レトロウィルス感染を処理するための組成物及び方法
本発明は、(i)1)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4、及び2)少なくとも1つのヌクレオチドの置換、欠失又は挿入により配列番号:1〜4に由来する配列から成る群から選択された配列、を含んで成るか又は成るか、又は(ii)前記配列を含んで成るか又は成る核酸(但し、配列番号:1〜4に由来する配列から成る核酸は、潜在的HIV−1−感染された細胞においてHIV-1発現を誘発する傾向がある)をコードする、特にレトロウィルス感染の処理のための薬物として使用するための少なくとも1つの核酸に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトロウィルスが潜伏状態で存在する、特に無症候性個人におけるレトロウィルス感染を処理するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レトロウィルス、例えばヒト免疫不全ウィルス(HIV)は、潜伏状態で感染された細胞において留まることができる。ウィルスの潜伏及び再活性化を担当する機構は、十分に理解されていない。CD4+Tリンパ球細胞におけるウィルスの複製は、宿主細胞の細胞周期に一部、依存する。活性化されたCD4+リンパ球中へのHIV侵入は一般的に、増殖感染を導くが、ところが感染性生成は一般的に、非活性化CD4+リンパ球中への侵入の後に得られる。
【0003】
エリートHIV-1制御体に関して言及される何人かの患者は、処理の不在下で数年間、検出できないレベルでそれらのウィルスを保持できる感染された個人である(Goudsmit et al. (2002) AIDS 16:791 -793)。この能力は今日、明白な説明がなく、そして関心は、感染の長期制御を管理するそれらの個人の能力に関して表されている。
【0004】
さらに、HIV潜伏は、現在のHIV抗ウィルス治療に関する主要問題である。実際、それらの治療は、ウィルスの潜在的耐性保有体のために、感染を根絶しない。例えば、抗レトロウィルス薬物のカクテルがHIV-1感染された患者に投与される、高い活性の抗−レトロウィルス療法(HAART)は、HAART耐性の潜在的ウィルス保有体のために、HIV-1感染を決定的に根絶するのに失敗している(Marcello (2006) Retrovirology 3:7)。従って、感染が例えば、投与される薬物の効率の低下に基づいて再活性化する危険性がそのような患者において常に存在する。
【0005】
従って、それらの患者において潜在的レトロウィルス保有体を十分に根絶する必要性がある。
そのような目的を達成するために提案されて来た治療手段の1つは、感染された細胞における潜在的レトロウィルスの再活性化にあり、それにより、レトロウィルス粒子生成を誘発し、そして薬物に対する感受性を回復する。従って、そのような手段は、感染された患者の完全な回数を導くことができた。
【0006】
レトロウィルスの再活性化を促進するいくつかの分子は知られている。例えば、プロストラチンは、HAARTを受ける感染された患者のCD8+Tリンパ球においてHIV発現をアップレギュレートできることが知られている。従って、プロストラチンは、永続的ウィルスレパートリーの排除のための良好な候補体であることが提案されている。しかしながら、プロストラチンにより得られる結果はいくらか不均質であり、そして他の分子についての必要性がまだ存在する(Kulkosky (2001) Blood 98:3006-3015, Korin et al. (2002) Virology 76:81 18-8123)。
【0007】
ミクロRNA(miRNA)は、一般的に20〜25個の長さのヌクレオチドのRNAの新しく発見された種類である。それらは、特定のメッセンジャ−RNA、すなわちmRNAの翻訳を変性するか又は阻止することにより、後転写レベルで遺伝子発現規則下に包含される。合成から作用まで、miRNA経路は、中でも、Drosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm-1、GW182及びXRN1として知られているタンパク質を特に含んで成る経路の成分に関して十分に記載されている(Bartel (2004) Cell 116:281 -297)。5種のmiRNA、すなわちmir-28、 mir-125b、mir-150、mir-223及びmir-382の2’-O-メチル−オリゴボヌクレオチドアンチセンスインヒビターが、HAART下でCD4+T細胞から得られたHIV-1感染された個人からのHIV-1感染粒子生成を誘発するできることが最近示されている(Huang et al. (2007) Nat. Med. 13:1241 -1247)。従って、インビボでHIV-1潜在性を逆転することがそのような抗−miRNAインヒビターに提案されている。しかしながら、それらのインヒビターの潜在毒性に関する関心が高まっている(Zhang (2008) lnt J Biochem Cell)。
【0008】
従って、感染された個人において潜在レトロウィルス保有体を再活性化するために有用な他の化合物及び方法を提供することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【0009】
この点で、本発明は、HIV-1により感染された潜在的細胞と、特定のmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-122、miR-206及びmiR-210(それぞれ、配列番号:1〜4により表される)との接触がそれらの細胞によるHIV-1発現を誘発した予測されない発明者による発見から発生する。予想外にまた、同じ発明者は、miRNA経路の成分、例えばDrosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm-1、GW182及びXRN1の発現の阻害が潜在的感染された細胞においてHIV-1発現を誘発したことを見出した。
【0010】
従って、本発明は、
(i)1)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4、及び
2)少なくとも1つのヌクレオチドの置換、欠失又は挿入により配列番号:1〜4に由来する配列から成る群から選択された配列、を含んで成るか又は成るか、又は
(ii)前記配列を含んで成るか又は成る核酸(但し、配列番号:1〜4に由来する配列から成る核酸は、潜在的HIV−1−感染された細胞においてHIV-1発現を誘発する傾向がある)をコードする、特にレトロウィルス感染の処理のための薬物として使用するための少なくとも1つの核酸に関する。
【0011】
本発明はまた、レトロウィルス感染の処理への使用のための、miRNA経路の少なくとも1つの成分の活性を阻害する少なくとも1つの化合物にも関する。
本発明はまた、治療的有効量の上記に定義されるような少なくとも1つの核酸又は上記に定義されるような少なくとも1つの化合物を、個人に投与することを含んで成る、個人におけるレトロウィルス感染の処理方法にも関する。
【0012】
上記に定義される核酸、化合物又は方法の態様においては、前記核酸又は化合物は、少なくとも1つの他の抗レトロウィルス化合物と組合して使用される。
本発明はまた、レトロウィルスベクターを有する細胞からのレトロウィルス粒子の生成のためへの、上記に定義されるような核酸、又はDrosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm-1、GW182及びXRNLから成る群から選択されたmiRNA経路の成分を阻害する化合物のインビトロ使用にも関する。
【0013】
本発明はまた、
−レトロウィルスベクターを有する細胞と、上記に定義されるような核酸、又はDrosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm-1、GW182及びXRNLから成る群から選択されたmiRNA経路の成分を阻害する化合物とを接触し;
−前記細胞において前記レトロウィルスベクターを発現せしめ;それにより、レトロウィルスベクターを、前記細胞から生成することを含んで成る、レトロウィルス粒子のインビトロ生成方法にも関する。
【0014】
本発明の態様においては、上記に定義されるインビトロ使用及びインビトロ方法は、T細胞と共に前記細胞を培養する段階を包含しない。
本発明者はまた、miR-34a、miR-206、miR-210及びmiR-122により標的化され、そしてsiRNA又はshRNAによる発現の阻害がHIV-1のウィルス複製を活性化する51種の遺伝子を同定している。
【0015】
従って、本発明はまた、特にレトロウィルス感染の処理のための薬物としての使用のためへの、DGUOK、MIR16、PPP1 R1 1 、ARHGAP1 、TEDDM1 、QDPR、C14orf32、C1 orf19、ATP1 B3、 FLJ10241 、 ANP32E、 TAGLN2、ARF3、 PTMA、 PPIB、 PRCP、 PTPRK、 OBSL1 、SLC44A1 、 PPIAL4、 SERP1 、EBPL、 CBX6、ZBED3、 NP、 PRSS21 、 PPIA、 C5orf13、 E2F2、 CACYBP、 TROAP、 APOBEC3A、 C7orf44、 ORC6L、WNT10B、VIM、CDC6、MCRS1 、NAG18、 PPP1 CC、DULLARD、 ASF1 B、PLP2、 MTHFD2、 PIGS、 KIF2C、 NRM、 PEG10、 C22orf9、COL4A2、 及びSNX26から成る群から選択された遺伝子の活性のモジュレーターにも関する。
【0016】
本発明はまた、DGUOK、MIR16、PPP1 R1 1 、ARHGAP1 、TEDDM1 、QDPR、C14orf32、C1 orf19、ATP1 B3、 FLJ10241 、 ANP32E、 TAGLN2、ARF3、 PTMA、 PPIB、 PRCP、 PTPRK、 OBSL1 、SLC44A1 、 PPIAL4、 SERP1 、EBPL、 CBX6、ZBED3、 NP、 PRSS21 、 PPIA、 C5orf13、 E2F2、 CACYBP、 TROAP、 APOBEC3A、 C7orf44、 ORC6L、WNT10B、VIM、CDC6、MCRS1 、NAG18、 PPP1 CC、DULLARD、 ASF1 B、PLP2、 MTHFD2、 PIGS、 KIF2C、 NRM、 PEG10、 C22orf9、COL4A2、 及びSNX26の少なくとも1つのモジュレーターを個人に投与することを含んで成る、個人におけるレトロウィルス感染の処理方法にも関する。
【0017】
薬物としての使用のための上記に定義されるモジュレーター、又は前記モジュレーターを包含する処理方法の態様においては、DGUOK、MIR16、PPP1 R1 1 、ARHGAP1 、TEDDM1 、QDPR、C14orf32、C1 orf19、ATP1 B3、 FLJ10241 、 ANP32E、 TAGLN2、ARF3、 PTMA、 PPIB、 PRCP、 PTPRK、 OBSL1 、SLC44A1 、PPIAL4、SERP1 、EBPL、CBX6、ZBED3、NP、PRSS21 、 PPIA、C5orf13、E2F2、CACYBP、 TROAP、 APOBEC3A、 C7orf44、 ORC6L、WNT10B、VIM、CDC6、MCRS1 、NAG18、 PPP1 CC、DULLARD、 ASF1 B、PLP2、 MTHFD2、 PIGS、 KIF2C、 NRM、 PEG10、 C22orf9、COL4A2、及びSNX26の個々の1つの発現のモジュレーターが使用される。
【0018】
薬物としての使用のための上記に定義されるモジュレーター、又は前記モジュレーターを包含する処理方法の態様においては、前記モジュレーターは、少なくとも1つの他の抗−レトロウィルス化合物と組合して使用される。
【0019】
発明の特定の記載:
核酸:
本明細書において意図される場合、本発明の核酸はいずれのタイプのものであり得、それは特に、天然又は合成の一本鎖又は二本鎖のDNA又はRNAであり得る。特に、核酸が合成のものである場合、それは特に、核酸の変性に対する耐性を高めるために、塩基又は結合の非天然の修飾を包含することができる。核酸がRNAである場合、その修飾は特に、ヒドロキシル成分を抑制することにより(2’−デオキシリボース又は2’−デオキシリボース−2’−フルオロリボースを生成するために)、又はアルキル成分、例えばメチル基によりヒドロキシル成分を置換することにより(2’−O−メチル−リボースを生成するために)、ヒドロキシル成分の反応性を低めるために、その末端をキャピングするか又はリボース主鎖の2’位置を修飾することを包含する。
【0020】
配列番号:1,2,3及び4は、miRNAs 、miR-34a、miR-122、miR-206 及びmiR-210の配列を、それぞれ表す。それらのmiRNAは特に、Griffiths-Jones (2004) Nucleic Acids Res 32:D109-D1 11 ; Griffiths-Jones et al. (2008) Nucleic Acids Res 36:D154-D158; 及びhttp://microrna.sanger.ac.ukで入手できる miRBaseデータベースに記載されている。
【0021】
本発明の核酸が配列番号:1,2,3又は4、又はそれらに由来する配列を含んで成るか又はそれらから成る場合、本発明の核酸はその細胞標的物に対してその効果を直接的に発揮することが意図される。この場合、核酸は好ましくは、RNA分子である。
【0022】
本発明の核酸が配列番号:1,2,3又は4、又はそれらに由来する配列を含んで成るか又はそれらから成る核酸をコードする場合、本発明の核酸は、それがコードする核酸、特にRNA分子がその細胞標的物に対してその効果を発揮するであろう、細胞内で発現されることが意図される。この場合、本発明の核酸は好ましくは、DNA分子、より好ましくは、二本鎖DNA分子である。さらに、当業者に明白であるように、本発明の核酸はまた好ましくは、コードされる核酸の発現を確保する遺伝子要素、特にRNAポリメラーゼII又はIII のプロモーター配列を含んで成る。
【0023】
インビトロ又はインビボで細胞中に核酸を供給するための方法は、当業者に良く知られており、そして特に引用により本明細書に組込まれる、Nguyen et al. (2008) Curr Opin MoI Ther 10:158-67 及びDykxhoorn et al. (2006) Gene Therapy 13:541 -552に記載されている。
【0024】
好ましくは、本発明の核酸が配列番号:1、2、3又は4、又はそれらに由来する配列を含んで成る場合、それは1000個以下の長さのヌクレオチド、より好ましくは100個以下の長さのヌクレオチド、及び最も好ましくは、50個以下の長さのヌクレオチドである。
【0025】
好ましくは、少なくとも1つのヌクレオチドの置換、欠失又は挿入による配列番号:1〜4に由来する配列は、それが由来する配列と、少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、及び最も好ましくは少なくとも95%の同一性を提供する。本明細書において意図される場合、2種の配列間の同一性の%は、ヌクレオチドが同一である個々の配列の位置数を最大にするために、2種の配列を一列整列し、そして2種の配列の長さのヌクレオチド数により、ヌクレオチドが同一である個々の配列の位置数を割算することにより得られる。
【0026】
本明細書において意図される場合、“潜在的HIV-1感染された細胞”とは、HIV-1配列がそれらの染色体の1つに組込まれたことが見出され、そしてHIV-1コードされたRNA又はタンパク質を発現しない細胞である。そのような細胞、特に抹消血液多核細胞、より特定にはT細胞、さらにより特定にはCD4+T細胞は特に、HIV-1により感染された無症候性患者、例えばHAART処理された患者又はエリートHIV-1制御体患者から入手され得る。HIV-1配列が前記細胞の染色体の1つに組込まれたことが見出され得るかどうかの決定は、当業者に良く知られている多くの方法、例えばHIV-1特異的にプライマーにより実施されるポリメラーゼ鎖反応(PCR)実験により実施され得る。
【0027】
前記細胞が潜在性であるかどうかの決定は、例に特に記載されるように、それぞれ定量的逆転写酵素ポリメラーゼ鎖反応(qRT-PCR)又は免疫学的方法、例えば酵素−連結されたイムノソルベントアッセイ(ELISA)を用いて、前記細胞により、HIV-1コードされたRNA又はタンパク質(例えば、p24抗原)の発現を測定することにより実施され得る。潜在性細胞は、検出できないか(例えば、定量的RT-PCRを用いる場合、40以下のHIV-1 RNAコピー/ml)、又は対照細胞、例えば非HIV-1感染された細胞又は有意に異ならない発現レベルとして定義され得るHIV-1−コードされたRNA及びタンパク質を実質的に発現しない。
【0028】
本明細書において意図される場合、核酸が潜在的HIV-1−感染された細胞においてHIV-1発現を誘発する傾向があるかどうかの確立は、本発明の核酸と接触された細胞におけるHIV-1コードされたタンパク質、例えばp24タンパク質の発現レベルと、本発明の核酸と接触されていない同一の対照細胞とを比較することにより決定され得る。前記接触された細胞が対照細胞に対して有意に変更されたレベルのHIV-1−コードされたタンパク質の発現を提供する場合、前記核酸は潜在的HIV-1−感染された細胞においてHIV-1発現を誘発される傾向があろう。
【0029】
本発明の好ましい態様においては、配列番号:1から成るRNA分子、配列番号:2から成るRNA分子、配列番号:3から成るRNA分子、及び配列番号:4から成るRNA分子が、同じ薬物又は医薬組成物と組合して、又は一緒に、その必要な患者に投与される。
【0030】
化合物:
