説明

レトルト殺菌用包装材料およびその包装体

【課題】食品、非食品、医薬品、医療機器などの包装分野に用いられるレトルト殺菌用包装材料およびその包装袋に関する。さらに詳細には、特に、開封性や耐衝撃性に優れていることはもとより、安価で、安定して製造が可能なレトルト殺菌可能な包装袋に関
生産ができるレトルト殺菌用包装材料およびその包装体に関する。連続搬送している基材に塗布形成された膜を乾燥させる塗布膜の乾燥装置に関する。
【解決手段】
ガスバリア性基材フィルムと中間層を介して表裏がポリプロピレン系樹脂層からなる3層が共押出成形法により積層された共押出積層フィルムとが接着剤を介して積層されたことを特徴とするレトルト殺菌用包装材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、非食品、医薬品、医療機器などの包装分野に用いられるレトルト殺菌用包装材料およびその包装体に関する。特に、開封性や耐衝撃性に優れていることはもとより、カールが生じ難く、効率よく安定して生産ができ、且つ、安価に製造できるレトルト殺菌用包装材料およびその包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品や非食品及び医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これら気体(ガス)を遮断するガスバリア性を備えることが求められている。
【0003】
また、内容物の変質を防止するため、内容物を包装材料で密封包装した後、加熱または加熱加圧するレトルト殺菌等が行われている。
【0004】
前記レトルト殺菌用の包装袋を構成する包装材料は、プラスチックフィルムを主体とし、金属箔を含むものであり、例えば外側から、ポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミニウム箔(Al箔)/無延伸ポリプロピレン(CPP);延伸ポリプロピレン(OPP)/Al箔/CPP;延伸ナイロン(ONy)/Al箔/CPP;PET/Al箔/ナイロン(Ny)/CPP;OPP/Al箔/Ny/CPP;ONy/Al箔/Ny/CPPのような構成のものが実用されている。そして、それぞれの層の積層には二液硬化型ウレタン系接着剤が使用されている。
【0005】
前記包装材料は、レトルトの湿熱に耐えるよう、無延伸ポリプロピレン(CPP)をシーラントとしている。この無延伸ポリプロピレン(CPP)は、通常、耐熱性、強度の点で優れている。そして、この無延伸ポリプロピレン(CPP)は、120℃、20分間加熱時の収縮率が縦方向および/または横方向それぞれ1〜5%であった。
【0006】
上記従来の包装材料に使用されているアルミニウム箔は、酸素や水蒸気などのガスを透過させない、バリヤー層として優れたものであり、従来の包装材料はこのバリヤー性を目的として、アルミニウム箔を用いている。しかし、アルミニウム箔は金属であるため透明性がなく、パウチの中身を透視できないという問題があった。また、金属箔であるため、パウチを電子レンジで加熱することができないという問題があった。
【0007】
このような内容物の透視あるいは電子レンジによる加熱を可能としながら、酸素や水蒸気等のガスを透過させない材料として、無機物質の薄膜をプラスチックフィルム上に形成した材料が多く提案されている。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等のフィルム上に、真空蒸着により酸化ケイ素を1000Åの厚さに形成した、バリヤー性材料が示されている。
【0008】
さらに、真空蒸着により薄膜を形成したバリヤー性材料に2種2層共押出フィルムを積層したレトルト殺菌包装材料及び包装袋も多く提案されている。例えば、レトルト殺菌包装袋に耐衝撃性や易開封性が要望されている中で、耐衝撃性と易開封性の両方の性状を有するレトルト殺菌可能な包装袋が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
この包装袋は基材層、中間層、シーラント層を順次積層した積層フィルムからなるレトルト殺菌可能な包装袋である。そして、基材層と中間層は共押出成形法によって成膜積層
され、接着剤を介してシーラント層と積層されている。また、シーラント層は、エチレン・プロピレン・ブロック共重合体樹脂で構成された無延伸ポリプロピレンフィルムが用いられている。
【0010】
また、無機物質の薄膜層を形成したプラスチックフィルムとシーラント層を含むレトルト殺菌用包装材料で無機物質の薄膜にクラックが生じることがなく、且つ、白化が生じず透明性に優れた、レトルト殺菌用包装材料も知られている。(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
