説明

ルミネッセンスを生じる化合物およびチトクロムP4503A酵素を検出するための方法

本発明は、ルシフェリンのアセタール誘導体およびこのような誘導体を酵素活性のアッセイに用いるための方法を提供する。ルシフェリンの誘導体は、所望の酵素に対する基質として作用し、ルシフェラーゼのためのプロサブストレート(プロルシフェリン)である。このように、所望のルシフェラーゼでない酵素のための特定の酵素認識部位(この酵素のための基質として称される分子内の化学的な反応基)がルシフェリン誘導体の骨格(またはルシフェラーゼのための適切な基質を構成する他の化学的な部分)に連結したルシフェリン誘導体を提供することによって、ルシフェラーゼでない酵素がバイオルミネッセンスのアッセイにて測定され得る。このような誘導体は、例えば、D−ルシフェリンまたはアミノルシフェリンのカルボキシル基にて修飾を有し、必要に応じて他の修飾を有する誘導体である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、米国仮特許出願第61/089,818号明細書(2008年8月18日出願)の優先権を主張するものである。米国仮特許出願第61/089,818号明細書は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔背景技術〕
ルミネッセンスは、ルシフェラーゼが媒介する酸化反応の結果として特定の生物中にて生成される。多種多様な種に由来するルシフェラーゼ遺伝子、特に、Photinus pyralisおよびPhoturis pennsylvanica(北アメリカのホタル)のルシフェラーゼ遺伝子、Pyrophorus plagiophthalamus(ジャマイカンクリックビートル(Jamaican click beetle))のルシフェラーゼ遺伝子、Renilla reniformis(シーパンジー(sea pansy))のルシフェラーゼ遺伝子、ならびに数種の細菌(例えば、Xenorhabdus luminescensおよびVibrio spp)のルシフェラーゼ遺伝子は、非常に一般的なルミネッセンスのレポーター遺伝子である。また、ホタルのルシフェラーゼは、ATPの濃度を決定するための一般的なレポーターであり、このような役割に基づき、バイオマスを決定するために広く用いられている。また、ルミネッセンスは、他の酵素が特定の合成基質(例えば、アルカリホスファターゼとアダマンチルジオキセタンホスフェート、または西洋わさびペルオキシダーゼとルミノール)と混合されたときにも、生成される。
【0003】
ルシフェラーゼ遺伝子は、放射能を有しておらず、感度がよく、ルミネッセンスのアッセイにおける直線の範囲が極めて広いため、遺伝子のレポーターとして広く用いられている。例えば、わずか10〜20モルのホタルのルシフェラーゼを検出することができる。このため、遺伝子の活性のルシフェラーゼアッセイは、実験用の生物学的なシステム(原核生物の細胞培養物、真核生物の細胞培養物、トランスジェニック植物、トランスジェニック動物、無細胞の発現システムが挙げられる。)のほぼ全てに用いられている。同様に、ATPの濃度を決定するために用いられるルシフェラーゼアッセイは感度が高く、10〜16モル未満の検出を可能にする。
【0004】
ルシフェラーゼは、この酵素に特異的な基質(例えばルシフェリン)を酸化することによって光を発生させることができる。ホタルのルシフェラーゼおよび他の全てのビートルのルシフェラーゼに関し、光の発生は、ルシフェリン、マグネシウムイオン、酸素およびATPの存在下にて起こる。花虫類のルシフェラーゼ(Renillaのルシフェラーゼを含む。)に関し、基質であるセレンテラジンと一緒に必要とされるものは酸素のみである。一般に、遺伝子の活性を決定するためのルミネッセンスアッセイでは、反応の基質および他のルミネッセンスを活性化する試薬を、レポーターの酵素を発現することを推測される生物学的な系に導入する。次いで、その結果としてルミネッセンスが生じたのであれば、そのルミネッセンスをルミノメーターまたは放射エネルギーを測定する任意の適切なデバイスを用いて測定する。このアッセイは、非常に迅速であり、感度がよく、遺伝子発現のデータを素早く容易に、放射性試薬を必要とせずに提供する。
【0005】
ほとんどの酵素反応はルシフェラーゼと同一の成果をもたらさない。このため、細胞の分析およびハイスループットスクリーニングへ応用するに有用な酵素反応に、ルシフェラーゼによって媒介されるアッセイを利用できることを当業者は希望している。しかし、上述した酵素アッセイまたは生物学的アッセイを基礎とするこのようなルシフェラーゼによって媒介される反応の開発は制限されていた。ルシフェラーゼによって媒介される反応は、数多の他の分子(例えばATPまたは乳酸デヒドロゲナーゼ)の検出に用いられていた。これらの反応のいくつかに関し、天然に存在する基質の誘導体が用いられている。多数の複素環を有する有機酸であるネイティブなホタルのルシフェリン(D−(−)−2−(6’ヒドロキシ−2’−ベンゾチアゾリル)−Δ2−チアゾリン−4−カルボン酸)を図1に示す。例えば、プロテアーゼのような酵素の認識部位を有する、プロサブストレート(prosubstrate)としてのルシフェリン誘導体を用いる方法が、Miska et al. (Journal of Clinical Chemistry and Clinical Biochemistry, 25:23 (1987))によって記載されている。このルシフェリン誘導体と適切な酵素(例えばプロテアーゼ)とを特定の時間、インキュベートし、次いで、この混合物のアリコートをルシフェラーゼを含んでいる溶液に移すことによって、不均一なアッセイが実施されている。Masuda−Nishimura et al.(Letters in Applied Microbio., 30:130 (2000))は、ルシフェリンで修飾されたガラクトシダーゼ基質を用いた、シングルチューブの(均一な)アッセイの使用を報告した。これらのルシフェリン誘導体では、ルシフェラーゼでない酵素の活性に対する反応基として機能する誘導体の部分が、D−ルシフェリンまたはアミノルシフェリンの骨格に連結されており、ルシフェラーゼでない酵素が作用した際に、ルシフェラーゼのための基質としての役割を果たすべく、D−ルシフェリンまたはアミノルシフェリンの分子が反応の直接的な産物として生成されていた。ルシフェラーゼによって媒介される反応を他の酵素アッセイに広く適用することの主な障害は、ルシフェリン分子を修飾してルシフェラーゼでない酵素の基質として機能させるためには、ルシフェラーゼでない酵素の活性によって、D−ルシフェリンまたはアミノルシフェリンの分子がルシフェラーゼのための基質としての機能を保持するように直接的に生成されなければならない、という考えであった。
【0006】
〔要旨〕
本発明は、ルシフェリンのアセタール誘導体を提供する。また、本発明は、このような誘導体を酵素活性のアッセイに用いるための方法を提供する。この酵素活性のアッセイにおいて、ルシフェリン誘導体は、所望の酵素の基質としての役割を果たすものであり、ルシフェラーゼのプロサブストレート(プロルシフェリン)である。したがって、所望のルシフェラーゼでない酵素のための特定の酵素認識部位(この酵素のための基質として称される分子内の化学的な反応基)がルシフェリン骨格(またはルシフェラーゼのための適切な基質を構成する他の化学的な部分)に連結されているルシフェリン誘導体を提供することによって、ルシフェラーゼでない酵素がバイオルミネッセンスのアッセイにて測定され得る。このような誘導体は、例えば、D−ルシフェリンまたはアミノルシフェリンのカルボキシル基にて修飾を有し、必要に応じて他の修飾を有する誘導体である。
【0007】
本発明の誘導体の範囲内におけるルシフェリンの修飾としては、環の原子の1つ以上の置換、環の原子に結合した置換基(原子または基)の1つ以上の置換、および/または環への1つ以上の原子の付加(例えば環の拡張または付加)あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。D−ルシフェリンにおける環の原子のいくつかに番号を付して図1に示す。ネイティブなホタルのルシフェリンは、3つの連結した環、すなわち、6位にOH基を有する6員環(以下では「環A」または「A環」と称する。)、この6員環に連結した5員環のチアゾール環(以下では「環B」または「B環」と称する。)、および5位がカルボキシル基で修飾された5員環のチアゾール環(以下では「環C」または「C環」と称する。)を有している。本発明のルシフェリン誘導体は、このC環におけるカルボキシル基をアセタール基と置換する修飾を少なくとも1つ含んでいる。例えば、A環の修飾を有するルシフェリン誘導体は、A環におけるC原子を別の原子と置換すること、環の付加、環の原子に結合した置換基を異なる原子または基と置換すること、またはこれらの任意の組み合わせを有していてもよい。B環の修飾を有するルシフェリン誘導体は、この5員環を例えば6員環に拡張するように、この5員環に原子を付加するかまたはこの5員環内の原子を置換すること(例えば1つ以上の原子の挿入)、この環内のNまたはSを異なる原子(例えばCまたはO)と置換すること、環の原子に結合した置換基の原子または基を置換すること、あるいはこれらの任意の組み合わせを有していてもよい。C環の修飾を有するルシフェリン誘導体は、この環内の原子を別の原子と置換すること、環の原子に結合した置換基を異なる原子または基と置換すること、あるいはこれらの任意の組み合わせを有していてもよい。本発明の誘導体は、1つよりも多い位置にて修飾されていてもよい。例えば、誘導体は、2つ(またはそれ以上)のA環の修飾、2つ(またはそれ以上)のB環の修飾、2つ(またはそれ以上)のC環の修飾、あるいはこれらの任意の組み合わせを有していてもよい。
【0008】
一実施形態において、アセタール基に加えて、ルシフェリンは、ルシフェリンの骨格がその環の構造において修飾されているもの(例えば、キノリルルシフェリンまたはナフチルルシフェリン)を含んでいるか、または環Aにおいてハロゲンを含んでいる。アセタールの修飾を有する誘導体を使用すれば、例えば、シグナルの増加、バックグラウンドの低減、選択性の増加、および/またはKの低減によって、特定のルシフェラーゼでない酵素または分子が提供されるか、あるいはこのような酵素または分子のためのアッセイが改善される。よって、本発明のルシフェリン誘導体を用いるバイオルミネッセンスの方法を、1つ以上の分子(例えば、酵素、酵素反応のための補助因子、酵素の基質、酵素の阻害物質または酵素の活性化物質)を検出するために用いることができる。
【0009】
本明細書に記載したように、本発明の化合物は、シグナルが増加しており、バックグラウンドがより低く、基底レベルを検出する際により感度のよいアッセイを提供し、他のルミネッセンスを生じるCYP3A4の基質と比べてCYP3A4の活性に対する選択性(2μMにて使用された場合のK)が向上されていた。さらに、本発明の化合物との反応におけるCYP3A4の活性は、テストステロン、ケトコナゾール、ニフェジピン、およびミダゾラムによって阻害された。このような化合物は、CYP3Aの阻害物質のための範囲の広いプローブであり、範囲のより狭いプローブによって3Aの活性を阻害しない作用物質を検出するに有用である。さらに、本発明の化合物を上述した方法に使用した場合、反応がより迅速に進行した(例えば、約1.4/分のKcat対約15/分のKcat)(Cali et al. Luminogenic Cytochrome P450 Assays. Exp. Op. Drug Metab. Toxicol. (2006) 2(4):629−645参照)。
【0010】
C環のカルボキシル基がアセタール基で置換された修飾を少なくとも1つ有する本発明のルシフェリン誘導体は、チトクロムP450酵素、フラビンモノオキシゲナーゼ(FMO)、ペルオキシダーゼまたは他の酵素、あるいは活性酸素種(酸素イオンまたは酸素ラジカルを有する化合物など)のための基質であり得る。さらに、ルシフェリン誘導体は、モノアミンオキシダーゼ(MAO)、または他のチトクロムP450酵素、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、デアルキラーゼ、デアセチラーゼ、デホルミラーゼ、ホスファターゼ(例えばアルカリホスファターゼ(AP))、スルファターゼ、ベータラクタマーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、プロテアーゼ(例えば、プロテオソーム、カテプシン、カルパイン、βセクレターゼ、トロンビンまたはグランザイム)のための基質を産生する修飾も含んでいてもよいし、活性酸素種(ROS)、ペルオキシダーゼ(例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP))および酸化還元の状態を検出するに有用でもある。例えば、米国特許出願第2007/0015790号明細書参照。なお、この文献の開示は、参照によって本明細書に援用される。これらのさらなる修飾は、上記にて記載したようなA環またはB環への修飾である。
【0011】
一実施形態において、本発明は以下の式(I)の化合物を提供する。
【0012】
【化1】