本明細書において意図される場合、“miRNA経路の成分”とは、ミクロRNA(miRNA)の合成、成熟及び作用に包含される細胞タンパク質のいずれか1つに関する。miRNA経路の成分は、当業者に良く知られており、そして引用により本明細書に組込まれる、Bartel (2004) Cell 116:281 -97 及び Beckham and Parker (2008) Cell Host Microbe 3:206-12に記載されている。特に、miRNA経路の成分は、Drosha、DGCR8(RNAポリメラーゼII又はIII によるそれらの合成に基づいて成熟プレ−miRNAに包含される)、Dicer(miRNAへのプレ−miRNAの成熟に包含される)、RCK/p54、LSm-1、GW182及び XRN1(標的化されたmRNAの変性に包含される)から選択される。より好ましくは、miRNA経路の成分は、DGCR8、RCK/p54、LSm- 1、GW182及びXRN1から成る群から選択される。
【0031】
より好ましくは、miRNA経路の成分は、DGCR8、RCK/p54、LSm- 1、GW182及びXRN1から成る群から選択される。
【0032】
一例として、Droshsは配列番号:6により表され、DGCR8は配列番号:8により表され、Dicerは配列番号:10により表され、RCK/p54は配列番号:12により表され、LSm-1は配列番号:14により表され、GW182は配列番号:16により表され、そしてXRN1は配列番号:18により表される。
【0033】
本明細書において意図される場合、本発明の化合物はいずれのタイプのものでもあり得る。特に、本発明の化合物は、miRNA経路の成分の活性を直接妨げる能力を有することができる。化合物はまた、転写又は翻訳レベルでmiRNA経路の成分の発現を妨げることができる。化合物が翻訳レベルでmiRNA経路の成分の発現を妨げる場合、それは特に、miRNA経路の成分をコードするmRNAを標的化するエフェクター核酸、又は前記エフェクター核酸をコードする核酸、例えばウィルスベクターであり得る。特に、エフェクター核酸は、DNA又はRNAアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は小干渉性RNA(siRNA)であり得る。
【0034】
本発明のエフェクター核酸は、特に変性に対するそれらの耐性を高めるために塩基又は結合の非天然の修飾を包含することができる。核酸がRNAである場合、修飾は特に、ヒドロキシ成分を抑制するか(2’−デオキシリボース又は2’−デオキシリボース−2’−フルオロリボースを生成するために)、又はアルキル基、例えばメチル基によりヒドロキシル成分を置換することにより(2’−O−メチル−リボースを生成するために)、ヒドロキシル成分の反応性を低めるために、その末端をキャッピングするか、又はリボース主鎖の2’位置を修飾することを包含する。
【0035】
好ましくは、本発明のエフェクター核酸は、50個以下の長さのヌクレオチド、より好ましくは40個以下の長さのヌクレオチド、及び最も好ましくは、30個以下の長さのヌクレオチドである。好ましくは、本発明のエフェクター核酸は、少なくとも10個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも15個の長さのヌクレオチド、及び最も好ましくは、少なくとも20個の長さのヌクレオチドである。
本発明のsiRNAは好ましくは、二本鎖である。
【0036】
本明細書において意図される場合、用語“siRNa”とは、“小ヘアーピンRNA(shRNA)”を包含する。shRNAは、そのshRNAのハイブリダイズされた部分を連結するshRNAの一本鎖部分のプロセッシングに基づいて、二本鎖siRNAを生成する傾向がある自己ハイブリダイズする一本鎖RNA分子から形成される。当業者に良く知られているように、標的細胞中に供給されている核酸から転写されるshRNAは、siRNAのための選択の前駆体であり、ここでsiRNAの生成は細胞内で生じる。当業者に明白なように、エフェクター核酸について上記に与えられる好ましい長さは、それらのハイブリダイズされた配座において考慮されるshRNAに適用され、そしてshRNAがそれらのハイブリダイズされていない配座において考慮される場合、二倍にされるべきである。
【0037】
特にDykxhoorn et al.(op. cit.)及びNguyen et al(op. cit.)により報告されるように、mRNAの配列が部分的に又は完全に知られている特定のmRNAを標的化するよう意図されるsiRNAを考案し、そしてsiRNA、又はsiRNA及びshRNAをコードする核酸を細胞中にインビトロで又はインビボで供給することは、当業者の範囲内である。
一例として、Drosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm- 1、GW182及びXRN1を標的化するsiRNAは、それぞれ配列番号:19, 20, 21, 22, 23, 24及び25により表される。
【0038】
モジュレーター:
本明細書において意図される場合、本発明のモジュレーターはいずれのタイプのものでもあり得る。さらに、当業者に明白なように、本発明のモジュレーターは、DGUOK、MIR16、PPP1 R11 、ARHGAP1 、TEDDM1 、QDPR、C14orf32、C1 orf19、ATP1 B3、 FLJ10241 、ANP32E、 TAGLN2、ARF3、 PTMA、PPIB、PRCP、PTPRK、OBSL1 、SLC44A1 、PPIAL4、SERP1 、EBPL、CBX6、ZBED3、 NP、 PRSS21 、PPIA、 C5orf13、 E2F2、 CACYBP、 TROAP、 APOBEC3A、 C7orf44、 ORC6L、WNT10B、VIM、CDC6、MCRS1 、NAG18、 PPP1 CC、DULLARD、ASF1 B、PLP2、MTHFD2、 PIGS、KIF2C、NRM、PEG10、C22orf9、COL4A2、及びSNX26から成る群から選択された遺伝子の活性を活性化するか、又は阻害する(すなわち、妨げる)ことができる。
【0039】
好都合には、上記遺伝子の1つの活性を阻害する本発明のモジュレーターは、レトロウィルスのウィルス複製を活性化するために有用であり、それにより、個人における潜在的レトロウィルス保有体を根絶することが可能である。
同様に好都合には、上記遺伝子の1つの活性を活性化する本発明のモジュレーターは、レトロウィルスのウィルス複製を阻害するために有用である。
【0040】
特に、本発明のモジュレーターは、DGUOK、MIR16、PPP1 R11 、ARHGAP1 、TEDDM1 、QDPR、C14orf32、C1 orf19、ATP1 B3、 FLJ10241 、ANP32E、 TAGLN2、ARF3、 PTMA、PPIB、PRCP、PTPRK、OBSL1 、SLC44A1 、PPIAL4、SERP1 、EBPL、CBX6、ZBED3、 NP、 PRSS21 、PPIA、 C5orf13、 E2F2、 CACYBP、 TROAP、 APOBEC3A、 C7orf44、 ORC6L、WNT10B、VIM、CDC6、MCRS1 、NAG18、 PPP1 CC、DULLARD、ASF1 B、PLP2、MTHFD2、 PIGS、KIF2C、NRM、PEG10、C22orf9、COL4A2、及びSNX26から成る群から選択された遺伝子の活性を直接的に活性化するか又は阻害する能力を有することができる。モジュレーターはまた、転写又は翻訳レベルでそれらの遺伝子の発現を活性化するか又は阻害することができる。
【0041】
モジュレーターが、DGUOK、MIR16、PPP1 R11 、ARHGAP1 、TEDDM1 、QDPR、C14orf32、C1 orf19、ATP1 B3、 FLJ10241 、ANP32E、 TAGLN2、ARF3、 PTMA、PPIB、PRCP、PTPRK、OBSL1 、SLC44A1 、PPIAL4、SERP1 、EBPL、CBX6、ZBED3、 NP、 PRSS21 、PPIA、 C5orf13、 E2F2、 CACYBP、 TROAP、 APOBEC3A、 C7orf44、 ORC6L、WNT10B、VIM、CDC6、MCRS1 、NAG18、 PPP1 CC、DULLARD、ASF1 B、PLP2、MTHFD2、 PIGS、KIF2C、NRM、PEG10、C22orf9、COL4A2、及びSNX26から成る群から選択された遺伝子の発現を、翻訳レベルで妨げる場合、それは特に、それらの遺伝子の1つをコードするmRNAを標的化するエフェクター核酸、又は前記エフェクター核酸をコードする核酸、例えばウィルスベクターであり得る。特に、エフェクター核酸は、DNA又はRNAアンチセンスオリゴヌクレオチド又は小干渉性RNA(siRNA)であり得る。
【0042】
本発明のエフェクター核酸は、特に変性に対するそれらの耐性を高めるために塩基又は結合の非天然の修飾を包含することができる。核酸がRNAである場合、修飾は特に、ヒドロキシ成分を抑制するか(2’−デオキシリボース又は2’−デオキシリボース−2’−フルオロリボースを生成するために)、又はアルキル基、例えばメチル基によりヒドロキシル成分を置換することにより(2’−O−メチル−リボースを生成するために)、ヒドロキシル成分の反応性を低めるために、その末端をキャッピングするか、又はリボース主鎖の2’位置を修飾することを包含する。
【0043】
好ましくは、本発明のエフェクター核酸は、50個以下の長さのヌクレオチド、より好ましくは40個以下の長さのヌクレオチド、及び最も好ましくは、30個以下の長さのヌクレオチドである。好ましくは、本発明のエフェクター核酸は、少なくとも10個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも15個の長さのヌクレオチド、及び最も好ましくは、少なくとも20個の長さのヌクレオチドである。
本発明のsiRNAは好ましくは、二本鎖である。
【0044】
本明細書において意図される場合、用語“siRNa”とは、“小ヘアーピンRNA(shRNA)”を包含する。shRNAは、そのshRNAのハイブリダイズされた部分を連結するshRNAの一本鎖部分のプロセッシングに基づいて、二本鎖siRNAを生成する傾向がある自己ハイブリダイズする一本鎖RNA分子から形成される。当業者に良く知られているように、標的細胞中に供給されている核酸から転写されるshRNAは、siRNAのための選択の前駆体であり、ここでsiRNAの生成は細胞内で生じる。当業者に明白なように、エフェクター核酸について上記に与えられる好ましい長さは、それらのハイブリダイズされた配座において考慮されるshRNAに適用され、そしてshRNAがそれらのハイブリダイズされていない配座において考慮される場合、二倍にされるべきである。
【0045】
特にDykxhoorn et al.(op. cit.)及びNguyen et al(op. cit.)により報告されるように、mRNAの配列が部分的に又は完全に知られている特定のmRNAを標的化するよう意図されるsiRNAを考案し、そしてsiRNA、又はsiRNA及びshRNAをコードする核酸を細胞中にインビトロで又はインビボで供給することは、当業者の範囲内である。
【0046】
モジュレーターが、DGUOK、MIR16、PPP1 R11 、ARHGAP1 、TEDDM1 、QDPR、C14orf32、C1 orf19、ATP1 B3、 FLJ10241 、ANP32E、 TAGLN2、ARF3、 PTMA、PPIB、PRCP、PTPRK、OBSL1 、SLC44A1 、PPIAL4、SERP1 、EBPL、CBX6、ZBED3、 NP、 PRSS21 、PPIA、 C5orf13、 E2F2、 CACYBP、 TROAP、 APOBEC3A、 C7orf44、 ORC6L、WNT10B、VIM、CDC6、MCRS1 、NAG18、 PPP1 CC、DULLARD、ASF1 B、PLP2、MTHFD2、 PIGS、KIF2C、NRM、PEG10、C22orf9、COL4A2、及びSNX26から成る群から選択された遺伝子の活性を活性化する場合、それは特に、それらの遺伝子の1つを発現する核酸、例えば発現ベクター、特にそれらの遺伝子の1つの配列を有するウィルスベクターであり得る。
【0047】
上記遺伝子は、当業者に良く知られており、そして特に、NCBI受託番号、又は次の表に列挙される配列番号により表される。NCBI受託番号及び配列番号は、mRNAの配列、又は列挙される遺伝子のコード配列(CDS)を言及する。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
投与:
本発明の核酸、本発明の化合物、又は本発明のモジュレーター、又は本発明の核酸、本発明の化合物、又は本発明のモジュレーターを含んで成る薬物又は医薬組成物の治療使用が企画される場合、前記核酸、化合物及びモジュレーターは、1又は複数の医薬的に許容できるキャリヤーに結合され得る。特に、好ましくは、医薬的に許容できるキャリヤーは、核酸を細胞中に供給するために適切である。核酸を細胞中に供給するために適切なキャリヤーは当業者に良く知られており、そして特に、標的細胞、特にT細胞の特異的受容体に対して特異性を有する、成分、例えば抗体又は抗体フラグメントに任意に結合される、脂質又はペプチド、超微粒子及びリポソームを包含する。
【0051】
局部又は全身路のいずれかが、本発明の核酸、本発明の化合物又は本発明のモジュレーターを投与するために使用され得る。核酸についての投与方法の例は、Nguyen et al. (op. cit.) nad Dykxhoorn et al. (op. cit.)に特に記載される。
【0052】
抗−レトロウィルス化合物:
好ましくは、上記に定義されるような他の抗−レトロウィルス化合物は、引用により本明細書に組込まれる、Hammer et al. (2008) JAMA 300:555-70に記載されるような、逆転写酵素インヒビター及びプロテアーゼインヒビターから成る群から選択される。
【0053】
逆転写酵素インヒビターは、DNAへのレトロウィルスのRNAゲノムの逆転写を触媒するレトロウィルス酵素を標的化する良く知られている種類の抗−ウィルス化合物である。逆転写酵素インヒビターは特に、下記を含んで成る:
−ヌクレオシド類似体逆転写酵素インヒビター(NRTI)、例えばイドブジン(すなわちAZT)、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、ラミブジン、アバカビル及びEmthcitabine;
−ヌクレオチド類似体逆転写酵素インヒビター(NtRTIs、例えばテノフォビル及びアデフォビル):
−非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTI)、例えばエファビレンツ、ネビラピン、デラビルジン、エトラビリン。
【0054】
プロテアーゼインヒビターは、レトロウィルスゲノムにより発現されるポリプロテインの分解を触媒するレトロウィルス酵素を標的化する良く知られている種類の抗−レトロウィルス化合物である。プロテアーゼインヒビターは特に次のものを包含する:サクイナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ロピナビル、アタザナビル、フォサンプレナビル、チプラナビル及びDaruダルナビル。
【0055】
抗−レトロウィルス化合物はしばしば、組合して使用される。例えば、高活性抗レトロウィルス療法(HAART)においては、複数の異なった抗−レトロウィルス化合物、例えば2種のNRTI及びプロテアーゼインヒビター、又は2種のNRTI及びNNTIが組合して使用される。特定のレトロウィルス−感染された患者のために適切な組合せの定義は、当業者に範囲内である。
【0056】
レトロウィルス感染:
本明細書において意図される場合、用語“レトロウィルス”又は“レトロウィルス性”とは、レトロウィルス科、より特定にはレンチウィルス属のウィルスを言及する。本発明のレトロウィルスは特に、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)、特に、HIV-1及びHIV-2、サル免疫不全ウィルス(SIV)及びネコ免疫不全ウィルス(FIV)を包含する。
【0057】
好ましくは、本発明の化合物、又は本発明の核酸又は本発明の化合物を含んで成る薬物又は医薬組成物が、レトロウィルスにより感染された無症候性患者の処理のために意図される。
【0058】
本明細書において意図される場合、表現“レトロウィルスにより感染された無症候患者”とは、レトロウィルス配列がそれらの染色体の1つに組込まれることが見出されているが、しかしレトロウィルス配列を発現していない細胞を有する個人を言及する。そのような個人の同定は、当業者の範囲内であり、そして特に、それぞれqRT-PCR及び免疫学的技法を用いて、レトロウィルスRNA又は抗原(例えば、HIV-1のp24抗原)の血液、血清又は血漿レベルを測定することを包含する。特に、患者は、レトロウィルス配列発現生成物(すなわち、RNA及びタンパク質)が検出できない場合、無症候性であると言われる。
【0059】
無症候性患者がHIV-1により感染される場合、彼らは特に、高活性抗レトロウィルス療法(HAART)又はエリートHIV-1制御体下にあり得る。
【0060】
レトロウィルス粒子の生成:
本明細書において意図される場合、“レトロウィルス粒子”又は“レトロウィルスベクター”とは、特にヒト免疫不全ウィルス(HIV)、特にHIV-1及びHIV-2、サル免疫不全ウィルス(SIV)及びネコ免疫不全ウィルス(FIV)を包含する、レトロウィルス科、より特定にはレンチウィルス属のウィルス由来の粒子又はベクターを言及する。
【0061】
本発明のレトロウィルス粒子又はベクターはそれぞれ、レトロウィルス起源のものではない要素(例えば、核酸及びタンパク質)を含んで成り、そしてコードすることができる。レトロウィルス粒子は特に、それを特定の細胞及び組織に標的化し、特にトランスジーンを供給することが意図されるエンベロープタンパク質を有することができる。そのような粒子及びベクターは、引用により本明細書に組込まれる、Cronin et al. (2005) Curr. Gene Ther. 5:387-398により報告されるように、当業界において良く知られており、そして一般的には、偽型レトロウィルス粒子及びベクターとして言及される。
【0062】
