説明

リーブオンヘアケア組成物

水中油型エマルジョンを含み、その油相が、i)不揮発性油のいずれか1種類の動的粘度または不揮発性油のブレンドの動的粘度が25℃、5s−1で1000mPa.s未満であるような1種または複数の不揮発性油と、ii)エマルジョン形成前の油相の動的粘度が、25℃、0.5s−1の剪断速度で少なくとも50,000mPa.sであり、500s−1の剪断速度で6,000mPa.s未満であるような油分散性構造化剤と、を含むリーブオンヘアケア組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘアケア組成物、より特定的には頭髪をスタイリングするヘアケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアスタイリング製品は広く使用されており、通常はスプレー、ムース、ジェル及びローションの形態で塗布される。スタイリングクリームの使用に付随する主な欠点は、スタイリング前の容器に入っているときも、塗布するために手に取り出したときも、スタイリング後に頭髪に残っているときも、製品が粘着性の感触を与え易いことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、粘着性という問題の解決を助けるヘアスタイリングクリームである。
【0004】
本発明のクリームの別の利点は、スタイルを維持する、髪のスタイリングをやり直す、髪をコンディショニングする、髪の損傷を抑える、髪につやを与える、ウェット仕上げにする、髪の量感を調節する、及び、髪を整える、などの目的で使用できることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、水中油型エマルジョンを含み、その油相が、
i)不揮発性油のいずれか1種類の動的粘度または不揮発性油のブレンドの動的粘度が25℃、5s−1で1000mPa.s未満である1種または複数の不揮発性油と、
ii)エマルジョン形成前の油相の動的粘度が、25℃、0.5s−1の剪断速度で少なくとも50,000mPa.sであり、500s−1の剪断速度で6,000mPa.s未満であるような油分散性構造化剤と、
を含むリーブオンヘアケア組成物が提供される。
【0006】
本発明はまた、上述の組成物を頭髪に塗布するヘアスタイリング方法に関する。
【0007】
また、塗布後の組成物の一部が蒸発するかまたは頭髪に吸収されて頭髪に残渣を残すとき、該残渣の動的粘度が、25℃、0.5s−1の剪断速度で少なくとも50,000mPa.sであり、500s−1の剪断速度で6,000mPa.s未満となるような構造化油相を含有している水中油型エマルジョンを含むヘアケア組成物による頭髪のトリートメント方法が記載されている。
【0008】
本発明はまた、髪をスタイリングする、スタイルを維持する、髪のスタイリングをやり直す、髪をコンディショニングする、髪の損傷を抑える、髪につやを与える、ウェット仕上げにする、及び/または、髪の量感を調節する、または、髪を整える、などの効果を得るための上記のヘアケア組成物の使用に関する。
【0009】
組成物は、リーブオン配合物でよいが、クリームの形態が好ましい。本発明の文脈ではクリームを重力下で即流動性でない形態であると定義する。
【0010】
最終組成物の動的粘度が、25℃、5s−1で2,000−300,000mPa.s、より好ましくは10,000−300,000mPa.s、最も好ましくは20,000−200,000mPa.sであるのが好ましい。動的粘度が30,000−150,000mPa.sであれば極めて好ましい。
【0011】
流体の動的粘度は標準応力制御レオメーター(この場合にはCarrimed CSL−100)を用い、間隙高200μmの平行プレート構造を使用し、1範囲の剪断速度で動的粘度を測定することによって決定した。
【0012】
油相
頭髪のスタイリングのためには、クリームに添加する前の油相が25℃で少なくとも500Paの降伏応力、好ましくは少なくとも1,000Paの降伏応力を有しているのが有利である。
【0013】
流体の降伏応力は、動的粘度の急激な低下が観察される臨界応力であると定義され、典型的には応力が2桁未満の増加を生じたときに動的粘度は数桁低下する。降伏応力は流体の構造の崩壊を伴う。
【0014】
また、エマルジョン形成前の油相がその降伏点を越える点まで剪断されたときに、少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、最も好ましくは少なくとも15%の回復率を有しているのが好ましい。
