力についてのスクリーニング方法を特徴とする。この方法は、a)候補アンタゴニスト化合物とLCFとを混合し;b)LCF−CD4結合を測定し;c)その結合を妨げる化合物をアンタゴニスト化合物として確認することを含む。
なおまた、別の態様として、本発明は候補化合物のLCF活性を擬態する能力についてのスクリーニング方法を特徴とする。この方法は、a)候補アゴニスト化合物とCD4受容体とを混合し;b)上記化合物のCD4受容体に対する結合を測定し;c)CD4受容体に結合し、細胞遊走を仲介する化合物をアゴニスト化合物として確認することを含む。
別の態様として、本発明は、哺乳動物におけるCD4+ T細胞の増殖を刺激するための組成物を特徴とし、この組成物はLCFおよび成長因子を含む。この組成物は、例えば、1:100から1:1(成長因子に対するLCF)の範囲で相乗作用を生じさせる割合でLCFおよび成長因子を含む。好ましくは、成長因子は、サイトカインであり、例えば、IL−2、IL−4、IL−6、IL−7、IL−8、インシュリン、およびインシュリン−様成長因子 Iである。
【0015】
本発明はまた、哺乳動物におけるCD4+ T細胞の増殖を刺激する方法を特徴とし、この方法は、LCFおよびIL−2を共に、または相乗作用を生じさせるのに十分な程度に時間的に近接させて、細胞と接触させることを含む。好ましい具体例において、この方法は哺乳動物(例えば、ヒト患者)にLCFおよび成長因子の有効量を投与する方法であって、成長因子と組み合わせたLCFの増殖活性が成長因子の不存在下でのLCFの増殖活性およびLCF不存在下での成長因子の増殖活性より大きいことを特徴とする方法を含む。好ましい具体例において、成長因子はサイトカインであり、所望により、組成物の投与は1回以上である。
【0016】
本発明のタンパク質は、免疫応答および炎症の両方の重要な構成要素および仲介体である、例えば、好酸球、単球およびTリンパ球などの分化免疫細胞に遊走の誘発のきっかけとなる現象に関与していると考えられている。従って、このようなタンパク質は、Tリンパ球、単球および好酸球の活性化およびその後の浸潤に関係する過剰反応性免疫反応および炎症の処置、または処置のための治療剤の開発に有用である。本発明のタンパク質および/または方法を用いて治療され得る具体的な疾患として、これらに限定されるものではないが、肉芽腫性免疫反応、例えば、組織−侵入性蠕虫寄生虫によるもの、アレルゲンに対する皮膚性および呼吸性遅延型反応、喘息、ザルコイドーシス、過敏性肺炎、間隙性肺線維症、結核、慢性間接リウマチ、およびエリテマトーデス、同種異系臓器移植拒否反応、接触性(細胞媒介)皮膚炎、および免疫性媒介皮膚病(例えば、類天疱瘡および水泡性類天疱瘡)が含まれる。上記の疾患に関する総合的記載は内科学指針12版(ウイルソンら、マックグローヒル・インコーポレーション、ニユーヨーク)に見ることができる。好ましい治療剤は、アンタゴニスト、例えば、ペプチドフラグメント、または抗体、または薬物であり、これらはLCF:CD4受容体相互作用およびLCFによって生じる付随性生物学的活性を妨げることによって、LCFまたはLCF:CD4受容体機能を阻害する。
【0017】
組換LCFはまた、免疫抑制剤としてまたは免疫抑制的治療の一部として用いられ得る。特に、組換LCFは、結局は組織または臓器移植の免疫学的拒否反応をもたらす現象のカスケードを弱め、妨げまたは阻害するのに役立ち得る。例えば、組換LCFは、患者の腎臓、肺または心臓−肺同時、または肝臓の移植の拒否反応を弱め、妨げ、または阻害するために用いられ得る。さらに、CD4受容体との相互作用および結合能力によって、組換LCFは、CD4+受容体保有細胞を選択的に破壊する免疫毒の設計に有用である。最後に、組換LCFは、単独でまたは他の化合物(例えば、成長因子)と組み合わせて、CD4リンパ球数の減少した患者のCD4リンパ球数の活性化および補充に用いられ得る。
【0018】
なぜなら、LCFは今や組換技術によって調製され得、また候補のアンタゴニストおよびアゴニストは上記のアッセイによってスクリーニングされ得るからである。本発明は有用な治療剤の確認のための簡単かつ迅速な手段を提供するものである。従来は、不十分なLCFが動物モデルの疾患におけるLCFの役目を確認するのに用いられており、抗体およびDNAおよびRNAプローブは、これまで障害組織中のLCFタンパク質または遺伝子発現の検索に利用されていなかったから、このような手段は不可能であった。
すなわち、確認されて始めて、ペプチド−または抗体−含有治療剤が、大量にかつ安価に、組換および分子生物学的技術および本発明の方法を用いて製造され得る。最後に、合成化合物、例えば、有機化合物はLCF:CD4相互作用に対する効果を評価するためにここに概括した方法によって容易にスクリーニングされ得る。
本発明の他の特徴および利点は下記のそれらの好ましい態様および請求の範囲の記載から明らかであろう。
【0019】
好ましい態様の詳細な説明
LCFポリペプチド
本発明のLCFポリペプチドは、(図2、配列番号1に記載)完全な長さのLCFポリペプチドを含む。このようなポリペプチドは、任意の資源から得ることができる。これらのポリペプチドは、例えばLCF:CD4受容体相互作用またはLCF:仲介生理学的反応(下記参照)を妨害するアンタゴニストのスクリーニングに使用する。LCFフラグメントまたは類縁体は、LCF:CD4受容体活性のアンタゴニストの有効な候補でもあり得る。LCFフラグメントまたは類縁体アンタゴニストの効果は、そのCD4と相互作用する能力に依存する;このような相互作用は、多くの標準的結合法およびLCF−仲介CD4受容体機能アッセイ(例えば、下記に記載)を使用して容易に試験し得る。本発明のポリペプチドは、CD4受容体と相互作用する能力を有し、LCF生理学的カスケードを仲介する任意のフラグメントまたは類縁体、即ちLCFアゴニストをも含む。
【0020】
興味の対象の特異的LCFポリペプチドフラグメントは、CD4受容体と相互作用できるLCFポリペプチドの任意の部分、例えば総てまたはN末端の一部または、例えば親水性ドメインを含む。親水性分析(図9参照)および生物的阻害データに基づくと、他の可能性のある候補は、A、B、CおよびD(図5参照)およびLCF(図2および配列番号1)のアミノ酸96−99由来のFEAW(Phe、Glu、Ala、Trp)配列を含むが、これらに限定されない。このようなフラグメントは、アゴニストまたは(上記のような)アンタゴニストとして有用であり得、LCFの活性を中和する抗体を産生する免疫源としてまた有用である(下記参照)。
【0021】