前記レトルト殺菌用包装材料はプラスチックフィルム上に無機物質の薄膜層を形成したバリヤーフィルムと、収縮率が0.5%以下で、かつ、ゴム成分を含まない無延伸ポリプロピレンからなるシーラント層とを、接着剤により積層したレトルト殺菌用包装材料である。そして、無機物質としては、酸化ケイ素が好ましいと記載されている。
【0012】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平11−79191号公報
【特許文献2】特開平6−179473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、特許文献1の包装袋は基材層と中間層が共押出成形法によって積層され、中間層面とシーラント層が接着剤を介して貼り合わされている積層フィルムから形成されている。そして、各層のフィルムの材料は全て異なるのもので積層されている。
【0014】
前記積層フィルムは上述したように基材層と中間層が2種2層の構成からなる共押出積層フィルムから形成されている。
【0015】
このため、シーラント層と貼り合わせする際にも、カールが生じると共に、積層された積層フィルムにもカールが生じるという問題がある。そして、この積層フィルムを製袋加工機等で製袋する際、加工性が悪く、作業効率が著しく低下すると同時に製袋加工された包装袋にもカールが生じるという問題がある。
【0016】
また、特許文献2のレトルト殺菌用包装材料は印刷基材層と無機物質の薄膜層が形成されているプラスチックフィルム、とシーラント層が接着剤を介して貼り合わされている積層フィルムから形成されている。そして、各層のフィルムの材料は全て異なるのものが積層されている。
【0017】
また、前記積層フィルムを作製する際には、ドライラミネーション等で貼り合わされる。貼り合わす場合、印刷基材層と無機物質の薄膜層が形成されているプラスチックフィルムを貼り合わせた後、シーラント層を積層する。または、シーラント層と無機物質の薄膜層が形成されているプラスチックフィルムを貼り合わせた後、印刷基材層を積層するかのいずれかで貼り合わされる。このため、少なくとも2回の貼り合わせが必要になる。
【0018】
そして、2回目の貼り合わせ作業をする際に、特許文献1と同様にカールが生じると共に、積層された積層フィルムにもカールが生じるという問題がある。そして、この積層フィルムを製袋加工機等で製袋する際、加工性が悪く、作業効率が著しく低下すると同時に製袋加工された包装袋にもカールが生じるという問題がある。
【0019】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、貼り合わせ工程を減らし、且つ、カールの発生を防止しすると共に、貼り合わせ作業等が安定して、効率良く、安価に製造できるレトルト殺菌用包装材料およびその包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記問題点を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、
ガスバリア性基材フィルムとポリアミド系樹脂層(中間層)を介して表裏がポリプロピレン系樹脂層からなる3層が共押出成形法により積層された共押出積層フィルムとが接着剤を介して積層されたことを特徴とするレトルト殺菌用包装材料である。
【0021】
次に、本発明の請求項2に係る発明は、
前記共押出積層フィルムが2種3層構成であることを特徴とする請求項1記載のレトルト殺菌用包装材料である。
【0022】
次に、本発明の請求項3に係る発明は、
前記ガスバリア性基材フィルムが基材フィルムと接着剤を介して透明蒸着フィルムからなることを特徴とする請求項1または2記載のレトルト殺菌用包装材料である。
【0023】
次に、本発明の請求項4に係る発明は、
前記ガスバリア性基材フィルムが基材フィルムと接着剤を介してアルミニウム箔からなることを特徴とする請求項1または2記載のレトルト殺菌用包装材料である。
【0024】
次に、本発明の請求項5に係る発明は、
前記基材フィルムの裏側面に印刷層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレトルト殺菌用包装材料である。
【0025】
次に、本発明の請求項6に係る発明は、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のレトルト殺菌用包装材料を袋状に成形して用いることを特徴とするレトルト殺菌用包装体である。
【0026】
次に、本発明の請求項7に係る発明は、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のレトルト殺菌用包装材料を容器状に成形して用いることを特徴とするレトルト殺菌用包装体である。
【発明の効果】
【0027】
