説明

レッド染料混合物

【課題】レッド染料混合物を提供する。
【解決手段】式(I)のレッド染料化合物


およびその合成方法、さらに少なくとも式(I)のレッド染料1種を含むプラスティック原料着色のための混合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のレッド染料と特定のオレンジ染料とを含む混合物、前記混合物に基づくマスターバッチ、プラスチックの原料着色(mass coloring)のための混合物の使用、着色されたプラスチック自体に関し、そして特定の新規レッド染料ならびに新規レッド染料を製造(調製)する方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
最近は褐色プラスチックボトル、より特にPETボトルに関する需要が急激に上昇してきた。今までの着色は、レッド染料C.I.ソルベントレッド135として以下の式:
【化1】

のペリノンと更なるイエロー染料とグリーン染料も含むブラウン染料混合物を用いてきた。
【0003】
この色混合物は、非常に広範にわたるブラウン色調を確立してきた。一方におけるこのブラウン色調の色要求は、他方では高められた性能要件および塩素フリー代替品の必要によって抵抗をうけている。高い耐光性のみでなく、熱安定性、色の濃さ、プラスチックへの高い溶解度、耐昇華性および耐移行性の品質も要求されている。
【0004】
従って、本発明の目的は、ブラウン混合物のレッド成分の色代替品であって、同時に必要とされる性能特性を上回る色素代替品を見出すことであった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
式(I)、(C)または(CI):
【化2】

【化3】

[式中、Rは、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、または任意に置換されたC〜Cシクロアルキルであり、
Bは、式−O−B−O−または−CH−B−CH−の架橋(ブリッジ)であり、
は、式:
【化4A】

【化4B】

の架橋であり、
は、式:
【化5】

の架橋であり、
は、水素、メチル、エチル、メトキシまたはフッ素であり、
Xは、式:
【化6】

の架橋であり、
Yは、式:
【化7】

の架橋であり、
lは0〜8の整数であり、
m、n、pおよびrは互いに独立して1〜8の整数であり、
qは2〜8の整数であり、
sおよびtは互いに独立して1〜4の整数であり、
20およびR22は互いに独立してシアノまたは任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニルであり、
21は、水素または任意に置換されたC〜Cアルキルであり、
23は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニルであり、
24は、シアノ、任意に置換されたC〜Cアルキルスルホニルまたは任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニルであり、
25は、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cシクロアルキル、任意に置換されたC〜C10アリールであり、
26は水素であるか、またはR25とは無関係にR25の定義を有するか、あるいはNR2526は、ピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノであり、
27は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cアルコキシ、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたC〜Cシクロアルキルまたは任意に置換されたC〜C10アリール、の定義を有する1つ以上の基であり、
28は水素または任意に置換されたC〜Cアルキルである]
の少なくとも1種のレッド染料と、
式(L)、(LI)、(LII)、(LIII)、(LIV)または(LV):
【化8A】

【化8B】

[式中、
10は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cアルコキシ、任意に置換されたC〜Cアルキルスルホニル、任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニル、ニトロ、シアノまたはフッ素であり、
11は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cアルコキシ、任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニル、ニトロ、シアノまたはフッ素であり、
12は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cシクロアルキルであり、
13は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニルであり、
14は、シアノ、任意に置換されたC〜Cアルキルスルホニルまたは任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニルであり、
はOまたはSであり、
はNまたはC−CNであり、
15およびR16は互いに独立して、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cシクロアルキルまたは任意に置換されたC〜C10アリールであるか、または
NR1516は、ピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノであり、
17は水素またはC〜Cアルキルであり、
18は任意に置換されたC〜C10アリールであり、
23’は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニルであり、
24’は、シアノ、任意に置換されたC〜Cアルキルスルホニルまたは任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニルであり、
25’は、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cシクロアルキル、任意に置換されたC〜C10アリールであり、
26’は水素であるか、またはR25’とは独立してR25’の定義を有するか、あるいはNR25’26’は、ピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノであり、
43およびR44は互いに独立して、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、より特にモノ−またはポリ−フッ素置換C〜Cアルキル、ニトロ、シアノ、C〜Cアルコキシカルボニルであり、
45は、水素、メチル、シアノ、フッ素または塩素である]
の少なくとも1種のオレンジ染料と
を含む混合物を見出した。
【0006】
式Iの化合物は、好ましくは下記式(Ia)〜(Ic)、より特にIaに対応する。
【0007】
【化9】

【0008】
ナフタレン構造の場合、上で規定しなかった結合は、好ましくは位置1,5−、1,8−、2,6−または2,7−において結合する。ベンゼン構造およびシクロヘキサン構造の場合、上で規定しなかった結合は、位置1,2−、1,3−または1,4−において結合する。
【0009】
此処および以下におけるC〜Cアルキルは、直鎖および/または分岐のC〜Cアルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルまたは2−エチルヘキシルを意味する。
【0010】
置換されたC〜Cアルキルは、フッ素、シアノ、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、アセトキシ、プロポキシ、ブトキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、例えば、トリフルオロメチル、パーフルオロブチル、2−クロロエチル、シアノメチル、2−シアノエチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−アセトキシエチル、2−メトキシカルボニルエチル、シクロヘキシルメチル、ベンジル、フェネチルまたはフェニルプロピルの基の少なくとも1個によって置換されている上述した直鎖および/または分岐のC〜Cアルキルを意味する。
【0011】
此処および以下で、明示的に別段に指定がないかぎり、例えば、ブチルは常にn−ブチル、2−ブチル、イソブチル、またはt−ブチルである。
【0012】
〜Cシクロアルキルは、此処および以下で、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルを意味する。置換されたC〜Cシクロアルキルは、例えばメチルシクロヘキシルを意味する。
【0013】
好ましくは、Rは水素である。同様に、好ましくは、Rはメチルである。
【0014】
式Iの好ましい化合物は、
が式:
【化10】

の架橋であり、
上記式中、
がメチル、エチル、メトキシまたはフッ素であり、
Xが式:
【化11】

の架橋であり、
Yが式:
【化12】

の架橋であり、
lが0〜8の整数であり、
m、n、pおよびrが互いに独立して1〜8の整数であり、
qが2〜8の整数であり、
sおよびtは互いに独立して1〜4の整数である化合物である。
【0015】
の特に好ましい架橋は、
【化13】

であり、
上記式中、
はメチルであり、
Xは、式:
【化14】

の架橋であり、
Yは、式:
【化15】

の架橋であり、
lは0〜4の整数であり、
m、nおよびpは互いに独立して1〜4の整数であり、
qおよびrは互いに独立して2〜6の整数であり、
sおよびtは互いに独立して1〜2の整数であり、
上記で規定していなかった環位置は、1,2−、1,3−または1,4−である。
【0016】
特に好ましい架橋Bは、
【化16】

であり、
上記式中、
Yは、式:
【化17】

の架橋であり、
lは1〜2の整数であり、
m、nおよびpは互いに独立して1〜2の整数であり、
qは2〜4の整数であり、
sおよびtは互いに独立して1であり、
上記で規定していなかった環位置は1,4−である。
【0017】
好ましい架橋Bは、
【化18】

であり、
上記式中、
Yは、式:
【化19】

の架橋であり、
pおよびrは互いに独立して1〜8の整数であり、
qは2〜8の整数であり、
sおよびtは互いに独立して1〜4の整数である。
【0018】
特に好ましい架橋Bは、
【化20】

であり、
式中、
Yは、式:
【化21】

の架橋であり、
pは1〜6の整数であり、
rは2〜6の整数であり、
そして上記で規定していなかった環位置は、ベンゼン環またはシクロヘキサン環の場合、1,2−、1,3−または1,4−であり、ナフタレン環の場合、2,6−または2,7−である。
【0019】
特に好ましい架橋Bは、
【化22】

