説明

レギュレータ装置

【課題】レギュレータが電力を供給する機器の動作とレギュレータの電力変換効率の特性の測定とを両立する。
【解決手段】レギュレータ装置100は、電力入力端子102と第1の電力出力端子104との間に並列に設けられた複数のレギュレータ110A,110B,110Cを備える。また、レギュレータ装置100は、複数のレギュレータ110A,110B,110Cそれぞれの第1の電力出力端子104への電力出力系統とは異なる電力出力系統に接続された擬似負荷400を備える。また、レギュレータ装置100は、複数のレギュレータ110A,110B,110Cのうち第1の電力出力端子104へ出力を行うレギュレータと、擬似負荷400へ出力を行うレギュレータとを選択する制御部146を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レギュレータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の無線通信機器、又はPC(Personal Computer:パーソナルコンピュータ)、サーバ等の情報処理機器には、入力電力を所望の出力電力に変換する電力変換用のレギュレータが用いられている。
【0003】
近年の無線通信機器及び情報処理機器は、高性能化・高機能化にともなって、負荷電流のピークが増加傾向にある一方で、消費電力を低減して長時間にわたって安定的に電力を供給することが求められている。このため、電力変換効率が高いレギュレータを用いることが重要になる。
【0004】
ところで、レギュレータには、定格電流又は定格電圧等の違いによる様々な種類のものがあり、出力電流値に対する電力変換効率の特性は、レギュレータの種類によって異なる。
【0005】
例えば、レギュレータは、定格電流値のみが相違し内部回路は同等である同一シリーズ品であっても、電力変換効率の特性が異なる場合がある。この場合、ピークの負荷電流にあわせて高出力のレギュレータを選択すると、低負荷時には、高出力のレギュレータの電力変換効率が、低出力のレギュレータの電力変換効率に比べて悪くなる場合がある。
【0006】
そこで、電力変換効率が異なる複数のレギュレータを設け、出力電流値に応じて電力変換効率が最適なレギュレータに選択的に切り替えるレギュレータ装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−353040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述のようにレギュレータの電力変換効率はレギュレータの種類によって異なるが、いずれの種類のレギュレータにも電力変換効率の経年変化(経年劣化)が生じる。電力変換効率の経年変化は、レギュレータの使用状況又は使用頻度等によって度合いが異なる。また、電力変換効率には、個々のレギュレータ間でばらつきがある場合もある。
【0009】
このため、レギュレータの経年変化又はばらつき等の個体差を考慮しないでレギュレータの切り替えを行うと、最適なレギュレータの選択を行えない場合が生じるという課題がある。
【0010】
この点、例えば、無線通信機器又は情報処理機器の負荷へ電流を流しながらレギュレータの電力変換効率の特性を定期的に測定して、測定結果に基づいてレギュレータの電力変換効率の特性を更新することが考えられる。これによれば、レギュレータの個体差が反映された最新の電力変換効率の特性に基づいて、最適なレギュレータの選択を行うことができると考えられる。
【0011】
しかしながら、この場合、レギュレータの電力変換効率の特性を測定している間は、無線通信機器又は情報処理機器の負荷を測定用として用いるため、無線通信機器又は情報処理機器を動作させることができないという課題がある。
【0012】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、レギュレータが電力を供給する機器の動作とレギュレータの電力変換効率の特性の測定とを両立することができるレギュレータ装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の開示するレギュレータ装置は、一つの態様において、電力入力端子と電力出力端子との間に並列に設けられ、前記電力入力端子から入力された電力を変換して前記電力出力端子へ出力する複数のレギュレータを備える。また、レギュレータ装置は、前記複数のレギュレータそれぞれの前記電力出力端子への電力出力系統とは異なる電力出力系統に接続された擬似負荷回路を備える。また、レギュレータ装置は、前記複数のレギュレータの中から前記電力出力端子へ出力を行うレギュレータと、前記擬似負荷回路へ出力を行うレギュレータとを選択する制御部を備える。また、レギュレータ装置は、前記擬似負荷回路へ出力を行うレギュレータについて、前記擬似負荷回路に流れる電流に対する電力変換効率の特性を表す変換効率特性情報を取得する取得部を備える。
【発明の効果】
【0014】
本願の開示するレギュレータ装置の一つの態様によれば、レギュレータが電力を供給する機器の動作とレギュレータの電力変換効率の特性の測定とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、レギュレータ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、電力変換効率特性が異なるレギュレータ効率特性マッピングの一例を示す図である。
【図3】図3は、出力容量が異なるレギュレータ効率特性のマッピングの一例を示す図である。
【図4】図4は、レギュレータの構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、ホストコントロール部の構成を示す図である。
【図6】図6は、レギュレータ装置の出力切り替え処理のフローチャートである。
【図7】図7は、レジスタの構成の一例を示す図である。
【図8】図8は、起動レギュレータのレジスタの構成の一例を示す図である。
【図9】図9は、レジスタの構成の一例を示す図である。
【図10】図10は、出力電流レジスタの構成の一例を示す図である。
【図11】図11は、選択/測定レギュレータのレジスタの構成の一例を示す図である。
【図12】図12は、選択効率/測定効率のレジスタの構成の一例を示す図である。
【図13】図13は、レギュレータの選択処理のフローチャートである。
【図14】図14は、レジスタの構成の一例を示す図である。
【図15】図15は、温度レジスタの構成の一例を示す図である。
【図16】図16は、レジスタの構成の一例を示す図である。
【図17】図17は、平均動作温度レジスタの構成の一例を示す図である。
【図18】図18は、平均動作温度の測定処理のフローチャートである。
【図19】図19は、温度測定インターバルの変更例を示す図である。
【図20】図20は、レギュレータの切り替え判定処理のフローチャートである。
【図21】図21は、レジスタの構成の一例を示す図である。
【図22】図22は、ワーニングレジスタの構成の一例を示す図である。
【図23】図23は、効率監視処理のフローチャートである。
【図24】図24は、異常レギュレータ判定処理のフローチャートである。
【図25】図25は、レギュレータの再測定処理のフローチャートである。
【図26】図26は、レジスタの構成の一例を示す図である。
【図27】図27は、BUSYレジスタの構成の一例を示す図である。
【図28】図28は、BUSY判定処理のフローチャートである。
【図29】図29は、レギュレータ停止判定処理のフローチャートである。
【図30】図30は、内部クロックカウンタを用いた切り替え処理のフローチャートである。
【図31】図31は、PM−Busのコマンドの一例を示す図である。
【図32】図32は、PM−Busのコマンドを用いた効率読み出し処理のフローチャートである。
【図33】図33は、PM−Busのコマンドの一例を示す図である。
【図34】図34は、PM−Busのコマンドの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本願の開示するレギュレータ装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により開示技術が限定されるものではない。なお、以下の実施例では、携帯電話機等の無線通信機器、又はPC、サーバ等の情報処理機器に設けられるレギュレータ装置を想定して説明を行うが、無線通信機器又は情報処理機器に限らず、電力を用いる電子機器に適用することができる。
【実施例1】
【0017】
まず、実施例1のレギュレータ装置について説明する。図1は、レギュレータ装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、レギュレータ装置100は、電力入力端子102、第1の電力出力端子104、第2の電力出力端子106、複数(3つ)のレギュレータ110A,110B,110C、コントローラIC(Integrated Circuit:集積回路)140を備える。また、レギュレータ装置100は、コイル152,162、コンデンサ154,164、電流計156,166、及び擬似負荷400を備える。
【0018】
電力入力端子102は、レギュレータ装置100の外部から供給された電圧(Vin)が印加される端子である。電力入力端子102には、例えば5〜12(V)の直流電圧が印加される。電力入力端子102に印加された直流電圧は、レギュレータ装置100内で所定電圧の直流電圧に変換(昇圧又は降圧)され、第1の電力出力端子104又は第2の電力出力端子106から出力される。
【0019】
