説明

ルーフボックスの固定機構

【課題】
安価であり、様々な種類のクロスバーへの適合性があると共に、クロスバーへの取付け作業が容易なルーフボックスの固定機構を提供する。
【解決手段】
ルーフボックスの固定手段が、クロスバーの下面との当接部を有するアーム部材と、アーム部材とルーフボックス底部間の距離を調節する距離調整手段と、ルーフボックス底部に設けられたアーム部材が挿通可能な孔を有し、距離調整手段はルーフボックス内に配置されたアーム部材の一方側の端部の上下位置調整機構とアーム部材の他方側の端部の上下位置調整機構を有し、少なくともルーフボックスの内側位置でのアーム部材の一方側の操作によってアーム部材の他方側の端部がルーフボックスの底面に設けられた一方側の位置の孔を上方から下方に向かって挿通した後に上記クロスバーの下方を通って、ルーフボックスの底部に設けられた他方側の位置の孔を下方から上方に向かって挿通する事が可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の屋根上に設けられたクロスバーへのルーフボックスの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より車両の屋根上に設けられたクロスバーへのルーフボックスの固定構造は多数存在するが、近年ではルーフボックスの固定対象となる、車両の屋根上に設けられたクロスバーの形状とサイズが多様化する傾向にあり、様々な種類のクロスバーへの適合性(汎用性)が求められている。
【0003】
さらに荷物収納容量の大きい左右方向(車両の左右方向と同じ方向)の幅の大きなルーフボックスの増加と、ミニバンタイプの車両の増加による高い車高を有する車両の増加は、クロスバーへのルーフボックスの固定作業を難しくしている。
【0004】
従来の一般的なクロスバー2へのルーフボックス1の固定構造は、例えば図22に示される様に、クロスバー2の下面との当接部を有し両端にネジ部を有する略U字型のアーム部材3と、ルーフボックス底部1に設けられた上記アーム部材3が挿通可能な孔と、上記アーム部材の両端に設けられたネジ部を締付けるナット41を有する、ルーフボックスの固定機構が公知である。
【0005】
しかしながら、上記の従来技術におけるルーフボックス1の固定作業は、アーム部材3の略中央部とクロスバー2の下面とを当接可能な位置で、ルーフボックス底部の下方からアーム部材3を持ち上げ、両端のネジ部をルーフボックス底部に設けられた孔からルーフボックスの内面に突出させた状態を維持しながら、ルーフボックスの内部から上記ネジ部を、ナット41で締付け固定する必用があるが、通常クロスバー2へのルーフボックス1の固定位置は、ルーフボックスの左右方向および前後方向(車両の前後方向と同じ方向)に4箇所(左前、右前、左後、右後)設けられ、一般的な左右開きのルーフボックスにおいては開口側の反対側(左開きでは右側、右開きでは左側)の固定を1人で行うためには、アーム部材3を持ち上げてアーム部材の両端のネジ部をルーフボックスの内面に突出させた状態で維持させるために、粘着テープなどによってアーム部材3をクロスバー2に仮止めするなどの工夫が必要であり、また上記作業中にルーフボックスに作業者の体が触れると、クロスバー2に対してルーフボックス1の位置が移動してしまうため、アーム部材の粘着テープがクロスバー2から剥がれ、車両の屋根の上にアーム部材3が落下して屋根をキズ付けてしまう場合があった。
【0006】
また、アーム部材3の粘着テープがクロスバーから剥がれた場合以外でも、ルーフボックスの底部と屋根の間の狭い隙間の間で、ルーフボックス底部の下方からアーム部材3を持ち上げ、両端のネジ部をルーフボックス底部に設けられた孔からルーフボックスの内面に突出させた状態を維持しながら、ルーフボックスの内部から上記ネジ部を、ナット41で締付ける作業は、うっかりアーム部材3から手を滑らせて、車両の屋根をキズ付けてしまう事があった。
【0007】
又、上記の問題点を解決するために、WO2006/007813A1やUS2004/0155081A1に示される様に、アーム部材42およびアーム部材の締付け機構43を予めルーフボックスの底面に配置した、ルーフボックスの固定機構が公知である。
【0008】
しかしながら、これらの固定機構は、作動構造が複雑であるためアーム部材42を、ダイキャストや射出成型品などで形成する必要がある上、何れのアーム部材42も自由端がクロスバー2を保持する構造(片持構造)であるために、基部の位置の絶対的な強度が両持構造よりも格段に強くする必用があるため部品が大型化し、更に部品点数も多いため、非常にコストが高い欠点がある。
【0009】
