説明

リーダライタ及びその通信タイムアウト時間の決定方法

【課題】運用時のコマンドに対するレスポンスや通信エリア退出監視時のコマンドに対するレスポンスの有無を判定するまでの時間を短くする。
【解決手段】リーダライタ1は、コマンドを送信した時点から非接触ICカード10からのレスポンスを受信したか否かを判定してレスポンスの有無を判定するための通信タイムアウト時間を、コマンドを送信した時点から非接触ICカード10からのレスポンスを受信した時点までの応答時間の分布傾向に基づいて決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コマンドを送信した時点から非接触ICカードからのコマンドに対するレスポンスを受信したか否かを通信タイムアウト時間が経過するまで判定してレスポンスの有無を判定するリーダライタ及びその通信タイムアウト時間の決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信方法の1つとして、通信端末において、端末制御装置から一括要求電文を受信すると、その一括要求電文と共に受信した関数計算を行って応答待ち時間を算出し、一括要求電文を受信した時点から当該算出した応答待ち時間が経過した後に、応答電文を端末制御装置に送信し、端末制御装置において、複数の通信端末から受信した応答電文が衝突すると、前回とは異なる関数計算を通信端末に指示するものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−243406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、リーダライタにおいては、非接触ICカードが通信エリア内に存在しているか否かを物理的に判定することが困難であるので、コマンドを送信した時点から非接触ICカードからのコマンドに対するレスポンスを受信したか否かを通信タイムアウト時間が経過するまで判定し、通信タイムアウト時間が経過するよりも先にレスポンスを受信すれば、レスポンスが有った旨を判定し、一方、レスポンスを受信するよりも先に通信タイムアウト時間が経過すれば、レスポンスが無かった旨を判定するようになっている。この場合、通信タイムアウト時間は、非接触ICカードからリーダライタに受信された通信タイムアウト情報やカード仕様に基づいて決定されるのが一般的である。
【0004】
しかしながら、通信タイムアウト情報やカード仕様に基づいて決定される通信タイムアウト時間は、リーダライタが実際にコマンドを送信してからレスポンスを受信するまでに要する時間に比べて十分に長い場合が多い。したがって、運用時のコマンドに対するレスポンスや通信エリア退出監視時のコマンドに対するレスポンスの有無を判定するまでの時間が必要以上に長くかかることになり、その結果、運用時のコマンドに対するレスポンスが無かった場合の運用時のコマンドを再送信する処理や通信エリア退出監視時のコマンドに対するレスポンスが無かった場合の非接触ICカードが通信エリアから退出した旨を判定する処理などのタイムアウト時の処理を行うまでの時間が長くかかり、実用性に劣るという問題があった。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、運用時のコマンドに対するレスポンスや通信エリア退出監視時のコマンドに対するレスポンスの有無を判定するまでの時間を短くすることでタイムアウト時の処理を行うまでの時間を短くすることができ、実用性を高めることができるリーダライタ及びその通信タイムアウト時間の決定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載したリーダライタによれば、制御手段は、コマンドを無線手段により送信させた時点から非接触ICカードからのレスポンスを無線手段により受信したか否かを判定してレスポンスの有無を判定するための通信タイムアウト時間を、コマンドを無線手段により送信させた時点から非接触ICカードからのレスポンスを無線手段により受信した時点までの応答時間の分布傾向に基づいて決定する。
【0007】
これにより、通信タイムアウト情報やカード仕様に基づいて通信タイムアウト時間を決定するのではなく、コマンドを送信した時点からレスポンスを受信した時点までの応答時間の分布傾向に基づいて通信タイムアウト時間を決定し、つまり、過去の実績に基づいて通信タイムアウト時間を決定するので、運用時のコマンドに対するレスポンスや通信エリア退出監視時のコマンドに対するレスポンスの有無を判定するまでの時間を短くすることでタイムアウト時の処理を行うまでの時間を短くすることができ、実用性を高めることができる。特に、タイムアウト時の処理を行うまでの時間を短くすることで通信シーケンス全体の処理時間を短くすることができるので、非接触ICカードが通信エリアの境界付近に存在する場合や通信異常が発生し易い環境の場合に効果は大きい。