第1の電力出力端子104は、レギュレータ装置100によって変換された電圧(Vout1)を、無線通信機器又は情報処理機器の負荷300へ供給する端子である。第2の電力出力端子106は、レギュレータ装置100によって変換された電力(Vout2)を、レギュレータ110A,110B,110Cの出力電流に対する電力変換効率の特性を測定するために設けられた擬似負荷400に供給する端子である。なお、負荷300とは、無線通信機器又は情報処理機器内に設けられ、レギュレータ装置100から電力を供給される各種の部品、回路を示すものである。また、擬似負荷400とは、レギュレータ110A,110B,110Cの出力電流に対する電力変換効率の特性を測定するための負荷であり、擬似負荷400に流れる電流値を可変させることができるように抵抗値を可変可能な負荷である。また、擬似負荷400は、複数のレギュレータ110A,110B,110Cそれぞれの第1の電力出力端子104への電力出力系統とは異なる電力出力系統に接続される。
【0020】
レギュレータ110A,110B,110Cは、電力入力端子102と第1の電力出力端子104との間に並列に接続される。レギュレータ110A,110B,110Cはそれぞれ、入力部111A,111B,111Cと、第1の出力部112A,112B,112Cと、第2の出力部114A,114B,114Cを有する。入力部111A,111B,111Cは、電力入力端子102に接続される。第1の出力部112A,112B,112Cはコイル152の一方の端部に接続される。これに対して、第2の出力部114A,114B,114Cはコイル162の一方の端部に接続される。
【0021】
また、レギュレータ110A,110B,110Cはそれぞれ、自レギュレータの出力電流に対する電力変換効率の特性を示す変換効率特性情報を自レギュレータ内に設けられたメモリに格納している。レギュレータ110A,110B,110Cはそれぞれ、出力電流に対する電力変換効率が異なるレギュレータであるが、内部構造は基本的に同一である。レギュレータ110A,110B,110Cの内部構造の詳細は図4を用いて後述する。なお、以下の説明では、レギュレータ110A,110B,110Cを特に区別しない場合は、レギュレータ110という。
【0022】
コイル152は、一方の端部がレギュレータ110A,110B,110Cの第1の出力部112A,112B,112Cと接続され、他方の端部が電流計156を介して第1の電力出力端子104と接続される。コイル152は、レギュレータ110A,110B,110C内のスイッチング素子のオン/オフに伴って電力変換用の誘導起電力を発生させるために設けられている。
【0023】
コイル162は、一方の端部がレギュレータ110A,110B,110Cの第2の出力部114A,114B,114Cと接続され、他方の端部が電流計166を介して第2の電力出力端子106と接続される。コイル162は、レギュレータ110A,110B,110C内のスイッチング素子のオン/オフに伴って電力変換用の誘導起電力を発生させるために設けられている。
【0024】
コンデンサ154は、一方の端部が、コイル152の他方の端部と電流計156との間に接続され、他方の端部が接地された平滑用のコンデンサである。コンデンサ154は、第1の電力出力端子104から出力される電圧を平滑化するために設けられている。
【0025】
コンデンサ164は、一方の端部が、コイル162の他方の端部と電流計166との間に接続され、他方の端部が接地された平滑用のコンデンサである。コンデンサ164は、第2の電力出力端子106から出力される電圧を平滑化するために設けられている。
【0026】
電流計156は、コイル152の他方の端部と第1の電力出力端子104との間に設けられ、負荷300へ流れる電流値を検出する電流センサである。電流計166は、コイル162の他方の端部と第2の電力出力端子106との間に設けられ、擬似負荷400へ流れる電流値を検出する電流センサである。
【0027】
コントローラIC140は、メモリ142、インターフェース部144、及び制御部146を備え、レギュレータ110A,110B,110Cを監視及び管理制御する機能を有する。メモリ142はコントローラIC140で用いられる各種データを格納する記憶部である。メモリ142はインターフェース部144に接続される。
【0028】
インターフェース部144は、レギュレータ110A,110B,110Cそれぞれと接続され、レギュレータ110A,110B,110Cとの間でデータの入出力処理を行う。例えば、インターフェース部144は、レギュレータ110A,110B,110C内のメモリに格納された変換効率特性情報を読み出す。なお、インターフェース部144と、レギュレータ110A,110B,110Cとの接続は、例えば、PM−Bus(Power Management Bus)等のインターフェースを用いることができる。
【0029】
また、インターフェース部144は、レギュレータ110A,110B,110Cから読み出した変換効率特性情報をメモリ142に格納する。また、インターフェース部144には、電流計156,166で計測された電流値が入力される。また、インターフェース部144は、レギュレータ装置100の外部に設けられたホストコントロール部200と接続され、ホストコントロール部200との間でデータの入出力処理を行う。ホストコントロール部200の内部構造は図5を用いて後述する。
【0030】
制御部146は、複数のレギュレータ110A,110B,110Cの中から第1の電力出力端子104へ出力を行うレギュレータと、擬似負荷400へ出力を行うレギュレータとを選択する。例えば、制御部146は、電流計156で計測された電流値と、メモリ142に格納された各レギュレータ110A,110B,110Cの変換効率特性情報とに基づいて、第1の電力出力端子104から出力を行うレギュレータを選択する。より具体的には、制御部146は、レギュレータ110A,110B,110Cのうち、電流計156で計測された電流値に対する電力変換効率が最も高いレギュレータを、第1の電力出力端子104から出力を行うレギュレータとして選択する。また、制御部146は、複数のレギュレータ110A,110B,110Cのうち、第1の電力出力端子104から出力を行うレギュレータとして選択すれたレギュレータ以外のレギュレータの中から、擬似負荷400へ出力を行うレギュレータを選択する。
【0031】
ここで、制御部146におけるレギュレータの選択について説明する。図2は、電力変換効率特性が異なるレギュレータ効率特性マッピングの一例を示す図である。図3は、出力容量が異なるレギュレータ効率特性のマッピングの一例を示す図である。
【0032】
図2,3において、グラフの横軸はレギュレータの出力電流を示し、グラフの縦軸は電力変換効率を示す。図2は、定格電流が同等であり電力変換効率が異なる3つのレギュレータ182,184,186の電力変換効率の特性を示す。図3は、定格電流が異なる3つのレギュレータ192,194,195の電力変換効率の特性を示す。
【0033】
図2に示すように、例えば電流計156で計測された電流値が電流値188であったとする。この場合、制御部146は、電流値188におけるレギュレータ182,184,186の電力変換効率をメモリ142から読み出す。制御部146は、電流値188におけるレギュレータ182,184,186の電力変換効率の大小を比較する。この例では、レギュレータ182の電力変換効率が最も大きいので、制御部146は、レギュレータ182を、電力出力端子104から出力を行うレギュレータ(負荷300へ出力を行うレギュレータ)として選択する。
【0034】
また、図3に示すように、例えば電流計156で計測された電流値が電流値196未満の場合は、レギュレータ192の電力変換効率が最も大きいので、制御部146は、レギュレータ192を、電力出力端子104から出力を行うレギュレータとして選択する。また、電流計156で計測された電流値が電流値196以上で電流値198未満の場合は、レギュレータ194の電力変換効率が最も大きいので、制御部146は、レギュレータ194を、電力出力端子104から出力を行うレギュレータとして選択する。また、電流計156で計測された電流値が電流値198以上の場合は、レギュレータ195の電力変換効率が最も大きいので、制御部146は、レギュレータ195を、電力出力端子104から出力を行うレギュレータとして選択する。
【0035】
次に、実施例1のレギュレータ110A,110B,110Cの構成について説明する。図4は、レギュレータの構成を示すブロック図である。図4に示すように、レギュレータ110は、入力部111、第1の出力部112、第2の出力部114、メモリ113、インターフェース部115、及び効率測定部116を備える。また、レギュレータ110は、エラーアンプ124、コンパレータ126、発信器128、出力制御部130、FET(Field Effect Transistor:電界効果型トランジスタ)132,134、及び切り替え部136を備える。
【0036】
入力部111は、レギュレータ装置100の電力入力端子102に接続されており、レギュレータ装置100が組み込まれる無線通信機器又は情報処理機器に供給される電力が入力される。例えば、入力部111には、5〜12(V)の直流電圧が印加される。
【0037】
第1の出力部112は、レギュレータ装置100の第1の電力出力端子104に接続されており、レギュレータ110内で変換された直流電圧を第1の電力出力端子104へ出力する。第2の出力部114は、レギュレータ装置100の第2の電力出力端子106に接続されており、レギュレータ110内で変換された直流電圧を第2の電力出力端子106へ出力する。
【0038】
