説明

レジスト下層膜用芳香族環含有化合物およびこれを含むレジスト下層膜用組成物

【課題】スピン−オン塗布技法を利用して塗布可能であり、光学的特性、機械的特性、エッチング選択性に優れる芳香族環含有化合物を提供する。
【解決手段】式(5)に例示する芳香族環含有化合物。n〜nは、0または1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレジスト下層膜用芳香族環含有化合物およびレジスト下層膜用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクス産業およびマイクロスコピック構造物(例えば、マイクロマシン、磁気抵抗ヘッドなど)などの産業分野において、構造的形状の大きさを小さくすることが引き続き要求されている。また、マイクロエレクトロニクス産業において、マイクロエレクトロニクスデバイスの大きさを小さくし、与えられた大きさのチップにさらに多くの回路を提供しようとする要求が存在している。
【0003】
このような形状の大きさを小さくするためには、効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0004】
典型的なリソグラフィック技法は、まず、下層材料にレジストを塗布した後、放射線に露光してレジスト層を形成する。続いて、レジスト層を現像液で現像してパターン化されたレジスト層を形成し、レジスト層の開口部内にある物質をエッチングし、下層材料にパターンを転写する。転写が完了した後、残留するレジスト層を除去する。
【0005】
しかしながら、前記レジストは下層材料に所定のパターンを効果的に転写することができるほど、エッチング工程に対して十分な耐性を有さない場合があった。したがって、極めて薄い超薄膜レジスト層が必要な場合、エッチング処理しようとする基板が厚い場合、深いエッチングが要求される場合、所定の下層材料に対して特定のエッチング剤の使用が必要な場合などにはレジスト下層膜が用いられてきた。
【0006】
レジスト下層膜はレジスト層とパターニングしようとする基板間の中間層の役割を担い、パターン化されたレジスト層のパターンを下層材料に転写する役割を果たすため、パターンを転写するのに必要なエッチング工程に耐えうるものでなければならない。
【0007】
このようなレジスト下層膜を形成するために多くの材料が試されてきたが、依然としてレジスト下層膜用組成物を改善する要求がある。
【0008】
従来のレジスト下層膜を形成するための材料は基板に塗布し難く、例えば、化学的または物理的蒸着、特殊溶媒、および/または高温焼成を利用するが、これらは多額の費用を要するという問題がある。これにより、最近では高温焼成を行う必要なく、スピン−コーティング技法によって塗布することができるレジスト下層膜用組成物に関する研究が進められている。また、上部に形成されるレジスト層をマスクとして選択的に容易にエッチングできると同時に、特に下層材料が金属層である場合、下層膜層をマスクとして下層材料をパターン化するのに必要なエッチング工程に耐性があるレジスト下層膜用組成物に関する研究が進められている。
【0009】
さらに、適切な保存寿命を提供し、レジスト層との好ましくない相互作用(例えば、レジスト下層膜用組成物に含まれている酸触媒によるレジストまたは基板の汚染)を避けることができるレジスト下層膜用組成物に関する研究も進められているのに加え、より短い波長(例えば、157nm、193nm、または248nm)の放射線に対する所定の光学特性を有するレジスト下層膜用組成物に関する研究も進められている。
【0010】
結論として、エッチングの選択性が高く、多重エッチングに対する耐性が十分であり、レジストと下層材料との間の反射を最小化する反射防止膜を用いてリソグラフィック技法を行うことが要求されている。このようなリソグラフィック技法は極めて精細な半導体装置の生産を可能にするであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平03−162485号公報
【特許文献2】特開昭62−252734号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0087879号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明は、スピン−オン塗布技法を利用して塗布可能であり、光学的特性、機械的特性、エッチング選択性に優れる芳香族環含有化合物を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明の他の目的は、酸触媒の使用によるレジストまたは基板の汚染がほとんどないレジスト下層膜用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一側面は、下記化学式(1)で表されるレジスト下層膜用芳香族環含有化合物を提供する。
【0015】
【化1】