【0008】
請求項2に記載したリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法によれば、リーダライタがコマンドを送信した時点から非接触ICカードからのコマンドに対するレスポンスを受信したか否かを判定してレスポンスの有無を判定するための通信タイムアウト時間を、リーダライタがコマンドを送信した時点から非接触ICカードからのレスポンスを受信した時点までの応答時間の分布傾向に基づいて決定するので、上記した請求項1に記載したものと同様にして、タイムアウト時の処理を行うまでの時間を短くすることができ、実用性を高めることができる。
【0009】
請求項3に記載したリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法によれば、リーダライタがコマンドを送信した時点から非接触ICカードからのレスポンスを受信した時点までの応答時間を当該リーダライタにて繰返して測定し、そのリーダライタにて繰返して測定した応答時間の分布傾向に基づいて通信タイムアウト時間を決定するので、リーダライタの特性に応じた通信タイムアウト時間を決定することができる。
【0010】
請求項4に記載したリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法によれば、リーダライタがコマンドを送信した時点から非接触ICカードからのレスポンスを受信した時点までの応答時間の分布傾向の経時変化を記憶し、直近の応答時間の分布傾向に基づいて通信タイムアウト時間を決定するので、応答時間の分布傾向が経時変化する場合であっても、直近の(最新の)応答時間の分布傾向に応じた通信タイムアウト時間を決定することができる。
【0011】
請求項5に記載したリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法によれば、リーダライタがコマンドを送信した時点から非接触ICカードからのレスポンスを受信した時点までの応答時間の分布傾向を非接触ICカードの種別毎に複数記憶し、リーダライタが活性化コマンドを送信した後に非接触ICカードから受信した初期レスポンスに基づいて非接触ICカードの種別を識別し、その識別結果に基づいて複数の応答時間の分布傾向のうちから当該非接触ICカードに対応する応答時間の分布傾向を選択し、その選択した応答時間の分布傾向に基づいて活性化後のコマンドに対応する通信タイムアウト時間を決定するので、非接触ICカードの種別が複数存在する場合であっても、非接触ICカードの種別に応じた通信タイムアウト時間を決定することができる。
【0012】
請求項6に記載したリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法によれば、運用時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間として応答時間の分布傾向のうちから長い応答時間を適用するので、リーダライタの通信相手である非接触ICカードがガベージコレクション機能を有する場合であっても、そのガベージコレクション機能を有する非接触ICカードからの運用時のコマンドに対するレスポンスをリーダライタに適切に受信させることができる。
【0013】
請求項7に記載したリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法によれば、通信エリア退出監視時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間として応答時間の分布傾向のうちから頻度の高い応答時間を適用するので、リーダライタの通信相手である非接触ICカードがガベージコレクション機能を有する場合であっても、そのガベージコレクション機能を有する非接触ICカードが通信エリアから退出したか否かを速やかに(必要以上の時間がかかることなく)判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、リーダライタの構成を機能ブロック図として示している。リーダライタ1は、CPU2(本発明でいう制御手段)、無線部3(本発明でいう無線手段)及び記憶装置4を備えて構成されている。CPU2は、コマンドの送信を制御するコマンド送信制御モジュール2a、レスポンスの応答時間を測定する応答時間測定モジュール2b及び通信タイムアウト時間を決定する通信タイムアウト時間決定モジュール2cを備えて構成されている。
【0015】
無線部3は、アンテナ5、符号器6、変調器7、復調器8及び復号器9を備えて構成されている。符号器6は、CPU2からコマンドを入力すると、その入力したコマンドを符号化した送信符号を変調器7に出力し、変調器7は、符号器6から送信符号を入力すると、所定周波数の送信搬送波を送信符号で変調してアンテナ5に出力し、アンテナ5は、変調器7から送信符号で変調された送信搬送波を入力すると、その入力した送信搬送波を電波信号として送信する。