【0015】
本発明の文脈で構造化油の回復率という用語は、その降伏応力を越えるまで剪断した(降伏を誘発するために使用した最大剪断速度は500s−1であった)後の油相の剪断速度0.5s−1における動的粘度を、その降伏点を越えるまで剪断する前の油相の剪断速度0.5s−1における動的粘度に標準化した値であると定義する。従って、測定プロトコルでは、5分間で剪断速度を0.5s−1−500s−1まで漸増させ、次いで直ちに5分間で剪断速度を500s−1−0.5s−1まで漸減しながら動的粘度を測定した。
【0016】
頭髪に塗布後、この組成物の一部が蒸発するかまたは頭髪に吸収されたときのこの組成物の残渣の25℃のレオロジー特性(0.5及び500s−1の動的粘度、降伏応力及び回復率)は、クリームに添加する前の油相のレオロジー特性の2倍以内(増加または減少)であるのが有利である。
【0017】
クリームの残渣は、クリームを髪に塗布した後に髪に残留する材料であると定義される。クリームを塗布した後、クリーム中の水分は典型的には髪によって吸収され、また、クリーム中の揮発分は蒸発するであろう。クリームを乾いた髪またはやや湿った髪に塗布したとき、クリーム中の水分が塗布後数分以内に髪によって吸収されることは理解されよう。残渣を刺激するために、クリームをシャーレに入れ、周囲温度で標準条件下に(20℃で50%RH)数日間乾燥させる。クリーム残渣は典型的には10%未満の残留水を含有している。
【0018】
不揮発性油
この組成物は、1種または複数の不揮発性油を含み、不揮発性油のいずれか1種類の動的粘度または不揮発性油のブレンドの動的粘度が、25℃、5s−1で1,000mPa.s未満である。好ましくは動的粘度が、25℃、5s−1で500mPa.s未満、より好ましくは100mPa.s未満、最も好ましくは50mPa.s未満である。
【0019】
不揮発性油は、標準環境条件(20℃、50%RH)の室内で緩和剤を流体高さ3mmまでシャーレに入れておいたとき、緩和剤の10重量%未満が1時間後に蒸発するものを意味する。
【0020】
油は、トリグリセリド、脂肪エステル、脂肪アルコール、脂肪酸または鉱油(分枝状炭化水素)及びそれらの混合物から成るグループから選択できる。
【0021】
好ましくは不揮発性油が、トリヘプタノイン、トリカプリリン、トリカプリン、トリウンデカノイン、トリリノレイン、トリオレイン、アーモンド油、ココヤシ油、オリーブ油、パーム核油、ピーナツ油、ヒマワリ油、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソセチルステアレート、エチルオレエート、オクチルイソステアレート、ブチルミリステート、ブチルステアレート、オクチルパルミテート、エチルヘキシルココエート、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、イソステアリン酸、鉱油、パラフイン油、ジカプリレート/ジカプレート、プロピレングリコール、C12−C15アルキルベンゾエート及びこれらの誘導体またはこれらの混合物から成るグループから選択される。
【0022】
適切な鉱油は、Sirius White Oilsという名称でFuchs Lubricnats(UK)から販売されているものである。適切な油の例は、Sirius M85、Sirius M125及びSirius M350である。
【0023】
その他の適切な油は上記に定義した動的粘度をもつシリコーン油、例えば、ジメチコーンである。
【0024】
全組成物中の油相のレベルは好ましくは全組成物の10重量%を上回るレベル、より好ましくは20重量%を上回るレベルである。
【0025】
油構造化剤
構造化剤は油分散性である。
【0026】
適当な構造化剤は、デキストリンパルミテート、トリヒドロキシステアリン、ヒドロキシステアリン酸、親水性もしくは疎水性のシリカ、疎水的に改質されたクレー、例えば、ステアラルコニウムヘクトライト、クオタニウム−18ベントナイト、クオタニウム−18ヘクトライトまたはジステアルジモニウムヘクトライト及びこれらの誘導体または混合物から成るグループから選択される。
【0027】
