説明

リーク調査システム

【課題】 圧縮空気などのリークを適正かつ迅速に改修することを可能にする。
【解決手段】 電力で駆動して圧縮空気を供給するコンプレッサ2と、圧縮空気の漏洩を検知するリークディテクター3とが通信可能に接続され、コンプレッサ2は、消費電力を計量するメータ23を備え、メータ23による計量結果をリークディテクター3に送信し、リークディテクター3に、圧縮空気の漏洩により発生する音波を検知する検知部31と、コンプレッサ2から受信した計量結果を表示する操作表示部32と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧縮空気などのリーク・漏洩を調査するリーク調査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、生産施設では、コンプレッサで圧縮された空気が、多数のエア配管が接続された配管系を流れて、各生産ラインで使用される。このような圧縮空気関連設備に関する省エネルギー対策は、圧縮空気の供給側であるコンプレッサと、使用側である配管系やエアガンなどとに対して行う必要がある。すなわち、エア配管等で圧縮空気のリークがあると、コンプレッサの負荷が大きくなり、消費電力量が増える結果となる。このような使用側でのリークは、コンプレッサからの供給量の1、2割とも言われ、省エネルギー対策としてリーク個所を改修する必要がある。
【0003】
このため、配管系などにおいて、圧縮空気のリークを調査するリーク調査業務が行われ、このリーク調査業務では、リークディテクターを使用して、リーク箇所および漏洩量を特定している(例えば、特許文献1参照。)。このリークディテクターには、例えば、圧縮空気がエア配管等からリークする際に、リーク箇所で発生する音波を調べるものがある。そして、リーク調査業務によりリーク箇所が発見された場合には、その改修を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−294573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、調査対象の生産施設などは広大で、リーク箇所は分散して発見され、しかも、リーク箇所とコンプレッサとが遠く離れている場合が多い。さらには、リークの改修には、時間と労力とを要する。このため、個々のリーク箇所を改修しても、その効果、つまりコンプレッサの消費電力の低下を、リアルタイムに知得することができない。すなわち、あるリーク箇所を改修した場合に、供給側であるコンプレッサの改修前後の運転状況が、その場で即座にはわからない。このため、改修した効果があるのか、どの程度改修すればよいのか、等がわからず、適正かつ迅速な改修が困難であった。
【0006】
そこでこの発明は、圧縮空気などのリークを適正かつ迅速に改修することを可能にするリーク調査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、調電力で駆動して流体を供給する流体供給装置と、流体の漏洩を検知するリーク検知器とが通信可能に接続され、前記流体供給装置は、消費電力を計量する計量手段を備え、前記計量手段による計量結果を前記リーク検知器に送信し、前記リーク検知器に、流体の漏洩により発生する音波を検知する検知手段と、前記流体供給装置から受信した計量結果を表示する検知器側表示手段と、を備える、ことを特徴とするリーク調査システムである。
【0008】
この発明によれば、計量手段によって流体供給装置の消費電力が計量され、その計量結果がリーク検知器に送信される。そして、リーク検知器において、検知器側表示手段によって流体供給装置の消費電力が表示されるとともに、検知手段によって流体の漏洩が検知される。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のリーク調査システムにおいて、前記リーク検知器は、前記検知手段による検知結果を前記流体供給装置に送信し、前記流体供給装置は、前記リーク検知器から受信した検知結果を表示する装置側表示手段を備える、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のリーク調査システムにおいて、前記検知手段は、前記検知された音波に基づいて漏洩量を算出し、前記リーク検知器に、前記流体供給装置の容量や特性などの仕様を記憶した仕様記憶手段と、前記検知手段で算出された漏洩量と、前記仕様記憶手段に記憶された仕様と、前記流体供給装置から受信した計量結果とに基づいて、前記漏洩量の漏洩がない場合の前記流体供給装置の消費電力を推定する推定手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、リーク検知器において、検知手段によって、流体の漏洩が検知されるとともに、その漏洩量が算出される。