【0016】
また、アンテナ5は、電波信号を受信すると、その受信した電波信号を復調器8に出力し、復調器8は、アンテナ5から電波信号を入力すると、その入力した電波信号を復調して受信符号を抽出して復号器9に出力し、復号器9は、復調器8から受信符号を入力すると、その入力した受信符号を復号化してレスポンスをCPU2に出力する。
【0017】
非接触ICカード10は、ICチップを搭載しており、リーダライタ1から送信されたコマンドを受信すると、そのコマンドを解析して当該コマンドに対するレスポンスを送信する。記憶装置4は、非接触ICカード10のバージョン及び製造者とICチップのバージョン及び製造者とを記憶可能であると共に、CPU2がコマンドを無線部3により送信させた時点から非接触ICカード10からのコマンドに対するレスポンスを無線部3により受信した時点までの応答時間を記憶可能に構成されている。
【0018】
この場合、リーダライタ1が送信するコマンドとしては、非接触ICカード10を活性化させるための活性化コマンド、非接触ICカード10との間でデータ通信するための運用時のコマンド及び非接触ICカード10が通信エリアから退出したか否かを監視するための通信エリア退出監視時のコマンドがあり、運用時のコマンド及び通信エリア退出監視時のコマンドが本発明でいう活性化後のコマンドに相当する。
【0019】
次に、上記した構成の作用について、図2ないし図4を参照して説明する。ここでは、
(1)CPU2が応答時間を記憶装置4に記憶させる処理
(2)CPU2が通信タイムアウト時間を決定する処理
について順次説明する。尚、CPU2は、応答時間を記憶装置4に記憶させる処理と通信タイムアウト時間を決定する処理とを、コマンドを送信する毎に別々に行っても良いし、コマンドを送信する毎に連続して行っても良い。
【0020】
(1)CPU2が応答時間を記憶装置4に記憶させる処理
CPU2は、応答時間を記憶装置4に記憶させる処理では、図2にフローチャートとして示す処理を行う。すなわち、CPU2は、活性化コマンドを無線部3により送信させ(ステップS1)、活性化された非接触ICカード10からの初期レスポンスを無線部3により受信する旨を待機する(ステップS2)。非接触ICカード10は、リーダライタ1の通信エリア内に存在している状態でリーダライタ1から送信された活性化コマンドを受信すると、活性化した後に、初期レスポンスを送信する。CPU2は、活性化された非接触ICカード10からの初期レスポンスを無線部3により受信すると(ステップS2にて「YES」)、その受信した初期レスポンスから非接触ICカード10のバージョン及び製造者とICチップのバージョン及び製造者とを抽出して記憶装置4に記憶させる(ステップS3)。
【0021】
次いで、CPU2は、運用時のコマンドを無線部3により送信させ(ステップS4)、非接触ICカード10からの運用時のコマンドに対するレスポンスを無線部3により受信する旨を待機する(ステップS5)。そして、CPU2は、非接触ICカード10からのレスポンスを無線部3により受信すると(ステップS5にて「YES」)、その運用時のコマンドを送信させた時点からレスポンスを受信した時点までの応答時間を測定し、その測定した応答時間を非接触ICカード10のバージョン及び製造者とICチップのバージョン及び製造者に対して関連付けて記憶装置4に記憶させる(ステップS6)。
【0022】
次いで、CPU2は、運用時の全てのコマンド及び全てのパラメータに対する応答時間を記憶したか否かを判定し(ステップS7)、運用時の全てのコマンド及び全てのパラメータに対する応答時間を記憶していなければ(ステップS7にて「NO」)、コマンドまたはパラメータを変更し(ステップS8)、上記したステップS4に戻り、ステップS4以降の処理を繰返して行う。
【0023】
これに対して、CPU2は、運用時の全てのコマンド及び全てのパラメータに対する応答時間を記憶していれば(記憶を終了すると)(ステップS7にて「YES」)、運用し得る全ての非接触ICカード10に対する応答時間を記憶したか否かを判定し(ステップS9)、運用し得る全ての非接触ICカード10に対する応答時間を記憶していなければ(ステップS9にて「NO」)、上記したステップS1に戻り、ステップS1以降の処理を繰返して行う。また、CPU2は、運用し得る全ての非接触ICカード10に対する応答時間を記憶していれば(記憶を終了すると)(ステップS9にて「YES」)、一連の処理を終了する。
【0024】
以上に説明した一連の処理により、CPU2は、非接触ICカード10のコマンド及びパラメータ毎の応答時間を記憶装置4に記憶させ、同じコマンド及びパラメータに対して複数の応答時間を記憶装置4に記憶させることにより、応答時間の分布傾向を作成する。
【0025】
(2)CPU2が通信タイムアウト時間を決定する処理