【0016】
前記化学式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数5〜20の芳香族環基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロアリール基、または置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基であり、
〜Xはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基(−OH)、置換されたもしくは非置換のアルキルアミノ基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、またはアミノ基(−NH)であり、
〜nはそれぞれ独立して0または1であり、1≦n+n+n+n+n+n≦6である。
【0017】
前記化学式(1)において、R〜Rのうちの少なくとも1つは、置換されたもしくは非置換の炭素数5〜20の芳香族環基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロアリール基、または置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基である。
【0018】
前記芳香族環含有化合物は平均分子量は500〜4,000の範囲にある。
【0019】
本発明の他の側面は、前記化学式(1)で表される芳香族環含有化合物と溶媒を含むレジスト下層膜用組成物を提供する。
【0020】
前記レジスト下層膜用組成物において、前記芳香族環含有化合物の含有量は1〜20質量%である。
【0021】
前記レジスト下層膜用組成物は界面活性剤または架橋成分をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0022】
前記レジスト下層膜用組成物は、フィルム形成時にArF(193nm)波長領域などのDUV(Deep UV)領域における反射防止膜として有用な範囲の屈折率および吸光度を有することにより、レジスト(放射線−敏感性イメージ化層)と下層材料の間の反射を最小化することができ、これによってパターンプロファイルやマージン面において優れたパターン特性の評価結果を有するリソグラフィック構造物を提供することができる。さらに、リソグラフィック工程中に既存の物質と比較してエッチング選択比が極めて高く、多重エッチングに対する耐性が十分であり、下部層に転写するイメージ化層であるレジスト下層膜のエッチングプロファイルが極めて良好である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものに過ぎず、これによって本発明が制限されるものではなく、本発明は後述する請求項の範囲によってのみ定義される。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、下記化学式(1)で表される化合物を含むレジスト下層膜用芳香族環含有化合物を提供する。
【0025】
【化2】

【0026】
前記化学式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数5〜20の芳香族環基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロアリール基、または置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基であり、
〜Xはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基(−OH)、置換されたもしくは非置換のアルキルアミノ基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、またはアミノ基(−NH)であり、
〜nはそれぞれ独立して0または1であり、1≦n+n+n+n+n+n≦6であるのが好ましい。
【0027】
前記アルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基などであり;前記芳香族環基は、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、s−インダセニル基などであり;前記シクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチニル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル気、1−メチルシクロプロピル基、2−メチルシクロプロピル基、1−メチルシクロブチル基、2−メチルシクロブチル基、1,2−ジメチルシクロブチル基、1,3−ジメチルシクロブチル基、シクロペンタンスピロシクロブチル基などであり;前記シクロアルケニル基は、シクロプロペニル基、2−シクロブテニル基、2−シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、2,4−シクロペンタジエン−1−イル基などであり;前記ヘテロアリール基は、3−ピリジニル基、ピラジニル基、2−ピリミジニル基などであり;または前記ヘテロシクロアルキル基は、3−ピロリル基、2−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、3−イソチアゾリル基、3−イソオキサゾリル基、2−チエニル基などである。
【0028】
前記化学式(1)において、R〜Rのうちの少なくとも1つは、置換されたもしくは非置換の炭素数5〜20の芳香族環基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロアリール基、または置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基であることがより好ましい。
【0029】
前記芳香族環基は電子が非局在化または共鳴される形態の置換基を意味しており、アリール基、ヘテロアリール基などを意味する。
【0030】
前記「ヘテロ」はN、O、S、またはPのヘテロ原子を環内に1〜3含むことを意味する。
【0031】
前記アルキルアミノ基はNRR’で表される置換基であり、RとR’はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基を意味しており、すべてが同時に水素であることはない。なお、前記炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基は前述のアルキル基などである。
【0032】
前記アルコキシ基はOR”で表される置換基であり、R”は炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、前述のアルキル基などである。
【0033】
前記「置換」とは、ヒドロキシ基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数5〜20アリール基、または置換されたもしくは非置換の炭素数2〜10のアルケニル基に置換されていることを意味し、当該「置換された」とは、非置換の炭素数1〜10のアルキル基、非置換の炭素数5〜20のアリール基、または非置換の炭素数2〜10のアルケニル基でさらに置換されていてもいいことを意味する。
【0034】
前記化学式(1)の芳香族環含有化合物は、置換基の種類および/または位置が互いに異なる2以上の化合物の混合物であってもよい。前記芳香族環含有化合物は短波長領域(特に、193nmおよび248nm)で強い吸収を有する芳香族環を含むのが好ましい。前記化合物の場合は特別な触媒を用いなくてもDiels−Alder反応などの架橋反応が行われるため、触媒、特に酸触媒によるレジストまたは基板の汚染を防ぐことができるという長所がある。
【0035】
前記芳香族環含有化合物の平均分子量は500〜4,000の範囲にある。芳香族環含有化合物の平均分子量が前記範囲に含まれるとき、目的とするコーティング厚さの実現または良好な薄膜を形成することができる。
【0036】
本発明の他の実施形態によれば、前記化学式(1)で表される芳香族環含有化合物および溶媒を含むレジスト下層膜用組成物が提供される。
【0037】
前記レジスト下層膜用組成物に含まれる溶媒は、芳香族環含有化合物に対する十分な溶解性を有する溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン(Anone)、乳酸エチル(EL)などが挙げられる。
【0038】
前記レジスト下層膜用組成物において、芳香族環含有化合物の含有量は1〜20質量%、より好ましくは3〜10質量%であってもよい。芳香族環含有化合物の含有量が前記範囲に含まれるとき、この組成物を塗布して下層膜を形成するときに目的とするコーティング厚さに適切に調節することができる。
【0039】
また、溶媒の含有量は残部、すなわち80〜99質量%である。溶媒の含有量が前記範囲に含まれるとき、この組成物を塗布してレジスト下層膜を形成するときに目的とするコーティング厚さを適切に調節することができる。
【0040】
本発明の一実施形態に係るレジスト下層膜用組成物は、さらに界面活性剤および/または架橋成分を追加で含んでもよい。このとき、前記界面活性剤の含有量はレジスト下層膜用組成物100質量部に対して0.01〜1質量部である。前記架橋成分の含有量はレジスト下層膜用組成物100質量部に対して0.01〜1質量部である。前記架橋成分の含有量が前記範囲に含まれる場合、形成されるレジスト下層膜の光学的特性が変更せず、適切な架橋特性を得ることができる。
【0041】
前記界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール類、第4アンモニウム塩などを用いてもよいが、これに限定されるものではない。
【0042】
前記架橋成分は化合物の自己架橋がさらに適切に起こるようにするために用いるものであって、生成された酸によって触媒作用化される方式によって化合物のヒドロキシ基と反応できる架橋剤であれば特に限定されるものではない。架橋成分の代表的な例としては、メラミン樹脂、アミノ樹脂、グリコールウリル化合物、ビスエポキシ化合物、またはこれらの混合物を用いてもよい。
【0043】
前記架橋成分の具体的な例を挙げれば、エーテル化されたアミノ樹脂、例えば、メチル化されたりブチル化されたメラミン樹脂(例えば、N−メトキシメチル−メラミン樹脂またはN−ブトキシメチル−メラミン樹脂)、およびメチル化されたりブチル化されたウレア樹脂(例えば、Cymel U−65 ResinまたはUFR 80 Resin)、下記化学式(2)で表されるグリコールウリール誘導体(例えば、Powderlink 1174)、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール化合物などを例示してもよい。また、下記化学式(3)で表されるビスエポキシ系統の化合物および下記化学式(4)で表されるメラミン誘導体も架橋成分として用いてもよい。
【0044】
【化3】