であり、
上記式中、
pは1〜4の整数であり、
そして上記で規定していなかった環位置は1,4−である。
【0020】
式(C)の好ましいレッド染料は、
20が、シアノ、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル、より好ましくはシアノまたはメトキシカルボニル、非常に好ましくはメトキシカルボニルであり、
22がシアノであり、
21が、水素またはメチル、より好ましくはメチルであり、
23が、メチル、トリフルオロメチルまたはメトキシカルボニル、より好ましくはメチルであり、
24が、シアノ、メタンスルホニル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル、より好ましくはシアノであり、
25が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、シアノエチル、ベンジル、シクロヘキシル、フェニルまたはトリル、より好ましくはエチル、プロピル、ブチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、ベンジル、シクロヘキシルまたはフェニル、非常に好ましくはプロピル、ブチルまたはメトキシプロピルであり、
26が水素であるか、またはR25とは独立してR25の定義を有するか、あるいは、
NR2526が、ピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノであるレッド染料である。
【0021】
式(CI)の好ましいレッド染料は、
27が、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、シアノ、シクロヘキシル、フェニルまたはトリル、より好ましくはp−位(パラ位)のメチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロヘキシルまたはフェニル、非常に好ましくはp−位のブチルまたはシクロヘキシルであり、
28が水素であるレッド染料である。
【0022】
式(I)の染料、および式(L)〜(LV)の少なくとも1種のオレンジ染料は、好ましくは、1:99〜99:1の比で、好ましくは20:80〜97:3の比で、より好ましくは40:60〜95:5、非常に好ましくは50:50〜90:10の比で混合される。
【0023】
式(C)のレッド染料および式(L)〜(LV)の少なくとも1種のオレンジ染料は、好ましくは、1:99〜99:1の比で、好ましくは20:80〜97:3の比で、より好ましくは30:70〜95:5、非常に好ましくは40:60〜90:10の比で混合される。40:60〜60:40の比での式(C)と(L)の染料の混合物は非常に特に好ましい。
【0024】
式(CI)の染料、および式(L)〜(LV)の少なくとも1種のオレンジ染料は、好ましくは、1:99〜99:1の比で、好ましくは20:80〜97:3の比で、より好ましくは40:60〜95:5、非常に好ましくは50:50〜90:10の比で混合される。
【0025】
例えば、粉末、顆粒またはペーストの形態で固体形態をとる染料の例えば混合により、混合を行ってもよい。湿ったペーストの場合、例えば、乾燥を後に続けてもよい。後で例えば噴霧乾燥させるか、または噴霧粒状化させる染料の懸濁液を混合することによっても混合を行ってよい。最後に、マスターバッチの製造中、または高分子材料の着色中に混合を行ってもよい。
【0026】
本発明のレッド混合物のために適する色座標は、Lab値によると、35〜60のL、65〜85のa、および20〜75のb、好ましくは40〜50のL、65〜75のaおよび40〜75のbである。
【0027】
オレンジ染料(L)〜(LV)に関して、好ましくは、
10は、水素、メチル、エチル、メトキシ、メタンスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ニトロ、シアノまたはフッ素、より好ましくは、水素、メタンスルホニルまたはメトキシカルボニル、非常に好ましくはメトキシカルボニルである。
11は、水素、メチル、メトキシ、メトキシカルボニル、ニトロ、シアノまたはフッ素、より好ましくは水素である。
12は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−メトキシエチル、2−シアノエチル、ベンジルまたはシクロヘキシル、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはベンジル、非常に好ましくはメチルまたはエチルである。
13は、メチルまたはメトキシカルボニル、より好ましくはメチルである。
14は、シアノ、メタンスルホニル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル、より好ましくはシアノである。
はOまたはSであり、より好ましくはSである。
はNまたはC−CNである。
15およびR16は、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シアノエチルベンジル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニルまたはトリル、より好ましくは、メチル、エチル、シアノエチル、ベンジル、シクロヘキシルまたはフェニル、非常に好ましくはメチルまたはエチルであるか、または
NR1516は、ピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノであり、
17は水素またはメチル、より好ましくは水素であり、
18は、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、より好ましくはトリルまたはジメチルフェニルであり、
23’は、メチル、トリフルオロメチルまたはメトキシカルボニルであり、
24’は、シアノ、メチルスルホニル、トリフルオロメチルスルホニル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルであり、
25’は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、クロロエチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、ジメチルアミノプロピル、フェニル、トリル、メトキシフェニル、フルオロフェニル、クロロフェニルまたはシアノフェニルであり、
26’は水素であるか、または
NR25’26’は、ピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノであり、
43およびR44は互いに独立して、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、メトキシカルボニル、またはエトキシカルボニルであり、2つの内の1つが更に水素であることが可能であり、
45は水素である。
【0028】
好ましい1つの本発明の混合物は、式(I)のレッド染料と、式(L)、(LI)、(LII)、(LIII)、(LIV)または(LV)、より特に式(L)の少なくとも1種のオレンジ染料とを含む。同様に好ましい1つの本発明の混合物は、式(C)のレッド染料と、式(L)、(LI)、(LII)、(LIII)、(LIV)または(LV)、より特に式(L)の少なくとも1種のオレンジ染料とを含む。
【0029】
同様に好ましい1つの本発明の混合物は、式(CI)レッド染料と、式(L)、(LI)、(LII)、(LIII)、(LIV)または(LV)、より特に式(L)の少なくとも1種のオレンジ染料とを含む。
【0030】
式(C)(式中、
20は、シアノ、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル、より好ましくはシアノまたはメトキシカルボニル、非常に好ましくはメトキシカルボニルであり、
22はシアノであり、
21は、水素またはメチル、より好ましくはメチルであり、
23は、メチルまたはメトキシカルボニル、より好ましくはメチルであり、
24は、シアノ、メタンスルホニル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル、より好ましくはシアノである。
25は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、シアノエチル、ベンジル、シクロヘキシル、フェニルまたはトリル、より好ましくはエチル、プロピル、ブチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、ベンジル、シクロヘキシルまたはフェニル、非常に好ましくはプロピル、ブチルまたはメトキシプロピルであり、
26は水素であるか、またはR25とは独立してR25の定義を有するか、あるいはNR2526は、ピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノであり、
より特に、R20がCOOCHであるとき、R21およびR23はCHであり、R22およびR24はCNであり、R25は−CHCHCHOCHであり、R26はHである)
のレッド染料と
式(L)
(より特に、式中、
10はCOOCHであり、R11はHである)、
のオレンジ染料とを含む本発明の混合物が特に好ましい。
【0031】
こうした混合物の例は、
好ましくは50:50の比の
【化23】

【0032】
好ましくは45:55の比の
【化24】

【0033】
好ましくは83:17の比の
【化25】

【0034】
好ましくは83:17の比の
【化26】

【0035】
好ましくは50.8:48.2の比の
【化27】

【0036】
好ましくは48:52の比の
【化28】

【0037】
好ましくは50:50の比の
【化29】

である。
【0038】
混合物の唯一の色素体成分がレッド染料およびオレンジ染料である本発明の混合物を更なる染料、より特にブラウン色調を得るための染料、と一緒にプラスチックの原料着色(mass coloration)のために用いてよく、あるいは更なる染料は既に混合物中に存在してもよい。
【0039】
従って、本発明の混合物は、好ましくは
a)好ましくは420〜460nmのλmaxを有する少なくとも1種のイエロー染料および好ましくは610〜700nmのλmaxを有する少なくとも1種のグリーン染料、
または
b)好ましくは420〜460nmのλmaxを有する少なくとも1種のイエロー染料および好ましくは570〜640nmのλmaxを有する少なくとも1種のブルー染料
を含む。
【0040】
例えば、式:
【化30】

のイエロー染料が、特に好ましいイエロー染料としての適性をもっている。
上記式中、
29は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cアルコキシ、フッ素、シアノ、任意に置換されたC〜Cシクロアルキル、または任意に置換されたC〜C10アリールの定義を有する1つ以上の基であり、
30は、水素、メチル、エチルまたはメトキシであり、
31は、シアノ、C〜Cアルコキシカルボニル、またはC〜Cアルカンスルホニルであり、
32は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、または任意に置換されたC〜Cシクロアルキルであり、
33は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cアルコキシ、任意に置換されたC〜Cシクロアルキル、または任意に置換されたC〜C10アリールであり、
は、式:
【化31】