メモリ113は、効率測定部116によって計算されたレギュレータ110の出力電流に対する電力変換効率の特性を示す変換効率特性情報が格納される記憶部である。メモリ113は、例えば、変換効率特性情報を一時的に保持する揮発性のメモリでもよいし、不揮発性のメモリでもよい。
【0039】
インターフェース部115は、コントローラIC140と接続されており、コントローラIC140内のインターフェース部115との間でデータの入出力処理を行う。例えば、インターフェース部115は、メモリ113に格納された変換効率特性情報をコントローラIC140へ送信する。また、例えば、インターフェース部115は、コントローラIC140から送信された出力切り替え指示の信号を出力制御部130へ出力する。
【0040】
効率測定部116は、効率計算部118、出力電力測定部120、及び入力電力測定部122を備える。入力電力測定部122は、入力部111に接続されており、入力部111における電力を測定する。出力電力測定部120は、第2の出力部114に接続されており、第2の出力部114における電力を測定する。
【0041】
効率計算部118は、例えばCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)で実現され、入力電力測定部122で測定された入力電力に対する、出力電力測定部120で計測された出力電力の比を求めることによって電力変換効率を求める。また、効率計算部118は、擬似負荷400へ流れる電流値に応じた電力変換効率の特性を求める。効率計算部118によって求められた電力変換効率の特性を表す変換効率特性情報は、メモリ113に格納される。なお、効率計算部118によって求められた変換効率特性情報は、メモリ113に格納せずに、インターフェース部115を介してコントローラIC140へ送信して、メモリ142に格納するようにしてもよい。
【0042】
FET132は、出力制御部130によってオン/オフ制御が行われるスイッチング素子であり、例えば、P型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を用いることができる。FET134は、出力制御部130によってオン/オフ制御が行われるスイッチング素子であり、例えば、N型のMOSFETを用いることができる。
【0043】
FET132及びFET134は、ドレイン端子同士が接続されており、FET132のソースは入力部111に接続され、FET134のソースは接地される。また、FET132及びFET134のゲートは出力制御部130に接続され、出力制御部130から出力される駆動信号によってFET132及びFET134のオン/オフ制御が行われる。
【0044】
出力制御部130は、FET132及びFET134に対して駆動信号を送信することにより、FET132及びFET134のオン/オフ制御を行い、入力電力を所望の出力電力に変換する処理を行う。また、出力制御部130は、切り替え部136に対して切り替え信号を送信する。切り替え信号は、レギュレータ110によって変換された電力を、第1の出力部112から出力するか、第2の出力部114から出力するか、又は第1の出力部112,第2の出力部114のいずれからも出力しないかの切り替えを指示する信号である。
【0045】
切り替え部136には、FET132及びFET134のドレイン端子から出力される出力電力が入力される。また、切り替え部136には、出力制御部130から出力される切り替え信号が入力される。切り替え部136は、切り替え信号に基づいて、出力電力を、第1の出力部112から出力するか、第2の出力部114から出力するか、又は第1の出力部112,第2の出力部114のいずれからも出力しないかの切り替えを行う。これにより、レギュレータ110は、負荷300へ電力を供給して無線通信機器又は情報処理機器を動作させるか、擬似負荷400へ電力を供給して電力変換効率の特性を測定するか、又は電力出力を行わないかのいずれかの状態に制御される。
【0046】
エラーアンプ124には、第1の出力部112又は第2の出力部114から出力された出力電圧が入力されるとともに、基準電圧用電源125から出力される基準電圧が入力され、出力電圧と基準電圧との差分を増幅して出力する。
【0047】
コンパレータ126には、エラーアンプ124から出力される誤差電圧と、発信器128から出力されるパルス電圧が入力される。コンパレータ126は、パルス電圧によって決まる所定のタイミングで誤差電圧を取り込み、出力制御部130に入力する。この結果、出力制御部130によってFET132及びFET134の駆動制御が行われ、入力電力が所定の出力電力に変換される。
【0048】
次に、実施例1のホストコントロール部の構成について説明する。図5は、ホストコントロール部の構成を示す図である。図5に示すように、ホストコントロール部200は、インターフェース部202、レギュレータ選択情報通知部204、及びモニタリング部206を備える。
【0049】
インターフェース部202は、コントローラIC140のインターフェース部144と接続され、インターフェース部144との間でデータの入出力処理を行う。例えば、インターフェース部202は、インターフェース部144を介してメモリ142内に格納された変換効率特性情報を読み出す。また、インターフェース部202は、インターフェース部144を介して、負荷300へ出力を行うレギュレータ及び擬似負荷400へ出力を行うレギュレータを選択する指示信号をコントローラIC140へ送信する。
【0050】
レギュレータ選択情報通知部204は、負荷300へ出力を行うレギュレータ及び擬似負荷400へ出力を行うレギュレータを選択する指示信号をインターフェース部202及びインターフェース部144を介して、コントローラIC140へ送信する。
【0051】
モニタリング部206は、インターフェース部202を介して読み出された変換効率特性情報を、例えば表示部に表示することによってユーザにモニタリングさせる処理部である。
【0052】
次に、レギュレータ装置100の出力切り替え処理の内容について説明する。図6は、レギュレータ装置の出力切り替え処理のフローチャートである。図6に示すように、制御部146は、まず、各レギュレータ110A,110B,110Cの特性(電力変換効率の特性)をメモリ142から読み出す(ステップS101)。
【0053】
続いて、制御部146は、読み出した各レギュレータ110A,110B,110Cの特性をマッピングする(ステップS102)。続いて、制御部146は、電流計156で検出された負荷300へ流れる出力電流値を認識する(ステップS103)。
【0054】
制御部146は、レギュレータ110A,110B,110Cの中から、出力電流値において電力変換効率が最も高いレギュレータを選択する(ステップS104)。続いて、制御部146は、選択したレギュレータが妥当であるか否かを判定する(ステップS105)。制御部146は、選択したレギュレータが妥当ではないと判定したら(ステップS105、No)、ステップS103へ戻る。これは、例えば、負荷300へ現状出力を行っているレギュレータが選択されたとしたら、レギュレータの切り替えを行わなくてもいいので、切り替えを行うことなくステップS103へ戻るというものである。
【0055】
一方、制御部146は、選択したレギュレータが妥当であると判定したら(ステップS105、Yes)、妥当と判断されたレギュレータへ切り替える指示を行う(ステップS106)。これは、例えば、負荷300へ現状出力を行っているレギュレータ以外のレギュレータが選択されたとしたら、選択されたレギュレータへの切り替えを行うということである。この場合、制御部146は、選択されたレギュレータへ切り替えることを示す切り替え信号を、インターフェース部144を介して負荷300へ現状出力を行っているレギュレータと選択されたレギュレータへ送信する。負荷300へ現状出力を行っているレギュレータは、切り替え信号を受信したら、負荷300への出力を停止する。一方、選択されたレギュレータは、切り替え信号を受信したら、負荷300への出力を開始する。
【0056】
続いて、制御部146は、切り替え信号を受信して負荷300へ出力を行っているレギュレータ以外のレギュレータの中から、擬似負荷400へ出力を行って測定を行うレギュレータを選択する(ステップS107)。そして、選択されたレギュレータに対して、擬似負荷400へ出力を開始する指示を行う(ステップS108)。
【0057】
例えば、制御部146は、ステップS107で選択されたレギュレータに対して、インターフェース部144を介して、擬似負荷400へ出力を行い電力変換効率の特性を測定することを示す測定指示信号を送信する。ステップS107で選択されたレギュレータは、測定指示信号を受信したら、擬似負荷400へ出力を開始するとともに、擬似負荷400への出力電流の変化に対応して、電力変換効率の特性を測定する。
【0058】
例えば、制御部146によって、負荷300へ出力を行う出力用レギュレータとして、レギュレータ110Aが選択され、擬似負荷400へ出力を行う測定用レギュレータとして、レギュレータ110Bが選択されたとする。この場合、レギュレータ110Aの切り替え部は、レギュレータ110Aによって変換された電圧の出力先を、第1の出力部112(Vout1)に切り替えて、負荷300へ電力を供給する。また、レギュレータ110Bの切り替え部は、レギュレータ110Bによって変換された電圧の出力先を、第2の出力部114(Vout2)に切り替えて、擬似負荷400へ電力を供給する。また、レギュレータ110Cの切り替え部は、レギュレータ110Cによって変換された電圧を、第1の出力部112(Vout1)及び第2の出力部114(Vout2)のいずれからも出力されないようにする。