レトロウィルスベクターからレトロウィルス粒子を生成する方法は、当業者に良く知られており、そして本発明の方法は、特に次の例の観点から、容易に実施され得る。
好都合には、上記定義されるインビトロ使用及びインビトロ方法は、T細胞と共に細胞を培養しないで実施され得る。
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、スクランブルsiRNA(sc)によるトランスフェクションの後のウィルス生成に比較して、ウィルス生成(垂直軸)に対する、特定のsiRNAによるトランスフェクションによるRCK/p54、LSm-1、GW182、XRN1、DGCR8、Drosha又は対照タンパク質CDK9のノックダウンの効果(水平軸)を示す。
【0066】
【図2】図2は、スクランブルsiRNA(sc)、又はDrosha、DGCR8 又はRCK/p54特異的siRNAによりトランスフェクトされた3人の患者(1,2,3)(水平軸)からのHAART−処理されたHIV-1から単離されたPBMCと接触しての健康なドナーから単離されたPBMCに存在するp24抗原(垂直軸)の量により推定されるウィルス生成を示す。
【0067】
【図3】図3は、空のベクター(白色棒)又はTat発現ベクター(斜線の棒)と共に、組込まれたLTR−ルシフェラーゼ構造体を含むHeLa細胞における、LTR活性(垂直軸)に対する異なったmiRNA又は対照miRNA(対照)(水平軸)の効果を示す。
【0068】
【図4】図4は、異なったmiRNAに対して特異的なsiRNA、スクランブルsiRNA(sc)、又はDGCR8特異的siRNAによりトランスフェクトされ(水平軸)、そしてルシフェラーゼ遺伝子を有するHIV-1により感染されたHeLa細胞におけるHIV生成(垂直軸)を示す。
【0069】
【図5】図5は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第1の患者エリートHIV-1制御体から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0070】
【図6】図6は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第2の患者エリートHIV-1制御体から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0071】
【図7】図7は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第3の患者エリートHIV-1制御体から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0072】
【図8】図8は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第4の患者エリートHIV-1制御体から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0073】
【図9】図9は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第5の患者エリートHIV-1制御体から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0074】
【図10】図10は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第1のHAART-処理された、感染された患者から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0075】
【図11】図11は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第2のHAART-処理された、感染された患者から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0076】
【図12】図12は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第3のHAART-処理された、感染された患者から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0077】
【図13】図13は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第4のHAART-処理された、感染された患者から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0078】
【図14】図14は、エリートHIV-1制御体(正方形)、未処理のHIV-1感染された患者(三角)及びHAART処理された、HIV-1感染された患者(逆三角形)から単離されたPBMCにおける、RT-PCRによるmiR-210の発現(垂直軸)を示す。
【0079】
【図15】図15は、エリートHIV-1制御体(正方形)、未処理のHIV-1感染された患者(三角)及びHAART処理された、HIV-1感染された患者(逆三角形)から単離されたPBMCにおける、RT-PCRによるmiR-34aの発現(垂直軸)を示す。
【0080】
【図16】図16は、エリートHIV-1制御体(正方形)、未処理のHIV-1感染された患者(三角)及びHAART処理された、HIV-1感染された患者(逆三角形)から単離されたPBMCにおける、RT-PCRによるmiR-206の発現(垂直軸)を示す。
【0081】
【図17】図17は、エリートHIV-1制御体(正方形)、未処理のHIV-1感染された患者(三角)及びHAART処理された、HIV-1感染された患者(逆三角形)から単離されたPBMCにおける、RT-PCRによるmiR-122の発現(垂直軸)を示す。
【実施例】
【0082】
例1:miRNAエフェクターは、HIV-1遺伝子発現のリプレッサーである:
RNAiエフェクターがHIV-1複製を調節するかどうかを調べるために、ウィルス複製を、RNAエフェクターの発現が特定のsiRNAを用いて低められた細胞において分析した。
【0083】
方法:
HeLa細胞を、引用により本明細書に組込まれる、Triboulet et al. (2007) Science 315 (5818) :1579-82に示されるように、siRNAによりトランスフェクトした。48時間のトランスフェクションの後、細胞を、ウェスターンブロットにより、RCK/p54、LSm-1 、GW182、XRN1、DGCR8、DROSHA及びCDK9発現について分析するか、又は単発感染性ウィルス(HIV-1-VSV-luc)により感染し、そして細胞抽出物を、感染の48時間後、ルシフェラーゼ活性について測定した。RCK/p54は、ポリソームとのHIV-1 mRNA結合を制限する。示されたsiRNAによりトランスフェクトされ、そしてHIV-1-VSVG-lucにより感染されたHeLa細胞からの細胞質抽出物を、グリセロールグラジエント(7%〜47%)上で実施した。画分を集め、そしてそれらのRNA含有物を、254nmで吸光度(OD)を測定することによりモニターした。HIV-1 mRNA及びHdm2 mRNAを、特定のオリゴヌクレオチドを用いて、Q-RT-RCRによりすべての画分において定量化した。
【0084】
結果:
Hela細胞を、RCK/p54、LSm-1、GW182 XRN1又はDGCR8に対して特異的なsiRNAによりトランスフェクトした。対照として、HeLa細胞を、スクランブルsiRNA(Scr)、又はCDK9特異的siRNAによりトランスフェクトした。RCK/p54、LSm-1、GW182 及びXRN1のノックダウンは、ウィルス複製を10倍まで増強した(図1)。前に示されたように(Tribouletなど.)、DROSHA及びDGCR8(図1)、すなわちマイクロプロセッサー複合体の2種のサブユニットのノックダウンは、ウィルス生成を高め、そしてウィルス遺伝子発現のために必要とされることが知られているPTEFb複合体のCDK9サブユニットのノックダウンはそれを低めた(図1)。興味あることには、グリセロールグラジエント上のHIV-1細胞質mRNA分布の分析は、RCK/p54のノックダウンが、対照のsiRNAトランスフェクトされた細胞に比較して、HIV-1 mRNAを、非ポリソーム画分からポリソーム画分に移行したことを示す。RCK/p54のノックダウンは、内因性Hdm2 mRNA分布に影響を与えなかった。
【0085】
それらの実験は、RNAiのために必要とされるGW182、RCK/p54、LSm- 1及びXRN1が、HIV-1 mRNA翻訳を妨げることにより、HIV-1遺伝子発現のリプレッサーであることを示す。
【0086】
例2:HIV-1 mRNAはアルゴノート2と物理的に関連し、そしてmiRNA-介在性サイレンシングのために必要とされるタンパク質と同時局在化する:
RNAiエフェクターとHIV-1 mRNAとの間の物理的相互作用が調べられた。
【0087】
方法:
HeLal細胞を、示されるように、HIV-1分子クローンpNL4-3、Myc-Ago2又はMyc- AgoPAZ9によりトランスフェクトした。48時間後、細胞を収穫し、そして細胞質抽出物を調製した。全RNAを、収穫された細胞の画分から精製し、そして残りを抗−Myc抗体を用いて免疫沈澱にゆだねた。洗浄の後、画分を用いて、ウェスターンブロットにより免疫沈澱されたMyc-Ago2 及び Myc-AgoPAZ9の量を分析し、そしてMyc-IPsの残りをRNA抽出のために使用した。HIV-1 mRNAs(TAR 及びスプライシングされていない)、 Hdm2及びGAPDH mRNAを、特定のオリゴヌクレオチドを用いて、RT-PCRにより、全RNA又はMyc免疫沈澱されたmRNPから定量化した。実験をまた、PCR反応において32P−ラベルされたヌクレオチドを用いて実施した。PCR生成物を、オートラジオグラフィーにより可視化した。
【0088】
結果:
HeLa細胞を、pNL4-3、Myc-Ago2、RISC複合体の中央成分、又はそのRNA結合変異体Myc- Ago2PAZ9の組合せにより模擬トランスフェクトするか又はトランスフェクトした。最初に、Myc-Ago2 及びMyc-Ago2DPAZ9が等しく発現された事実を確かめた。第2に、細胞質抽出物を調製し、そして画分を全RNA抽出物のために使用し、そして残りを、抗−Myc抗体を用いて免疫沈澱にゆだね、myc-Ago2結合されたmRNPを精製した。全RNA及びMyc-Ago2結合RNAの両者を逆転写し、そしてHIV-1 TAR RNA(すべてのHIV-1 mRNA により結合される5' 構造体)又は HIV-1スプライシングされていないmRNA、Hdm2 mRNA 又はGAPDH mRNAに対して特異的なオリゴヌクレオチドを用いてPCR増幅にゆだねた。全RNAのPCR分析は、同量のHIV-1、Hdm2 及び GAPDH mRNAsがすべてのサンプルに存在したことを示す。
【0089】
HIV-1 mRNA(両TAR及びスプライシングされていない)は、Myc-Ago2により結合されたが、しかしMyc-Ago2PAZ9変異体によっては結合されなかった。Hdm2 mRNAはMyc-Ago2 mRNPには不在であり、このことは、それらの条件下で、Hdm2がRNAiにより調製されないことを示唆する。類似する実験を実施し、Myc-Ago2 mRNPと、HIV-1多スプライスされたmRNAとの結合を分析した。RT-PCR反応を、ATP-32Pの存在下で実施し、そしてオートラジオグラフィーにより分析した。HIV-1多スプライスされたmRNAは、Myc-Ago2と結合し、そしてMyc-Ago2PAZ9を弱く結合する。P−体内でのHIV-1 mRNA及びRNAiのエフェクター、例えばAgo2、RCK/p54及びDCP1の同時局在化がまた、MS2結合部位及びMS2-GFP構造体を含むHIV-1を用いて、免疫蛍光により観察された。
【0090】
本発明者は、HIV-1 mRNAがAgo2、すなわちRISCの中央成分と物理的に結合し、そしてP-体において、miRNA−介在性サイレンシングのために必要とされる細胞タンパク質、例えばRCK/p54及びDCP1/DCP2と共に同時局在化することを示す。すべてのHIV-1 mRNA種がRISCと結合する事実は、細胞miRNAがそれらのmRNAのすべてに共通する配列を標的化することを示唆する。従って、Huangなど.(前述)は、すべてのHIV-1 mRNAに存在する3’UTR配列を標的化できる5種の細胞miRNAを同定した。しかしながら、3’UTR外の領域を標的化できる他の細胞miRNAが関与する事実は、除外され得ない。
【0091】
例3:P−体におけるHIV-1 mRNAの蓄積はウィルス複製を制限し、そしてA3G-介在性HIV-1抑制には無関係である:
方法:
HeLa CD4+細胞を、示されるようにsiRNAによりトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞をウェスターンブロットにより、RCK/p54及びLSm-1発現について分析し、又は等量のHIV-1により感染した。ウィルス生成を、培養上清液におけるp24抗原を測定することにより、感染の48時間後モニターした。異なったsiRNAトランスフェクトされたHeLa細胞から生成されるビリオンの感染性を分析するために、siRNAトランスフェクトされたHeLa CD4+からの等体積の上清液を用いて、HeLa CD4+細胞を再感染した。p24抗原を、感染の48時間後、培養上清液において測定した。
【0092】
APOBEC3G及びRNAiエフェクター介在性HIV-1阻害は、異なった機構を包含する。HeLa CD4+細胞を、示されるsiRNAによりトランスフェクトした。48時間後、細胞を、PCK/p54及びLSm-1発現について分析するか、あるいはpNL4-3Dvif(vif遺伝子を欠いている)及びpCDNA又は野生型APOBE3Gもしくはデアミラーゼ活性及び抗ウイルス活性の両者を欠いているAPOBE3G二重変異体のための発現ベクターにより同時トランスフェクトした。HIV-1生成を、p24抗原を定量化することにより、培養上清液において、トランスフェクションの24時間後、測定した。感染度アッセイを、HeLa CD4+細胞を感染するために等量のp24抗原を用いて実施した。HIV-1 p24抗原を、感染の24時間後、測定した。
【0093】
結果:
出現する現象は、P−体とウィルス寿命サイクルとの間の物理的及び機能的相互作用を示す。P−体を通してウィルスmRNAトラフィッキングは、ウィルス−複製複合体の効果的パッケージング又は形成のための翻訳的に抑制されたウィルス転写体のプールを提供することができる。実際、酵母レトロトランスポゾンTy1及びTy3 mRNAはP−体と結合し、そしてこの結合は効果的なレトロ転位のために必要とされる。BMV(ブロム・モザイクウィルス)の場合、ウィルス複製複合体の形成が、P−体において生じる。さらに、P−体はまた、ウィルス及び転位可能要素に対する宿主防御において機能することができる。実際、ウィルス制限因子である細胞因子APOBEC 3G及び3FはP−体において蓄積することが見出されている。3G及び3F介在性HIV-1制限がP−体を標的化するウィルスmRNAを包含し、それらがP−体の翻訳阻害を導くことが提案されている。
【0094】
最初に、P−体がHIV-1複製の陽性又は陰性レギュレーターであるかどうかが問われた。HeLa CD4+細胞を、PCK/p54又はLSm-1特異的siRNA又は対照siRNAによりトランスフェクトした。48時間後、細胞を等量のHIV-1により感染した。HIV-1 p24抗原を、感染の48時間後、細胞培養上清液において測定した。RCK/p54及びLSm-1のノックダウンが、対照siRNAトランスフェクトされた細胞の感染に比較して、増強されたウィルス生成をもたらす。生成されるウィルスの感染度を評価するために、Scr、RCK/p54 及びLSm-1 siRNAトランスフェクトされた細胞からの等体積の上清液を用いて、HeLak CD4+細胞を感染し、そして培養上清液におけるp24を48時間後、測定した。
【0095】
ウィルス感染度は、生成されるp24の量と相互関係し、このことは、RCK/p54及びLSm-1ノックダウンされた細胞において生成されるビリオン複製のために十分に適切であり、そして欠陥、例えばRNAパッケージングを有さないことを示す。RCK/p54及びLSm-1のノックダウンはP−体の破壊をもたらすことが示されているので、P−体におけるHIV-1 mRNAの蓄積がウィルス複製を制限することがそれらの実験から結論づけられた。
【0096】
第2に、APOBEC3G−介在性HIV-1制限がP−体形成のために関連し、そして必要とされるmiRNA−介在性mRNA翻訳阻害のエフェクターを必要とするかどうかが問われた。従って、RCK/p54又はLSm-1発現が低められる細胞におけるAPOBEC3G−介在性HIV-1制限を、対照細胞に比較した。HeLa細胞を、対照siRNA、又はRCK/p54又はLSm-1に対して特異的なsiRNAによりトランスフェクトした。48時間後、細胞を、vif遺伝子を欠くHIV-1分子クローン(pNL4-3Dvif)単独により、又は野生型A3G、又は抗ウィルス活性を欠くA3G変異体(A3Gdm)のいずれかによりトランスフェクトした。HIV-1 p24抗原を、トランスフェクションの48時間後、培養上清液において測定した。興味あることには、RCK/p54又はLSm-1のノックダウンが、A3Gに関係なく、HIV-1生成を増強した。同様に、A3Gdmではなく、A3GがRCK/p54又はLSm-1発現にかかわらずウイルス産生を抑えた。
【0097】
それらの結果は、RCK/p54又はLSm-1及びA3G介在性HIV-1抑制が異なった機構を包含することを示唆する。次に、siRNAトランスフェクトされた細胞から生成されるHIV-1の感染度を分析した。等量のp24を用いて、HeLa CD4+細胞を感染し、そしてHIV-1 p24抗原を感染の48時間後、培養上清液において測定した。A3Gの存在下でのScr siRNAトランスフェクトされた細胞において生成されるウィルスは、A3Gdmの不在又は存在下で生成されるウィルスよりも低い感染度を示す。A3Gの類似するHIV制限活性が、ウィルスがRCK/p54又はLSm-1ノックダウンされた細胞において生成される場合に観察された。