別法として、アミノ酸一次配列から、タンパク質二次構造、従ってLCFのドメインを、任意の標準的疎水性/親水性計算、例えばチョウ−ファスマン法(例えば、チョウおよびファスマン、Ann.Rev.Biochem. 47:251、1978)を使用して、半経験的に推論し得る。親水性ドメインは、それ自身抗原性の強力な候補として、疎水性領域は結合領域として存在するため、有用なアンタゴニストまたはアゴニストである。
【0022】
次いで、候補フラグメント(例えば、ドメインAまたはDの全部または一部;図9参照)は、本明細書に記載のアッセイで、CD4受容体との相互作用およびLCF−仲介生理的反応を誘発する、即ちLCFアゴニストとして役立つ能力について試験される。フラグメントは、本明細書に記載のアッセイを用いて、LCFとCD4の相互作用と拮抗する能力についても試験される。(上記の)有用なLCFフラグメントの類縁体をも産生され、スクリーニング用成分またはアンタゴニストとしての効果について試験する(本明細書に記載のアッセイを使用);このような類縁体は、本発明でまた有用であると見なされる。
以下に、本発明で有用なヒトLCFcDNAのクローニングおよび特徴を記載する。この実施例は、本発明を説明する目的で記載され、限定するものと見なしてはならない。
【0023】
ヒトLCFcDNAの単離
ヒトLCF遺伝子は下記のようにして単離した。
ミトゲン−刺激ヒト末梢血単核細胞(PBMC)のcDNAライブラリーを、COS細胞発現ベクターpXM(ウォンら、Science 228:801-815、1985)にライゲートした。プールされたプラスミドでトランスフェクションした細胞由来の上清を、修正ボイデンチャンバーアッセイ(クルークシャンクら、J.Immunol. 128:2569-2574、1982)を使用してリンパ球化学誘引活性についてスクリーニングした。トランスフェクション24時間後に集めた上清を、マイクロチャンバーの下部ウェルに入れた。これらの上清の存在に反応したヒトT細胞の8μmニトロセルロースフィルターを通した遊走を測定し、疑似(ベクターのみ)トランスフェクションCOS細胞と比較した。化学誘引活性を有する上清を更に、フルオレセイン結合抗−Tac抗体とインキュベーションした細胞をFACS分析することにより、休止T細胞にIL−2Rを発現する能力について、およびこの誘発を阻止するモノクローナルOKT4抗体のFabフラグメントの能力をスクリーニングした(クルークシャンクら、J.Immunol. 138:3817-3723、1987)。7種の異なったサブクローニングをスクリーニングし、サブクローン化された元の上清中の上清当たり約200クローンが、陽性であることが判明した。次に、上清を、上清当たり1個のクローンが得られるまで連続してサブクローン化および希釈した。LCF含有上清の存在について確立された基準は、両方のアッセイにおける陽性反応および、さらに、OTK4抗体(Ortho Pharmac, Raritan, N.J.)から産生されたFabフラグメントと共にインキュベーションして、活性が阻害されることであった。これらの特徴を有する単一クローン(LCF−7)を単離し、両方の鎖をジデオキシヌクレオチド鎖停止法(サンガーら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463-5467、1977)で配列決定した。配列分析およびノーザン・ブロット(図1)は、LCF−7 cDNAが完全な長さ(表示の配列のヌクレオチド441から1450に対応)でないことを示唆した。次いで、バクテリオファージラムダZAP中にライゲートされた2番目のミトゲン刺激ヒトPBMC cDNAライブラリーをプローブするのに、LCF−7 cDNAを使用した。125,000プラークを完全な長さのLCF−7でスクリーニングした。スクリーニングにおいて、0.6−から2.2−kbの大きさの範囲の3個のクローンを単離した。最も大きいクローンは、両方の鎖を配列決定した(図2;配列2参照)。2個の短いクローンの部分的な配列決定は、それらがLCF−Aと同一であるが、5’方向が不完全な長さであることを明らかにした。
【0024】
上記のように、LCF cDNAは、ミトゲン刺激ヒト末梢血単核細胞(PMBC)のCOS細胞発現ライブラリーから、スクリーニングにより単離された。上清は、ヒトCD4+T細胞走化性の誘発によるLCFの存在およびIL−2受容体(IL−2R)の上向調節により測定される、細胞周期の変化について試験した(クルークシャンクら、J.Immunol. 138:3817-3823、1987)。以下の4連続スクリーニングにより、1−kbの単一クローン由来の陽性上清を同定した。ヒトT細胞から単離された全RNAのノーザン・ブロットをプローブするためにLCF cDNAを使用した(図1)。2.2−kbの単一バンドを検出した。完全な長さのクローンを単離するために、1−kb LCF cDNAを、2番目のミトゲン刺激ヒトPBMC cDNAライブラリーをプローブするのに使用した。3個のクローンを単離し、最も大きいクローンの配列を図2および配列番号2に示す。
【0025】
LCF cDNA内に、ヌクレオチド783から1176に存在する393塩基対の読み取り枠があり、これは、推定分子量13,385ダルトンの130残基タンパク質をコードしている。ヌクレオチド783のメチオニンは、フィッケット分析(フィッケット、Nucleic Acids Res. 10:5303-5318、1982)による開始の良い情況にある。他の唯一の可能な開始部位は、下流にあり、枠内であり、推定アミノ酸配列の38残基に相当する。開始メチオニンの5残基後に位置するセリンに一つの有力なN−架橋グリコシル化部位がある。先行技術は、天然LCFが分泌されたサイトカインであることを示唆しているが(クルークシャンクら、J.Immunol. 128:2569-2574、1982)、推定アミノ酸配列中には、一致する疎水性シグナル配列はないが、有効な膜透過ドメインもない。ほとんどの分泌されたサイトカインはシグナル配列を含むが、シグナル配列の欠如は、分泌IL−1αおよびIL−1βの両方に報告されている。同じく、ゲンバンク核酸およびタンパク質データベースの検索では、関連配列は発見されなかった。DNAおよびタンパク質相同性検索は、ゲンバンクおよびPIRデータベースのFASTA、SEARCHおよびBLASTプログラムを使用して行った。
【0026】
RNA単離およびノーザン分析