更に、上記複雑な構造はルーフボックス底面下部44に突起部45(クロスバーの受け部)を形成するため、上記固定機構を有するルーフボックスをクロスバーに固定する際には、図23に示す様に、WO2006/007813A1に開示される固定機構では、上記固定機構を予めクロスバー2の位置に合わせて固定し、突起部45(クロスバーの受け部)および下方に突き出たアーム部材42がクロスバーに当たらない様に、ルーフボックスの底面位置全体をクロスバーの天面位置よりも十分高く持ち上げながら、ルーフボックスを水平移動させ、全ての下方向の突起部(クロスバーの受け部)をクロスバー上に載せる必用があるため1人でのクロスバーへのルーフボックスの固定作業は非常に難しかった。
【0010】
また図24に示す様に、US2004/0155081A1に示される固定構造では、必ずしも上記固定機構同士を予めクロスバー2の位置に合わせて固定しておく必要は無いが、予め固定機構同士をクロスバー2の位置に合わせて固定しない場合は、予め各固定機構を適切な位置から回避した位置に配置し、ルーフボックス1をクロスバー2上の適切な位置に載せた状態で、ルーフボックス1を十分持ち上げながら各固定機構をクロスバー2の位置に移動させる必要があり、クロスバー2へのルーフボックス1の固定作業は容易とは言えなかった。
【特許文献1】実用新案登録第3019422号公報
【特許文献2】PCT公開特許WO2006/007813A1号公報
【特許文献3】米国公開特許US2004/0155081A1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、安価であり、様々な種類のクロスバーへの適合性(汎用性)があると共に、クロスバーへの取付け作業が容易なルーフボックスの固定機構を実現する事である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
車両の屋根上に設けられたクロスバーへの固定手段を有するルーフボックスにおいて、上記固定手段は、上記クロスバーの下面との当接部を有するアーム部材と、上記アーム部材とルーフボックス底部間の距離を調節する距離調整手段と、ルーフボックス底部に設けられた上記アーム部材が挿通可能な孔を有し、上記距離調整手段は、上記ルーフボックス内に配置された上記アーム部材の一方側の端部の上下位置調整機構と、上記アーム部材の他方側の端部の上下位置調整機構を有し、ルーフボックスの内側位置での上記アーム部材の一方側の操作によって、上記アーム部材の他方側の端部がルーフボックスの底面に設けられた一方側の位置の孔を上方から下方に向かって挿通した後に上記クロスバーの下方を通って、ルーフボックスの底部に設けられた他方側の位置の孔を下方から上方に向かって挿通する事が可能に構成されている事を特徴とする。
【0013】
上記一方側の端部の上下位置調整機構はアーム部材の一方側の端部に設けた係止部と、上記係止部と係合するルーフボックスの底部に配置された係止受部を有し、上記係止受部は上記係止部の係合高さ切換手段からなり、上記他方側の端部の上下位置調整機構はアーム部材の他方側の端部に設けたネジ部と上記ネジ部を締付けるナットを有する締結手段からなる事を特徴とする。
【0014】
上記一方側の端部の上下位置調整機構はアーム部材の一方側の端部に設けたネジ部と上記ネジ部を締付けるナットを有する締結手段からなり、上記他方側の端部の上下位置調整機構はアーム部材の他方側の端部に設けた係止部と、上記係止部と係合するルーフボックスの底部に配置された係止受部を有し、上記係止受部は上記係止部の係合高さ切換手段を有する事を特徴とする。
【0015】
上記係止高さ切換え手段が、ルーフボックスの底部に配置された受部本体と、上記受部本体の上面に形成された高さの異なる複数の係止受部と、上記係止基台の移動手段を有する事を特徴とする。
【0016】
上記係止高さ切換え手段が、ルーフボックスの底部に配置された受部本体と、上記受部本体に対して高さの異なる複数の係止受部を選択的に接続可能な構造よりなる事を特徴とする。
【0017】
上記係止高さ切換え手段が、ルーフボックスの底部に、高さの異なる複数の係止受部を選択的に配置可能な構造よりなる事を特徴とする。
【0018】
上記締結手段が、上記ナットの周囲に手回しによってネジ部を締付け可能なノブ部を形成し、上記ノブ部の下面にはルーフボックスの底部に当接する、上記ノブ部と一体もしくは別体に形成された球状部を有する事を特徴とする。
【0019】
上記締結手段が、上記ナットが手回しによってネジ部を締付け可能なレバー部の回動軸を構成し、上記レバー部のルーフボックスの底部に当接する下端位置から上記回動軸までの距離が、上記レバー部を起こした状態よりも、上記レバー部を倒した状態の方が長くなる様に形成される事を特徴とする。
