説明

リン含有α−アミノ酸の製造法およびその製造中間体としてのリン含有ニトロ誘導体

【課題】除草剤D,L−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−ブタン酸を穏和な反応条件で、塩などの副生物が大量に生成することなく、安価に、良好な収率で、製造する方法を提供する。
【解決手段】次式(3)


[式中、Rはアルキル基、クロロエチル基を表し、Rはアルキル基を表す]の化合物のニトロ基を還元することによってアミノ基に変換した後、さらにリン酸エステルおよびカルボン酸エステルを加水分解して脱保護することを含んでなる、D,L−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−ブタン酸の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除草剤として有用であるD,L−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−ブタン酸(略記:DL-AMPB)の製造法およびその製造中間体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
DL-AMPBは、除草活性を有する公知化合物であり、広範囲スペクトルを有する有効な除草剤として使用されている(特許文献1)。
【0003】
従来、DL−AMPBの製造法としては、多数の方法が報告されている(Helv.Chim.Acta 55, 229(1979)、特開昭48−9109、Rocz.Chem.49, 2127(1975)、特開昭52−139727、特開昭54−84529、特開昭54−154715、特開昭55−20714、特開昭55−64595、特開昭55−120590、特開昭58−131993、特開昭59−184196、特開昭63−122694、特開平2−184692、特表2001−515084)。しかし、これらの方法は(1)低収率である、(2)高価な原料および中間体を使用している、(3)大量の塩が生成する、(4)毒性の高い試薬を用いている、(5)高温、高圧の反応条件を必要とし取り扱いが難しい、などの問題点がある。
【0004】
ニトロ酢酸エステルが不飽和カルボン酸エステルに付加することはすでに知られている(Synthesis 833 (1988))。しかし、ニトロ酢酸エステルのメチルビニルホスフィン酸エステル類への付加反応は報告例がない。
【特許文献1】特開昭48−9109号公報
【特許文献2】特開昭52−139727号公報
【特許文献3】特開昭54−84529号公報
【特許文献4】特開昭54−154715号公報
【特許文献5】特開昭55−20714号公報
【特許文献6】特開昭55−64595号公報
【特許文献7】特開昭55−120590号公報
【特許文献8】特開昭58−131993号公報
【特許文献9】特開昭59−184196号公報
【特許文献10】特開昭63−122694号公報
【特許文献11】特開平2−184692号公報
【特許文献12】特表2001−515084号公報
【非特許文献1】Helv.Chim.Acta 55, 229(1979)
【非特許文献2】Rocz.Chem.49, 2127(1975)
【非特許文献3】Synthesis 833 (1988)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、除草剤として有用であるDL−AMPBを穏和な反応条件で、塩などの副生物が大量に生成することなく、安価に、良好な収率で、製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、ニトロ酢酸エステルとメチルビニルホスフィン酸エステルのマイケル付加反応において反応条件の検討を行った結果、塩基存在下、良好な収率でDL−AMPBの前駆化合物であるリン含有ニトロ中間体が得られてくることを見出した。さらに、このリン含有ニトロ中間体はニトロ基を還元し、カルボン酸およびリン酸の保護基を脱保護することにより効率良くDL−AMPBに変換できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は、以下の通りである。
DL−AMPBの製造において用いられる新規な中間体として
次式(3)
【化1】


[式中、RはC1−4アルキル基、クロロエチル基、アリールメチル基または、置換アリールメチル基を表し、RはC1−4アルキル基、アリールメチル基または、置換アリールメチル基を表す]で表される化合物を提供する。
【0008】
そして次式(1)
【化2】


[式中、Rは、式(3)で定義したことと同一の意味を表す]で表される化合物を塩基の存在下、次式(2)
【化3】


[式中、Rは、式(3)で定義したことと同一の意味を表す]で表される化合物と反応させることを含んでなる、式(3)で表される化合物の製造方法を提供する。
【0009】
さらにまた本発明によれば、
次式(4)
【化4】