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、既述のフィコール−パーク密度勾配遠心で調製した(クルークシャンクら、J.Immunol. 138:3817-3823、1987;クルークシャンクら、J.Immunol. 146:2928-2934、1991)。Tリンパ球集団を、プラスチック粘着、ついでナイロンウール粘着および最後にヒツジ赤血球ロゼットおよび遠心により精製した。ペレットから回収した細胞は、蛍光分析により測定して、>99%Tリンパ球であった。単核細胞を、Tリンパ球を減少させるためにヒツジ赤血球ロゼット法を行い、続いてロゼット工程の後、上清に残っている細胞のプラスチック粘着を使用してPBMCから精製した。プラスチックから回収された粘着細胞は、蛍光分析で>92%単核細胞であった。全ての細胞を冷4M グアニジウムイソチオシアネートに融解し、RNAをCsCl遠心で単離した(オースベルら、Current Protocols in Molecular Biology、ジョン・ウィリー&サンズ、ニューヨーク、1989)。各サンプル由来のRNA10μgを、1%アガロース−ホルムアルデヒドゲルに電気泳動のために導入し、ナイロン膜上にブロットした。組換LCF−7の704bp Pst Iフラグメント由来のcDNAプローブを、ランダムプライマー法(ファインベルグら、Anal.Biochem. 132:6-13、1983)で[32P]dCTP標識し、ブロットを1×106cpm/mlで24時間ハイブリダイズした。ハイブリダイズした後、ブロットを0.2×SSC(30mM NaCl、3mM クエン酸ナトリウム、0.05%ピロリン酸ナトリウム、0.1%ラウリルサルコシンナトリウム)で56℃にて洗浄し、オートラジオグラフィーでハイブリダイゼーションを可視化した。図1に示すように、プローブは、約2.2キロ塩基対のリンパ球RNAと特異的にハイブリダイズした。このことは、LCFがTリンパ球内で発現されていることを確認し、クローンが完全な長さであったことを示した。
【0027】
LCFポリペプチド発現および合成
本発明のポリペプチドは、好適な発現ビヒクル中の、LCFコードcDNAフラグメントの全部または一部(例えば、上記のcDNA)で好適な宿主細胞を形質転換することにより製造し得る。
【0028】
分子生物学の分野の当業者には、任意の広範囲の発現系を組換LCFタンパク質を提供するために使用し得ることが理解される。使用された正確な宿主細胞は、本発明では重要ではない。LCFポリペプチドは、原核宿主(例えば、E.コリ)または真核宿主(例えば、S.セレビシアエまたは哺乳類細胞、例えばCOS1、NIH3T3およびJEG3細胞、もしくは節足動物の細胞、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(SF9)細胞)中で産生され得る。このような細胞は、広範囲の資源(例えばアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、ロックランド、MD;例えば、オースベルら、前掲もまた参照)から利用可能である。トランスフェクション法および発現ビヒクルの選択は、選択した宿主系に依存する。形質転換およびトランスフェクション法は、例えば、オースベルら、前掲に記載されている;発現ビヒクルは、例えばクローニング・ベクターズ:ア・ラボラトリー・マニュアル(P.H.パウエルズら、1985、追補1987)に提供されているものから選択し得る。
【0029】
好ましいLCF発現系の一つは、オースベルら(前掲)に記載の、原核生物発現系である。すなわち、フランキングBamH1およびNde1制限部位を伴うLCF cDNA読み取り枠を含むDNAフラグメントを、標準法に従ったPCRにより産生させ、E.コリ発現ベクターpT−16b(ノヴァゲン)中にライゲートした。次いで、このプラスミド、pET−166−ICFを、E.コリJM109を形質転換するのに使用した。組換LCFの産生を刺激するために、形質転換細菌をIPTGで刺激し、培養培地中で成育させ、続いて融解させた。組換タンパク質を、周知の方法の金属キレートクロマトグラフィー(例えば、ステュディール、Meth.Enzymol. 185:60-89、1990参照)により単離した。組換LCFは、次いでSDS−PAGEに付し(図3A)、プロブロットトランスファーフィルター(アプライド・バイオシステムズ)にブロットした。17.5kDaの見かけ分子量に見られる顕著なバンドを切り取り、標準法に従ったN−末端アミノ酸配列決定に付した。組換LCFのN−末端の25アミノ酸残基を配列決定し、図2(配列番号1)に示した推定アミノ酸配列と同じであることが分かった。17.5kDaのSDS−PAGE質量は、ヌクレオチド配列に基づいて推定した13.4kDaより大きいが、35S−標識インビトロ翻訳タンパク質の遊走パターンは同じである(図3B)。SDS−PAGEにより測定された分子量と、推定分子量の違いは、SDSアクリルアミドゲル系における組換LCFの異常な遊走によるものであり得る。
【0030】
他の好適なLCF発現系は、オースベルら(前掲)に記載のバキュロウィルス発現系である。LCFポリペプチドをコードするDNAを、好適な輸送ベクター、例えばpVL1392(インビトロゲン・コーポレイテッド、サンディエゴ、CA)に挿入する。次いで、ベクターを野生型バキュロウィルスゲノムDNAと共にスポトプテラ・フルギペルダ(SF9)細胞(ATCC受託番号:CRL1711)に共形質導入し、組換ウィルスを例えばオースベルら(前掲)のような標準法で単離する。バキュロウィルス系で製造された組換LCFは、図3Aおよび図3Bに示したE.コリ発現系を使用して合成されたタンパク質と同様の見かけの分子量17.5kDaのタンパク質を産生することが判明した。バキュロウィルス組換LCFの最初の5個のN−末端アミノ酸残基の配列決定を行った。配列は、図2(配列番号1)に示す、783位に開始部位としてのメチオニンを有する推定アミノ酸配列と同じであることが判明した。
【0031】
別法として、LCFポリペプチドは、安定に形質導入された哺乳類細胞系により産生し得る。哺乳類細胞の安定な形質導入に好適な多くのベクターが、一般に利用可能である、例えば、パウエルズら(前掲)参照;このような細胞系を構築する方法は、また一般に利用可能である、例えばオースベルら(前掲)。一つの例として、LCFポリペプチドをコード化するcDNAを、ジハイドロフォレートレダクターゼ(DHFR)遺伝子を含む発現ベクター中にクローン化する。プラスミド、即ちLCFコード遺伝子の宿主細胞染色体中への組込みは、細胞培養培地中の0.01−300μMメトトレキサートの包含により選択される(オースベルら、前掲に記載に従う)。この優性選択は、殆どの細胞型で達成できる。組換タンパク質発現は、形質導入遺伝子のDHFR−媒介増幅により増加できる。遺伝子増幅を担う細胞系の選択法は、オースベルら(前掲)に記載されている;このような方法は、一般に、メトトレキサートを段階的に増加させた濃度で含む培地中での広範な培養を含む。この目的で通常使用されるDHFR−含有発現ベクターは、オースベルら(前掲)に記載のpCVSEII−DHRFおよびpAdD26SV(A)を含む。上記の任意の宿主細胞または、好ましくはDHFR欠損CHO細胞系(例えば、CHO DHFR−細胞、ATCC受託番号:CRL 9096)は、安定に形質導入された細胞系またはDHFR媒介遺伝子増幅のDHFR選択に好ましい宿主細胞の中の一つである。