【0020】
上記、ルーフボックスの底部がルーフボックス底面と、ルーフボックス底面上に配置されたプレートを含み、上記プレートはアーム部材の挿通可能な開口部を有する事を特徴とする。
【0021】
上記、ルーフボックスの底部に設けられた上記アーム部材が挿通可能な孔が、ルーフボックスの底面に設けられた車両の前後方向に伸びる長孔と、ルーフボックスの底面上に配置されたプレートに設けられた開口部からなり、上記プレートはルーフボックス底面に設けられた上記長孔に沿って前後方向に移動可能に構成される事を特徴とする。
【0022】
上記一方側の端部の上下位置調整機構及び上記他方側の端部の上下位置調整機構が共に、アーム部材の端部に設けたネジ部と上記ネジ部を締付けるナットを有する締結手段からなり、上記ナットは周囲に手回しによってネジ部を締付け可能なノブ部もしくは、レバー部を形成すると同時に、少なくとも上記一方側のネジ部を締付けるノブ部もしくはレバー部は、上記ネジ部とナット間の回転制御手段と、ノブ部もしくはレバー部に対するアーム部材の他方側の端部の方向を示す目印手段を有する事を特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のルーフボックスの固定機構は、部品点数が少なく、また単純な部品で構成され、強度を要求されるアーム部材も金属線材の曲げ及びネジ加工で形成可能であるため安価に生産する事ができ、また、アーム部材のクロスバー当接部は望ましくは全体が湾曲部で構成されているため、様々な種類のクロスバーへの適合性(汎用性)があると共に、クロスバー上の任意の位置にルーフボックスを載せた後のクロスバーとルーフボックスの固定作業がルーボックスクの内側のみの作業により可能であるため、幅の広いルーフボックスの場合や、車高の高い車のクロスバーへの取付け作業であっても、従来に比べて容易にクロスバーへのルーフボックスの固定作業を行う事ができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0025】
本発明の第1実施例においては、図1、図2に示すようにルーフボックス1の車両の屋根上に設けられたクロスバー2への固定手段が、上記クロスバー2の下面との当接部を有するアーム部材3と、上記アーム部材3とルーフボックス底部間の距離を調節する距離調整手段を有し、上記距離調整手段は、上記ルーフボックス内に配置された上記アーム部材3の一方側3aの端部の上下位置調整機構4aと、上記アーム部材の他方側3bの端部の上下位置調整機構4bからなる。
【0026】
ルーフボックス底面11には、クロスバーと直交する方向(前後方向)に設けられた長孔12と、ルーフボックス底面上の上記長孔12を含む位置に配置され上記アーム部材3の他方側3bが挿通可能な開口部14a、14bを形成したプレート14を有し、上記プレート14はルーフボックス底面の長孔12に沿ってルーフボックスの底面上を前後方向に水平移動可能に構成される。(本実施例のルーフボックス底部はルーフボックス底面と、ルーフボックス底面上に配置されたプレートを含む)
【0027】
図3、図4に示す様に、上記一方の端部の上下位置調整機構4aはアーム部材3の一方の端部に設けた逆U字形のフック部31と上記フック部31と係合する係止受部5を有し、更に上記係止受部5は上記アーム部材のフック部31の係止高さ切替え手段を有する。
【0028】
上記フック部31の係止高さ切換え手段は、高さの異なる複数の係止受部5a、5bと、上記係止受部5a、5bの移動手段を有し、本実施例においては、受部本体51の垂直軸52を中心に対してほぼ等しい距離の対角線上に高さの異なる2個の係止受部5a、5bを形成し、上記受部本体51を、前記垂直軸52に対して回動可能に構成する。上記受部本体51の垂直軸52の周囲にはアーム部材が挿通可能な開口部53が形成される、この受部本体51の開口部53は下方に向かって支持部54が形成される。上記支持部54は、上記プレート14に設けられた一方の開口部14aに挿入され、そして上記支持部54の下端には、プレート14との結合状態が容易に外れない様に、プレート14との結合爪部55が形成される。(尚、プレート14を用いず上記受部本体51を直接ルーフボックス底面11に設けられた孔に対して回動可能に構成しても良い)
【0029】