構造化剤がステアラルコニウムヘクトライトのような疎水的に改質されたクレーであるならば、油相がさらに極性活性化剤を含有するのが好ましい。極性活性化剤は、疎水的に改質された板状クレー粉末の縁端を分極するので、油に分散したときに板状クレー粉末が極性相互作用によってネットワーク構造を形成する。適切な極性活性化剤は、好ましくは水またはエタノール/水の95:5混合物中の炭酸プロピレンである。活性化剤のレベルは好ましくは1−10重量%である。クレー対活性化剤の重量比は1.3−4.1、より好ましくは2:1−4:1である。
【0028】
構造化剤は、エマルジョンに添加する前の構造化油相の動的粘度が、25℃、0.5s−1の剪断速度で少なくとも50,000、より好ましくは少なくとも100,000、最も好ましくは少なくとも250,000mPa.sであり、500s−1の剪断速度で6,000未満、より好ましくは4,000未満、最も好ましくは2,000mPa.s未満となるように選択しなければならない。極めて好ましい油相は、25℃、0.5s−1の剪断速度で少なくとも500,000mPa.sの動的粘度、及び、500s−1の剪断速度で1,000mPa.s以下の動的粘度を有している。
【0029】
油相中の構造化剤のレベルは、配合物の全油含量の、好ましくは0.5−20重量%、より好ましくは1−15重量%、最も好ましくは2−10重量%である。
【0030】
全配合物中の構造化剤のレベルは、好ましくは0.3−10重量%、より好ましくは1−5重量%である。
【0031】
界面活性剤系
本発明の組成物は水中油型エマルジョンであり、通常は構造化油材料を乳化するための適切な界面活性剤系が必要である。
【0032】
この目的には非イオン性界面活性剤が特に適切である。水中油型エマルジョンを得るためには、高いHLB(親水親油バランス)値をもつ界面活性剤系を使用するのが望ましい。この場合には、高HLB界面活性剤と低HLB界面活性剤との混合物であって複合界面活性剤系が高HLBであるものを使用するのが特に望ましい。このようにして油/水の界面に強力な界面活性剤膜が形成されることは当業者に公知である。
【0033】
多くの適切な非イオン性界面活性剤系が存在するが、特に好ましいものは、80%のポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(20EO)と20%のソルビタンモノステアレートとの界面活性剤混合物である。
【0034】
スタイリング化合物
本発明のいくつかの目的には、組成物が追加のスタイリング助剤を含んでいるのが望ましい。
【0035】
本発明のスタイリング助剤としてはヘアスタイリングポリマーが特に有用である。ヘアスタイリングポリマーは公知の商品であり、ポリマーをカチオン性、アニオン性、両性または非イオン性にする部分を含有しているこのようなポリマーは数多く市販されている。ポリマーは合成でもよく天然由来でもよい。
【0036】
ヘアスタイリングポリマーの量は、組成物の全重量を基準として0.1−10重量%、好ましくは0.5−8重量%、より好ましくは0.75−6重量%の範囲でよい。
【0037】
非イオン性ヘアスタイリングポリマーの例は、N−ビニルピロリドンのホモポリマー、N−ビニルピロリドンと酢酸ビニルのような相溶性の非イオン性モノマーとのコポリマーである。種々の重量平均分子量のN−ビニルピロリドン含有非イオン性ポリマーがISP Corporationから市販されている。このような材料の特定例は、PVP K−90という名称で販売されている平均分子量約630,000を有しているN−ビニルピロリドンのホモポリマー、及び、PVP K−120の名称で販売されている平均分子量約1,000,000を有しているN−ビニルピロリドンのホモポリマーである。ポリビニルピロリドンとポリ酢酸ビニルとのコポリマーが特に好ましい。このコポリマーの一例はBASFからLuviskol VA64という名称で販売されている。
【0038】
カチオン性ヘアスタイリングポリマーの例は、低級アルキルアミノアルキルアクリレートのようなアミノ官能性アクリレートモノマーまたはジメチルアミノエチルメタクリレートのようなメタクリレートモノマーと、N−ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、アルキルメタクリレート(例えば、メチルメタクリレート及びエチルメタクリレート)及びアルキルアクリレート(例えば、エチルアクリレート及びn−ブチルアクリレート)のような相溶性モノマーとのコポリマーである。
【0039】
適切なカチオン性ヘアスタイリングポリマーの特定例を以下に挙げる:
N−ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー、ISP CorporationからCopolymer 845、Copolymer 937及びCopolymer 958として入手可能;