【0032】
一度組換LCFポリペプチドが発現されれば、それを、例えばアフィニティクロマトグラフィーを使用して分離する。実施例において、組換可溶性CD4(rsCD4)とCNBrセファロース4Bに、先に記載の方法(例えば、クルークシャンクら、Journal of Immunology 1991)に従って結合させることにより、CD4アフィニティカラムを製造した。すなわち、rsCD4 100μgを、CNBr活性化セファロース4B(ファルマシア、ピスキャタウェイ、NJ)と共有結合させた。次に、LCFのインビトロRNA転写物を産生させ、ウサギ網状赤血球融解物で、標準法に従って、[35S]メチオニン存在下、インビトロ翻訳するのに使用した。35S−標識インビトロLCFを、3時間、37℃でカラムに付し、その時点でカラムを洗浄緩衝液(0.01M トリス−Cl、pH8.0、0.14M NaCl、0.025% NaN3、0.5%トリトンX−100、0.5%デオキシコール酸ナトリウム)で完全に洗浄した。LCFをトリエタノールアミン溶液(50mM トリエタノールアミン、pH11、0.1トリトンX−100、0.15M NaCl)で、1M トリス−Cl、pH6.7を含む管に溶出させ分析した。
【0033】
分離後、組換タンパク質は、所望により、例えば高速液体クロマトグラフィーにより、更に精製し得る。ポリペプチド発現および精製のこれらの一般的な技術も、また有用なLCFフラグメントまたは類縁体(下記参照)を産生および分離のために使用し得る。更に、次いで、溶出物を、所望によりSDS−PAGEに流し、オートラジオグラフィーで可視化し得る(例えば、図3に示す上記実験の結果参照)。
最後に、LCFポリペプチド、特に短いLCFフラグメントは化学合成により産生できる(例えば、ソリッド・フェーズ・ペプチド・シンセシズ、1984、第2版、スチュワートおよびヤング編集、ピアス・ケミカル・カンパニー、ロックフォード、ILに記載の方法により)。
【0034】
LCFの結合および機能アッセイ
本発明に有用なLCFポリペプチドフラグメントまたはその類縁体は、CD4受容体と相互作用をする(たとえばLCFアゴニストまたはアンタゴニストなど)。このような相互作用は、インビトロ結合アッセイ(後記)を行い、次いで機能分析を行うことによって検出される。このように、該フラグメントまたはその類縁体を、機能(すなわちCD4受容体に結合し、T4+リンパ球、単球、好酸球などの遊走を誘発する能力)に関してアッセイすることもできる(後記)。これらのアッセイは、LCF(あるいは適当なLCFフラグメントまたはその類縁体)および結合を検出しうる形状の組換可溶性CD4受容体(rsCD4)またはCD4受容体産生細胞(たとえば好酸球)から構成される。すなわち、本発明はLCFアゴニストとして有用な化合物をスクリーニングする方法を包含する。
【0035】
このようなアッセイ法の一例を以下に示す。全長LCFポリペプチド(フラグメントまたはその類縁体)は前述の記載にしたがって生産される。CD4受容体成分は、組換可溶性成分として生産されるか、またはTリンパ球、単球または好酸球などによる膜成分生産される。
次に、LCF(フラグメントまたはその類縁体)のrsCD4またはCD4受容体含有細胞に対する結合の度合を定量するインビトロアッセイを行う。たとえば、全細胞アッセイは、CD4受容体を発現する細胞(たとえば好酸球)を、当業者に公知の手段[オースベルらの前記文献を参照]によって固相基質(たとえば試験管またはマイクロタイターウエル)に固定し、該基質に標識したLCFポリペプチド(たとえば125I−標識LCF)を接触させることによって行われるのが好ましい。LCFの標識(たとえば125Iで)は当業界における標準法にしたがって行う。結合のアッセイは、受容体成分に結合した標識(すなわち固相基質およびCD4受容体に結合した標識)を検出することにより行う。
【0036】
該アッセイの形式は、適切な結合検出のための多くの適当な形式のうちのいずれを用いてもよく、たとえばラジオイムノアッセイ形式が挙げられる[オースベルらの前記文献を参照]。CD4受容体産生細胞を固相基質(たとえばマイクロタイタープレートのウエル)に固定し、125Iなどの放射性標識あるいはアルカリホスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼなどのアッセイ可能な酵素によって検出可能に標識されたLCFポリペプチドと反応させるのが好ましい。すなわち、125I標識LCFを細胞に結合させ、その特異的活性のアッセイを行う;特異的結合は過剰の非標識LCFポリペプチドの存在下に行った結合アッセイとの比較により測定される。
別法として、LCFポリペプチド(フラグメントまたはその類縁体)を固相基質に固定(たとえばELISAアッセイ用に細胞を固定する方法と同様の方法を用いてマイクロタイタープレートに固定[オースベルらの前記文献を参照])し、標識rsCD4受容体のLCFへの結合能力を利用して、固定化LCFへのrsCD4受容体の特異的結合を検出することができる。
【0037】
LCF:CD4相互作用の分析に有用なさらに別の方法を以下に具体例を挙げて説明する。この方法では、組換LCF含有大腸菌(E.coli)の粗製上清を10μgのrsCD4とともに4℃で1時間インキュベートを行った。次に、該組換LCF−CD4複合体を、1μgのウサギ抗CD4ポリクローナル抗体とともにインキュベートし、適当な緩衝液で洗浄したプロテインAセファロースビーズに添加した。次いで混合物を4℃で2時間インキュベートし、15%SDS−ポリアクリルアミドゲルシステムに付す前に、TSB(0.01Mトリス、pH8.0、0.14M NaCl、0.025%NaS3)で4回洗浄した。次いでSDS−ゲルで分離したタンパク質をプロブロット(Problott)トランスファーフィルターに移し、ウサギ 抗ペプチドD抗体(1:200希釈)(後記の抗−LCF抗体のセクションも参照)、次いでヤギ 抗ウサギ125I−IgG抗体をプローブとして処理した。
この試験の結果を図4に示す。図4に示されるように、組換LCFとrsCD4の間には特異的な物理的相互作用がある。
【0038】