【0045】
【化4】

【0046】
【化5】

【0047】
以下、前記レジスト下層膜用組成物を利用して素子のパターンを形成する方法について説明する。
【0048】
まず、アルミニウムとSiN(シリコンナイトライド)などのようなパターン化しようとする下層材料を通常の方法によってシリコン基板上に形成させる。本発明のレジスト下層膜用組成物に用いられるパターン化しようとする下層材料は、伝導性、半伝導性、磁性、または絶縁性材料であるものがすべて可能である。次に、本発明のレジスト下層膜用組成物を用いて500Å〜4000Åの厚さにスピン−コーティングした後、100℃〜500℃で10秒〜10分間ベーキングしてレジスト下層膜を形成する。レジスト下層膜が形成されれば放射線−敏感性イメージ化層(レジスト)を形成させ、前記イメージ化層を介した露光工程によってパターンが形成される領域を露出させる現像工程を行う。次に、イメージ化層および反射防止膜を選択的に除去して下層材料の一部分を露出させ、一般的にCHF/CF混合ガスなどを利用してドライエッチングを行う。パターン化された下層材料の形状が形成された後には、通常のフォトレジストストリッパによって残留する任意のレジストを除去してもよい。このような方法によってパターン化された素子が提供される。前記素子は半導体集積回路デバイスであってもよい。
【0049】
前記レジスト下層膜用組成物および形成されたリソグラフィック構造物は、通常の半導体素子製造工程によって集積回路デバイスの製造および設計に用いられてもよい。例えば、金属配線、コンタクトまたはバイアスのためのホール、絶縁セクション(例えば、DT(Damascene Trench)またはSTI(Shallow Trench Isolation))、キャパシタ構造物のためのトレンチなどのようなパターン化された下層材料構造物の形成に用いてもよい。なお、本発明は任意のリソグラフィック技法またはデバイス構造物に限定されるものではない。
【0050】
以下、実施例を参照しながら本発明をより詳細に説明するが、下記実施例は単に説明の目的のためのものに過ぎず、本発明の権利範囲を制限するためのものではない。
【実施例】
【0051】
<実施例1>
機械撹拌機、冷却管、2Lの4口フラスコが設置された反応器にコロネン30.1g(0.1mol)、アセチルクロライド47.1g(0.6mol)、およびトリクロロアルミニウム79.8g(0.6mol)を1000gのトルエンに溶かした溶液を入れて、撹拌機で攪拌して25℃で10時間反応を実施した後、反応を終了した。反応終了後、水を用いてトリクロロアルミニウムを除去した後、得られた化合物に水素化ホウ素ナトリウム37.83g(1.0mol)を入れた後、25℃で17時間反応を実施した。反応終了後、水/メタノール混合物を用いて反応付随物を除去し、下記化学式(5)で表示する化合物(平均分子量=530、1≦n+n+n+n+n+n≦6)を得た。
【0052】
【化6】

