説明

ループパイル保持体

【課題】 自立性と柔軟な弾力性を有し、種々の物質の吸収や取り込みの性能の向上及び維持が実現されるループパイル保持体の提供。
【解決手段】 ループパイル形成糸Tを基布Sの表面と裏側を交互に貫き、基布Sの表面側において、直径に比し高さが低い多数のループパイルPを形成し、裏面側において縫い目Hを形成する。ループパイル列Rは縦横に密に設ける。ループパイルPは基布Sの表面に対し自立性を有し、その両基部において多数のフィラメントFにより基布Sの表面に対し起立支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体上に自立性を有するループパイルが配設された、ループパイルマット、清掃用払拭布、履物又はその他の態様のループパイル保持体に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2008−73173号公報(特許文献1)には、「基布と多数のパイルを備えてなり、前記各パイルの基部が基布に結合された状態で、前記多数のパイルが基布上に配設されているパイルマットであって、前記各パイルは、略円柱形状をなし、0.05乃至0.8デニールの非吸水性のフィラメントが、パイルの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、前記パイルの略円柱形状外周面は、前記各フィラメントの先端部により形成されていることを特徴とする高吸水高乾燥性パイルマット」が開示されている。
【0003】
このパイルマットの基布上に多数配設されているパイルは、0.05乃至0.8デニールの極めて細い非吸水性のフィラメントが、パイルの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなるものであるため、略円柱形状をなすパイルの各円形状横断面において、内方に向かうほど更に前記フィラメントが高密度状態となるため、毛管現象により、パイルの内方に向かって強い吸水力が作用するので、各パイルは、比較的多量の水を各円形状横断面の内方に向かって迅速に吸水し得る。
【0004】
逆に、吸水したパイルにおける各円形状横断面の外方部である略円柱形状外周部は、毛管現象により、水分含有率が低い状態となる。而も、略円柱形状をなすパイルの略円柱形状外周面部は、非吸水性のフィラメントの先端部により形成されているので、繊維が占める面積が比較的小さく、且つ繊維自体が非湿潤状態を維持する。そのため、水分を吸収した状態のパイルの略円柱形状外周部は比較的乾燥した状態を維持し易く、べとつき感が生じにくい。
【0005】
また、各パイルを構成するフィラメントが非吸水性であるという材質と、そのフィラメントがパイルの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設され、パイルの略円柱形状外周面は各フィラメントの先端部により形成されているという構造との両者よりして、遠心脱水性又はその他の脱水性及び脱水後の乾燥性に優れる。
【0006】
しかしながら、上記パイルマットにおけるパイルは、自立性や弾力性、並びに種々の物質の吸収や取り込みの性能の向上及び維持について改善の余地を有するものであった。
【特許文献1】特開2008−73173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術に存した上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、自立性と柔軟な弾力性を有し、種々の物質の吸収や取り込みの性能の向上及び維持が実現されるループパイル保持体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 上記目的を達成する本発明のループパイル保持体は、
基体とループパイルを備えてなり、前記ループパイルは、その基部が基体に結合された状態で基体上に配設されているループパイル保持体であって、
前記ループパイルを形成するループパイル形成糸は、略円柱形状をなし、0.05乃至0.8デニールの非吸水性のフィラメントが、ループパイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、その略円柱形状外周面は、前記フィラメントの先端部により形成されており、
前記ループパイルは、(ループパイルの高さ)/(ループパイル形成糸の直径)の比が1/1乃至5/1であり且つ(ループパイルの両基部の中心同士の距離)/(ループパイル形成糸の直径)の比が3/1以下であって、基体の表面に対し自立性を有するものであることを特徴とする。
【0009】
基部が基体に結合された状態で基体上に配設されているループパイルを形成するループパイル形成糸は、略円柱形状をなし、0.05乃至0.8デニールの極めて細い非吸水性のフィラメントが、ループパイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、その略円柱形状外周面は、前記フィラメントの先端部により形成されているので、略円柱形状をなすループパイル形成糸の各円形状横断面において、内方に向かうほど更に前記フィラメントが高密度状態となる。