LCFポリペプチド(あるいはフラグメントまたはその類縁体)の機能について、T4+リンパ球、単球、好酸球などの遊走仲介能力のアッセイを行う。遊走アッセイは、Tリンパ球、単球または好酸球などの適当な細胞のいずれを用いて行ってもよい[クルークシャンク(Cruikshank)らの「J.Immunol.」,128:2569〜2571(1987年);ランド(Rand)らの「J.Exp.Med.」,173:1521〜1528(1992年)の記載を参照]。たとえば、大腸菌またはバキュロウイルス発現系などの発現系(前記)で合成された組換LCFの細胞遊走誘発能力をアッセイする。ひとつの実施例では、修正ボイデン走化性チェンバーを用い、マウス細胞走化性を測定した[クルークシャンクらの「J.Immunol.」,128:2569〜2571を参照]。RPMI1640含有10%FBSに、5×106細胞/mlの濃度で細胞を懸濁した。12μmのニトロセルロース膜を用い、細胞を4時間インキュベートした。次に、該膜をヘマトキシリンで着色し、エタノール、プロパノール、次いで最後にキシレンで連続洗浄を行い脱水し、フィルターを清澄化して細胞を光学顕微鏡でカウントできるようにした。50μm以上遊走した細胞の数をカウントして細胞遊走を定量した。全ての総数を、常に100%に標準化した対照細胞(非刺激)の遊走と比較した。さらに、全サンプルに対して2回ずつ試験を行い、2回の試験それぞれにおいて5つの高検定力領域(high-powered field)をカウントした。図5に大腸菌発現系(前記)が産生したタンパク質の代表的な用量応答曲線を示す。この用量応答曲線からわかるように、組換LCF濃度が10−9Mのときに最大の遊走が誘発され、ED50は10−11Mであった。スチューデントのT検定(または多数回の試験からのデータを集めた場合は、分散修正分析)を用いて統計処理を行ったが、対照細胞の遊走とは統計的に異種であるカウント数(p<0.05)には、星印を付している。大腸菌産生LCFの代わりにバキュロウイスル産生LCFを用いても同様な結果が得られた。
【0039】
溶液中の組換タンパク質間のこのような物理的関連が、組換LCFと細胞表面CD4間の特定の機能的関連に対応することを説明するために、完全あるいは不完全ヒトCD4のいずれかを発現するマウスT細胞ハイブリドーマ細胞系における組換LCFの効果についての試験が行われた(スレックマン(Sleckman)ら,1987年および1988年)。ここでは3つの細胞系が用いられた:CD4を発現しない偽感染細胞系;完全(野生型)CD4発現細胞系;CD4の細胞質尾部の31個の最末端残基が欠失している不完全CD4発現細胞系。CD4の濃度の比較のために、完全CD4またはデルタ13CD4のいずれかを発現する細胞系を選択した。図6に示すように、完全CD4発現細胞は組換LCF刺激に応答して遊走した。CD4欠損細胞またはデルタ13CD4発現細胞は組換LCFに応答しなかった。抗体2C11は偽形質導入細胞系およびデルタ13CD4細胞系に対してそれぞれ198%±4%および192%±3%の遊走応答を誘発するので、これらの細胞はマウスT細胞受容体刺激性遊走に対して応答性があった(図6)。これらの研究から、LCF誘発性の細胞運動性応答が起こるにはCD4が発現されなければならず、また細胞質尾部が必要であることがわかる。
【0040】
LCF応答細胞を同定するために、ヒトT細胞において、LCF刺激に対するCD4特異性を、IL−2Rの発現を用いて実証した。組換LCF(10−8M)の存在下に混合T細胞を24時間および48時間培養し、該細胞中のCD4とIL−2Rの両方の発現を検出するために、この時点で細胞を標識した。図7に示すように、CD4+である細胞のみが、表面発現IL−2Rを増加した。この試験では、CD4+細胞の17%にIL−2Rの増加が見られた。このことは、CD4+細胞に対するLCFの特異性を示すのみならず、組換LCFがCD4+細胞のサブセットにのみ作用することをも示唆している。
【0041】
最後に、組換LCFの分子量篩クロマトグラフィーを行うが、ここでは大部分の化学誘引活性が50〜60kDa領域で溶出することが示される。図8Aおよび図8Bに示されるように、この化学誘引活性のピークは、35S標識組換LCFにおいて同じクロマトグラフィーを行った場合の溶出プロファイルに対応する。14〜18kDa領域に、対応する化学活性のない小さい放射活性ピークが存在した。走化性と放射活性の両方に対するピークフラクション(フラクション13)および放射活性のみを含むフラクション(フラクション17)をSDS−PAGEで展開し、オートラジオグラフィーに付した。各フラクションからのLCFタンパク質は、17.5kDaにおいてシングルバンドとして現れた(図8B)。これらのデータから、生理的条件下ではLCFが非共有的に結合した多量体として優勢に存在するがいくつかのLCFは一量体として存在することが示唆される。しかし、多量体の形体は化学誘引活性をもつと考えられる。
【0042】
LCF:CD4相互作用を阻害する化合物のスクリーニング
上記で論じたように、本発明の一つの態様は、LCFとCD4の間の相互作用を阻害し、該相互作用によって仲介される生理的カスケード反応を妨害または減少させる化合物をスクリーニングすることである。応答を誘発することなくLCFまたはLCF/CD4受容体もしくはCD4受容体に結合する、LCFに対する化学アンタゴニストを用いて、LCFまたは架橋LCFアゴニストもしくは生物学的に活性なLCFポリペプチドフラグメントまたはその類縁体(これらは免疫応答および炎症などのLCF仲介生理的反応を刺激あるいは活性化するために働く)の影響を減少させるかまたは妨害することができる。したがって、本発明は、このような有用な化合物をスクリーニングする方法を提供する。このようなアンタゴニストとしては、架橋LCF、合成LCF、抗−LCF抗体または他の薬剤(たとえば有機化合物)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
すなわち、LCFポリペプチドから、その活性を中和または妨害するのに役立つ化合物を製造することができる。その方法の一例は、LCFポリペプチドの活性部位を同定し、該活性部位内のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換することによってLCFアミノ酸配列中の活性部位を変更することであり、それによって該ペプチドはCD4受容体に対するその結合親和性は失わないけれども、結合しても活性を促進することが不可能となり、LCFの影響を遮断することができる。抗体(モノクローナル抗体など)またはLCFに対する化学アンタゴニストを用いて、LCF活性を遮断、減少あるいは妨害することもできる。このような化学アンタゴニストは、有機化合物またはその他の前述の化合物のいずれでもよく、それらのLCF:CD4仲介生理的反応を妨害する能力を、以下の方法によってアッセイまたはスクリーニングすることができる。
【0044】
該スクリーニング法は、LCFポリペプチド(あるいは適当なフラグメントまたはその類縁体)、および結合を検出しうる形状にしたrsCD4またはCD4受容体発現細胞(たとえばCD4+リンパ球、単球または好酸球など)から構成される。全長LCFポリペプチド(フラグメントまたはその類縁体)およびrsCD4は前述の記載にしたがって生産する。
