説明

レバースイッチ

【課題】主に自動車のステアリングホイール近傍に装着され、ウォッシャ等の操作に用いられるレバースイッチに関し、簡易な構成で、組立て易く安価なものを提供することを目的とする。
【解決手段】第一及び第二の可動接点17と18が弾接する第一及び第二の固定接点21と22を、左接点21Aと22A、右接点21Dと22D、及びこれらの間の連結された二つの中接点21Bと21C、22Bと22Cから各々形成すると共に、第一の固定接点21の左接点21Aと第二の固定接点22の右接点22D、及び第一の固定接点21の右接点21Dと第二の固定接点22の左接点22Aを、各々連結することによって、正逆回転可能な一つのモータ30に接続する場合でも、簡易な構成で、組立て易く安価なレバースイッチを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車のステアリングホイール近傍に装着され、ウインドシールドウォッシャ等の操作に用いられるレバースイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車のステアリングホイール近傍にレバースイッチを装着し、このレバーを操作することによって、ウインドシールドウォッシャ(以下、ウォッシャと記載する)から洗浄液を噴射し、フロントウインドやリヤウインドの洗浄を行うものが増えている。
【0003】
このような従来のレバースイッチについて、図8及び図9を用いて説明する。
【0004】
図8は従来のレバースイッチの斜視図であり、同図において、1は絶縁樹脂製の上ケース、2は同じく下ケース、3は絶縁樹脂製のレバーで、レバー3が中立位置から上下方向へ揺動操作可能なように、上ケース1と下ケース2の間に装着されている。
【0005】
また、この上ケース1と下ケース2内には、複数の可動接点と固定接点(図示せず)から形成された複数のスイッチ接点4が形成されると共に、この複数のスイッチ接点4がバー3の操作に応じて、電気的接離を行うようにしてレバースイッチが構成されている。
【0006】
そして、このように構成されたレバースイッチが、ステアリングホイールの下方にレバー3が突出するようにして、自動車内の運転席前方に装着されると共に、リード線やコネクタ(図示せず)等によって、複数のスイッチ接点4がバッテリや車両の電子回路(図示せず)等に、例えば図9のブロック回路図に示すように、スイッチ接点4Aがフロントウォッシャ用のモータ5Aに、スイッチ接点4Bがリヤウォッシャ用のモータ5Bに各々接続される。
【0007】
以上の構成において、レバー3を上方向に揺動操作すると、スイッチ接点4Aがオンとなってモータ5Aが回転し、フロントウォッシャが駆動してフロントウインドに洗浄液が噴射される。
【0008】
また、これとは逆に、レバー3を下方向に揺動操作すると、スイッチ接点4Bがオンとなってモータ5Bが回転し、リヤウォッシャが駆動してリヤウインドの洗浄が行われる。
【0009】
つまり、ステアリングホイール近傍のレバー3を、上または下方向に揺動操作することによって、モータ5Aまたは5Bのいずれかを回転させて、フロントまたはリヤウォッシャを駆動し、フロントやリヤウインドの洗浄を行うように構成されている。
【0010】
なお、このようにフロントウォッシャ用とリヤウォッシャ用の、二つのモータ5Aと5Bを用いるもののほか、正逆回転可能なモータを用い、これに通電する電流の方向を切換え、一つのモータでフロントウォッシャとリヤウォッシャの両方の駆動を行うことで、装置を安価に構成しようとしたものもある。
【0011】
ただ、この場合には、レバースイッチにさらに多くのスイッチ接点が必要になると共に、これらのスイッチ接点をモータに接続するためのリード線等も多くの本数が必要となり、その配線方法も複雑になってしまうものであった。
【0012】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2008−218067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来のレバースイッチにおいては、一つのモータでフロントウォッシャとリヤウォッシャの両方を駆動しようとした場合、多くのスイッチ接点やリード線等が必要になると共に、構成や配線も複雑となって、組立てにも時間を要し、高価なものとなってしまうという課題があった。
【0014】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡易な構成で、組立て易く安価なレバースイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、第一及び第二の可動接点が弾接する第一及び第二の固定接点を、左接点と右接点、及びこれらの間の連結された二つの中接点から各々形成すると共に、第一の固定接点の左接点と第二の固定接点の右接点、及び第一の固定接点の右接点と第二の固定接点の左接点を、各々連結してレバースイッチを構成したものであり、正逆回転可能な一つのモータに接続する場合でも、多くのリード線等を必要とせず、これに通電する電流の方向を容易に切換えることができるため、簡易な構成で、組立て易く安価なレバースイッチを得ることができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明によれば、簡易な構成で、組立て易く安価なレバースイッチを実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図7を用いて説明する。