の架橋であり、
好ましくは、
29は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、シアノ、シクロヘキシル、フェニルまたはトリル、より好ましくはp−位のメチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり、非常に好ましくはp−位のブチルまたはシクロヘキシルであり、
30は水素またはメチルであり、
31は、シアノ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルまたはメタンスルホニル、より好ましくはシアノまたはメトキシカルボニル、非常に好ましくはシアノであり、
32は、メチル、エチル、プロピルまたはシクロヘキシル、より好ましくはメチルまたはエチルであり、
33は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、メトキシ、エトキシ、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニルまたはトリル、より好ましくはp−位のブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、シクロヘキシルまたはフェニル、非常に好ましくはp−位のn−ブチル、t−ブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシルまたはフェニルであり、
そしてBは、式:
【化32】

の架橋である。
【0041】
例えば、式(CCLI):
【化33】

のグリーン染料が、特に好ましいグリーン染料としての適性をもっている。
上記式中、
34およびR35は、互いに独立して、水素、ヒドロキシルまたはC〜Cアルコキシである。
36およびR37は、互いに独立して、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cアルコキシ、フッ素、任意に置換されたC〜Cシクロアルキルまたは任意に置換されたC〜C10アリールである。
好ましくは、
34およびR35は、水素またはヒドロキシル、より好ましくは水素および類似物である。
36およびR37は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、臭素、シクロヘキシルまたはフェニル、より好ましくはp−位のメチル、エチル、ブチル、非常に好ましくは両方同等にp−位のメチルまたはt−ブチルである。
【0042】
式(CCCI):
【化34】

のブルー染料が、特に好ましいブルー染料としての適性がもっている。
上記式中、
38およびR39は、互いに独立して、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cシクロアルキル、または任意に置換されたC〜C10アリールである。
好ましくは
38およびR39は、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または式:
【化35】

のフェニル基である。
40はメチル、エチルまたはプロピルであり、
41は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、またはシクロヘキシルであり、
42は、水素、メチル、エチル、またはプロピルである。
【0043】
より好ましくは、
38およびR39は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロヘキシル、または式:
【化36】

のフェニル基である。
そして同様に、
40はメチルまたはエチルであり、
41は、水素、メチルまたはエチルであり、
42はメチルまたはエチルである。
【0044】
式(I)の少なくとも1種のレッド染料と式(L)〜(LV)の少なくとも1種のオレンジ染料とを含む本発明の混合物は、更に好ましくは、30〜70:20〜50:1〜30、好ましくは45〜65:25〜40:15〜25の[(I)+(L)〜(LV)]:イエロー:[グリーンおよび/またはブルー]の比で、イエロー染料と、およびグリーン染料またはブルー染料と混合される。
【0045】
式(C)の少なくとも1種のレッド染料と式(L)〜(LV)の少なくとも1種のオレンジ染料とを含む本発明の混合物は、更に好ましくは、15〜40:20〜70:20〜50、好ましくは20〜35:25〜65:25〜40の[(C)および/または(CI)+(L)〜(LV)]:イエロー:[グリーンおよび/またはブルー]の比で、イエロー染料と、およびグリーン染料またはブルー染料と、混合される。
【0046】
式(CI)の少なくとも1種のレッド染料と式(L)〜(LV)の少なくとも1種のオレンジ染料とを含む本発明の混合物は、更に好ましくは、30〜70:20〜50:1〜30、好ましくは45〜65:25〜40:15〜25の[(I)+(L)〜(LV)]:イエロー:[グリーンおよび/またはブルー]の比で、イエロー染料と、およびグリーン染料またはブルー染料と、混合される。
【0047】
Lab系におけるこうしたブラウン混合物のために適する色座標は、例えば、30〜80のL、10〜30のa、および40〜80のb、好ましくは50〜75のL、10〜25のa、および42〜70のbである。
【0048】
例は次の通りである。
好ましくは、16.3:15.8:40.9:27.0の比の
【化37】

であり、
【0049】
好ましくは、16.0:15.5:41.8:26.7の比の
【化38】

であり、
【0050】
好ましくは、9.0:8.7:66.7:15.6の比の
【化39】

であり、
【0051】
好ましくは、33.8:20.1:27.1:18.0の比の
【化40】

であり、
【0052】
好ましくは、32.1:19.4:29.1:19.4の比の
【化41】

であり、
【0053】
好ましくは、38.1:17.3:26.8:17.8の比の
【化42】

であり、
【0054】
好ましくは、9.0:8.5:67.0:15.5の比の
【化43】

である。
【0055】
計量における問題を避けるとともにプラスチック中の本発明の混合物の一様な分布を達成するために、多くのプラスチック加工業者は、対象となる添加剤の濃縮物、この場合は、従って、ベースポリマーまたはその他の担体(キャリアー)中の染料混合物、を好む。
【0056】
本明細書の文脈において、こうした濃縮物はマスターバッチと呼ばれる。
【0057】
従って、本発明は、15〜70重量%、好ましくは40〜70重量%の本発明の混合物および担体を含有するマスターバッチも提供する。
【0058】
好ましくは、担体の量は、マスターバッチの95重量%までの残余、好ましくは98重量%までの残余、より特に99重量%までの残余を構成する。
【0059】
適する担体は、好ましくは、着色されるべきプラスチック自体のベースポリマーである。この種類のマスターバッチは一般に固体である。特に好ましいベースポリマーは熱可塑性樹脂であり、その例は、ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、およびポリオレフィン、より特にポリエチレンおよびポリプロピレン、またはポリカーボネートである。
【0060】
適するビニルポリマーは、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、スチレンブタジエンアクリロニトリルターポリマー、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニルなどである。
【0061】
さらなる好適なものは、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、およびセルロースエステルである。
【0062】
ポリスチレン、スチレンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、およびポリアミドが好ましい。ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、およびポリメタクリレートは特に好ましい。ポリエチレンテレフタレートは特に適している。
【0063】
こうしたマスターバッチを製造するために、ベースポリマーまたは2種以上のベースポリマーの混合物を本発明の染料混合物とともに加熱して、成分を溶融し、混合を行うとともに、混合物を顆粒形態などの注入可能な形態に、例えば、固化した小滴、ビーズ、中空球、およびフレークなどの形態に変換することが好ましい。
【0064】
プラスチックが重合された後のみに染料混合物を用いる場合、染料混合物は、プラスチック顆粒とともにドライ混合またはドライ粉砕され、例えば、得られた混合物は、例えば、スクリュー中でまたはミキシングロール上で可塑化され均質化される。あるいは、混合物を液体に添加することが可能であり、攪拌によって均質に分配させることが可能である。この方法で前もって着色された材料は、次に通例の方法で、例えば、剛毛、フィラメントなどを得るための紡糸によって、または押出によって、または射出成形法によって賦形した物品に更に加工される。
【0065】
担体として、分散担体は同様に好ましい。こうした担体の使用は、好ましくはポンプアップ可能な液体マスターバッチをもたらす。
【0066】
本発明は、プラスチックを原料着色(mass-coloring)するための本発明の混合物の使用を更に提供する。
【0067】
此処で原料着色は、例えば、押出機を使用して、溶融したプラスチック塊に染料混合物を組み込むか、またはプラスチックを製造するための出発成分、例えば、重合の前のモノマーに染料を実際に添加する方法をより特に意味する。
【0068】
特に好ましいプラスチックは、熱可塑性樹脂、例えば、ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、およびポリオレフィン、より特にポリエチレンおよびポリプロピレンまたはポリカーボネートである。
【0069】
適するビニルポリマーは、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、スチレンブタジエンアクリロニトリルターポリマー、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニルなどである。
【0070】
加えて、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネートおよびセルロースエステルが好ましい。
【0071】
ポリスチレン、スチレンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、およびポリアミドが好ましい。ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、およびポリメタクリレートは特に好ましい。
【0072】
上述した高分子量化合物は、個々に、または混合物中に、プラスチック塊またはプラスチック溶融物として存在してもよい。ポリエチレンテレフタレート(PET)は特に好ましい。
【0073】
本発明の混合物は例えば微細形態で用いられ、分散剤の使用も可能であるが、必須ではない。あるいは、混合物は、例えば、マスターバッチ中で、例えば、顆粒形態で、例えば、固化した小滴、ビーズ、中空球、およびフレークなどの形態で用いることも可能である。
【0074】
本染料混合物は、重合触媒、より特に過酸化物に対して安定なので、プラスチックのためのモノマー出発原料に混合物を添加するとともに、その後、重合触媒の存在下で重合を行うこともできる。この目的のためには、染料混合物は、好ましくは、モノマー成分中に溶解させるか、またはモノマー成分と密に混合される。
【0075】
本発明の染料混合物は、プラスチックまたは合成繊維を基準にして好ましくは0.0001〜1重量%、より特に0.01〜0.5重量%の量で用いられる。
【0076】
マスターバッチを用いるとき、その量は、好ましくは、プラスチックを基準にして同じ染料混合物率をもたらすような量である。
【0077】
例えば、二酸化チタンなどの、ポリマーに不溶性の顔料を添加することにより、対応する有用な不透明色を得ることができる。
【0078】
二酸化チタンは、ポリマー量を基準にして0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の量で用いることができる。
【0079】
これは、良好な熱安定性および良好な耐光性、耐候性、耐昇華性、および耐移行性を有する透明または不透明の青みがかったレッド色を生じさせる。イエローおよびグリーンおよび/またはブルー染料も用いるときは、同じ堅牢性を有するブラウン色が得られる。
【0080】
従って、本発明は、プラスチックを原料着色する方法であって、好ましくはマスターバッチの形態をとる請求項1に記載の混合物を、溶融したプラスチック塊に組み込むか、または重合の前に、プラスチックを製造するための出発成分に実際に添加することを特徴とする方法を提供する。
【0081】
本発明は、本発明の色混合物を含むプラスチックを更に提供する。より特に、こうしたプラスチックは、ボトル、より特に飲料ボトルなどの中空物品である。
【0082】
これは、良好な熱安定性および良好な耐光性、耐候性、耐昇華性、および耐移行性を有する透明または不透明のレッド色またはブラウン色を生じさせる。
【0083】
より特に、本発明による式(I)の染料の耐昇華性および耐移行性は、例えば、R27=R28=H(=C.I.ソルベントレッド60)の式(CI)の染料と比べて大幅に改善されている。
【0084】
本発明のレッド混合物およびブラウン混合物は、同様に、良好な堅牢特性、より特に良好な耐昇華性および耐移行性を示す。これらの混合物は、プラスチック、より特にマスターバッチへの高い溶解度についても注目に値する。C.I.ソルベントレッド135に基づくブラウン混合物と比較して、マスターバッチへの溶解度は大幅に増加し、それは、本発明による式(I)の橋掛けされた染料の比較的高い分子量のゆえに意外である。
【0085】
本発明は下記式Iの化合物を更に提供する。
【0086】
【化44】