図5に示す様に、上記受部本体51を水平面上で垂直軸52に対して回動させる事によって、上記アーム部材3のフック部31と係合する係止受部5a、5bの高さを簡単に切替る事が出来る。尚、上記フック部31の高さ切替え手段は、高さの異なる複数の係止受部を形成した上記受部本体51を回転させる代わりに、所定の方向に水平移動させる構造でも良く、また上記受部本体51に対して高さの異なる複数の係止受部が着脱可能の構造としても良い、更に高さの異なる係止受部が形成された受部本体51を予め複数用意し、受部本体自体51を、プレート14もしくはルーフボックス底面11に対して着脱自在としても良い。
【0030】
また、本実施例においては、図6に示す様に、上記他方の端部の上下位置調整機構4bはアーム部材の他方の端部に設けたネジ部32と上記ネジ部32を締付けるナット6による締結手段を有し、上記ナット6は手回しによって上記ネジ部32を締付け可能なノブ部61を形成し、上記ノブ部61の下面には、上記プレート14と当接する球状部62を形成する。この構成により図5に示す様に上記アーム部材の他方の端部のネジ部32が垂直軸に対して若干傾いた状態でナット6を締付けた場合でも、ノブ部61の下面と、プレート14との当接位置は、ネジ部32の軸中心に近くなり、ネジ部32に対する曲げモーメントが著しく増大する事を防止する効果が有る。尚、図6に示す様に、上記ノブ部61の下面の球状部62は、図7に示す様に下方に球面形状を有するリング状のスペーサ63としてノブ部61と別体で設けても良い。
【0031】
尚、上記プレート14に形成された上記ノブ部61の下面との当接面は、平面でも良いが、上記ノブ部61の下面に形成された球状部62の局率よりも若干大きな曲率で形成された凹部14cを形成し、その中心にネジ部32が挿通可能な開口部14bを形成する事により、上記、ネジ部3bに対する曲げモーメントの増大を防止する効果を維持した上で、ノブ部61の下端位置をプレート14に形成された当接面の凹部の中心方向に移動させる力を発生させる事が出来るため、固定作業時及び車両の走行時の横揺れ等によってアーム部材3に水平方向の力が作用した場合にも安定した固定状態を維持する事ができる。
【0032】
そして、本発明の実施例においては、図9に示す様に、ルーフボックス1の内側位置で上記アーム部材3の一方側3aを操作して、上記受部本体51に形成された開口部53の上方から上記アーム部材3の他方側3bを挿入する事により、上記アーム部材の他方側3bの端部がルーフボックスの底部に設けられた長孔12(プレート14の開口部14aを含む)に対して一方の位置側で上方から下方に向かって挿通され、更に図10に示す様に、上記クロスバー2の下方を通って、他方の位置側で、ルーフボックスの底部に設けられた長孔12(プレート14の開口部14bを含む)を下方から上方に向かって挿通する事が可能に構成されている。この操作により、ルーフボックスの内側位置にアーム部材3の他方の端部に形成されたネジ部32を突出させ、ナット6を有するノブ部61と結合させる事ができ、アーム部材の一方の端部に設けた逆U字形のフック部31を係止受部5に係合させた状態で上記ノブ部61を締め込む事によって容易にクロスバー2をルーフボックス底面11に固定する事ができる。
【0033】
上記の通り、ルーフボックスの内側位置(ルーフボックス1の底面11の上方で且つ、ルーフボックの蓋体の天面よりも下方の位置)で上記アーム部材を操作する操作部(アーム部材3の一方側3a)を予め用意し、アーム部材のクロスバー2との当接部3c及び、上記当接部と両端部の境界位置33を曲線状に形成する事によって、容易に上記ルーフボックス底部に対するアーム部材3の挿通操作を容易に行う事ができる。
【0034】
また、本実施例ではルーフボックス底面11に上記アーム部材3が挿通可能な長孔12を設け、上記長孔12に沿って上記固定手段の位置が調整可能に構成されているため、固定作業時にクロスバー2上にルーフボックス1を乗せた状態で、ルーフボックス1の内側からの操作によって、クロスバー2の位置に合わせて固定手段の位置を容易に調整する事が出来る。
【0035】
尚、上記アーム部材3の操作部(アーム部材3の一方側3a)のフック部31の外寸法よりも、上記受部本体51に設けた開口部53の内径を小さく形成する事により、上記操作部が開口部53から挿通する事がなくなり、ルーフボックスの固定作業時に、うっかり手を滑らせた場合でも、車両の屋根へのアーム部材全体の落下を防止でき、固定作業の中断を防止し、更に屋根のキズ付きを防止もしくは軽減させる効果がある。
【0036】
また、本実施例の上記ルーフボックス底部11に上記アーム部材3が挿通可能な長孔12を設ける代わりに、上記アーム部材3が挿通可能な複数の孔を適切な間隔で前後方向に設けても良い。
【0037】