【0018】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるレバースイッチの断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、11は絶縁樹脂製の上ケース、12は同じくレバー、13は同じくカム体で、レバー12の回転軸12Aが上ケース11に、上下方向へ揺動可能に装着されると共に、レバー12先端の突起部12Bが、カム体13側面の傾倒孔13Aに挿入されている。
【0019】
そして、14は絶縁樹脂製の移動体、15は同じくガイド体、16は同じく摺動体で、移動体14上面の凸部14Aがカム体13下面に係合すると共に、摺動体16上面の突出部16Aがガイド体15のガイド孔15Aを挿通して、移動体14の傾倒孔14Bに挿入されている。
【0020】
また、17及び18は略コの字状で銅合金等の第一及び第二の可動接点、19はコイル状に巻回された鋼線やピアノ線等のばねで、複数のばね19が摺動体16下面の収納孔内に挿入されると共に、第一の可動接点17と第二の可動接点18がばね19をやや撓めた状態で、摺動体16下面に装着されている。
【0021】
さらに、20は絶縁樹脂製の下ケース、21及び22は銅合金等の第一及び第二の固定接点で、下ケース20が上ケース11下面を覆い、これらがねじ(図示せず)等によって固着されると共に、下ケース20上面にインサート成形等によって植設された、第一の固定接点21上面には第一の可動接点17が、第二の固定接点22上面には第二の可動接点18が各々弾接している。
【0022】
また、この第一及び第二の固定接点21と22は、図3の部分平面図に示すように、略リベット状の左接点21Aと22A、右接点21Dと22D、及びこれらの間に配列された、二つの中接点21Bと21C、22Bと22Cから各々形成されている。
【0023】
そして、二つの中接点21Bと21C、22Bと22Cが、桟部21Eと22Eによって各々連結されると共に、第一の固定接点21の左接点21Aと第二の固定接点22の右接点22D、及び第一の固定接点21の右接点21Dと第二の固定接点22の左接点22Aが、桟部21Fと22Fによって各々連結されて、レバースイッチが構成されている。
【0024】
なお、レバー12や第一の可動接点17と第二の可動接点18を装着した摺動体16は、別途設けられたカムや弾性部材(図示せず)等によって、常に中立位置に付勢され、レバー12を上下方向へ揺動操作した後、手を離すと常に中立位置に自動的に復帰するようになっている。
【0025】
したがって、このレバー12が操作されていない状態では、図3に示すように、第一の可動接点17と第二の可動接点18の両端が、中接点21Bと21C、中接点22Bと22Cに各々弾接した状態となっている。
【0026】
そして、このように構成されたレバースイッチが、ステアリングホイールの下方にレバー12が突出するようにして、自動車内の運転席前方に装着されると共に、リード線やコネクタ(図示せず)等によって、第一及び第二の固定接点21と22がバッテリや車両の電子回路(図示せず)等に、例えば図3に示すように、左接点22Aと右接点22Dが通電される電流の方向によって正逆回転可能なモータ30に、中接点22Bと22Cがバッテリ31に、中接点21Bと21Cがグランドに各々接続される。
【0027】
以上の構成において、図4の断面図に示すように、レバー12を手で上方向に揺動操作すると、カム体13や移動体14が後方向へ移動すると共に、摺動体16がガイド体15にガイドされて右方向へ移動するため、この下面に装着された第一の可動接点17と第二の可動接点18も右方向へ移動し、図5の部分平面図に示すように、これらの両端が中接点21Cと右接点21D、中接点22Cと右接点22Dに各々弾接し、これらが第一及び第二の可動接点17と18を介して、電気的に接続された状態となる。
【0028】
つまり、バッテリ31から桟部22E、中接点22C、第二の可動接点18、右接点22Dと電流が流れ、モータ30には図5に示すような正方向の電流が流れるため、モータ30が正回転し、これによってフロントウォッシャが駆動してフロントウインドに洗浄液が噴射される。
【0029】
そして、電流はこの後、モータ30から左接点22A、桟部22F、右接点21D、第一の可動接点17、中接点21C、桟部21Eを通って、グランドへと流れる。
【0030】
なお、レバー12から手を離すと、上述したように別途設けられたカムや弾性部材等によって、レバー12と摺動体16に装着された第一及び第二の可動接点17と18が、図1や図3に示したような中立位置に各々自動復帰する。
【0031】
また、上記とは逆に、図6の断面図に示すように、レバー12を下方向に揺動操作すると、カム体13や移動体14が前方向へ、摺動体16が左方向へ移動するため、第一及び第二の可動接点17と18も左方向へ移動し、図7の部分平面図に示すように、これらの両端が左接点21Aと中接点21B、左接点22Aと中接点22Bに各々弾接し、これらが第一及び第二の可動接点17と18を介して、電気的に接続された状態となる。