式中、
−B−は、−O−B−O−または−CH−B−CH−であり、
は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cシクロアルキルであり、
は、式:
【化45】

の架橋であり、
は、式:
【化46】

の架橋であり、
は、メチル、エチル、メトキシ、またはフッ素であり、
Xは、式:
【化47】

の架橋であり、
Yは、式:
【化48】

の架橋であり、
lは0〜8の整数であり、
m、n、pおよびrは互いに独立して1〜8の整数であり、
qは2〜8の整数であり、
sおよびtは互いに独立して1〜4の整数である。
【0087】
式Iの化合物は、好ましくは、下記式(Ia)〜(Ic)、より特に式(Ia)に対応する。
【0088】
【化49】

ナフタレン構造の場合、上で規定していなかった結合は、好ましくは、位置1,5−、1,8−、2,6−または2,7−において結合する。ベンゼン構造およびシクロヘキサン構造の場合、上で規定していなかった結合は、位置1,2−、1,3−または1,4−において結合する。
【0089】
此処および以下におけるC〜Cアルキルは、直鎖および/または分岐のC〜Cアルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、または2−エチルヘキシルを意味する。
【0090】
置換されたC〜Cアルキルは、フッ素、シアノ、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、アセトキシ、プロポキシ、ブトキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、例えば、トリフルオロメチル、パーフルオロブチル、シアノメチル、2−シアノエチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−アセトキシエチル、2−メトキシカルボニルエチル、シクロヘキシルメチル、ベンジル、フェネチル、またはフェニルプロピル基の少なくとも1個によって置換されている上述した直鎖および/または分岐のC〜Cアルキルを意味する。
【0091】
此処および以下で、明示的に別段に指定がないかぎり、例えば、ブチルは常にn−ブチル、2−ブチル、イソブチル、またはt−ブチルである。
【0092】
〜Cシクロアルキルは、此処および以下で、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルを意味する。置換されたC〜Cシクロアルキルは、例えばメチルシクロヘキシルを意味する。
【0093】
好ましくは、Rは水素である。同様に、好ましくは、Rはメチルである。
【0094】
好ましい架橋Bは、
【化50】

である。
式中、
はメチルであり、
Xは、式:
【化51】

の架橋であり、
Yは、式:
【化52】

の架橋であり、
lは0〜4の整数であり、
m、nおよびpは互いに独立して1〜4の整数であり、
qおよびrは互いに独立して2〜6の整数であり、
sおよびtは互いに独立して1〜2の整数であり、
上で規定していなかった環位置は、1,2−、1,3−または1,4−である。
【0095】
特に好ましい架橋Bは、
【化53】

である。
式中、
Yは、式:
【化54】

の架橋であり、
lは1〜2の整数であり、
m、nおよびpは互いに独立して1〜2の整数であり、
qは2〜4の整数であり、
sおよびtは互いに独立して1であり、
上で規定していなかった環位置は1,4−である。
【0096】
好ましい架橋Bは次の通りである。
【化55】

式中、
Yは、式:
【化56】

の架橋であり、
pは1〜6の整数であり、
rは2〜6の整数である。
【0097】
特に好ましい架橋Bは、
【化57】

であり、
式中、
pは1〜4の整数である。
【0098】
本発明は、Bが架橋−O−B−O−である上記式(I)の本発明染料を製造する方法をさらに提供し、その方法では、
下記式(II):
【化58】

[式中、
は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cシクロアルキルであり、
Rは、塩素、臭素、またはフェノキシである]
のアントラキノン化合物を、
下記式(III):
HO−B−OH (III)
[式中、
は、式:
【化59】

の架橋であり、
は、メチル、エチル、メトキシ、またはフッ素である。
Xは、式:
【化60】

の架橋であり、
Yは、式:
【化61】

の架橋であり、
lは0〜8の整数であり、
m、n、pおよびrは互いに独立して1〜8の整数であり、
qは2〜8の整数であり、
sおよびtは互いに独立して1〜4の整数である]
の二官能性アルコールと反応させる。
【0099】
本発明は、式(I)[式中、
Bは架橋−O−B−O−であり、
は、式:
【化62】

の架橋であり、
Yは、式:
【化63】

の二官能性基であり、
m、nおよびrは互いに独立して1〜8の整数であり、
nおよびmは等しく、
qは2〜8の整数である]
の本発明染料を調製する方法であって、
式(IV):
【化64】

[式中、
は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、または任意に置換されたC〜Cシクロアルキルであり、
nは1〜8の整数である]
のアントラキノンを、
式(V)または式(VI):
【化65】

の二官能性酸塩化物またはエステル、あるいは
式(VII)または式(VIII):
【化66】

[式中、
AはClまたはメトキシであり、
rは1〜8の整数であり、
qは2〜8の整数である]
の二官能性イソシアネートと、反応させることを特徴とする方法を更に提供する。
【0100】
本発明は、式(I)[式中、
Bは架橋−O−B−O−であり、
は、式:
【化67】

の架橋であり、
は、メチル、エチル、メトキシ、またはフッ素であり、
Xは、式:
【化68】

の架橋であり、
Yは、式:
【化69】

の架橋であり、
lは0〜8の整数であり、
m、n、pおよびrは互いに独立して1〜8の整数であり、
qは2〜8の整数であり
sおよびtは互いに独立して1〜4の整数である]
の本発明染料を製造する方法であって、
式(II):
【化70】