尚、上記プレート14はルーフボックス底面11に局部的な力が作用する事を防止し、ルーフボックス底面11に掛かる力を分散させる事を主目的としているため、一方の上下位置調整機構4aにおけるプレート14と他方の上下位置調整機構4bにおけるプレート14を独立して設けても良く、更に、ルーフボックス底部の構成部品の強度及び形状を工夫する事によりプレート14を部分的に設け、もしくは、プレート14に相当する部品を全く設けず、上記ノブ部61または受部本体51を直接ルーフボックスの底面11に配置しても良い。
【実施例2】
【0038】
本発明の第2実施例においては、図11〜図14に示すようにルーフボックス1の車両の屋根上に設けられたクロスバー2への固定手段が、上記クロスバー2の下面との当接部を有するアーム部材35と、上記アーム部材35とルーフボックス底部間の距離を調節する距離調整手段を有し、上記距離調整手段は、上記ルーフボックス内に配置された上記アーム部材35の一方側35aの端部の上下位置調整機構7aと、上記アーム部材の他方側35bの端部の上下位置調整機構7bからなる。
【0039】
ルーフボックス底面11には、クロスバーと直交する方向(前後方向)に設けられた長孔12と、ルーフボックス底面上の上記長孔12を含む位置に配置され上記アーム部材35の他方側35bが挿通可能な開口部15a、15bを形成したプレート15を有し、上記プレート15はルーフボックス底面11の長孔12に沿ってルーフボックスの底面上を前後方向に水平移動可能に構成される。(本実施例のルーフボックス底部はルーフボックス底面11と、ルーフボックス底面上に配置されたプレート15を含むが、上記長孔12の代わりに複数の孔で構成しても良く、上記プレートは、一方側と他方側で独立して用いても良く、全く用いなくても良い。)
【0040】
上記一方側35aの端部の上下位置調整機構7aはアーム部材35の一方の端部に設けたネジ部36と上記ネジ部36を締付けるナット6を有する締結手段からなり、この締結手段による上下位置調整機構7aは、上記ナット6の構成部材が手回しによってネジ部36を締付け可能なレバー部65の回動軸67を構成し、上記レバー部65のルーフボックスの底部に当接する下端位置66から回動軸67までの距離が、上記レバー部65を起こした状態よりも、上記レバー部65を倒した状態の方が長くなる様に形成し、レバー部65をネジ軸に対して回転させる事により、ネジ部36をナット6である程度締めこんだ後にナット構成部材との回動軸67によってレバー部を倒す事によって、更にネジ部36が上方に引き上げられる。尚、本構成においては、上記アーム部材35の一方の端部のネジ部36が傾いた状態であっても、傾きをナット構成部材との回動軸67によって吸収出来る効果がある。
【0041】
上記他方側35bの端部の上下位置調整機構7bはアーム部材35の他方の端部に設けた逆U字形のフック部37と上記フック部37と係合する係止受部56を有し、更に上記係止受部56は上記上記アーム部材35のフック部37の係止高さ切替え手段を有する。
【0042】
上記フック部37の係止高さ切換え手段は、高さの異なる複数の係止受部56a、56bを階段状に形成した受部本体57をルーフボックスの底面上に配置したプレート15に対して左右方向(車幅方向)に水平移動可能に構成する事によって、上記アーム部材35のフック部37と係止する係止受部56の高さを簡単に切替る事が出来る。
【0043】
尚、上記フック部37の係止高さ切替え手段は、図15、図16に示す様に上記受部本体57を前後方向に移動させても良いが、第2実施例の様に左右方向の移動の方が、アーム部材35の他方の端部に設けたフック部37と隣接した位置に係止受部56との干渉防止用の逃げ部38が不要になるため、アーム部材35のクロスバー2との当接部および他方の形状をより円弧状に近づける事ができるため挿通操作が容易にする事が出来る。また、実施例1で記載した様に、高さの異なる複数の係止受部を形成した受部本体を回転させても良く、また上記受部本体に対して高さの異なる複数の係止受部が着脱可能の構造としても良い、更に高さの異なる係止受部が形成された受部本体を複数用意し、受部本体自体を、プレート15に対して着脱自在もしくはルーフボックスの底部11に対して着脱自在としても良い。
【0044】
そして、図17に示す様に、ルーフボックスの内側位置で上記アーム部材の一方側35aの端部側(レバー部65を含む)を操作して、ルーフボックスの底部11に設けられた一方側35aの長孔12(プレート15の開口部15aを含む)に対して上方から上記アーム部材の他方35bを挿通し、更に上記クロスバー2の下方を通って、ルーフボックスの底部に設けられた他方側35bの位置側の長孔12(プレート15の開口部15bを含む)を下方から上方に向かって挿通する事によって、ルーフボックスの内側位置にアーム部材の他方の端部に形成されたフック部37を突出させ、フック部37と係止受部56を容易に係合させる事ができ、アーム部材のネジ部36とレバー65のナット6をある程度締め込んだ後に、レバー65を倒す事によって容易にクロスバー2をルーフボックス底面11に固定する事ができる。