で表される2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)ブタン酸の製造方法であって、式(3)の化合物のニトロ基を還元することによってアミノ基に変換した後、さらにリン酸エステルおよびカルボン酸エステルを加水分解して脱保護することを含んでなる、方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の中間体及びそれらを用いた製造法により除草剤として有用であるDL−AMPBを製造することができる。本発明の製造法は、従来の製造法に比べて穏和な条件で、副生物が大量に生成することなく、良好な収率で安価に合成できる方法として優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
式(1)〜式(3)で表される化合物においてR、Rで示される基について説明する。
【0012】
RおよびRが表す基または基上のC1−4アルキル基は炭素数1〜4の直鎖または分岐状のアルキル基を意味し、より具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。
【0013】
R、およびRが表すアリールメチル基とは、1〜3個のアリール基によって置換されているメチル基を意味し、より具体的にはベンジル基、ジフェニルメチル基、フルオレニル基、トリフェニルメチル基などが挙げられ、好ましくはベンジル基である。
【0014】
R、およびRが表す基または基上の置換アリールメチル基とは、ベンゼン環上の1以上の水素原子、好ましくは1〜3個の水素原子が置換されていることを意味し、具体的な置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの直鎖または分岐状のC1−4アルキル基、フッ素基、クロル基、ブロム基などのハロゲン原子、メトキシ基などのC1−4アルコキシ基が挙げられる。
【0015】
式(1)の化合物において、Rは、好ましくはC1−4アルキル基またはクロロエチル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基または、クロロエチル基である。
【0016】
式(1)で表される化合物の具体例としては、
メチルビニルホスフィン酸 メチルエステル、
メチルビニルホスフィン酸 エチルエステル、
メチルビニルホスフィン酸 クロロエチルエステル、
メチルビニルホスフィン酸 n−プロピルエステル、
メチルビニルホスフィン酸 i−プロピルエステル
メチルビニルホスフィン酸 n−ブチルエステル、
メチルビニルホスフィン酸 sec−ブチルエステル、
メチルビニルホスフィン酸 t−ブチルエステル、
メチルビニルホスフィン酸 ベンジルエステル、
メチルビニルホスフィン酸 ジフェニルメチルエステル、
メチルビニルホスフィン酸 トリフェニルメチルエステル、
メチルビニルホスフィン酸 p−トリルエステル、
メチルビニルホスフィン酸 p−クロロベンジルエステル、
メチルビニルホスフィン酸 p−メトキシベンジルエステル、
が挙げられ、好ましくは、メチルビニルホスフィン酸 メチルエステル、メチルビニルホスフィン酸 クロロエチルエステル、およびメチルビニルホスフィン酸 エチルエステルである。
【0017】
式(1)の化合物は、Zh.Obshch.Khim. 41, 2634 (1971)、J.Prakt.Chem.318,157(1976)、DAS2344332、Bull.Chem.Soc.Japan 60, 1761 (1987)に記載されている方法により合成することができる。
【0018】
式(2)の化合物において、Rは、好ましくはC1−4アルキル基であり、より好ましくはメチル基またはエチル基である。
【0019】
式(2)で表される化合物の具体例としては、
ニトロ酢酸メチルエステル、
ニトロ酢酸エチルエステル、
ニトロ酢酸n−プロピルエステル、
ニトロ酢酸i−プロピルエステル、
ニトロ酢酸n−ブチルエステル、
ニトロ酢酸sec−ブチルエステル、
ニトロ酢酸t−ブチルエステル、
ニトロ酢酸ベンジルエステル、
ニトロ酢酸ジフェニルメチルエステル、
ニトロ酢酸トリフェニルメチルエステル、
ニトロ酢酸p−トリルエステル、
ニトロ酢酸p−クロロベンジルエステル、
ニトロ酢酸p−メトキシベンジルエステル
が挙げられ、好ましくは、ニトロ酢酸メチルエステルおよびニトロ酢酸エチルエステルである。
【0020】
式(3)の化合物において、Rは、好ましくはC1−4アルキル基または、クロロエチル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基または、クロロエチル基であり、Rは、好ましくはC1−4アルキル基であり、より好ましくはメチル基またはエチル基である。
【0021】
式(3)の化合物の具体例としては、以下に示す化合物が挙げられる。
【0022】
【化5】