【0059】
次に、実施例1のレギュレータ装置100のメモリ142におけるレジスタの構成の一例について説明する。図7は、レジスタの構成の一例を示す図である。図8は、起動レギュレータのレジスタの構成の一例を示す図である。
【0060】
図7に示すように、メモリ142におけるレジスタは、D0〜D7の8ビット構成にすることができる。例えば、レジスタD0〜D5は未使用とし、レジスタD6,D7を起動時に使用するレギュレータを設定するためのレジスタとすることができる。
【0061】
例えば、図8に示すように、レジスタD6,D7が共に「0」に設定された場合は、レギュレータNo「1」のレギュレータが起動レギュレータとして設定される。また、図8に示すように、レジスタD6が「1」、D7が「0」に設定された場合は、レギュレータNo「2」のレギュレータが起動レギュレータとして設定される。また、図8に示すように、レジスタD6が「0」、D7が「1」に設定された場合は、レギュレータNo「3」のレギュレータが起動レギュレータとして設定される。また、図8に示すように、レジスタD6,D7が共に「1」に設定された場合は、レギュレータNo「4」のレギュレータが起動レギュレータとして設定される。
【0062】
制御部146は、無線通信機器又は情報処理機器の起動時には、負荷300に電流が流れてないので、出力電流値に基づくレギュレータの選択を行うことができない。そこで、制御部146は、無線通信機器又は情報処理機器の起動時には、あらかじめ設定されたレギュレータを負荷300へ出力を行うレギュレータとして選択する。より具体的には、制御部146は、無線通信機器又は情報処理機器の起動時には、メモリ142のレジスタD6,D7を読み、レジスタD6,D7の値に応じたレギュレータを起動用レギュレータとして選択する。
【実施例2】
【0063】
次に、実施例2のレギュレータ装置100について説明する。実施例2のレギュレータ装置100は、メモリ142におけるレジスタの構成及びレジスタの構成に関連する処理が異なる以外は、実施例1のレギュレータ装置と同様である。そこで、実施例1と異なる部分のみを説明して、その他の実施例1と同様の構成については説明を省略する。
【0064】
第2実施例のレギュレータ装置100のメモリ142におけるレジスタの構成を説明する。図9は、レジスタの構成の一例を示す図である。図10は、出力電流レジスタの構成の一例を示す図である。図11は、選択/測定レギュレータのレジスタの構成の一例を示す図である。図12は、選択効率/測定効率のレジスタの構成の一例を示す図である。
【0065】
図9に示すように、メモリ142におけるレジスタは、D0〜D23の24ビット構成にすることもできる。例えば、レジスタD0〜D5はレギュレータの電力変換効率を格納する測定効率レジスタとし、レジスタD6,D7は電力変換効率の測定を行うレギュレータを設定する測定レギュレータレジスタとすることができる。また、レジスタD8〜D13は負荷300へ出力を行っているレギュレータの電力変換効率を格納する選択効率レジスタとし、レジスタD14,D15は負荷300へ出力を行っているレギュレータを設定する選択レギュレータレジスタとすることができる。また、レジスタD16〜D19は出力電流を設定するレジスタとし、レジスタD20〜D23は未使用とすることができる。
【0066】
例えば、図10に示すように、出力電流レジスタは、D16〜D19の4ビットで構成され、例えば出力電流を0(A)から15(A)まで1(A)ごとに設定することができる。また、出力電流を1(A)ごとに設定することに限らず、例えば0(A)から5(A)ごとに75(A)まで設定することもできる。
【0067】
また、図11に示すように、選択/測定レギュレータのレジスタは、D14/D6,D15/D7の2ビットで構成される。例えばレジスタD6,D7が共に「0」に設定された場合は、レギュレータNo「1」のレギュレータが測定レギュレータとして設定される。また、レジスタD14,D15が共に「0」に設定された場合は、レギュレータNo「1」のレギュレータが選択レギュレータとして設定される。
【0068】
また、図12に示すように、選択効率/測定効率のレジスタは、レジスタD8/D0〜D13/D5の6ビットで構成され、例えば最大効率(最大電力変換効率)を100%として1%ごとに37%まで設定することができる。また、電力変換効率を1%ごとに設定することに限らず、例えば最大効率を100%として1.5%ごとに5.5%まで設定することもできる。
【0069】
例えば、図10に示した出力電流レジスタのレジスタD16が「1」に設定され、レジスタD17〜D19が「0」に設定されている場合は、出力電流は1(A)となる。この場合、図11,図12に示したレジスタD0〜D15には、出力電流が1(A)の場合における測定レギュレータの電力変換効率及び選択レギュレータの電力変換効率などが格納される。よって、レジスタD0〜D15は、16通りの出力電流値(0(A)〜15(A))に応じて16通り設けられることになる。
【0070】
次に、第2実施例における制御部146によるレギュレータの選択処理の詳細について説明する。図13は、レギュレータの選択処理のフローチャートである。図13の例は、4つのレギュレータがある場合のレギュレータの選択処理を示すものである。
【0071】
図13に示すように、制御部146は、まず、出力電流値ごとにレギュレータの選択処理を行うために、出力電流のパラメータiを「0」に初期化する(ステップS201)。続いて、制御部146は、出力電流(i)における選択レギュレータ(rc)の選択効率(電力変換効率:ec)を読み出す(ステップS202)。次に、制御部146は、選択レギュレータとの比較対象となる比較レギュレータ用のパラメータrを「1」に初期化する(ステップS203)。
【0072】
続いて、制御部146は、比較レギュレータをrに設定する(ステップS204)。続いて、制御部146は、比較レギュレータ(r)の出力電流(i)における効率(電力変換効率:er)を読み出す(ステップS205)。そして、制御部146は、電力変換効率(er)が電力変換効率(ec)より大きいか否かを判定する(ステップS206)。
【0073】
制御部146は、電力変換効率(er)が電力変換効率(ec)より大きいと判定したら(ステップS206、Yes)、選択レギュレータと選択効率をrに変更する(ステップS207)。つまり、選択レギュレータの電力変換効率より比較レギュレータの電力変換効率のほうが高い場合は、比較レギュレータを選択レギュレータとし、比較レギュレータの電力変換効率を選択レギュレータの電力変換効率にする。
【0074】
制御部146は、ステップS207の後、又は電力変換効率(er)が電力変換効率(ec)より大きくないと判定したら(ステップS206、No)、パラメータrをインクリメントする(ステップS208)。続いて、制御部146は、パラメータrの値がmax値である4より大きいか否かを判定する(ステップS209)。
【0075】
制御部146は、パラメータrの値がmax値である4より大きくないと判定したら(ステップS209、No)、ステップS204へ戻り、ステップS204〜ステップS208の処理を繰り返す。
【0076】
一方、制御部146は、パラメータrの値がmax値である4より大きいと判定したら(ステップS209、Yes)、その時点で選択されている選択レギュレータと選択効率をレジスタに格納する(ステップS210)。つまり、制御部146は、4つのレギュレータのうち、出力電流(i)において最も電力変換効率が高いレギュレータとそのレギュレータの電力変換効率をレジスタに格納する。
【0077】
続いて、制御部146は、パラメータiをインクリメントする(ステップS211)。制御部146は、パラメータiがmax値である15より大きいか否かを判定する(ステップS212)。制御部146は、パラメータiがmax値である15より大きいと判定したら(ステップS212、Yes)、処理を終了する。一方、制御部146は、パラメータiがmax値である15より大きくないと判定したら(ステップS212、No)、ステップS202へ戻って、ステップS202〜ステップS211の処理を繰り返す。つまり、制御部146は、出力電流が0(A)〜15(A)の場合について、1(A)ごとに電力変換効率が最も高いレギュレータとそのレギュレータの電力変換効率をレジスタに格納することになる。
【実施例3】
【0078】
次に、実施例3のレギュレータ装置100について説明する。実施例3のレギュレータ装置100は、メモリ142におけるレジスタの構成及びレジスタの構成に関連する処理が異なる以外は、実施例1のレギュレータ装置と同様である。そこで、実施例1と異なる部分のみを説明して、その他の実施例1と同様の構成については説明を省略する。
【0079】
第3実施例のレギュレータ装置100のメモリ142におけるレジスタの構成を説明する。図14は、レジスタの構成の一例を示す図である。図15は、温度レジスタの構成の一例を示す図である。
【0080】
図14に示すように、メモリ142におけるレジスタは、D0〜D23の24ビット構成にすることができる。レジスタD0〜D19は、図9で説明したレジスタの構成例と同様であるので、説明を省略する。レジスタD20〜D23は、レギュレータの温度を格納する温度レジスタとすることができる。
【0081】
例えば、図15に示すように、温度レジスタは、D20〜D23の4ビットで構成され、例えばレギュレータの温度を10(℃)から85(℃)まで5(℃)ごとに設定することができる。また、温度を5(℃)ごとに設定することに限らず、例えば10(℃)から10(℃)ごとに160(℃)まで設定することもできる。
【0082】