[式中、
は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、または任意に置換されたC〜Cシクロアルキルであり、
Rは、塩素、臭素、またはフェノキシである]
のアントラキノン化合物を、
式(IX):
【化71】

[式中、
は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、または任意に置換されたC〜Cシクロアルキルである]
のアントラキノン化合物と反応させることを特徴とする方法を更に提供する。
【0101】
上記(式II)、(IV)、および(IX)の場合、式(I)と同様に、各異性体は、例えば、以下のもの:
【化72】

が挙げられる。
【0102】
反応は、例えば、2/1の(II)/(III)または(IV)/(V)または(IV)/(VI)または(IV)/(VII)または(IV)/(VIII)のモル比で、または1/1の(II)/(IX)のモル比で行われる。しかし、この比を基準として、2成分の内の1つを過剰に用いることも有利な場合がある。
【0103】
反応は溶媒中で有利に行われる。こうした溶媒の例は、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどの双極性非プロトン溶媒、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、メチルベンゾエートなどの芳香族溶媒、ならびにピリジンおよびキノリンなどのヘテロ環式化合物である。
【0104】
上記反応は塩基の存在下で有利に行われる。適する塩基の例は、水酸化物、炭酸塩、およびアミンであり、その例は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、およびピリジン、キノリンおよびトリエチルアミンなどのアミン類である。
【0105】
四級アンモニウム塩またはクラウンエーテルなどの相間移動触媒を同様に添加してもよい。例は、テトラブチルアンモニウムブロミド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリカプリルメチルアンモニウムクロリド、および18−クラウン−6である。
【0106】
反応は、例えば、80〜220℃の範囲内、好ましくは80〜180℃の範囲内、より好ましくは100〜160℃の範囲内の温度で行われる。
【0107】
式(II)の化合物と式(III)の化合物の反応の場合に特に好ましいものは、塩基として無水炭酸ナトリウムまたは無水炭酸カリウム、および溶媒としてN−メチルピロリドンまたはN−エチルピロリドン;あるいは塩基として無水炭酸ナトリウムまたは無水炭酸カリウム、溶媒として1,2−ジクロロベンゼン、および相間移動触媒として18−クラウン−6またはテトラブチルアンモニウムブロミドまたはトリカプリルメチルアンモニウムクロリドである。
【0108】
反応が終った場合、反応生成物は、例えば、メタノールまたはエタノールなどのアルコールまたは水あるいはそれらの混合物を添加することにより沈殿させることができ、そして濾過によって分離することができ、妥当な場合には更に精製することができる。
【0109】
本発明は、Bが架橋−CH−B−CH−である式(I)の本発明染料を製造する方法であって、
式(X):
【化73】

[式中、Rは、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、または任意に置換されたC〜Cシクロアルキルである]
に対応する1つの互変異性形態のジヒドロアントラキノン化合物を、
式(XI):
OCH−B−CHO (XI)
[式中、
は、式:
【化74】

の架橋であり、
Yは、式:
【化75】

の架橋であり、
pおよびrは互いに独立して1〜8の整数であり、
qは2〜8の整数であり、
sおよびtは互いに独立して1〜4の整数である]
の二官能性アルデヒドと反応させることを特徴とする方法を更に提供する。
【0110】
反応は、例えば、2/1の(X)/(XI)のモル比で行われる。しかし、この比を基準として2成分の内の1つを過剰に用いることも有利な場合がある。
【0111】
反応は溶媒中で有利に行われる。こうした溶媒の例は、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコールなどのC〜C10アルコール、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどの双極性非プロトン溶媒、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、メチルベンゾエートなどの芳香族溶媒、ならびにピリジンおよびキノリンなどのヘテロ環式化合物である。
【0112】
反応は酸および/または塩基の存在下で有利に行われる。適する酸の例は、塩酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、酢酸、メタンスルホン酸である。適する塩基の例は、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、ピリジン、キノリンおよびトリエチルアミンなどのアミン類である。同様に、酸と塩基の組み合わせ、例えば、酢酸とピペリジンの組み合わせは有利である。
【0113】
反応は、例えば、40〜180℃の範囲内、好ましくは70〜120℃の範囲内の温度で行われる。
【0114】
反応が終わったら、例えば、適切な場合は、メタノールまたはエタノールなどのアルコールまたは水あるいはそれらの混合物を添加することにより反応生成物を沈殿させることができ、そして濾過によって分離することができ、適切な場合は、更に精製することができる。
【0115】
本発明は、15〜70重量%、好ましくは40〜70重量%の式Iの本発明の染料と担体(キャリア)とを含有するマスターバッチを更に提供する。
【0116】
本発明は、プラスチックの原料着色のための本発明による式Iの化合物の使用を更に提供する。
【0117】
本発明は、本発明の式Iの化合物の使用、または好ましくは分散された形態の、合成繊維を着色するための本発明の混合物の使用を更に提供する。
【実施例】
【0118】
[実施例1]
2.70gのシクロヘキシリデンビスフェノールを4mlの50%濃度水酸化カリウム溶液とともに20mlのN−メチルピロリドン中で窒素雰囲気下で100℃で3時間にわたり攪拌した。その後、6.40gの1−アミノ−2−ブロモ−4−ヒドロキシアントラキノンを導入した。混合物を120℃で2時間にわたり攪拌し、80℃に冷却し、15mlのメタノールで希釈し、室温に冷却後、吸引濾過した。固体生成物を10mlのメタノールおよび100mlの熱水で洗浄し、減圧下において80℃で乾燥させた。これは、式:
【化76】

のレッド粉末3.90g(理論の52%)を生じさせた。
UV/VIS(NMP):λmax=523,561nm、ε=24880 lモル−1cm−1(523nmで)。
【0119】
[実施例2]
実施例1と同様な方法であるが、3.5gの4,4−(1,3−フェニレンジイソプロピリデン)−ビスフェノールを用いて、式:
【化77】

のレッド粉末4.80g(理論の57.6%)を得た。
UV/VIS(NMP):λmax=523,560nm、ε=20850 lモル−1cm−1(523nmで)。
【0120】
[実施例3]
2.30gの2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを4mlの50%濃度水酸化カリウム溶液とともに15mlのN−メチルピロリドン中で窒素雰囲気下にて100℃で3時間にわたり攪拌した。その後、5.71gの1−アミノ−2−ブロモ−4−ヒドロキシアントラキノンを導入した。混合物を120℃で7時間にわたり攪拌し、80℃に冷却し、15mlのメタノールで希釈し、室温に冷却後、吸引濾過した。固体生成物を10mlのメタノールおよび100mlの熱水で洗浄し、減圧下において80℃で乾燥させた。これは、式:
【化78】

のレッド粉末1.07g(理論の16%)を生じさせた。
UV/VIS(NMP):λmax=522,558nm、ε=23970 lモル−1cm−1(522nmで)。
【0121】
[実施例4]
窒素雰囲気下で、2.50gの1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1.42gの水酸化カリウムおよび8.36gの1−アミノ−2−フェノキシ−4−ヒドロキシアントラキノンを20mlのN−エチルピロリドンに導入し、混合物を130℃で11時間にわたり攪拌した。80℃に冷却後、混合物を60mlのメタノールで希釈し、室温に冷却後、混合物を吸引濾過した。固体生成物を10mlのメタノールおよび100mlの熱水で洗浄し、その後、減圧下において80℃で乾燥させた。これは、式:
【化79】

のレッド粉末6.80g(理論の80%)を生じさせた。
UV/VIS(NMP):λmax=518,555nm、ε=24420 lモル−1cm−1(518nmで)。
【0122】
[実施例5]
窒素雰囲気下で、2.50gの2,7−ジヒドロキシナフタレン、3.31gの無水炭酸ナトリウム、0.83gの18−クラウン−6、および9.93gの1−アミノ−2−ブロモ−4−ヒドロキシアントラキノンを25mlの1,2−ジクロロベンゼンに導入し、混合物を165℃で4時間にわたり攪拌した。80℃に冷却後、混合物を60mlのメタノールで希釈し、60℃で1時間にわたり攪拌し、室温に冷却後、混合物を吸引濾過した。固体生成物を10mlのメタノールおよび100mlの熱水で洗浄し、その後、減圧下において80℃で乾燥させた。これは、式:
【化80】

