説明

ループ式自動挿入内視鏡

【課題】 難渋する内視鏡の挿入手技を内視鏡ファイバーが自動的に腸管の奥へ進む様にする事で容易なものとし、小腸の奥までの挿入を可能とする事を課題とする。
【解決手段】 内視鏡ファイバーの前後の径を縮小した部分でファイバー長軸を中心軸として回転する外側リングが回転し、連結した弾性硬螺旋状ループが外側で回転することで消化管の奥へと進む事を可能とした自動挿入内視鏡であり、外側リングを回転させるには、外側リングにN極とS極を交互に繰り返し配列し、径を縮小した部分のN極とS極が交互に配列するようにした内側リングのN極とS極をリニアモーターカー同様の原理で交互に変換させる方法、径を縮小した部分に伝導体を設け電機的な流れにより外側リングのN極とS極を交互に変換させる方法、磁力で引き合う内側リングを内部動力で回転させる方法などがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
内視鏡ファイバーの前後の径を縮小した部分にファイバー長軸を中心軸として回転する外側リングを設置し、前後の外側リングを同方向へ回転させ、外側リングに連結した弾性硬螺旋状ループがファイバー外側で回転することで消化管の奥へと進む事を可能とした自動挿入内視鏡である。
【背景技術】
【0002】
従来より内視鏡ファイバーの腸管の奥への挿入は困難を要し、特に、大腸内視鏡ファイバーにおける挿入は挿入手技そのものが熟練の医師ですら時間を要し、患者に少なからず苦痛を強いるものとなっている。一般的な大腸内視鏡ファイバーを用いた小腸の奥までの挿入は不可能であり、挿入時に患者に苦痛を生じる理由は大腸内視鏡ファイバーをある程度の力で外から押したり、引っ張ったりしなければ奥へは進めない部位が少なからず存在するからであり、外から加える力がファイバーの先端に伝えにくい事が原因となっている。又、近年ダブルバルーン式のファイバーが開発され小腸までの観察が可能となっているが、やはり外から押したり引っ張ったりする作業が主体であり、先端に力が伝えにくい状態は改善されておらず一般の内視鏡カメラ検査より遥かに長い時間と苦痛を患者に強いるものとなっていて、操作が煩雑で外からの外力をかなり要し、ファイバーの進行に難渋している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は難渋する内視鏡ファイバーの挿入手技を内視鏡ファイバーが自動的に腸管の奥へ進む様にする事で容易とすると共に、小腸の奥までの挿入を可能とする事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は内視鏡ファイバーの前後の径を縮小した部分の外側にファイバー長軸を中心軸として回転する外側リングを設置し、前後の外側リングを同方向へ回転させ、外側リングに連結した弾性硬螺旋状ループがファイバー外側で回転することで消化管の奥へと進む事を可能とした自動挿入内視鏡である。外側リングに連結する弾性硬螺旋状ループは円形のロープ形状でも板状のロープ形状でもよく、幅や長さ形態は問わない。
外側リングを回転させる手段としては、ファイバー長軸方向を軸として回転する軸状回転体を外側リングの内側でギアーを用いて接続したり、一般的なモーターの中心軸を円筒状の軸として、円筒状の軸の内側の空洞部位に光ファイバーや鉗子孔、配線等を通し、円筒状の軸に外側リングを連結する手法などが考えられるが、内視鏡ファイバー全体を完全な独立した個体として繰り返し洗浄して使用するには完全な防水状態とする事が求められる。
外側リングはN極とS極を交互に繰り返し配列した前方外側リング、後方外側リングからなり、径を縮小した部分にN極とS極が交互に同心円状に配列されるようにした前方内側リング、後方内側リングを設け、内側リングのN極とS極をリニアモーターカー同様の原理で交互に変換させる事で前方外側リング、後方外側リングを同方向に回転させて連結した弾性硬螺旋状ループが回転することで内視鏡ファイバーが自動的に消化管の奥へと進む事が可能となる。
外側リングを回転させるには径を縮小した部分に伝導体を設け電機的な流れにより外側リングのN極とS極を交互に変換させる方法、外側リングと磁力で引き合う内側リングを内部動力で回転させる方法などを用いてもよい。
又、前方外側リングと後方外側リングの間の内視鏡ファイバー部分に同様の形態で複数の外側リングを設置し、弾性硬螺旋状ループと設置した外側リングを棒状や板状の弾性の連結体で連結し、これらの外側リング、連結体、及び弾性硬螺旋状ループ全体を弾性膜で覆った形態で使用する事もできる。
【発明の効果】
【0005】
本発明は以上の構造であるから外側リングに連結した弾性硬螺旋状ループがファイバー外側で回転することでファイバーの先端が消化管の奥へ自動的に進行し内視鏡の挿入手技が容易となり、小腸までの挿入が可能となる。又、径を縮小した部分を形成した内視鏡ファイバーは独立した個体であり、内側リングも含めて円筒の膜で覆う事でファイバー内部は外側より完全に遮断され清潔に保つ事が出来、外側リングも膜で覆う事で内部を清潔に保つ事が可能で、連結した弾性硬螺旋状ループも一緒に洗浄する事で繰り返し使用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