N−ビニルピロリドンとジメチルアミノプロピルアクリルアミドまたはメタクリルアミドとのコポリマー、ISP CorporationからStyleze(登録商標)CC10として入手可能;
N−ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー;
ビニルカプロラクタムとN−ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー;
ポリクオタニウム−4(ジアリルジモニウムクロリドとヒドロキシエチルセルロースとのコポリマー);
ポリクオタニウム−11(ジエチルスルフェートとビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマーとの反応によって形成される)、ISPからGafquat(登録商標)734、755及び755N、BASFからLuviquat(登録商標)PQ11として入手可能;
ポリクオタニウム−16(メチルビニルイミダゾリウムクロリドとビニルピロリドンとから形成される)、BASFからLuviquat(登録商標)FC 370、FC 550、FC 905及びHM−552として入手可能;
ポリクオタニウム−46(ビニルカプロラクタム及びビニルピロリドンとメチルビニルイミダゾリウムメトスルフェートとの反応によって製造される)、BASFからLuviquat(登録商標)Holdとして入手可能。
【0040】
アニオン性ヘアスタイリングポリマーの例を以下に挙げる:
酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー;
酢酸ビニルとクロトン酸と、ビニルネオデカノエートのようなアルファ−分枝をもつ飽和脂肪族モノカルボン酸のビニルエステルとのターポリマー;
メチルビニルエーテルとマレイン酸無水物との(モル比約1:1の)コポリマーでエタノールまたはブタノールのような炭素原子数1−4の飽和アルコールで50%エステル化されているもの;
アニオン性ラジカル含有部分としてアクリル酸またはメタクリル酸を含有しているアクリルコポリマー。他方のモノマーは例えば、アクリル酸またはメタクリル酸と炭素原子数1−22の1種または複数の飽和アルコールとのエステル(例えば、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、ラウリルメタクリレート及びベヘニルアクリレート);、炭素原子数1−6のグリコール(例えばヒドロキシプロピルメタクリレート及びヒドロキシエチルアクリレート);スチレン;ビニルカプロラクタム;酢酸ビニル;アクリルアミド;アルキル基の炭素原子数1−8のアルキルアクリルアミド及びメタクリルアミド(例えばメタクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド及びn−オクチルアクリルアミド);その他の相溶性不飽和モノマーなど。
【0041】
追加のスタイリングポリマーがポリジメチルシロキサンのようなグラフトシリコーンを含有してもよい。
【0042】
適切なアニオン性ヘアスタイリングポリマーの特定例は:
National Starchから入手可能なRESYN(登録商標)28−2930(酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカノエートコポリマー);
BASFから入手可能なULTRAHOLD(登録商標)8(CTFA名称アクリレート/アクリルアミドコポリマー);
ISP Corporationから入手可能なGANTREZ(登録商標)ESシリーズ(メチルビニルエーテルとマレイン酸無水物とのエステル化コポリマー)。
【0043】
その他の適切なアニオン性ヘアスタイリングポリマーはカルボキシル化ポリウレタン類である。カルボキシル化ポリウレタン樹脂は、カルボキシル側基を有しておりヒドロキシル末端を有している線状コポリマーである。これらは少なくとも1つの末端でエトキシル化及び/またはプロポキシル化されていてもよい。カルボキシル基はカルボン酸基またはエステル基でよく、そのエステル基のアルキル部分が1−3個の炭素原子を含有している。カルボキシル化ポリウレタン樹脂はまた、ポリビニルピロリドンとポリウレタンとのコポリマーでもよく、そのCTFA名称はPVP/ポリカルバモイルポリグリコールエステルである。適当なカルボキシル化ポリウレタン樹脂は欧州特許公開EP−A−0619111及び米国特許第5,000,955号に開示されている。
