説明

レリーズスイッチ装置及び電子機器

【課題】オーバーストローク機能を有する小型のレリーズスイッチ装置を提供する。
【解決手段】レリーズボタン5と、ボタン側コイルばね7と、固定端子と可動端子を有する第1の接点部51及び第2の接点部52を設けたフレキシブル配線板11を備えている。更に、スイッチ側ばね12とオーバーストロークばね13とを設ける。スイッチ側ばね12はセンタベース8をアウタベース9から離反させる方向へ付勢し、オーバーストロークばね13はインナベース10をセンタベース8から離反させる方向へ付勢する。そして、センタベース8とアウタベース9とインナベース10を、互いの動作の中心を一致させて同一軸心線上に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラのシャッタを切る際等に操作されるレリーズスイッチ装置、及び、そのレリーズスイッチ装置を備えた一眼レフレックスカメラその他の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のレリーズスイッチ装置は、レリーズボタンを半押しすることで1番目のスイッチが電気的に接続されて測光動作等を行い、続けてレリーズボタンを全押しすることで2番目のスイッチが電気的に接続されて撮像動作等を行うように構成されている。ところが、従来のレリーズスイッチ装置では、2番目のスイッチがオンした後は、レリーズボタンがそれ以上ストロークしない構造となっていた。そのため、レリーズボタンを押し切ると、その時点で押圧力の全体が反力として指に跳ね返って来てしまい、レリーズボタンを押し切った後の感触が悪く、指に痛みを感じることがあった。このような操作感に対する改善策として、例えばオーバーストロークスイッチが開発されており、一般のレリーズスイッチ装置に使用されている。
【0003】
従来の、オーバーストロークスイッチを用いたレリーズスイッチ装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、シャッタを切る際に操作されるレリーズ用操作装置(レリーズスイッチ)に関するものが記載されている。この特許文献1に記載された電子機器は、操作部材の押圧操作により電気的な接離を行う電気切片を有する操作装置を備え、その操作装置は、電子機器の筐体とは別に設けられその電子機器に組み付けられる操作装置用筐体を有している。操作部材は、操作装置用筐体に組み込まれ、電気切片は、操作装置用筐体の内部に収容され、操作装置用筐体が電子機器に組み付けられた状態で操作部材は、電子機器の筐体の表面に露出する、ことを特徴としている。
【0004】
この特許文献1の電子機器に係るレリーズ用操作装置は、レリーズボタンと、コイルスプリングと、第1,第2及び第3の3つの電気接片と、操作装置用筐体と、ベースと、カバー等によって構成されている。3つの電気接片は、それぞれが板ばねによって形成された弾性部材からなり、これらが3層に重なり合うように配置されて操作装置用筐体に収容されている。3つの電気接片の対向する位置には、それぞれ被押圧部が設けられており、これらの被押圧部がレリーズボタンの押圧操作により弾性変形して電気的な接離が行われるようになっている。即ち、レリーズボタンを半押しすることで第1及び第2電気接片が電気的に接続されて測光動作等を行い、続けてレリーズボタンを全押しすることで第1乃至第3電気接片が電気的に接続されて撮像動作を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−63733号公報
【0006】
しかしながら、上述した従来のオーバーストロークスイッチ式のレリーズスイッチ装置においては、3つの電気接片が、それぞれ板ばねによって枠状に形成されていた。板ばねの場合、撓み変形を生ずる部位においては、ある程度の面積が無いと撓みに対する応力不足となって破壊してしまうことになる。そのため、板ばねの面積をあまり小さくすることができず、レリーズ用操作装置全体の小型化を図ることができないという問題があった。更に、上記板ばねは、レリーズボタンのストロークを規制し、レリーズボタンの押圧力を設定すると共に、電気接点としても用いられている。このように3つの板ばねは、個々においても調整が難しいレリーズボタンのストローク調整機能、力量調整機能及び電気接点の3機能を兼ねているため、全ての機能を好適なものに設定することが非常に難しいという問題もあった。