CPU2は、通信タイムアウト時間を決定する処理では、図3にフローチャートとして示す処理を行う。すなわち、CPU2は、活性化コマンドを無線部3により送信させ(ステップS11)、活性化された非接触ICカード10からの初期レスポンスを無線部3により受信する旨を待機する(ステップS12)。この場合、CPU2は、活性化された非接触ICカード10からの初期レスポンスを無線部3により受信すると(ステップS12にて「YES」)、その受信した初期レスポンスから非接触ICカード10のバージョン及び製造者とICチップのバージョン及び製造者とを抽出して識別する(ステップS13)。
【0026】
次いで、CPU2は、記憶装置4に記憶されている応答時間の分布傾向のうち当該識別した非接触ICカード10のバージョン及び製造者とICチップのバージョン及び製造者に対して関連付けられている応答時間の分布傾向を読出し(ステップS14)、その読出した応答時間の分布傾向に基づいて送信すべき運用時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間を決定する(ステップS15)。
【0027】
次いで、CPU2は、その運用時のコマンドを無線部3により送信させ(ステップS16)、非接触ICカード10からのレスポンスを無線部3により受信する旨を待機すると共に(ステップS17)、コマンドを無線部3により送信させた時点から通信タイムアウト時間が経過したか否かを判定する(ステップS18)。
【0028】
ここで、CPU2は、コマンドを無線部3により送信させた時点から通信タイムアウト時間が経過するよりも先に非接触ICカード10からレスポンスを無線部3により受信すると(ステップS17にて「YES」)、そのときの応答時間を記憶装置4に追加して記憶させ、その時点で記憶装置4に記憶されている応答時間の分布傾向を更新する(ステップS19)。そして、CPU2は、その時点で送信すべき運用時のコマンドが有るか(残っているか)否かを判定し(ステップS20)、その時点で送信すべき運用時のコマンドが有ると(ステップS20にて「YES」)、上記したステップS15に戻り、ステップS15以降の処理を繰返して行う。
【0029】
これに対して、CPU2は、その時点で送信すべき運用時のコマンドが無いと(残っていないと)(ステップS20にて「NO」)、これよりも先に読出した応答時間の分布傾向に基づいて通信エリア退出監視時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間を決定する(ステップS21)。次いで、CPU2は、通信エリア退出監視時のコマンドを無線部3により送信させ(ステップS22)、上記したステップS17に戻り、非接触ICカード10からのレスポンスを無線部3により受信する旨を待機すると共に(ステップS17)、コマンドを無線部3により送信させた時点から通信タイムアウト時間が経過したか否かを判定する(ステップS18)。
【0030】
そして、CPU2は、非接触ICカード10からのレスポンスを無線部3により受信するよりも先にコマンドを無線部3により送信させた時点から通信タイムアウト時間が経過すると(ステップS18にて「YES」)、タイムアウト時の処理を行う(ステップS23)。具体的には、CPU2は、運用時のコマンドを無線部3により送信させたときに通信タイムアウト時間が経過すると、タイムアウト時の処理として運用時のコマンドを再送信する処理を行い、また、通信エリア退出監視時のコマンドを無線部3により送信させたときに通信タイムアウト時間が経過すると、タイムアウト時の処理として非接触ICカード10が通信エリアから退出した旨を判定する処理を行う。
【0031】
以上に説明した一連の処理により、CPU2は、上記した(1)で作成した応答時間の分布傾向に基づいて運用時のコマンドや通信エリア退出監視時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間を決定し、コマンドを送信させた時点から非接触ICカード10からのレスポンスを受信したか否かを通信タイムアウト時間が経過するまで判定してレスポンスの有無を判定する。
【0032】
ところで、CPU2は、非接触ICカード10から受信した初期レスポンスから非接触ICカード10の種別を識別することができなかった場合には、通信タイムアウト時間を選択して決定する。すなわち、図4(a)に示すように、非接触ICカードAのコマンドの応答時間の分布傾向と非接触ICカードBの運用時のコマンドの応答時間の分布傾向とが相違していると仮定すると、CPU2は、応答時間が長い非接触ICカードBの応答時間の分布傾向に基づいて最初の運用時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間を決定し、最初の運用時のコマンドに対する非接触ICカードからのレスポンスの応答時間に基づいて次の運用時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間を決定する。