続いて、算出された漏洩量と、流体供給装置の容量や特性などと、流体供給装置の消費電力とに基づいて、推定手段によって、漏洩がない場合の流体供給装置の消費電力が推定される。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリーク調査システムにおいて、前記流体供給装置を複数備え、前記リーク検知器に、前記各流体供給装置から流体が供給される供給経路を記憶した経路記憶手段と、前記検知手段が前記音波を検知した際の漏洩位置を割り出す位置検出手段と、前記位置検出手段で割り出された漏洩位置と、前記経路記憶手段に記憶された供給経路とに基づいて、前記漏洩位置に流体を供給している流体供給装置を割り出し、割り出した流体供給装置に対して前記計量結果の送信指令を送信する装置割出手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、リーク検知器において、検知手段で流体の漏洩が検知されると、位置検出手段によってその漏洩位置が割り出される。続いて、割り出された漏洩位置と、各流体供給装置から流体が供給される供給経路とに基づいて、装置割出手段によって、漏洩位置に流体を供給している流体供給装置が割り出され、その流体供給装置に対して計量結果の送信指令が送信される。これを受けて、流体供給装置の消費電力がリーク検知器に送信され、リーク検知器において、その消費電力が表示される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、流体の漏洩を検知するリーク検知器において、流体供給装置の消費電力が表示されるため、漏洩が見つかった際(改修前)の流体供給装置の消費電力や、改修後の流体供給装置の消費電力などを、リアルタイム・即座に知得することが可能となる。この結果、改修した効果があるのか、どの程度改修すればよいのか、などがリアルタイム・即座にわかり、適正かつ迅速に改修することが可能となる。
【0015】
請求項2の発明によれば、流体供給装置の装置側表示手段に、リーク検知器による流体漏洩の検知結果が表示されるため、流体供給装置側において、流体の漏洩があること、つまり無駄な電力消費があることをリアルタイム・即座に知得することが可能となる。この結果、流体供給装置側において、必要な措置・改修を適正かつ迅速に行うことが可能となる。
【0016】
請求項3の発明によれば、流体の漏洩が検知された場合に、漏洩がない場合の流体供給装置の消費電力が推定されるため、改修による効果をリアルタイム・即座に予測することができ、改修を促進できるとともに、改修箇所の優先順位などを付けて、より適正かつ迅速な改修を行うことが可能となる。
【0017】
請求項4の発明によれば、漏洩位置に流体を供給している流体供給装置が割り出され、この流体供給装置に対して計量結果の送信指令が送信されて、その流体供給装置の消費電力がリーク検知器に表示される。このように、複数の流体供給装置が存在する場合であっても、漏洩位置に対応した流体供給装置の消費電力が表示されるため、適正かつ迅速な改修を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態に係るリーク調査システムを示す図である。
【図2】図1のシステムのコンプレッサの概略構成ブロック図である。
【図3】図1のシステムのリークディテクターの外観図である。
【図4】図3のリークディテクターの概略構成ブロック図である。
【図5】図4のリークディテクターの推定タスクのフローチャートである。
【図6】図3のリークディテクターで印刷されたラベルが、リーク札に貼り付けられた状態を示す図である。
【図7】図1のシステムの作用を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0020】
図1は、この実施の形態に係るリーク調査システム1を示す。このリーク調査システム1は、圧縮空気(流体)のリーク・漏洩を調査するシステムであり、この実施の形態では、生産施設において圧縮空気のリークを調査する場合を例にして説明する。このリーク調査システム1は、複数のコンプレッサ(流体供給装置)2とリークディテクター(リーク検知器)3とが通信可能に接続されている。
【0021】
コンプレッサ2は、電力で駆動して圧縮空気を生成、供給する装置であり、図2に示すように、主として、圧縮機本体21と、コントローラ22と、メータ(計量手段)23と、表示部(装置側表示手段)24と、通信部25と、これらを制御などするCPU26とを備えている。
【0022】