【0013】
(I)
上記式(I)において、
Yは、N、N‐オキシド、N‐(C〜C)アルキルまたはCHであり;
Xは、S、O、CH=CH、N=CHまたはCH=Nであり;
はそれぞれ独立してOまたはSであり;
R’およびR”はそれぞれ独立して、(C〜C20)アルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、(C〜C20)シクロアルキル、(C〜C30)アリール、ハロアリールもしくは複素環であるか、または、R’およびR”は共に環式部分を形成しており;
R’およびR”は、ヒドロキシル、(C〜C12)アルコキシ、オキシ、アミノ、ハロ、カルボキシル、チオ、(C〜C30)アリール、ハロアリールまたは複素環で任意に置換されていてもよく、
Zは、H、OR、OH、NH、NHRまたはNRRであり;
はH、ハロ、(C〜C)アルキル、(C〜C20)アルケニル、ヒドロキシルもしくは(C〜C)アルコキシであり、nは1、2または3であるか、または
およびZは、環Aにおいて共にケト基を形成しており、環Aにおいて任意の結合を示す破線の少なくとも1つが存在せず;
はそれぞれ独立して、H、ハロ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、ヒドロキシルまたは(C〜C)アルコキシであり;
、K、KおよびKはそれぞれ独立して、CH、N、N‐オキシド、またはN‐(C〜C)アルキルであり、
とKとの間およびKとKとの間の破線は、任意の結合を示し、何れかのCHの炭素が置換されているとき、Hは存在せず、
環Bにおける破線は、任意の二重結合であり、
Rは、それぞれ独立して、H、(C〜C20)アルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、(C〜C20)シクロアルキル、(C〜C12)アルコキシ、(C〜C30)アリール、アリール(C〜C20)アルキル、ハロアリール、複素環、(C〜C20)アルキルスルホニル、(C〜C30)アリールスルホニル、ハロアリールスルホニル、(C〜C20)アルキルスルフィニル、(C〜C30)アリールスルフィニル、ハロアリールスルフィニル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、アミノ、NH(C〜C)アルキル、N((C〜C)アルキル)、トリ(C〜C20)アンモニウム(C〜C20)アルキル、ハロアリール(C〜C20)アルキル、第4級窒素を有するハロアリール、第4級窒素を有するハロアリールカルボニル、(C〜C30)アリールチオ、(C〜C20)アルキルリン酸塩、(C〜C20)アルキルホスホン酸塩、(C〜C30)アリールリン酸塩、(C〜C30)アリールホスホン酸塩、リン酸塩、硫酸塩もしくはサッカライドあるか、または、ZがNRRであるとき、Nと共にRRは任意にハロアリール基または複素環基を形成しており;
上記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、アリール、ハロアリールまたは複素環基は何れも、(C〜C20)アルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、(C〜C20)シクロアルキル、(C〜C20)アルコキシル、(C〜C20)アルキルカルボニル、(C〜C20)アルキルカルボキシル、ハロ、ヒドロキシル、‐COOR、‐S(O)R、‐SO、‐SO、ニトロ、アミノ、リン酸塩、(C〜C20)アルキルリン酸塩、(C〜C20)アルキルホスホン酸塩、NH(C〜C)アルキル、NH(C〜C)アルキニル、N((C〜C)アルキル)、N((C〜C)アルキニル)、メルカプト、(C〜C20)アルキルチオ、(C〜C14)アリール、(C〜C14)アリールチオ、トリフルオロメチル、=O、ハロアリールまたは複素環から選ばれる1、2、3、4または5の置換基によって任意に置換されていてもよく、
上記RがH、(C〜C)アルキル、(C〜C14)アリール、複素環もしくはハロアリールまたはこれらの塩であり、上記それぞれの置換基は1〜3のR基によって任意に置換されていてもよく;
上記Zが窒素部分を含むとき、Zの窒素部分の水素の1または両方は、(C〜C20)アルキルまたは置換基Lによって置き換えられていてもよく;
上記置換基Lは、ルシフェラーゼでない酵素のための基質であるアミノ酸ラジカル、20以下のアミノ酸部分を有するペプチドラジカルまたはその他の低分子であり;
上記Zがヒドロキシル基または窒素部分であるとき、ヒドロキシル基の水素または窒素部分が、(HO)P(O)‐OCH‐、スルホ、‐POまたは1〜約12の炭素原子の炭素鎖を介してZ基に連結しているセファロスポラニン酸によって置き換えられていてもよく、
上記Zがヒドロキシル基または窒素部分であるとき、ヒドロキシル基の1つの水素または窒素部分が、L’基‐リンカーによって置き換えられていてもよく;
上記L’基は、リンカーを固定しない酵素によって除去可能であり、リンカーは自己切断性を有し、1または複数の窒素原子、酸素原子、カルボニル基、任意で置換されている芳香族環またはペプチド結合によって任意に割り込まれていてもよい炭素鎖であり;
上記リンカーは、リンカーの1つの末端にて、酸素原子またはNH基を介してL’基と連結されており、リンカーの他の末端は、Z基とエーテル、エステルまたはアミド結合を形成しており;
上記ZがORであるとき、式Iは任意で、(C〜C12)アルキルジラジカルを含むリンカーを介して2つの環Aに結合されたダイマーであってもよく;
上記リンカーは、式Iのダイマー間において、架橋を形成する1〜4の酸素原子、窒素原子または任意で置換されていてもよいアリール、ハロアリールまたは複素環基によって割り込まれていてもよく、式Iのダイマーに結合している上記それぞれのZ基のR基は、架橋によって置き換えられている化合物。
【0014】
本明細書に記載のルシフェリン誘導体を使用すれば、ルシフェラーゼでない分子との相互作用によって光学特性の測定可能な変化をもたらすアッセイを用いることができる。この相互作用はルシフェリン誘導体の構造を変えることもある。本明細書に記載したように、ルシフェリン誘導体とルシフェラーゼでない酵素または目的の他の酵素との間の反応の産物は、D−ルシフェリンまたはアミノルシフェリンである必要がない。例えば、ルシフェリン誘導体は、ルシフェリンまたはアミノルシフェリンに化学的なリンカーを介して連結された、ルシフェラーゼでない酵素のための化学的な反応基を含んでいる基質を含んでいてもよい。ルシフェラーゼでない酵素による誘導体の化学的な反応基の変形は、この基質の一部、化学的なリンカーの一部、化学的なリンカー、またはこの基質と化学的なリンカーとの一部を含んでいる(保持している)産物を生成し得る。この産物は、ルシフェラーゼのための基質またはプロサブストレートである。
【0015】
一実施形態において、1つ以上のルシフェラーゼでない酵素を検出するためにバイオルミネッセンスをアッセイする方法が提供される。この方法は、1つ以上のルシフェラーゼでない酵素、反応のための基質または補助因子を有していると推測されるサンプルを、ルシフェラーゼでない酵素のための基質である本発明のルシフェリンの誘導体またはアミノルシフェリンの誘導体を含んでいる対応する反応混合物と接触させる工程を包含している。
【0016】
さらに、ルシフェラーゼによって媒介されるアッセイにルシフェリン誘導体と一緒にチオール化合物を含ませることによって、反応のルミネッセンスが効果的に安定化し得る。これによって、「グロー」カイネティクス(glow kinetics)を提供することができる。すなわち、ルシフェラーゼによって媒介される反応のルミネッセンスの強度が、誘導体を添加した後の期間において比較的一定になる。このような化合物は、ルシフェラーゼでない酵素の存在または活性、あるいは酵素を用いない生物学的反応をモニターする、バイオルミネッセンスを生じるアッセイに用いてもよい。
【0017】
誘導体が、ルシフェラーゼのためのプロサブストレートである場合(すなわち、誘導体とルシフェラーゼでない酵素との間の反応の産物がルシフェラーゼのための基質である場合)、ルシフェラーゼでない酵素とルシフェラーゼとのための連続して行われるまたは同時に行われる反応を実施してもよい。例えば、ルシフェラーゼのためのプロサブストレートであるルシフェリン誘導体を含んでいる、ルシフェラーゼでない酵素のためのアッセイを単一の反応容器にて実施してもよい。そして、ビートルのルシフェラーゼの反応混合物をこの反応容器に添加してもよい。別の実施形態では、ルシフェラーゼのためのプロサブストレートであるルシフェリン誘導体を含んでいるルシフェラーゼでない酵素のためのアッセイのための反応混合物を単一の反応容器にて実施し、この反応物の一部を、ビートルのルシフェラーゼの反応混合物を有する、異なる容器に添加してもよい。また、非ルシフェラーゼの反応およびルシフェラーゼの反応を同一の容器にて同時に実施してもよい。
【0018】
このように、本発明は、一実施形態において、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための分子の、サンプル中の存在または量を検出または決定する方法を提供する。この方法は、サンプル、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための第1の反応混合物、およびルシフェラーゼでない酵素のための基質であるルシフェリンの誘導体を接触させて、ルシフェラーゼのための基質である、ルミネッセンスを生じる産物を含んでいる第1の混合物を生成する工程を包含している。一実施形態において、この誘導体は、式Iの化合物である。第1の混合物の少なくとも1部を、ルシフェラーゼによって媒介される反応のための第2の反応混合物と接触させて、第2の混合物を生成する。次いで、第2の反応におけるルミネッセンスを検出または決定し、これによって、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための分子の、サンプル中の(例えば、コントロールと比較した)存在または量を検出または決定する。いくつかの実施形態において、第2のルシフェラーゼでない酵素を用いて、第1のルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応の産物をさらに化学的に変形し、ルシフェラーゼのための基質を生成してもよい。例えば、サンプル、非ルシフェラーゼの反応混合物、またはルシフェラーゼの反応混合物は、エステラーゼを含んでいてもよい。あるいは、エステラーゼは別に添加されてもよい。
【0019】
代わりの実施形態において、第1のルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための分子の、サンプル中の存在または量を検出または決定する方法が提供される。この方法は、サンプル、ルシフェラーゼでないものによって媒介される酵素反応およびルシフェラーゼによって媒介される反応のための反応混合物、ならびにルシフェラーゼでない酵素のための基質であるルシフェリンの誘導体を接触させて、混合物を生成する工程を包含している。ルシフェラーゼでない酵素とこの誘導体との間の反応によって、ルシフェラーゼのための基質である、ルミネッセンスを生じる産物が生成する。上記混合物におけるルミネッセンスを検出または決定し、これによって、ルシフェラーゼでないものによって媒介される反応のための分子の、サンプル中の存在または量を検出または決定する。
【0020】
また、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のモジュレーターを同定する方法も提供する。この方法は、1つ以上の作用物質、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための第1の反応混合物、およびルシフェラーゼでない酵素のための基質であるルシフェリンの誘導体を接触させて、第1の混合物を生成する工程、またはこのような混合物を提供する工程を包含している。1つ以上の作用物質が存在していない第1の混合物は、ビートルのルシフェラーゼのための基質である、ルミネッセンスを生じる産物を含んでいる。第1の混合物の少なくとも一部とビートルのルシフェラーゼによって媒介される反応のための第2の反応混合物とを混合して、第2の混合物を生成する。第2の混合物におけるルミネッセンスをコントロールの混合物と比較し、これによって、1つ以上の作用物質がルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応を調節するか否かを特定する。
【0021】
本発明は、本発明のルシフェリン誘導体を1つ以上有している組成物またはキットを提供する。このキットは、必要に応じて、他の試薬(例えば、酵素および反応混合物など)を含んでいてもよい。本発明のバイオルミネッセンスを生じる反応混合物、組成物およびキットは、必要に応じて、反応速度を遅くする作用物質(例えば、アミノメチルベンゾチアゾール(AMBT)またはアミノフェニルメチルベンゾチアゾール(APMBT)(米国特許出願第2004/0171099号明細書参照))、および/または光の生成を安定化させる作用物質(例えばチオールまたはコエンザイムA)を含んでいてもよい。上述の反応速度を遅くする作用物質は、グローカイネティクスをもたらす。
【0022】
〔図面の簡単な説明〕
以下の図面にて、本発明の特定の実施形態および/または種々の態様をさらに実証する。必要に応じて、添付の図面を本明細書に示した詳細な説明と組み合わせて参照すれば、本発明の実施形態を最もよく理解することができる。この説明および添付の図面は特定の具体的な例または本発明の特定の態様を強調することがあるが、当業者は、この例または態様の部分を本発明の他の例または態様と組み合わせて用いてもよいことを理解するだろう。
【0023】
図1は、ビートルのルシフェリン(D−ルシフェリン)の6員環(「A環」または「環A」)内の環の原子、中心の5員環(「B環」または「環B」)内の環の原子、およびチアゾールの5員環(「C環」または「環C」)内の環の原子の番号を示す図である。
【0024】
図2は、化合物3391のP450酵素に対する選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3391またはアセタールでないプロルシフェリン誘導体(ルシフェリン−BE、ルシフェリン−PFBEまたはルシフェリン−PPXE)を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。3つ組(three replicate)の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【0025】
図3は、ニフェジピンによるCYP3A4の活性の阻害を示す図である。
【0026】
図4は、ケトコナゾールによるCYP3A4の活性の阻害を示す図である。
【0027】
図5は、テストステロンによるCYP3A4の活性の阻害を示す図である。
【0028】
図6は、ミダゾラムによるCYP3A4の活性の阻害を示す図である。
【0029】
図7は、CYP3A4の3391に対する活性の用量依存性を示す図である。
【0030】
図8は、化合物3320のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3320を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【0031】
図9は、化合物3366のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3366を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【0032】
図10は、化合物3364のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3364を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【0033】
図11は、化合物3365のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3365を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【0034】
図12は、化合物3377のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3377を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【0035】
図13は、化合物3387のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3387を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【0036】
図14は、化合物3357のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3357を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【0037】
図15は、化合物3358のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3358を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【0038】
図16は、化合物3359のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3359を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【0039】
図17は、化合物3363のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3363を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【0040】
図18は、化合物3397のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3397を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【0041】
図19は、化合物3403のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3403を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【0042】
図20は、化合物3391のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3391を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。この図は実施例1およびその「材料および方法」の項に記載したような図2と異なる。
【0043】
図21は、ヒトの肝細胞におけるCYP3A4の誘導を示す図である。10μMのケトコナゾール(Keto)を有しているまたは有していない、500μMのフェノバルビタール(PB)またはPBのビヒクル(0.1%ジメチルスルホキシド(DMAO))で処理した後の培養肝細胞におけるCYP3A4の活性を検出するためのバイオルミネッセンスのプローブとして、化合物3391を用いた。4つ組のウェルからの測定の平均値および標準偏差を示す。バックグラウンドは、培地および化合物3391を含んでいるが、細胞を含んでいないウェルからのシグナルである。基底(Basal)は、培地、0.1%DMSOおよび細胞を含んでいるウェルからのシグナルである。バックグラウンドの値(グラフ上のバーとして確認することができない。)は990±71RLUである。基底+ketoの値(これも、グラフ上のバーとして確認することができない。)は3613±244RLUである。
【0044】
〔詳細な説明〕
<I.定義>
本明細書で用いるに際し、以下の用語および表現は示された意味を持つ。本発明に係る化合物は、非対称の置換された炭素原子群を含み、光学活性またはラセミ体にて単離され得る。ラセミ体の分割または光学活性な出発原料からの合成など、どのように光学活性体を調製する手法は公知である。構造の、全てがキラル型、ジアステレオマー体、ラセミ体および全ての幾何異性体は、本発明の一部である。ラジカル、置換基および範囲に関する特定値は、説明に関するもののみ記載している。これらは、ラジカルおよび置換基に係る範囲において、他の規定された値または他の値を排除するものではない。
【0045】
本明細書で用いるに際し、用語“置換された”とは、以下の事項を示す意図である。すなわち、“置換された”が使用された表現にて示された置換基上の1または複数(例えば、1、2、3、4、5または6である。ある実施形態では、1、2または3であり、他の実施形態では、1または2である)の水素が、望ましい1もしくは複数の置換基から選択された置換基、または、公知の適切な置換基に置き換えられることを意味する。上述の原子の原子価は超過せず、置換の結果、安定した化合物が得られる。
【0046】
置換基に係る安定な置換には、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、ハロアリール、複素環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロメチルチオ、ジフルオロメチル、アセチルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ハロアリールスルフィニル、ハロアリールスルホニル、複素環スルフィニル、複素環スルホニル、リン酸塩、硫酸塩、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシル(アルキル)アミンおよびシアノによる置換が含まれる。
【0047】
さらに、安定な望ましい置換基には、例えば、‐X、‐R、‐O、‐OR、‐SR、‐S、‐NR、‐NR、=NR、‐CX、‐CN、‐OCN、‐SCN、‐N=C=O、‐NCS、‐NO、‐NO、=N、‐N、‐NC(=O)R、‐C(=O)R、−C(=O)NRR、‐S(=O)、‐S(=O)OH、‐S(=O)R、‐OS(=O)OR、‐S(=O)NR、−S(=O)R、‐OP(=O)ORR−P(=O)ORR、‐P(=O)(O−)、‐P(=O)(OH)、‐C(=O)R、‐C(=O)X、‐C(S)R、‐C(O)OR、‐C(O)O、‐C(S)OR、‐C(O)SR、‐C(S)SR、‐C(O)NRR、‐C(S)NRR、‐C(NR)NRRが含まれる。
【0048】
上記Xはそれぞれ独立してハロゲン(“ハロ”)であり、ハロゲンにはF、Cl、BrまたはIである。また、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、ハロアリール、複素環、保護基またはプロドラッグ部分である。当業者の知識によれば、ケト(=O)またはチオキソ(=S)などにより置換がなされ、その後、2つの水素原子が置換された原子に置き換わると速やかに理解されるであろう。
【0049】
“安定な化合物”および“安定な構造”とは、反応混合物から有効な程度の純度で単離されて存在するほど充分に強固である化合物を意味する。安定な化合物は熟考されたものであり、本発明において特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、ある種の不安定な化合物、例えば、容易に単離できない化合物も本明細書に係る方法に用いられる。
【0050】
あるジアステレオマーは、他のジアステレオマーに比較して、優れた特性または活性を示し得る。必要であれば、Tuckerらの J. Med. Chem., 37:2437 (1994)に記載されているように、キラルカラムによって、またはカンファークロリドなどの分割剤を用いて分割することによって、ラセミ物質の分離を行うことができる。キラル化合物は、キラル触媒またはキラル配位子を用いて直接合成してもよい。例えば、Huffman et al., J. Org. Chem., 60:1590 (1995)が挙げられる。
【0051】
本明細書で用いるに際し、用語“アルキル”は、分岐のある、分岐のないまたは環式の炭化水素に係るものであり、例えば、1〜30の炭素原子、多くは、1〜12または1〜約6の炭素原子を有する。これらに限定されないが、メチル、エチル、1‐プロピル、2‐プロピル、1‐ブチル、2‐メチル‐1‐プロピル、2‐ブチル、2‐メチル‐2‐プロピル(t‐ブチル)、1‐ペンチル、2‐ペンチル、3‐ペンチル、2‐メチル‐2‐ブチル、3‐メチル‐2‐ブチル、3‐メチル‐1‐ブチル、2‐メチル‐1‐ブチル、1‐ヘキシル、2‐ヘキシル、3‐ヘキシル、2‐メチル‐2‐ペンチル、3‐メチル‐2‐ペンチル、4‐メチル‐2‐ペンチル、3‐メチル‐3‐ペンチル、2‐メチル‐3‐ペンチル、2,3‐ジメチル‐2‐ブチル、3,3‐ジメチル‐2‐ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルなどが一例として含まれる。
【0052】
上記アルキルは、置換されていなくともよいし、置換されていてもよい。例えば、置換されたアルキル基は以下に示すハロアルキル基であってもよい。上記アルキルは、任意で部分的なまたは完全な不飽和化合物であってもよい。アルキル基は詳細には、アルケニル基およびアルキニル基の両方を含む。アルキルは、上述し、例示した化合物の一価の炭化水素ラジカルであってもよく、または、2価の炭化水素ラジカルであってもよい(すなわち、アルキレン)。用語“割り込み”にて説明したように、アルキル基は任意に割り込まれていてもよい。
【0053】
用語“アルケニル”は、分岐のある、または、分岐のない部分的に不飽和な炭化水素鎖のモノラジカルに係るものである(すなわち、炭素‐炭素、sp二重結合)。
【0054】
一実施形態において、アルケニル基は、2〜10の炭素原子または2〜6の炭素原子を有してもよい。他の実施形態において、アルケニル基は、2〜4の炭素原子を有する。限定されるわけではないが、エチレンまたはビニル、アリル、シクロペンテニル、5‐ヘキセニルなどが一例に含まれる。上記アルケニルは、置換されていなくともよいし、置換されていてもよい。
【0055】
用語“アルキニル”は、完全に不飽和な点を有する(すなわち、炭素‐炭素、sp三重結合)、分岐のある、または、分岐のない炭化水素鎖のモノラジカルに係るものである。一実施形態において、アルキニル基は2〜10の炭素原子または2〜6の炭素原子を有していてもよい。また、他の実施形態において、アルキニル基は、2〜4の炭素原子を有していてもよい。
【0056】
この用語アルキニルは、エチニル、1‐プロピニル、2‐プロピニル、1‐ブチニル、2‐ブチニル、3‐ブチニル、1‐ヘキセニル、2‐ヘキセニル、3‐ヘキセニル、1‐オクチニなどによって例示される。アルキニルは、置換されていなくともよいし、置換されていてもよい。
【0057】
用語“シクロアルキル”は、単式環または複式の縮合環を有する、3〜10の炭素原子の環式アルキル基に係るものである。このようなシクロアルキル基は、以下のようなものが含まれ、単環として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなど、または、複数環構造として、アダマンタニルなどが知られている。上記シクロアルキルは、置換されていなくともよいし、置換されていてもよい。
【0058】
上記シクロアルキル基は、一価または二価であってもよく、上述したアルキル基によって任意に置換されていてもよい。シクロアルキル基は1または複数の不飽和箇所を任意に含んでいてもよい。例えば、シクロアルキル基は、1または複数の炭素‐炭素二重結合を含んでいてもよく、シクロヘキサン、1,3‐シクロヘキサジエン、1,4‐シクロヘキサジエンなどが例示される。
【0059】
用語“アルコキシ基”は、アルキル‐O‐に係るものであると規定される。一実施形態において、アルコキシ基として、例えば、メトキシ、エトキシ、n‐プロポキシ、イソプロポキシ、n‐ブトキシ、tert‐ブトキシ、sec‐ブトキシ、n‐ペントオキシ、n‐ヘキシルオキシ、1,2‐ジメチルブトキシなどが挙げられる。アルコキシ基は置換されていなくとも、置換されたものであってもよい。
【0060】
本明細書で用いるに際し、“アリール”は、親の芳香環系の1つの炭素原子から1つの水素原子を除去した構造に由来する芳香族炭化水素基に係るものである。ラジカルは、飽和または不飽和の親の環系の炭素原子である。上記アリール基は、6〜30の炭素原子、6〜20の炭素原子、6〜14の炭素原子または6〜10の炭素原子を有していてもよい。上記アリール基は、単環(例えば、フェニル)または複数の縮合(融合)環を有していてもよい。上記アリール基において、少なくとも1つの環は、芳香性を有する(例えば、ナフチル、ジヒドロフェナントリジン、フルオレニルまたはアントリル)。代表的なアリール基には、限定されないが、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルなどに由来するラジカルが含まれる。上記アリールは、アルキル基について説明したように、置換されてもよく、または、任意に置換されていてもよい。例えば、アリール基は、種々の置換されたアリール基を提供するために、1または複数の置換基(上述した置換基)、一例として、ペンタフルオロフェニルまたはパラ‐トリフルオロメチルフェニルなどによって置換されていてもよい。
【0061】
用語“ハロ”は、フッ化、塩化、臭化およびヨウ化に係るものであり、類似の用語“ハロゲン”は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素に係るものである。
【0062】
用語“ハロアルキル”は、本明細書にて上述した1または複数のハロ基によって置換されたものと規定される。上記ハロ基は、同一または異なっていてもよい。一実施形態において、ハロアルキルは、1、2、3、4または5のハロ基によって置換されていてもよい。また、他の実施形態において、ハロアルキルは、1、2または3のハロ基によって置換されていてもよい。用語ハロアルキルは、ペルフルオロ‐アルキル基も含む。
【0063】
代表的なハロアルキル基としては、トリフルオロメチル、3‐フルオロドデシル、12,12,12‐トリフルオロドデシル、2‐ブロモオクチル、3‐ブロモ‐6‐クロロヘプチル、1H,1H‐ペルフルオロオクチルなどが一例として含まれ得る。ハロアルキルは、アルキル基について上述したように、任意に置換されていてもよい。
【0064】
用語“ハロアリール”は、本明細書において、単環式、二環式または三環式の環系として規定される。上記環系は、1、2または3の芳香族環を含み、芳香族環において少なくとも1つの窒素、酸素または硫黄原子を含む。上記環系は、例えば、1または複数、特に1〜3の置換基によって置換されていてもよいし、置換されていなくともよい。上記置換基は、“置換された”の規定において上述した通りである。
【0065】
代表的なハロアリール基は、1または複数のヘテロ原子に加えて、2〜20の炭素原子を含んでいる。ハロアリール基の一例としては、これらに限定されないが、2H‐ピロリル、3H−インドリル、4H‐キノリジニル、アクリジニル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾチアゾリル、□‐カルボリニル、カルバゾリル、クロメニル、シンノリニル、ジベンゾ[b,d]フラニル、フラザニル、フリル、イミダゾリル、イミジゾリル、インダゾリル、インドリシニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、オキサゾリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリルおよびキサンテニルが挙げられる。
【0066】
一実施形態において、用語“ハロアリール”は、5または6員環原子を含む単環式の芳香族環を示す。上記5または6員環原子は、炭素、および、過酸化されていない酸素、硫黄および窒素(Z)から独立して選択された1、2、3または4つのヘテロ原子を含む。上記Zは、存在しないか、H、O、アルキル、アリールまたは(C〜C)アルキルアリールである。
【0067】
他の実施形態において、ハロアリールは以下の誘導体に由来する8〜10員環原子のオルソ位で縮合した二環式を示し、以下の誘導体は、特に、ベンゼン誘導体またはプロピレン、トリメチレンまたはテトラメチレンジラジカルを縮合することに由来する1つの誘導体である。
【0068】
用語“複素環”は、飽和のまたは部分的に不飽和の環系に係るものである。上記複素環は、酸素、窒素および硫黄からなる群から選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含み、用語“置換された”において規定したように、1または複数の置換基によって任意に置換されていてもよい。
【0069】
複素環は、1または複数のヘテロ原子を含む単環式、二環式または三環式の基であってもよい。また、複素環基は、環に連結するオキソ基(=O)またはチオキソ(=S)基を含んでいてもよい。
【0070】
複素環基は、以下の例示に限定されないが、1,3‐ジヒドロベンゾフラン、1,3‐ジオキソラン、1,4‐ジオキサン、1,4‐ジチアン、2H‐ピラン、2‐ピラゾリン、4H‐ピラン、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソクロマニル、イソインドリニル、モルフォリン、ピペラジニル、ピペリジン、ピペリジル、ピラゾリジン、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジン、ピロリン、キヌクリジンおよびチオモルフォリンを含んでいる。
【0071】
用語“複素環”はこれらの例に限定されないが、Paquette, Leo A.; Principles of Modern Heterocyclic Chemistry (W.A. Benjamin, New York, 1968)、特に、チャプター1、3、4、6、7および9; The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A Series of Monographs" (John Wiley & Sons, New York, 1950から現在)、特に、Volumes 13、14、16、19および28; J. Am. Chem. Soc. 1960, 82, 5566.において記載された複素環のモノラジカルが含まれる。
【0072】
一実施形態において、“複素環”は、本明細書で規定される“炭素環”を含む。上記炭素環は、ヘテロ原子(例えば、O、NまたはS)によって置き換えられている1または複数の(例えば、1、2、3または4の)炭素原子を有する。
【0073】
複素環の例示には、これらに限定されないが、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、硫黄酸化テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、2‐ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、アゾシニル、トリアジニル、6H‐1,2,5‐チアジアジニル、2H,6H‐1,5,2‐ジチアジニル、チエニル、チアントレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサンテニル、2H‐ピロリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H‐インドリル、1H‐インダゾリ、プリニル、4H‐キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β‐カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、オキシインドリル、ゼンゾキサゾリニル、イサチノイルおよびビス‐テトラヒドロフラニルが含まれる。
【0074】
一例として知られており、これらに限定されないが、複素環に結合した炭素は、ピリジンの2、3、4、5または6位、ピリダジンの3,4,5または6位、ピリミジンの2、4、5または6位、ピラジンの2、3、5または6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールもしくはテトラヒドロピロールの2、3、4または5位、オキサゾール、イミダゾールもしくはチアゾールの2、4または5位、イソオキサゾール、ピラゾールもしくはイソチアゾールの3、4または5位、アジリジンの2または3位、アゼチジンの2、3または4位、キノリンの2、3、4、5、6、7または8位、イソキノリンの1、3、4、5、6、7または8位において結合されている。
【0075】
複素環に結合した炭素には、2‐ピリジル、3‐ピリジル、4‐ピリジル、5‐ピリジル、6‐ピリジル、3‐ピリダジニル、4‐ピリダジニル、5‐ピリダジニル、6‐ピリダジニル、2‐ピリミジニル、4‐ピリミジニル、5‐ピリミジニル、6‐ピリミジニル、2‐ピラジニル、3‐ピラジニル、5‐ピラジニル、6‐ピラジニル、2‐チアゾリル、4‐チアゾリル、5‐チアゾリルなどが含まれる。
【0076】
一例として知られ、これらに限定されないが、複素環に結合した窒素は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2‐ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2‐イミダゾリン、3‐イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2‐ピラゾリン、3‐ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリンもしくは1H−インダゾールの1位、イソインドールもしくはイソインドリンの2位、モルフォリンの4位およびカルバゾールもしくはβ‐カルボリンの9位に結合していてもよい。
【0077】
一実施形態において、複素環に結合した窒素には、1‐アジリジル、1‐アゼテジル、1‐ピロリル、1‐イミダゾリル、1‐ピラゾリルおよび1‐ピペリジニルが含まれる。
【0078】
用語“炭素環”は、単環として3〜8の炭素原子、二環として7〜12の炭素原子および多環として30以下の炭素原子を有する飽和の、不飽和のまたは芳香族の環に係るものである。単環式の炭素環は、典型的には3〜6員環原子を有しており、さらに典型的には5〜6員環原子を含んでいる。2環式の炭素環は、例えば、7〜12員環原子を有しており、上記7〜12員環原子は例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]または[6,6]系として配列されたものである。または、2環式の炭素環は、ビシクロ[5,6]または[6,6]系として配列された9もしくは10員環原子を有している。
