説明

レフィール容器

【課題】押え蓋部材が内容物の上面に対して傾くのを抑制する。
【解決手段】内容物Aが収容される容器本体11と、容器本体内に昇降変位自在に配設され内容物上に配置される平板状の押え蓋部材21と、が備えられ、ポンプを有する吐出容器に対して交換可能なレフィール容器1であって、容器本体内には、押え蓋部材を、容器軸Oに直交する直交面に沿う姿勢に離脱自在に保持する保持部材41が設けられ、押え蓋部材には、ポンプのシリンダに連結され下方に向けて延びるチューブが挿通可能な挿通孔23aが形成されるとともに、挿通孔内には、シリンダにより下方に押し込まれる被係合部25dが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘度の比較的高い内容物を、ポンプにより吐出する吐出容器に対して交換可能なレフィール容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器本体内に収容された内容物を、ポンプにより吐出する吐出容器においては、従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、内容物上に配置される押え蓋部材が、容器本体内に昇降変位自在に配設されている。この押え蓋部材により、吐出時に内容物の上面を押さえておくことで円滑な吐出が維持される。なお、押え蓋部材には、ポンプのシリンダに連結され下方に向けて延びるチューブが挿通可能な挿通孔が形成されている。
ところで近年では、ポンプを有さず容器本体および押え蓋部材を備え、前述の吐出容器に対して交換可能なレフィール容器が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3928303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、押え蓋部材を容器本体内の内容物上に単に載置しただけのレフィール容器では、押え蓋部材が内容物の上面に対して傾き易くなるおそれがあった。
この場合例えば、レフィール容器を交換するときに、前述のチューブを押え蓋部材の挿通孔内に挿入させ難くなり交換作業が煩雑になったり、あるいは容器本体内における内容物の上面の露出が広くなり内容物の円滑な吐出を維持することが困難になったりする等のおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、交換するときに、押え蓋部材が内容物の上面に対して傾いていることを抑制することができるレフィール容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のレフィール容器は、内容物が収容される容器本体と、該容器本体内に昇降変位自在に配設され内容物上に配置される平板状の押え蓋部材と、が備えられ、ポンプを有する吐出容器に対して交換可能なレフィール容器であって、前記容器本体内には、前記押え蓋部材を、容器軸に直交する直交面に沿う姿勢に離脱自在に保持する保持部材が設けられ、前記押え蓋部材には、前記ポンプのシリンダに連結され下方に向けて延びるチューブが挿通可能な挿通孔が形成されるとともに、該挿通孔内には、前記シリンダにより下方に押し込まれる被係合部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、容器本体内に保持部材が設けられているので、押え蓋部材が前記直交面に対して傾くのを防ぐことが可能になり、レフィール容器を交換するときに、押え蓋部材が内容物の上面に対して傾いていることを抑制することができる。
また、この押え蓋部材の挿通孔内に、シリンダにより下方に押し込まれる被係合部が設けられているので、レフィール容器を交換するときに被係合部に加えられる下方に向けた押圧力によって、押え蓋部材を保持部材から離脱させることが可能になる。したがって、レフィール容器の交換作業を煩雑にすることなく、押え蓋部材が前述のように傾くのを防ぐことができる。
【0008】
ここで、前記押え蓋部材は、前記容器本体内の内容物上に配置されるとともに前記直交面に沿って延びる平板状の蓋本体と、該蓋本体に形成された貫通孔内に装着され内側が前記挿通孔とされた内筒体と、を備え、該内筒体の内周面に前記被係合部が突設されるとともに、該内筒体の上端部に径方向の外側に向けてフランジ部が突設され、該フランジ部は、下側から前記保持部材に離脱自在に支持されてもよい。
【0009】
この場合、構造を複雑にすることなく前述の作用効果を確実に奏功させることができる。また、保持部材が前記フランジ部を下側から支持することで押え蓋部材を保持しているので、前記フランジ部を撓み変形させ易くすることが可能になり、レフィール容器の交換時に、押え蓋部材を保持部材から確実に離脱させることができるとともに、レフィール容器の組立て時に、押え蓋部材を保持部材に容易に保持させることができる。
【0010】
また、前記内筒体の上部は、下方から上方に向かうに従い漸次拡径されてもよい。
【0011】
この場合、内筒体の上部が下方から上方に向かうに従い漸次拡径されているので、レフィール容器を交換するときに前記チューブを容易に挿通孔内に挿入することが可能になり、交換作業を簡便にすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、押え蓋部材が内容物の上面に対して傾くのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る一実施形態として示したレフィール容器の要部を破断した全体側面図である。
【図2】図1に示すレフィール容器が装填された吐出容器の要部を破断した全体側面図である。