圧縮機本体21は、気体・空気を圧縮して吹き出すコンプレッサ2の主要部で、レシプロ式やダイアフラム式などいずれの方式のものでもよく、また、定速機およびインバータ機のどちらでもよい。コントローラ22は、圧縮機本体21を制御するものであり、この実施の形態では、圧縮空気の圧力が設定圧力になるように圧縮機本体21を制御する機能を備えている。このため、後述するように、リーク箇所が改修された場合に、漏洩量分だけ自動的に圧縮機本体21からの供給量・吐出量が減るようになっている。
【0023】
メータ23は、圧縮機本体21による消費電力を計量する電力量計であり、常時、リアルタイムに消費電力を計量するようになっている。表示部24は、通信部25を介してリークディテクター3から受信した検知結果や、メータ23による計量結果・消費電力などを表示するディスプレイである。通信部25は、通信網(図示せず)を介してリークディテクター3と通信するための通信装置であり、通信網には、有線、無線を含む。
【0024】
このようなコンプレッサ2が生産施設に複数設置され、複数の配管20を介して、各生産ラインの機器、装置などに接続されている。また、各コンプレッサ2には識別情報が付され、識別情報が付加された情報・データが、リークディテクター3から送信されることで、該当するコンプレッサ2が受信、処理するようになっている。そして、後述するようにしてリークディテクター3から計量結果の送信指令が送信されると、受信したコンプレッサ2からリークディテクター3に対して、メータ23による計量結果をリークディテクター3に常時、リアルタイムに送信するものである。ここで、常時送信せずに、リークディテクター3からの送信指令を受けるたびに、計量結果を送信するようにしてもよい。
【0025】
リークディテクター3は、圧縮空気のリークを検知・探知する装置であり、図3に示すように、略メガホン形で、把持部301を把持することで、調査者Mが片手で持てるようになっている。このリークディテクター3は、図4に示すように、主として、検知部(検知手段)31と、操作表示部(検知器側表示手段)32と、通信部33と、GPS部(位置検出手段)34と、プリンタ35と、仕様メモリ(仕様記憶手段)36と、経路メモリ(経路記憶手段)37と、推定タスク(推定手段)38と、装置割出タスク(装置割出手段)39と、これらを制御などする中央処理部30とを備えている。
【0026】
検知部31は、圧縮空気のリークにより発生する音波を検知することで、リークを検知するものである。具体的には、集音部302によって、リーク箇所から発生する超音波を集音して一点に集め、集音部302で集められた超音波を音波センサ303が受信すると、受信した超音波に応じた電気信号である音波信号を生成する。次に、音波信号を増幅等し、増幅後の音波信号の大きさを表すとともに、音波信号の大きさに基づいて算出した漏洩量を含む検知信号を生成する。また、集音部302からはレーザポインタが出力され、検知ポイントがわかるようになっている。
【0027】
操作表示部32は、各種の操作用のボタンや液晶パネルを備えている。例えば、操作用のボタンには、音波信号の増幅度を設定するボタンが含まれ、この設定により、感度調整が行われる。また、液晶パネルには、検知部31で検知されたリーク・音波の大きさを棒状に点灯表示したり、漏洩量を表す数値を表示したりする。さらに、後述するようにしてコンプレッサ2から消費電力を受信した際に、その消費電力を表示する。
【0028】
通信部33は、通信網を介して各コンプレッサ2と通信するための通信装置であり、通信対象のコンプレッサ2の識別情報を付加して、情報・データを送信するようになっている。
【0029】
GPS部34は、リークディテクター3の位置と方位・方向を検出するものであり、GPS(Global Positioning System)センサと方位センサとを備えている。GPSセンサは、GPS衛星からの電波を受信し、受信した電波に基づいて現在の位置データ、つまり緯度、経緯を演算する。また、方位センサは、磁気センサを内部に備え、この磁気センサで地磁気を検知して方位データを演算する。このようなGPSセンサと方位センサは、検知部31によってリークが検知された場合に中央処理部30から指令を受けて演算し、その演算結果である位置データと方位データとを中央処理部30に出力する。つまり、検知部31でリークが検知されると、その漏洩位置を演算する(割り出す)ようになっている。
【0030】
プリンタ35は、小型の肩掛け用のものであり、中央処理部30からのデータを印刷する。すなわち、中央処理部30から後述する二次元コードデータを受け取ると、このデータに基づいて、二次元コードが表示されたラベルを印刷する。
【0031】
ここで、通信部33やGPS部34、メモリ36、37、タスク38、39および中央処理部30などは、把持部301の下端に位置する収容部304に収容されている。また、収容部304と検知部31とは、第1の伝送ケーブル305で接続され、収容部304とプリンタ35とは、第2の伝送ケーブル306で接続されている。さらに、検知部31と操作表示部32とは、第3の伝送ケーブル307で接続され、このケーブル307および検知部31を介して、操作表示部32と収容部304とが伝送可能に接続されている。