本発明のレトルト殺菌用包装材料およびその包装体は、以上の構成からなるので、貼り合わせ等の作業工程時および積層された該包装材料はカールが生じ難く、貼り合わせ作業等が安定して、効率良く円滑にできる。そして、生産効率が向上し、製造コストを低減することができる。
【0028】
さらに、ガスバリア性基材フィルムと2種3層構成の共押出フィルムを積層するため、カールが防止できることはもとより、貼り合わせ工程等を減少することができる。そして、均一で安定した品質で安価に製造できる。
【0029】
また、本発明のレトルト殺菌用包装材料はカール等が生じ難くいため、製袋加工や成型加工がし易く、且つ安定して効率良く生産できる。そして、品質が均一で優れた包装体が公知の製造加工機等で安価に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明のレトルト殺菌用包装材料およびその包装体を実施の形態に沿って以下に図面を参照にしながら詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明のレトルト殺菌用包装材料の構成の一実施例の断面を示す断面図である。
【0032】
図1に示すように、本発明のレトルト殺菌用包装材料は共押出積層フィルム4とガスバリア性基材フィルム9が接着剤を介して積層されている。
【0033】
そして、ガスバリア性基材フィルム9は透明プラスチック材料からなる基材フィルム5の少なくとも片面に、一般式R’Si(OR)3(R’:アルキル基、ビニル基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基など)で表せる3官能オルガノシランあるいは前記オルガノシランの加水分解物と、アクリルポリオールとイソシアネート化合物との複合物からなる透明プライマー層6、厚さ5〜300nmの無機酸化物7、さらに、無機酸化物7上に、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は、(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜層8を順次積層している。
【0034】
前記ガスバリア性被膜層8は、必ずしも設ける必要はなく、要求品質に応じて設けることもできる。
【0035】
一方、共押出フィルム積層4は、ポリプロピレン系樹脂層3(貼り合わせ側)とポリアミド系樹脂層2とポリプロピレン系樹脂層1(シーラント側)とを共押出成形法により積層されてなる2種3層の共押出積層フィルム4である。
【0036】
前記共押出積層フィルム4のシーラント側のポリプロピレン系樹脂層1は、熱封緘性を有する樹脂層でなければならないことは勿論のこと、レトルト殺菌可能な耐熱水性を必要とする。このため、エチレン・プロピレン・ブロック共重合体樹脂で構成された無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)が好適に使用できる。なかでも、ブロックポリプロピレンを構成する結晶性ポリマー成分のエチレン含有量が5重量%以上であり、かつ、ゴム成分のエチレン含有量が40重量%以上である、エチレン・プロピレン・ブロック共重合体樹脂で、DSCでの融点が140°C以上であるCPPがさらに好適に使用できる。
【0037】
前記ガスバリア性基材フィルム9の基材フィルム5としては、透明プラスチック材料
であり、蒸着薄膜層の透明性を生かすために透明なフィルムが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が用いられ、延伸、未延伸のどちらでも良く、また機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。これらをフィルム状に加工して用いられる。特に二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
【0038】
また、この基材フィルム5の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていても良く、薄膜との密着性を良くするために、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理を施しておいても良く、さらに薬品処理、溶剤処理などを施しても良い。
【0039】
前記基材フィルム5の厚さは、特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性、他の層を積層する場合もあること、透明プライマー層6及び無機酸化物からなる蒸着
薄膜層7、ガスバリア性被膜層8を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲で、用途によって6〜30μmとすることが好ましい。