【0044】
他の適切な親水性ポリウレタン類は、米国特許第3,822,238号、第4,156,066号、第4,156,067号、第4,255,550号、及び、第4,743,673号に開示されている。
【0045】
t−ブチルアミノエチルメタクリレートのようなモノマーに由来のカチオン性基とアクリル酸またはメタクリル酸のようなモノマーに由来のカルボキシル基とを含有できる両性ヘアスタイリングポリマーも本発明に使用できる。両性ヘアスタイリングポリマーの1つの特定例は、National Starch and Chemical Corporationによって販売されているAmphomer(登録商標)(オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)である。
【0046】
適切な天然由来ヘアスタイリングポリマーの例は、セラック、アルギン酸塩、ゼラチン、ペクチン、セルロース誘導体及びキトサンまたはそれらの塩及び誘導体である。市販品の例はKytamer(登録商標)(Amerchol製)及びAmaze(登録商標)(National Starch製)である。
【0047】
その他成分
スタイリング製品は多くの場合担体とその他の追加成分とを含む。このような製品を配合するために必要な担体及び追加成分は、製品の種類によって違っており、当業者が常套的に選択できる。これらの担体及び追加成分のいくつかについて以下に記載する。
【0048】
この組成物は好ましくは水相を含む。好ましくは水相増粘剤が存在し、これらはセルロース誘導体、より特定的にはヒドロキシエチルセルロースまたはセチルヒドロキシエチルセルロースを基剤とする。代替的な水相増粘剤はカルボマーである。このような水相増粘剤は典型的には0.01−10重量%の量で存在する。
【0049】
本発明のヘアケア組成物は、頭髪に塗布するための適当な担体またはこのような担体の混合物を含むことができる。担体は組成物の約0.5%−約99.5%、好ましくは約5.0%−約99.5%、より好ましくは約10.0%−約98.0%の量で存在する。本文中に使用した“頭髪に塗布するための適当な”という表現は、担体が頭髪を傷めたり頭髪の美観にマイナスの影響を与えたりしないこと、または、下の皮膚に炎症を生じさせたりしないことを意味する。
【0050】
本発明の組成物はバッファまたはpH調整剤を含む。好ましいバッファまたはpH調整剤は、グリシン/水酸化ナトリウム、クエン酸、トリエタノールアミン、乳酸、コハク酸、酢酸及びそれらの塩のような弱酸及び弱塩基である。クエン酸ナトリウムとクエン酸のような混合緩衝系が頻用される。
【0051】
本発明のヘアケア組成物に使用するための適切な担体は例えば、クリームに常用のものである。本発明に使用される担体は、ヘアケア組成物に慣用の多様な成分を含む。担体は、使用されるスタイリング化合物を溶解または分散させる溶媒を含有できる。溶媒としては水、C−Cアルコール、低級アルキル酢酸塩及びそれらの混合物が好ましい。この担体はまた、アセトン、炭化水素(イソブタン、ヘキサン、デセン、など)、水、エタノール、揮発性シリコーン誘導体及びそれらの混合物のような多様な種類の追加材料を含有できる。このような混合物に使用される溶媒は互いに混和性でもよく不混和性でもよい。
【0052】
この担体は、第四級シリコーンポリマー、シリコーン基剤コンディショナー及びそれらのエマルジョン、アミノ官能性シリコーン及びそれらのエマルジョンのような頭髪に適した多様な別のコンディショニング材料を含み得る。これらのコンディショニングシリコーンの動的粘度は、25℃、5s−1で10,000mPa.sよりも大きい。
【0053】
全ての製品形態に適切なその他の汎用成分は、日光遮蔽剤、保存剤、抗酸化剤、フケ防止有効成分、及び、本発明の組成物の種々の担体成分を乳化する乳化剤を包含する。
【0054】
本発明の組成物はまた、ヘアケアに適した補助剤を含有できる。一般にこのような成分は、各々が全組成物の2重量%まで、好ましくは1重量%までのレベルで含有される。適切なヘアケア補助剤は、アミノ酸、糖及びセラミドを包含する。
【0055】
本発明の組成物はヘアケア組成物、特にヘアスタイリングクリームを含む製品に配合される。組成物はヒトの頭髪のスタイリングに使用され、より好ましくはそのままで包装してラベルを貼付する。
【0056】
製品は塗布後、直ちに洗い落とさずに頭髪に残しておくのが好ましい。