例えば、図14に示した出力電流レジスタのレジスタD16が「1」に設定され、レジスタD17〜D19が「0」に設定されている場合は、出力電流は1(A)となる。また、図15に示した温度レジスタのレジスタD20が「1」に設定され、レジスタD21〜D23が「0」に設定されている場合は、レギュレータの温度は15(℃)となる。この場合、図14に示したレジスタD0〜D15には、出力電流が1(A)、かつ、レギュレータの温度が15(℃)の場合における測定レギュレータの電力変換効率及び選択レギュレータの電力変換効率などが格納される。よって、レジスタD0〜D15は、16通りの出力電流値(0(A)〜15(A))及び16通りのレギュレータの温度(10(℃)〜85(℃))に応じて256通り設けられることになる。
【0083】
この場合、制御部146は、第1の電力出力端子104から出力される電流値と、レギュレータ110A,110B,110Cの温度と、メモリ142に格納されたレジスタの情報(変換効率特性情報)とに基づいて、負荷300へ出力を行うレギュレータを選択する。つまり、一般的にレギュレータは温度で電力変換効率が変化するため、制御部146は、負荷300への出力電流値及びレギュレータの温度において、最も電力変換効率が高いレギュレータを負荷300への出力用レギュレータとして選択する。
【実施例4】
【0084】
次に、実施例4のレギュレータ装置100について説明する。実施例4のレギュレータ装置100は、メモリ142におけるレジスタの構成及びレジスタの構成に関連する処理が異なる以外は、実施例1のレギュレータ装置と同様である。そこで、実施例1と異なる部分のみを説明して、その他の実施例1と同様の構成については説明を省略する。
【0085】
第4実施例のレギュレータ装置100のメモリ142におけるレジスタの構成を説明する。図16は、レジスタの構成の一例を示す図である。図17は、平均動作温度レジスタの構成の一例を示す図である。
【0086】
図16に示すように、メモリ142におけるレジスタは、D24〜D39の16ビット構成にすることができる。レジスタD24〜D31は、レギュレータの稼動時間を示す稼動時間レジスタとすることができる。また、レジスタD32〜D35はレギュレータの平均動作温度を示す平均動作温度レジスタとすることができる。また、D36〜D39は未使用とすることができる。
【0087】
例えば、稼動時間レジスタは、レジスタD24〜D31の8ビットで構成され、レギュレータの稼動時間を256通りに設定することができる。また、図17に示すように、平均温度レジスタは、D32〜D35の4ビットで構成され、例えばレギュレータの平均動作温度を10(℃)から85(℃)まで5(℃)ごとに設定することができる。また、温度を5(℃)ごとに設定することに限らず、例えば10(℃)から10(℃)ごとに160(℃)まで設定することもできる。
【0088】
次に、第4実施例における制御部146のレギュレータの平均動作温度の測定処理について説明する。図18は、平均動作温度の測定処理のフローチャートである。図19は、温度測定インターバルの変更例を示す図である。
【0089】
図18に示すように、制御部146は、まず、タイマーを開始する(ステップS301)。続いて、制御部146は、タイマーを開始してから、温度測定を行う間隔であるn時間が経過したか否かを判定する(ステップS302)。
【0090】
制御部146は、タイマーを開始してからn時間が経過していないと判定したら(ステップS302、No)、ステップS302へ戻る。一方、制御部146は、タイマーを開始してからn時間が経過したと判定したら(ステップS302、Yes)、レギュレータの温度を測定する(ステップS303)。続いて、制御部146は、メモリ142の平均温度レジスタから平均動作温度を読み出す(ステップS304)。続いて、制御部146は、メモリ142の稼働時間レジスタからレギュレータの稼動時間を読み出す(ステップS305)。
【0091】
続いて、制御部146は、以下の式により平均動作温度に関するパラメータtを求める(ステップS306)。t=(測定温度×(現時間−稼動時間))+(平均動作温度×稼動時間)/現時間
【0092】
ただし、現時間=稼働時間+nである。続いて、制御部146は、ステップS306で求められた平均動作温度(t)と、現在のレギュレータの稼動時間(h)とをレジスタに格納する(ステップS307)。続いて、制御部146は、ステップS306で求められた平均動作温度(t)が、あらかじめ設定された所定の温度(x)を超えているか否かを判定する(ステップS308)。
【0093】
制御部146は、ステップS306で求められた平均動作温度(t)が、あらかじめ設定された所定の温度(x)を超えていると判定したら(ステップS308、Yes)、温度測定を行う間隔であるnを1/2に設定して(ステップS309)、処理を終了する。つまり、温度測定を行う間隔を短くする。なお、ここでは、温度測定を行う間隔であるnを1/2に設定する例を示したが、これに限らず、例えば1/3など温度測定を行う間隔を短くするものであればよい。
【0094】
一方、制御部は、ステップS306で求められた平均動作温度(t)が、あらかじめ設定された所定の温度(x)を超えていないと判定したら(ステップS308、No)、処理を終了する。
【0095】
図19は、温度測定インターバルの変更例を示す図であり、横軸は時間経過を示し、縦軸はレギュレータの平均動作温度を示す。図19において、グラフ210はレギュレータの平均動作温度の推移を示すグラフであり、温度211はあらかじめ設定された所定の温度である。また、図19において、ライン212は、レギュレータの温度測定が行われるタイミングを表している。図19に示すように、レギュレータの平均動作温度の推移を示すグラフ210が、あらかじめ設定された所定の温度211より大きくなったら、制御部146は、温度測定を行う間隔(ライン212とライン212との間の間隔)を短くする。
【実施例5】
【0096】
次に、実施例5のレギュレータ装置100について説明する。実施例5のレギュレータ装置100は、ホストコントロール部200から受信したレギュレータの切り替え信号に基づいてレギュレータの切り替え処理を行う点以外は、実施例1のレギュレータ装置と同様である。そこで、実施例1と異なる部分のみを説明して、その他の実施例1と同様の構成については説明を省略する。
【0097】
第5実施例のレギュレータ装置100における、ホストコントロール部200からレギュレータの切り替え信号を受信した際のレギュレータの切り替え判定処理について説明する。図20は、レギュレータの切り替え判定処理のフローチャートである。
【0098】
制御部146は、まず、ホストコントロール部200から送信された切り替え信号(s)を受信する(ステップS401)。続いて、制御部146は、電流計156で計測された現在の出力電流値(i)を読み出す(ステップS402)。
【0099】
続いて、制御部146は、選択効率レジスタから出力電流値(i)における電力変換効率(ic)を読み出す(ステップS403)。続いて、制御部146は、切り替え信号(s)で指定されたレギュレータ(r)の出力電流値(i)における電力変換効率(ie)を読み出す(ステップS404)。
【0100】
制御部146は、電力変換効率(ie)が電力変換効率(ic)より大きいか否かを判定する(ステップS405)。制御部146は、電力変換効率(ie)が電力変換効率(ic)より大きいと判定したら(ステップS405、Yes)、負荷300へ出力を行うレギュレータを、切り替え信号(s)で指定されたレギュレータ(r)に切り替えて(ステップS406)、処理を終了する。一方、制御部146は、電力変換効率(ie)が電力変換効率(ic)より大きくない判定したら(ステップS405、No)、レギュレータの切り替えを行わずそのまま処理を終了する。
【0101】
つまり、制御部146は、切り替え信号(s)を受信したら、現在の負荷電流における、負荷300への出力を行っているレギュレータの電力変換効率と切り替え信号(s)で指定されたレギュレータの電力変換効率を比較する。そして、制御部146は、切り替え信号(s)で指定されたレギュレータの電力変換効率のほうが高い場合には、負荷300へ出力を行うレギュレータを、切り替え信号(s)で指定されたレギュレータへ切り替える。
【0102】
なお、負荷300への出力を行っているレギュレータの電力変換効率と切り替え信号(s)で指定されたレギュレータの電力変換効率を比較する例を示したが、これには限られない。例えば、制御部146は、切り替え信号(s)を受信したら、負荷300へ出力を行うレギュレータを、強制的に切り替え信号(s)で指定されたレギュレータへ切り替えることもできる。
【実施例6】
【0103】
次に、実施例6のレギュレータ装置100について説明する。実施例6のレギュレータ装置100は、メモリ142におけるレジスタの構成及びレジスタの構成に関連する処理が異なる以外は、実施例1のレギュレータ装置と同様である。そこで、実施例1と異なる部分のみを説明して、その他の実施例1と同様の構成については説明を省略する。
【0104】
第6実施例のレギュレータ装置100のメモリ142におけるレジスタの構成を説明する。図21は、レジスタの構成の一例を示す図である。図22は、ワーニングレジスタの構成の一例を示す図である。
【0105】
図21に示すように、メモリ142におけるレジスタは、D0〜D7の8ビット構成にすることもできる。例えば、レジスタD0〜D3は未使用とすることができる。また、レジスタD4〜D7は電力変換効率があらかじめ設定された下限値よりも小さい異常レギュレータを設定するワーニングレジスタとすることができる。
【0106】