【図3】図2に示す吐出容器のX部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係るレフィール容器1は、クリーム状若しくはゲル状などの比較的粘度が高い内容物Aが収容される容器本体11と、容器本体11内に昇降変位自在に配設され内容物A上に配置される平板状の押え蓋部材21と、を備えている。
【0015】
容器本体11は、底部13および胴部12を有する有底筒状の主体部14と、胴部12に連結された装着筒部15、肩部16および口部17を有する筒状のヘッド部18と、を備えている。これらの主体部14およびヘッド部18は共通軸と同軸に配置されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、この容器軸O方向に沿って口部17側を上側、底部13側を下側といい、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0016】
図示の例では、ヘッド部18の装着筒部15に形成された雌ねじ部が、主体部14の胴部12の上端部に形成された雄ねじ部に螺着されることにより、主体部14とヘッド部18とが液密に連結されている。
肩部16は、容器本体11の内側に向けて窪む凹曲面状に形成されていて、その下端部の表面は容器軸O方向に向いている。
また本実施形態では、ヘッド部18には、口部17と肩部16との間に、口部17より大径に形成されるとともに、下端が肩部16の上端に滑らかに連なり、容器軸O方向に沿って延びる首部19が配設されている。
口部17には封止キャップ20が螺着されている。
【0017】
押え蓋部材21は、容器本体11内の内容物A上に配置されるとともに容器軸Oに直交する直交面に沿って延びる平板状の蓋本体22と、蓋本体22に形成された貫通孔内に装着された内筒体23と、を備え、この内筒体23の内側が、後述するポンプ31のシリンダ32に連結され下方に向けて延びるチューブ33が挿通可能な挿通孔23aとなっている。
蓋本体22は、容器軸Oと同軸に配置され、その径方向の中央部に前記貫通孔が形成されている。また、蓋本体22の外径は、容器本体11における胴部12の内径より僅かに小さくなっている。蓋本体22の上面は、容器本体11における肩部16の下端部の内面に下側から近接している。
【0018】
内筒体23は、図3に示されるように、容器軸O方向に沿って延びる中間部24と、中間部24の下端に連結され蓋本体22に固定される下部25と、中間部24の上端に連結され下方から上方に向かうに従い漸次拡径された上部26と、を備えている。
内筒体23の下部25には、蓋本体22の貫通孔内に嵌合された被嵌合筒25aと、被嵌合筒25aの上端に径方向の外側に向けて突設されたフランジ状の挟着板25bと、被嵌合筒25aの下端に径方向の外側に向けて突設された挟着凸部25cと、被嵌合筒25aの下端に径方向の内側に向けて突設された突片(被係合部)25dと、が備えられている。
挟着板25bと挟着凸部25cとが、蓋本体22における貫通孔の周縁部を容器軸O方向に挟み込み、かつ前述のように被嵌合筒25aが蓋本体22の貫通孔内に嵌合されることにより、内筒体23が蓋本体22に固定されている。
【0019】
そして本実施形態では、容器本体11内に、押え蓋部材21を前記直交面に沿う姿勢に離脱自在に保持する保持部材41が設けられている。なお図示の例では、保持部材41は容器本体11と一体に形成されている。また、保持部材41は、容器本体11の内面のうち首部19の下端部に突設されるとともに、周方向に間隔をあけて配置された複数の板体42を備えている。各板体42は矩形状に形成されている。また、それぞれの板体42の下端部に、径方向の内側に向けて突出する係止突条部43が周方向に沿って延設されている。なお図示の例では、各板体42は、首部19よりも下方に延出しており、板体42の下端部において径方向の外側を向く表面と、肩部16の内面と、の間には径方向の隙間が設けられている。
ここで、押え蓋部材21における内筒体23の上端には、径方向の外側に向けてフランジ部27が突設されていて、このフランジ部27が、その下側から保持部材41の係止突条部43に離脱自在に支持されている。
【0020】
次に、以上のように構成されたレフィール容器1を、ポンプ31を有する吐出容器2に対して交換する方法について説明する。
【0021】
まず、封止キャップ20を容器本体11の口部17から取り外してレフィール容器1を開封し、その後、このレフィール容器1に、吐出容器2から空のレフィール容器を除去して残ったポンプ31を装着する。
ここで、ポンプ31は、図2に示されるように、レフィール容器1における容器本体11の口部17に螺着される装着キャップ34と、装着キャップ34に装着されたシリンダ32と、シリンダ32内から上方に向けて延設されたステム35と、ステム35の上端に配設されるとともに吐出ノズル36aを有する押下ヘッド36と、を備えており、押下ヘッド36を上下動させることにより、チューブ33を通して容器本体11内の内容物Aを吸い上げて吐出ノズル36aから吐出するように構成されている。
【0022】
そしてまず、チューブ33を、押え蓋部材21の挿通孔23a内に挿通させながら、ポンプ31の装着キャップ34を、レフィール容器1における容器本体11の口部17上に載置し、次に、装着キャップ34を口部17に対してねじ込むことで、ポンプ31をチューブ33とともに下方に向けて移動させる。
この過程において、シリンダ32の下端部が挿通孔23a内に進入し、そして、シリンダ32の下端縁が、押え蓋部材21の前記突片25d上に到達して該突片25dを下方に向けて押し込むことにより、押え蓋部材21が下方に向けて押し込まれて、内筒部23のフランジ部27が、保持部材41の係止突条部43を下方に乗り越えて外れる。これにより、押え蓋部材21の蓋本体22が、容器本体11内の内容物Aの上面に載置されるとともに、装着キャップ34の口部17への装着が完了する。