【0079】
炭素環の一例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ‐1‐エニル、1‐シクロペンタ‐2‐エニル、1‐シクロペンタ‐3‐エニル、シクロヘキシル、1‐シクロヘキサン‐1‐エニル、1−シクロヘキサン‐2‐エニル、1‐シクロヘキサン‐3‐エニル、フェニル、スピリルおよびナフチルが含まれる。上記炭素環は、アルキル基について上述したように、任意に置換されていてもよい。
【0080】
用語“アルカノイル”または“アルキルカルボニル”は‐C(=O)Rに係るものである。上記Rはすでに規定したアルキル基である。
【0081】
用語“アシルオキシ”または“アルキルカルボキシ”は、‐O‐C(=O)Rに関するものである。上記Rはすでに規定したアルキル基である。アシルオキシ基の例には、これらに限定されないが、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシおよびペンタノイルオキシが含まれる。上記規定した何れのアルキル基であっても、アシルオキシ基を形成するために使用することができる。
【0082】
用語“アルコキシカルボニル”は、‐C(=O)OR(または“COOR”)である。上記Rはすでに規定したアルキル基である。
【0083】
用語“アミノ”は‐NHに係るものである。アミノ基は、用語“置換された”として明細書で規定されるように、任意に置換されたものであってもよい。用語“アルキルアミノ”は、‐NRに係るものである。少なくとも1つのRは、アルキルであり、2つ目のRは、アルキルまたは水素である。用語“アシルアミノ”は、‐N(R)C(=O)Rに係るものである。上記Rはそれぞれ独立して、水素、アルキルまたはアリールである。
【0084】
用語“アミノ酸”には、合成されたアミノ酸(例えば、ホスホセリン、ホスホスレオニン、ホスホチロシン、ヒドロキシプロリン、ガンマ-カルボキシグルタミン酸塩;馬尿酸、オクタヒドロインドール‐2‐カルボン酸、スタチン、1,2,3,4‐テトラヒドロイソキノリン‐3‐カルボン酸、ペニシラミン、オルニチン、シトルリン、α‐メチル‐アラニン、パラ‐ベンゾイルフェニルアラニン、フェニルグリシン、プロパルギルグリシン、サルコシンおよびtert‐ブチルグリシン)と同様に、DまたはL体である天然アミノ酸の残基(例えば、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Glu、Gln、Gly、His、Hyl、Hyp、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、TyrおよびVal)が含まれる。
【0085】
また、カルボキシ末端(例えば、(C〜C)アルキル、フェニルエーテル、フェニルエステル、フェニルアミド、ベンジルエーテル、ベンジルエステル、ベンジルアミドまたはα‐メチルベンジルアミドとしてのカルボキシ末端)が保護された天然のおよび合成されたアミノ酸と同様に、従来のアミノ保護基(例えば、アセチルまたはベンジルオキシカルボニル)を生じる天然のおよび合成されたアミノ酸が上記用語に含まれる。
【0086】
他の適切なアミノ保護基およびカルボキシ保護基は、従来公知である(例えば、Greene, T.W.; Wutz, P.G.M. Protecting Groups In Organic Synthesis, 2ndedition, John Wiley & Sons, Inc., New York (1991) および当該文献の参照文献を参照)
用語“ペプチド”は、2〜35のアミノ酸(例えば、上記規定された)の配列またはペプチド残基にて説明される。上記配列は、直鎖式または環式であってもよい。例えば、環式ペプチドが調製されてもよく、または、配列における2つのシステイン残基間において、ジスルフィドの架橋の形成から生じたものであってもよい。
【0087】
ペプチドは3〜20または5〜15のアミノ酸を含んでいてもよい。ペプチド誘導体は、米国特許第4,612,302、4,853,371および4,684,620または本発明の実施例に開示された方法に従って調製されてもよい。特に、本明細書にて列挙されるペプチド配列は、アミノ末端を左に、カルボキシ末端を右に記載したものである。
【0088】
用語“サッカライド”は糖または炭化水素に係るものであり、特に、単糖に係るものである。上記サッカライドは、C‐ポリヒドロキシ化合物であり、典型的には、C‐ペンタヒドロキシおよび通常、環式グリカールである。上記用語には、2または複数のモノサッカライド残基を有するポリサッカライドと同様に、公知の単糖およびそれらの誘導体が含まれる。
【0089】
上記サッカライドは、アミノ酸の規定において上述したように、ヒドロキシル基上に保護基を含んでいてもよい。上記サッカライドのヒドロキシル基は、1または複数のハロまたはアミノ基によって置き換えられていてもよい。さらに、上記炭素原子の1または複数は、例えば、ケトまたはカルボキシル基に酸化されていてもよい。
【0090】
用語“割り込まれた”とは、特定の炭素鎖の2つの隣接する炭素原子(および、それらが連結する水素原子(例えば、メチル(CH)、メチレン(CH)またはメチン(CH)))間に他の基が挿入されたことをいう。上記特定の炭素鎖は、用語“割り込まれた”を使用した表現に適用される。特定の原子の通常の原子価はそれぞれ、割り込みの結果生じる安定した化合物の原子化を超えない。
【0091】
炭素鎖を割り込むことができる適切な置換基には、例えば、1または複数の非過酸化酸素(‐O‐)、チオ(‐S‐)、イミノ(‐N(H)‐)、メチレンジオキシ(‐OCHO‐)、カルボニル(‐C(=O)‐)、カルボキシ(‐C(=O)O‐)、カルボニルジオキシ(‐OC(=O)O‐)、カルボキシラート(‐OC(=O)‐)、イミン(C=NH)、スルフィニル(SO)およびスルホニル(SO)を有する置換基が含まれる。アルキル基は、上記適切な置換基の1または複数(例えば、1、2、3、4、5または約6)によって割り込まれていてもよい。割り込みの箇所は、アルキル基の炭素原子と、アルキル基が連結している炭素原子との間とすることができる。
【0092】
上記置換基の何れかに関し、1または複数の置換基が含まれていると理解される。もちろん、そのような置換基は、立体的に非現実的なおよび/または合成的に不可能な何れの置換基または置換パターンを含まない。さらに、本発明に係る化合物には、化合物の置換から生じる立体化学的な異性体を全て含む。
【0093】
本明細書に記載された化合物において選択された置換基は、繰り返し利用可能な程度に存在する。この文において、“繰り返し利用可能な置換基”とは、置換基がそれ自体を他の例を列挙してもよいことを意味する。
【0094】
医薬品化学および有機化学の当業者であれば、特定の化合物の所望の特性によって、そのような置換基の総数が合理的に制限されると理解できる。
【0095】
そのような特性には、以下の例が含まれ、これらに制限されるものではないが、分子量、溶解性またはlogPなどの物理物性、特定の標的に対する活性などの応用性、および、合成の容易さなどの実用性が挙げられる。
【0096】
繰り返し利用可能な置換基は、本発明に係る所望の形態となっている。医薬品化学および有機化学の当業者であれば、そのような置換基の汎用性を理解できる。また、繰り返し利用可能な置換基が、本発明に係る請求項において存在する程度については、その総数は、上述したように決定されるであろう。
【0097】
本明細書にて用いられる場合、用語「リンカー」は、2つの化学基を一緒に共有結合する炭素鎖である。この炭素鎖は、必要に応じて、自己切断することができるか、酵素のための基質に共有結合している場合、この酵素または別の分子によって切断され得る。このリンカーの炭素鎖は、必要に応じて、窒素原子、酸素原子、カルボニル基、(必要に応じて置換された)芳香環、またはペプチド結合が割り込んでいてもよい。
【0098】
用語「ルシフェラーゼ」は、特に断りの無い限り、天然に存在するルシフェラーゼまたは変異ルシフェラーゼをいう。ルシフェラーゼは、天然に存在する場合、当業者によって生物から容易に取得され得る。ルシフェラーゼが天然に存在するものである場合、または天然に存在するルシフェラーゼとルシフェリンとの反応における活性を保持する天然に存在するルシフェラーゼの変異体である場合、これらのルシフェラーゼをコードするcDNAを発現するように形質転換された細菌、酵母、哺乳動物細胞、昆虫細胞、または植物細胞などの培養物から容易に取得することができるか、あるいはこれらのルシフェラーゼをコードする核酸から当該ルシフェラーゼを作製するためのインビトロの無細胞系から容易に取得することができる。ルシフェラーゼは、プロメガコーポレーション(Promega Corporation)(マディソン、WI(Madison, WI))から入手することができる。
【0099】
本明細書で用いる場合、「バイオルミネッセンスを生じるアッセイ」または「バイオルミネッセンスを生じる反応」は、ルシフェラーゼでない酵素とルシフェリンまたはアミノルシフェリンの誘導体との間の反応の産物がルシフェラーゼのための基質である反応、あるいはルシフェリンまたはアミノルシフェリンの誘導体を有する非酵素的な反応の産物がルシフェラーゼのための基質である反応、あるいはルシフェラーゼとルシフェリンまたはアミノルシフェリンの誘導体との間の反応が、バイオルミネッセンスを生じる(すなわち、測定可能な量の光を生成する)反応を含んでいる。
【0100】
本明細書で用いる場合、「バイオルミネッセンス」は、酵素と基質との間の光を発生させる反応の結果として生成された光である。このような酵素(バイオルミネッセンスの酵素)の例としては、ホタルのルシフェラーゼ、クリックビートルのルシフェラーゼ、Renillaのルシフェラーゼ、ウミホタルのルシフェラーゼ、発光タンパク質であるエクオリン、および発光タンパク質であるオベリン(obelin)などが挙げられる。
【0101】
本明細書で用いる場合、「バイオルミネッセンスを生じるアッセイの試薬」は、バイオルミネッセンスを生じる反応のための、基質、ならびに補助因子または他の分子(タンパク質(例えば酵素)など)を含んでいてもよい。
【0102】
「反応混合物」は、特定の反応のための全ての試薬を含んでいてもよいし、この反応のための上記試薬の少なくとも1つを欠いていてもよい。例えば、ルシフェラーゼの反応混合物は、ルシフェラーゼのための基質を除いた、反応のための試薬を含んでいてもよい。このような反応混合物は、例えば、テストサンプルがルシフェラーゼのための基質を有するか否かを決定するに有用な反応混合物である。ルシフェラーゼでない酵素のための反応混合物は、検出される分子を除いた、上記反応のための全ての試薬を含んでいてもよい。例えば、このような混合物は、ルシフェラーゼでない酵素のための補助因子を除いた、全ての試薬を含んでいる。それ故、この混合物を、テストサンプル中の補助因子の存在を検出するに有用であり得る。
【0103】
本明細書で用いる場合、「ルシフェリンの誘導体」または「アミノルシフェリンの誘導体」は、ルシフェラーゼでない酵素のための基質かつルシフェラーゼのプロサブストレートである分子、ルシフェラーゼのための基質である分子、ルシフェラーゼでない酵素のための基質かつルシフェラーゼのための基質である分子であるか、あるいは非酵素的な反応において生成された分子を検出するに有用な分子である。本発明の誘導体は、D−ルシフェリンまたはアミノルシフェリンの骨格(図1参照)の3つの環の1つ以上に対する修飾を1つ以上有しているか、および/または、これらの環の1つ以上に結合した置換基を有している。アセタールルシフェリン誘導体またはアセタールアミノルシフェリン誘導体は、C4のカルボキシル部分が修飾されてアセタール部分を形成している、ルシフェリンまたはアミノルシフェリンをいう。また、このような誘導体は、上記環の1つ以上に対する修飾、C6’のヒドロキシル基またはアミノ基に対する修飾、C6’のヒドロキシル基またはアミノ基上の置換、および/あるいは5、4’、5’または7’の位置の1つ以上における置換を含んでいてもよい。B環が修飾されて6員環を形成している場合、生じたA環またはB環上の任意の位置が、本発明のアセタール誘導体を提供するように、置換基を含んでいてもよい。C環のC4にアセタール部分を含んでいるこれらの誘導体の全ては、アセタールルシフェリン誘導体またはアセタールアミノルシフェリン誘導体であるとみなされる。
【0104】
細胞または組織に対して「ネイティブ」である酵素は、細胞または組織中に天然に存在する酵素をいう。
【0105】
<II.本発明の方法>
本発明は、アセタールルシフェリン誘導体またはアセタールアミノルシフェリン誘導体を用いて、1つ以上の分子(例えば、酵素、酵素反応のための補助因子、酵素の基質、酵素の阻害物質、酵素の活性化物質)を検出する、バイオルミネッセンスを生じる方法を提供する。よって、本発明は、サンプル中の分子の量、活性または存在を検出するバイオルミネッセンスを生じるアッセイを提供する。
【0106】
上記方法は、例えば、サンプル中の少なくとも1つの分子(例えば、ルシフェラーゼでない酵素、ルシフェラーゼでない酵素のレギュレーター、ルシフェラーゼでない酵素の基質、および/または反応の補助因子)の存在または量を決定するために用いてもよいし、サンプルにおける状態を決定するための用いてもよい。このサンプルとしては、動物(例えば脊椎動物)、生理学的な流体(血液、血漿、尿および粘膜の分泌物など)、細胞、細胞溶解物、細胞懸濁液、または細胞の精製された画分(例えば細胞成分分画)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、本発明に係る方法は、単一のサンプル(細胞または細胞溶解物のアリコートなど)中の1つ以上の分子を検出するための迅速な方法を提供する。一実施形態において、上記発明は、バイオルミネッセンスを生じるアッセイにおいて、分子(酵素、基質または補助因子)の存在、量または特異的な活性を定量化する工程を包含している。バイオルミネッセンスを生じるシグナルの強度は、それぞれの分子の存在または量の関数である。さらに、反応は、1つ以上のテスト用の作用物質(例えば、酵素の阻害物質、酵素の活性化物質)を含んでいてもよいし、および/あるいは異なる濃度の阻害物質または活性化物質を含んでいてもよい。一実施形態において、上記方法は、少なくとも2つの異なる反応を使用し、この場合、第1の反応がルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応であり、第2の反応がビートルのルシフェラーゼによって媒介される反応である。
【0107】
したがって、バイオルミネッセンスを生じるアッセイは、例えば、酵素によって媒介される反応のための補助因子、酵素、酵素の基質、酵素の阻害物質、または酵素の活性化物質の量、存在または特異的な活性を直接的にまたは間接的に検出してもよい(例えば測定してもよい)。例えば、一実施形態において、ルシフェラーゼでない酵素のための基質であるアセタールルシフェリン誘導体(例えば、CYP3Aの基質である誘導体)は、ビートルのルシフェラーゼのための基質である産物を生成し、CYP3Aを検出するバイオルミネッセンスを生じるアッセイにおいて使用され得る。一実施形態において、この誘導体はビートルのルシフェラーゼのプロサブストレートであり、このプロサブストレートとは、ルシフェラーゼの基質である産物を生成するが、ビートルのルシフェラーゼとの反応においてそれ自体が相当な量の光を生成しないものである。
【0108】
一実施形態において、本発明は、1つ以上のルシフェラーゼでない酵素を検出するバイオルミネッセントアッセイの方法を提供する。この方法は、1つ以上のルシフェラーゼでない酵素、およびルシフェラーゼでないものによって媒介される反応のための基質または補助因子を有していると推定されるサンプルを、ルシフェラーゼでない酵素のための基質であるルシフェリンの誘導体またはアミノルシフェリンの誘導体を含んでいる対応する反応混合物と接触させる工程を包含している。一実施形態において、この誘導体は、ルシフェラーゼでない酵素(例えばCYP3A)のための認識部位を含んでいるD−ルシフェリンのC環に修飾を有しているものである。また、この誘導体は、必要に応じて、D−ルシフェリンのB環にも修飾を含んでおり、このような誘導体はルシフェラーゼのためのプロサブストレートである。このように、誘導体は、目的の酵素のための認識部位を含んでいる修飾を上述した環の1つに有していてもよいだけでなく、さらなる修飾をこの環または1つ以上の他の環に有していてもよい。さらなる修飾は、別の目的の酵素または分子のための認識部位を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0109】
誘導体が、ルシフェラーゼのためのプロサブストレートである場合(すなわち、誘導体とルシフェラーゼでない酵素との間の反応の産物がルシフェラーゼのための基質である場合)、ルシフェラーゼでない酵素とルシフェラーゼとのための連続して行われるまたは同時に行われる反応を実施してもよい。例えば、このプロサブストレートを含んでいる、ルシフェラーゼでない酵素のための反応を単一のウェルにて実施してもよい。そして、ビートルのルシフェラーゼの反応混合物をこのウェルに添加することができる。別の実施形態では、このプロサブストレートを含んでいるルシフェラーゼでない酵素のための反応混合物を単一のウェルにて実施し、そして、この反応物の一部をビートルのルシフェラーゼの反応混合物を有する、異なるウェルに添加する。また、反応を同一のウェルにて同時に実施してもよい。
【0110】
このように、本発明は、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための分子の、サンプル中の存在または量を、検出または決定する方法を提供する。この方法は、サンプル、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための第1の反応混合物、およびルシフェラーゼでない酵素のための基質であるルシフェリンの誘導体を接触させて、第1の混合物を生成する工程、またはルシフェラーゼのための基質である、ルミネッセンスを生じる産物を含んでいるこのような第1の混合物を提供する工程、またはこのような第1の混合物を提供する工程を包含している。一実施形態において、誘導体は式Iの化合物である。第1の混合物の少なくとも1部を、ルシフェラーゼによって媒介される反応のための第2の反応混合物と接触させて、第2の混合物を生成する。次いで、第2の混合物におけるルミネッセンスを検出または決定し、これによって、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための分子の、サンプル中の(例えば、コントロールと比較した)存在または量を検出または決定する。いくつかの実施形態において、例えば、誘導体とルシフェラーゼでない酵素との反応の産物がエステル基を有しており、この産物がルシフェラーゼのプロサブストレートである場合、サンプル、非ルシフェラーゼの反応混合物、またはルシフェラーゼの反応混合物は、エステラーゼを含んでいてもよい。エステラーゼは、第1の反応混合物と一緒に含まれていてもよいし、ルシフェラーゼの反応混合物の開始前に添加されてもよいし、ルシフェラーゼの反応混合物に含まれていてもよい。
【0111】
さらに、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための分子の、サンプル中の存在または量を、検出または決定する方法が提供される。この方法は、サンプル、ルシフェラーゼでないものによって媒介される酵素反応のための反応混合物、ルシフェラーゼによって媒介される反応のための反応混合物、ならびにルシフェラーゼでない酵素のための基質であるルシフェリンの誘導体を接触させて、混合物を生成する工程を包含している。ルシフェラーゼでない酵素とこの誘導体との反応は、ルシフェラーゼのための基質である、ルミネッセンスを生じる産物を生成する。一実施形態において、この誘導体は式Iの化合物である。この混合物におけるルミネッセンスを検出または決定し、これによって、ルシフェラーゼでないものによって媒介される反応のための分子の、サンプル中の存在または量を、検出または決定する。
【0112】
本明細書に記載した、ルシフェリン誘導体を使用するバイオルミネッセンスを生じるアッセイはバックグラウンドがより低いので、より少ない量の(またはより多い量の)誘導体を使用することができ、これらの誘導体は例えばルシフェラーゼでない酵素との反応性が向上されていてもよい。さらに、本明細書に記載したバイオルミネッセンスを生じるアッセイの何れかに関し、他の試薬を反応混合物に添加してもよい。このような他の試薬としては、限定されないが、ルシフェラーゼの活性化を阻害するまたは防ぐ試薬、あるいはルミネッセンスのシグナルを拡大または増強する試薬が挙げられる。
【0113】
また、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のモジュレーターを同定するか、またはこのモジュレーターの効力を測定する方法も提供する。この方法は、1つ以上の作用物質、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための第1の反応混合物、およびルシフェラーゼでない酵素のための基質であるルシフェリンの誘導体を接触させて、第1の混合物を生成する工程、またはこのような混合物を提供する工程を包含している。1つ以上の作用物質が存在していない第1の混合物は、ビートルのルシフェラーゼのための基質である、ルミネッセンスを生じる産物を含んでいる。第1の混合物の少なくとも一部とビートルのルシフェラーゼによって媒介される反応のための第2の反応混合物とを混合して、第2の混合物を生成する。第2の混合物におけるルミネッセンスをコントロールの混合物と比較し、これによって、1つ以上の作用物質がルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応を調節するか否か、ならびに/または程度および効力がどのくらいであるのかを特定する。
【0114】
本発明の一実施形態において、本発明のルシフェリン誘導体を用いることによる酵素反応の、基質、補助因子、レギュレーター、阻害物質または活性化物質としての活性について、テスト化合物をスクリーニングし、その活性を評価することができる。反応混合物を誘導体およびテスト化合物と接触させることによって、候補となる化合物が反応のレギュレーターまたは基質であると決定してもよい。反応混合物を誘導体およびテスト化合物と接触させることは、テスト化合物が存在しない場合に、バイオルミネッセンスを生じるか、バイオルミネッセンスを生じる産物を生成する条件にて行う。
【0115】
本発明の一態様において、反応の基質と阻害物質とを区別する方法が提供される。例えば、化合物を少なくとも1つの酵素と一緒にインキュベートする。これは、該酵素の阻害物質または基質が存在しない場合に、ルシフェリン誘導体と該酵素とが相互作用するに適切な条件で、ルシフェリン誘導体を提供する前に、上記化合物の代謝を可能にする条件にて行う。一実施形態において、この反応の産物はルシフェラーゼの基質であり、ルシフェラーゼの存在下にて光を発する第2の反応をもたらす。もたらされた光を発する反応を、上記酵素の阻害剤が存在しない場合にルシフェリン誘導体とこの酵素とが相互作用するに適切な条件にてこの酵素を化合物および誘導体と接触したことによって得られた反応と比較する。上記化合物がこの酵素によって代謝されれば、アッセイの媒体中のこの化合物の濃度が低減し、この化合物が代謝されない条件と比べて、阻害活性が明らかに失われ得る。このことは、この化合物が酵素のための基質であったことを示す。代謝されない阻害性の化合物は、基質を追加した時間に関係なく、同じ効力(potency)を示す。
【0116】
本発明の一態様において、上記化合物を、まず、上記酵素と第1の所定の期間接触させることが好ましい。その後、この混合物をルシフェリン誘導体およびバイオルミネッセンスの酵素(例えばルシフェラーゼ)と同時にまたは同時期に接触させる。そして、この混合物を第2の所定の期間インキュベートする。
【0117】
本発明の別の態様において、上記化合物を上記酵素と、第1の所定の期間インキュベートして、第1の混合物を形成する。その後、第1の混合物をルシフェリン誘導体と接触させて、第2の混合物を形成し、第2の所定の期間インキュベートする。次いで、第2の混合物をバイオルミネッセンスの酵素(例えばルシフェラーゼ)と接触させて、第3の混合物を形成し、第3の所定の期間インキュベートする。その後、第3の所定の期間の間および/またはこの期間の後のルミネッセンスを、コントロール(例えば、化合物のない)反応と比較して測定することによって、上記酵素と上記化合物との相互作用に起因する活性を決定する。このようにして、例えば、第1の酵素の阻害物質に基づくメカニズムを特定することができ、阻害物質に基づかないメカニズムと区別することができる。これは、テスト化合物を用いるが、ルシフェリン誘導体を用いない第1のインキュベーションが、第1のインキュベーションを行わないときに比べて、阻害物質に基づくメカニズムによる深刻な阻害をもたらすか、あるいは、第1の反応の基質の基質の場合、阻害が低減されることを示すからである。
【0118】
本発明の別の実施形態において、細胞の酵素活性に対する化合物の効果を決定するための化合物をスクリーニングするための、細胞を基礎とする方法が提供される。テスト化合物を、上記酵素を天然に有する細胞または上記酵素を組換え発現によって有する細胞、ルシフェリン誘導体、およびバイオルミネッセンスの酵素(例えばルシフェラーゼ)と、所定の期間接触させるか、あるいは上記酵素とルシフェラーゼとを有する細胞、および上記誘導体と、所定の期間、接触させる。よって、一実施形態において、組換え酵素(バイオルミネッセンスの酵素(例えばルシフェラーゼ)など)を一過的にまたは安定に発現する細胞を使用してもよい。一過的にまたは安定にトランスフェクトされた細胞を作製するための任意の従来の方法を使用してもよい。一実施形態において、ルシフェリン誘導体を、細胞と接触させて、細胞内に導入する。そして、適切な分子が存在する場合、ルシフェラーゼのための基質である産物が生成する。ルシフェラーゼが細胞内に存在する場合、ルミネッセンスを検出することができる。また、ルシフェラーゼを欠いている細胞では、上記産物が細胞の外へ流出し、培地へ流入する。この培地にルシフェラーゼの反応混合物を添加する。その後、細胞と化合物との相互作用から生じた活性を、ルシフェラーゼの反応混合物のルミネッセンスをコントロール(テスト化合物を含んでいない)の反応混合物と比べて測定することによって決定する。
【0119】
本発明の一態様では、まず、化合物を細胞と所定の期間接触させることが好ましい。その後、この細胞を、ルシフェリン誘導体およびルシフェラーゼと同時にまたは同時期に接触させる。そして、混合物を第2の所定の期間、インキュベートする。反応混合物から生成したルミネッセンスの量をコントロールの反応混合物(例えばテスト化合物を含んでいないもの)と比べて測定することによって、酵素活性を決定する。本発明の別の態様では、まず、テスト化合物を細胞と所定の期間接触させることが好ましい。その後、この曝露した細胞をルシフェリン誘導体と接触させて、第2の所定の期間、インキュベートする。次いで、細胞をルシフェラーゼと接触させて、第3の混合物を形成する。この第3の化合物を第3の所定の期間インキュベートする。その後、細胞とテスト化合物との相互作用から生じた細胞の活性を、反応混合物のルミネッセンスをコントロールの反応混合物(例えばテスト化合物を含んでいないもの)と比較して測定することによって決定する。細胞の培地に存在する分子のための、細胞を基礎としてルミネッセンスを検出するアッセイは、ルシフェリン誘導体を有する反応混合物を細部の培地に添加する工程、または細胞の培地を、ルシフェリン誘導体を有する反応混合物に添加する工程と、ルミネッセンスを検出する工程とを包含している。細胞の培地に存在する分子は、例えば、細胞の培地に能動的に(actively)または非能動的な機構(inactive mechanisms)を介して存在する分子である。
【0120】
本発明の細胞を基礎とするアッセイのさらに別の実施形態では、細胞を適切な溶解用の緩衝液にて溶解してもよい。例えば、界面活性剤を添加することによって、細胞を破裂させて、細胞の内容物を放出させることができる。動物細胞の場合、非イオン性界面活性剤(Triton X 100またはテルギトール(Tergitol)など)を0.1〜1.0%有する緩衝液であれば、通常、十分である。細菌細胞、植物細胞、真菌細胞または酵母細胞は一般に溶解させることがより困難である。界面活性剤、凍結融解のサイクル、低浸透圧性の緩衝液、超音波処理、キャビテーション(cavitation)、またはこれらの方法の組み合わせを用いてもよい。溶解物を生成する溶解の方法は、ルシフェラーゼまたは他の酵素、あるいは他の分子または条件の検出に適合している。
【0121】
ルシフェラーゼでない酵素の存在または活性は、培養液にて増殖した細胞、または動物(例えば、生きている動物)内の細胞にて測定してもよい。動物内の細胞での測定のために、ルシフェリン誘導体を動物に投与してもよい(例えば、動物内に注入するか、動物が摂取する水溶液(例えば水)または食物に添加してもよい)。誘導体のルシフェラーゼの基質である産物への変換は、動物内の細胞(例えば、トランスジェニック細胞)にて発現したルシフェラーゼ、または動物に投与した(例えば動物内に注入した)ルシフェラーゼ、によって媒介されるルミネッセンスによって検出してもよいし、生理学的な流体(例えば、血液、血漿および尿など)または組織サンプルを回収し、この流体をルシフェラーゼの試薬と組み合わせることによって生じるルミネッセンスによって検出してもよい。
【0122】
1つ以上の部分または状態を検出するために、2つの反応を使用するアッセイを同時に(1つの工程で)行ってもよいし、連続的に(2つの工程で)行ってもよい。この部分としては、酵素などのタンパク質(ペプチドまたはポリペプチド)、基質、補助因子、あるいは酵素反応のための阻害物質または活性化物質が挙げられる。上記状態は例えば、酸化還元の状態である。連続的な反応を同一の容器(例えば、マルチウェルプレートのウェル)にて行ってもよい。二段階のアッセイに関し、第1の反応混合物は、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための試薬を全て含んでいてもよいし、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための試薬を全て含んでいなくてもよい。含まれない試薬の1つは、サンプル(例えば細胞溶解液)中にて検出されるものである。例えば、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応は、ルシフェラーゼでない酵素のための基質であり、かつルシフェラーゼの基質であるルシフェリン誘導体を、ルシフェラーゼの基質である産物に変換するに効果的な条件下にて行う。第1の反応を、ルシフェラーゼの反応混合物の添加の時点、またはこの添加の前に停止してもよい。例えば、第1の反応のクエンチャーが、ルシフェラーゼの反応混合物中に存在してもよい。ルシフェラーゼの反応混合物は、ルシフェラーゼのための基質を実質的に欠いていることが好ましい。例えば、ルシフェラーゼのための基質の唯一の供給源は、ルシフェラーゼでない酵素と誘導体との間の反応によって提供される。第1の反応のための試薬の全てが第1の反応混合物に存在する場合、反応を変える部分(例えば、反応の阻害物質またはエンハンサー)を特定するためにアッセイを使用してもよい。反応を行った後に、同時にまたは連続的に、1つ以上の分子あるいは反応の1つ以上の阻害物質または活性化物質の存在または量を検出または決定する、ならびに/あるいは程度および/または効力がどれくらいであるのかを検出または決定する。
【0123】
一段階のアッセイの場合、反応混合物は、2つの反応のための試薬を含んでいてもよい。このような2つの反応のための試薬は、例えば、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための試薬およびルシフェラーゼによって媒介される反応のための試薬であるか、あるいは、非酵素的な反応のための試薬およびルシフェラーゼによって媒介される反応のための試薬である。
【0124】
2つの反応を使用するアッセイの場合、アッセイのための分子を添加する順番を変更することができる。反応が開始され、連続的に行われた場合(同一の容器内であってもよいし、同一の容器内でなくてもよい。)、反応条件(例えば、試薬の濃度、温度またはさらなる試薬)を調整してもよい。例えば、反応停止剤(quenching agent)または反応促進剤(enhancing agent)を反応と反応との間に添加してもよい(例えば、米国特許第5,744,320号明細書(Sherf et al.)および米国特許第6,586,196号明細書(Bronstein et al.)参照、なお、これらの文献の開示は参考として本明細書に特に援用される。)。一実施形態では、2つ以上の反応を単一の反応混合物にて同時に実施する。必要に応じて、アッセイは均一なアッセイである。例えば、成分は、混合物をサンプルに添加する前に混合されている。試薬をさらに移動することなく結果を読んでもよい。
【0125】
したがって、本発明のアッセイは、サンプル中の1つ以上の分子または状態の検出を可能にする。例えば、このサンプルは、真核細胞、原核細胞、2つ以上の異なる生物からの細胞、細胞溶解物またはその上清を含んでいるか、または標準曲線を作成するに有用な精製された形態の分子を含んでいる。真核細胞は、例えば、酵母細胞、鳥類細胞、植物細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞としては、限定されないが、ヒトの細胞、サルの細胞、マウスの細胞、イヌの細胞、ウシの細胞、ウマの細胞、ネコの細胞、ヒツジの細胞、ヤギの細胞、またはブタの細胞が挙げられる。精製された形態の分子は、例えば、精製されたルシフェラーゼでない酵素である。
【0126】
細胞は、組換え技術によって遺伝学的に変更されていなくてもよいし(非組換え細胞)、組換えDNAおよびを一過的にトランスフェクトされた組換え細胞であってもよいし、ならびに/またはゲノムが組換えDNAによって安定に増加した細胞であってもよい。また、このゲノムは、遺伝子が破壊されるように修飾されたゲノム、例えば、プロモーター、イントロンまたはオープンリーディングフレームが破壊されるように修飾されたゲノムであるか、あるDNAフラグメントを別のものと置換したゲノムである。組換えDNAまたは置換されるDNAのフラグメントは、本発明の方法によって検出される分子をコードしていてもよいし、検出される分子のレベルまたは活性を変更する部分をコードしていてもよいし、および/あるいはこの分子に関係のない遺伝子産物、またはこの分子のレベルもしくは活性を変更する部分に関係のない遺伝子産物をコードしていてもよい。
【0127】
本発明の誘導体は、他の反応を検出するために使用することができる化合物を含んでいる。例えば、本方法によって検出される分子または状態としては、限定されないが、酵素によって媒介される反応の酵素、基質、阻害物質、補助因子または活性化物質、活性酸素種、還元状態(reducing conditions)、転写制御因子、または遺伝子の転写の制御因子が挙げられる。上記酵素としては、例えば、デメチラーゼ、オキシダーゼ(例えばMAO)、デアセチラーゼ、デホルミラーゼ、プロテアーゼ(プロテオソーム、カルパイン、ベータセクレターゼ、カテプシン、カルパイン、トロンビン、グランザイムB)、ホスファターゼ、キナーゼ、ペルオキシダーゼ、トランスフェラーゼ(例えばGST)、スルホターゼ(sulfotase)、ベータラクタマーゼ、チトクロムP450酵素、エステラーゼ(例えば、アセチルコリンエステラーゼ)、デヒドロゲナーゼ、ルシフェラーゼが挙げられる。
【0128】
本方法において使用される酵素(検出される酵素であってもよいし、基質または補助因子を検出するに有用な酵素であってもよい。)は、組換え酵素および内因性の酵素(ネイティブな酵素)を含んでいる酵素の任意の組み合わせから選択することができる。一実施形態において、検出される酵素は内因性の酵素である。他の実施形態において、この酵素は組換え酵素である。当業者にとって自明な他の組み合わせを、本明細書の教示にしたがって、本アッセイおよび本方法に使用することができる。酵素としては、限定されないが、プロテアーゼ、ホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、スルファターゼ、ペプチダーゼ、オキシダーゼ、デアルキラーゼ、デホルミラーゼおよびグリコシダーゼが挙げられる。酵素は、ヒドロラーゼ、オキシドレクターゼ、リアーゼ、トランスフェラーゼ(例えばグルタチオンSトランスフェラーゼ)、イソメラーゼ、リガーゼ、シンターゼ、アルカリホスファターゼまたは酸性ホスファターゼ、デカルボキシラーゼ、ホスホリパーゼD、P−キシロシダーゼ、β−D−フコシダーゼ、チオグルコシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、α−D−ガラクトシダーゼ、α−D−グルコシダーゼ、β−D−グルコシダーゼ、β−D−グルクロニダーゼ、α−D−マンノシダーゼ、β−D−マンノシダーゼ、β−D−フルクトフラノシダーゼ、またはβ−D−グルコシドゥロナーゼ(glucosiduronase)であってもよい。生理学的意義を有する種類の酵素は特に関心がある。これらの酵素としては、プロテインペプチダーゼ、エステラーゼ、プロテインホスファターゼ、グリコシラーゼ、プロテアーゼ、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、オキシゲナーゼ、レダクターゼ、メチラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、スルファターゼ(sulphatases)、ウレアーゼ(酸性ホスファターゼが挙げられる。)、グルコシダーゼ、グルクロニダーゼ、ガラクトシダーゼ、およびカルボキシエステラーゼ(carboxylesterase)などが挙げられる。関心のある酵素としては、エステルを作製することに関与する酵素、またはエステルを加水分解することに関与する酵素、グリコシル化に関与する酵素、およびアミドを加水分解することに関与する酵素が挙げられる。なお、エステルは有機エステルおよび無機エステルの両方である。任意の種類において、さらなる細分化があり得る。
【0129】
<III.ルシフェリン誘導体>
本発明に係るバイオルミネッセンスの基質は、ルシフェリンのまたはアミノルシフェリンのアセタール誘導体を含む。このような化合物には、以下の一般式で示す化合物が含まれる。
【0130】
一実施形態において、本発明は式Iの化合物を提供する。
【0131】
【化2】