例えば、図22に示すように、ワーニングレジスタは、D4〜D7の4ビットで構成され、例えば4つのレギュレータのうち、どのレギュレータが異常レギュレータであるか(どのレギュレータの電力変換効率が下限値より小さくなっているか)を設定することができる。例えば、レジスタD4〜D7がいずれも「0」に設定されている場合は、異常レギュレータは無いことになる。また、例えば、レジスタD4が「1」に設定され、レジスタD5〜D7が「0」に設定されている場合は、レギュレータNoが「1」のレギュレータが異常レギュレータであることがわかる。
【0107】
次に、レギュレータの電力変換効率を監視してワーニングレジスタを設定する処理の内容について説明する。図23は、効率監視処理のフローチャートである。
【0108】
図23に示すように、制御部146は、まず、下限効率(el)を例えば60%に設定する(ステップS501)。続いて、制御部146は、測定効率レジスタからレギュレータの電力変換効率(er)を読み出す(ステップS502)。続いて、制御部146は、電力変換効率(er)が下限効率(el)より小さいか否かを判定する(ステップS503)。
【0109】
制御部146は、電力変換効率(er)が下限効率(el)より小さいと判定した場合(ステップS503、Yes)、測定レギュレータ(r)を読み出す(ステップS504)。例えば、制御部146は、測定レギュレータ(r)として、レギュレータNoが「2」のレギュレータを読み出したとする。
【0110】
制御部146は、読み出した測定レギュレータ(r)に基づいてワーニングレジスタを設定して(ステップS505)、処理を終了する。例えば、レギュレータNoが「2」のレギュレータが読み出された場合には、制御部146は、レジスタD5を「1」に設定する。つまり、電力変換効率(er)が下限効率(el)より小さいレギュレータは、経年劣化等により電力変換効率が悪化した異常レギュレータと見なされ、その旨がワーニングレジスタに登録される。
【0111】
一方、制御部146は、電力変換効率(er)が下限効率(el)より小さくないと判定した場合(ステップS503、No)、異常レギュレータではないと見なして、処理を終了する。
【0112】
次に、ワーニングレジスタに基づいて異常レギュレータであるか否かの判定を行う処理について説明する。図24は、異常レギュレータ判定処理のフローチャートである。
【0113】
図24に示すように、制御部146は、ワーニングレジスタを検索するためのパラメータjを4に初期化する(ステップS601)。続いて、制御部146は、ワーニングレジスタD(j)を読み出す(ステップS602)。
【0114】
続いて、制御部146は、D(j)が「1」であるか否かを判定する(ステップS603)。制御部146は、D(j)が「1」であると判定したら(ステップS603、Yes)、再測定フローを実行する(ステップS604)。再測定フローについては図25を用いて後述する。
【0115】
制御部146は、ステップS604の後、又はD(j)が「1」ではないと判定したら(ステップS603、No)、パラメータiをインクリメントする(ステップS605)。続いて、制御部146は、パラメータjが7より大きいか否かを判定する(ステップS606)。
【0116】
制御部146は、パラメータjが7より大きいと判定したら(ステップS606、Yes)、処理を終了する。一方、制御部146は、パラメータjが7より大きくない判定したら(ステップS606、No)、ステップS602へ戻って、ステップS602〜ステップS605の処理を繰り返す。
【0117】
次に、レギュレータの再測定処理の内容について説明する。図25は、レギュレータの再測定処理のフローチャートである。
【0118】
図25に示すように、制御部146は、まず、出力電流値ごとにレギュレータの再測定処理を行うために、出力電流のパラメータiを「0」に初期化する(ステップS701)。続いて、制御部146は、出力電流(i)における選択レギュレータ(rc)の選択効率(電力変換効率:ec)を読み出す(ステップS702)。次に、制御部146は、選択レギュレータとの比較対象となる比較レギュレータ用のパラメータrを「1」に初期化する(ステップS703)。
【0119】
続いて、制御部146は、比較レギュレータをrに設定する(ステップS704)。続いて、制御部146は、比較レギュレータrのワーニングレジスタ(wr)を読み出す(ステップS705)。続いて、制御部146は、ワーニングレジスタ(wr)の値が「0」であるか否かを判定する(ステップS706)。
【0120】
制御部146は、ワーニングレジスタ(wr)の値が「0」であると判定した場合は(ステップS706、Yes)、比較レギュレータ(r)の出力電流(i)における効率(電力変換効率:er)を読み出す(ステップS707)。そして、制御部146は、電力変換効率(er)が電力変換効率(ec)より大きいか否かを判定する(ステップS708)。
【0121】
制御部146は、電力変換効率(er)が電力変換効率(ec)より大きいと判定したら(ステップS708、Yes)、選択レギュレータと選択効率をrに変更する(ステップS709)。つまり、選択レギュレータの電力変換効率より比較レギュレータの電力変換効率のほうが高い場合は、比較レギュレータを選択レギュレータとし、比較レギュレータの電力変換効率を選択レギュレータの電力変換効率にする。
【0122】
制御部146は、ステップS709の後、ワーニングレジスタ(wr)の値が「0」ではないと判定した場合(ステップS706、No)、又は電力変換効率(er)が電力変換効率(ec)より大きくないと判定したら(ステップS708、No)、パラメータrをインクリメントする(ステップS710)。続いて、制御部146は、パラメータrの値がmax値である4より大きいか否かを判定する(ステップS711)。
【0123】
制御部146は、パラメータrの値がmax値である4より大きくないと判定したら(ステップS711、No)、ステップS704へ戻り、ステップS704〜ステップS710の処理を繰り返す。
【0124】
一方、制御部146は、パラメータrの値がmax値である4より大きいと判定したら(ステップS711、Yes)、その時点で選択されている選択レギュレータと選択効率をレジスタに格納する(ステップS712)。つまり、制御部146は、4つのレギュレータのうち、出力電流(i)において最も電力変換効率が高いレギュレータとそのレギュレータの電力変換効率をレジスタに格納する。
【0125】
続いて、制御部146は、パラメータiをインクリメントする(ステップS713)。制御部146は、パラメータiがmax値である15より大きいか否かを判定する(ステップS714)。制御部146は、パラメータiがmax値である15より大きいと判定したら(ステップS714、Yes)、処理を終了する。一方、制御部146は、パラメータiがmax値である15より大きくないと判定したら(ステップS714、No)、ステップS702へ戻って、ステップS702〜ステップS713の処理を繰り返す。
【実施例7】
【0126】
次に、実施例7のレギュレータ装置100について説明する。実施例7のレギュレータ装置100は、メモリ142におけるレジスタの構成及びレジスタの構成に関連する処理が異なる以外は、実施例1のレギュレータ装置と同様である。そこで、実施例1と異なる部分のみを説明して、その他の実施例1と同様の構成については説明を省略する。
【0127】
第7実施例のレギュレータ装置100のメモリ142におけるレジスタの構成を説明する。図26は、レジスタの構成の一例を示す図である。図27は、BUSYレジスタの構成の一例を示す図である。
【0128】
図26に示すように、メモリ142におけるレジスタは、D0〜D7の8ビット構成にすることもできる。例えば、レジスタD0〜D3は電力変換効率を測定中のレギュレータを設定するBUSYレジスタとすることができる。また、レジスタD4〜D7は未使用とすることができる。
【0129】
例えば、図27に示すように、BUSYレジスタは、D0〜D3の4ビットで構成され、例えば4つのレギュレータのうち、どのレギュレータがBUSYレギュレータであるか(どのレギュレータの電力変換効率を測定中であるか)を設定することができる。例えば、レジスタD0〜D3がいずれも「0」に設定されている場合は、BUSYレギュレータは無いことになる。また、例えば、レジスタD0が「1」に設定され、レジスタD1〜D3が「0」に設定されている場合は、レギュレータNoが「1」のレギュレータがBUSYレギュレータであることがわかる。
【0130】
次に、BUSYレジスタを設定する処理の説明を行う。図28は、BUSY判定処理のフローチャートである。図28に示すように、制御部146は、まず、4つのレギュレータについてBUSY判定処理を行うためのパラメータkを「1」に初期化する(ステップS801)。
【0131】
続いて、制御部146は、レギュレータ(k)のBUSYレジスタ(rb)を読み出す(ステップS802)。続いて、制御部146は、読み出したBUSYレジスタ(rb)の値が「1」であるか否かを判定する(ステップS803)。
【0132】
制御部146は、BUSYレジスタ(rb)の値が「1」であると判定したら(ステップS803、Yes)、コントローラIC140におけるBUSYレジスタを設定する(ステップS804)。例えば、レギュレータNoが「1」のレギュレータについてBUSYレジスタ(rb)の値が「1」であると判定した場合は、コントローラIC140におけるBUSYレジスタのD1を「1」に設定する。
【0133】
制御部146は、ステップS804の後、又はBUSYレジスタ(rb)の値が「1」ではないと判定したら(ステップS803、No)、パラメータkをインクリメントする(ステップS805)。続いて、制御部146は、パラメータkの値がmax値である4より大きいか否かを判定する(ステップS806)。