【0010】
ループパイルは、このようなループパイル形成糸により形成されており、(ループパイルの高さ)/(ループパイル形成糸の直径)の比が1/1乃至5/1であり且つ(ループパイルの両基部の中心同士の距離)/(ループパイル形成糸の直径)の比が3/1以下である。このループパイルは、その両基部において多数のフィラメントにより基体上に支持され、その両基部から立ち上がったパイルがループ状に連結し、而もループパイル形成糸の直径に比し高さが低いので、これらの相乗効果により、極めて良好な自立性とループパイルの高さ方向の押圧に対する柔軟な弾力性を有する。
【0011】
また、このループパイルは種々の物質を吸収したり取り込んだりする性能に優れる。すなわち、ループパイルにおけるフィラメントの密度は、ループパイル形成糸の表面部から内方部に向かうほど高くなり、毛管現象により、ループパイル形成糸の内方部に向かって強い吸液力が作用するので、ループパイルは、フィラメントの先端部が位置する表面部からループパイル形成糸の内方部に向かって迅速に比較的多量の液体(汚れ若しくは他の物質を含有しない又は汚れ若しくは他の物質を含有する水又はその他の液体を単に「水」若しくは「水分」又は「液」若しくは「液体」とも言う。)を吸収し得る。而も、そのループパイルの良好な自立性により、柔軟な弾力性、並びに吸収や取り込み等の性能が長期にわたり維持される。
【0012】
逆に、吸水したループパイル形成糸の表面部は、毛管現象により、水分含有率が低い状態となる。而も、ループパイル形成糸の表面部は、非吸水性のフィラメントの先端部により形成されているので、繊維が占める面積が比較的小さく、且つ繊維自体が非湿潤状態を維持する。そのため、水分を吸収した状態のループパイルの略円柱形状外周部は比較的乾燥した状態を維持し易く、べとつき感が生じにくい。
【0013】
(2) また本発明のループパイル保持体は、
基体とループパイルを備えてなり、前記ループパイルは、その基部が基体に結合された状態で基体上に配設されているループパイル保持体であって、
前記ループパイルを形成するループパイル形成糸は、略円柱形状をなし、0.05乃至0.8デニールの非吸水性のフィラメントが、ループパイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、その略円柱形状外周面は、前記フィラメントの先端部により形成されており、
前記ループパイルは、[(ループパイル形成糸の長さ)−(ループパイルの両基部の中心同士の距離)]/(ループパイル形成糸の直径)の比が1/1乃至10/1であり且つ(ループパイルの両基部の中心同士の距離)/(ループパイル形成糸の直径)の比が3/1以下であって、基体の表面に対し自立性を有するものであることを特徴とする。
【0014】
この場合のループパイルは、[(ループパイル形成糸の長さ)−(ループパイルの両基部の中心同士の距離)]/(ループパイル形成糸の直径)の比が1/1乃至10/1であり且つ(ループパイルの両基部の中心同士の距離)/(ループパイル形成糸の直径)の比が3/1以下である。
【0015】
従って、上記のループパイル保持体の発明と同様に、ループパイルは、その両基部において多数のフィラメントにより基体上に支持され、その両基部から立ち上がったパイルがループ状に連結し、而もループパイル形成糸の直径に比し高さが低いので、これらの相乗効果により、極めて良好な自立性とループパイルの高さ方向の押圧に対する柔軟な弾力性を有する。他の点も上記のループパイル保持体の発明と同様である。
【0016】
(3) 上記各ループパイル保持体は、上記ループパイル形成糸が、基体の表面とその裏側を交互に貫き、基体の表面側においてループパイルを形成し、裏面側において縫い目を形成しているものとすることができる。
【0017】
この場合、基体の表面側には、両基部において多数のフィラメントにより基体上に支持され、その両基部から立ち上がったパイルがループ状に連結したループパイルが、ループパイル形成糸により形成される。
【0018】
(4) 上記各ループパイル保持体は、上記ループパイルの両基部におけるフィラメントが、ループパイル形成糸の軸心から外方に向かって、基体の表面に対し平行状に又は基体の表面に向かう傾斜状に伸びるものであることが好ましい。
【0019】
この場合、ループパイルの両基部におけるフィラメントが、ループパイル形成糸の軸心から外方に向かって、基体の表面に対し平行状に又は基体の表面に向かう傾斜状に伸びることにより、ループパイルを起立支持する機能を有する。
【0020】
(5) 上記ループパイル形成糸は、0.05乃至0.8デニールの非吸水性のフィラメントを飾り糸とする2本又は3本以上のモール糸が、そのモール糸の芯糸を中心として撚り合わさることにより略円柱形状を形成したものとすることができる。
【0021】
(6) 上記非吸水性のフィラメントは、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系又はポリエチレン系のフィラメントであるものとすることができる。
【0022】