【0032】
また、収容部304には、インターフェイス(図示せず)を備え、パソコンなどの外部端末が接続可能で、後述する仕様メモリ36や経路メモリ37へのデータや、調査者情報などを外部端末から入力できるようになっている。
【0033】
仕様メモリ36は、各コンプレッサ2の容量や特性などの仕様を記憶したメモリである。ここで、仕様としては、定速機かインバータ機かの種別、定格消費電力、定格空気流量、所定圧力・常用圧力における単位流量あたりの消費電力などが含まれ、後述する推定タスク38において消費電力を算出できる情報となっている。これらの仕様は、予め固定的に記憶してもよいし、必要に応じてインターフェイスにパソコンを接続し、パソコンから入力、記憶するようにしてもよい。
【0034】
経路メモリ37は、各コンプレッサ2から圧縮空気が供給される供給経路を記憶したメモリである。すなわち、図1に示すように、各コンプレッサ2からどのようにして配管20が配設されているか(圧縮空気の流路)、を示す各配管20の配設緯度、経緯が記憶され、さらに、各配管20に圧縮空気を供給しているコンプレッサ2の識別情報が記憶されている。ここで、ひとつの配管20に圧縮空気を供給しているコンプレッサ2が、複数存在する場合もある。これにより、後述するように、緯度、経緯および方位が指定されると、その緯度、経緯および方位に配設されている配管20に、圧縮空気を供給しているコンプレッサ2の識別情報が割り出せるようになっている。このようなデータ・情報は、調査が予定されている全生産施設について予め記憶し、調査時に対象の生産施設を選択してもよいし、調査時にインターフェイスにパソコンを接続し、パソコンから調査対象の生産施設について入力、記憶するようにしてもよい。
【0035】
推定タスク38は、検知部31で算出された漏洩量と、仕様メモリ36に記憶された仕様と、コンプレッサ2から受信した計量結果とに基づいて、この漏洩量のリークがない場合のコンプレッサ2の消費電力などを推定するプログラムである。具体的には、図5に示すように、まず、対象のコンプレッサ2の仕様を仕様メモリ36から取得し(ステップS1)、漏洩量に相当する電力を算出する(ステップS2)。すなわち、仕様である単位流量あたりの消費電力に漏洩量を乗算して、漏洩量に相当する電力を算出する。次に、このリークがない場合(リークが完全に改修された場合)のコンプレッサ2の消費電力を算出する(ステップS3)。すなわち、コンプレッサ2から受信した計量結果である現消費電力から、ステップS3で算出した電力を減算して消費電力を算出する。
【0036】
このように、単位流量あたりの消費電力に基づいて、リークがない場合の消費電力を算出しているが、他の算出方法によって消費電力を算出してもよい。例えば、コンプレッサ2の全吐出量に対する漏洩量の割合と、計量結果である現消費電力とに基づいて、リークがない場合の消費電力を算出してもよい。
【0037】
続いて、このリークが改修された場合に削減されると推定される費用、つまりリークによって損失となっている金額を算出する(ステップS4)。具体的には、単位圧縮空気あたりの単価が予め設定、記憶され、この単価に漏洩量および期間を乗算して、月間、年間の削減費用を算出するものである。
【0038】
装置割出タスク39は、GPS部34で演算された漏洩位置と、経路メモリ37に記憶された供給経路とに基づいて、漏洩位置に圧縮空気を供給しているコンプレッサ2を割り出し、割り出したコンプレッサ2に対して計量結果の送信指令を送信するプログラムである。具体的には、まず、経路メモリ37の供給経路に基づいて、漏洩位置の緯度、経緯、方位に配設されている配管20を割り出し、次に、割り出した配管20に圧縮空気を供給しているコンプレッサ2の識別情報を、経路メモリ37から取得する。続いて、この識別情報のコンプレッサ2に対して計量結果の送信指令を送信するように、出力するものである。そして、この出力を受けて、識別情報を付加して通信部33からコンプレッサ2に、送信指令が送信される。
【0039】
また、リークディテクター3には、リーク調査に関する諸情報を入力、記憶するとともに、調査結果などを出力する機能を備えている。すなわち、インターフェイスに例えばパソコンを接続し、パソコンから調査者の氏名や、調査者が所属する所属機関、連絡先などの諸情報を入力することで、これらがメモリ(図示せず)に記憶される。また、操作表示部32の印刷ボタンが押されると、リーク箇所に関する情報を示すラベルを印刷する。すなわち、中央処理部30において、メモリに記憶された調査者の氏名や所属機関などを読み出し、これらの情報と、検知部31で算出された漏液量やコンプレッサ2から受信した消費電力、調査日時などの情報を含む二次元コードデータを生成する。そして、生成した二次元コードデータをプリンタ35に送信することで、二次元コードが表示されたラベルが、プリンタ35によって印刷される。また、図6に示すように、印刷されたラベル4は、リーク札40に貼り付けることができるようになっている。