【0032】
つまり、バッテリ31から中接点22B、第二の可動接点18、左接点22Aと電流が流れ、モータ30には図7に示すような逆方向の電流が流れるため、モータ30が逆回転し、これによってリヤウォッシャが駆動してリヤウインドに洗浄液が噴射され洗浄が行われる。
【0033】
なお、電流はこの後、モータ30から右接点22D、桟部21F、左接点21A、第一の可動接点17、中接点21Bを通って、グランドへと流れる。
【0034】
すなわち、ステアリングホイール近傍のレバー12を、上または下方向に揺動操作することによって、モータ30に流れる電流の方向を切換え、モータ30を正回転または逆回転させることによって、フロントまたはリヤウォッシュを駆動し、フロントやリヤウインドの洗浄を行うように構成されている。
【0035】
そして、この時、上述したように第一及び第二の固定接点21と22が、二つの中接点21Bと21C、22Bと22C、左接点21Aと右接点22D、及び右接点21Dと左接点22Aが、各桟部によって各々連結されて形成されているため、第一及び第二の固定接点21と22を、モータ30とバッテリ31、グランドに4本のリード線等で各々接続するだけで、多くのリード線等を必要とせず、モータ30に通電する電流の方向を容易に切換えて、一つのモータ30でフロントウォッシャとリヤウォッシャの両方を駆動することができるようになっている。
【0036】
さらに、左接点21Aと22A、右接点21Dと22D、及びこれらの間に配列された、二つの中接点21Bと21C、22Bと22Cの、8つの接点で第一及び第二の固定接点21と22を形成することによって、レバースイッチの構成を簡易なものとし、組立ても容易に行うことが可能となり、安価なレバースイッチを実現できるように構成されている。
【0037】
このように本実施の形態によれば、第一及び第二の可動接点17と18が弾接する第一及び第二の固定接点21と22を、左接点21Aと22A、右接点21Dと22D、及びこれらの間の連結された二つの中接点21Bと21C、22Bと22Cから各々形成すると共に、第一の固定接点21の左接点21Aと第二の固定接点22の右接点22D、及び第一の固定接点21の右接点21Dと第二の固定接点22の左接点22Aを、各々連結することによって、正逆回転可能な一つのモータ30に接続する場合でも、多くのリード線等を必要とせず、これに通電する電流の方向を容易に切換えることができるため、簡易な構成で、組立て易く安価なレバースイッチを得ることができるものである。
【0038】
なお、以上の説明では、レバー12を中立位置から上下方向へ揺動操作して、モータ30を正回転または逆回転させる構成について説明したが、レバー12またはこれに装着されたノブ等を回転操作し、これに応じて第一及び第二の可動接点17、18が、第一及び第二の固定接点21、22と電気的接離を行う構成としても、本発明の実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によるレバースイッチは、簡易な構成で、組立て易く安価なものを得ることができ、主に自動車のウォッシャ等の操作用スイッチとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態によるレバースイッチの断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同部分平面図
【図4】同上方向操作時の断面図
【図5】同部分平面図
【図6】同下方向操作時の断面図
【図7】同部分平面図
【図8】従来のレバースイッチの斜視図
【図9】同ブロック回路図
【符号の説明】
【0041】
11 上ケース
12 レバー
12A 回転軸
12B 突起部
13 カム体
13A 傾倒孔
14 移動体
14A 凸部
14B 傾斜孔
15 ガイド体
15A ガイド孔
16 摺動体
16A 突出部
17 第一の可動接点
18 第二の可動接点
19 ばね
20 下ケース
21 第一の固定接点
22 第二の固定接点
21A、22A 左接点
21D、22D 右接点
21B、21C、22B、22C 中接点
21E、22E 桟部
21F、22F 桟部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中立位置から所定方向へ揺動または回転操作可能なレバーと、このレバーの操作に応じて摺動する第一及び第二の可動接点と、この第一及び第二の可動接点が弾接する第一及び第二の固定接点からなり、上記第一及び第二の固定接点を左接点と右接点、及びこれらの間の連結された二つの中接点から各々形成すると共に、上記第一の固定接点の左接点と上記第二の固定接点の右接点、及び上記第一の固定接点の右接点と上記第二の固定接点の左接点を、各々連結したレバースイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−153302(P2010−153302A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332555(P2008−332555)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】