(I)
【0132】
上記式(I)において、
Yは、N、N‐オキシド、N‐(C〜C)アルキルまたはCHであり;
Xは、S、O、CH=CH、N=CHまたはCH=Nであり;
はそれぞれ独立してOまたはSであり;
R’およびR”はそれぞれ独立して、(C〜C20)アルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、(C〜C20)シクロアルキル、(C〜C30)アリール、ハロアリールもしくは複素環であるか、または、R’およびR”は共に環式部分を形成しており;
R’およびR”は、ヒドロキシル、(C〜C12)アルコキシ、オキシ、アミノ、ハロ、カルボキシル、チオ、(C〜C30)アリール、ハロアリールまたは複素環で任意に置換されていてもよく、
Zは、H、OR、OH、NH、NHRまたはNRRであり;
はH、ハロ、(C〜C)アルキル、(C〜C20)アルケニル、ヒドロキシルもしくは(C〜C)アルコキシであり、nは1、2または3であるか、または
およびZは、環Aにおいて共にケト基を形成しており、環Aにおいて任意の結合を示す破線の少なくとも1つが存在せず;
はそれぞれ独立して、H、ハロ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、ヒドロキシルまたは(C〜C)アルコキシであり;
、K、KおよびKはそれぞれ独立して、CH、N、N‐オキシド、またはN‐(C〜C)アルキルであり、
とKとの間およびKとKとの間の破線は、任意の結合を示し、何れかのCHの炭素が置換されているとき、Hは存在せず、
環Bにおける破線は、任意の二重結合であり、
Rは、それぞれ独立して、H、(C〜C20)アルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、(C〜C20)シクロアルキル、(C〜C12)アルコキシ、(C〜C30)アリール、アリール(C〜C20)アルキル、ハロアリール、複素環、(C〜C20)アルキルスルホニル、(C〜C30)アリールスルホニル、ハロアリールスルホニル、(C〜C20)アルキルスルフィニル、(C〜C30)アリールスルフィニル、ハロアリールスルフィニル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、アミノ、NH(C〜C)アルキル、N((C〜C)アルキル)、トリ(C〜C20)アンモニウム(C〜C20)アルキル、ハロアリール(C〜C20)アルキル、第4級窒素を有するハロアリール、第4級窒素を有するハロアリールカルボニル、(C〜C30)アリールチオ、(C〜C20)アルキルリン酸塩、(C〜C20)アルキルホスホン酸塩、(C〜C30)アリールリン酸塩、(C〜C30)アリールホスホン酸塩、リン酸塩、硫酸塩もしくはサッカライドあるか、または、ZがNRRであるとき、Nと共にRRは任意にハロアリール基または複素環基を形成しており;
上記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、アリール、ハロアリールまたは複素環基は何れも、(C〜C20)アルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、(C〜C20)シクロアルキル、(C〜C20)アルコキシル、(C〜C20)アルキルカルボニル、(C〜C20)アルキルカルボキシル、ハロ、ヒドロキシル、‐COOR、‐S(O)R、‐SO、‐SO、ニトロ、アミノ、リン酸塩、(C〜C20)アルキルリン酸塩、(C〜C20)アルキルホスホン酸塩、NH(C〜C)アルキル、NH(C〜C)アルキニル、N((C〜C)アルキル)、N((C〜C)アルキニル)、メルカプト、(C〜C20)アルキルチオ、(C〜C14)アリール、(C〜C14)アリールチオ、トリフルオロメチル、=O、ハロアリールまたは複素環から選ばれる1、2、3、4または5の置換基によって任意に置換されていてもよく、
上記RがH、(C〜C)アルキル、(C〜C14)アリール、複素環もしくはハロアリールまたはこれらの塩であり、上記それぞれの置換基は1〜3のR基によって任意に置換されていてもよく;
上記Zが窒素部分を含むとき、Zの窒素部分の水素の1または両方は、(C〜C20)アルキルまたは置換基Lによって置き換えられていてもよく;
上記置換基Lは、ルシフェラーゼでない酵素のための基質であるアミノ酸ラジカル、20以下のアミノ酸部分を有するペプチドラジカルまたはその他の低分子であり;
上記Zがヒドロキシル基または窒素部分であるとき、ヒドロキシル基の水素または窒素部分が、(HO)P(O)‐OCH‐、スルホ、‐POまたは1〜約12の炭素原子の炭素鎖を介してZ基に連結しているセファロスポラニン酸によって置き換えられていてもよく、
上記Zがヒドロキシル基または窒素部分であるとき、ヒドロキシル基の1つの水素または窒素部分が、L’基‐リンカーによって置き換えられていてもよく;
上記L’基は、リンカーを固定しない酵素によって除去可能であり、リンカーは自己切断性を有し、1または複数の窒素原子、酸素原子、カルボニル基、任意で置換されている芳香族環またはペプチド結合によって任意に割り込まれていてもよい炭素鎖であり;
上記リンカーは、リンカーの1つの末端にて、酸素原子またはNH基を介してL’基と連結されており、リンカーの他の末端は、Z基とエーテル、エステルまたはアミド結合を形成しており;
上記ZがORであるとき、式Iは任意で、(C〜C12)アルキルジラジカルを含むリンカーを介して2つの環Aに結合されたダイマーであってもよく;
上記リンカーは、式Iのダイマー間において、架橋を形成する1〜4の酸素原子、窒素原子または任意で置換されていてもよいアリール、ハロアリールまたは複素環基によって割り込まれていてもよく、式Iのダイマーに結合している上記それぞれのZ基のR基は、架橋によって置き換えられている化合物。
【0133】
第4級窒素または他のカチオン種が式Iにおいて存在するとき、Aのようなアニオンが存在してもよい。アニオンAは好適な対イオンとなり得るものであり、アニオンAとしてハロゲン、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩または炭酸塩などの有機アニオンなどが挙げられる。
【0134】
ある実施形態において、本発明の方法に係る化合物には、ルシフェリンまたはアミノルシフェリンなどのルミネッセンスの基質が含まれる。また、他の実施形態において、式Iは、ルシフェリンまたはアミノルシフェリンを排除している、および/または、一例としてR基の規定にて列挙された1または複数の特定の置換基を排除することもできる。
【0135】
式Iによって示されるように、環Aおよび環Bの核となる構造は、多数の異なる環系であってもよい。環Bの変形例として、核となる構造は、N‐オキシドおよびN−アルキル誘導体を含む、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾキサゾール、ナフタレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリンおよびキノキシリン環系を含むことが許容される。
【0136】
また、環Bの変形例は、ベンゾ[d]チアゾールのN‐オキシドおよびN‐アルキル誘導体へ接触することができる。
【0137】
さらには、N、N‐オキシドまたはN‐アルキルを備える式Iにおいて、環Aの炭素原子を置換することによって(例えば、K、K、KまたはKの値を他の値に置換する)、他の環系を得ることができる。例えば、1,8‐ナフチリジン、1,7‐ナフチリジン、1,6‐ナフチリジンおよび1,5−ナフチリジン環系;ピリド[3,2‐b]ピラジン、ピリド[4,3‐b]ピラジン、ピリド[3,4‐b]ピラジンおよびピリド[2,3‐b]ピラジン環系;ピリド[2,3‐d]ピリミジン、ピリド[3,4‐d]ピリミジン、ピリド[4,3‐d]ピリミジンおよびピリド[3,2‐d]ピリミジン環系;ベンゾ[d]オキサゾール、オキサゾロ[4,5‐b]ピリジン、オキサゾロ[4,5‐c]ピリジン、オキサゾロ[5,4‐c]ピリジンおよびオキサゾロ[5,4‐b]ピリジン環系;並びにチアゾロ[4,5‐b]ピリジン、チアゾロ[4,5‐c]ピリジン、チアゾロ[5,4‐c]ピリジンおよびチアゾロ[5,4‐b]ピリジン環系を得ることができる。
【0138】
N、N‐オキシドまたはN‐アルキルを有する環Aの第2炭素を置換することによって、対応するピラジン、ピリミジンおよびピリダジン環A誘導体が上述の環系のそれぞれが得られることも式Iは示している。
【0139】
N、N‐オキシドまたはN‐アルキルを有する環Aの第3炭素の置換により、対応する1,2,4‐トリアジン環系誘導体を得ることができる。式Iには、さらに、それ自体の環系のそれぞれの種々のジヒドロ、テトラヒドロおよびヘキサヒドロ誘導体が含まれる。
【0140】
また、式Iには、種々のアセタール、チオアセタールおよび混合アセタール種が含まれる。したがって、ある実施形態において、XはそれぞれOである。また、Xの両方がSであってもよい。また、ある実施形態において、一方のXがOであり、他方のXのがSである。
【0141】
式Iの化合物の追加例には、式II〜式IVの化合物が含まれる。一実施形態において、本発明に係る化合物には、式IIの化合物式が含まれる:
【0142】
【化3】