【0040】
また、量産性を考慮すれば、連続的に各層を形成できるように長尺フィルムとすることが望ましい。
【0041】
前記ガスバリア性基材フィルム9の透明プライマー層6は、透明プラスチック材料からなる基材フィルム5上に設けられ、基材フィルム5と無機酸化物からなる蒸着薄膜層7との間の密着性を高め、ボイル殺菌やレトルト殺菌、オートクレーブ殺菌後のデラミネーション発生等を防止することを目的とする。
【0042】
上記目的達成のためにプライマー樹脂として用いることができるのは、3官能オルガノシランあるいはその加水分解物と、アクリルポリオール及びイソシアネート化合物等との複合物である。
【0043】
さらに、透明プライマー層6を構成する複合物について詳細に説明する。前記3官能
オルガノシランは、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシランなど一般式R’Si(OR)3(R’はアルキル基、ビ
ニル基、グリシドオキシプロピル基等、Rはアルキル基等)で表せるもの、あるいはその加水分解物である。なかでもR’中にエポキシ基が含まれているグリシドオキシトリメトキシシランやエポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等が特に好ましい。加水分解物を得る方法は、3官能オルガノシランに直接酸やアルカリ等を添加して加水分解を行う方法など既知の方法で得ることができる。
【0044】
透明プライマー層6の厚さは、均一に塗膜が形成することができれば特に限定しない
が、一般的に0.01〜2μmの範囲であることが好ましい。厚さが0.01μmより薄いと均一な塗膜が得られにくく、密着性が低下する場合がある。また厚さが2μmを越える場合は厚いために塗膜にフレキシビリティを保持させることができず、外的要因により塗膜に亀裂を生じる恐れがあるため好ましくない。特に好ましいのは0.05〜0.5μmの範囲内にあることである。
【0045】
前記透明プライマー層6の形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いることができる。乾燥条件については、一般的に使用される条件で構わない。
【0046】
無機酸化物からなる蒸着薄膜層7は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マ
グネシウム、あるいはそれらの、混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなる。そして、透明性を有し、且つ、酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものであればよい。これらの中では、特に酸化アルミニウム及び酸化珪素が好ましい。ただし本発明における蒸着薄膜層7は、上述した無機酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料であれば用いることができる。
【0047】
蒸着薄膜層7の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。
【0048】
また膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがあ
る。蒸着薄膜層3の厚さは、好ましくは、10〜150nmの範囲内である。
【0049】
無機酸化物からなる蒸着薄膜層7を透明プライマー層6上に形成する方法としては種々在り、通常の真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることもできる。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。
【0050】
また、真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式が好ましく、薄膜と基材の密着成及び薄膜の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなど吹き込んだりする反応蒸着を行っても一向に構わない。
【0051】
ガスバリア性被膜層8は、要求品質によりアルミニウム箔並の高いガスバリア性を付与するために無機酸化物からなる蒸着薄膜層7上に設けられるものである。
【0052】
上記ガスバリア性被膜層8は、水溶性高分子と(a)1種以上の金属アルコキシド及
び加水分解物又は、(b)塩化錫、の少なくとも一方を含む水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。水溶性高分子と塩化錫を水系(水あるいは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、あるいはこれに金属アルコキシドを直接、あるいは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を無機化酸化物からなる蒸着薄膜層7にコーティング、加熱乾燥し形成される。