【0098】
この実験は、P−体におけるHIV-1 mRNAの蓄積がウィルス複製を制限し、そしてA3G−介在性HIV-1制限がRNAiエフェクターRCK/p54及びLSm-1に無関係であり、そしてP−体を必要としないことを示す。
【0099】
例4:Drosha、DGCR8及びRCK/p54の内因性レベルが感染された患者におけるHIV-1潜在性に寄与する:
一緒に考慮すると、それらの結果は、RNAiエフェクターとHIV-1 mRNAとの間の物理的抑制性の相互作用を示す。細胞miRNAがHIV-1の潜在性において役割を演じることが示されたので、miRNA−介在性mRNA翻訳阻害のために必要とされるRCK/p54がHIV-1サイレンシングにインビボで寄与するかどうかが問われた。
【0100】
方法:
HIV-1潜在性におけるRNAiの関係。PBMCを、活性HAARTを受ける3人の患者から単離した。単離されたPBMCを、示されるsiRNAによりトランスフェクトし、そしてトランスフェクションの48時間後、ウェスターンブロットにより、RCK/p54、DGCR8及びDROSHA発現について分析するか、又は健康なドナーから得られた、活性化されたPBMCと共に同時培養した。ウィルス複製を、培養上清液におけるp24抗原を測定することにより、同時培養の後、3〜4日ごとにモニターした。同時培養の後、15日でp24抗原の量を示す。ウィルスは、27日までの間、ScトランスフェクトされたPBMCから単離されなかった。
【0101】
結果:
検出できるウィルス血症を有さない、3人のHAART−処理された、HIV-1感染された患者から単離されたPBMCを、対照siRNA、又はDrosha、DGCR8又は RCK/p54に対して特異的なsiRNAによりトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、健康なドナーから単離された、PHA/IL2−活性化されたPBMCと共に同時培養した。ウィルス生成を、培養上清液におけるp24抗原を測定することにより、3日ごとにモニターした。Droshaのノックダウンは、HAART−処理された、HIV-1感染された患者から単離されたPBMCにおけるウィルス再活性化をもたらす(図2)。HIV-1再活性化はまた、DGCR8、すなわちマイクロプロセッサー複合体のもう1つの成分が特異的siRNAを用いてノックダウンされる場合にも見られる。興味あることには、RCK/p54のノックダウンは、天然において感染された潜在性HIV-1細胞におけるウィルス再活性化を導く。
【0102】
それらの結果は、Drosha、DGCR8及びRCK/p54の内因性レベルが、感染された患者におけるHIV-1潜在性に寄与することを示す。
【0103】
例5:miR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210は、HeLa細胞、及び天然において単離されたサイレントHIV-1保有体におけるウィルス発現を増強する:
方法:
HIV-1アップレギュレートされた細胞miRNA(Triboulet et al. (2007) Science 315 (5818):1579- 82)を、組込まれたLTR−ルシフェラーゼレポーター構造体を含むHeLa細胞において過剰発現した。24時間後、細胞を、空の又はTat−発現ベクターによりトランスフェクトした。ルシフェラーゼ活性を、トランスフェクションの24時間後、測定した(図3)。HeLa CD4+細胞を、示されるmiRNA又はDGCR8特異的siRNAによりトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞をnef骨格におけるルシフェラーゼ遺伝子を発現するHIV-1により感染し、そしてルシフェラーゼ活性を、24時間後、測定した(図4)。
【0104】
PBMCを、5人のエリートHIV制御体患者(図5〜9)、又は4人のHIV-1感染されたHAART−処理された患者(図10〜13)から単離した。単離されたPBMCを、示されたとおり、miR-34a、miR-206、miR-210及びmiR-122の混合物(miRmix)、又は対照miRNA(miR-32)によりトランスフェクトした。トランスフェクトされたPBMCを、健康なドナーから得られた、活性化されたPBMCと共に同時培養した。ウィルス複製を、培養上清液におけるp24抗原を測定することにより、同時培養の後3〜4日ごとにモニターした。小RNAを、健康なドナー、HIV-1-感染されたHAART−処理された、エリートHIV制御体又はHIV-1感染された未処理患者から単離されたPBMCから精製した。miR-210、miR206、miR34a、miR-125及びU6 snoRNAを、特定のオリゴヌクレオチドを用いて、QRT-PCRにより定量化した。結果は、U6 snoRNAに対して標準化した。
【0105】
結果:
miRNAは、遺伝子発現の調節を通して、調査されるほとんどあらゆる細胞工程(細胞分化、増殖、アポトーシス、等)のモジュレーションにおいて重要な役割を演じる。特に、miRNAは、免疫系成長及び適応性免疫応答において重要な役割を演じることが見出された。HIV-1がその複製のために重要な遺伝子を調節するために細胞miRNAを使用することができることを仮定することは魅力的である。実際、HIV-1によるJurkat細胞の感染は、miRNA発現プロフィールを変更し、そしていくらかのmiRNAはダウンレギュレートされるが、ところが他はアップレギュレートされることが、これまで示されている(Triboulet et al. (2007) Science 315:1579-1582)。
【0106】
ダウンレギュレートされたmiRNAクラスター17/92の2種のmiRNA(miR-17及びmiR-20)は、Tat−介在性HIV-1遺伝子活性化のために必要とされることが知られているヒストンアセチルトランスフェラーゼPCAFを標的化する(Tribouletなど. 前記)。現在の研究においては、ウィルス複製におけるHIV-1アップレギュレートされたmiRNAの機能を分析した。インシリコ分析は、HIV-1誘発されるmiRNAがウィルスmRNAを標的化することができないことを示し、このことは、HIV-1誘発されたmiRNAがウィルス複製において役割を演じる場合、この効果はHIV-1抑制細胞遺伝子の標的化を通して介在されるであろうことを示唆する。
【0107】
HIV-1誘発されたmiRNA間で、HIV-1プロモーター活性を調節できるそれらのスクリーンされた。組込まれたLTR−ルシフェラーゼ構造体を含むHeLa細胞を、示されるmiRNAのみによりトランスフェクトし、基礎LTR活性に対するそれらの効果を測定し、又はTat発現プラスミドにより同時トランスフェクトし、LTRのTat−介在性トランスアクチベーションに対するそれらの効果を分析した。miR-34a及びmiR-206はLTRのTat−介在性トランスアクチベーションに対する効果を伴わないで、基礎LTR活性を増強したが、miR-210及びmiR-122は基礎発現レベルに対する効果は有さなかったが、しかしLTRの方にTat−介在性転写活性を増強した(図3)。miR-370は効果を有さなかった。対照として、PCAFを標的化するmiR-20aは、LTRを活性化するTatの能力を低めた。
【0108】
この実験は、miR-34a及びmiR-206が基礎LTR活性の抑制に関与する細胞遺伝子を標的化し、そしてmiR-122及びmiR-210がTat転写活性を抑制する細胞因子を標的化することを示す。次に、それらのmiRNAの効果を、nef読み取り枠において挿入されたルシフェラーゼを発現する単発感染性pNL4-3分子のクローンを用いて、HIV-1を生成に対して分析した。興味あることには、miR-34a、miR-206、 miR-122及び miR-210は、ウィルス生成を54倍、増強したmiR-206の印象的効果を伴って、このアッセイにおいてウィルス発現を増強した(図4)。miR-370は、このアッセイにおいて、ウィルス生成に対して有意な効果は有さなかった。
【0109】
HIV-1感染された患者においては、HIV-1が遺伝子発現レベルでサイレンシングされる2種の情況が存在する。最初に、HAART-処理は、組込まれたサイレントプロウィルスを含む記憶CD4+T細胞から成るサイレントHIV-1保有体の存在を示した。第2に、処理の不在下で長年、それらのウィルスを検出できないレベルまで制御できるHIV-感染された個人が最近、同定されており、そしてエリートHIV制御体として言及されて来た。miR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210がウィルスLTR活性を増強した事実は、それらのmiRNAが感染された患者において観察されるHIV-1サイレンシングにおいて役割を演じることができるかどうかの疑問を我々に導く。
【0110】
従って、5人のHIV-1エリート制御体、及び検出できるウィルス血症を有さない、4人のHAART−処理されたHIV-1感染された患者から単離されたPBMCを、対照miRNA(miR-32)、又はmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物のいずれかによりトランスフェクトした。トランスフェクトされたPBMCを、健康なドナーからのPHA/IL2−活性化されたPBMCと共に同時培養し、そして培養上清液におけるp24抗原を3〜4日ごとに測定した。miRmixの過剰発現は、試験される5人のうち5人のエリート制御体からのPBMCにおいて(図5〜9)、及び試験される4人のうち4人のHAART-処理されたHIV-1−感染された患者において(図10〜13)、ウィルス再活性化を導く。miR対照は効果を有さなかった。
【0111】
それらの実験は、miR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210が天然において単離されたサイレントHIV-1保有体においてHIV-1複製を再活性化することができることを示す。次に、定量的即時RT-PCRを用いて、エリート制御体、HAART−処理された及びHIV-1−感染された未処理の患者からのPBMCにおけるそれらのmiRNAの発現レベルを分析した(図14〜17)。miR-34a、miR-206及びmiR-210の発現は、未処理のHIV-1−感染された患者に比較して、エリートHIV制御体及びHAART−処理されたHIV-1−感染された患者から単離されたPBMCにおいて低い。miR-122の発現は、試験されたすべての患者において低かった。HIV-1により調節されない、miR-125bの発現レベルは、試験されるすべてのPBMCにおいて類似した。興味あることには、エリート制御体及びHAART−処理された患者におけるように、miR34a、miR-206及びmiR-210の発現レベルは、健康なドナーにおいて低かった。それらの実験は、miR34a、miR-206、miR-210及びHIV-1複製の発現間の相互関係を示す。
【0112】
例6:HIV複製の活性化に包含される遺伝子の同定:
miR-34a、miR-206、miR-210及びmiR-122の135の推定上の標的遺伝子の中で、本発明者は、siRNA又はshRNAによる発現の阻害がHIV-1のウィルス複製を活性化する51の遺伝子を同定した(表5及び表6)。
【0113】
手短に言及すると、miR-34a、miR-206、miR-210及びmiR-122の135の推定上の標的遺伝子を特異的に標的化するsiRNAライブラリーを生成した。従って、個々の遺伝子を、4種のsiRNAのプールにより特異的に標的化した。siRNAは、siGenome, Dharmaconから得られた。
【0114】
最初に、HeLa細胞を、オリゴフェクタミン(Invitrogen)と共にsiRNAプールによりトランスフェクトした。48時間後、細胞を、VSV-Gエンベロープを偽分類され、そしてnef遺伝子(HIV-VSVG-Luc)を置換するルシフェラーゼレポート遺伝子を発現するHIVウィルスにより感染した。感染の48時間後、細胞を集め、そしてルシフェラーゼ活性を定量化した(ルシフェラーゼアッセイキット、Promega)。ルシフェラーゼ活性を、Bradfordアッセイにより測定された細胞溶解物におけるタンパク質の量に関して、標準化した。
【0115】
従って、特異的阻害がHeLa細胞におけるウィルス複製の5倍の上昇を導く51種の遺伝子を同定することができる。
【0116】
上記分析をまた、感染の生理学的状態に近い下記インビトロ細胞モデルにおいて実施した:
−CD4受容体、及びCCR5及びCXCR4補受容体を発現するHeLa CD4細胞;siRNAを上記方法に従って(但し、感染されたウィルスはHIVエンベロープ(pNL4-3-Luc)を担持した)、トランスフェクトした;
−Jurkat T細胞、感染されていない個人からの抹消血液単核細胞(PBMC)、及びヒトマクロファージ;それらの場合、遺伝は、shRNA−発現レンチウィルス粒子(TRCクローン)のトランスフェクションに従って阻害される。
【0117】
【表5】
【0118】
【表6】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトロウィルスが潜伏状態で存在する、特に無症候性個人におけるレトロウィルス感染を処理するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レトロウィルス、例えばヒト免疫不全ウィルス(HIV)は、潜伏状態で感染された細胞において留まることができる。ウィルスの潜伏及び再活性化を担当する機構は、十分に理解されていない。CD4+Tリンパ球細胞におけるウィルスの複製は、宿主細胞の細胞周期に一部、依存する。活性化されたCD4+リンパ球中へのHIV侵入は一般的に、増殖感染を導くが、ところが感染性生成は一般的に、非活性化CD4+リンパ球中への侵入の後に得られる。
【0003】
エリートHIV-1制御体に関して言及される何人かの患者は、処理の不在下で数年間、検出できないレベルでそれらのウィルスを保持できる感染された個人である(Goudsmit et al. (2002) AIDS 16:791 -793)。この能力は今日、明白な説明がなく、そして関心は、感染の長期制御を管理するそれらの個人の能力に関して表されている。
【0004】
さらに、HIV潜伏は、現在のHIV抗ウィルス治療に関する主要問題である。実際、それらの治療は、ウィルスの潜在的耐性保有体のために、感染を根絶しない。例えば、抗レトロウィルス薬物のカクテルがHIV-1感染された患者に投与される、高い活性の抗−レトロウィルス療法(HAART)は、HAART耐性の潜在的ウィルス保有体のために、HIV-1感染を決定的に根絶するのに失敗している(Marcello (2006) Retrovirology 3:7)。従って、感染が例えば、投与される薬物の効率の低下に基づいて再活性化する危険性がそのような患者において常に存在する。
【0005】
従って、それらの患者において潜在的レトロウィルス保有体を十分に根絶する必要性がある。
そのような目的を達成するために提案されて来た治療手段の1つは、感染された細胞における潜在的レトロウィルスの再活性化にあり、それにより、レトロウィルス粒子生成を誘発し、そして薬物に対する感受性を回復する。従って、そのような手段は、感染された患者の完全な回数を導くことができた。
【0006】
レトロウィルスの再活性化を促進するいくつかの分子は知られている。例えば、プロストラチンは、HAARTを受ける感染された患者のCD8+Tリンパ球においてHIV発現をアップレギュレートできることが知られている。従って、プロストラチンは、永続的ウィルスレパートリーの排除のための良好な候補体であることが提案されている。しかしながら、プロストラチンにより得られる結果はいくらか不均質であり、そして他の分子についての必要性がまだ存在する(Kulkosky (2001) Blood 98:3006-3015, Korin et al. (2002) Virology 76:81 18-8123)。
【0007】
ミクロRNA(miRNA)は、一般的に20〜25個の長さのヌクレオチドのRNAの新しく発見された種類である。それらは、特定のメッセンジャ−RNA、すなわちmRNAの翻訳を変性するか又は阻止することにより、後転写レベルで遺伝子発現規則下に包含される。合成から作用まで、miRNA経路は、中でも、Drosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm-1、GW182及びXRN1として知られているタンパク質を特に含んで成る経路の成分に関して十分に記載されている(Bartel (2004) Cell 116:281 -297)。5種のmiRNA、すなわちmir-28、 mir-125b、mir-150、mir-223及びmir-382の2’-O-メチル−オリゴボヌクレオチドアンチセンスインヒビターが、HAART下でCD4+T細胞から得られたHIV-1感染された個人からのHIV-1感染粒子生成を誘発するできることが最近示されている(Huang et al. (2007) Nat. Med. 13:1241 -1247)。従って、インビボでHIV-1潜在性を逆転することがそのような抗−miRNAインヒビターに提案されている。しかしながら、それらのインヒビターの潜在毒性に関する関心が高まっている(Zhang (2008) lnt J Biochem Cell)。
【0008】
従って、感染された個人において潜在レトロウィルス保有体を再活性化するために有用な他の化合物及び方法を提供することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【0009】
この点で、本発明は、HIV-1により感染された潜在的細胞と、特定のmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-122、miR-206及びmiR-210(それぞれ、配列番号:1〜4により表される)との接触がそれらの細胞によるHIV-1発現を誘発した予測されない発明者による発見から発生する。予想外にまた、同じ発明者は、miRNA経路の成分、例えばDrosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm-1、GW182及びXRN1の発現の阻害が潜在的感染された細胞においてHIV-1発現を誘発したことを見出した。