【0045】
また、本実施例においては、レバー65を上記アーム部材の一方の端部側35aに対して固定方向と反対側の任意の角度に傾斜させた時に、上記アーム部材の一方の端部に形成されたネジ部36に対するナット6の回転が制御され、同時にナット6とレバーの回動軸67に対する回転も制御される様に、レバー65の上記任意の角度の傾斜位置でレバー下端の二股部68の内面にアーム部材のネジ部36を挟持する突起部69を設ける事により、ルーフボックスの底面11に形成された孔12に対するアーム部材の他方の端部側35bの挿通操作を更に容易にする事が出来る。
【0046】
尚、本実施例の上記ルーフボックス底面11に上記アーム部材35が挿通可能な長孔12の代わりに、上記アーム部材35が挿通可能な複数の孔を適切な間隔で設けても良く、尚、上記プレート15はルーフボックス底面11に局部的な力が作用する事を防止し、プレート面でルーフボックス底面11に掛かる力を分散させる事を主目的としているため、一方の上下位置調整機構7aにおけるプレート15と他方の上下位置調整機構7bにおけるプレート15を独立して設けても良く、更に、構成部品の強度及び形状を工夫する事によりプレート15を部分的に設け、もしくは、プレート15に相当する部品を全く設けず、上記レバー65を直接ルーフボックス底面11の上面に当接させたり、受部本体57を直接ルーフボックスの底面11の上面に配置しても良い。
【0047】
尚、上記挿通操作は、上記アーム部材の一方の端部側35aからレバー65を取り外し、実施例1と同様に、ルーフボックスの内側位置で上記アーム部材の他方の端部側35bを操作部とすることにより、ルーフボックス底面11に形成された長孔12に対して、上記アーム部材の一方側35aを挿入して、挿通操作と固定作業を行っても良い。
【実施例3】
【0048】
本発明の第3実施例においては、図18〜図20に示すように、ルーフボックス1の車両の屋根上に設けられたクロスバー2への固定手段が、上記クロスバー2の下面との当接部を有するアーム部材39と、上記アーム部材39とルーフボックス底部間の距離を調節する距離調整手段を有し、上記距離調整手段は、上記ルーフボックス内に配置された上記アーム部材39の一方側39aの端部の上下位置調整機構8aと、上記アーム部材の他方側39bの端部の上下位置調整機構8bからなる。
【0049】
ルーフボックス底面11には、クロスバーと直交する方向(前後方向)に設けられた長孔12と、ルーフボックス底面上の上記長孔12を含む位置に配置され上記アーム部材39の他方側39bが挿通可能な開口部16a、16bを形成したプレート16を有し、上記プレート16はルーフボックス底面の長孔12に沿ってルーフボックスの底面上を前後方向に水平移動可能に構成される。(本実施例のルーフボックス底部はルーフボックス底面11と、ルーフボックス底面上に配置されたプレート16を含むが、上記長孔12の代わりに複数の孔で構成しても良く、上記プレートは、一方側と他方側で独立して用いても良く、全く用いなくても良い)
【0050】
上記一方側39aの端部の上下位置調整機構8a及び上記他方側39bの端部の上下位置調整機構8bは、夫々アーム部材39の端部に形成されたネジ部40と上記ネジ部を締付けるナット6により構成された締結手段からなり、上記ナット6は周囲に手回しによってネジ部を締付け可能なノブ部70(実施例2に示す様な、レバー部でも可)を形成すると同時に、少なくとも上記アーム部材39の一方側39aの端部のネジ部40を締付ける一方側のノブ部70a(実施例2に示す様な、レバー部でも可)は上記ネジ部40とナット間6の回転抵抗を増大させ回動を制御するための摩擦手段として、ノブ部70aの内部に、ネジ径よりも内径の小さなワッシャ状の摩擦部材71を配置し、更にノブ部70aに対するアーム部材39の他方側39bの端部の方向を容易に確認出来る様に目印手段として、周囲方向の一方に張出部72を形成する。尚、上記目印手段はノブの表面に矢印等の彫刻文字を形成するなど、アーム部材の他方側39bの方向が識別出来る手段であれば、既存の手法を適切に用いる事が出来る。
【0051】