【0143】
(II)
上記式(II)において、
Yは、NまたはCHであり;XはSまたは‐CH=CH‐であり;WはHまたはハロであり、4つ以下のW置換基が存在してもよく;
Z、R’およびR”は式Iにて規定される通りである。ある実施形態において、WはFであり、A環において、1,2,3または4のF基が存在していてもよい。
【0144】
本発明の化合物には、式IIIの化合物も含まれる:
【0145】
【化4】

【0146】
(III)
上記式(III)において、
はHまたはハロであり、4つ以下のW置換基が存在してもよく、Z、R’およびR”は式Iにて規定される通りである。
【0147】
本発明の化合物には、式IVの化合物も含まれる:
【0148】
【化5】

【0149】
(IV)
上記式(IV)において、
R’およびR”は式Iにて規定される通りである。式I〜式IVのそれぞれに係るR’およびR”、または共になったR’およびR”の一例には、任意に置換された(C〜C20)アルキルまたは(C〜C12)アルキル(C〜C10)アリールが含まれる。
【0150】
例えば、上記(C〜C20)アルキルは、直鎖の、分岐のまたは環式の(C〜C12)アルキル基であってもよい。上記アルキル基としては、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルが挙げられる。
【0151】
上記(C〜C12)アルキル(C〜C10)アリール基は、例えば、ベンジルまたはフェニルエチルであってもよい。置換基の規定において上述したように、R’またはR”基は、1または複数(例えば、1〜約5)の置換基にて置換されていてもよい。
【0152】
一例には、例えば、アルキル-アミノおよびジアルキル-アミノ基、並びに/または、フェニルおよびナフチルを含むアリール基を含むハロまたはアミノ基が含まれる。
【0153】
共になったR’およびR”は、環式アセタールが形成されていてもよい。上記環式アセタールとしては、(C〜C12)ジオールまたはジアルコキシアリール化合物から形成されたものが挙げられ、1,2‐ジメトキシベンゼン(ベラトロール)が挙げられる。環式アセタールには、上記環において、O、SまたはNのような、(アセタールヘテロ原子以外の)1〜約3つのヘテロ原子が含まれていてもよい。上記環は、例えば、メチルまたはフェニル基などの種々の置換基によって、置換されていてもよい。
【0154】
式I-IVの代表的な化合物は、以下の何れかを含む;
【0155】
【化6】

【0156】
【化7】

【0157】
【化8】

【0158】
他の誘導体およびルミネッセンスを生じるアッセイにおける上記誘導体の使用については、以下に説明する。
【0159】
本明細書に記載のルシフェリン誘導体を使用すれば、ルシフェラーゼでない分子との相互作用によって光学特性の測定可能な変化をもたらすアッセイを用いることができる。この相互作用はルシフェリン誘導体の構造を変えることもある。本明細書に記載したように、ルシフェリン誘導体とルシフェラーゼでない酵素または目的の他の酵素との間の反応の産物は、D−ルシフェリンまたはアミノルシフェリンである必要がない。例えば、ルシフェリン誘導体は、ルシフェリンまたはアミノルシフェリンに化学的なリンカーを介して連結された、ルシフェラーゼでない酵素のための化学的な反応基を含んでいる基質を含んでいてもよい。ルシフェラーゼでない酵素による誘導体の化学的な反応基の変形は、この基質の一部、化学的なリンカーの一部、化学的なリンカー、またはこの基質と化学的なリンカーとの一部を含んでいる(保持している)産物を生成し得る。この産物は、ルシフェラーゼのための基質である。
【0160】
ルシフェリン誘導体に対する向上した特性を提供するため、上述したようにチアゾール環のカルボキシ位において修飾を行うと同様に、環構造においてルシフェリン骨格がさらに修飾されるルシフェリン誘導体が供給され、例えば、キノリルまたはナフチルルシフェリンである。
【0161】
ある修飾を有する誘導体は、あるルシフェラーゼでない酵素または分子を規定し、または、あるルシフェラーゼでない酵素または分子に対するアッセイを改善する。よって、本発明のルシフェリン誘導体を用いるバイオルミネッセンスの方法を、1つ以上の分子(例えば、酵素、酵素反応のための補助因子、酵素の基質、酵素の阻害物質または酵素の活性化物質)を検出するために用いることができる。
【0162】
本発明に係る誘導体は、ある種のルシフェリン、キノリニルルシフェリン、アミノキノリニルルシフェリン、ナフチルルシフェリンおよびこれらのフッ素化された誘導体を含む。例えば、上記アミノキノリニルルシフェリンのフッ素化された誘導体の光学特性は、フッ素の電子吸引力により変化させられ得る。フッ素化された誘導体は、式Vおよび式VIの化合物を含む:
【0163】
【化9】

【0164】
(V)
上記式(V)において、
X=OまたはNHであり;Y=NまたはCHであり;Fが、3’、4’、5’、7’または8’位に存在してもよい;
【0165】
【化10】

【0166】
(VI)
上記(VI)において、X=OまたはNHであり;Fが、4’、5’または7’;Rは、式Iで規定された通りであってもよい。
【0167】
一実施形態において、本発明はキノリニル誘導体(式VII〜式XIの化合物)を提供する:
【0168】
【化11】