【0033】
具体的には、CPU2は、最初の運用時のコマンドに対する非接触ICカードからのレスポンスの応答時間が「非接触ICカードAのみの応答時間」内であれば(図4中「a」参照)、非接触ICカードAの応答時間の分布傾向に基づいて次の運用時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間を決定し、一方、最初の運用時のコマンドに対する非接触ICカードからのレスポンスの応答時間が「非接触ICカードBのみの応答時間」内であれば(図4中「b」参照)、非接触ICカードBの応答時間の分布傾向に基づいて次の運用時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間を決定する。
【0034】
また、CPU2は、最初の運用時のコマンドに対する非接触ICカードからのレスポンスの応答時間が「非接触ICカードAまたは非接触ICカードBの応答時間」内であれば(図4中「c」参照)、非接触ICカードBの応答時間の分布傾向に基づいて次の運用時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間を決定し、この場合は、応答時間に基づいて非接触ICカードA及び非接触ICカードBのうちいずれであるかの確率を計算し、その計算した確率が閾値以上となった場合に、接触ICカードA及び非接触ICカードBのうちいずれかの応答時間の分布傾向に基づいて次の運用時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間を決定する。尚、CPU2は、計算した確率が閾値以上となるよりも先に通信エリア退出監視時のコマンドを送信する場合には、確率が高い方の応答時間の分布傾向に基づいて通信エリア退出監視時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間を決定する。
【0035】
また、非接触ICカード10がガベージコレクション機能を有しており、図4(b)に示すように、頻度が高い応答時間が2箇所で発生すると仮定すると、CPU2は、運用時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間として応答時間の分布傾向のうちから長い応答時間を適用し、通信エリア退出監視時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間として応答時間の分布傾向のうちから頻度の高い応答時間を適用する。
さらに、CPU2は、応答時間の分布傾向の経時変化を記憶する場合には、直近の応答時間の分布傾向に基づいて通信タイムアウト時間を決定する。
【0036】
以上に説明したように本実施形態によれば、リーダライタ1において、コマンドを送信した時点から非接触ICカード10からのレスポンスを受信したか否かを判定してレスポンスの有無を判定するための通信タイムアウト時間を、コマンドを送信した時点から非接触ICカード10からのレスポンスを受信した時点までの応答時間の分布傾向に基づいて決定するように構成したので、運用時のコマンドに対するレスポンスや通信エリア退出監視時のコマンドに対するレスポンスの有無を判定するまでの時間を短くすることでタイムアウト時の処理を行うまでの時間を短くすることができ、実用性を高めることができる。
【0037】
また、コマンドを送信した時点から非接触ICカード10からのレスポンスを受信した時点までの応答時間をリーダライタ1にて繰返して測定し、そのリーダライタ1にて繰返して測定した応答時間の分布傾向に基づいて通信タイムアウト時間を決定するように構成したので、そのリーダライタ1の特性に応じた通信タイムアウト時間を決定することができる。
【0038】
また、非接触ICカード10がガベージコレクション機能を有しており、頻度が高い応答時間が2箇所で発生する場合に、運用時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間として応答時間の分布傾向のうちから長い応答時間を適用するように構成したので、そのガベージコレクション機能を有する非接触ICカード10からの運用時のコマンドに対するレスポンスをリーダライタ1に適切に受信させることができると共に、通信エリア退出監視時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間として応答時間の分布傾向のうちから頻度の高い応答時間を適用するように構成したので、そのガベージコレクション機能を有する非接触ICカード10が通信エリアから退出したか否かを速やかに(必要以上の時間がかかることなく)判定することができる。
【0039】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