のレッド粉末7.51g(理論の76%)を生じさせた。
UV/VIS(NMP):λmax=525,560nm、ε=26710 lモル−1cm−1(525nmで)。
【0123】
[実施例6]
実施例5と同様の方法において、2.5gの2,6−ジヒドロキシナフタレンを用いて、式:
【化81】

のレッド粉末8.00g(理論の80.8%)を得た。
UV/VIS(NMP):λmax=525,561nm、ε=23870 lモル−1cm−1(525nmで)。
【0124】
[実施例7]
窒素雰囲気下で、2.50gの1,4−ブタンジオールおよび5.88gの炭酸ナトリウムを35mlのN−エチルピロリドン中で、150℃で3時間にわたり攪拌した。その後、18.4gの1−アミノ−2−フェノキシ−4−ヒドロキシアントラキノンを導入し、混合物を160℃で24時間にわたり攪拌した。80℃に冷却後、混合物を60mlのメタノールで希釈し、60℃で1時間にわたり攪拌し、室温に冷却後、吸引濾過した。固体生成物を10mlのメタノールおよび100mlの熱水で洗浄し、その後、減圧下において80℃で乾燥させた。これは8.53gのレッド粉末を生じさせた。100mlのトルエン中で2時間にわたり2回沸騰させ、熱い間に吸引濾過によって単離し、250mlの熱いトルエンおよび次に100mlの熱いメタノールで洗浄することにより、この粉末を精製した。最後に、生成物を100mlの熱水で洗浄し、減圧下において80℃で乾燥させた。これは、式:
【化82】

のレッド粉末5.42g(理論の35%)を生じさせた。
UV/VIS(NMP):λmax=518,556nm、ε=14740 lモル−1cm−1(518nmで)。
【0125】
[実施例8]
a)2.24gの水酸化カリウムを62gのエチレングリコールに溶解させた。9.9gの1−アミノ−2−フェノキシ−4−ヒドロキシアントラキノンを導入し、混合物を窒素雰囲気下にて120℃で6時間にわたり攪拌した。室温に冷却後、混合物を吸引濾過し、固体生成物を20mlのエチレングリコールおよび100mlの水で洗浄し、減圧下において80℃で乾燥させた。これは、式:
【化83】

のレッド粉末7.7g(理論の86%)を生じさせた。
b)a)の生成物2.0gを窒素雰囲気下で25mlのピリジンに導入し、0.68gのテレフタロイルジクロリドを添加し、混合物を還流状態で7時間にわたり攪拌した。室温に冷却後、混合物を吸引濾過し、固体生成物を10mlのメタノールおよび100mlの熱水で洗浄し、減圧下において80℃で乾燥させた。これは、式:
【化84】

のレッド粉末1.85g(理論の76%)を生じさせた。
UV/VIS(NMP):λmax=518,555nm。
【0126】
[実施例9]
2.53gの1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび3.71gの無水炭酸ナトリウムを窒素雰囲気下で30mlのN−エチルピロリドン中で、120℃で3時間にわたり攪拌した。11.49gの1−アミノ−2−フェノキシ−4−ヒドロキシアントラキノンを導入し、その後、混合物を160℃で15時間にわたり攪拌した。100℃に冷却後、混合物を60mlのメタノールで希釈し、室温に冷却した。固体生成物を吸引濾過によって単離し、10mlのメタノールおよび100mlの熱水で洗浄し、減圧下において80℃で乾燥させた。粗生成物を100mlのトルエン中で3時間にわたり攪拌しつつ沸騰させ、熱い間に吸引濾過によって単離し、10mlの熱いトルエンおよび30mlのメタノールで洗浄し、減圧下において80℃で乾燥させた。これは、式:
【化85】

のレッド粉末2.71g(理論の25%)を生じさせた。
UV/VIS(NMP):λmax=519,555nm、ε=21960 lモル−1cm−1(519nmで)。
【0127】
[実施例10]
実施例1と同様の方法において、2.3gの2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび6.69gの1−アミノ−2−ブロモ−4−メトキシアントラキノンを用いて、式:
【化86】

のレッド粉末4.73g(理論の64.3%)を得た。
UV/VIS(NMP):λmax=521,552nm、ε=13450 lモル−1cm−1(521nmで)。
【0128】
実施例11
実施例1と同様の方法において、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび1−アミノ−3−ブロモ−4−ヒドロキシアントラキノンを用いて、式:
【化87】

の染料を得た。
【0129】
[実施例12]
6.70gのテレフタルアルデヒド、24.1gの1−アミノ−4−ヒドロキシジヒドロアントラキノン、2.55gのピペリジン、および1.80gの氷酢酸を窒素雰囲気下で150mlのN−メチルピロリドン中で、150℃で8時間にわたり攪拌した。室温に冷却後、バイオレット懸濁液を吸引濾過し、固体生成物を40mlのN−メチルピロリドン、100mlのメタノール、および300mlの熱水で洗浄した。減圧下において80℃で乾燥させて、式:
【化88】

のバイオレット粉末15.8g(理論の54%)を得た。
UV/VIS(NMP):λmax=538,574nm。
【0130】
[着色実施例]
a)100gのポリスチレン顆粒および0.02gの実施例4の染料をドラムミキサー内で15分にわたり強く混合する。乾式染色された顆粒をスクリュー射出成形機で、240℃で加工する。これは、非常に良好な耐光性および耐移行性の透明な青みかかったレッドシートを生じさせる。
【0131】
ポリスチレンポリマーの代わりに、ブタジエンとアクリロニトリルとのコポリマーを用いることも可能である。
【0132】
追加の0.5gの二酸化チタンを添加し、不透明性の高い着色を得た。
【0133】
b)0.025gの実施例4の染料を100gの透明ポリエチレンテレフタレートグレードと混合し、混合物を二軸スクリュー押出機内にて280℃で均質化する。これは、良好な耐光性および耐移行性を有する透明な青みかかったレッド色を生じさせる。続いての顆粒化後に、着色プラスチックを典型的な熱可塑成形方法により加工することが可能である。
【0134】
1%の二酸化チタンの添加を伴う操作は不透明な着色をもたらす。
【0135】
c)100gの市販ポリカーボネートを0.03gの実施例4の染料と顆粒形態で乾式混合する。こうして粉を混ぜられた顆粒を二軸スクリュー押出機内で、290℃で均質化させる。これは、良好な耐光性および耐移行性を有する透明な青みかかったレッド色を生じさせる。着色ポリカーボネートを押出機からストランドとして押し出し、顆粒に加工する。熱可塑性コンパウンドを加工する典型的な方法によって、この顆粒を加工することが可能である。
【0136】
1%の二酸化チタンの添加を伴う操作は不透明な着色をもたらす。
【0137】
d)同様の手順をスチレンアクリロニトリルコポリマーを用いて行うが、190℃で均質化させる。
【0138】
e)0.05gのt−ドデシルメルカプタンおよび0.05gの実施例4の染料を98.9gのスチレンに溶解させる。この溶液を200gの脱イオン水、0.3gの部分加水分解ポリ酢酸ビニル(例えば、モウィオール(Mowiol)(登録商標)50/88)および0.05gのドデシルベンゼンスルホネートの溶液中に分散させる。1gのスチレン中の溶液中の0.1gの過酸化ジベンゾイルの添加後、分散液を激しく攪拌しつつ80℃に加熱し、重合を開始させる。以下の重合条件:80℃で4時間、90℃で2時間、110℃で3時間、130℃で2時間を用いて、理論の98%の収率でポリマーを製造する。ポリマーは攪拌条件に応じて異なるビーズの形態で得られ、0.1〜1.5mmの直径(D50)を有する。ポリマーを濾過によって液相から分離し、0.5%の残留水分含有率まで110℃で乾燥させる。溶融(ホットロール)後、0.5%のステアリン酸亜鉛と0.2%のイオノール(Ionol)を混合し、そしてポリマーを顆粒化する。
【0139】
上記の青みがかった赤色ポリマーは、例えば、射出成形によるなどの熱可塑成形の典型的な方法によって加工して、青みがかった赤色透明成形品を生じさせることが可能である。
【0140】
同様の方法において、実施例1〜3および5〜11の染料、および以下の表の染料および混合物も用いることが可能である。結果は、良好な堅牢特性を有するレッド色またはブラウン色である。
【0141】
[混合実施例]
用いられた染料は次の通りである。
【0142】
【化89】