【0169】
上記式式VII〜式XIにおいて、ORまたはNRは、キノリニル環上の何れかの水素に置き換えられてもよく、ある実施形態では、6’および/または8’位において置き換えられ、Rは、式Iで規定された通りであってもよい。
【0170】
一実施形態において、K〜KのそれぞれはCHまたはC(例えば、置換された場合、Cであり、置換されていない場合、CHである。)である。いくつかの実施形態において、K、K、K、またはKの1つはN−オキシドであり、ZはH、OH、またはアミノである。また、ZはORであってもよいし、任意に置換されたアミノであってもよい。いくつかの実施形態において、1、2、3、または4のW基が存在している。各Wは独立して例えばF、Cl、Br、またはIであってもよい。
【0171】
一実施形態において、各XはOである。別の実施形態において、少なくとも1のXはSである。一実施形態において、R’およびR’’は互いに独立して、任意に置換された(C〜C12)アルキルである。一実施形態において、R’およびR’’は、これらが結合する−X−CH−X−と一緒に、5員環〜12員環の任意に置換された複素環基を形成する。5員環〜12員環の任意に置換された複素環基の1以上のメンバーは、Xに加えて、O、S、またはNRであってもよい。なお、RはHまたは(C〜C12)アルキルである。一実施形態において、R’およびR’’は、オルソに融合されたベンゾ基によって任意に置換された環式のアセタールを形成する。
【0172】
一実施形態において、Yは、NまたはCHであり;XはSまたはOであり;環Bにおける破線は二重結合を形成するように存在している。いくつかの実施形態において、環Bは6員環であり:YはNまたはCHであり;XはCH=CH、N=CH、またはCH=Nであり;環Bにおける破線は二重結合を形成するように存在している。
【0173】
一実施形態において、ZはOHまたはORであり、上記Rは、任意に置換された(C〜C20)アルキル、(C〜C30)アリールまたは(C〜C12)アルキル‐(C〜C14)アリール基である。ある実施形態では、ZはORであり、Rは、1〜5のハロ、ニトロ、トリフルオロメチル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、リン酸塩、アルキル、アルキルカルボキシルまたはアルコキシカルボニル基によって任意に置換されたフェニルまたはベンジルである。
【0174】
一実施形態において、ZはNRRであり、Rはそれぞれ、H、任意に置換された(C〜C12)アルキルまたは窒素保護基である。
【0175】
一実施形態において、XはそれぞれOであり、Zは、ORであり、R’およびR”は、それぞれ任意に置換された(C〜C12)アルキルである。
【0176】
一実施形態において、XはそれぞれOであり、ZZはNRRであり、R’およびR”は、それぞれ任意に置換された(C〜C12)アルキルである。
【0177】
一実施形態において、YはNであり;XはSまたは‐CH=CH‐であり;WがH、FまたはClであり、3以下のW置換基が存在し;WがHであり;K、K、KおよびK全てCまたはCHであり;Z’、A’およびB’がそれぞれ存在しない。
【0178】
一実施形態において、YがNであり;XがSであり;XがOである。
【0179】
一実施形態において、上記Zが環Aの6’位に存在し、上記Zが、OH、NH、NMeまたはNHCHCHCHOHであり;上記Wが上記環Aの5’位におけるH、FまたはClである。
【0180】
また、ある実施形態において、Rは、2‐ヒドロキシエチル、3‐ヒドロキシプロピル、4‐ヒドロキシブチル、5‐ヒドロキシペンチル、6‐ヒドロキシヘキシル、8−ヒドロキシオクチルまたは10‐ヒドロキシデシルなどのヒドロキシ(C〜C12)アルキル基であってもよい。
【0181】
いくつかの実施形態において、Rは、(C〜C12)アルキル、(C〜C10)アルキル、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキル、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)アルキル、または(C〜C12)アルキルであってもよい。具体的な例は、上述したアルキルの定義にて示されている。アルキル基は、種々の基(他のR基またはさらなるR基が挙げられる。)で置換されていてもよい。例えば、アルキル基の末端の炭素は、ヒドロキシ基またはアルコキシ基および/あるいはオキソ基によって置換されていてもよい。したがって、R基は、酢酸メチルまたは酢酸などのアルキルカルボン酸塩であってもよい(例えば、アルキル基が末端の炭素において酸化されている。)。他の末端のカルボン酸のR基は、CおよびCの誘導体を含む。他のR基は、アミノ基、アンモニウム基、アジド基、またはアセチルアミノ基で終了するアルキル基であってもよい。
【0182】
いくつかの実施形態において、Rは、アラルキル基(例えば、アリール(C〜C12)アルキル)であってもよい。例としては、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチル、フェニルヘキシル、フェニルオクチル、およびフェニルデシルなどが挙げられる。フェニル基および/またはアルキル基は、例えば1以上の置換基によって置換されていてもよい。置換基は他のR基であってもよいし、さらなるR基であってもよい。アリールまたはフェニルの置換基の例としては、1、2、または3の−NR基が挙げられる。RおよびRは互いに独立して、H、(C〜C10)アルキル、アリール(C〜C10)アルキル、(C〜C10)アルキル−カルボニル、(C〜C10)アルコキシカルボニル、または窒素保護基(ベンジル、ベンゾイル、またはカルボニルベンジルオキシ)である。フェニル基は、上記式の残りの部分に結合するこのフェニル基のポイントに対してオルソ、メタ、またはパラで置換されていてもよい。
【0183】
いくつかの実施形態において、式Iは、ダイマーを提供するように、第2の式Iに連結されていてもよい。ダイマーは、例えば、各アセタール誘導体のA環に結合したZ基によって一緒に連結されたものであっても。Z基は、2つのアセタール誘導体の間のリンカーであり得る。例えば、Zは、ORであってもよい。Rは、式Iの部分の間の架橋を形成するための二価のリンカーであり、例えば、任意に置換された(C〜C12)アルキルジラジカルなどである。この二価のリンカーは、必要に応じて、1〜4のO原子またはN原子によって割り込まれているか、あるいは必要に応じて、アリール基、ハロアリール基、または複素環基によって置換されている。いくつかの実施形態において、リンカー((C〜C12)アルキルなど)は、1〜4のオキソ基および/または1〜4のヒドロキシル基、あるいは他の適切な任意の置換基によって置換されていてもよい。このように、式Iの二量体のうちの式Iの部分を接続するZ基のR基は、リンカー(架橋と称することもできる。)によって置き換えられている。本発明のアセールのダイマーの例には、以下の化合物が含まれる。
【0184】
【化12】

【0185】
【化13】

【0186】
【化14】

【0187】
および
【0188】
【化15】

【0189】
R’およびR’’は式Iについて規定されたものである。これらのダイマーは、環化工程において、D−システインの代わりにアセタールアミノチオールを用いて、モノマーの式Iの化合物と類似する技術によって調製することができる。いくつかの実施形態において、アセタールの酸素原子の1以上(例えば、1、2、3または4)が、硫黄原子と個々に置換されていてもよい。
【0190】
<IV.ルシフェラーゼによって媒介される反応における光の発生を安定化するに有用な作用物質>
有機的な作用物質は、本明細書に記載した特定の反応(ルシフェラーゼによって媒介される反応が挙げられる。)における光の発生を安定化するに有用であり得る。有機的な作用物質としては、特定の有機化合物(すなわち、1つ以上の炭素原子を含んでいる化合物)が挙げられる。このような作用物質は、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応またはルシフェラーゼによって媒介される反応の開始の前、開始時、および/またはこれらの反応の間に添加してもよい。適切な有機化合物およびそれを使用する方法としては、米国特許第7,118,878号明細書(Hawkins et al.)に記載されているものが挙げられる。なお、この文献の開示は、参考として本明細書に援用される。
【0191】
本発明の別の態様において、ルミネッセンスに基づく反応を安定化するための試薬、方法およびキットが提供される。特定のルシフェラーゼを安定化する分子(ルシフェラーゼの可逆的な阻害物質など)は、ルシフェラーゼ酵素の自身が触媒する公知の自動的な分解に対する保護効果を発揮し得る。これによって、ルミネッセンスのシグナルを延長させて、反応混合物のバッチ処理を容易にする。ルミネッセンスに基づく反応を安定化するために適切な試薬、方法およびキットは、米国特許出願公開第2004/0171099号明細書(Cali et al.)に記載されている。この文献の開示は参考として本明細書に援用される。
【0192】
<V.キット>
本発明は、サンプル中の1つ以上の分子の存在または活性を検出するためのキット、あるいはサンプルにおける状態を検出するためのキットも提供する。これらの分子は、反応のための試薬であるか、反応を増強または阻害するものである。これらのサンプルとしては、インタクトな細胞(intact cells)、細胞溶解物(例えば、少なくとも部分的に精製された溶解物)、または細胞の上清が挙げられる。一実施形態において、このキットは本発明の化合物を備えている。以下のルシフェリンまたはアミノルシフェリンの誘導体(例えば、本明細書に記載されたようなアセタール化合物)、別の基質、酵素(例えばエステラーゼ)、または反応混合物の2つ以上を備えている本発明のキットに関し、それぞれは別々の容器に備えられていることができる。いくつかの成分は、いくつかの容器内にて組み合わせられていてもよいし、これらは単一の容器に備えられていてもよい。
【0193】
キットは、必要に応じて、アッセイに使用するに適切な緩衝溶液、および化合物または酵素を備えていてもよい。緩衝溶液は必要に応じて単一の容器に備えられていてもよい。誘導体および緩衝溶液は必要に応じて単一の容器に備えられていてもよい。また、キットは必要に応じてバイオルミネッセンスを生じない反応のための消光剤(quenching agent)を備えていてもよい。キットは、必要に応じて、必要なまたは任意の補助因子のいくつかまたは全てと一緒にアッセイされるルシフェラーゼでない酵素をさらに備えていてもよい。また、キットは、本明細書に記載した化合物による第1の反応の産物を検出するための、ルシフェラーゼの反応混合物を備えていてもよい。さらに、キットは、使用のためのプロトコールまたは説明書を備えていてもよい。
【0194】
本発明を以下の限定しない実施例によって説明する。
【0195】
〔実施例〕
<材料および方法>
以下の材料および方法を実施例1および2に記載した実験に用いた。
【0196】
(材料)
プロルシフェリンアセタールである化合物を調製した。実施例1および2にて試験したこれらの化合物に、任意の数字表示3320、3357、3358、3359、3363、3364、3365、3366、3377、3387、3391、3397および3403を与えた。これらの化合物の構造を図2および図8〜20に示す。
【0197】
ルシフェリン−PPXE:(S)−2−(6−(3−((4−フェニルピペラジン−1−イル)メチル)ベンジルオキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4,5−ジヒドロチアゾール−4−カルボン酸、ルシフェリン−PFBE:(S)−2−(6−(ペルフルオロベンジルオキシ)−ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4,5−ジヒドロチアゾール−4−カルボン酸、およびルシフェリン−BE:(S)−2−(6−(ベンジルオキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4,5−ジヒドロチアゾール−4−カルボン酸をプロメガコーポレーション(Promega Corporation)から入手した。P450酵素は、P450レダクターゼと一緒にP450酵素が共発現した、昆虫細胞の発現系からの膜画分として提供される(スーパーソーム(Supersomes(登録商標));ディスカバリーラボウェア(Discovery Labware))。CYP2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2E1、2J2、3A4、3A5、3A7、4F2、4F3A、4F3Bおよび4F12の膜画分も、共発現されたチトクロムb5を含んでいる。コントロールの細胞は、P450酵素を発現しない膜調製物であり、P450酵素と同じ昆虫細胞発現系から調製される(コントロールスーパーソーム(control Supersomes(登録商標));ディスカバリーラボウェア(Discovery Labware))。
【0198】
2つの成分からなるルシフェリンの検出試薬(LDR)はプロメガコーポレーション(Promega Corporation)にて市販されている。すなわち、第1の成分は、組換えのホタルのルシフェラーゼの、凍結乾燥した調製物からなる。第1の成分は、第2の成分(ルシフェラーゼの反応緩衝剤)によって復元される。ルシフェラーゼの反応緩衝剤は、ATP、ルシフェリンエステルとP450との反応産物を処理するための活性なエステラーゼ、およびP450酵素の活性を停止するための界面活性剤を含んでいるLDRは、プロルシフェリンをルシフェリンにP450依存的に変換することを検出するために用いる。
【0199】
16歳のヒトのドナーから採取されたヒト肝細胞は、ロンザ(Lonza)から購入した。
【0200】
(方法)
二段階のスキームに従って、組換えP450酵素を用いるアッセイを行った。第1のステップでは、ルシフェリン誘導体をP450によって酸化する。第2のステップでは、P450の反応混合物にLDRを添加して、P450の活性を停止させ、グロースタイルのルシフェラーゼ反応を開始する。この反応において、ルミネッセンスのシグナルの強度は、第1のステップにてP450によって酸化されたルシフェリン誘導体の量に依存する。
【0201】
第1のステップのP450酵素の反応のための反応緩衝液を、用いるP450酵素に依存して変更した。緩衝液は酵素の製造業者の提言に従って用いた。特に示さない限り、以下の緩衝液と酵素との組み合わせを用いた。CYP1A1、1A2、1B1、2D6、2E1、3A5、3A7、2J2、4F12、19およびコントロールのサンプルについて100mMのKPO(pH7.4)、CYP2B6、2C8、2C19、4F2、4F3A、4F3Bについて50mMのKPO(pH7.4)、CYP2C9について25mMのKPO(pH7.4)、CYP3A4について200mMのKPO(pH7.4)、CYP2A6、2C18、4A11について100mMのTrisHCl(pH7.5)。
【0202】
図2および図8〜19において、ルシフェリン誘導体を、ヒトの組換えチトクロムP450酵素の一団およびコントロールのミクロソーム(スーパーソーム(Supersomes(登録商標)))に対してスクリーニングした。
【0203】
プロルシフェリンのアセタール化合物の高濃度のストック溶液を以下のように調製した。50mMの3320のアセトニトリル溶液、50mMの3357のアセトニトリル溶液、50mMの3364のアセトニトリル溶液、50mMの3366のアセトニトリル溶液、50mMの3391のアセトニトリル溶液、50mMの3359のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液、50mMの3365のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液、50mMの3397のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液、50mMの3403のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液、50mMの3377の水溶液(HO)、および10mMの3363の水溶液(HO)。ルシフェリン−PPXE、ルシフェリン−PFBEおよびルシフェリン−BEを、それぞれ50mMのルシフェリン−PPXEのDMSO溶液、2mMのルシフェリン−PFBEの25mMのTris(pH8)溶液、および5mMのルシフェリン−BEの100mMのKPO(pH7.4)として提供した。光を通さない白色のポリスチレンの平底の96ウェルプレートにてアッセイを行った。1ピコモルのP450酵素またはこれに相当する量のコントロールの膜とNADPHの再生系(1.3mMのNADP+、3.3mMのグルコース−6−リン酸、3.3mMのMgClおよび0.4U/mLのグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)とを含んでいる適切なP450反応緩衝液(50μL)に、各化合物を50μMになるように希釈した。反応を、NADPHの再生系の添加によって開始し、37℃にて30分間インキュベートした。インキュベートの後に、等量(50μL)のLDRを添加して、20分後に、ベリタス(Veritas(登録商標))ルミノメーターにて、室温でルミネッセンスを読んだ。
【0204】
化合物3391を用いた図20では、図2および図8〜19に用いた方法を以下の変更を加えて用いた:0.1ピコモルの各P450酵素またはこれに相当する量のコントロールの膜を、反応毎に用いた;全ての反応に関し、2μMの化合物3391を用いた;100mMのKPO(pH7.4)をP450反応緩衝液として用いた;反応を37℃にて10分間インキュベートした。
【0205】
図3〜図6において、CYP3A4酵素をチトクロムb5およびチトクロムP450レダクターゼと一緒に膜画分にて共発現させた(スーパーソーム(Supersomes(登録商標)))。各反応(50μL)に関し、0.1ピコモルのCYP3A4酵素を、200mMのKPO緩衝液(pH7.4)にて、2.0μMの化合物3391およびNADPHの再生系(1.3mMのNADP+、3.3mMのグルコース−6−リン酸、3.3mMのMgClおよび0.4U/mLのグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)および図3〜6に示した量の各阻害物質(ニフェジピン、ケトコナゾール、テストステロンまたはミダゾラム)と組み合わせた。反応を、NADPHの再生系の添加によって開始し、37℃にて10分間インキュベートした。インキュベートの後に、等量(50μL)のLDRを添加して、20分後に、ベリタス(Veritas(登録商標))ルミノメーターにて、室温でルミネッセンスを読んだ。シグナルを「活性の%」として表した。なお、100%は、阻害物質が存在しない場合に観察されるルミネッセンスを表す。IC50は反応を50%阻害する阻害物質の濃度である。カーブフィッティングおよびIC50の算出をプログラム グラフパッドプリズム(GraphPad Prism(登録商標))によって行った。
【0206】
図7に示すように、CYP3A4と3391との反応が用量依存的であることを実証した。この反応は、反応において阻害物質が存在しないことおよび図7に示すように化合物3391の濃度を変更したことを除いて図3〜6について記載したように実施した。シグナルを、正味の相対的なルミネッセンスのユニット(RLU)として表した。正味の相対的なルミネッセンスのユニット(RLU)は、CYP3A4の反応のRLUの値からCYP3A4酵素を欠いているコントロールの反応混合物のバックグラウンドのRLUの値を除することによって算出した。カーブフィッティングをプログラム グラフパッドプリズム(GraphPad Prism(登録商標))によって行った。
【0207】
図21において、ヒトの肝細胞をロンザ(Lonza)から購入した。すなわち、この細胞は、16歳の女性のドナーの患者から採取され、コラーゲンがコーティングされた96ウェルの組織培養プレートにてほぼコンフルエントになるように播種され、可溶化された基底膜のマトリックスの調製物(マトリゲル(Matrigel(登録商標))、BDバイオサイエンス(BD Bioscience))によって覆われた。細胞は、周囲温度の封止されたプレートにて37℃、5%COのインキュベーターにて維持されて製造業者から輸送された。細胞を受け取った際に、輸送に用いた培地を、100μL/ウェルのインビトログロヘパトサイトプレーティングメディウム(InVitroGRO(登録商標) Hepatocyte Plating medium(セルシス(Celsis)))に置換した。細胞を受け取った1日後に、500μMのフェノバルビタールまたはそのビヒクル(0.1%DMSO)を含んでいるインビトログロヘパトサイトプレーティングメディウム(100μL/ウェル)を用いて細胞を処理した。
【0208】
24時間後に、処理を新たに行い、合計で48時間、維持した。48時間の処理の終わりに、処理を取り除き、4μMの化合物3391を含んでいるかまたは4μMの化合物3391と10μMのケトコナゾールとを含んでいる、インキュベーション用の培地(60μL/ウェル)と置換し、37℃のインキュベーターにて1時間インキュベートした。バックグラウンドを測定するために、4μMの化合物3391を含んでいるインキュベーション用の培地(60μL)を、別の96ウェルの組織培養プレートの細胞を有していないウェルにアプライし、処置した細胞を含んでいるプレートと同時に37℃にて1時間インキュベートした。インキュベーションの後に、各ウェルから50μLの培地を、光を通さない白色のポリスチレンのプレートに移して、50μLのLDRと組み合わせた。そして、20分後に、ベリタス(Veritas(登録商標))ルミノメーターにてルミネッセンスを読んだ。
【0209】
<実施例1>
A.ルシフェリン誘導体を用いた、ヒトのチトクロムP450酵素の活性の測定
二段階のルミネッセンスのアプローチによって、プロルシフェリンアセタールを用いたP450の活性の測定を行った(Cali et al., Exp. Op. Drug Metab. Toxicol. (2006) vol.2(4), 629−645; Cali, Cell Notes. 7:2 (2003); Cali et al., Cell Notes, 13:8 (2005a); および Cali, Bioluminescent P450 assays that use D−luciferin derivatives as substrates for CYP1A1, 1A2, 1B1, 2C8, 2C9, 2J2, 3A4, 3A7, 4A11, 4F3B, 4F12 and 19, Proc. 14th Int. Conf. Cytochromes P450, Medimond Int. Proc. (2005b))。すなわち、第1のステップにおいて、本発明のプロルシフェリンアセタールをP450酵素によって最初に酸化する。次いで、酸化された産物は、非酵素的な変換を経験してプロルシフェリンエステルになると考えられる。第2のステップでは、プロルシフェリンエステルをルシフェリンに変換するエステラーゼ酵素を含んでいるルシフェラーゼの反応混合物を添加することによって、プロルシフェリンエステルを検出する。ルシフェリンはルシフェラーゼと反応し、ルシフェリンの量に比例する量の光を生成する。それ故、ルシフェリンはP450酵素の活性の量に比例する量の光を生成する。活性なP450酵素を含んでいるサンプルは、通常、P450の活性を欠いているコントロールと比較する。コントロールを顕著に超過するルミネッセンスのシグナルを与えるP450を含んでいるサンプルは、示唆される反応のメカニズムに縛られることなく、活性であると記録される。
【0210】
図2の結果は、21個の組換えヒトチトクロムP450酵素の一団のサブセットが、プロルシフェリンアセタールの化合物3391の変換を確かに媒介し、その結果、P450酵素の活性を欠いたコントロールのサンプルを顕著に超過するルミネッセンスのシグナルがルシフェラーゼによって生成されることを実証する。さらに、P450を含んでいないコントロール反応のより低いシグナル(バックグラウンドのシグナル)に対するCYP3A4のシグナルは、化合物3391を用いた場合の方がCYP3A4の基質であるアセタールでないルシフェリン誘導体(ルシフェリン−PPXE:(S)−2−(6−(3−((4−フェニルピペラジン−1−イル)メチル)−ベンジルオキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4,5−ジヒドロチアゾール−4−カルボン酸、ルシフェリン−PFBE:(S)−2−(6−(ペルフルオロベンジルオキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4,5−ジヒドロチアゾール−4−カルボン酸、およびルシフェリン−BE:(S)−2−(6−(ベンジルオキシ)ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4,5−ジヒドロチアゾール−4−カルボン酸)を用いた場合よりも明るいことが観察された。よって、化合物3391を用いた場合、顕著により高いシグナル/バックグラウンド(S/B)比および感度のより高いアッセイが観察される。
【0211】
例えば、化合物3391に関するS/Bが1699であることに対して、ルシフェリン−BE、ルシフェリン−PPXEおよびルシフェリン−PFBEに関するS/Bは、それぞれ55、56および92であった。アッセイの感度が高くなれば、反応毎のP450酵素の使用量をより少なくすることができるし、サンプル中のP450がより少量であっても検出することができる。このことは、CYP3A4の活性が非常に低いことがある細胞を基礎とするアッセイに特に関係する。さらに、図2に示すように、化合物3391は、アセタールでないルシフェリン基質と比べて、他のCYP3Aのサブファミリーのメンバー(CYP3A5およびCYP3A7)よりもCYP3A4に対する選択性が優れている。この向上した選択性は、化合物3391と反応するCYP3A4のための最適な条件にて組換えP450酵素の一団がスクリーニングされた図20においてより決定的に実証されている。より選択的な基質は、複数のP450酵素が共発現するサンプル(肝臓のミクロソーム、培養された肝細胞、および肝細胞に類似する細胞株など)中の他のCYP3A4酵素からCYP3A4の活性を区別するに有利である。
【0212】
B.種々の阻害物質の存在下におけるCYP3A4の活性の測定
種々の阻害物質の存在下にて、CYP3A4を用いて化合物3391から発生したシグナルを決定した(図3〜6)。CYP3A4と3391との反応は、CYP3A4の基質であるテストステロン、ミダゾラム、ニフェジピン、および標準的な3A4の阻害物質であるケトコナゾールによって阻害された。対照的に、アセタールでないルシフェリン誘導体(ルシフェリン−BEおよびルシフェリン−PFBE)を用いたCYP3A4のアッセイはミダゾラムによって阻害され、ニフェジピンおよびテストステロンによって促進された。アセタールでないルシフェリン誘導体(ルシフェリン−PPXE)を用いたCYP3A4のアッセイはミダゾラムおよびニフェジピンによって阻害され、テストステロンによって促進される(Sobol, M. et al. Promega Notes, 2007, vol. 96, pages 15−18)。このように、化合物3391は、アセタールでないルミネッセンスを生じる基質よりも、CYP3A4の阻害物質を検出するためのプローブとしての使用範囲が広い。なお、このような阻害物質のいくつかは、競合阻害物質としての役割を果たすCYP3A4の基質であり得る。
【0213】
C.CYP3A4の濃度依存性の測定
図7において、CYP3A4の化合物3391との反応の濃度依存性を説明する。このデータは、活性が濃度依存的に増加し、化合物3391が12.5μMのときに最大速度に達し、化合物3391の濃度がより高いときには観察されたこの最大値からわずかに低減することを示している。データは、方程式Y=(Vmax・X)/(K+X+(X・X/K))によって記述された基質の阻害モデルに上手く適合する(R=0.99)。Xは基質濃度である。Yは相対的な光のユニット(RLU)における活性である。Kは最大半量の速度である。Kは基質の阻害定数である。化合物3391に関して算出されたKおよびKの値はそれぞれ2μMおよび171μMである。このK値は、図2にて用いたアセタールでないルシフェリン誘導体(CYP3A4の基質)よりも低い(ルシフェリン−BE:K=50μM、ルシフェリン−PFBE:K=50μM、ルシフェリン−PPXE:K=25μM)(Cali et al Exp. Op. Drug Metab. Toxicol (2006) vol.2(4), 629−645)。
【0214】
D.他のプロルシフェリンアセタールを用いたヒトCYP450酵素の活性の測定
21個の組換えP450酵素の一団とP450酵素の活性を欠いたコントロールに対する、二段階のアッセイのスキームを用いた、いくつかのプロルシフェリンアセタールのスクリーニングを図8〜19に示す。1ピコモルの各酵素を必要な補助因子および緩衝液と一緒に、50μMのプロルシフェリンアセタールの存在下にて37℃で30分間インキュベートした。この条件は、さらに適度な活性の検出を可能にする。各プロルシフェリンアセタールは21個の酵素の種々のサブセットによる活性を示した。この活性は、P450を含んでいないコントロールと比べたときのルミネッセンスの増加として測定された。プロルシフェリンアセタールは、P450酵素のCYP3Aのサブファミリー(CYP3A4、CYP3A5およびCYP3A7が挙げられる。)に対する強い選択性を示した。
【0215】
E.CYP3A4に対する化合物3391の選択性の実証
図20において、図2に示した実験を改良し、CYP3A4に対する化合物の選択性を実証した。この酵素の重要な役割が薬物代謝であるので、CYP3A4に対して選択的なアッセイは特に関心を集めている。他のCYP3A4のサブファミリーのメンバーであるCYP3A5およびCYP3A7よりもCYP3A4について選択的であるアッセイを設計することは、特にやりがいのある仕事である。図2において用いた条件は、特定の酵素が有利になるようにバイアスをかけることなくスクリーニングされた、P450酵素のいずれかによる化合物3391を用いた活性を検出するために設計された。この条件において、化合物3391はCYP3Aに対する非常に優れた選択性を示したが、CYP3A5およびCYP3A7と比べた場合、CYP3A4に対する選択性は適度なものであった(CYP3A5と比べた場合、CYP3A4に対する選択性は1.4倍であり、CYP3A7と比べた場合CYP3A4に対する選択性は8.5倍である。)。図20において、化合物3301がCYP3A4と反応するための最適な条件にて、酵素の一団を再度スクリーニングした:すなわち、2μMの化合物3391を0.1ピコモルの各P450酵素と一緒に反応緩衝液(100mMのKPO緩衝液(pH7.4))に存在させ、37℃で10分間インキュベートした。CYP3A4の反応のKの濃度は2μMであり、100mMのKPO4は化合物3391によるCYP3A4の活性についての最適な緩衝液である。CYP3A4による産物は少なくとも10分間、直線的に蓄積する。そして、0.1ピコモルのCYP3A4を用いた場合、10%未満の化合物3391が10分間のインキュベーションで酸化される。これらの条件はP450の阻害剤のためのスクリーニングに究極的に用いられるアッセイにとって理想的である。これらの条件下にて、化合物3391の反応性は、CYP3A4に対して非常に選択的であり、CYP3A5と比較した場合、CYP3A4に対する選択性は8.0倍を示し、CYP3A7と比較した場合、CYP3A4に対する選択性は48.5倍を示し、スクリーニングされた他のP450酵素を用いた活性は無視できるものである。
【0216】
CYP3A5およびCYP3A7と比べたときのCYP3A4の選択性に関して図2および20に見られる差異は、図20における条件がインキュベーションの間中、定常状態の反応速度論(reaction kinetics)を可能にする一方、図2における条件は、基質の欠乏に起因して、時間とともに反応速度が減少することを可能にするという事実で説明することができる。図20のバーの高さは、異なる反応速度を表す。これに対して、インキュベーションをより長く行い、酵素を10倍にしたことによって得られた図2のバーの高さは、基質が利用される範囲を表す。
【0217】
<実施例2>
化合物3391を用いた実験を培養されたヒトの肝細胞に適用した。この実験を行い、インタクトな細胞におけるCYP3A4の酵素活性を測定した。図21に、ヒトの肝細胞における、バックグラウンド、基底およびフェノバルビタールによって誘導されたルミネッセンスの活性、ならびに基底およびフェノバルビタールによって誘導された活性のケトコナゾールによる阻害を示す。アセタールでないルシフェリン誘導体を用いたバイオルミネッセントなP450酵素のアッセイ(Sobol, M. et al. Promega Notes, 2007, vol. 96, pages 15−18; Cali et al., Exp. Op. Drug Metab. Toxicol (2006) vol.2 (4), 629−645)について以前に記載されたようにして、アッセイを行った。すなわち、化合物3391を肝細胞の培養液に溶解し、公知のCYP3A4の誘導物質であるフェノバルビタールまたはそのビヒクル(DMSO)で48時間処置した後の細胞にアプライした。また、公知のCYP3A4の阻害物質であるケトコナゾールも、化合物3391と組み合わせて、いくつかのウェルにアプライした。化合物に短期間曝露した後、細胞から培地のサンプルを取り出し、別のプレートにおいてルシフェリンを検出する試薬(LDR)と組み合わせて、ルミネッセンスを読んだ。CYP3A4の選択性の予想は、図20に示した組換え酵素の一団のスクリーニングに基づいている。
【0218】
化合物3391とケトコナゾールとが細胞によって取り込まれることが予期された。細胞内では、細胞内に存在する酵素CYP3A4がこの3391のいくつかを酸化して、ルシフェリンエステルへの変換を促進する。このルシフェリンエステルは、次いで、細胞内に存在する酵素エステラーゼによってルシフェリンへ変換される。CYP3A4によって酸化された化合物3391の量は、存在する酵素CYP3A4の量と、ケトコナゾールを用いたときのまたは用いていないときの反応速度とに依存する。ルシフェリンおよび/またはルシフェリンエステルは、次いで、培養液に拡散して戻り得る。残存する任意のルシフェリンエステルは、LDRに存在するエステラーゼによってルシフェリンに変換される。
【0219】
図21におけるデータは、本明細書に記載した方法を用いた場合に、アッセイのバックグラウンドを顕著に超過するルミネッセンスのシグナルとしての基底の活性を検出することが可能であり、この活性がCYP3A4の阻害剤であるケトコナゾールによる阻害に感受性があったことを実証している。さらに、この基底の活性は、公知のCYP3A4の誘導物質であるフェノバルビタールによって18倍に誘導された。この誘導された活性も、ケトコナゾールによる阻害に感受性があった。よって、基底の活性がCYP3A4によって誘導され、CYP3A4の阻害物質によって阻害されることを考慮すると、化合物3391は、肝細胞におけるCYP3A4の活性を測定するための効果的なプローブである。さらに、このデータは、図20に示されたCYP3A4の選択性の予想と一致している。
【0220】
<実施例3>
2‐(4‐(ジイソプロポキシメチル)‐4,5‐ジヒドロチアゾール‐2‐イル)ベンゾ[d]チアゾール‐6‐オールの調製
A.tert‐ブチル 4‐(メトキシ(メチル)カルバモイル)‐2,2‐ジメチルチアゾリジン‐3‐カルボン酸塩
【0221】
【化16】