【0045】
受容体へのLCFの結合アッセイは、適当な方法ならばいずれの方法で行ってもよい(前記参照)。たとえば、前記のように、CD4受容体を発現する細胞(たとえば好酸球)を、固相基質(たとえばマイクロタイタープレートのウェル)に固定し、検出可能に標識したLCFポリペプチド(フラグメントまたはその類縁体)と反応させる。受容体成分に結合した標識(すなわち固相基質に結合した標識)を検出することによって、結合に関するアッセイを行う。標識した全長組換LCFポリペプチドのCD4受容体産生細胞への結合を、アンタゴニストアッセイにおける「対照」として用いる。アンタゴニストアッセイでは、まずCD4受容体産生細胞を適当な量の候補アンタゴニスト(たとえば抗体または有機化合物など)とともにインキュベートする。この混合物に、当量の標識LCFを加える。本発明に有用なアンタゴニストは、標識LCFが固定化受容体産生細胞へ結合するのを妨害する。別の言い方では、アンタゴニストとは、結合することはできても、生物学的応答を活性化しないものである。
【0046】
続いて、所望により、アンタゴニストのLCF機能妨害能力(すなわち、通常全長LCFポリペプチドによって仲介されるシグナル形質導入を起こすことなく標識LCFの結合を特異的に妨害する能力)を試験することもできる。
【0047】
好適な候補アンタゴニストとしては、たとえばポリペプチドFEAW(アミノ酸96〜99におけるPhe−Glu−Ala−Trp)およびRKSLQSKETTAAGDS(アミノ酸116〜130におけるArg−Lys−Ser−Leu−Gln−Ser−Lys−Glu−Thr−Thr−Ala−Ala−Gly−Asp−Ser)[例えば、LCFの配列番号1の類縁体を参照]、および他のペプチドならびに非ペプチド化合物、およびLCF/CD4受容体相互作用の分析から設計または誘導された抗LCFポリペプチド抗体もしくはLCFの一次構造などが挙げられる。
【0048】
抗−LCFポリペプチド抗体
ヒトLCF(あるいはフラグメントまたは類縁体)を用いて、本発明に有用な抗体を産生することができる;このようなポリペプチドは組換またはペプチド合成技術によって生産される(たとえば「固相ペプチド合成」(前記):オースベルら(前記)を参照)。オースベルら(前記)の記載に準じ、該ペプチドをKLHなどの担体タンパク質とカップリングさせる。KLH−ペプチドをフロイントアジュバントと混合し、モルモット、ラットなど、あるいは好ましくはウサギに注射する。ペプチド抗原アフィニティークロマトグラフィーにて抗体を精製する。
【0049】
予測されるアミノ酸配列について、たとえばカイト−ドゥーリトル(Kyte-Doolittle)分析[カイトの「J.Molec.Bio.」,157:105〜132(1982年)を参照]を行うと、4つの主要な親水性領域の存在が示された(図9)。LCFの親水性プロットに基づき、残基3〜11、47〜58、68〜81および115〜130における4つの主要親水性領域(図9において、それぞれA,B,C,Dで表示)の合成ポリペプチドに対するウサギ抗体を生産した。ペプチド特異的ポリクローナル抗血清を各ペプチドに対するELISAによって同定し、次いでプロテインAセファロースクロマトグラフィーによって精製した。このような抗体を用いた一例では、D領域に対して産生された抗体が、194%±7%(平均±S.D.,N=4)〜112%±5%の組換LCF(10−9M)誘発遊走を遮断することが走化性指示計アッセイシステム(前記)において測定された。さらに、抗ペプチドD抗体が、ウエスタンブロッティングに適していることがわかり、図3Aおよび図3Bにおけるタンパク質染色によって観察されたものと同じ17.5kDaバンドが同定された。
別法として、前記LCFポリペプチドおよび標準的ハイブリドーマ法を用いてモノクローナル抗体を生産してもよい[たとえばコーラー(Kohler)ら「Nature」,256:495(1975年);コーラーらの「Eur.J.Immunol.」,6:511(1976年);コーラーらの「Eur.J.Immunol.」,6:292(1976年);ハマーリング(Hammerling)らの「モノクローナル抗体およびT細胞ハイブリドーマ」,エルセヴィア(Elsevier),ニューヨーク(1981年);オースベルらの前記文献を参照]。したがって、一例を挙げると、精製または部分精製したLCF(フラグンメントまたはその類縁体)で免疫感作させることによってマウスのBalb/Cまたはその他の同種株にLCF(フラグンメントまたはその類縁体)に対するモノクローナル抗体を産生させることができる。このようなマウスの脾臓を切除し、そのリンパ球を融合してマウス骨髄腫細胞系が得られる。公知技術によりハイブリッドをスクリーニングした後、LCF(フラグンメントまたはその類縁体)に対する抗体を産生する安定なハイブリッドを分離する。このような抗体の活性は、放射標識されたLCF(たとえば125I−LCF)がCD4受容体へ結合するのを妨害する能力で表わすことができる。したがってLCFの生物学的活性(たとえば前述の細胞遊走など)を妨害するモノクローナル抗体の能力について試験を行う。ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を生産し、その特異的LCFポリペプチド認識について、ウエスタンブロットまたは免疫沈降分析による試験を行う(オースベルらの前記文献に記載の方法によって行う)。LCF(フラグンメントまたはその類縁体)を特異的に認識する抗体が、有用なアンタゴニストとして有望であると考えられる。またこのような抗体は、哺乳動物(たとえばヒト)に産生したLCFポリペプチドの濃度をモニターするイムノアッセイなどに用いることもできる。LCF/CD4受容体の結合またはLCFの仲介する受容体機能に拮抗する抗体は本発明において有用なアンタゴニストである。
【0050】
LCFおよび成長因子を用いる細胞分割の刺激
本発明者らは、組換LCFが細胞受容体(IL−2Rなど)の発現を誘発し、続いて、該受容体産生細胞(T細胞など)をその同種の成長因子(IL−2など)へ応答可能にすることを発見した。ひとつの実施例では、ヒトT細胞を組換LCFで24時間刺激し、この時点で細胞培養物にrIL−2(2U/ml)または抗CD3(OKT3,50ng/ml)を加えた(LCFは10−5M〜10−10Mの濃度範囲を用いたが同じ結果が得られたので、10−8Mのデータを示す)。rIL−2またはOKT3の添加の4日後に、3H チミジンの取り込みを測定して抗体細胞増殖のアッセイを行った。表1に示す3回の実験結果全部を平均し、抗CD3およびrIL−2誘発チミジン取り込みにおける組換LCFの影響を示すと、組換LCFとのプレインキュベーションによってIL−2応答性が増強されることがわかった。ヒトT細胞は組換LCF単独と24あるいは48時間インキュベーションを行った後も3H チミジンの取り込みを増加しないが、組換LCFとrIL−2刺激T細胞とプレインキュベーションを行った後には3H チミジンの取り込みを1079cpmから13818cpmへと増加した。しかし、組換LCF処理細胞培養物において、抗CD3抗体に対する増殖応答は、抗CD3刺激単独時は21257cpmであるが、組換LCF刺激細胞では12047cpmとおよそ50%減少した。