【0010】
従って、本発明は、
(i)1)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4、及び
2)少なくとも1つのヌクレオチドの置換、欠失又は挿入により配列番号:1〜4に由来する配列から成る群から選択された配列、を含んで成るか又は成るか、又は
(ii)前記配列を含んで成るか又は成る核酸(但し、配列番号:1〜4に由来する配列から成る核酸は、潜在的HIV−1−感染された細胞においてHIV-1発現を誘発する傾向がある)をコードする、特にレトロウィルス感染の処理のための薬物として使用するための少なくとも1つの核酸に関する。
【0011】
本発明はまた、レトロウィルス感染の処理への使用のための、miRNA経路の少なくとも1つの成分の活性を阻害する少なくとも1つの化合物にも関する。
本発明はまた、治療的有効量の上記に定義されるような少なくとも1つの核酸又は上記に定義されるような少なくとも1つの化合物を、個人に投与することを含んで成る、個人におけるレトロウィルス感染の処理方法にも関する。
【0012】
上記に定義される核酸、化合物又は方法の態様においては、前記核酸又は化合物は、少なくとも1つの他の抗レトロウィルス化合物と組合して使用される。
本発明はまた、レトロウィルスベクターを有する細胞からのレトロウィルス粒子の生成のためへの、上記に定義されるような核酸、又はDrosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm-1、GW182及びXRNLから成る群から選択されたmiRNA経路の成分を阻害する化合物のインビトロ使用にも関する。
【0013】
本発明はまた、
−レトロウィルスベクターを有する細胞と、上記に定義されるような核酸、又はDrosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm-1、GW182及びXRNLから成る群から選択されたmiRNA経路の成分を阻害する化合物とを接触し;
−前記細胞において前記レトロウィルスベクターを発現せしめ;それにより、レトロウィルスベクターを、前記細胞から生成することを含んで成る、レトロウィルス粒子のインビトロ生成方法にも関する。
【0014】
本発明の態様においては、上記に定義されるインビトロ使用及びインビトロ方法は、T細胞と共に前記細胞を培養する段階を包含しない。
本発明者はまた、miR-34a、miR-206、miR-210及びmiR-122により標的化され、そしてsiRNA又はshRNAによる発現の阻害がHIV-1のウィルス複製を活性化する51種の遺伝子を同定している。
【0015】
従って、本発明はまた、特にレトロウィルス感染の処理のための薬物としての使用のためへの、DGUOK、MIR16、PPP1 R1 1 、ARHGAP1 、TEDDM1 、QDPR、C14orf32、C1 orf19、ATP1 B3、 FLJ10241 、 ANP32E、 TAGLN2、ARF3、 PTMA、 PPIB、 PRCP、 PTPRK、 OBSL1 、SLC44A1 、 PPIAL4、 SERP1 、EBPL、 CBX6、ZBED3、 NP、 PRSS21 、 PPIA、 C5orf13、 E2F2、 CACYBP、 TROAP、 APOBEC3A、 C7orf44、 ORC6L、WNT10B、VIM、CDC6、MCRS1 、NAG18、 PPP1 CC、DULLARD、 ASF1 B、PLP2、 MTHFD2、 PIGS、 KIF2C、 NRM、 PEG10、 C22orf9、COL4A2、 及びSNX26から成る群から選択された遺伝子の活性のモジュレーターにも関する。
【0016】
本発明はまた、DGUOK、MIR16、PPP1 R1 1 、ARHGAP1 、TEDDM1 、QDPR、C14orf32、C1 orf19、ATP1 B3、 FLJ10241 、 ANP32E、 TAGLN2、ARF3、 PTMA、 PPIB、 PRCP、 PTPRK、 OBSL1 、SLC44A1 、 PPIAL4、 SERP1 、EBPL、 CBX6、ZBED3、 NP、 PRSS21 、 PPIA、 C5orf13、 E2F2、 CACYBP、 TROAP、 APOBEC3A、 C7orf44、 ORC6L、WNT10B、VIM、CDC6、MCRS1 、NAG18、 PPP1 CC、DULLARD、 ASF1 B、PLP2、 MTHFD2、 PIGS、 KIF2C、 NRM、 PEG10、 C22orf9、COL4A2、 及びSNX26の少なくとも1つのモジュレーターを個人に投与することを含んで成る、個人におけるレトロウィルス感染の処理方法にも関する。
【0017】
薬物としての使用のための上記に定義されるモジュレーター、又は前記モジュレーターを包含する処理方法の態様においては、DGUOK、MIR16、PPP1 R1 1 、ARHGAP1 、TEDDM1 、QDPR、C14orf32、C1 orf19、ATP1 B3、 FLJ10241 、 ANP32E、 TAGLN2、ARF3、 PTMA、 PPIB、 PRCP、 PTPRK、 OBSL1 、SLC44A1 、PPIAL4、SERP1 、EBPL、CBX6、ZBED3、NP、PRSS21 、 PPIA、C5orf13、E2F2、CACYBP、 TROAP、 APOBEC3A、 C7orf44、 ORC6L、WNT10B、VIM、CDC6、MCRS1 、NAG18、 PPP1 CC、DULLARD、 ASF1 B、PLP2、 MTHFD2、 PIGS、 KIF2C、 NRM、 PEG10、 C22orf9、COL4A2、及びSNX26の個々の1つの発現のモジュレーターが使用される。
【0018】
薬物としての使用のための上記に定義されるモジュレーター、又は前記モジュレーターを包含する処理方法の態様においては、前記モジュレーターは、少なくとも1つの他の抗−レトロウィルス化合物と組合して使用される。
【0019】
発明の特定の記載:
核酸:
本明細書において意図される場合、本発明の核酸はいずれのタイプのものであり得、それは特に、天然又は合成の一本鎖又は二本鎖のDNA又はRNAであり得る。特に、核酸が合成のものである場合、それは特に、核酸の変性に対する耐性を高めるために、塩基又は結合の非天然の修飾を包含することができる。核酸がRNAである場合、その修飾は特に、ヒドロキシル成分を抑制することにより(2’−デオキシリボース又は2’−デオキシリボース−2’−フルオロリボースを生成するために)、又はアルキル成分、例えばメチル基によりヒドロキシル成分を置換することにより(2’−O−メチル−リボースを生成するために)、ヒドロキシル成分の反応性を低めるために、その末端をキャピングするか又はリボース主鎖の2’位置を修飾することを包含する。
【0020】
配列番号:1,2,3及び4は、miRNAs 、miR-34a、miR-122、miR-206 及びmiR-210の配列を、それぞれ表す。それらのmiRNAは特に、Griffiths-Jones (2004) Nucleic Acids Res 32:D109-D1 11 ; Griffiths-Jones et al. (2008) Nucleic Acids Res 36:D154-D158; 及びhttp://microrna.sanger.ac.ukで入手できる miRBaseデータベースに記載されている。
【0021】
本発明の核酸が配列番号:1,2,3又は4、又はそれらに由来する配列を含んで成るか又はそれらから成る場合、本発明の核酸はその細胞標的物に対してその効果を直接的に発揮することが意図される。この場合、核酸は好ましくは、RNA分子である。
【0022】
本発明の核酸が配列番号:1,2,3又は4、又はそれらに由来する配列を含んで成るか又はそれらから成る核酸をコードする場合、本発明の核酸は、それがコードする核酸、特にRNA分子がその細胞標的物に対してその効果を発揮するであろう、細胞内で発現されることが意図される。この場合、本発明の核酸は好ましくは、DNA分子、より好ましくは、二本鎖DNA分子である。さらに、当業者に明白であるように、本発明の核酸はまた好ましくは、コードされる核酸の発現を確保する遺伝子要素、特にRNAポリメラーゼII又はIII のプロモーター配列を含んで成る。
【0023】
インビトロ又はインビボで細胞中に核酸を供給するための方法は、当業者に良く知られており、そして特に引用により本明細書に組込まれる、Nguyen et al. (2008) Curr Opin MoI Ther 10:158-67 及びDykxhoorn et al. (2006) Gene Therapy 13:541 -552に記載されている。
【0024】
好ましくは、本発明の核酸が配列番号:1、2、3又は4、又はそれらに由来する配列を含んで成る場合、それは1000個以下の長さのヌクレオチド、より好ましくは100個以下の長さのヌクレオチド、及び最も好ましくは、50個以下の長さのヌクレオチドである。
【0025】
好ましくは、少なくとも1つのヌクレオチドの置換、欠失又は挿入による配列番号:1〜4に由来する配列は、それが由来する配列と、少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、及び最も好ましくは少なくとも95%の同一性を提供する。本明細書において意図される場合、2種の配列間の同一性の%は、ヌクレオチドが同一である個々の配列の位置数を最大にするために、2種の配列を一列整列し、そして2種の配列の長さのヌクレオチド数により、ヌクレオチドが同一である個々の配列の位置数を割算することにより得られる。
【0026】
本明細書において意図される場合、“潜在的HIV-1感染された細胞”とは、HIV-1配列がそれらの染色体の1つに組込まれたことが見出され、そしてHIV-1コードされたRNA又はタンパク質を発現しない細胞である。そのような細胞、特に抹消血液多核細胞、より特定にはT細胞、さらにより特定にはCD4+T細胞は特に、HIV-1により感染された無症候性患者、例えばHAART処理された患者又はエリートHIV-1制御体患者から入手され得る。HIV-1配列が前記細胞の染色体の1つに組込まれたことが見出され得るかどうかの決定は、当業者に良く知られている多くの方法、例えばHIV-1特異的にプライマーにより実施されるポリメラーゼ鎖反応(PCR)実験により実施され得る。
【0027】
前記細胞が潜在性であるかどうかの決定は、例に特に記載されるように、それぞれ定量的逆転写酵素ポリメラーゼ鎖反応(qRT-PCR)又は免疫学的方法、例えば酵素−連結されたイムノソルベントアッセイ(ELISA)を用いて、前記細胞により、HIV-1コードされたRNA又はタンパク質(例えば、p24抗原)の発現を測定することにより実施され得る。潜在性細胞は、検出できないか(例えば、定量的RT-PCRを用いる場合、40以下のHIV-1 RNAコピー/ml)、又は対照細胞、例えば非HIV-1感染された細胞又は有意に異ならない発現レベルとして定義され得るHIV-1−コードされたRNA及びタンパク質を実質的に発現しない。
【0028】
本明細書において意図される場合、核酸が潜在的HIV-1−感染された細胞においてHIV-1発現を誘発する傾向があるかどうかの確立は、本発明の核酸と接触された細胞におけるHIV-1コードされたタンパク質、例えばp24タンパク質の発現レベルと、本発明の核酸と接触されていない同一の対照細胞とを比較することにより決定され得る。前記接触された細胞が対照細胞に対して有意に変更されたレベルのHIV-1−コードされたタンパク質の発現を提供する場合、前記核酸は潜在的HIV-1−感染された細胞においてHIV-1発現を誘発される傾向があろう。
【0029】
本発明の好ましい態様においては、配列番号:1から成るRNA分子、配列番号:2から成るRNA分子、配列番号:3から成るRNA分子、及び配列番号:4から成るRNA分子が、同じ薬物又は医薬組成物と組合して、又は一緒に、その必要な患者に投与される。
【0030】
化合物:
本明細書において意図される場合、“miRNA経路の成分”とは、ミクロRNA(miRNA)の合成、成熟及び作用に包含される細胞タンパク質のいずれか1つに関する。miRNA経路の成分は、当業者に良く知られており、そして引用により本明細書に組込まれる、Bartel (2004) Cell 116:281 -97 及び Beckham and Parker (2008) Cell Host Microbe 3:206-12に記載されている。特に、miRNA経路の成分は、Drosha、DGCR8(RNAポリメラーゼII又はIII によるそれらの合成に基づいて成熟プレ−miRNAに包含される)、Dicer(miRNAへのプレ−miRNAの成熟に包含される)、RCK/p54、LSm-1、GW182及び XRN1(標的化されたmRNAの変性に包含される)から選択される。より好ましくは、miRNA経路の成分は、DGCR8、RCK/p54、LSm- 1、GW182及びXRN1から成る群から選択される。
【0031】
より好ましくは、miRNA経路の成分は、DGCR8、RCK/p54、LSm- 1、GW182及びXRN1から成る群から選択される。
【0032】
一例として、Droshsは配列番号:6により表され、DGCR8は配列番号:8により表され、Dicerは配列番号:10により表され、RCK/p54は配列番号:12により表され、LSm-1は配列番号:14により表され、GW182は配列番号:16により表され、そしてXRN1は配列番号:18により表される。
【0033】
本明細書において意図される場合、本発明の化合物はいずれのタイプのものでもあり得る。特に、本発明の化合物は、miRNA経路の成分の活性を直接妨げる能力を有することができる。化合物はまた、転写又は翻訳レベルでmiRNA経路の成分の発現を妨げることができる。化合物が翻訳レベルでmiRNA経路の成分の発現を妨げる場合、それは特に、miRNA経路の成分をコードするmRNAを標的化するエフェクター核酸、又は前記エフェクター核酸をコードする核酸、例えばウィルスベクターであり得る。特に、エフェクター核酸は、DNA又はRNAアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は小干渉性RNA(siRNA)であり得る。
【0034】
本発明のエフェクター核酸は、特に変性に対するそれらの耐性を高めるために塩基又は結合の非天然の修飾を包含することができる。核酸がRNAである場合、修飾は特に、ヒドロキシ成分を抑制するか(2’−デオキシリボース又は2’−デオキシリボース−2’−フルオロリボースを生成するために)、又はアルキル基、例えばメチル基によりヒドロキシル成分を置換することにより(2’−O−メチル−リボースを生成するために)、ヒドロキシル成分の反応性を低めるために、その末端をキャッピングするか、又はリボース主鎖の2’位置を修飾することを包含する。
【0035】
好ましくは、本発明のエフェクター核酸は、50個以下の長さのヌクレオチド、より好ましくは40個以下の長さのヌクレオチド、及び最も好ましくは、30個以下の長さのヌクレオチドである。好ましくは、本発明のエフェクター核酸は、少なくとも10個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも15個の長さのヌクレオチド、及び最も好ましくは、少なくとも20個の長さのヌクレオチドである。
本発明のsiRNAは好ましくは、二本鎖である。
【0036】
本明細書において意図される場合、用語“siRNa”とは、“小ヘアーピンRNA(shRNA)”を包含する。shRNAは、そのshRNAのハイブリダイズされた部分を連結するshRNAの一本鎖部分のプロセッシングに基づいて、二本鎖siRNAを生成する傾向がある自己ハイブリダイズする一本鎖RNA分子から形成される。当業者に良く知られているように、標的細胞中に供給されている核酸から転写されるshRNAは、siRNAのための選択の前駆体であり、ここでsiRNAの生成は細胞内で生じる。当業者に明白なように、エフェクター核酸について上記に与えられる好ましい長さは、それらのハイブリダイズされた配座において考慮されるshRNAに適用され、そしてshRNAがそれらのハイブリダイズされていない配座において考慮される場合、二倍にされるべきである。
【0037】
特にDykxhoorn et al.(op. cit.)及びNguyen et al(op. cit.)により報告されるように、mRNAの配列が部分的に又は完全に知られている特定のmRNAを標的化するよう意図されるsiRNAを考案し、そしてsiRNA、又はsiRNA及びshRNAをコードする核酸を細胞中にインビトロで又はインビボで供給することは、当業者の範囲内である。
一例として、Drosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm- 1、GW182及びXRN1を標的化するsiRNAは、それぞれ配列番号:19, 20, 21, 22, 23, 24及び25により表される。
【0038】
モジュレーター:
本明細書において意図される場合、本発明のモジュレーターはいずれのタイプのものでもあり得る。さらに、当業者に明白なように、本発明のモジュレーターは、DGUOK、MIR16、PPP1 R11 、ARHGAP1 、TEDDM1 、QDPR、C14orf32、C1 orf19、ATP1 B3、 FLJ10241 、ANP32E、 TAGLN2、ARF3、 PTMA、PPIB、PRCP、PTPRK、OBSL1 、SLC44A1 、PPIAL4、SERP1 、EBPL、CBX6、ZBED3、 NP、 PRSS21 、PPIA、 C5orf13、 E2F2、 CACYBP、 TROAP、 APOBEC3A、 C7orf44、 ORC6L、WNT10B、VIM、CDC6、MCRS1 、NAG18、 PPP1 CC、DULLARD、ASF1 B、PLP2、MTHFD2、 PIGS、KIF2C、NRM、PEG10、C22orf9、COL4A2、及びSNX26から成る群から選択された遺伝子の活性を活性化するか、又は阻害する(すなわち、妨げる)ことができる。