(7) 上記非吸水性のフィラメントの吸水率は、20℃相対湿度65%において5%以下であるものとすることができる。
【0023】
(8) 本発明の上記各ループパイル保持体は、基体上に上記ループパイルが多数配設されてなるものとすることができる。
【0024】
(9) 本発明の上記各ループパイル保持体は、基体上に多数配設されたループパイルの少なくとも一部のループパイル群において、ループパイル同士が、ループパイル形成糸により形成されるループ面に沿った方向である縦方向に密接すると共に、前記ループ面に直交する方向である横方向に密接するものとすることができる。
【0025】
この場合、ループパイル同士が、ループパイル形成糸により形成されるループ面に沿った方向である縦方向に密接すると共に、前記ループ面に直交する方向である横方向に密接することにより、ループパイルの起立性と高さ方向の押圧に対する柔軟な弾力性が高められる。また、ループパイル形成糸の側面部が高さ方向上側に位置した状態のループパイルが互いに密接した状態で並んだ状態となるため、フィラメントの密度が高まり、より強い吸液力を発揮し得る。
【0026】
(10) 本発明の上記各ループパイル保持体における上記基体は基布であるものとすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のループパイル保持体は、自立性を有し、その自立性に基づき弾力性や種々の物質の吸収や取り込みの性能の向上及び維持が実現されるループパイルが基体上に配設されたものであり、ループパイルマット、清掃用払拭布、履物又はその他の態様のループパイル保持体を構成し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0029】
(1) 図1乃至図5は何れも本発明の実施の形態の一例としてのループパイルマットについてのものであって、図1は模式的正面図、図2は模式的側面図、図3は模式的平面図、図4は模式的底面図、図5はループパイル形成糸の模式的拡大横断面図である。
【0030】
このループパイルマットAのループパイルPを形成するループパイル形成糸Tは、0.3デニールの非吸水性のポリエステルフィラメントFを飾り糸とする2本のモール糸が、そのモール糸の芯糸Cを中心として撚り合わさることにより略円柱形状を形成したものであり、フィラメントFが、ループパイル形成糸Tの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、その略円柱形状外周面は、前記フィラメントFの先端部により形成されている。
【0031】
芯糸Cは、吸水性糸および/または非吸水性糸とすることができる。なお、芯糸Cの一部若しくは全部として熱融着糸を用いて飾り糸としてのフィラメントFを融着したモール糸の場合、フィラメントFの脱落を確実性高く防ぐことができる。
【0032】
このループパイル形成糸Tは、基布Sにおける裏側の一つの縫い目Hの一端から基布Sを貫通し、その貫通孔から表面側に突出してループパイルPを形成し、同じ貫通孔から基布Sの裏側に戻って次の一つの縫い目Hを形成している。その縫い目Hの他端から再びループパイル形成糸Tが基布Sを貫通し、その貫通孔から表面側に突出してループパイルPを形成し、同じ貫通孔から基布Sの裏側に戻って更に次の一つの縫い目Hを形成する。このようにして基布S(基体)の表面とその裏側を交互に貫き、基布Sの表面側においてループパイルPを形成し、裏面側において縫い目Hを形成しているものである。ループパイル形成糸Tにより形成されるループパイルPのループ面[ループに沿った面]は図3(及び図4)における左右方向に沿っており、縫い目Hは図4(及び図3)における前後方向に伸びている。すなわち、ループパイルPのループ面は縫い目Hの方向に直交している。従って、ループパイル形成糸Tにより連続的に形成されるループパイルPによるループパイル列Rは、ループパイルPの縦方向(ループに沿った面に沿った方向[図1における左右方向])に直交する横方向(図2における左右方向)に多数のループパイルPが直線上(必ずしも直線に限らない)を並列した状態となる。
【0033】
このようなループパイル列Rを多数並列状に設けることにより、基布Sの表面上に多数のループパイルPが縦横に整列配設され、基布Sの裏側に縫い目Hの列が多数並列した状態とすることができる。なお、基布Sの裏側の縫い目Hの列に対しては、基布に対する固定を確実にするためにラテックスなどのバッキングを施すことができ、更に滑止めや耐久性向上等のために底面カバー(メッシュ地でもよい)をほどこすことができる。また、この例のループパイルマットAは、隣接ループパイル列R同士を同位相に並列させているが、例えば、半波長ずつ又は4分の1波長ずつ或いはその他の任意の態様でずらすこともできる。また、この例のループパイルマットAでは全てのループパイルPが実質上同一に形成されているが、ループパイル列R毎に、或いはその他の態様で、複数種のループパイルPを設けるものとすることもできる。更に、ループパイルのループ面を縫い目の方向に平行にすることや、ループパイル形成糸Tが基布を表面側へ貫通した孔と別の貫通孔を通じて裏側へ戻ってループパイルを形成するものとすることもできる。