【0023】
【化6】

【0024】
【化7】

【0025】
式(2)の化合物は、J.Prakt.Chem.,81,97(1910)、Justus LiebigsAnn.Chem.,434,21(1923)、J.Am.Chem.Soc.,71,3078(1949)、J.Org.Chem.,25,266(1960)、Org.Synth.55, 77(1976)に記載されている方法により合成することができる。また、市販の化合物を利用することもできる。
【0026】
また別の好ましい態様としては、2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)ブタン酸の製造方法であって、式(1)の化合物を塩基の存在下、式(2)の化合物と反応させることによって式(3)の化合物を得た後、式(3)の化合物のニトロ基を還元することによってアミノ基に変換し、さらにリン酸エステルおよびカルボン酸エステルを加水分解して脱保護することを含んでなる、方法が提供される。
【0027】
式(1)の化合物と式(2)の化合物から式(3)の化合物を製造する方法において用いられる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性有機溶媒、メタノールなどの炭素数1〜4のアルカノール溶媒、アセトニトリルまたは水等が挙げられ、好ましくは、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフランである。
【0028】
用いられる塩基としては、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、カリウムt−ブトキサイド、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムフルオライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムフルオライド、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウムなどが挙げられ、フッ化金属を用いるときは4級アンモニウム塩あるいはクラウンエーテルなどの添加物を使用する。ここで使用される4級アンモニウム塩としては例えば、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムフルオライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムフルオライドなどが挙げられ、クラウンエーテルとしては例えば12−クラウン4−エーテル、15−クラウン5−エーテル、18−クラウン6−エーテル、24−クラウン8−エーテルなどが挙げられる。好ましい塩基としてはDBU、DBNが挙げられる。
【0029】
塩基として水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、カリウムt−ブトキサイド、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムフルオライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムフルオライドを使用する場合、その使用量は式(2)の化合物の量を基準にして0.01〜0.5当量用い、好ましくは0.05〜0.3当量である。式(1)で表される化合物の使用量は好ましくは、式(2)の化合物の量を基準にして1.0〜1.5当量を用いる。反応温度としては0〜100℃で、好ましくは10〜60℃の範囲で行われる。反応時間は通常30分〜24時間、好ましくは1時間〜10時間の範囲で行われる。
【0030】
塩基としてフッ化金属と4級アンモニウム塩、クラウンエーテルなどの添加物用いる場合は、フッ化金属の使用量は式(2)の化合物の量を基準にして0.2〜3.0当量用い、好ましくは0.5〜2.0である。4級アンモニウム塩、クラウンエーテルの使用量は0.01〜1.0当量用い、好ましくは0.1〜0.5当量である。反応温度としては0〜100℃で、好ましくは20〜60℃の範囲で行われる。反応時間は通常30分〜24時間、好ましくは1時間〜10時間の範囲で行われる。
【0031】
反応終了後、反応液を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより式(3)の化合物を単離することができる。
【0032】
式(3)の化合物から式(4)の化合物を製造する方法において、ニトロ基を還元してアミノ基に変換する工程で用いられる還元剤としては水素化ホウ素ナトリウム/塩化ニッケル、水素化ホウ素ナトリウム/塩化コバルト、鉄、硫酸鉄、水素およびパラジウム−炭素、パラジウムブラック、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケルなどのような接触水素還元触媒などが挙げられ、好ましくは水素およびパラジウム−炭素である。この反応で用いられる溶媒としては塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メタノールなどの炭素数1〜4のアルカノール溶媒、水、酢酸、塩酸またはこれらの2種類以上の溶媒の組み合わせなどが挙げられる。還元剤として水素化ホウ素ナトリウム/塩化ニッケル、水素化ホウ素ナトリウム/塩化コバルトを用いる場合にはメタノールなどの炭素数1〜4のアルカノール溶媒が好ましく、鉄あるいは硫酸鉄を用いる場合には酢酸、塩酸などの溶媒が好ましく、水素と接触水素還元触媒を用いる場合には水と酢酸の混合溶媒が好ましい。還元剤の使用量は式(3)の化合物を基準にして、水素化ホウ素ナトリウム/塩化ニッケル、水素化ホウ素ナトリウム/塩化コバルトを用いる場合は1〜3当量用いることが挙げられ、鉄、硫酸鉄を用いる場合には2〜5当量用いることが挙げられ、水素と接触水素還元触媒を用いる場合には1〜50wt%用いることが挙げられ、好ましくは5〜30wt%である。反応温度は0〜120℃、好ましくは10〜100℃の範囲であり、反応時間は1〜28時間、好ましくは4〜24時間の範囲である。
【0033】
式(3)の化合物のニトロ基をアミノ基に還元した後にリン酸エステルおよびカルボン酸エステルを脱保護し、式(4)の化合物を製造する工程において、用いられる脱保護剤としては塩酸、硫酸などの鉱酸が挙げられ溶媒としては水が挙げられる。酸の濃度は通常、塩酸を用いる場合には6〜12Nであり、硫酸を用いる場合には2〜18Nの範囲である。反応温度は20〜150℃、好ましくは50〜120℃の範囲であり、反応時間は1〜12時間、好ましくは2〜8時間の範囲である。