【0134】
制御部146は、パラメータkの値がmax値である4より大きいと判定したら(ステップS806、Yes)、処理を終了する。一方、制御部146は、パラメータkの値がmax値である4より大きくないと判定したら(ステップS806、No)、ステップS802へ戻って、ステップS802〜ステップS805の処理を繰り返す。この処理により、コントローラIC140は、接続するレギュレータのBUSY情報を保持することができる。
【0135】
次に、レギュレータを停止するか否かの判定処理の説明を行う。図29は、レギュレータ停止判定処理のフローチャートである。図29は、制御部146が、レギュレータNoが「1」のレギュレータから、レギュレータNoが「2」のレギュレータへ切り替え指示を行った場合の例を示す。
【0136】
図29に示すように、まず、制御部は、レギュレータの切り替え指示を行う(ステップS901)。続いて、制御部146は、BUSYレジスタD(1)を読み出す(ステップS902)。続いて、制御部146は、BUSYレジスタD(1)の値が「0」であるか否かを判定する(ステップS903)。
【0137】
制御部146は、BUSYレジスタD(1)の値が「0」であると判定したら(ステップS903、Yes)、レギュレータNoが「1」のレギュレータから、レギュレータNoが「2」のレギュレータへの切り替えを実行する(ステップS904)。
【0138】
一方、制御部146は、BUSYレジスタD(1)の値が「0」ではないと判定したら(ステップS903、No)、レギュレータNoが「2」のレギュレータがBUSY、つまり電力変換効率の測定中であるので、そのまま処理を終了する。
【実施例8】
【0139】
次に、実施例8のレギュレータ装置100について説明する。実施例8のレギュレータ装置100は、内部クロックカウンタを用いたレギュレータの切り替え処理を行う以外は、実施例1のレギュレータ装置と同様である。そこで、実施例1と異なる部分のみを説明して、その他の実施例1と同様の構成については説明を省略する。
【0140】
第8実施例のレギュレータ装置100のレギュレータ切り替え処理について説明する。図30は、内部クロックカウンタを用いた切り替え処理のフローチャートである。
【0141】
図30に示すように、まず、制御部146は、レギュレータ110A,110B,110Cの電力変換効率の特性を測定する(ステップS1001)。すなわち、制御部146は、レギュレータ110A,110B,110Cのうち、負荷300へ流れる出力電流に対する電力変換効率が最も高いレギュレータを負荷300への出力用のレギュレータとして選択する。例えばレギュレータ110Aが出力用のレギュレータとして選択されたとしる。この場合、制御部146は、出力用のレギュレータ(レギュレータ110A)以外のレギュレータ(レギュレータ110B,110C)の中から擬似負荷400を用いて電力変換効率の特性を測定するレギュレータを選択する。例えば、レギュレータ110Bが測定用のレギュレータとして選択されたとする。
【0142】
制御部146は、擬似負荷400のインピーダンスを可変させてレギュレータ110Bから出力される電流を変化させながら、電力変換効率の特性を測定して、レギュレータ110Bのメモリ113に変換効率特性情報を格納する。そして、制御部146は、メモリ113に格納された変換効率特性情報を読み出してメモリ142に格納する。
【0143】
例えばレギュレータ110Bの電力変換効率の特性の測定が終わったら、レギュレータ110Cも同様に電力変換効率の特性の測定を行う。
【0144】
その後、出力用のレギュレータがレギュレータ110B又は110Cに切り替えられたら、レギュレータ110Aを測定用のレギュレータとして選択して、レギュレータ110Aも同様に電力変換効率の特性の測定を行う。このようにして、制御部146は、レギュレータ110A,110B,110Cの電力変換効率の特性を測定する。
【0145】
続いて、制御部146は、レギュレータ110A,110B,110Cの電力変換効率の特性をマッピングする(ステップS1002)。続いて、制御部146は、現在の出力電流値(i)、つまり電流計156で検出された電流値(i)を認識する(ステップS1003)。
【0146】
続いて、制御部146は、現在稼動中のレギュレータから出力電流(i)に対応する電力変換効率(ic)を読み出す(ステップS1004)。制御部146は、比較対象となるレギュレータ(r)から出力電流値(i)に対応する電力変換効率(ie)を読み出す(ステップS1005)。
【0147】
制御部146は、電力変換効率(ie)が電力変換効率(ic)より大きいか否かを判定する(ステップS1006)。制御部146は、電力変換効率(ie)が電力変換効率(ic)より大きくないと判定したら(ステップS1006、No)、ステップS1003へ戻って、ステップS1003〜ステップS1005の処理を繰り返す。
【0148】
一方、制御部146は、電力変換効率(ie)が電力変換効率(ic)より大きいと判定したら(ステップS1006、Yes)、内部CLK(CLOCK:クロック)からの信号のカウントを開始する(ステップS1007)。
【0149】
続いて、制御部146は、カウント数があらかじめ設定された所定の回数を超えたか否かを判定する(ステップS1008)。制御部146は、カウント数があらかじめ設定された所定の回数を超えていないと判定したら(ステップS1008、No)、ステップS1003へ戻って、ステップS1003〜ステップS1007の処理を繰り返す。
【0150】
一方、制御部146は、カウント数があらかじめ設定された所定の回数を超えたと判定したら(ステップS1008、Yes)、再測定フローを実行する(ステップS1009)。この再測定フローは、図25で説明したものと同様であるので、説明を省略する。
【0151】
続いて、制御部146は、レギュレータ(r)の再測定を行った後の出力電流値(i)に対応する電力変換効率(ie´)を読み出す(ステップS1010)。続いて、制御部146は、電力変換効率(ie)が電力変換効率(ie´)より大きいか否かを判定する(ステップS1011)。
【0152】
制御部146は、電力変換効率(ie)が電力変換効率(ie´)より大きいと判定したら(ステップS1011、Yes)、出力用のレギュレータをレギュレータ(r)に切り替える(ステップS1012)。一方、制御部146は、電力変換効率(ie)が電力変換効率(ie´)より大きくないと判定したら(ステップS1011、No)、そのまま処理を終了する。
【0153】
このように、制御部146は、現在稼働中のレギュレータの電力変換効率より比較対象のレギュレータの電力変換効率のほうが高い場合に、すぐに切り替えを行うのではなく、内部クロックのクロック数が所定の閾値を超えた場合にのみ切り替えを行う。したがって、例えば突入電流などによる突発的な電流/電圧の変化に追従してレギュレータが切り換わることを抑制することができる。
【実施例9】
【0154】
次に、実施例9のレギュレータ装置100について説明する。実施例9のレギュレータ装置100は、PM−Busのコマンドを用いた処理を行う点が異なる以外は、実施例1のレギュレータ装置と同様である。そこで、実施例1と異なる部分のみを説明して、その他の実施例1と同様の構成については説明を省略する。
【0155】
第9実施例のレギュレータ装置100のPM−Busのコマンドを用いた処理を説明する。図31は、PM−Busのコマンドの一例を示す図である。図31に示すように、コントローラIC140は、例えばコマンドコードが「ACh」、コマンド名が「EFFICIENCY_Measurement」であるコマンドを用いることにより、レギュレータの電力変換効率の測定を指示することができる。
【0156】
また、コントローラIC140は、図31に示すように、コマンドコードが「ADh」、コマンド名が「READ_EFFICIENCY」であるコマンドを用いることにより、レギュレータの電力変換効率の読み出しを指示することができる。
【0157】
図32は、PM−Busのコマンドを用いた効率読み出し処理のフローチャートである。図32に示すように、制御部146は、コントローラIC140から電力変換効率の再測定コマンド(ACh)を各レギュレータへ出力する(ステップS1101)。
【0158】
続いて、各レギュレータは、コントローラIC140から出力された再測定コマンド(ACh)を受信したら、再測定コマンド(ACh)にしたがって電力変換効率の再測定を行う(ステップS1102)。
【0159】
続いて、制御部146は、コントローラIC140から電力変換効率の読み出しコマンド(ADh)を各レギュレータへ出力する(ステップS1103)。制御部146は、読み出しコマンド(ADh)を出力した後、各レギュレータから、電力変換効率を読み出して(ステップS1104)、処理を終了する。
【0160】
このように、制御部146は、コントローラIC140と各レギュレータを接続するPM−Busインターフェースのコマンドを用いて、電力変換効率の測定及び読み出しを制御することができる。
【0161】
また、制御部146が用いるPM−Busのコマンドは、再測定コマンド(ACh)及び読み出しコマンド(ADh)には限られない。図33は、PM−Busのコマンドの一例を示す図である。図34は、PM−Busのコマンドの一例を示す図である。
【0162】