【0034】
各ループパイルPは、(ループパイルPの高さ)/(ループパイル形成糸Tの直径)の比が約2/1であり且つ(ループパイルPの両基部の中心同士の距離)/(ループパイル形成糸Tの直径)の比が1/3程度であり且つ[(ループパイル形成糸Tの長さ)−(ループパイルPの両基部の中心同士の距離)]/(ループパイル形成糸Tの直径)の比が3/1程度であることにより、基布Sの表面に対し良好な自立性を有する。而も、ループパイルPの両基部におけるフィラメントFが、ループパイル形成糸Tの軸心から外方に向かって、基布Sの表面に対し平行状に又は基布Sの表面に向かう傾斜状に伸びてループパイルPを起立支持する機能を有する。
【0035】
ループパイルP同士は、縦方向に密接すると共に、ループ面に直交する方向である横方向(図2における左右方向)に密接した状態をなしている。このような状態の例としては、縦方向については、各ループパイルPが自立した状態において、隣接ループパイルPの間隔がループパイル形成糸Tの直径の1/2乃至−1/2(マイナス1/2。直径の2分の1が重なる状態。)である状態を挙げることができる。好ましくは1/4乃至−1/2(若しくは−1/4)、より好ましくは0乃至−1/2(若しくは−1/4)とすることができる。少なくとも、各ループパイルPが高さ方向に押圧された状態で接触し合って起立状態を維持するような状態が好ましい。横方向については、各ループパイルPが自立した状態において、隣接ループパイルPの間隔がループパイル形成糸Tの直径の1/2乃至−1/2(直径の2分の1が重なる状態)である状態を挙げることができる。好ましくは1/4乃至−1/2(若しくは−1/4)、より好ましくは0乃至−1/2(若しくは−1/4)とすることができる。
【0036】
基部が基布Sに結合された状態で基布S上に配設されているループパイルPを形成するループパイル形成糸Tは、略円柱形状をなし、0.3デニールの極めて細い非吸水性のフィラメントFが、ループパイル形成糸Tの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、その略円柱形状外周面は、フィラメントFの先端部により形成されているので、略円柱形状をなすループパイル形成糸Tの各円形状横断面において、内方に向かうほど更に前記フィラメントFが高密度状態となる。
【0037】
ループパイルPは、このようなループパイル形成糸Tにより形成されており、前記のように基布Sの表面に対し自立性を有し、その両基部において多数のフィラメントFにより基布Sの表面に対し起立支持され、その両基部から立ち上がったパイルがループ状に連結し、而もループパイル形成糸Tの直径に比し高さが低いので、これらの相乗効果により、極めて良好な自立性とループパイルPの高さ方向の押圧に対する柔軟な弾力性を有する。
【0038】
また、このループパイルPは種々の物質を吸収したり取り込んだりする性能に優れる。すなわち、ループパイルPにおけるフィラメントFの密度は、ループパイル形成糸Tの表面部から内方部に向かうほど高くなり、毛管現象により、ループパイル形成糸Tの内方部に向かって強い吸液力が作用するので、ループパイルPは、フィラメントFの先端部が位置する表面部からループパイル形成糸Tの内方部に向かって迅速に比較的多量の液体(汚れ若しくは他の物質を含有しない又は汚れ若しくは他の物質を含有する水又はその他の液体を単に「水」若しくは「水分」又は「液」若しくは「液体」とも言う。)を吸収し得る。而も、そのループパイルPの良好な自立性により、柔軟な弾力性、並びに吸収や取り込み等の性能が長期にわたり維持される。
【0039】
逆に、吸水したループパイル形成糸Tの表面部は、毛管現象により、水分含有率が低い状態となる。而も、ループパイル形成糸Tの表面部は、非吸水性のフィラメントFの先端部により形成されているので、繊維が占める面積が比較的小さく、且つ繊維自体が非湿潤状態を維持する。そのため、水分を吸収した状態のループパイルPの略円柱形状外周部は比較的乾燥した状態を維持し易く、べとつき感が生じにくい。
【0040】
非吸水性のフィラメントFは、例えば0.05乃至0.8デニールとすることができ、好ましくは0.1乃至0.5デニール、より好ましくは0.2乃至0.4デニールである。フィラメントFの材質は、ポリエステル系の他、例えば、ポリアミド系、ポリプロピレン系又はポリエチレン系のフィラメントFを用いることができる。非吸水性のフィラメントFの吸水率は、例えば、20℃相対湿度65%において5%以下であるものとすることができる。
【0041】
ループパイルの高さは、例えば3乃至30mmとすることができる。好ましくは5乃至20mm、より好ましくは5乃至15mmである。ループパイル形成糸の直径は、例えば2乃至30mmとすることができる。好ましくは3乃至20mm、より好ましくは4乃至15mmである。
【0042】
基体としては、基布(例えばフェルト、織布、不織布、編物等)以外に、例えばループパイルPを設けることが可能なシート状材料(例えば皮革、合成樹脂材料、合成ゴム材料等)を用いることができる。
【0043】