【0051】
このように、該実験においては、得られたヒトT細胞を、T細胞成長因子インターロイキン2で刺激する前に、組換LCFとともに24時間インキュベートした。T細胞を組換LCFとプレインキュベーションすることによって、72時間合成の3H チミジンの取り込み(DNA合成)は、組換LCFまたはrIL−2それぞれ単独の場合のいずれと比較しても5倍程度増加した。T細胞を組換LCFとともにプレインキュベーションすることにより、抗CD3においては引き続いておこるT細胞抗原に応答した3H チミジン取り込みが減少するので、この相乗作用はIL−2に特異的なものであった(抗CD3の応答を参照)。
【0052】
【表1】
*)抗CD3抗体またはrIL−2の添加前に培養物を24時間LCFで刺激した。培養は5日間行った。
【0053】
治療法
過応答性免疫応答および炎症疾患の特に適当な治療剤は、生理的食塩水などの適当な緩衝液剤として製剤した可溶性の前記のアンタゴニストフラグメントである。前記のとおり産生させた抗LCFポリペプチド(フラグメントまたはその類縁体)抗体を治療剤として用いてもよい。該抗体を医薬的に許容しうる緩衝液(生理的食塩水など)剤として投与される。適当ならば、該抗体製剤を適当なアジュバントと組み合わせてもよい。また、本発明方法は、LC4:CD4相互作用を拮抗するのに有用な有機化合物の同定法を提供する。このような化合物を同定し、分離して適当な緩衝液剤に製剤化し、治療剤として用いることができる。
【0054】
さらに、免疫抑制剤として、またはCD4+受容体産生細胞(前記)の増殖を刺激するための治療剤として、LCFまたはLCFアゴニストを利用するための適当な治療剤を、生理的食塩水などの適当な緩衝液剤として製剤化することができる。これらの製剤は、医薬的に許容しうる緩衝液(生理的食塩水など)剤の形態で投与される。
【0055】
通常、該治療用組成物は、非経口で投与され、その投与量は、新規CD4リンパ球集団の活性化を刺激し;アネルギーを誘発して(前記表を参照)移植における拒絶反応を抑制し;および過応答性免疫応答および炎症(喘息など)の緩和するのに有効な量である
【0056】
別の投与形態としては、該治療剤を一次産物の形態またはLCF cDNAを運搬するウイルスベクターの形態において、経口、経鼻、または液剤またはスプレー剤などの局所適用剤で投与してもよい。投与量は上記のとおりである。しかし、上述の疾患のいずれかを治療するための該化合物の投与量は、投与方法、患者の年令および体重、および治療を受ける患者の健康状態に応じて変化し、最終的には担当医または担当獣医によって決定されるものである。このような担当医または担当獣医によって決定される有効化合物の量を「医薬的有効量」と称する。本発明化合物は、哺乳動物、たとえばヒトの患者では0.5μg/kg/日〜5mg/kg/日の範囲の投与量で投与することができる。
【0057】
組換LCFと成長因子(IL−2など)間の相乗効果は、組換LCF(0.5μg/kg/日〜5mg/kg/日)の投与の24時間後に同量のrIL−2を投与する連続投与法によって誘発しうる。
本発明方法を用いて、たとえばヒト、家庭のペットまたは家畜などの哺乳動物における前記疾患を減少することができる。ヒト以外の哺乳動物を治療する場合、使用したLCFポリペプチドまたは抗体はその種に対して特定のものであるのが好ましいが必ずしもそうでなくともよい。
【0058】
その他の具体例
本発明は、LCFポリペプチド(図2の配列番号1)と実質的に相同なタンパク質のすべてを包含する。LCFはヒトT細胞および外分泌すい臓において発現する。LCFはヒト単球細胞系THP−1においても発現する。本発明に包含されるタンパク質としては、対立遺伝子変異体;天然突然変異体;誘発突然変異体;高または低ストリンジェンシー条件下で天然の核酸にハイブリダイズするDNA(たとえば長さが少なくとも40ヌクレオチドのプローブを用い、40℃にて2xSSCで洗浄する)によってコードされるタンパク質[高および低ストリンジェンシーのその他の定義は、「カレント・プロトコルズ・イン・モレキュラー・バイオロジー」,ジョン・ウイリー・アンド・サンズ、ニューヨーク(1989年)を参照];および抗血清によってLCFポリペプチドに結合したポリペプチドまたはタンパク質(特にLCFポリペプチドの活性部位または結合ドメインに特異的に結合したもの)が挙げられる。LCFポリペプチドを含むキメラポリペプチドも本発明に包含される。実質的に全長のポリペプチドに加えて、本発明には該ポリペプチドの生物学的に活性なフラグメントも包含される。本明細書中で用いる語句「フラグメント」とは、ポリペプチドに適用される場合、通常少なくとも約残基、より特徴的には少なくとも約40残基、好ましくは少なくとも約60残基の長さのものを意味する。LCFポリペプチドのフラグメントは当業者に公知の方法で生産することができる。候補フラグメントの、LCFポリペプチドの生物学的活性を示す能力は、本明細書に記載されている当業者に公知の方法によって評価できる。該ポリペプチド中の生物学的活性を示すために必要ではない残基などの、該ペプチドの生物学的活性を示すために必要ではない残基を含有するLCFポリペプチド、または別法のmRNAスプライシングまたは別法のタンパク質プロセシングから得られる残基を含有するLCFポリペプチドも本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1はヒトTリンパ球から調製した全細胞性RNA由来のLCFのノーザン分析を示す。エチジウムブロマイド染色により可視化した18Sおよび28SRNAの位置を、各々の矢印で示す。
【図2】図2はLCF−AcDNAのヌクレオチド配列(配列番号2)およびコード化タンパク質の推定アミノ酸配列(配列番号1)を示す。ヌクレオチドは、cDNAの最初のヌクレオチドで始まって左端から番号が付されている。ポリA末端は、最後の指示ヌクレオチド(2152)の直後に始まり、除去される。推定LCFコード配列の翻訳は、Metで始まる対応するヌクレオチド配列の下に示されている。各アミノ酸は連続して番号が付されている。Asn残基(アミノ酸残基5)は、有効なグリコシル化部位を示す(点線で示す)。2個の候補ポリアデニル化シグナル配列に下線を引いている。