【0053】
次に、本発明において用いられる共押出積層フィルム4は、通常のTダイ法あるいは
インフレーション法の共押出成形法によって成膜積層される。そして、ポリアミド系樹脂層2の表側面と裏側面に図には示していないが接着性樹脂層を介してエチレン−プロピレン共重合体樹脂層1、3あるいはポリプロピレン系樹脂層1、3が形成されている。
【0054】
前記共押出積層フィルム4を構成するエチレン−プロピレン共重合体樹脂層1、3の素材としては、例えば、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマーなどの結晶性のポリプロピレン系樹脂およびこれらの混合物が用いられる。このエチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマーのエチレン含有量は、特に制限されないが、通常20重量%以下である。また、メルトフローレート(JIS K―7210、230℃、2.16kg荷重)は特に制限がないが通常0.01〜100g/10分の範囲である。
【0055】
前記ポリプロピレン系樹脂層1、3は、包装材料として製袋などの成形体とする際の熱接着層としてのシーラント層として設けられるものである。素材としては、シーラントとして機能するものであれば特に制限されず、例えば、プロピレンホモポリマーやエチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマーが用いられる。厚さとしては、10〜200μmの範囲が望ましい。10μm未満では、包装材料として十分な強度が得られない。200μmを超えると経済的に不利である。
【0056】
また、共押出積層フィルム4を構成するポリアミド系樹脂層2の素材としては、ポリアミド系樹脂であれば、特に限定されず、ホモポリアミド、コポリアミドあるいはこれらの混合物のいずれも使用できる。
【0057】
例えば、具体例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−9−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジ
パミド(ナイロン2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキサメチレンジアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン10,10)、ポリドデカメチレンドデカミド(ナイロン12,12)、メタキシレンジアミン−6ナイロン(MXD6)等を挙げることができる。
【0058】
上記の基層構成樹脂中には、必要に応じて他の添加剤、たとえば可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、耐ブロッキング剤、他の樹脂などを適量ブレンドすることも可能である。
【0059】
前記接着性樹脂層を構成する素材としては、例えば、酢酸ビニル基、アクリル基、メタクリル基、アクリル酸エステル基、メタクリル酸メチル基、無水マレイン酸基、グリシジルメタクリル酸基、メタクリル酸の金属イオン化基などの接着性機能を付与する極性を有する官能基をもつモノマーをエチレン、プロピレン等のα−オレフィンと高圧下で共重合させてランダムコポリマーとするか、あるいは、エチレン、プロピレンまたは2種以上のα−オレフィン共重合体に上記の官能基をもつモノマー基を触媒重合法、または光・放射線重合法によりグラフトコポリマーとし、接着性を有するポリオレフィン系樹脂が用いられる。
【0060】
上記で得られるガスバリア性基材フィルム9と共押出積層フィルム4との積層は、ガスバリア性基材フィルム9の蒸着層面(ガスバリア被覆層を設けた場合はガスバリア被覆
層面、また印刷層を設けた場合は印刷層面)と共押出積層フィルム4のエチレン−プロピレン共重合体樹脂層3またはポリプロピレン系樹脂層3とを接着剤層30を介して積層される。
【0061】
前記接着・積層方法としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂もしくはこれらの樹脂の共重合体樹脂からなる反応硬化型接着剤を用いたドライラミネーション法により接着・積層することができる。接着剤の塗布量は、固形分量で1.0〜5.0g/m2の範囲で、例えば、グラビアコート法などの公知の塗布手段により塗布・形成することができる。
【0062】