【0057】
以下の非限定実施例は本発明の好ましい実施態様をより詳細に説明する。実施例及び本明細書全体を通じて異なる指示がない限りパーセンテージは全重量を基準とした重量パーセントである。
【0058】
本発明の実施例を数字記号で示し、比較実施例を文字記号で示す。
【実施例】
【0059】
実施例1及び2は構造化油相を含み、実施例Aは構造化油相を含まない。
【0060】
【表1】

【0061】
上記のクリームはいずれも水中油型エマルジョンであり、以下の手順で調製した。
【0062】
トリカプリリン(trivent OCG)に由来の動的粘度は20mPas(25℃、5s−1)であり、イソプロピルミリステート(Estol 1514)に由来の動的粘度は5mPas(25℃、5s−1)である。
【0063】
実施例1及び2ではプロピレンカーボネートと水との95/5重量%混合物を調製した。次いで、油を50℃に加熱し、高剪断下でベントン粉末を添加し、その後に高剪断下で撹拌しながら活性化剤混合物をゆっくりと加えた。(ベントン/油ミックスの動的粘度は以下の値であった:25℃、0.5s−1で実施例1では340,000mPas、実施例2では4,000,000mPas、25℃、500s−1で実施例1では330mPas、実施例2では2,400mPas)。カルボマーとメチルパラベンとを高速撹拌下の水相に混合した。ベントンゲルと全油相成分(界面活性剤+保存剤)とを低剪断下に70℃で混合した。水相を70℃に予熱し、低剪断及び真空下でゆっくりと油相に乳化させた。PVP/PVAを使用し場合にはこれらをここで低剪断下のエマルジョンに加えた。真空下で高剪断を7.5分間使用した。次にエマルジョンを低剪断下、10℃/15分の速度で40℃に冷却した。5%NaOH溶液でpHを中和した。次に40℃で香料を加えた。最後に高(後−)剪断を真空下で7.5分間行った。
【0064】
白色人種の短い髪(平均8cm)のマネキン頭部に実施例を塗布した。実施例Aの場合、ほぼ即座に毛髪繊維が後方に倒れてしまったので髪を立たせた全く揃えない(incongruent)ヘアスタイルにすることはできなかった。しかしながら、実施例1及び2では、髪を立たせたこのようなヘアスタイルを作ることが明らかに可能であった。このようなスタイリング効果はスタイリングポリマーが共存するときのほうが容易に得られた。従って、実施例1よりも実施例2のほうがスタイリングが容易である。
【0065】
実施例2及び実施例Aを消費者パネル(12名)によって質的に評価し、優れたスタイリング性能を有している市販のベンチマーク製品に比較した。実施例2は、スタイリング性能についてはベンチマーク製品と同等の評価を受けたが、髪に対する製品の粘着性についてははるかに低い評価であった。実施例Aはスタイリングについては不十分であると評価されたが、官能特性は好意的に評価された(実施例2と同等)。これは、実施例2が良好なスタイリング性能と良好な官能的性能とを兼備していることを示す。
【0066】
以下も本発明の安定な配合物の実施例である。これらの実施例は頭髪のスタイリングに使用したときに許容できる粘着性を示した。
【0067】
【表2】

【0068】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型エマルジョンを含み、その油相が、
i)不揮発性油のいずれか1種類の動的粘度または不揮発性油のブレンドの動的粘度が25℃、5s−1で1000mPa.s未満であるような1種または複数の不揮発性油と、
ii)エマルジョン形成前の油相の動的粘度が、25℃、0.5s−1の剪断速度で少なくとも50,000mPa.sであり、500s−1の剪断速度で6,000mPa.s未満であるような油分散性構造化剤と、
を含むリーブオンヘアケア組成物。
【請求項2】
エマルジョン形成前の油相の動的粘度が、25℃、0.5s−1の剪断速度で少なくとも500,000mPa.sであり、500s−1の剪断速度で1,000mPa.s以下である請求項に記載のヘアケア組成物。
【請求項3】
エマルジョン形成前の油相が25℃で少なくとも500Paの降伏応力を有している請求項1または2に記載のヘアケア組成物。
【請求項4】
エマルジョン形成前の油相がその降伏点を越える点まで剪断されたときに少なくとも5%の回復率を有している請求項1から3のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項5】