内視鏡ファイバーの前後の径を縮小した部分にファイバー長軸を中心軸として回転する外側リングを設置し、前後の外側リングを同方向へ回転させ、外側リングに連結した弾性硬螺旋状ループがファイバー外側で回転することで消化管の奥へと進む事を可能とした自動挿入内視鏡が本発明である。
前後に径の縮小した部分を形成した内視鏡ファイバー1の径を縮小した部分にファイバー長軸を中心軸として回転するN極とS極を交互に繰り返し配列した前方外側リング2、後方外側リング3をはめ込む様に設置し、内視鏡ファイバーの前後の径を縮小した部分にはN極とS極が交互に同心円状に配列されるようにした前方内側リング4、後方内側リング5を設け、内側リングのN極とS極をリニアモーターカー同様の原理で交互に変換させる事で前方外側リング2、後方外側リング3を同方向に回転させて前後の外側リングに連結した弾性硬螺旋状ループ6がファイバー外側で回転することで内視鏡ファイバーが消化管の奥へと進む事が可能となる。
前方外側リング2、後方外側リング3を回転させる他の手段としては、前方内側リング4、後方内側リング5のN極とS極を固定化し、内視鏡ファイバーの径を縮小した部分に伝導体を設け電機モーター同様に電機的な流れにより前方外側リング2、後方外側リング3のN極とS極を交互に変換させて外側リングを回転させる方法、又、前方内側リング4、後方内側リング5を内部動力で回転させ内側リングと磁力で引き合う外側リングを回転させる方法などがある。
【産業上の利用の可能性】
【0007】
本発明はこの様な構造であるから、内視鏡ファイバーが自動的に腸管の奥へ進む様にする事で挿入手技を容易なものとできる。特に、難渋する大腸内視鏡ファイバー挿入手技では挿入を容易とし、患者への苦痛を軽減し、更にはそのまま回腸、腔腸までの挿入を可能にできる。又、径を縮小した部分を形成した内視鏡ファイバーは、内側リングも含めて円筒の膜で覆う事で外側より完全に遮断され清潔に保つ事が出来、洗浄する事で繰り返し使用可能である。外側リングも膜で覆う事で内部を清潔に保つ事ができ、弾性硬螺旋状ループも一緒に洗浄する事で繰り返し使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の平面図(内視鏡ファイバーの後方部分は省略)。
【図2】A−A断面図、及びA−A断面分解図(内部の光ファイバー構造や鉗子孔構造、配線構造は省略してある)。
【図3】本発明の側面図(内視鏡ファイバーの後方部分は省略)。
【図4】本発明のB−B断面図(内視鏡ファイバーの後方部分、内部の光ファイバー構造や鉗子孔構造、配線構造、弾性硬螺旋状ループは省略してある)。
【図5】本発明の底面図(内視鏡ファイバーの後方部分は省略)。
【図6】本発明の正面図(内視鏡ファイバーの後方部分は省略)。
【符号の説明】
【0009】
1前後に径の縮小した部分を形成した内視鏡ファイバー
2前方外側リング
3後方外側リング
4前方内側リング
5後方内側リング
6弾性硬螺旋状ループ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡ファイバーの前後に径を縮小した部分を形成し、径を縮小した部分の外側にファイバー長軸を中心軸として回転する前方外側リング、後方外側リングを設置し、前後の前方外側リング、後方外側リングを同方向へ回転させる事で連結した弾性硬螺旋状ループがファイバー外側で回転し、内視鏡ファイバーが消化管の奥へと進む事を可能とした自動挿入内視鏡。外側リングに連結する弾性硬螺旋状ループは円形のロープ形状でも板状のロープ形状でもよく、幅や長さ形態は問わない。
【請求項2】
磁場のN極とS極を交互に繰り返し配列した外側リングを内視鏡ファイバーの前後の径を縮小した部分に取り付け、径を縮小した部分にはファイバー長軸を中心軸として同心円状に磁場のN極とS極が交互に繰り返し配列されるようにした内側リングを設置し、リニアモーターカー同様の原理で内側リングのN極とS極が交互に変換される事により外側リングが回転するようにした本発明。
内側リングのN極とS極の交互の繰り返しを固定化し、外側リングへ電流を伝える伝導体を内視鏡ファイバーの径を縮小した部分外側に設置し、電機的な流れにより外側リングのN極とS極が交互に変換される事で外側リングを回転させる様にしても良い。交互に繰り返し配列するN極とS極の数は問わない。
【請求項3】
内側リングと外側リングが磁力で引き合う状態として内側リングを内部動力で回転させ磁力で引き合う外側リングを回転させる様にした本発明。
内側リングを回転させる内部動力にはファイバー長軸方向を軸として回転する軸状回転体を用いる方法や電機モーターの中心軸を円筒状として光ファイバーや配線、鉗子孔を円筒中心の空間部に通して設置し、電機モーターをそのまま用いるなどの方法などがあるが、内部動力の種類は問わない。
【請求項4】
前方外側リングと後方外側リングの間の内視鏡ファイバー部分に同様の形態で複数の外側リングを設置し、弾性硬螺旋状ループと設置した外側リングを棒状や板状の弾性の連結体で連結し、これらの外側リング、連結体、及び弾性硬螺旋状ループ全体を弾性膜で覆った本発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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