本発明のループパイル保持体は、例えば、ループパイルマット(足拭用若しくは吸水用或いはその他の用途のマット、台所用マット等)、スリッパ等の履物、払拭布等の清掃具、各種家具等として或いはその一部として用いることができる。
【0044】
なお、以上の実施の形態についての記述における構成部品の寸法、個数、材質、形状、その相対配置などは、特にそれらに限定される旨の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】模式的正面図である。
【図2】模式的側面図である。
【図3】模式的平面図である。
【図4】模式的底面図である。
【図5】ループパイル形成糸の模式的拡大横断面図である。
【符号の説明】
【0046】
A パイルマット
C 芯糸
F フィラメント
H 縫い目
P ループパイル
R ループパイル列
S 基布
T ループパイル形成糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体とループパイルを備えてなり、前記ループパイルは、その基部が基体に結合された状態で基体上に配設されているループパイル保持体であって、
前記ループパイルを形成するループパイル形成糸は、略円柱形状をなし、0.05乃至0.8デニールの非吸水性のフィラメントが、ループパイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、その略円柱形状外周面は、前記フィラメントの先端部により形成されており、
前記ループパイルは、(ループパイルの高さ)/(ループパイル形成糸の直径)の比が1/1乃至5/1であり且つ(ループパイルの両基部の中心同士の距離)/(ループパイル形成糸の直径)の比が3/1以下であって、基体の表面に対し自立性を有するものであることを特徴とするループパイル保持体。
【請求項2】
基体とループパイルを備えてなり、前記ループパイルは、その基部が基体に結合された状態で基体上に配設されているループパイル保持体であって、
前記ループパイルを形成するループパイル形成糸は、略円柱形状をなし、0.05乃至0.8デニールの非吸水性のフィラメントが、ループパイル形成糸の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、その略円柱形状外周面は、前記フィラメントの先端部により形成されており、
前記ループパイルは、[(ループパイル形成糸の長さ)−(ループパイルの両基部の中心同士の距離)]/(ループパイル形成糸の直径)の比が1/1乃至10/1であり且つ(ループパイルの両基部の中心同士の距離)/(ループパイル形成糸の直径)の比が3/1以下であって、基体の表面に対し自立性を有するものであることを特徴とするループパイル保持体。
【請求項3】
上記ループパイル形成糸が、基体の表面とその裏側を交互に貫き、基体の表面側においてループパイルを形成し、裏面側において縫い目を形成している請求項1又は2記載のループパイル保持体。
【請求項4】
上記ループパイルの両基部におけるフィラメントが、ループパイル形成糸の軸心から外方に向かって、基体の表面に対し平行状に又は基体の表面に向かう傾斜状に伸びる請求項1乃至3の何れか1項に記載のループパイル保持体。
【請求項5】
上記ループパイル形成糸が、0.05乃至0.8デニールの非吸水性のフィラメントを飾り糸とする2本又は3本以上のモール糸が、そのモール糸の芯糸を中心として撚り合わさることにより略円柱形状を形成したものである請求項1乃至4の何れか1項に記載のループパイル保持体。
【請求項6】
上記非吸水性のフィラメントが、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系又はポリエチレン系のフィラメントである請求項1乃至5の何れか1項に記載のループパイル保持体。
【請求項7】
上記非吸水性のフィラメントの吸水率が、20℃相対湿度65%において5%以下である請求項1乃至5の何れか1項に記載のループパイル保持体。
【請求項8】
基体上に上記ループパイルが多数配設されてなる請求項1乃至7の何れか1項に記載のループパイル保持体。
【請求項9】
基体上に多数配設されたループパイルの少なくとも一部のループパイル群において、ループパイル同士が、ループパイル形成糸により形成されるループ面に沿った方向である縦方向に密接すると共に、前記ループ面に直交する方向である横方向に密接するものである請求項8記載のループパイル保持体。
【請求項10】
上記基体が基布である請求項1乃至9の何れか1項に記載のループパイル保持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−18892(P2010−18892A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177638(P2008−177638)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000178583)山崎産業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】