【0007】
また、3つの板ばねが電気接点の機能を持っているために、これらの板ばねをフレキシブル配線板に半田付けする必要があり、そのための半田付け作業が必要となり、製品のコストアップにつながるという問題もあった。更に、板ばねの接触抵抗を下げると共に接点の導通性を確保する等のためにメッキ加工を施す必要もあり、板ばねの部品コストが高いものとなっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、従来のオーバーストロークスイッチ式のレリーズスイッチ装置では、3つの電気接片が板ばねで形成されていたため、撓み変形を生ずる部位においてある程度の面積が無いと撓みに対する応力不足となって破壊してしまうことである。そのため、板ばねの面積を小さくできないことから、レリーズ用操作装置全体の小型化を図ることができなかった。また、3つの板ばねが電気接点の機能を持っているために、これらの板ばねをフレキシブル配線板に半田付けしたり、錆止めのメッキ加工を施す必要があり、半田付け作業等が製品のコストアップにつながるという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のレリーズスイッチ装置は、軸部の軸方向の一端に入力部を設けたレリーズボタンと、第1乃至第3の弾性部材と、第1及び第2の接点部を設けたフレキシブル配線板と、第1乃至第3のベース部材とを備えて構成されている。第1の弾性部材はレリーズボタンを入力部側に付勢し、第2の弾性部材は第1のベース部材を第2のベース部材から離反させる方向へ付勢し、第3の弾性部材は第3のベース部材を第1のベース部材から離反させる方向へ付勢する。第1の接点部及び第2の接点部は、互いに接続及び離反可能とされた固定端子と可動端子をそれぞれ有している。第1のベース部材は、固定端子と可動端子を所定の隙間をあけて対向させて第1の接点部を支持すると共にその第1の接点部に軸部の先端を臨ませた状態でレリーズボタンに対向設置されている。第2のベース部材は、固定端子と可動端子を所定の隙間をあけて対向させて第2の接点部を支持すると共に第1のベース部材を所定の範囲内で移動可能に支持している。また、第3のベース部材は、第1のベース部材に所定の範囲内で移動可能に支持されると共に第2の接点部に臨む押圧部を設けている。そして、第1のベース部材と第2のベース部材と第3のベース部材を、互いの動作の中心を一致させて同一軸心線上に配置している。
【0010】
また、本発明の電子機器は、レリーズボタンを半押しすることで中間動作が実行され、続けてレリーズボタンを全押しすることで最終動作が実施されるレリーズスイッチ装置を備えて構成されている。レリーズスイッチ装置は、軸部の軸方向の一端に入力部を設けたレリーズボタンと、第1乃至第3の弾性部材と、第1及び第2の接点部を設けたフレキシブル配線板と、第1乃至第3のベース部材とを備えて構成されている。第1の弾性部材はレリーズボタンを入力部側に付勢し、第2の弾性部材は第1のベース部材を第2のベース部材から離反させる方向へ付勢し、第3の弾性部材は第3のベース部材を第1のベース部材から離反させる方向へ付勢する。第1の接点部及び第2の接点部は、互いに接続及び離反可能とされた固定端子と可動端子をそれぞれ有している。第1のベース部材は、固定端子と可動端子を所定の隙間をあけて対向させて第1の接点部を支持すると共にその第1の接点部に軸部の先端を臨ませた状態でレリーズボタンに対向設置されている。第2のベース部材は、固定端子と可動端子を所定の隙間をあけて対向させて第2の接点部を支持すると共に第1のベース部材を所定の範囲内で移動可能に支持している。また、第3のベース部材は、第1のベース部材に所定の範囲内で移動可能に支持されると共に第2の接点部に臨む押圧部を設けている。そして、第1のベース部材と第2のベース部材と第3のベース部材を、互いの動作の中心を一致させて同一軸心線上に配置している。
【発明の効果】
【0011】