【0034】
また、式(3)の化合物から式(4)の化合物を製造する方法において、式(3)のRあるいはRがアリールメチル基、置換アリールメチル基である場合、水素と接触水素還元触媒を用いることにより、ニトロ基の還元反応とエステル基の脱保護を同時に行うことが可能である。ここで用いられる接触水素還元触媒としてはパラジウム−炭素、パラジウムブラック、水酸化パラジウム、酸化白金などが挙げられる。溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルカノール溶媒、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ギ酸、酢酸、塩酸、水およびこれら2種以上の溶剤の組み合わせなどが挙げられ、好ましくは、メタノール、エタノール、酢酸、水およびこれら2種以上の溶剤の組み合わせが挙げられる。接触水素還元における触媒の使用量は原料を基準に1〜50wt%用いることが挙げられ、好ましくは5〜30wt%である。反応温度は、0〜40℃であり、好ましくは10〜30℃である。反応時間は、2〜15時間であり、好ましくは4〜12時間である。
【0035】
式(4)の化合物は常法に準じ、例えばイオン交換樹脂(Dowex(登録商標) 1X2 Ac、200-400mesh:溶離液10%酢酸水溶液)を用いて単離精製することができる。
【実施例】
【0036】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
実施例1 2−ニトロ−4−(メトキシメチルホスフィニル)−ブタン酸 エチルエステルの製造
メチルビニルホスフィン酸メチルエステル360mg、ニトロ酢酸エチルエステル266mgをトルエン4mlに溶かした溶液にDBU30mgを加え、60℃で8時間攪拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)にて精製することにより、目的とする標題の化合物319mgを粘性なオイルとして得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.32(3H, t, J=7.0Hz), 1.51(3H, d, J=13.9Hz), 1.76-1.93 (2H, m), 2.44-2.58(2H, m), 3.73(3H, dd, J=2.9, 11.0Hz), 4.31(2H, dq, J=1.2, 7.0Hz), 5.28(1H, dt, J=8.5, 5.6Hz).
FABMASS:m/z 254 [M+H]
【0038】
実施例2 2−ニトロ−4−(メトキシメチルホスフィニル)−ブタン酸 エチルエステルの製造
メチルビニルホスフィン酸メチルエステル360mg、ニトロ酢酸エチルエステル266mgをトルエン4mlに溶かした溶液にフッ化カリウム116mg、テトラブチルアンンモニウムブロマイド322mgを加え、60℃で8時間攪拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)にて精製することにより、目的とする標題の化合物213mgを粘性なオイルとして得た。
FABMASS:m/z 254 [M+H]
【0039】
実施例3 2−ニトロ−4−(メトキシメチルホスフィニル)−ブタン酸 エチルエステルの製造
メチルビニルホスフィン酸メチルエステル360mg、ニトロ酢酸エチルエステル266mgをトルエン4mlに溶かした溶液にフッ化カリウム116mg、18−クラウン−6、264mgを加え、60℃で8時間攪拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)にて精製することにより、目的とする標題の化合物194mgを粘性なオイルとして得た。
FABMASS:m/z 254 [M+H]
【0040】
実施例4 DL−2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−ブタン酸の製造
2−ニトロ−4−(メトキシメチルホスフィニル)−ブタン酸 エチルエステル240mg、水5ml、酢酸2mlの溶液に10%Pd−C 40mgを加え水素雰囲気下、室温で23時間攪拌した。Pd−Cをろ別し、ろ液を濃縮した。得られた残渣に濃塩酸5mlを加え、100℃で6時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣にプロピレンオキサイド 1mlを加え1時間攪拌した。減圧濃縮後、得られた残渣をイオン交換樹脂(Dowex 1X2 Ac、200-400mesh:溶離液20%酢酸水溶液)にて精製し、目的とする標題の化合物153mgを固体として得た。
1H-NMR(D2O)δ:1.23 (3H, d, J=13.6Hz), 1.53-1.73 (2H, m), 1.93-2.04 (2H, m), 3.84 (1H, t, J=6.3Hz).
APIMASS:m/z 182 [M+H]

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(3)で表される化合物:
【化1】


[式中、RはC1−4アルキル基、クロロエチル基、アリールメチル基または、置換アリールメチル基を表し、RはC1−4アルキル基、アリールメチル基または、置換アリールメチル基を表す]。
【請求項2】
請求項1に記載の式(3)の化合物を製造する方法であって、次式(1)
【化2】


[式中、Rは、式(3)で定義したことと同一の意味を表す]で表される化合物を塩基の存在下、次式(2)
【化3】


[式中、Rは、式(3)で定義したことと同一の意味を表す]の化合物と反応させることを含んでなる、方法。
【請求項3】
次式(4)
【化4】


で表される2−アミノ−4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)ブタン酸の製造方法であって次式(3)
【化5】


[式中、RおよびRは、請求項1に記載の式(3)で定義したことと同一の意味を表す]で表される化合物のニトロ基を還元することによってアミノ基に変換した後、さらにリン酸エステルおよびカルボン酸エステルを加水分解して脱保護することを含んでなる、方法。

【公開番号】特開2009−23942(P2009−23942A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188396(P2007−188396)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000006091)明治製菓株式会社 (180)
【Fターム(参考)】