そして、図21に示す様に、ルーフボックスの内側位置で、上記一方側のノブ部70aに内蔵するナット6と上記アーム部材39の一方側39aの端部のネジ部40が螺合状態で、ノブ部70aの操作によって、上記アーム部材39の他方側39bの端部をルーフボックスの底部に設けられた一方の位置側39aの長孔12(プレート16の開口部16aを含む)を上方から下方に向かって挿通した後に上記クロスバー2の下方を通って、ルーフボックスの底部に設けられた他方側39bの位置の長孔12(プレート16の開口部16bを含む)を下方から上方に向かって挿通する事が可能に構成されている。この操作により、ルーフボックスの内側位置にアーム部材39の他方側39bの端部に形成されたネジ部40を突出させ、他方側のノブ部70bに内蔵されたナット6と螺合させ、他方側のノブ部70bおよび一方側のノブ部70aを締め込む事によって容易にクロスバー2をルーフボックス
【0052】
尚、本発明の第3実施例で記載の上記ネジ部とナット間の回転抵抗を増大させるための摩擦手段は摩擦部材71に限定されず既存の手法を適切に用いる事が出来る。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、車両の屋根上に設けられたクロスバーへのルーフボックスの固定構造として産業上有効に利用する事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施例の使用状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例の部品配置を示す参考図である。
【図3】本発明の第1実施例の使用状態を示す断面図である。
【図4】本発明の第1実施例のAA断面図である。
【図5】本発明の第1実施例の使用状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第1実施例の使用状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第1実施例の変形例を示す要部拡大図である。
【図8】従来技術を示す要部拡大図である。
【図9】本発明の第1実施例の使用状態を示す参考図である。
【図10】本発明の第1実施例の使用状態を示す参考図である。
【図11】本発明の第2実施例の使用状態を示す断面図である。
【図12】本発明の第2実施例のBB断面図である。
【図13】本発明の第2実施例のCC断面図である。
【図14】本発明の第2実施例の使用状態を示す断面図である。
【図15】本発明の第2実施例の変形例を示す参考図である。
【図16】本発明の第2実施例の変形例を示す参考図である。
【図17】本発明の第2実施例の使用状態を示す参考図である。
【図18】本発明の第3実施例の部品配置を示す参考図である。
【図19】本発明の第3実施例の使用状態を示す断面図である。
【図20】本発明の第3実施例の使用状態を示す要部拡大図である。
【図21】本発明の第3実施例の使用状態を示す参考図である。
【図22】従来技術を示す斜視図である。
【図23】従来技術を示す側面図である。
【図24】従来技術を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 ルーフボックス
2 クロスバー
3 アーム部材
3a 一方側
3b 他方側
3c 当接部
4a、4b 上下位置調整機構
5、5a、5b 係止受部
6 ナット
7a、7b 上下位置調整機構
8a、8b 上下位置調整機構
9 ノブ部
11 ルーフボックス底面
12 長孔
14 プレート
14a、14b 開口部
14c 凹部
15 プレート
15a、15b 開口部
16 プレート
16a、16b 開口部
31 フック部
32 ネジ部
33 境界位置
35 アーム部材
35a 一方側
35b 他方側
36 ネジ部
37 フック部
38 逃げ部
39 アーム部材
39a 一方側
39b 他方側
40 ネジ部
41 ナット
51 受部本体
52 垂直軸
53 開口部
54 支持部
55 係合爪部
56、56a、56b
57 受部本体
61 ノブ部
62 球状部
63 スペーサ
65 レバー部
66 下端位置
67 回動軸
68 二股部
69 突起部
70 ノブ部
70a 一方のノブ部
70b 他方のノブ部
71 摩擦部材
72 張出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の屋根上に設けられたクロスバーへの固定手段を有するルーフボックスにおいて、上記固定手段は、上記クロスバーの下面との当接部を有するアーム部材と、上記アーム部材とルーフボックス底部間の距離を調節する距離調整手段と、ルーフボックス底部に設けられた上記アーム部材が挿通可能な孔を有し、上記距離調整手段は、上記ルーフボックス内に配置された上記アーム部材の一方側の端部の上下位置調整機構と、上記アーム部材の他方側の端部の上下位置調整機構を有し、ルーフボックスの内側位置での上記アーム部材の一方側の操作によって、上記アーム部材の他方側の端部がルーフボックスの底面に設けられた一方側の位置の孔を上方から下方に向かって挿通した後に上記クロスバーの下方を通って、ルーフボックスの底部に設けられた他方側の位置の孔を下方から上方に向かって挿通する事が可能に構成されている事を特徴とするルーフボックスの固定機構。