【0222】
3−(tert−ブトキシカルボニル)−2,2−ジメチルチアゾリジン−4−カルボン酸(Suaifanら、Tetrahedron 62, 11245-11266 (2006); Kemp and Carey, J. Org. Chem. 54, 3640 (1989)を参照)(4g、0.015mol)、HATU(7.3g、0.019mol)、HOAt(0.6Mの28ml、0.017mol)、N,O‐ジメチルヒドロキシルアミン‐HCl(2.92g、0.03mol)、ジエチルイソプロピルアミン(5.1L、0.03mol)およびDMF(20mL)を収容したフラスコを室温で17時間攪拌した。
【0223】
溶媒をエバポレーションにて蒸発させ、残渣を酢酸エチル(200mL)および水(300mL)に分けた。水層を酢酸エチル(50mL)にて抽出し、合わせた有機層を30%のクエン酸溶液(2×100mL)、飽和炭酸水素塩(2×100mL)および食塩水(1×50mL)にて洗浄した。エバポレーション後、粗残渣を順相シリカにてクロマトグラフィーを行い、ヘプタン/酢酸エチル(2/1)にて溶出させ、3.84gの固体を得た(84%)。
【0224】
B.tert-ブチル 4−ホルミル−2,2−ジメチルチアゾリジン−3−カルボン酸塩
0.918g、3mmolのtert-ブチル 4−(メトキシ(メチル)カルバモイル)−2,2−ジメチルチアゾリジン−3−カルボン酸塩(2)およびジエチルエーテル(20mL)を収容したフラスコをアイスバス中で冷却した。
【0225】
冷却した溶液に、水素化アルミニウムリチウム(160mg、4.2mmol)を添加した。1時間後、エーテル(20mL)をさらに添加した。さらに1時間後、水(1mL)に溶解させた、硫酸水素カリウム(315mg)溶液を反応物に添加した。セライトを添加し、反応物をろ過し、追加のエーテルで固体を洗浄した。集めたエーテルを、0.1NのHCl(aq)(15mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(15mL)および食塩水(15ml)で洗った。
【0226】
さらに精製を行うことなく、上記エーテルをNaSOで乾燥させ、エバポレーターにて蒸発させた。収量684mg(92%)
C.2−(4−(ジイソプロポキシメチル)−4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル)ベンゾ[d]チアゾール−6−オール
tert−ブチル 4−ホルミル−2,2−ジメチルチアゾリジン−3−カルボン酸塩(750mg、3.06mmol)をイソプロパノール(20mL)中に懸濁させ、室温にて窒素雰囲気下で攪拌した。HCl(2.3mL、4.0Mジオキサン溶液)を滴下し、反応物を16時間攪拌した。水5mLに溶解させたTCEP(1.49g、5.2mmol)溶液を反応混合物に添加した。飽和炭酸ナトリウムにて反応物のpHを約8に調整した。6−ヒドロキシ−ベンゾ[d]チアゾール−2−カルボニトリル(590mg、3.35mmol)のTHF溶液(5mL)を上記反応物に滴下により添加し、反応物を20時間攪拌した。
【0227】
HPLC分析により進行がないことが示されたときに、反応を停止させた。溶媒を真空下、蒸発させ、得られた黄色残渣をアセトニトリル:水(1:1)に取り、逆相クロマトグラフィーにて、30分以上かけて、50mMのTEAA/ACNを90/10から100%のACNまでの勾配にて用いて黄色残渣の精製を行った。
【0228】
溶媒を蒸発させ、300mgの目的生成物を得た。
1H-NMR(300 MHz, CD2Cl2) ・: 7.94 (d, 1H, J = 9 Hz), 7.32 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 7.05 (dd, 1H, J = 8.7 Hz, 2.4 Hz), 4.95 (d, 1H, J = 4.5 Hz), 4.79 (1H, m), 3.90 (2H, m), 3.48 (2H, m), 1.2 (12H, m); mass spectrum, calculated for C17H23N2O3S2(MH+) 367.1, Found 367.2.
<実施例4>
ジメトキシメチルチアゾリルベンゾチアゾール誘導体の調製
【0229】
【化17】

【0230】
【化18】

【0231】
【化19】

【0232】
【化20】

【0233】
A.4−(ジメトキシメチル)−2,2−ジメチルチアゾリジン
tert-ブチル 4−ホルミル−2,2−ジメチルチアゾリジン−3−カルボン酸塩(684mg、2.8mmol)およびメタノール(4mL)を収容したフラスコに、4MのHClジオキサン(500μL)溶液を添加した。
【0234】
室温で48時間後、ジエチルエーテル(20mL)を添加した。溶液を冷蔵庫に置き、ろ過した後、2付加結晶物を収量145mg(21%)の固体にて回収した。
【0235】
B.2−(4−(ジメトキシメチル)−4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル)ベンゾ[d]チアゾール−6−オール(方法A)(化合物3287)
pHを7.5に調整するために、メタノール(1mL)における4−(ジメトキシメチル)−2,2−ジメチルチアゾリジン(40mg、0.17mmol)を収容したガラス瓶へ、充分に飽和させた炭酸水素ナトリウムを添加した。
【0236】
メタノール(1mL)の2−シアノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(31mg、0.17mmol)溶液を反応物に添加し、さらに、TCEP水溶液(43mg、0.17mmol、pH8に調整されており、w/飽和NaCO)を上記反応物に添加した。
【0237】
2時間後、飽和NaCO(水溶液)を3滴、上記反応物に添加した。72時間後、反応物は、水(20mL)および酢酸エチル(20mL)に分け、酢酸エチル(20mL)を抽出し、水1×10mL、飽和クエン酸溶液1×10mL、食塩水1×10mLおよび乾燥された硫酸ナトリウムにて洗浄した有機層と合わせた。
【0238】
エバポレーションによる蒸発後、残渣を、調製用のRP−HPLCにて精製し、最終的に31mgの固体を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 10.13 (s, 1H), 7.91 (dd, J = 2.7, 8.8, 1H), 7.39 (d, J = 2.4, 1H), 7.01 (dd, J = 2.5, 8.9, 1H), 4.84 (td, J = 5.5, 9.3, 1H), 4.60 (d, J = 5.0, 1H), 3.54 ‐ 3.20 (m, 11H(includes water peak)).
C.2−(4−(ジメトキシメチル)−4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル)−N,N−ジメチルベンゾ[d]チアゾール−6−アミン(化合物3357)
方法Aを使用し、2−シアノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾールを6−(N,N‐ジメチルアミノ)−2−シアノベンゼンチアゾール(6−アミノ−2−シアノベンゾチアゾールをヨウ化メチルにて完全メチル化することにより合成される)に置換する合成を行った。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.97 (d, J = 9.1, 1H), 7.25 (s, 1H), 7.02 (d, J = 9.0, 1H), 4.86 (dd, J = 5.2, 9.3, 1H), 4.63 (d, J = 4.8, 1H), 3.50 (dd, J = 2.8, 14.8, 8H), 3.08 (t, J = 4.6, 7H); mass spectrum, calculated (MH+) 338, found 338.
D.2−(4−(ジメトキシメチル)−4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル)ベンゾ[d]チアゾール−6−アミン(化合物3359)
方法Aを使用し、2−シアノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾールを6−アミノ−2−シアノベンゼンチアゾール(O'Brienら、U.S. Patent No. 7,148,030)に置換する合成を行った。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.85 (d, J = 8.8, 1H), 7.04 (d, J = 2.3, 1H), 6.82 (dd, J = 2.3, 8.8, 1H), 4.84 (td, J = 5.1, 9.0, 1H), 4.59 (d, J = 5.1, 1H), 3.55 ‐ 3.33 (m, 9H), 1.97 (d, J = 0.6, 2H). mass spectrum, calculated (MH+) 310, found 310.
E.3−(2−(4−(ジメトキシメチル)−4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル)ベンゾ[d]チアゾール−6−イルアミノ)プロパン−1−オール(化合物3366)
方法Aを使用し、2−シアノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾールにより、6−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)−2−シアノベンゼンチアゾール(Daily, Hawkinsら、WO 2006/130551)を置換する合成を行った。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.85 (dd, J = 2.4, 8.9, 1H), 6.97 (d, J = 2.3, 1H), 6.80 (dd, J = 2.4, 8.9, 1H), 4.86 (dt, J = 6.9, 13.9, 1H), 4.61 (dd, J = 2.5, 5.0, 1H), 3.91 ‐ 3.75 (m, 2H), 3.59 ‐ 3.38 (m, 9H), 3.36 ‐ 3.25 (m, 2H), 2.16 (d, J = 2.6, 1H), 2.02 ‐ 1.82 (m, 2H). mass spectrum, calculated (MH+) 368, found 368.
【0239】
<実施例5>
混合アセタール誘導体の調製
【0240】
【化21】