【0143】
【化90】

【0144】
【化91】

【0145】
(4)=式(L)において、R10=COOCHおよびR11=H
(5)=式(C)において、R20=COOCH、R21=R23=CH、R22=R24=CN、R25=−CHCHCHOCH、R26=H
(6)=式(LIII)
【0146】

【化92】

【0147】
【化93】

(9)=式(CI)であって、R27=R28=H
(10)=式(CCI)
(11)=式(CCII)であって、R29=H
(12)=式(CCIII)であって、R30=CH、R31=CN、R32=エチル、R33=p−位のシクロヘキシル
(13)=式(CCLI)であって、R34=R35=H、R36=R37=p−位のCH
【0148】
【化94】

【0149】
【化95】

【0150】
[混合物の染料実施例]
【0151】
【表1】

【0152】
【表2】

【0153】
【表3】

【0154】
【表4】

【0155】
【表5】

【0156】
[混合物の溶液]
染料の最大溶解度をメチルベンゾエート中で測定した。これらの飽和溶液を記載量のオレンジ染料(4)(=式(L)において、R10=COOCHおよびR11=H)と最終的に混合した。この染料は、同様に溶液に完全に溶解した。
【0157】
【表6】

【0158】
【表7】

【0159】
溶液のスペクトルデータを調べた。比較染料(7):
【化96】

の飽和溶液を用いて達成可能な最大の色の濃さ(吸光度)を基準にして、本発明レッド染料およびレッド混合物の溶液は、最高80倍を超える色の濃さに達することがわかった。
【0160】
[押出試験]
プラスチックとしてPETを用い、そして
a)比較染料(7)を用い、
b)レッド染料(5)とオレンジ染料(4)の50/50混合物を用い、
押出試験を行った。
【0161】
この試験のために、レイストリッツ(Leistritz)製のZSE18HP押出機を用いた。速度を600rpmに、バレルのジャケット温度を245℃に、一定に保持した。25rpmの速度の単軸スクリューを有するブラベンダ(Brabender)DS28計量装置を介してPET/染料混合物を計量した。用いたPETのグレードは、ボリジアン(Voridian)9921Wであった。
【0162】
以下の表から明らかな通り、染料(7)の濃度を20%から30%に上げた場合、染料(7)を用いて、溶融圧力は12バールから16バールに大幅に上昇する。対照的に、染料(5)および(4)の等量部から構成され且つ30%の全染料含有率を有する染料混合物を用いる場合、溶融圧力は遙かに低く、そして驚くべきことに、45%に達する全体の染料濃度でさえも更に上昇しない。従って、このバッチのさらに多い添加が可能である。
【0163】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)、(C)または(CI):
【化1】

[式中、
は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、または任意に置換されたC〜Cシクロアルキルであり、
Bは、式−O−B−O−または−CH−B−CH−の架橋であり、
は、式:
【化2】

の架橋であり、
は、式:
【化3】

の架橋であり、
は、水素、メチル、エチル、メトキシ、またはフッ素であり、
Xは、式:
【化4】

の架橋であり、
Yは、式:
【化5】

の架橋であり、
lは0〜8の整数であり、
m、n、pおよびrは互いに独立して1〜8の整数であり、
qは2〜8の整数であり、
sおよびtは互いに独立して1〜4の整数であり、
20およびR22は互いに独立してシアノまたは任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニルであり、
21は、水素または任意に置換されたC〜Cアルキルであり、
23は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニルであり、
24は、シアノ、任意に置換されたC〜Cアルキルスルホニルまたは任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニルであり、
25は、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cシクロアルキル、任意に置換されたC〜C10アリールであり、
26は水素であるか、またはR25とは無関係にR25の定義を有するか、あるいはNR2526は、ピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノであり、
27は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cアルコキシ、フッ素、シアノ、任意に置換されたC〜Cシクロアルキルまたは任意に置換されたC〜C10アリールを有する1つ以上の基であり、
28は水素または任意に置換されたC〜Cアルキルである]
の少なくとも1種のレッド染料と、
下記式(L)、(LI)、(LII)、(LIII)、(LIV)または(LV):
【化6A】

【化6B】

[式中、
10は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cアルコキシ、任意に置換されたC〜Cアルキルスルホニル、任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニル、ニトロ、シアノまたはフッ素であり、
11は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cアルコキシ、任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニル、ニトロ、シアノまたはフッ素であり、
12は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cシクロアルキルであり、
13は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニルであり、
14は、シアノ、任意に置換されたC〜Cアルキルスルホニルまたは任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニルであり、
はOまたはSであり、
はNまたはC−CNであり、
15およびR16は互いに独立して、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cシクロアルキルまたは任意に置換されたC〜C10アリールであるか、または
NR1516は、ピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノであり、
17は水素またはC〜Cアルキルであり、
18は任意に置換されたC〜C10アリールであり、
23’は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cアルコキシカルボニルであり、
24’は、シアノ、任意に置換されたC〜Cアリキルスルホニルまたは任意に置換されたC〜Cアリコキシカルボニルであり、
25’は、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cシクロアルキル、任意に置換されたC〜C10アリールであり、
26’は水素であるか、またはR25’とは独立にR25’の定義を有するか、あるいはNR25’26’は、ピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノであり、
43およびR44は互いに独立して、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、より特にモノ−またはポリ−フッ素置換C〜Cアルキル、ニトロ、シアノ、C〜Cアルコキシカルボニルであり、
45は、水素、メチル、フッ素または塩素である]
の少なくとも1種のオレンジ染料と
を含む混合物。
【請求項2】
式(I)のレッド染料と、式(L)、(LI)、(LII)、(LIII)、(LIV)または(LV)の、より特に式(L)の少なくとも1種のオレンジ染料とを含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
式(C)のレッド染料と、式(L)、(LI)、(LII)、(LIII)、(LIV)または(LV)の、より特に式(L)の少なくとも1種のオレンジ染料とを含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項4】
式(CI)のレッド染料と、式(L)、(LI)、(LII)、(LIII)、(LIV)または(LV)の、より特に式(L)の少なくとも1種のオレンジ染料とを含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項5】
式I(式中、
は水素またはメチルであり、
は、式:
【化7】

の架橋であり、
はメチルまたは塩素であり、
Xは、式:
【化8】

の架橋であり、
Yは、式:
【化9】

の架橋であり、
lは0〜4の整数であり、
m、nおよびpは互いに独立して1〜4の整数であり、
qおよびrは互いに独立して2〜6の整数であり、
sおよびtは互いに独立して1〜2の整数であり、
上記で規定していなかった環位置は、1,2−、1,3−または1,4−である)
のレッド染料を含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項6】
式(I)(式中、
は水素またはメチルであり、
は、式:
【化10】

の架橋であり、
Yは、式:
【化11】

の架橋であり、
pは1〜6の整数であり、
rは2〜6の整数であり、
上記で規定していなかった環位置は、ベンゼン環またはシクロヘキサン環の場合、1,2−、1,3−または1,4−であり、ナフタレン環の場合、2,6−および2,7−である)
のレッド染料を含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項7】
式(C):
(式中、
20は、シアノ、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル、より好ましくはシアノまたはメトキシカルボニル、非常に好ましくはメトキシカルボニルであり、
22はシアノであり、
21は、水素またはメチル、より好ましくはメチルであり、
23は、メチルまたはメトキシカルボニル、より好ましくはメチルであり、
24は、シアノ、メタンスルホニル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル、より好ましくはシアノであり、
25は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、シアノエチル、ベンジル、シクロヘキシル、フェニルまたはトリル、より好ましくはエチル、プロピル、ブチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、ベンジル、シクロヘキシルまたはフェニル、非常に好ましくはプロピル、ブチルまたはメトキシプロピルであり、
26は水素であるか、またはR25とは独立してR25の定義を有するか、あるいはNR2526は、ピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノであり、
より特に、R20がCOOCHであるとき、R21およびR23はCHであり、R22およびR24はCNであり、R25は−CHCHCHOCHであり、R26はHである)のレッド染料と、
式(L)(より特に、式中、
10はCOOCHであり、R11はHである)
のオレンジ染料と
を含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項8】
少なくとも
a)好ましくは420〜460nmのλmaxを有するイエロー染料および好ましくは610〜700nmのλmaxを有する少なくとも1種のグリーン染料、または
b)好ましくは420〜460nmのλmaxを有するイエロー染料および好ましくは570〜640nmのλmaxを有する少なくとも1種のブルー染料
を更に含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項9】
a)式(CCI)、(CCII)、(CCIII)、(CCIV)または(CCV):
【化12】