【0053】
<実施例2>
機械撹拌機、冷却管、2Lの4口フラスコが設置された反応器にコロネン30.1g(0.1mol)、ベンゾイルクロリド84.32g(0.6mol)、およびトリクロロアルミニウム79.8g(0.6mol)を1000gのトルエンに溶かした溶液を入れて撹拌機で攪拌して25℃で10時間反応を実施した後、反応を終了した。反応終了後、水を用いてトリクロロアルミニウムを除去した後、得られた化合物に水素化ホウ素ナトリウム37.83g(1.0mol)を入れた後、25℃で19時間反応を実施した。反応終了後、水/メタノール混合物を用いて反応付随物を除去し、下記化学式(6)で表示する化合物(平均分子量=910、2≦n+n+n+n+n+n≦6)を得た。
【0054】
【化7】

【0055】
<実施例3>
機械撹拌機、冷却管、2Lの4口フラスコが設置された反応器にコロネン30.1g(0.1mol)、2−ナフトイルクロリド114.01g(0.6mol)、およびトリクロロアルミニウム79.8g(0.6mol)を1000gのトルエンに溶かした溶液を入れて撹拌機で攪拌して25℃で10時間反応を実施した後、反応を終了した。反応終了後、水を用いてトリクロロアルミニウムを除去した後、得られた化合物に水素化ホウ素ナトリウム37.83g(1.0mol)を入れた後、25℃で19時間反応を実施した。反応終了後、水/メタノール混合物を用いて反応付随物を除去し、下記化学式(7)で表示する化合物(平均分子量=980、2≦n+n+n+n+n+n≦6)を得た。
【0056】
【化8】

【0057】
<実施例4>
機械撹拌機、冷却管、2Lの4口フラスコが設置された反応器にコロネン30.1g(0.1mol)、シクロヘキサンカルボニルクロリド84.31g(0.6mol)、およびトリクロロアルミニウム79.8g(0.6mol)を1000gのトルエンに溶かした溶液を入れて撹拌機で攪拌して25℃で10時間反応を実施した後、反応を終了した。反応終了後、水を用いてトリクロロアルミニウムを除去した後、得られた化合物に水素化ホウ素ナトリウム37.83g(1.0mol)を入れた後、25℃で16時間反応を実施した。反応終了後、水/メタノール混合物を用いて反応付随物を除去し、下記化学式(8)で表示する化合物(平均分子量=1010、2≦n+n+n+n+n+n≦6)を得た。
【0058】
【化9】

【0059】
<実施例5>
機械撹拌機、冷却管、2Lの4口フラスコが設置された反応器にコロネン30.1g(0.1mol)、ベンゾイルクロリド42.16g(0.3mol)、2−ナフトイルクロリド52.01g(0.3mol)、シクロヘキサンカルボニルクロリド42.16g(0.3mol)、およびトリクロロアルミニウム79.8g(0.6mol)を1000gのトルエンに溶かした溶液を入れて撹拌機で攪拌して25℃で10時間反応を実施した後、反応を終了した。反応終了後、水を用いてトリクロロアルミニウムを除去した後、得られた化合物に水素化ホウ素ナトリウム37.83g(1.0mol)を入れた後、25℃で19時間反応を実施した。反応終了後、水/メタノール混合物を用いて反応付随物を除去し、化合物(平均分子量=970)を得た。
【0060】
<サンプル溶液の製造>
実施例1〜5で生成された芳香族環含有化合物をそれぞれ0.8gずつ計量してプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」とする)9gに入れて溶かした後にろ過し、それぞれサンプル溶液を生成した。
【0061】
<屈折率と吸光係数の測定>
実施例1〜5に芳香族環含有化合物を含むサンプル溶液をシリコンウエハにスピン−コーティング法によってコーティングして60秒間400℃で焼き、厚さ2500Åのフィルムを形成させた。フィルムの屈折率(n)と吸光係数(k)を測定した。使用機器はEllipsometer(J.A.Woollam社)であり、測定結果を下記表1に示した。
【0062】
【表1】