【0040】
次に、このような構成のリーク調査システム1の作用などについて、図7に基づいて説明する。
【0041】
まず、調査者Mがリークディテクター3を使用してリークの調査を行い、検知部31によってリークが検知されると(ステップS11)、GPS部34によって、その位置と方位とが割り出される(ステップS12)とともに、操作表示部32に漏洩量などが表示される(ステップS13)。続いて、装置割出タスク39が起動され(ステップS14)、上記のようにして、漏洩位置に圧縮空気を供給しているコンプレッサ2が割り出され、識別情報を付加してこのコンプレッサ2に対して、消費電力の送信指令および漏洩量が送信される(ステップS15)。ここで、上記のように該当するコンプレッサ2が複数存在する場合には、該当するすべてのコンプレッサ2に対して送信指令などが送信される。
【0042】
これを受けて、対象のコンプレッサ2の表示部24に、リークがある旨およびその漏洩量が表示されるとともに(ステップS16)、このコンプレッサ2からリークディテクター3に対して、現在の消費電力値が送信される(ステップS17)。ここで、消費電力値の送信は、例えば、消費電力が変動するたびに、あるいは定期的に行われる。これを受けて、リークディテクター3の操作表示部32に消費電力値が表示され(ステップS18)、続いて、推定タスク38が起動される(ステップS19)。そして、上記のようにして、この漏洩量のリークがない場合のコンプレッサ2の消費電力や、漏洩量に相応する削減費用が算出され、その算出結果が操作表示部32に表示される。また、リーク箇所に対して、テープを巻き付けるなどの応急的な措置・改修を行うと、それにより変動したコンプレッサ2の消費電力値が、リークディテクター3の操作表示部32に表示される。つまり、応急措置による効果がリアルタイムに表示される。
【0043】
次に、操作表示部32で印刷ボタンを押すと、上記のように、調査者の氏名や所属機関、漏液量やコンプレッサ2の消費電力などの情報を含む二次元コードが表示されたラベル4が、プリンタ35から印刷される(ステップS20)。そして、ラベル4をリーク札40に貼り付けるとともに、リーク札40に漏液量や消費電力などを記入して、リーク札40をリーク箇所に取り付ける。その後、操作表示部32でクリアボタンを押すと、装置割出タスク39で割り出されたコンプレッサ2に対して、送信停止指令が送信され(ステップS21)、これを受けて、コンプレッサ2からの消費電力値の送信が停止される。このようなリーク調査を、生産施設の全対象領域に対して行うものである。
【0044】
以上のように、このリーク調査システム1によれば、コンプレッサ2の消費電力がリアルタイム・即座にリークディテクター3に表示されるため、リークが見つかった際(改修前)のコンプレッサ2の消費電力や、改修中、改修後の消費電力などをその場ですぐに知ることが可能となる。この結果、改修した効果があるのか、どの程度改修すればよいのか、などがリアルタイム・即座にわかり、適正かつ迅速に改修することが可能となる。
【0045】
しかも、リークが検知された場合に、リークがない場合のコンプレッサ2の消費電力や、改修した場合の削減費用が算出、表示される。このため、改修による効果をリアルタイム・即座に予測することができ、改修の要否の判断を適正に行ったり、改修を促進したりすることができるとともに、改修箇所の優先順位などを付けて、より適正かつ迅速な改修を行うことが可能となる。さらに、複数のコンプレッサ2が設定されている場合であっても、リーク箇所に圧縮空気を供給しているコンプレッサ2の消費電力が表示されるため、適正かつ迅速な改修を行うことが可能となる。
【0046】
一方、コンプレッサ2にも、リークが検知された旨やその漏洩量が表示されるため、コンプレッサ2側において、リークがあること、つまり無駄な電力消費があることをリアルタイム・即座に知得することができる。この結果、コンプレッサ2側においても、必要、可能な措置・改修を適正かつ迅速に行うことが可能となる。また、二次元コードが表示されたラベル4が、リーク札40に貼り付けられているため、例えば、改修時に二次元コードを読み取ることで、リーク時の漏液量や消費電力などを知ることができ、改修後の消費電力などと見比べることで、改修による効果をその場で確認することができる。