【0039】
好都合には、上記遺伝子の1つの活性を阻害する本発明のモジュレーターは、レトロウィルスのウィルス複製を活性化するために有用であり、それにより、個人における潜在的レトロウィルス保有体を根絶することが可能である。
同様に好都合には、上記遺伝子の1つの活性を活性化する本発明のモジュレーターは、レトロウィルスのウィルス複製を阻害するために有用である。
【0040】
特に、本発明のモジュレーターは、DGUOK、MIR16、PPP1 R11 、ARHGAP1 、TEDDM1 、QDPR、C14orf32、C1 orf19、ATP1 B3、 FLJ10241 、ANP32E、 TAGLN2、ARF3、 PTMA、PPIB、PRCP、PTPRK、OBSL1 、SLC44A1 、PPIAL4、SERP1 、EBPL、CBX6、ZBED3、 NP、 PRSS21 、PPIA、 C5orf13、 E2F2、 CACYBP、 TROAP、 APOBEC3A、 C7orf44、 ORC6L、WNT10B、VIM、CDC6、MCRS1 、NAG18、 PPP1 CC、DULLARD、ASF1 B、PLP2、MTHFD2、 PIGS、KIF2C、NRM、PEG10、C22orf9、COL4A2、及びSNX26から成る群から選択された遺伝子の活性を直接的に活性化するか又は阻害する能力を有することができる。モジュレーターはまた、転写又は翻訳レベルでそれらの遺伝子の発現を活性化するか又は阻害することができる。
【0041】
モジュレーターが、DGUOK、MIR16、PPP1 R11 、ARHGAP1 、TEDDM1 、QDPR、C14orf32、C1 orf19、ATP1 B3、 FLJ10241 、ANP32E、 TAGLN2、ARF3、 PTMA、PPIB、PRCP、PTPRK、OBSL1 、SLC44A1 、PPIAL4、SERP1 、EBPL、CBX6、ZBED3、 NP、 PRSS21 、PPIA、 C5orf13、 E2F2、 CACYBP、 TROAP、 APOBEC3A、 C7orf44、 ORC6L、WNT10B、VIM、CDC6、MCRS1 、NAG18、 PPP1 CC、DULLARD、ASF1 B、PLP2、MTHFD2、 PIGS、KIF2C、NRM、PEG10、C22orf9、COL4A2、及びSNX26から成る群から選択された遺伝子の発現を、翻訳レベルで妨げる場合、それは特に、それらの遺伝子の1つをコードするmRNAを標的化するエフェクター核酸、又は前記エフェクター核酸をコードする核酸、例えばウィルスベクターであり得る。特に、エフェクター核酸は、DNA又はRNAアンチセンスオリゴヌクレオチド又は小干渉性RNA(siRNA)であり得る。
【0042】
本発明のエフェクター核酸は、特に変性に対するそれらの耐性を高めるために塩基又は結合の非天然の修飾を包含することができる。核酸がRNAである場合、修飾は特に、ヒドロキシ成分を抑制するか(2’−デオキシリボース又は2’−デオキシリボース−2’−フルオロリボースを生成するために)、又はアルキル基、例えばメチル基によりヒドロキシル成分を置換することにより(2’−O−メチル−リボースを生成するために)、ヒドロキシル成分の反応性を低めるために、その末端をキャッピングするか、又はリボース主鎖の2’位置を修飾することを包含する。
【0043】
好ましくは、本発明のエフェクター核酸は、50個以下の長さのヌクレオチド、より好ましくは40個以下の長さのヌクレオチド、及び最も好ましくは、30個以下の長さのヌクレオチドである。好ましくは、本発明のエフェクター核酸は、少なくとも10個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも15個の長さのヌクレオチド、及び最も好ましくは、少なくとも20個の長さのヌクレオチドである。
本発明のsiRNAは好ましくは、二本鎖である。
【0044】
本明細書において意図される場合、用語“siRNa”とは、“小ヘアーピンRNA(shRNA)”を包含する。shRNAは、そのshRNAのハイブリダイズされた部分を連結するshRNAの一本鎖部分のプロセッシングに基づいて、二本鎖siRNAを生成する傾向がある自己ハイブリダイズする一本鎖RNA分子から形成される。当業者に良く知られているように、標的細胞中に供給されている核酸から転写されるshRNAは、siRNAのための選択の前駆体であり、ここでsiRNAの生成は細胞内で生じる。当業者に明白なように、エフェクター核酸について上記に与えられる好ましい長さは、それらのハイブリダイズされた配座において考慮されるshRNAに適用され、そしてshRNAがそれらのハイブリダイズされていない配座において考慮される場合、二倍にされるべきである。
【0045】
特にDykxhoorn et al.(op. cit.)及びNguyen et al(op. cit.)により報告されるように、mRNAの配列が部分的に又は完全に知られている特定のmRNAを標的化するよう意図されるsiRNAを考案し、そしてsiRNA、又はsiRNA及びshRNAをコードする核酸を細胞中にインビトロで又はインビボで供給することは、当業者の範囲内である。
【0046】
モジュレーターが、DGUOK、MIR16、PPP1 R11 、ARHGAP1 、TEDDM1 、QDPR、C14orf32、C1 orf19、ATP1 B3、 FLJ10241 、ANP32E、 TAGLN2、ARF3、 PTMA、PPIB、PRCP、PTPRK、OBSL1 、SLC44A1 、PPIAL4、SERP1 、EBPL、CBX6、ZBED3、 NP、 PRSS21 、PPIA、 C5orf13、 E2F2、 CACYBP、 TROAP、 APOBEC3A、 C7orf44、 ORC6L、WNT10B、VIM、CDC6、MCRS1 、NAG18、 PPP1 CC、DULLARD、ASF1 B、PLP2、MTHFD2、 PIGS、KIF2C、NRM、PEG10、C22orf9、COL4A2、及びSNX26から成る群から選択された遺伝子の活性を活性化する場合、それは特に、それらの遺伝子の1つを発現する核酸、例えば発現ベクター、特にそれらの遺伝子の1つの配列を有するウィルスベクターであり得る。
【0047】
上記遺伝子は、当業者に良く知られており、そして特に、NCBI受託番号、又は次の表に列挙される配列番号により表される。NCBI受託番号及び配列番号は、mRNAの配列、又は列挙される遺伝子のコード配列(CDS)を言及する。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
投与:
本発明の核酸、本発明の化合物、又は本発明のモジュレーター、又は本発明の核酸、本発明の化合物、又は本発明のモジュレーターを含んで成る薬物又は医薬組成物の治療使用が企画される場合、前記核酸、化合物及びモジュレーターは、1又は複数の医薬的に許容できるキャリヤーに結合され得る。特に、好ましくは、医薬的に許容できるキャリヤーは、核酸を細胞中に供給するために適切である。核酸を細胞中に供給するために適切なキャリヤーは当業者に良く知られており、そして特に、標的細胞、特にT細胞の特異的受容体に対して特異性を有する、成分、例えば抗体又は抗体フラグメントに任意に結合される、脂質又はペプチド、超微粒子及びリポソームを包含する。
【0051】
局部又は全身路のいずれかが、本発明の核酸、本発明の化合物又は本発明のモジュレーターを投与するために使用され得る。核酸についての投与方法の例は、Nguyen et al. (op. cit.) nad Dykxhoorn et al. (op. cit.)に特に記載される。
【0052】
抗−レトロウィルス化合物:
好ましくは、上記に定義されるような他の抗−レトロウィルス化合物は、引用により本明細書に組込まれる、Hammer et al. (2008) JAMA 300:555-70に記載されるような、逆転写酵素インヒビター及びプロテアーゼインヒビターから成る群から選択される。
【0053】
逆転写酵素インヒビターは、DNAへのレトロウィルスのRNAゲノムの逆転写を触媒するレトロウィルス酵素を標的化する良く知られている種類の抗−ウィルス化合物である。逆転写酵素インヒビターは特に、下記を含んで成る:
−ヌクレオシド類似体逆転写酵素インヒビター(NRTI)、例えばイドブジン(すなわちAZT)、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、ラミブジン、アバカビル及びEmthcitabine;
−ヌクレオチド類似体逆転写酵素インヒビター(NtRTIs、例えばテノフォビル及びアデフォビル):
−非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTI)、例えばエファビレンツ、ネビラピン、デラビルジン、エトラビリン。
【0054】
プロテアーゼインヒビターは、レトロウィルスゲノムにより発現されるポリプロテインの分解を触媒するレトロウィルス酵素を標的化する良く知られている種類の抗−レトロウィルス化合物である。プロテアーゼインヒビターは特に次のものを包含する:サクイナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ロピナビル、アタザナビル、フォサンプレナビル、チプラナビル及びDaruダルナビル。
【0055】
抗−レトロウィルス化合物はしばしば、組合して使用される。例えば、高活性抗レトロウィルス療法(HAART)においては、複数の異なった抗−レトロウィルス化合物、例えば2種のNRTI及びプロテアーゼインヒビター、又は2種のNRTI及びNNTIが組合して使用される。特定のレトロウィルス−感染された患者のために適切な組合せの定義は、当業者に範囲内である。
【0056】
レトロウィルス感染:
本明細書において意図される場合、用語“レトロウィルス”又は“レトロウィルス性”とは、レトロウィルス科、より特定にはレンチウィルス属のウィルスを言及する。本発明のレトロウィルスは特に、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)、特に、HIV-1及びHIV-2、サル免疫不全ウィルス(SIV)及びネコ免疫不全ウィルス(FIV)を包含する。
【0057】
好ましくは、本発明の化合物、又は本発明の核酸又は本発明の化合物を含んで成る薬物又は医薬組成物が、レトロウィルスにより感染された無症候性患者の処理のために意図される。
【0058】
本明細書において意図される場合、表現“レトロウィルスにより感染された無症候患者”とは、レトロウィルス配列がそれらの染色体の1つに組込まれることが見出されているが、しかしレトロウィルス配列を発現していない細胞を有する個人を言及する。そのような個人の同定は、当業者の範囲内であり、そして特に、それぞれqRT-PCR及び免疫学的技法を用いて、レトロウィルスRNA又は抗原(例えば、HIV-1のp24抗原)の血液、血清又は血漿レベルを測定することを包含する。特に、患者は、レトロウィルス配列発現生成物(すなわち、RNA及びタンパク質)が検出できない場合、無症候性であると言われる。
【0059】
無症候性患者がHIV-1により感染される場合、彼らは特に、高活性抗レトロウィルス療法(HAART)又はエリートHIV-1制御体下にあり得る。
【0060】
レトロウィルス粒子の生成:
本明細書において意図される場合、“レトロウィルス粒子”又は“レトロウィルスベクター”とは、特にヒト免疫不全ウィルス(HIV)、特にHIV-1及びHIV-2、サル免疫不全ウィルス(SIV)及びネコ免疫不全ウィルス(FIV)を包含する、レトロウィルス科、より特定にはレンチウィルス属のウィルス由来の粒子又はベクターを言及する。
【0061】
本発明のレトロウィルス粒子又はベクターはそれぞれ、レトロウィルス起源のものではない要素(例えば、核酸及びタンパク質)を含んで成り、そしてコードすることができる。レトロウィルス粒子は特に、それを特定の細胞及び組織に標的化し、特にトランスジーンを供給することが意図されるエンベロープタンパク質を有することができる。そのような粒子及びベクターは、引用により本明細書に組込まれる、Cronin et al. (2005) Curr. Gene Ther. 5:387-398により報告されるように、当業界において良く知られており、そして一般的には、偽型レトロウィルス粒子及びベクターとして言及される。
【0062】
レトロウィルスベクターからレトロウィルス粒子を生成する方法は、当業者に良く知られており、そして本発明の方法は、特に次の例の観点から、容易に実施され得る。
好都合には、上記定義されるインビトロ使用及びインビトロ方法は、T細胞と共に細胞を培養しないで実施され得る。
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、スクランブルsiRNA(sc)によるトランスフェクションの後のウィルス生成に比較して、ウィルス生成(垂直軸)に対する、特定のsiRNAによるトランスフェクションによるRCK/p54、LSm-1、GW182、XRN1、DGCR8、Drosha又は対照タンパク質CDK9のノックダウンの効果(水平軸)を示す。
【0066】
【図2】図2は、スクランブルsiRNA(sc)、又はDrosha、DGCR8 又はRCK/p54特異的siRNAによりトランスフェクトされた3人の患者(1,2,3)(水平軸)からのHAART−処理されたHIV-1から単離されたPBMCと接触しての健康なドナーから単離されたPBMCに存在するp24抗原(垂直軸)の量により推定されるウィルス生成を示す。
【0067】
【図3】図3は、空のベクター(白色棒)又はTat発現ベクター(斜線の棒)と共に、組込まれたLTR−ルシフェラーゼ構造体を含むHeLa細胞における、LTR活性(垂直軸)に対する異なったmiRNA又は対照miRNA(対照)(水平軸)の効果を示す。
【0068】
【図4】図4は、異なったmiRNAに対して特異的なsiRNA、スクランブルsiRNA(sc)、又はDGCR8特異的siRNAによりトランスフェクトされ(水平軸)、そしてルシフェラーゼ遺伝子を有するHIV-1により感染されたHeLa細胞におけるHIV生成(垂直軸)を示す。
【0069】
【図5】図5は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第1の患者エリートHIV-1制御体から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0070】
【図6】図6は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第2の患者エリートHIV-1制御体から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0071】
【図7】図7は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第3の患者エリートHIV-1制御体から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0072】
【図8】図8は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第4の患者エリートHIV-1制御体から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0073】
【図9】図9は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第5の患者エリートHIV-1制御体から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0074】
【図10】図10は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第1のHAART-処理された、感染された患者から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0075】
【図11】図11は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第2のHAART-処理された、感染された患者から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0076】
【図12】図12は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第3のHAART-処理された、感染された患者から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0077】
【図13】図13は、時間の関数(日数、水平軸)下で、対照miRNA(菱形)、又はmiRNA、すなわちmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物(正方形)によるトランスフェクションの後、検出できるウィルス血症を有さない第4のHAART-処理された、感染された患者から単離されたPBMCにおけるHIV再活性化(垂直軸)を示す。
【0078】
【図14】図14は、エリートHIV-1制御体(正方形)、未処理のHIV-1感染された患者(三角)及びHAART処理された、HIV-1感染された患者(逆三角形)から単離されたPBMCにおける、RT-PCRによるmiR-210の発現(垂直軸)を示す。
【0079】
【図15】図15は、エリートHIV-1制御体(正方形)、未処理のHIV-1感染された患者(三角)及びHAART処理された、HIV-1感染された患者(逆三角形)から単離されたPBMCにおける、RT-PCRによるmiR-34aの発現(垂直軸)を示す。
【0080】
【図16】図16は、エリートHIV-1制御体(正方形)、未処理のHIV-1感染された患者(三角)及びHAART処理された、HIV-1感染された患者(逆三角形)から単離されたPBMCにおける、RT-PCRによるmiR-206の発現(垂直軸)を示す。
【0081】
【図17】図17は、エリートHIV-1制御体(正方形)、未処理のHIV-1感染された患者(三角)及びHAART処理された、HIV-1感染された患者(逆三角形)から単離されたPBMCにおける、RT-PCRによるmiR-122の発現(垂直軸)を示す。