【0241】
A.2−(4−((2−ブロモエトキシ)(メトキシ)メチル)−4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル)ベンゾ[d]チアゾール−6−オール(方法B)(化合物3358)
2‐(4‐(ジメトキシメチル)‐4,5‐ジヒドロチアゾール‐2‐イル)ベンゾ[d]チアゾール‐6‐オール(50mg)を収容したガラス瓶に、2‐ブロモエタノール(1mL)およびHClのジオキサン溶液(4Mの125uL)を添加した。
【0242】
室温にて4時間後、トリエチルアンモニウムアセテート(TEAA)(1Mの1mL)の水溶液を反応物に添加した。ろ過後、30分以上、溶液を調製用のRP−HPLCにて、50mMのTEAAをアセトニトリルに徐々に移行させ、溶出することにより、溶液を精製した。収量26mg
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.96 (d, J = 8.9, 1H), 7.33 (d, J = 2.4, 1H), 7.06 (dd, J = 2.3, 8.9, 1H), 4.88 (dt, J = 6.8, 13.2, 1H), 4.79 ‐ 4.67 (m, 1H), 4.16 ‐ 3.73 (m, 3H), 3.64 ‐ 3.38 (m, 8H), 1.36 (dd, J = 2.4, 5.3, 1H). mass spectrum, calculated (MH+) 304/306, found 304/306
B.2−(4−((3−ブロモプロポキシ)(メトキシ)メチル)−4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル)ベンゾ[d]チアゾール−6−オール(化合物3364)および2−(4−(ビス(3−ブロモプロポキシ)メチル)−4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル)ベンゾ[d]チアゾール−6−オール(化合物3365)
方法Bを使用し、2−(4−(ジメトキシメチル)−4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル)ベンゾ[d]チアゾール−6−オール(200mg)、3−ブロモプロパノール(2mL)およびHClのジオキサン溶液(4Mの480uL)を出発原料として合成を行った。生成物を調製用のRP−HPLCにて分離し、混合アセタールを70mg得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.97 (d, J = 8.9, 1H), 7.29 (d, J = 2.2, 1H), 7.05 (dd, J = 2.2, 8.9, 1H), 5.00 ‐ 4.64 (m, 2H), 3.99 ‐ 3.64 (m, 2H), 3.62 ‐ 3.40 (m, 7H), 2.26 ‐ 1.99 (m, 2H). mass (MH+) calc and found 416/418;
また、対称アセタールを20mg得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.96 (d, J = 8.9, 1H), 7.33 (d, J = 2.4, 1H), 7.06 (dd, J = 2.5, 8.9, 1H), 4.90 (ddd, J = 4.7, 11.2, 18.2, 2H), 3.91 (td, J = 5.5, 9.1, 2H), 3.72 (ddd, J = 5.7, 9.6, 20.4, 2H), 3.60 ‐ 3.41 (m, 6H), 2.13 (ddd, J = 6.1, 12.2, 19.4, 4H). mass (MH+) calc and found 523/525/527.
C.2−(4−((2−(ジメチルアミノ)エトキシ)(メトキシ)メチル)−4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル)ベンゾ[d]チアゾール−6−オール(化合物3363)
DMF(200uL)中の2−(4−((2−ブロモエトキシ)(メトキシ)メチル)−4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル)ベンゾ[d]チアゾール−6−オール(16mg)を収容したガラス瓶へ、ジメチルアミン(THF溶液、2Mの40uL)を添加した。室温で48時間後、反応物を調製用のRP−HPLCにて分離し、8mgを得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.78 (d, J = 9.2, 1H), 7.14 (d, J = 2.2, 1H), 6.97 (d, J = 8.9, 1H), 4.74 ‐ 4.59 (m, 2H), 4.12 ‐ 3.78 (m, 1H), 3.21 (dd, J = 7.2, 14.9, 1H), 3.10 (s, 2H), 2.63 (s, 5H), 1.29 (t, J = 7.3, 1H). mass (MH+) calc and found 368.
【0243】
<実施例6>
ルシフェリンのキノリンアセタール誘導体の調製
【0244】
【化22】

【0245】
【化23】

【0246】
実施例4に記載の4−(ジメトキシメチル)−2,2−ジメチルチアゾリジンを調製し、キノリンルシフェリンの誘導体である2−(2−(4−(ジメトキシメチル)−4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル)−6−ヒドロキシキノリンを実施例4における方法に従って調製可能である。上記方法Aは、2−シアノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾールを2−シアノ−6−ヒドロキシキノリン(WO2006/130551(Daily, Hawkinsら)を参照)に置換する方法である。実施例3〜5に記載の技術を使用して、種々の他のキノリンアセタールを調製することができる。
【0247】
適切なキノリンニトリルは商業的に得られ、または、従来公知の方法によって調製可能である。例えば、キノリンの6位が置換されたキノリンの出発原料を使用することによってキノリン誘導体を調製してもよい。一例として、6位が酸素置換または6位が窒素置換されたキノリンが含まれる。上記キノリンでは、置換体として例えば、本明細書に記載された種々のベンゾチアゾールおよびルシフェリン誘導体を示すことができる。一例として、実施例5に記載の技術を使用して、他のアセタールおよび混合アセタールをさらに調製可能である。
【0248】
全ての刊行物、特許および特許出願は本発明に参照することにより組み込まれる。一方、上述した明細書において、当該発明は特定の好ましい形態に関して記載したものであり、説明のために詳細を述べてきた。しかし、本発明がさらなる実施形態を許容可能であり、本発明の基本原理から離れることなく、本明細書に記載された詳細の一部を大幅に変更できることは、当業者にとって明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0249】
【図1】ビートルのルシフェリン(D−ルシフェリン)の6員環(「A環」または「環A」)内の環の原子、中心の5員環(「B環」または「環B」)内の環の原子、およびチアゾールの5員環(「C環」または「環C」)内の環の原子の番号を示す図である。
【図2】化合物3391のP450酵素に対する選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3391またはアセタールでないプロルシフェリン誘導体(ルシフェリン−BE、ルシフェリン−PFBEまたはルシフェリン−PPXE)を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。3つ組(three replicate)の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【図3】ニフェジピンによるCYP3A4の活性の阻害を示す図である。
【図4】ケトコナゾールによるCYP3A4の活性の阻害を示す図である。
【図5】テストステロンによるCYP3A4の活性の阻害を示す図である。
【図6】ミダゾラムによるCYP3A4の活性の阻害を示す図である。
【図7】CYP3A4/3391の活性の用量依存性を示す図である。
【図8】化合物3320のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3320を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【図9】化合物3366のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3366を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【図10】化合物3364のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3364を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【図11】化合物3365のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3365を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【図12】化合物3377のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3377を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【図13】化合物3387のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3387を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【図14】化合物3357のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3357を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【図15】化合物3358のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3358を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【図16】化合物3359のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3359を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【図17】化合物3363のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3363を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【図18】化合物3397のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3397を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【図19】化合物3403のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3403を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。
【図20】化合物3391のP450酵素の選択性を示すグラフである。グラフでは、組換えチトクロムP450酵素の一団に対してスクリーニングした、アセタールプロルシフェリン誘導体である化合物3391を含んでいる反応についてのルミネッセンスを、相対的な光の単位(RLU)で示した。各P450酵素による3つ組の反応からの測定の平均値および標準偏差を示す。この図は実施例1およびその「材料および方法」の項に記載したような図2と異なる。
【図21】ヒトの肝細胞におけるCYP3A4の誘導を示す図である。10μMのケトコナゾール(Keto)を有しているまたは有していない、500μMのフェノバルビタール(PB)またはPBのビヒクルである0.1%ジメチルスルホキシド(DMAO)で処理した後の培養肝細胞におけるCYP3A4の活性を検出するためのバイオルミネッセンスのプローブとして、化合物3391を用いた。4つ組のウェルからの測定の平均値および標準偏差を示す。バックグラウンドは、培地および化合物3391を含んでいるが、細胞を含んでいないウェルからのシグナルである。基底(Basal)は、培地、0.1%DMSOおよび細胞を含んでいるウェルからのシグナルである。バックグラウンドの値(グラフ上のバーとして確認することができない。)は990±71RLUである。基底+ketoの値(これも、グラフ上のバーとして確認することができない。)は3613±244RLUである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)で示される化合物であって、
【化1】

(I)

上記式(I)において、
Yは、N、N‐オキシド、N‐(C〜C)アルキルまたはCHであり;
Xは、S、O、CH=CH、N=CHまたはCH=Nであり;
はそれぞれ独立してOまたはSであり;
R’およびR”はそれぞれ独立して、(C〜C20)アルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、(C〜C20)シクロアルキル、(C〜C30)アリール、ハロアリールもしくは複素環であるか、または、R’およびR”は共に環式部分を形成しており;
R’およびR”は、ヒドロキシル、(C〜C12)アルコキシ、オキシ、アミノ、ハロ、カルボキシル、チオ、(C〜C30)アリール、ハロアリールまたは複素環で任意に置換されていてもよく;
Zは、H、OH、OR、NH、NHRまたはNRRであり;
はH、ハロ、(C〜C)アルキル、(C〜C20)アルケニル、ヒドロキシルもしくは(C〜C)アルコキシであり、nは1、2または3であるか、または
およびZは、環Aにおいて共にケト基を形成しており、環Aにおいて任意の結合を示す破線の少なくとも1つが存在せず;
はそれぞれ独立して、H、ハロ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、ヒドロキシルまたは(C〜C)アルコキシであり;
、K、KおよびKはそれぞれ独立して、CH、N、N‐オキシド、またはN‐(C〜C)アルキルであり;
とKとの間およびKとKとの間の破線は、任意の結合を示し、何れかのCHの炭素が置換されているとき、Hは存在せず;
環Bにおける破線は、任意の結合であり;
Rは、それぞれ独立して、H、(C〜C20)アルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、(C〜C20)シクロアルキル、(C〜C12)アルコキシ、(C〜C30)アリール、アリール(C〜C20)アルキル、ハロアリール、複素環、(C〜C20)アルキルスルホニル、(C〜C30)アリールスルホニル、ハロアリールスルホニル、(C〜C20)アルキルスルフィニル、(C〜C30)アリールスルフィニル、ハロアリールスルフィニル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、アミノ、NH(C〜C)アルキル、N((C〜C)アルキル)、トリ(C〜C20)アンモニウム(C〜C20)アルキル、ハロアリール(C〜C20)アルキル、第4級窒素を有するハロアリール、第4級窒素を有するハロアリールカルボニル、(C〜C30)アリールチオ、(C〜C20)アルキルリン酸塩、(C〜C20)アルキルホスホン酸塩、(C〜C30)アリールリン酸塩、(C〜C30)アリールホスホン酸塩、リン酸塩、硫酸塩もしくはサッカライドであるか、または、ZがNRRであるとき、Nと共にRRは任意にハロアリール基または複素環基を形成するよう連結しており;
上記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、アリール、ハロアリールまたは複素環基は何れも、(C〜C20)アルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、(C〜C20)シクロアルキル、(C〜C20)アルコキシル、(C〜C20)アルキルカルボニル、(C〜C20)アルキルカルボキシル、ハロ、ヒドロキシ、‐COOR、‐S(O)R、‐SO、‐SO、ニトロ、アミノ、リン酸塩、(C〜C20)アルキルリン酸塩、(C〜C20)アルキルホスホン酸塩、NH(C〜C)アルキル、NH(C〜C)アルキニル、N((C〜C)アルキル)、N((C〜C)アルキニル)、メルカプト、(C〜C20)アルキルチオ、(C〜C14)アリール、(C〜C14)アリールチオ、トリフルオロメチル、=O、ハロアリールまたは複素環から選ばれる1、2、3、4または5の置換基によって任意に置換されていてもよく、
上記RがH、(C〜C)アルキル、(C〜C14)アリール、複素環もしくはハロアリールまたはこれらの塩であり、上記それぞれの置換基は1〜3のR基によって任意に置換されていてもよく;
上記Zが窒素部分を含むとき、Zの窒素部分の水素の1または両方は、(C〜C20)アルキルまたは置換基Lによって置き換えられていてもよく;
上記置換基Lは、ルシフェラーゼでない酵素のための基質であるアミノ酸ラジカル、20以下のアミノ酸部分を有するペプチドラジカルまたはその他の低分子であり;
上記Zがヒドロキシル基または窒素部分であるとき、ヒドロキシル基の水素または窒素部分 が、(HO)P(O)‐OCH‐、スルホ、‐POまたは1〜約12の炭素原子の炭素鎖を介してZ基に連結しているセファロスポラニン酸によって置き換えられていてもよく、
上記Zがヒドロキシル基または窒素部分であるとき、ヒドロキシル基の1つの水素または窒素部分が、L’基‐リンカーによって置き換えられていてもよく;
上記L’基は、リンカーを固定しない酵素によって除去可能であり、リンカーは自己切断性を有し、1または複数の窒素原子、酸素原子、カルボニル基、任意で置換されている芳香族環またはペプチド結合によって任意に割り込まれていてもよい炭素鎖であり;
上記リンカーは、リンカーの1つの末端にて、酸素原子またはNH基を介してL’基と連結されており、リンカーの他の末端は、Z基とエーテル、エステルまたはアミド結合を形成しており;
上記ZがORであるとき、式Iは任意で、(C〜C12)アルキルジラジカルを含むリンカーを介して2つの環Aに結合されたダイマーであってもよく;
上記リンカーは、式Iのダイマー間において、架橋を形成する1〜4の酸素原子、窒素原子または任意で置換されていてもよいアリール、ハロアリールまたは複素環基によって割り込まれていてもよく、式Iのダイマーに結合している上記それぞれのZ基のR基は、架橋によって置き換えられている化合物。
【請求項2】
下記a)〜j)の何れかを満たす請求項1に記載の化合物。
a)K〜KがそれぞれCHまたはCである
b)Wがそれぞれ独立して、H、F、またはClであり、nが1または2であり;WがそれぞれHである
c)YがNであり、XがSまたは‐CH=CH‐である
d)XがSである
e)XがOである
f)R’およびR”がそれぞれ独立して、任意で置換された(C〜C12)アルキルである
g)R’およびR”が、‐X‐CH‐X‐と共に、512員環の任意で置換された複素環基を形成するように連結されている
h)ZがNRRであり、上記Rがそれぞれ独立して、Hまたは任意で置換された(C〜C12)アルキルである
i)ZがOHまたはORであり、上記Rが任意で置換された(C〜C20)アルキル、(C〜C30)アリールまたは(C〜C12)アルキル(C〜C14)アリール基である
j)a)〜h)の組み合わせ
【請求項3】
上記YがNであり、XがSまたは‐CH=CH‐であり;
がそれぞれOであり;
がH、FまたはClであり;nが1または2であり;
がHであり;
、K、KおよびKが全てCまたはCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
上記Zが環Aの6’位に存在し、
上記Zが、OH、NH、NMeまたはNHCHCHCHOHであり;
上記Wが、上記環Aの5’位におけるH、FまたはClである請求項4の化合物。
【請求項5】
下記の化合物群から選ばれた何れかの請求項5の化合物。
【化2】

【請求項6】
以下の何れかの構造を有する化合物。
【化3】

【請求項7】
ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための分子の存在または量を検出または決定する方法であって、
混合物中のルミネッセンスを検出または決定して、該分子の存在または量を検出または決定する工程を包含しており、
該混合物はサンプル、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための反応混合物、および請求項1に記載の化合物を含んでいる、方法。
【請求項8】
前記ルシフェラーゼでない酵素が、チトクロムP450酵素である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物におけるR’およびR’’が(C〜C)アルキルである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、ルシフェラーゼでない酵素のための基質であり、かつビートルのルシフェラーゼのためのプロサブストレートである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物が、ルシフェラーゼによって媒介される反応のための反応混合物をさらに含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
検出または決定される前記分子が、ルシフェラーゼでない酵素、または該ルシフェラーゼでない酵素のための補助因子である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記サンプルが、インタクトな細胞の調製物、細胞溶解物、細胞成分分画、組織、組織画分、または精製された酵素の調製物もしくは部分的に精製された酵素の調製物を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
ルシフェラーゼでない酵素の活性に対する作用物質の効果を決定するための方法であって、混合物中のルミネッセンスを検出または決定して、該ルシフェラーゼでない酵素の活性に対する作用物質の効果を決定する工程を包含しており、
該混合物は1つ以上の作用物質、ルシフェラーゼでない酵素によって媒介される反応のための反応混合物、および請求項1に記載の化合物を含んでいる、方法。
【請求項15】
前記化合物が、ルシフェラーゼでない酵素のための基質であり、かつビートルのルシフェラーゼのためのプロサブストレートである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記混合物が、ルシフェラーゼによって媒介される反応のための反応混合物をさらに含んでいる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ルシフェラーゼでない酵素が、チトクロムP450酵素、フラビンモノオキシゲナーゼ、またはチトクロムP450 3A 酵素である、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
動物中のチトクロムP450の酵素活性に対する化合物の効果を決定するための方法であって、
該動物中のルミネッセンスを検出または決定して、該動物中のチトクロムP450の酵素活性を決定する工程を包含しており、
該動物はテスト化合物および請求項1に記載の化合物に曝露されたものである、方法。
【請求項19】
前記化合物が、チトクロムP450酵素であり、かつビートルのルシフェラーゼのためのプロサブストレートである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記動物が、バイオルミネッセンスの酵素の導入遺伝子を有するトランスジェニック動物である、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2012−500258(P2012−500258A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523801(P2011−523801)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/004696
【国際公開番号】WO2010/021686
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(593089149)プロメガ コーポレイション (57)
【氏名又は名称原語表記】Promega Corporation
【Fターム(参考)】