【図3A】図3Aおよび図3Bは、E.コリ中で発現した組換LCFおよびLCFcDNAから合成されたRNAのウサギ網状赤血球細胞インビトロ翻訳のSDS−PAGEを示す。図3Aは、15%SDS−PAGEに流し、続いてクマーシーブルー染色した組換LCFタンパク質を示す。図3Aにおいて、レーンAは、LCFタンパク質を発現するように誘発したE.コリの粗上清を示し、レーンBは、ニッケルアフィニティクロマトグラフィーで精製したポリヒスチジンリンカーと結合した融合タンパク質として産生されたLCFタンパク質を示し、レーンCは第Xa因子開裂後のLCFを示す。17.5kDaのバンドをブロットし、切除し、N−末端アミノ酸配列決定に付した。
【図3B】図3Aおよび図3Bは、E.コリ中で発現した組換LCFおよびLCFcDNAから合成されたRNAのウサギ網状赤血球細胞インビトロ翻訳のSDS−PAGEを示す。図3Bは、LCFcDNAのウサギ網状赤血球インビトロ翻訳を示す:ウサギ網状赤血球で翻訳されたLCFcDNAの35S−標識タンパク質生産物を、15%SDS−PAGEに流した。図3Bにおいて、レーンAは、非グリコシル化条件で翻訳されたLCFタンパク質を示し、レーンBは、グリコシル化条件下で翻訳されたLCFを示す。
【図4】図4は、rsCD4による組換LCFの免疫沈降を示す。図4において、レーン1は、組換LCF10μgを示す;レーン2は、ウサギポリクローナル抗−CD4抗体10μgと免疫沈降させたrsCD4 50μgとインキュベーションした組換LCFを示す;レーン3は、ポリクローナル抗−CD4抗体と免疫沈降させたrsCD4 10μgとインキュベーションした組換LCFを示す;レーン4は、ウサギポリクローナル抗−IgG(10μg)と免疫沈降させたrsCD4(10μg)とインキュベーションした組換LCFを示す;レーン5は、rsCD4とインキュベーションし、モノクローナル抗−CD4(10μg)と免疫沈降させた組換LCFを示す;レーン6は、rsCD4とインキュベーションし、モノクローナル抗CD8抗体(10μg)と免疫沈降させた組換LCFを示す;およびレーン7は、モノクローナル抗−CD8抗体とインキュベーションしたrsCD4(10μg)を示す。
【図5】図5は、ヒト末梢血Tリンパ球のLCF誘発走化性の用量依存曲線を示す。図5において、星印(*)はp<0.05の統計的有意性を示す(対照細胞遊走からのスチューデントのt検定を使用)。
【図6】図6は、マウスT細胞ハイブリドーマ細胞におけるLCF誘発走化性を示す。野生型CD4(13.13)、切断CD4(デルタ−13)またはCD4発現を欠く疑似感染細胞(155.16)のいずれかを発現するマウス細胞系は、組換LCF(10−9M)(白抜き棒)または2C11抗体(10μg/ml)(横縞棒)により促進され、移動反応を定量した。100倍過剰の抗−CD4 Fabフラグメント(10μg/ml)の存在下で組換LCFにより刺激された細胞をも示す(黒塗り棒)。細胞遊走は、10個の高検定力領域±S.D.の平均として示す。対照細胞遊走(100%とする)と有意に異なる(スチューデントt検定でp<0.05)遊走は星印により示す。
【図7】図7は、FACs分析を使用した、CD4+ヒトT細胞に対する組換LCFの特異性を示す。2×106ヒトTリンパ球を、10−8M組換LCFの存在下、24時間および48時間培養した。フィコエリトリン−結合抗−CD4抗体およびフルオレセイン−結合抗−IL−2R抗体で2重標識した細胞を、ベクトン・ディキンソン・FACスキャンフローサイトメーターで分析した。組換LCFは、48時間で、対照レベルの3%(最上図)から17%(最下図)のCD4+/IL−2R+細胞の増大を誘発する。24時間時点で、細胞の9%増大を示した。どの時点でも、CD4−細胞は、IL−2R発現の増加を示さなかった。これは、3種の異なった実験の代表的FACs分析である。他の実験は、48時間の時点で、細胞の15%および19%のIL−2R+細胞の増加を示した。
【図8A】図8Aおよび図8Bは、生理的条件下で組換LCFの凝集を示す。図8Aは、35S−標識組換LCFの分子篩HPLCを示す(リン酸緩衝化食塩水、pH8.0中で流した)。フラクションを集め、シンチレーション計数により分析した(白四角)。平行サンプルを集め、リンパ球走化性の誘発を試験した(黒四角)。
【図8B】図8Aおよび図8Bは、生理的条件下で組換LCFの凝集を示す。図8BのレーンAおよびレーンBは、それぞれ、SDS−PAGEで分離した後の、放射活性および細胞遊走の両方のピークフラクション(図8Aに記載のフラクション13)並びに対応する化学誘引活性を有しない放射活性の2番目ピーク(図8Aのフラクション17)のオートラジオグラムを示す。
【図9】図9は、キートおよびドーリトル(キートら、J.Molec.Biol. 157:105-132(1982))の方法で予想した組換LCFの親水性プロットを示す。ペプチドを合成し、ウサギ抗−ペプチド特異的抗血清を、A、B、C、Dと名付けた4つの主要な親水性領域について産生させた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸115−130または116−130からなる配列番号1のフラグメント。
【請求項2】
アミノ酸115−130からなる配列番号1のフラグメント。
【請求項1】
アミノ酸115−130または116−130からなる配列番号1のフラグメント。
【請求項2】
アミノ酸115−130からなる配列番号1のフラグメント。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公開番号】特開2009−149651(P2009−149651A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330880(P2008−330880)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【分割の表示】特願平7−500734の分割
【原出願日】平成6年5月16日(1994.5.16)
【出願人】(595094600)トラスティーズ オブ ボストン ユニバーシティ (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【分割の表示】特願平7−500734の分割
【原出願日】平成6年5月16日(1994.5.16)
【出願人】(595094600)トラスティーズ オブ ボストン ユニバーシティ (37)
【Fターム(参考)】
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