他のリーダライタで作成した応答時間の分布傾向を流用して通信タイムアウト時間を決定するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】フローチャート(その1)
【図3】フローチャート(その2)
【図4】応答時間の分布傾向を概略的に示す図
【符号の説明】
【0041】
図面中、1はリーダライタ、2はCPU(制御手段)、3は無線部(無線手段)、10は非接触ICカードである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コマンドを無線手段により送信させた時点から非接触ICカードからのコマンドに対するレスポンスを前記無線手段により受信したか否かを通信タイムアウト時間が経過するまで判定してレスポンスの有無を判定する制御手段を備えたリーダライタであって、
前記制御手段は、コマンドを前記無線手段により送信させた時点から前記非接触ICカードからのレスポンスを前記無線手段により受信した時点までの応答時間の分布傾向に基づいて前記通信タイムアウト時間を決定することを特徴とするリーダライタ。
【請求項2】
リーダライタがコマンドを送信した時点から非接触ICカードからのコマンドに対するレスポンスを受信したか否かを判定してレスポンスの有無を判定するための通信タイムアウト時間を、リーダライタがコマンドを送信した時点から非接触ICカードからのレスポンスを受信した時点までの応答時間の分布傾向に基づいて決定することを特徴とするリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法。
【請求項3】
請求項2に記載したリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法において、
リーダライタがコマンドを送信した時点から前記非接触ICカードからのレスポンスを受信した時点までの応答時間を当該リーダライタにて繰返して測定し、そのリーダライタにて繰返して測定した応答時間の分布傾向に基づいて前記通信タイムアウト時間を決定することを特徴とするリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載したリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法において、
リーダライタがコマンドを送信した時点から前記非接触ICカードからのレスポンスを受信した時点までの応答時間の分布傾向の経時変化を記憶し、直近の応答時間の分布傾向に基づいて前記通信タイムアウト時間を決定することを特徴とするリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに記載したリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法において、
リーダライタがコマンドを送信した時点から前記非接触ICカードからのレスポンスを受信した時点までの応答時間の分布傾向を非接触ICカードの種別毎に複数記憶し、リーダライタが活性化コマンドを送信した後に非接触ICカードから受信した初期レスポンスに基づいて非接触ICカードの種別を識別し、その識別結果に基づいて複数の応答時間の分布傾向のうちから当該非接触ICカードに対応する応答時間の分布傾向を選択し、その選択した応答時間の分布傾向に基づいて活性化後のコマンドに対応する前記通信タイムアウト時間を決定することを特徴とするリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載したリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法において、
運用時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間として応答時間の分布傾向のうちから長い応答時間を適用することを特徴とするリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法。
【請求項7】
請求項2ないし5のいずれかに記載したリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法において、
通信エリア退出監視時のコマンドに対応する通信タイムアウト時間として応答時間の分布傾向のうちから頻度の高い応答時間を適用することを特徴とするリーダライタの通信タイムアウト時間の決定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−316716(P2007−316716A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142674(P2006−142674)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】