頭髪に塗布後、組成物の一部が蒸発するかまたは頭髪に吸収されたときの組成物の残渣は25℃でエマルジョン形成前の油相のレオロジー特性の2倍以内のレオロジー特性を有している請求項1から4のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項6】
油相が液体である請求項1から5のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項7】
不揮発性油が、トリヘプタノイン、トリカプリリン、トリカプリン、トリウンデカノイン、トリリノレイン、トリオレイン、アーモンド油、ココヤシ油、オリーブ油、パーム核油、ピーナツ油、ヒマワリ油、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソセチルステアレート、エチルオレエート、オクチルイソステアレート、ブチルミリステート、ブチルステアレート、オクチルパルミテート、エチルヘキシルココエート、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、イソステアリン酸、鉱油、パラフイン油、ジカプリレート/ジカプレート、プロピレングリコール、C12−C15アルキルベンゾエートまたはこれらの混合物から成るグループから選択される請求項1から6のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項8】
油構造化剤が、デキストリンパルミテート、トリヒドロキシステアリン、ヒドロキシステアリン酸、親水性もしくは疎水性のシリカ、疎水的に改質されたクレーまたはこれらの混合物から成るグループから選択される請求項1から7のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項9】
構造化剤が疎水的に改質されたクレーであるとき、油相が更に極性活性化剤を含む請求項8に記載のヘアケア組成物。
【請求項10】
エマルジョンが更に非イオン性界面活性剤を含む請求項1から9のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項11】
油相内部の分散性構造化剤のレベルが配合物中の全油含量の0.5−20重量%である請求項1から10のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項12】
水相増粘剤で構造化された水相を含む請求項1から12のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項13】
更に、スタイリングポリマーを含む請求項1から13のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項14】
塗布後の組成物の一部が蒸発するかまたは頭髪に吸収されて頭髪に残渣が残るとき、該残渣の動的粘度が25℃、0.5s−1の剪断速度で少なくとも50,000mPa.s及び500s−1の剪断速度で6,000mPa.s未満となるような構造化油相を含有している水中油型エマルジョンを含むヘアケア組成物による頭髪のトリートメント方法。
【請求項15】
残渣が25℃で少なくとも500Paの降伏応力を有している請求項13に記載の頭髪のトリートメント方法。
【請求項16】
残渣がその降伏点を越える点まで剪断されたときに少なくとも5%の回復率を有している請求項14または15に記載の頭髪のトリートメント方法。
【請求項17】
請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を頭髪に塗布する段階を含む頭髪のトリートメント方法。
【請求項18】
髪をスタイリングする、スタイルを維持する、髪のスタイリングをやり直す、髪をコンディショニングする、髪の損傷を抑える、髪につやを与える、ウェット仕上げにする、及び/または、髪の量感を調節する、または、髪を整える、などの効果を得るための請求項1から13のいずれか一項に記載のヘアケア組成物の使用。

【公表番号】特表2007−533615(P2007−533615A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525689(P2006−525689)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009611
【国際公開番号】WO2005/025526
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】