制御部146は、図33に示すように、コマンドコードが「8Ch」、コマンド名が「READ_IOUT」であるコマンドを用いることにより、レギュレータの出力電流の読み出しを指示することができる。また、制御部146は、図33に示すように、コマンドコードが「89h」、コマンド名が「READ_IIN」であるコマンドを用いることにより、レギュレータの入力電流の読み出しを指示することができる。
【0163】
また、制御部146は、図34に示すように、コマンドコードが「96h」、コマンド名が「READ_POUT」であるコマンドを用いることにより、レギュレータの出力電圧の読み出しを指示することができる。また、制御部146は、図34に示すように、コマンドコードが「97h」、コマンド名が「READ_PIN」であるコマンドを用いることにより、レギュレータの入力電圧の読み出しを指示することができる。
【0164】
そして、制御部146は、レギュレータの入出力電流及び入出力電圧を読み出し、読み出した入出力電流及び入出力電圧を用いて、レギュレータの電力変換効率を算出することができる。
【0165】
以上、上述の各実施例のレギュレータ装置は、複数のレギュレータの中から出力電流値に対して電力変換効率が最も高いレギュレータを機器の負荷出力用のレギュレータとして選択する。したがって、低負荷電流時から高負荷電流時まで常に高効率でのレギュレータ動作を実現することができる。このため、レギュレータ装置が搭載される機器の信頼性を向上させることができるし、レギュレータ装置は常に高効率で稼動するため、熱損失を抑えることができる。
【0166】
また、上述の各実施例のレギュレータ装置は、複数のレギュレータの電力変換効率の測定用の擬似負荷回路を設け、あるレギュレータから機器の負荷に出力を行いながら、擬似負荷回路を用いて他のレギュレータの電力変換効率の特性の測定を行うことができる。したがって、レギュレータが電力を供給する機器の動作とレギュレータの電力変換効率の特性の測定とを両立することができる。言い換えると、レギュレータ装置が搭載される機器が動作中であっても、複数のレギュレータの電力変換効率の特性をオンタイムで測定して更新することができる。また、各レギュレータの経年変化(経年劣化)した電力変換効率の特性を定期的に取り込むことができるので、経年変化に応じた最適なレギュレータを選択することができる。
【符号の説明】
【0167】
100 レギュレータ装置
102 電力入力端子
104 第1の電力出力端子
106 第2の電力出力端子
110,110A,110B,110C レギュレータ
111,111A,111B,111C 入力部
112,112A,112B,112C 第1の出力部
113 メモリ
114,114A,114B,114C 第2の出力部
115 インターフェース部
116 効率測定部
136 切り替え部
142 メモリ
144 インターフェース部
146 制御部
156,166 電流計
200 ホストコントロール部
202 インターフェース部
300 負荷
400 擬似負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力入力端子と電力出力端子との間に並列に設けられ、前記電力入力端子から入力された電力を変換して前記電力出力端子へ出力する複数のレギュレータと、
前記複数のレギュレータそれぞれの前記電力出力端子への電力出力系統とは異なる電力出力系統に接続された擬似負荷回路と、
前記複数のレギュレータの中から前記電力出力端子へ出力を行うレギュレータと、前記擬似負荷回路へ出力を行うレギュレータとを選択する制御部と、
前記擬似負荷回路へ出力を行うレギュレータについて、前記擬似負荷回路に流れる電流に対する電力変換効率の特性を表す変換効率特性情報を取得する取得部と、
を備えることを特徴とするレギュレータ装置。
【請求項2】
前記取得部によって取得された変換効率特性情報が格納される記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記電力出力端子から出力される電流値と前記記憶部に格納された変換効率特性情報とに基づいて、前記複数のレギュレータの中から前記電力出力端子へ出力を行うレギュレータを選択し、該選択されたレギュレータ以外のレギュレータの中から前記擬似負荷回路へ出力を行うレギュレータを選択する
ことを特徴とする請求項1に記載のレギュレータ装置。
【請求項3】
前記複数のレギュレータはそれぞれ、前記擬似負荷回路への出力電流に対する電力変換効率の特性を測定する変換効率測定部を含み、
前記取得部は、前記変換効率測定部によって測定された電力変換効率の特性を前記変換効率特性情報として取得して、前記記憶部に格納する
ことを特徴とする請求項2に記載のレギュレータ装置。
【請求項4】
前記複数のレギュレータはそれぞれ、前記電力出力端子に接続される第1の出力部と、前記擬似負荷回路に接続される第2の出力部と、前記第1の出力部及び前記第2の出力部からの出力のオンオフを切り替える切り替え回路とを含み、
前記制御部は、前記複数のレギュレータについて、前記切り替え回路を制御することにより、前記複数のレギュレータの中から前記電力出力端子へ出力を行うレギュレータと、前記擬似負荷回路へ出力を行うレギュレータとを選択する
ことを特徴とする請求項1に記載のレギュレータ装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記レギュレータ装置の起動時には、前記電力出力端子へ出力を行うレギュレータとして、前記複数のレギュレータの中からあらかじめ起動時用に設定されたレギュレータを選択する
ことを特徴とする請求項1に記載のレギュレータ装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記複数のレギュレータについて、レギュレータの温度に対する前記変換効率特性情報が格納され、
前記制御部は、前記電力出力端子から出力される電流値と、前記複数のレギュレータの温度と、前記記憶部に格納された変換効率特性情報とに基づいて、前記複数のレギュレータの中から前記電力出力端子へ出力を行うレギュレータを選択する
ことを特徴とする請求項2に記載のレギュレータ装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数のレギュレータの平均温度があらかじめ設定された閾値より大きくなったら、前記複数のレギュレータの温度を測定する間隔を短くする
ことを特徴とする請求項6に記載のレギュレータ装置。
【請求項8】
前記記憶部に格納された変換効率特性情報を外部装置から読み出し可能なインターフェース部をさらに備える
ことを特徴とする請求項2に記載のレギュレータ装置。
【請求項9】
前記インターフェース部は、前記外部装置から出力され、前記複数のレギュレータの中から前記電力出力端子へ出力を行うレギュレータを選択するとともに、該選択されたレギュレータ以外のレギュレータの中から前記擬似負荷回路へ出力を行うレギュレータを選択する指示信号を受信し、
前記制御部は、前記インターフェース部によって受信された指示信号にしたがって、前記複数のレギュレータの中から前記電力出力端子へ出力を行うレギュレータを選択するとともに、該選択されたレギュレータ以外のレギュレータの中から前記擬似負荷回路へ出力を行うレギュレータを選択する
ことを特徴とする請求項8に記載のレギュレータ装置。
【請求項10】
前記インターフェース部は、前記外部装置から出力され、前記複数のレギュレータの中から前記電力出力端子へ出力を行うレギュレータを選択するとともに、該選択されたレギュレータ以外のレギュレータの中から前記擬似負荷回路へ出力を行うレギュレータを選択する指示信号を受信し、
前記制御部は、前記インターフェース部によって受信された指示信号、前記電力出力端子から出力される電流値、及び前記記憶部に格納された変換効率特性情報に基づいて、前記複数のレギュレータの中から前記電力出力端子へ出力を行うレギュレータを選択するとともに、該選択されたレギュレータ以外のレギュレータの中から前記擬似負荷回路へ出力を行うレギュレータを選択する
ことを特徴とする請求項8に記載のレギュレータ装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記複数のレギュレータのうち、前記擬似負荷回路への出力電流に対する電力変換効率があらかじめ設定された閾値より小さくなったレギュレータの動作を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載のレギュレータ装置。
【請求項12】
前記記憶部は、前記擬似負荷回路を用いて電力変換効率の特性を測定中であるレギュレータを特定するビジー情報を格納し、
前記制御部は、前記記憶部に格納されたビジー情報に基づいて、前記擬似負荷回路を用いて電力変換効率の特性を測定中であるレギュレータ以外のレギュレータの中から、前記電力出力端子へ出力を行うレギュレータを選択する
ことを特徴とする請求項2に記載のレギュレータ装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記電力出力端子に出力を行うレギュレータの電力変換効率より他のレギュレータの電力変換効率のほうが大きい状態が、内部クロックのあらかじめ設定されたカウント数より大きくなるまで継続した場合には、前記電力出力端子に出力を行うレギュレータとして、前記他のレギュレータを選択する
ことを特徴とする請求項2に記載のレギュレータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2013−90399(P2013−90399A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227415(P2011−227415)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】