【実施例】
【0082】
例1:miRNAエフェクターは、HIV-1遺伝子発現のリプレッサーである:
RNAiエフェクターがHIV-1複製を調節するかどうかを調べるために、ウィルス複製を、RNAエフェクターの発現が特定のsiRNAを用いて低められた細胞において分析した。
【0083】
方法:
HeLa細胞を、引用により本明細書に組込まれる、Triboulet et al. (2007) Science 315 (5818) :1579-82に示されるように、siRNAによりトランスフェクトした。48時間のトランスフェクションの後、細胞を、ウェスターンブロットにより、RCK/p54、LSm-1 、GW182、XRN1、DGCR8、DROSHA及びCDK9発現について分析するか、又は単発感染性ウィルス(HIV-1-VSV-luc)により感染し、そして細胞抽出物を、感染の48時間後、ルシフェラーゼ活性について測定した。RCK/p54は、ポリソームとのHIV-1 mRNA結合を制限する。示されたsiRNAによりトランスフェクトされ、そしてHIV-1-VSVG-lucにより感染されたHeLa細胞からの細胞質抽出物を、グリセロールグラジエント(7%〜47%)上で実施した。画分を集め、そしてそれらのRNA含有物を、254nmで吸光度(OD)を測定することによりモニターした。HIV-1 mRNA及びHdm2 mRNAを、特定のオリゴヌクレオチドを用いて、Q-RT-RCRによりすべての画分において定量化した。
【0084】
結果:
Hela細胞を、RCK/p54、LSm-1、GW182 XRN1又はDGCR8に対して特異的なsiRNAによりトランスフェクトした。対照として、HeLa細胞を、スクランブルsiRNA(Scr)、又はCDK9特異的siRNAによりトランスフェクトした。RCK/p54、LSm-1、GW182 及びXRN1のノックダウンは、ウィルス複製を10倍まで増強した(図1)。前に示されたように(Tribouletなど.)、DROSHA及びDGCR8(図1)、すなわちマイクロプロセッサー複合体の2種のサブユニットのノックダウンは、ウィルス生成を高め、そしてウィルス遺伝子発現のために必要とされることが知られているPTEFb複合体のCDK9サブユニットのノックダウンはそれを低めた(図1)。興味あることには、グリセロールグラジエント上のHIV-1細胞質mRNA分布の分析は、RCK/p54のノックダウンが、対照のsiRNAトランスフェクトされた細胞に比較して、HIV-1 mRNAを、非ポリソーム画分からポリソーム画分に移行したことを示す。RCK/p54のノックダウンは、内因性Hdm2 mRNA分布に影響を与えなかった。
【0085】
それらの実験は、RNAiのために必要とされるGW182、RCK/p54、LSm- 1及びXRN1が、HIV-1 mRNA翻訳を妨げることにより、HIV-1遺伝子発現のリプレッサーであることを示す。
【0086】
例2:HIV-1 mRNAはアルゴノート2と物理的に関連し、そしてmiRNA-介在性サイレンシングのために必要とされるタンパク質と同時局在化する:
RNAiエフェクターとHIV-1 mRNAとの間の物理的相互作用が調べられた。
【0087】
方法:
HeLal細胞を、示されるように、HIV-1分子クローンpNL4-3、Myc-Ago2又はMyc- AgoPAZ9によりトランスフェクトした。48時間後、細胞を収穫し、そして細胞質抽出物を調製した。全RNAを、収穫された細胞の画分から精製し、そして残りを抗−Myc抗体を用いて免疫沈澱にゆだねた。洗浄の後、画分を用いて、ウェスターンブロットにより免疫沈澱されたMyc-Ago2 及び Myc-AgoPAZ9の量を分析し、そしてMyc-IPsの残りをRNA抽出のために使用した。HIV-1 mRNAs(TAR 及びスプライシングされていない)、 Hdm2及びGAPDH mRNAを、特定のオリゴヌクレオチドを用いて、RT-PCRにより、全RNA又はMyc免疫沈澱されたmRNPから定量化した。実験をまた、PCR反応において32P−ラベルされたヌクレオチドを用いて実施した。PCR生成物を、オートラジオグラフィーにより可視化した。
【0088】
結果:
HeLa細胞を、pNL4-3、Myc-Ago2、RISC複合体の中央成分、又はそのRNA結合変異体Myc- Ago2PAZ9の組合せにより模擬トランスフェクトするか又はトランスフェクトした。最初に、Myc-Ago2 及びMyc-Ago2DPAZ9が等しく発現された事実を確かめた。第2に、細胞質抽出物を調製し、そして画分を全RNA抽出物のために使用し、そして残りを、抗−Myc抗体を用いて免疫沈澱にゆだね、myc-Ago2結合されたmRNPを精製した。全RNA及びMyc-Ago2結合RNAの両者を逆転写し、そしてHIV-1 TAR RNA(すべてのHIV-1 mRNA により結合される5' 構造体)又は HIV-1スプライシングされていないmRNA、Hdm2 mRNA 又はGAPDH mRNAに対して特異的なオリゴヌクレオチドを用いてPCR増幅にゆだねた。全RNAのPCR分析は、同量のHIV-1、Hdm2 及び GAPDH mRNAsがすべてのサンプルに存在したことを示す。
【0089】
HIV-1 mRNA(両TAR及びスプライシングされていない)は、Myc-Ago2により結合されたが、しかしMyc-Ago2PAZ9変異体によっては結合されなかった。Hdm2 mRNAはMyc-Ago2 mRNPには不在であり、このことは、それらの条件下で、Hdm2がRNAiにより調製されないことを示唆する。類似する実験を実施し、Myc-Ago2 mRNPと、HIV-1多スプライスされたmRNAとの結合を分析した。RT-PCR反応を、ATP-32Pの存在下で実施し、そしてオートラジオグラフィーにより分析した。HIV-1多スプライスされたmRNAは、Myc-Ago2と結合し、そしてMyc-Ago2PAZ9を弱く結合する。P−体内でのHIV-1 mRNA及びRNAiのエフェクター、例えばAgo2、RCK/p54及びDCP1の同時局在化がまた、MS2結合部位及びMS2-GFP構造体を含むHIV-1を用いて、免疫蛍光により観察された。
【0090】
本発明者は、HIV-1 mRNAがAgo2、すなわちRISCの中央成分と物理的に結合し、そしてP-体において、miRNA−介在性サイレンシングのために必要とされる細胞タンパク質、例えばRCK/p54及びDCP1/DCP2と共に同時局在化することを示す。すべてのHIV-1 mRNA種がRISCと結合する事実は、細胞miRNAがそれらのmRNAのすべてに共通する配列を標的化することを示唆する。従って、Huangなど.(前述)は、すべてのHIV-1 mRNAに存在する3’UTR配列を標的化できる5種の細胞miRNAを同定した。しかしながら、3’UTR外の領域を標的化できる他の細胞miRNAが関与する事実は、除外され得ない。
【0091】
例3:P−体におけるHIV-1 mRNAの蓄積はウィルス複製を制限し、そしてA3G-介在性HIV-1抑制には無関係である:
方法:
HeLa CD4+細胞を、示されるようにsiRNAによりトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞をウェスターンブロットにより、RCK/p54及びLSm-1発現について分析し、又は等量のHIV-1により感染した。ウィルス生成を、培養上清液におけるp24抗原を測定することにより、感染の48時間後モニターした。異なったsiRNAトランスフェクトされたHeLa細胞から生成されるビリオンの感染性を分析するために、siRNAトランスフェクトされたHeLa CD4+からの等体積の上清液を用いて、HeLa CD4+細胞を再感染した。p24抗原を、感染の48時間後、培養上清液において測定した。
【0092】
APOBEC3G及びRNAiエフェクター介在性HIV-1阻害は、異なった機構を包含する。HeLa CD4+細胞を、示されるsiRNAによりトランスフェクトした。48時間後、細胞を、PCK/p54及びLSm-1発現について分析するか、あるいはpNL4-3Dvif(vif遺伝子を欠いている)及びpCDNA又は野生型APOBE3Gもしくはデアミラーゼ活性及び抗ウイルス活性の両者を欠いているAPOBE3G二重変異体のための発現ベクターにより同時トランスフェクトした。HIV-1生成を、p24抗原を定量化することにより、培養上清液において、トランスフェクションの24時間後、測定した。感染度アッセイを、HeLa CD4+細胞を感染するために等量のp24抗原を用いて実施した。HIV-1 p24抗原を、感染の24時間後、測定した。
【0093】
結果:
出現する現象は、P−体とウィルス寿命サイクルとの間の物理的及び機能的相互作用を示す。P−体を通してウィルスmRNAトラフィッキングは、ウィルス−複製複合体の効果的パッケージング又は形成のための翻訳的に抑制されたウィルス転写体のプールを提供することができる。実際、酵母レトロトランスポゾンTy1及びTy3 mRNAはP−体と結合し、そしてこの結合は効果的なレトロ転位のために必要とされる。BMV(ブロム・モザイクウィルス)の場合、ウィルス複製複合体の形成が、P−体において生じる。さらに、P−体はまた、ウィルス及び転位可能要素に対する宿主防御において機能することができる。実際、ウィルス制限因子である細胞因子APOBEC 3G及び3FはP−体において蓄積することが見出されている。3G及び3F介在性HIV-1制限がP−体を標的化するウィルスmRNAを包含し、それらがP−体の翻訳阻害を導くことが提案されている。
【0094】
最初に、P−体がHIV-1複製の陽性又は陰性レギュレーターであるかどうかが問われた。HeLa CD4+細胞を、PCK/p54又はLSm-1特異的siRNA又は対照siRNAによりトランスフェクトした。48時間後、細胞を等量のHIV-1により感染した。HIV-1 p24抗原を、感染の48時間後、細胞培養上清液において測定した。RCK/p54及びLSm-1のノックダウンが、対照siRNAトランスフェクトされた細胞の感染に比較して、増強されたウィルス生成をもたらす。生成されるウィルスの感染度を評価するために、Scr、RCK/p54 及びLSm-1 siRNAトランスフェクトされた細胞からの等体積の上清液を用いて、HeLak CD4+細胞を感染し、そして培養上清液におけるp24を48時間後、測定した。
【0095】
ウィルス感染度は、生成されるp24の量と相互関係し、このことは、RCK/p54及びLSm-1ノックダウンされた細胞において生成されるビリオン複製のために十分に適切であり、そして欠陥、例えばRNAパッケージングを有さないことを示す。RCK/p54及びLSm-1のノックダウンはP−体の破壊をもたらすことが示されているので、P−体におけるHIV-1 mRNAの蓄積がウィルス複製を制限することがそれらの実験から結論づけられた。
【0096】
第2に、APOBEC3G−介在性HIV-1制限がP−体形成のために関連し、そして必要とされるmiRNA−介在性mRNA翻訳阻害のエフェクターを必要とするかどうかが問われた。従って、RCK/p54又はLSm-1発現が低められる細胞におけるAPOBEC3G−介在性HIV-1制限を、対照細胞に比較した。HeLa細胞を、対照siRNA、又はRCK/p54又はLSm-1に対して特異的なsiRNAによりトランスフェクトした。48時間後、細胞を、vif遺伝子を欠くHIV-1分子クローン(pNL4-3Dvif)単独により、又は野生型A3G、又は抗ウィルス活性を欠くA3G変異体(A3Gdm)のいずれかによりトランスフェクトした。HIV-1 p24抗原を、トランスフェクションの48時間後、培養上清液において測定した。興味あることには、RCK/p54又はLSm-1のノックダウンが、A3Gに関係なく、HIV-1生成を増強した。同様に、A3Gdmではなく、A3GがRCK/p54又はLSm-1発現にかかわらずウイルス産生を抑えた。
【0097】
それらの結果は、RCK/p54又はLSm-1及びA3G介在性HIV-1抑制が異なった機構を包含することを示唆する。次に、siRNAトランスフェクトされた細胞から生成されるHIV-1の感染度を分析した。等量のp24を用いて、HeLa CD4+細胞を感染し、そしてHIV-1 p24抗原を感染の48時間後、培養上清液において測定した。A3Gの存在下でのScr siRNAトランスフェクトされた細胞において生成されるウィルスは、A3Gdmの不在又は存在下で生成されるウィルスよりも低い感染度を示す。A3Gの類似するHIV制限活性が、ウィルスがRCK/p54又はLSm-1ノックダウンされた細胞において生成される場合に観察された。
【0098】
この実験は、P−体におけるHIV-1 mRNAの蓄積がウィルス複製を制限し、そしてA3G−介在性HIV-1制限がRNAiエフェクターRCK/p54及びLSm-1に無関係であり、そしてP−体を必要としないことを示す。
【0099】
例4:Drosha、DGCR8及びRCK/p54の内因性レベルが感染された患者におけるHIV-1潜在性に寄与する:
一緒に考慮すると、それらの結果は、RNAiエフェクターとHIV-1 mRNAとの間の物理的抑制性の相互作用を示す。細胞miRNAがHIV-1の潜在性において役割を演じることが示されたので、miRNA−介在性mRNA翻訳阻害のために必要とされるRCK/p54がHIV-1サイレンシングにインビボで寄与するかどうかが問われた。
【0100】
方法:
HIV-1潜在性におけるRNAiの関係。PBMCを、活性HAARTを受ける3人の患者から単離した。単離されたPBMCを、示されるsiRNAによりトランスフェクトし、そしてトランスフェクションの48時間後、ウェスターンブロットにより、RCK/p54、DGCR8及びDROSHA発現について分析するか、又は健康なドナーから得られた、活性化されたPBMCと共に同時培養した。ウィルス複製を、培養上清液におけるp24抗原を測定することにより、同時培養の後、3〜4日ごとにモニターした。同時培養の後、15日でp24抗原の量を示す。ウィルスは、27日までの間、ScトランスフェクトされたPBMCから単離されなかった。
【0101】
結果:
検出できるウィルス血症を有さない、3人のHAART−処理された、HIV-1感染された患者から単離されたPBMCを、対照siRNA、又はDrosha、DGCR8又は RCK/p54に対して特異的なsiRNAによりトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、健康なドナーから単離された、PHA/IL2−活性化されたPBMCと共に同時培養した。ウィルス生成を、培養上清液におけるp24抗原を測定することにより、3日ごとにモニターした。Droshaのノックダウンは、HAART−処理された、HIV-1感染された患者から単離されたPBMCにおけるウィルス再活性化をもたらす(図2)。HIV-1再活性化はまた、DGCR8、すなわちマイクロプロセッサー複合体のもう1つの成分が特異的siRNAを用いてノックダウンされる場合にも見られる。興味あることには、RCK/p54のノックダウンは、天然において感染された潜在性HIV-1細胞におけるウィルス再活性化を導く。
【0102】
それらの結果は、Drosha、DGCR8及びRCK/p54の内因性レベルが、感染された患者におけるHIV-1潜在性に寄与することを示す。
【0103】
例5:miR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210は、HeLa細胞、及び天然において単離されたサイレントHIV-1保有体におけるウィルス発現を増強する:
方法:
HIV-1アップレギュレートされた細胞miRNA(Triboulet et al. (2007) Science 315 (5818):1579- 82)を、組込まれたLTR−ルシフェラーゼレポーター構造体を含むHeLa細胞において過剰発現した。24時間後、細胞を、空の又はTat−発現ベクターによりトランスフェクトした。ルシフェラーゼ活性を、トランスフェクションの24時間後、測定した(図3)。HeLa CD4+細胞を、示されるmiRNA又はDGCR8特異的siRNAによりトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞をnef骨格におけるルシフェラーゼ遺伝子を発現するHIV-1により感染し、そしてルシフェラーゼ活性を、24時間後、測定した(図4)。
【0104】
PBMCを、5人のエリートHIV制御体患者(図5〜9)、又は4人のHIV-1感染されたHAART−処理された患者(図10〜13)から単離した。単離されたPBMCを、示されたとおり、miR-34a、miR-206、miR-210及びmiR-122の混合物(miRmix)、又は対照miRNA(miR-32)によりトランスフェクトした。トランスフェクトされたPBMCを、健康なドナーから得られた、活性化されたPBMCと共に同時培養した。ウィルス複製を、培養上清液におけるp24抗原を測定することにより、同時培養の後3〜4日ごとにモニターした。小RNAを、健康なドナー、HIV-1-感染されたHAART−処理された、エリートHIV制御体又はHIV-1感染された未処理患者から単離されたPBMCから精製した。miR-210、miR206、miR34a、miR-125及びU6 snoRNAを、特定のオリゴヌクレオチドを用いて、QRT-PCRにより定量化した。結果は、U6 snoRNAに対して標準化した。
【0105】
結果:
miRNAは、遺伝子発現の調節を通して、調査されるほとんどあらゆる細胞工程(細胞分化、増殖、アポトーシス、等)のモジュレーションにおいて重要な役割を演じる。特に、miRNAは、免疫系成長及び適応性免疫応答において重要な役割を演じることが見出された。HIV-1がその複製のために重要な遺伝子を調節するために細胞miRNAを使用することができることを仮定することは魅力的である。実際、HIV-1によるJurkat細胞の感染は、miRNA発現プロフィールを変更し、そしていくらかのmiRNAはダウンレギュレートされるが、ところが他はアップレギュレートされることが、これまで示されている(Triboulet et al. (2007) Science 315:1579-1582)。