[式中、
29は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cアルコキシ、フッ素、シアノ、任意に置換されたC〜Cシクロアルキルまたは任意に置換されたC〜C10アリールの定義を有する1つ以上の基であり、
30は、水素、メチル、エチルまたはメトキシであり、
31は、シアノ、C〜CアルコキシカルボニルまたはC〜Cアルカンスルホニルであり、
32は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cシクロアルキルであり、
33は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cアルコキシ、任意に置換されたC〜Cシクロアルキルまたは任意に置換されたC〜C10アリールであり、
は、式:
【化13】

の架橋である]
の少なくとも1種のイエロー染料、および
式(CCLI):
【化14】

[式中、
34およびR35は、互いに独立して水素、ヒドロキシルまたはC〜Cアルコキシであり、
36およびR37は、互いに独立して水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cアルコキシ、フッ素、任意に置換されたC〜Cシクロアルキルまたは任意に置換されたC〜C10アリールである]
の少なくとも1種のグリーン染料、または
b)前記式(CCI)、(CCII)、(CCIII)、(CCIV)または(CCV)の少なくとも1種のイエロー染料および式(CCCI):
【化15】

[式中、
38およびR39は、互いに独立して、任意に置換されたC〜Cアルキル、任意に置換されたC〜Cシクロアルキルまたは任意に置換されたC〜C10アリールである]
の少なくとも1種のブルー染料
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の混合物。
【請求項10】
15〜80重量%、より特に15〜70重量%の請求項1に記載の混合物および担体を含むマスターバッチ。
【請求項11】
プラスチックの原料着色のための請求項1に記載の混合物の使用。
【請求項12】
プラスチックを原料着色する方法であって、好ましくはマスターバッチの形態を取った請求項1に記載の混合物をプラスチックの溶融塊に組み込むか、または重合の前に、プラスチックを製造するための出発成分に実際に添加することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1に記載の混合物を含むプラスチック。
【請求項14】
式I:
【化16】

、より特に式(Ia):
【化17】

[式中、
−B−は、式−O−B−O−または−CH−B−CH−であり、
は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキル、または任意に置換されたC〜Cシクロアルキルであり、
は、式:
【化18】

の架橋であり、
は、式:
【化19】

の架橋であり、
は、メチル、エチル、メトキシ、またはフッ素であり、
Xは、式:
【化20】

の架橋であり、
Yは、式:
【化21】

の架橋であり、
lは0〜8の整数であり、
m、n、pおよびrは、互いに独立して1〜8の整数であり、
qは2〜8の整数であり、
sおよびtは、互いに独立して1〜4の整数である]
の化合物。
【請求項15】
が水素またはメチルであり、
が式:
【化22】

の架橋であり、
がメチルであり、
Xが式:
【化23】

の架橋であり、
Yが式:
【化24】

の架橋であり、
lが0〜4の整数であり、
m、nおよびpが互いに独立して1〜4の整数であり、
qおよびrが互いに独立して2〜6の整数であり、
sおよびtが互いに独立して1〜2の整数であり、
上記で規定していなかった環位置が1,2−、1,3−または1,4−であることを特徴とする請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が水素またはメチルであり、
が式:
【化25】

の架橋であり、
Yが式:
【化26】

の架橋であり、
pが1〜6の整数であり、
rが2〜6の整数であり、
上記で規定していなかった環位置が、ベンゼン環またはシクロヘキサン環の場合、1,2−、1,3−または1,4−であり、ナフタレン環の場合、2,6−および2,7−であることを特徴とする請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
Bが請求項14に記載の架橋−O−B−O−である式(I)の化合物の染料の製造方法であって、
式(II):
【化27】

[式中、
は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cシクロアルキルであり、
Rは、塩素、臭素またはフェノキシである]
のアントラキノン化合物を、
式(III):
HO−B−OH (III)
[式中、
は、式:
【化28】

の架橋であり、
は、メチル、エチル、メトキシ、またはフッ素であり、
Xは、式:
【化29】

の架橋であり、
Yは、式:
【化30】

の架橋であり、
lは0〜8の整数であり、
m、n、pおよびrが互いに独立して1〜8の整数であり、
qが2〜8の整数であり、
sおよびtが互いに独立して1〜4の整数である]
の二官能性アルコールと、
反応させることを特徴とする製造方法。
【請求項18】
請求項14に記載の式(I)(式中、
Bは架橋−O−B−O−であり、
は、式:
【化31】

の架橋であり、
Yは、式:
【化32】

の二官能性基であり、
m、nおよびrが互いに独立して1〜8の整数であり、
nおよびmは等しく、
qは2〜8の整数である)
の化合物を製造する方法であって、
式(IV):
【化33】

[式中、
は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cシクロアルキルであり、
nは1〜8の整数である]
のアントラキノン化合物を、
式(V):
【化34】

または式(VI):
A−CO−(CH−CO−A (VI)
の二官能性酸塩化物またはエステル、
あるいは
式(VII):
【化35】

または式(VIII):
O=C=N−(CH−N=C=O (VIII)
の二官能性イソシアネート
[式中、
AはClまたはメトキシであり、
rは1〜8の整数であり、
qは2〜8の整数である]
と反応させることを特徴とする製造方法。
【請求項19】
請求項14に記載の式(I)(式中、
Bは架橋−O−B−O−であり、
は、式:
【化36】

の架橋であり、
は、メチル、エチル、メトキシまたはフッ素であり、
Xは、式:
【化37】

の架橋であり、
Yは、式:
【化38】

の架橋であり、
lは0〜8の整数であり、
m、n、pおよびrは互いに独立して1〜8の整数であり、
qは2〜8の整数であり
sおよびtは互いに独立して1〜4の整数である)
の染料を製造する方法であって、
式(II):
【化39】

[式中、
は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cシクロアルキルであり、
Rは、塩素、臭素またはフェノキシである]
のアントラキノン化合物を
式(IX):
【化40】

[式中、
は、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cシクロアルキルである]
のアントラキノン化合物と反応させることを特徴とする製造方法。
【請求項20】
Bが架橋−CH−B−CH−である請求項14に記載の式(I)の染料を製造する方法であって、
1つの互変異性形態が式(X):
【化41】

[式中、Rは、水素、任意に置換されたC〜Cアルキルまたは任意に置換されたC〜Cシクロアルキルである]
に対応するジヒドロアントラキノン化合物を、
式(XI):
OCH−B−CHO (XI)
[式中、
は、式:
【化42】

の架橋であり、
Yは、式:
【化43】

の架橋であり、
pおよびrは互いに独立して1〜8の整数であり、
qは2〜8の整数であり、
sおよびtは互いに独立して1〜4の整数である]
の二官能性アルデヒド
と反応させることを特徴とする製造方法。
【請求項21】
15〜90重量%、より特に15〜70重量%の請求項14に記載の式Iの化合物と、担体とを含むマスターバッチ。
【請求項22】
プラスチックの原料着色のための請求項14に記載の化合物の使用。
【請求項23】
プラスチックを原料着色する方法であって、好ましくはマスターバッチの形態を取った請求項14に記載の混合物を溶融プラスチック塊に組み込むか、または重合の前に、プラスチックを製造するための出発成分に実際に添加することを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項14に記載の化合物を含むプラスチック。
【請求項25】
好ましくは分散された形態での、合成繊維を着色するための請求項1に記載の混合物または請求項14に記載の化合物の使用。

【公開番号】特開2009−108302(P2009−108302A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−238573(P2008−238573)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】