なお、ガスバリア性基材フィルム9に、図2に示すような印刷層11など他の層を積層することも可能である。前記印刷層11は、包装体などとして実用的に用いるために形成されるものであり、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等の添加剤などが添加されてなるインキにより構成される層であり、文字、絵柄等が形成されている。そして、その形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコート等の周知の塗布方式を用いることができる。厚さは0.1〜2.0μmでよい。
【0063】
次に、図3は、本発明のレトルト殺菌用包装材料の構成のまた他の一実施例の断面を示す断面図である。
【0064】
図3に示すように、本発明のレトルト殺菌用包装材料は共押出積層フィルム4とガスバリア性基材フィルム13が接着剤10を介して積層されている。
【0065】
そして、ガスバリア性基材フィルム13はプラスチック材料からなる基材フィルム5の
少なくとも片面に、アルミニウム箔12が接着剤10を介して積層されている。前記アルミニウム箔12の厚は、加工性の確保および酸素の侵入を防止するために6〜20μmが必要である。
【0066】
そして、6μm未満の厚さにおいては、貼り合わせ(ラミネート)加工や包装体(製袋、容器成型)加工時においてアルミニウム箔12の破断が起きやすくなり、また破断しない時でもピンホール等が発生しやすいため酸素の危険性が高くなる。
【0067】
一方、20μmを超える厚さにおいては、加工時の破断の改善効果もまたピンホール発生防止効果も特に改善されるわけでないので単に積層体の総厚を厚くし、重量を増すと共にコストが上昇するので避けることが望ましい。
【0068】
また、アルミニウム箔12の材質としては、アルミニウム−鉄系合金の(軟質材)を使用する。鉄含有量が0.3〜9.0%、好ましくは0.7〜2.0%とすることが望ましい。
【0069】
前記鉄含有量が0.3%未満の場合は、ピンホールの発生の防止効果が認められず、また、前記アルミニウムの鉄含有量が9.0%を超える場合は、アルミニウムとしての柔軟性が阻害され、積層体として加工性が悪くなる。
【0070】
また、冷間圧延で製造されたアルミニウムは焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・腰の強さ・硬さが変化するが、アルミニウムは焼きなましをしていない、いわゆる硬質処理品より、多少または完全に焼きなまし処理を行った柔軟性アルミニウムが好ましい。
【0071】
前記アルミニウムの柔軟性・腰の強さ・硬さの度合い、すなわち焼きなましの条件は、加工適性(レトルト殺菌用包装体の製袋、容器加工)に合わせ適宜選定すればよい。
【0072】
例えば、しわやピンホールを防止するためには、加工の程度に応じて焼きなましされた柔軟アルミニウムを用いることが望ましい。
【0073】
次に、本発明のレトルト殺菌用包装材料には、通常、絵柄等の印刷が施される。印刷層11の形成位置は任意であるが、食品包装に適用する場合、印刷層11は図4に示すようにプラスチック材料からなる基材フィルム5内側面に形成される。そして、印刷層11がプラスチックフィルムなどで保護されて食品や他の包装体に接しない位置とされることが望ましい。
【0074】
前記印刷層11の形成はグラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式等によって適宜選択され形成される。
【0075】
また、本発明のレトルト殺菌用包装材料のガスバリア性基材フィルム13の基材フィルム5とアルミニウム箔12、アルミニウム箔12と共押出積層フィルム4はウレタン系接着剤を用いて公知のドライラミネーション法により積層される。
【0076】
上述したようにして得られたレトルト殺菌用包装材料で共押出積層フィルム4の外側面(シール側)を内側面になるように一般的に使用されている熱圧着方式、高周波加熱方式、超音波接着方式等の製袋機を用いて図5に示すような袋状の包装体20が作製される。
【0077】
前記袋状の包装体の種類は三方シール袋、四方シール袋、ピロー包装袋、合掌シール袋、スタンディング袋、舟底袋等いずれの製袋方法による袋状の包装体20であっても構わない。
【0078】
さらに、前記レトルト殺菌用包装材料を用いて真空成型機や圧空成型機あるいは深絞り成型機により図6に示すような容器状の包装体30が作製される。
【実施例】
【0079】
以下に、本発明の具体的実施例を挙げて、さらに詳しく説明するが、それに限定されるものではない。
【0080】
<実施例1>
ガスバリア性基材フィルムにGL−ARH(凸版印刷株式会社製)の厚さ12μmのフィルムを用いた。そして、その内側面にウレタン系グラビアインキ(東洋インキ製造株式会社製)で印刷層を形成した。
【0081】