【請求項2】
上記一方側の端部の上下位置調整機構はアーム部材の一方側の端部に設けた係止部と、上記係止部と係合するルーフボックスの底部に配置された係止受部を有し、上記係止受部は上記係止部の係合高さ切換手段からなり、上記他方側の端部の上下位置調整機構はアーム部材の他方側の端部に設けたネジ部と上記ネジ部を締付けるナットを有する締結手段からなる事を特徴とする請求項1記載のルーフボックスの固定機構。
【請求項3】
上記一方側の端部の上下位置調整機構はアーム部材の一方側の端部に設けたネジ部と上記ネジ部を締付けるナットを有する締結手段からなり、上記他方側の端部の上下位置調整機構はアーム部材の他方側の端部に設けた係止部と、上記係止部と係合するルーフボックスの底部に配置された係止受部を有し、上記係止受部は上記係止部の係合高さ切換手段を有する事を特徴とする請求項1記載のルーフボックスの固定機構。
【請求項4】
上記係止高さ切換え手段が、ルーフボックスの底部に配置された受部本体と、上記受部本体の上面に形成された高さの異なる複数の係止受部と、上記係止基台の移動手段を有する事を特徴とする請求項2又は3に記載のルーフボックスの固定機構。
【請求項5】
上記係止高さ切換え手段が、ルーフボックスの底部に配置された受部本体と、上記受部本体に対して高さの異なる複数の係止受部を選択的に接続可能な構造よりなる事を特徴とする請求項2又は3に記載のルーフボックスの固定機構。
【請求項6】
上記係止高さ切換え手段が、ルーフボックスの底部に、高さの異なる複数の係止受部を選択的に配置可能な構造よりなる事を特徴とする請求項2又は3に記載のルーフボックスの固定機構。
【請求項7】
上記締結手段が、上記ナットの周囲に手回しによってネジ部を締付け可能なノブ部を形成し、上記ノブ部の下面にはルーフボックスの底部に当接する、上記ノブ部と一体もしくは別体に形成された球状部を有する事を特徴とする請求項2または3に記載のルーフボックスの固定機構。
【請求項8】
上記締結手段が、上記ナットが手回しによってネジ部を締付け可能なレバー部の回動軸を構成し、上記レバー部のルーフボックスの底部に当接する下端位置から上記回動軸までの距離が、上記レバー部を起こした状態よりも、上記レバー部を倒した状態の方が長くなる様に形成される事を特徴とする請求項2または3に記載のルーフボックスの固定機構。
【請求項9】
上記、ルーフボックスの底部がルーフボックス底面と、ルーフボックス底面上に配置されたプレートを含み、上記プレートはアーム部材の挿通可能な開口部を有する事を特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のルーフボックスの固定機構。
【請求項10】
上記、ルーフボックスの底部に設けられた上記アーム部材が挿通可能な孔が、ルーフボックスの底面に設けられた車両の前後方向に伸びる長孔と、ルーフボックスの底面上に配置されたプレートに設けられた開口部からなり、上記プレートはルーフボックス底面に設けられた上記長孔に沿って前後方向に移動可能に構成される事を特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のルーフボックスの固定機構。
【請求項11】
上記一方側の端部の上下位置調整機構及び上記他方側の端部の上下位置調整機構が共に、アーム部材の端部に設けたネジ部と上記ネジ部を締付けるナットを有する締結手段からなり、上記ナットは周囲に手回しによってネジ部を締付け可能なノブ部もしくは、レバー部を形成すると同時に、少なくとも上記一方側のネジ部を締付けるノブ部もしくはレバー部は、上記ネジ部とナット間の回転制御手段と、ノブ部もしくはレバー部に対するアーム部材の他方側の端部の方向を示す目印手段を有する事を特徴とする請求項1記載のルーフボックスの固定機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−120393(P2010−120393A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292902(P2008−292902)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(391021226)株式会社カーメイト (100)
【Fターム(参考)】