【0106】
ダウンレギュレートされたmiRNAクラスター17/92の2種のmiRNA(miR-17及びmiR-20)は、Tat−介在性HIV-1遺伝子活性化のために必要とされることが知られているヒストンアセチルトランスフェラーゼPCAFを標的化する(Tribouletなど. 前記)。現在の研究においては、ウィルス複製におけるHIV-1アップレギュレートされたmiRNAの機能を分析した。インシリコ分析は、HIV-1誘発されるmiRNAがウィルスmRNAを標的化することができないことを示し、このことは、HIV-1誘発されたmiRNAがウィルス複製において役割を演じる場合、この効果はHIV-1抑制細胞遺伝子の標的化を通して介在されるであろうことを示唆する。
【0107】
HIV-1誘発されたmiRNA間で、HIV-1プロモーター活性を調節できるそれらのスクリーンされた。組込まれたLTR−ルシフェラーゼ構造体を含むHeLa細胞を、示されるmiRNAのみによりトランスフェクトし、基礎LTR活性に対するそれらの効果を測定し、又はTat発現プラスミドにより同時トランスフェクトし、LTRのTat−介在性トランスアクチベーションに対するそれらの効果を分析した。miR-34a及びmiR-206はLTRのTat−介在性トランスアクチベーションに対する効果を伴わないで、基礎LTR活性を増強したが、miR-210及びmiR-122は基礎発現レベルに対する効果は有さなかったが、しかしLTRの方にTat−介在性転写活性を増強した(図3)。miR-370は効果を有さなかった。対照として、PCAFを標的化するmiR-20aは、LTRを活性化するTatの能力を低めた。
【0108】
この実験は、miR-34a及びmiR-206が基礎LTR活性の抑制に関与する細胞遺伝子を標的化し、そしてmiR-122及びmiR-210がTat転写活性を抑制する細胞因子を標的化することを示す。次に、それらのmiRNAの効果を、nef読み取り枠において挿入されたルシフェラーゼを発現する単発感染性pNL4-3分子のクローンを用いて、HIV-1を生成に対して分析した。興味あることには、miR-34a、miR-206、 miR-122及び miR-210は、ウィルス生成を54倍、増強したmiR-206の印象的効果を伴って、このアッセイにおいてウィルス発現を増強した(図4)。miR-370は、このアッセイにおいて、ウィルス生成に対して有意な効果は有さなかった。
【0109】
HIV-1感染された患者においては、HIV-1が遺伝子発現レベルでサイレンシングされる2種の情況が存在する。最初に、HAART-処理は、組込まれたサイレントプロウィルスを含む記憶CD4+T細胞から成るサイレントHIV-1保有体の存在を示した。第2に、処理の不在下で長年、それらのウィルスを検出できないレベルまで制御できるHIV-感染された個人が最近、同定されており、そしてエリートHIV制御体として言及されて来た。miR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210がウィルスLTR活性を増強した事実は、それらのmiRNAが感染された患者において観察されるHIV-1サイレンシングにおいて役割を演じることができるかどうかの疑問を我々に導く。
【0110】
従って、5人のHIV-1エリート制御体、及び検出できるウィルス血症を有さない、4人のHAART−処理されたHIV-1感染された患者から単離されたPBMCを、対照miRNA(miR-32)、又はmiR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210の混合物のいずれかによりトランスフェクトした。トランスフェクトされたPBMCを、健康なドナーからのPHA/IL2−活性化されたPBMCと共に同時培養し、そして培養上清液におけるp24抗原を3〜4日ごとに測定した。miRmixの過剰発現は、試験される5人のうち5人のエリート制御体からのPBMCにおいて(図5〜9)、及び試験される4人のうち4人のHAART-処理されたHIV-1−感染された患者において(図10〜13)、ウィルス再活性化を導く。miR対照は効果を有さなかった。
【0111】
それらの実験は、miR-34a、miR-206、miR-122及びmiR-210が天然において単離されたサイレントHIV-1保有体においてHIV-1複製を再活性化することができることを示す。次に、定量的即時RT-PCRを用いて、エリート制御体、HAART−処理された及びHIV-1−感染された未処理の患者からのPBMCにおけるそれらのmiRNAの発現レベルを分析した(図14〜17)。miR-34a、miR-206及びmiR-210の発現は、未処理のHIV-1−感染された患者に比較して、エリートHIV制御体及びHAART−処理されたHIV-1−感染された患者から単離されたPBMCにおいて低い。miR-122の発現は、試験されたすべての患者において低かった。HIV-1により調節されない、miR-125bの発現レベルは、試験されるすべてのPBMCにおいて類似した。興味あることには、エリート制御体及びHAART−処理された患者におけるように、miR34a、miR-206及びmiR-210の発現レベルは、健康なドナーにおいて低かった。それらの実験は、miR34a、miR-206、miR-210及びHIV-1複製の発現間の相互関係を示す。
【0112】
例6:HIV複製の活性化に包含される遺伝子の同定:
miR-34a、miR-206、miR-210及びmiR-122の135の推定上の標的遺伝子の中で、本発明者は、siRNA又はshRNAによる発現の阻害がHIV-1のウィルス複製を活性化する51の遺伝子を同定した(表5及び表6)。
【0113】
手短に言及すると、miR-34a、miR-206、miR-210及びmiR-122の135の推定上の標的遺伝子を特異的に標的化するsiRNAライブラリーを生成した。従って、個々の遺伝子を、4種のsiRNAのプールにより特異的に標的化した。siRNAは、siGenome, Dharmaconから得られた。
【0114】
最初に、HeLa細胞を、オリゴフェクタミン(Invitrogen)と共にsiRNAプールによりトランスフェクトした。48時間後、細胞を、VSV-Gエンベロープを偽分類され、そしてnef遺伝子(HIV-VSVG-Luc)を置換するルシフェラーゼレポート遺伝子を発現するHIVウィルスにより感染した。感染の48時間後、細胞を集め、そしてルシフェラーゼ活性を定量化した(ルシフェラーゼアッセイキット、Promega)。ルシフェラーゼ活性を、Bradfordアッセイにより測定された細胞溶解物におけるタンパク質の量に関して、標準化した。
【0115】
従って、特異的阻害がHeLa細胞におけるウィルス複製の5倍の上昇を導く51種の遺伝子を同定することができる。
【0116】
上記分析をまた、感染の生理学的状態に近い下記インビトロ細胞モデルにおいて実施した:
−CD4受容体、及びCCR5及びCXCR4補受容体を発現するHeLa CD4細胞;siRNAを上記方法に従って(但し、感染されたウィルスはHIVエンベロープ(pNL4-3-Luc)を担持した)、トランスフェクトした;
−Jurkat T細胞、感染されていない個人からの抹消血液単核細胞(PBMC)、及びヒトマクロファージ;それらの場合、遺伝は、shRNA−発現レンチウィルス粒子(TRCクローン)のトランスフェクションに従って阻害される。
【0117】
【表5】
【0118】
【表6】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)1)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4、及び
2)少なくとも1つのヌクレオチドの置換、欠失又は挿入により配列番号:1〜4に由来する配列から成る群から選択された配列、を含んで成るか又は成るか、又は
(ii)前記配列を含んで成るか又は成る核酸(但し、配列番号:1〜4に由来する配列から成る核酸は、潜在的HIV−1−感染された細胞においてHIV-1発現を誘発する傾向がある)をコードする、薬物として使用するための少なくとも1つの核酸。
【請求項2】
RNA分子から成る、請求項1記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項3】
前記薬物が、配列番号:1から成るRNA分子、配列番号:2から成るRNA分子、配列番号:3から成るRNA分子、及び配列番号:4から成るRNA分子を含んで成る、請求項1又は2記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項4】
少なくとも1つの他の抗−レトロウィルス化合物と組合しての、請求項1〜3のいずれか1項記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項5】
前記少なくとも1つの他の抗−レトロウィルス化合物が、逆転写酸素インヒビター及びプロテアーゼインヒビターから成る群から選択される、請求項4記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項6】
前記薬物が、レトロウィルス感染を処理するためである、請求項1〜5のいずれか1項記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項7】
前記薬物が、HIV-1により感染された無症候性患者を処理するためである、請求項6記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項8】
前記患者が、高活性抗レトロウィルス療法(HAART)下にある、請求項7記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項9】
前記患者が、エリートHIV-1制御体である、請求項7記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項10】
レトロウィルス感染の処理への使用のための、miRNA経路の少なくとも1つの成分の活性を阻害する少なくとも1つの化合物。
【請求項11】
前記化合物が、miRNA経路の成分をコードするmRNAを標的化するsiRNAである、請求項10記載の少なくとも1つの化合物。
【請求項12】
前記成分が、Drosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm-1、GW182及びXRN1から成る群から選択される、請求項10又は11記載の少なくとも1つの化合物。
【請求項13】
請求項4及び5に記載されるような少なくとも1つの他の抗−レトロウィルス化合物としての、請求項10〜12のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物。
【請求項14】
請求項7〜9のいずれか1項記載のようなHIV-1により感染された無症候性患者の処理への使用のための、請求項10〜12のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物。
【請求項15】
レトロウィルスベクターを有する細胞からのレトロウィルス粒子の生成のためへの、請求項1〜3のいずれか1項記載の核酸、又はDrosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm-1、GW182及びXRN1から成る群から選択されたmiRNA経路の成分を阻害する化合物のインビトロ使用。
【請求項16】
前記化合物が、miRNA経路の成分をコードするmRNAを標的化するsiRNAである、請求項15記載のインビトロ使用。
【請求項17】
−レトロウィルスベクターを有する細胞と、請求項1〜3のいずれか1項記載の核酸、又はDrosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm-1、GW182及びXRN1から成る群から選択されたmiRNA経路の成分を阻害する化合物とを接触し;
−前記細胞において前記レトロウィルスベクターを発現せしめ;それにより、レトロウィルスベクターを、前記細胞から生成することを含んで成る、レトロウィルス粒子のインビトロ生成方法。
【請求項18】
前記化合物が、miRNA経路の成分をコードするmRNAを標的化するsiRNAである、請求項17記載のインビトロ方法。
【請求項19】
T細胞と共に前記細胞を培養する段階を包含しない、請求項17又は18記載のインビトロ方法。
【請求項1】
(i)1)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4、及び
2)少なくとも1つのヌクレオチドの置換、欠失又は挿入により配列番号:1〜4に由来する配列から成る群から選択された配列、を含んで成るか又は成るか、又は
(ii)前記配列を含んで成るか又は成る核酸(但し、配列番号:1〜4に由来する配列から成る核酸は、潜在的HIV−1−感染された細胞においてHIV-1発現を誘発する傾向がある)をコードする、薬物として使用するための少なくとも1つの核酸。
【請求項2】
RNA分子から成る、請求項1記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項3】
前記薬物が、配列番号:1から成るRNA分子、配列番号:2から成るRNA分子、配列番号:3から成るRNA分子、及び配列番号:4から成るRNA分子を含んで成る、請求項1又は2記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項4】
少なくとも1つの他の抗−レトロウィルス化合物と組合しての、請求項1〜3のいずれか1項記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項5】
前記少なくとも1つの他の抗−レトロウィルス化合物が、逆転写酸素インヒビター及びプロテアーゼインヒビターから成る群から選択される、請求項4記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項6】
前記薬物が、レトロウィルス感染を処理するためである、請求項1〜5のいずれか1項記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項7】
前記薬物が、HIV-1により感染された無症候性患者を処理するためである、請求項6記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項8】
前記患者が、高活性抗レトロウィルス療法(HAART)下にある、請求項7記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項9】
前記患者が、エリートHIV-1制御体である、請求項7記載の少なくとも1つの核酸。
【請求項10】
レトロウィルス感染の処理への使用のための、miRNA経路の少なくとも1つの成分の活性を阻害する少なくとも1つの化合物。
【請求項11】
前記化合物が、miRNA経路の成分をコードするmRNAを標的化するsiRNAである、請求項10記載の少なくとも1つの化合物。
【請求項12】
前記成分が、Drosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm-1、GW182及びXRN1から成る群から選択される、請求項10又は11記載の少なくとも1つの化合物。
【請求項13】
請求項4及び5に記載されるような少なくとも1つの他の抗−レトロウィルス化合物としての、請求項10〜12のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物。
【請求項14】
請求項7〜9のいずれか1項記載のようなHIV-1により感染された無症候性患者の処理への使用のための、請求項10〜12のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物。
【請求項15】
レトロウィルスベクターを有する細胞からのレトロウィルス粒子の生成のためへの、請求項1〜3のいずれか1項記載の核酸、又はDrosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm-1、GW182及びXRN1から成る群から選択されたmiRNA経路の成分を阻害する化合物のインビトロ使用。
【請求項16】
前記化合物が、miRNA経路の成分をコードするmRNAを標的化するsiRNAである、請求項15記載のインビトロ使用。
【請求項17】
−レトロウィルスベクターを有する細胞と、請求項1〜3のいずれか1項記載の核酸、又はDrosha、DGCR8、Dicer、RCK/p54、LSm-1、GW182及びXRN1から成る群から選択されたmiRNA経路の成分を阻害する化合物とを接触し;
−前記細胞において前記レトロウィルスベクターを発現せしめ;それにより、レトロウィルスベクターを、前記細胞から生成することを含んで成る、レトロウィルス粒子のインビトロ生成方法。
【請求項18】
前記化合物が、miRNA経路の成分をコードするmRNAを標的化するsiRNAである、請求項17記載のインビトロ方法。
【請求項19】
T細胞と共に前記細胞を培養する段階を包含しない、請求項17又は18記載のインビトロ方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2012−509865(P2012−509865A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536905(P2011−536905)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065929
【国際公開番号】WO2010/060967
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065929
【国際公開番号】WO2010/060967
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【Fターム(参考)】
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