次に共押出積層フィルムとしてポリアミド系樹脂層の表裏面にポリプロピレン系樹脂層が形成されている総厚100μmの2種3層フィルム(タマポリ株式会社製)を用いた。そして、ガスバリア性基材フィルムの印刷層面と共押出積層フィルムのポリプロピレン系樹脂層をエステル系接着剤(三井化学株式会社製)で積層してレトルト殺菌用包装材料を作製した。
【0082】
次に上記作製したレトルト殺菌用包装材料を用いて幅130mm、高さ160mm、シール幅8mmの三方シール袋状の包装体を作製した。
【0083】
<比較例1>
共押出積層フィルムとして10μmのポリアミド系樹脂層の表側面に5μmの接着剤層を介して20μmのポリプロピレン系樹脂層、裏側面に5μmの接着剤層を介して60μmのポリプロピレン系樹脂層の2種2層のフィルムを作製した。そして、そのフィルムを用いて実施例1と同様にして、袋状の包装体を作製した。
【0084】
<評価結果>
実施例1と比較例1における生産性、接着剤臭、レトルト耐性、シール強度、落下耐性、耐圧強度、包装体製造原価を比較評価した。その結果を表1に示す。
【0085】
【表1】

表1は実施例1と比較例1における生産性、接着剤臭、レトルト耐性、シール強度、落下耐性、耐圧強度、包装体製造原価を比較評価結果を示す。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のレトルト殺菌用包装材料およびその包装体はカールが生じ難く、効率良く生産できると共に、安価で品質の優れたレトルト殺菌用包装材料と包装体ができる。そして、包装分野をはじめ精密機器部材等にも使用できる素晴らしい発明である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明のレトルト殺菌用包装材料の構成の一実施例の断面を示す断面図である。
【図2】本発明のレトルト殺菌用包装材料の構成の他の一実施例の断面を示す断面図である。
【図3】本発明のレトルト殺菌用包装材料の構成のまた他の一実施例の断面を示す断面図である。
【図4】本発明のレトルト殺菌用包装材料の構成のさらに他の一実施例の断面を示す断面図である。
【図5】本発明のレトルト殺菌用包装材料を用いて形成される包装体の一実施例の概略を示す概略図である。
【図6】本発明のレトルト殺菌用包装材料を用いて形成される包装体の他の一実施例の断面を示す断面図である。を説明するため説明図である。
【符号の説明】
【0088】
1…ポリプロピレン系樹脂層またはエチレン−プロピレン共重合体樹脂層
2…ポリアミド系樹脂層またはエチレン−プロピレン共重合体樹脂層
3…ポリプロピレン系樹脂層
4…共押出積層フィルム
5…基材フィルム
6…透明プライマー層
7…無機酸化物からなる蒸着薄膜層
8…ガスバリア性被膜層
9…ガスバリア性基材フィルム
10…接着剤層
11…印刷層
12…アルミニウム箔
13…ガスバリア性基材フィルム
20…袋状の包装体
30…容器状の包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバリア性基材フィルムとポリアミド系樹脂層(中間層)を介して表裏がポリプロピレン系樹脂層からなる3層が共押出成形法により積層された共押出積層フィルムとが接着剤を介して積層されたことを特徴とするレトルト殺菌用包装材料。
【請求項2】
前記共押出積層フィルムが2種3層構成であることを特徴とする請求項1記載のレトルト殺菌用包装材料。
【請求項3】
前記ガスバリア性基材フィルムが基材フィルムと接着剤を介して透明蒸着フイルムからなることを特徴とする請求項1または2記載のレトルト殺菌用包装材料。
【請求項4】
前記ガスバリア性基材フィルムが基材フィルムと接着剤を介してアルミニウム箔からなることを特徴とする請求項1または2記載のレトルト殺菌用包装材料。
【請求項5】
前記基材フィルムの裏側面に印刷層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4記載のいずれか1項に記載のレトルト殺菌用包装材料。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のレトルト殺菌用包装材料を袋状に成形して用いることを特徴とするレトルト殺菌用包装体。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のレトルト殺菌用包装材料を容器状に成形して用いることを特徴とするレトルト殺菌用包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−110507(P2008−110507A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293774(P2006−293774)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】