【0023】
なお、容器本体11内の内容物Aが吐出されて減少すると、押え蓋部材21は、挿通孔23a内にチューブ33を挿通させた状態で下方に向けて移動する。
【0024】
以上説明したように、本実施形態によるレフィール容器1によれば、容器本体11内に保持部材41が設けられているので、押え蓋部材21が前記直交面に対して傾くのを防ぐことが可能になり、レフィール容器1を交換するときに、押え蓋部材21が内容物Aの上面に対して傾いていることを抑制することができる。
また、この押え蓋部材21の挿通孔23a内に、シリンダ32により下方に押し込まれる突片25dが設けられているので、レフィール容器1を交換するときに突片25dに加えられる下方に向けた押圧力によって、押え蓋部材21を保持部材41から離脱させることが可能になる。したがって、レフィール容器1の交換作業を煩雑にすることなく、押え蓋部材21が前述のように傾くのを防ぐことができる。
【0025】
さらに、保持部材41が、フランジ部27を下側から係止突条部43に支持させることで押え蓋部材21を保持しているので、フランジ部27を容器軸O方向に撓み変形させ易くすることが可能になり、レフィール容器1の交換時に、押え蓋部材21を保持部材41から確実に離脱させることができるとともに、レフィール容器1の組立て時に、押え蓋部材21を保持部材41に容易に保持させることができる。
さらに本実施形態では、保持部材41の各板体42が、首部19よりも下方に延出していて、板体42の下端部において径方向の外側を向く表面と、肩部16の内面と、の間に径方向の隙間が設けられているので、板体42を径方向に撓み変形させ易くすることが可能になり、前述のレフィール容器1の交換および組立てをより一層容易かつ確実に行うことができる。
【0026】
また、押え蓋部材21における内筒体23の上部26が下方から上方に向かうに従い漸次拡径されているので、レフィール容器1を交換するときにチューブ33を容易に挿通孔23a内に挿入することが可能になり、交換作業を簡便にすることができる。
【0027】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0028】
例えば、前記実施形態では、保持部材41が備える板体42の下端部において径方向の外側を向く表面と、肩部16の内面と、の間に径方向の隙間を設けたが、この隙間は設けなくてもよい。
また、保持部材41として、例えば板体42を有さず、係止突条部43が容器本体11の内面に直接突設された構成を採用してもよいし、容器本体11と別体の保持部材41を採用してもよい。
さらに、押え蓋部材21の内筒体23にフランジ部27を設けなくてもよい。
また、前記実施形態では、押え蓋部材21を保持部材41から離脱させるときに、シリンダ32により押え蓋部材21の突片25dを下方に向けて押し込んだが、これに代えて例えば、チューブ33の外周面と突片25dとの摺接により、押え蓋部材21を保持部材41から離脱させてもよい。
【0029】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
押え蓋部材が内容物の上面に対して傾くのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 レフィール容器
2 吐出容器
11 容器本体
21 押え蓋部材
22 蓋本体
23 内筒体
23a 挿通孔
24 内筒体の中間部
25 内筒体の下部
25d 突片(被係合部)
26 内筒体の上部
27 フランジ部
31 ポンプ
32 シリンダ
33 チューブ
41 保持部材
A 内容物
O 容器軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、
該容器本体内に昇降変位自在に配設され内容物上に配置される平板状の押え蓋部材と、が備えられ、
ポンプを有する吐出容器に対して交換可能なレフィール容器であって、
前記容器本体内には、前記押え蓋部材を、容器軸に直交する直交面に沿う姿勢に離脱自在に保持する保持部材が設けられ、
前記押え蓋部材には、前記ポンプのシリンダに連結され下方に向けて延びるチューブが挿通可能な挿通孔が形成されるとともに、該挿通孔内には、前記シリンダにより下方に押し込まれる被係合部が設けられていることを特徴とするレフィール容器。
【請求項2】
請求項1記載のレフィール容器であって、
前記押え蓋部材は、前記容器本体内の内容物上に配置されるとともに前記直交面に沿って延びる平板状の蓋本体と、該蓋本体に形成された貫通孔内に装着され内側が前記挿通孔とされた内筒体と、を備え、
該内筒体の内周面に前記被係合部が突設されるとともに、該内筒体の上端部に径方向の外側に向けてフランジ部が突設され、該フランジ部は、下側から前記保持部材に離脱自在に支持されていることを特徴とするレフィール容器。
【請求項3】
請求項2記載のレフィール容器であって、
前記内筒体の上部は、下方から上方に向かうに従い漸次拡径されていることを特徴とするレフィール容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−152942(P2011−152942A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15858(P2010−15858)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】