【0063】
前記表1において、ArF(193nm)波長で前記実施例1〜5の芳香族環含有化合物を含むサンプル溶液は、反射防止膜として使用が可能な屈折率および吸収度を有することを確認した。
【0064】
<パターン特性の評価>
前記実施例1〜5に係る芳香族環含有化合物を含むサンプル溶液をそれぞれSiNが塗布されたシリコンウエハ上にスピン−コーティング法によってコーティングして60秒間400℃で焼き、厚さ2500Åのフィルムを形成させた。その後、フィルム上にArF用フォトレジストをコーティングして110℃で60秒間焼き、厚さ2000Åのレジスト層を形成させた。ArF露光装備であるASML1250(FN70 5.0 active、NA 0.82を用いて露光をした後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)2.38wt%水溶液で現像した。そして、FE−SEMを用いて80nmのラインアンドスペースパターンを考察した。露光量の変化によるELマージンと光源との距離変動によるDoFマージンを下記表2に示した。
【0065】
【表2】

【0066】
<エッチング特性の評価>
前記実施例1〜5に係る芳香族環含有化合物を含むサンプル溶液をそれぞれSiNが塗布されたシリコンウエハ上にスピン−コーティング法によってコーティングして60秒間400℃で焼き、厚さ2500Åのレジスト下層膜を形成させた。その後、フィルム上にArF用フォトレジストをコーティングして110℃で60秒間焼き、厚さ2000Åのレジスト層を形成させた。ArF露光装備であるASML1250(FN70 5.0 active、NA 0.82)を用いて露光をした後、TMAH(2.38wt%水溶液)で現像した。得られたパターン化された試片をCHF/CF混合ガスを用いてドライエッチングを行い、次に選択比を異にしたCHF/CF混合ガスを用いてドライエッチングを行った。最後にOガスを用いて残っている有機物をすべて除去した後、FE SEMで断面を考察して下記表3に結果を示した。
【0067】
【表3】

【0068】
エッチング特性の評価の結果、レジスト下層膜エッチング後およびSiNエッチング後のパターン模様がそれぞれの場合すべてが良好であり、前記レジスト下層膜のエッチングガスによる耐性が十分であり、SiNのエッチングが良好に行われるものと判断される。
【0069】
<耐熱性の評価>
前記実施例1〜5に係る芳香族環含有化合物を含むサンプル溶液をそれぞれシリコンウエハ上にスピン−コーティング法によってコーティングして60秒間200℃で焼き、厚さ4000Åのフィルムを形成させた。その後、120秒間400℃で焼いた後、200℃と400℃で焼いたときの薄膜の厚さの差を測定し、肉眼でガスの放出があるか否かを評価する。
【0070】
前記薄膜の厚さの差は下記数式1によって計算する。
【0071】
【数1】

【0072】
【表4】

【0073】
表4に示すように、薄膜の厚さの差を評価した結果、実施例1〜5に係る芳香族環含有化合物で製造されたフィルムは厚さの差は小さく、ガスの放出もなかった。これにより、耐熱性側面において優れた素材であると判断される。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で表される、芳香族環含有化合物;
【化1】

前記化学式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数5〜20の芳香族環基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルケニル基、 置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロアリール基、または置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基であり、
〜Xはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基(−OH)、置換されたもしくは非置換のアルキルアミノ基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、またはアミノ基(−NH)であり、
〜nはそれぞれ独立して0または1であり、1≦n+n+n+n+n+n≦6である。
【請求項2】
前記芳香族環含有化合物は500〜4,000の平均分子量を有する、請求項1に記載の芳香族環含有化合物。
【請求項3】
化学式(1)で表される芳香族環含有化合物および溶媒を含む、レジスト下層膜用組成物。
【化2】

前記化学式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数5〜20の芳香族環基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロアリール基、または置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基であり、
〜Xはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基(−OH)、置換されたもしくは非置換のアルキルアミノ基、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、またはアミノ基(−NH)であり、
〜nはそれぞれ独立して0または1であり、1≦n+n+n+n+n+n≦6である。
【請求項4】
前記芳香族環含有化合物は500〜4,000の平均分子量を有する、請求項3に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項5】
前記レジスト下層膜用組成物において、前記芳香族環含有化合物の含有量は1〜20質量%である、請求項3または4に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項6】
前記レジスト下層膜用組成物は界面活性剤および/または架橋成分をさらに含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載のレジスト下層膜用組成物。

【公開番号】特開2011−144170(P2011−144170A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293251(P2010−293251)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】