【0047】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、リークディテクター3自体に仕様メモリ36や、経路メモリ37、推定タスク38、装置割出タスク39を設けているが、これらをサーバに設け、このサーバがコンプレッサ2やリークディテクター3と通信する。そして、サーバが、該当するコンプレッサ2に対して消費電力の送信指令を送信したり、コンプレッサ2から受信した消費電力をリークディテクター3に送信したり、推定タスク38で算出した消費電力をリークディテクター3に送信したりしてもよい。この場合であっても、リークディテクター3の一部の機能をサーバに担わせているだけであって、実質的には、リークディテクター3にメモリ36、37やタスク38、39を備えているのと、同等である。
【0048】
また、リークディテクター3からコンプレッサ2に、漏洩量を検知結果として送信しているが、検知結果として漏洩位置を含めてもよい。これにより、コンプレッサ2側において、リーク箇所を即座に知ることができ、より適正かつ迅速な対応が可能となる。さらに、リークが検知された際の周囲温度、周囲湿度や圧縮空気の圧力、流量などを収集することで、より有効な省エネルギー対策を進めることが可能となる。この際、データの収集は、例えば、コンプレッサ2側で測定した周囲温度、湿度や圧縮空気の圧力、流量をリークディテクター3に送信して、表示、記憶するようにしてもよい。また、リーク札40に漏液量や消費電力などを記入しているが、リーク札40にラベル4の貼り付けのみを行ってもよいし、リーク札40に二次元コードを直接印刷してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
この発明は、圧縮空気のリーク調査の他にも、各種液体のリーク調査や燃料ガスのリーク調査にも利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 リーク調査システム
2 コンプレッサ(流体供給装置)
20 配管
23 メータ(計量手段)
24 表示部(装置側表示手段)
3 リークディテクター(リーク検知器)
31 検知部(検知手段)
32 操作表示部(検知器側表示手段)
34 GPS部(位置検出手段)
36 仕様メモリ(仕様記憶手段)
37 経路メモリ(経路記憶手段)
38 推定タスク(推定手段)
39 装置割出タスク(装置割出手段)
M 調査者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力で駆動して流体を供給する流体供給装置と、流体の漏洩を検知するリーク検知器とが通信可能に接続され、
前記流体供給装置は、消費電力を計量する計量手段を備え、前記計量手段による計量結果を前記リーク検知器に送信し、
前記リーク検知器に、
流体の漏洩により発生する音波を検知する検知手段と、
前記流体供給装置から受信した計量結果を表示する検知器側表示手段と、を備える、
ことを特徴とするリーク調査システム。
【請求項2】
前記リーク検知器は、前記検知手段による検知結果を前記流体供給装置に送信し、
前記流体供給装置は、前記リーク検知器から受信した検知結果を表示する装置側表示手段を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のリーク調査システム。
【請求項3】
前記検知手段は、前記検知された音波に基づいて漏洩量を算出し、
前記リーク検知器に、
前記流体供給装置の容量や特性などの仕様を記憶した仕様記憶手段と、
前記検知手段で算出された漏洩量と、前記仕様記憶手段に記憶された仕様と、前記流体供給装置から受信した計量結果とに基づいて、前記漏洩量の漏洩がない場合の前記流体供給装置の消費電力を推定する推定手段と、を備える、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のリーク調査システム。
【請求項4】
前記流体供給装置を複数備え、
前記リーク検知器に、
前記各流体供給装置から流体が供給される供給経路を記憶した経路記憶手段と、
前記検知手段が前記音波を検知した際の漏洩位置を割り出す位置検出手段と、
前記位置検出手段で割り出された漏洩位置と、前記経路記憶手段に記憶された供給経路とに基づいて、前記漏洩位置に流体を供給している流体供給装置を割り出し、割り出した流体供給装置に対して前記計量結果の送信指令を送信する装置割出手段と、を備える、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリーク調査システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−78126(P2012−78126A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221342(P2010−221342)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】