本発明のレリーズスイッチ装置及び電子機器によれば、第1乃至第3のベース部材を、互いの動作の中心を一致させて同一軸心線上に配置する構成とすることにより、オーバーストローク機能を有するレリーズスイッチ装置の小型化を図ることができる。また、フレキシブル配線板に、固定端子と可動端子を有する第1の接点部と第2の接点部を設ける構成としたため、接点部に必要な部品点数や作業工数を削減させ、製造時のコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のレリーズスイッチ装置の実施の形態の第1の例を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すレリーズスイッチ装置に係るフレキシブル配線板の平面図である。
【図3】図2のフレキシブル配線板の使用時の形態を示す斜視図である。
【図4】図1に示すレリーズスイッチ装置の組立後の形態を斜め上方から見た斜視図である。
【図5】図1に示すレリーズスイッチ装置の組立後の形態を斜め下方から見た斜視図である。
【図6】図4に示すレリーズスイッチ装置の正面図である。
【図7】図6に示すレリーズスイッチ装置の右側面図である。
【図8】図6に示すレリーズスイッチ装置を、紙面と平行をなす縦方向に断面した説明である。
【図9】図6に示すレリーズスイッチ装置を、紙面と垂直をなす縦方向に断面した説明である。
【図10】図8に示す状態からレリーズボタンを半押ししたときのレリーズスイッチ装置の状態を説明する断面図である。
【図11】図9に示す状態からレリーズボタンを半押ししたときのレリーズスイッチ装置の状態を説明する断面図である。
【図12】図8に示す状態からレリーズボタンを全押ししたときのレリーズスイッチ装置の状態を説明する断面図である。
【図13】図9に示す状態からレリーズボタンを全押ししたときのレリーズスイッチ装置の状態を説明する断面図である。
【図14】図8に示す状態からレリーズボタンをオーバーストロークさせたときのレリーズスイッチ装置の状態を説明する断面図である。
【図15】図9に示す状態からレリーズボタンをオーバーストロークさせたときのレリーズスイッチ装置の状態を説明する断面図である。
【図16】図4に示すレリーズスイッチ装置を電子機器に取り付けた状態を説明する斜視図である。
【図17】図4に示すレリーズスイッチ装置を電子機器に取り付けた状態を説明する平面図である。
【図18】図4に示すレリーズスイッチ装置を電子機器に取り付けた状態を説明する正面図である。
【図19】図17に示すX−X線部分を断面した説明図である。
【図20】図4に示すレリーズスイッチ装置を電子機器に取り付けた状態を説明する右側面図である。
【図21】本発明のレリーズスイッチ装置を用いた撮像装置の第1の実施の例を示す1眼レフレックスカメラの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のレリーズスイッチ装置は、レリーズボタンとフレキシブル配線板と第1〜第3のベース部材と第1〜第3の弾性部材とを設け、第1〜第3のベース部材を互いの動作の中心を一致させて同一軸心線上に配置する構成とした。これにより、スペースの使用効率を高めて装置全体の小型化を図ることができると共に、構造が比較的簡単であって、安価に製造することができる。
【実施例】
【0014】
図1乃至図20は、本発明のレリーズスイッチ装置の実施の形態の第1の例を示すもので、1眼レフレックスカメラに使用して好適なレリーズスイッチ装置1である。本発明のレリーズスイッチ装置は、撮像装置の一具体例を示す1眼レフレックスカメラへの使用に限定されるものではなく、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、その他各種の撮像装置に適用できるものである。更に、本発明のレリーズスイッチ装置は、撮像装置に限定されるものではなく、例えば、カメラ付き携帯電話機、カメラ付き携帯端末、テレビ電話機、カメラ付きパーソナルコンピュータ、その他各種の電子機器に適用可能である。
【0015】
図1に示すように、レリーズスイッチ装置1は、レリーズボタン5を有するボタン部2と、フレキシブル配線板11を有するスイッチ部3とを備えて構成されている。ボタン部2は、きのこ形をしたレリーズボタン5と、このレリーズボタン5を支持する回転レバー6と、レリーズボタン5を付勢する第1の弾性部材の一具体例を示すボタン側ばね7と、を備えている。レリーズボタン5は、断面形状が円形をなす棒体からなる軸部5aと、この軸部5aの一端に連続して形成された外向きフランジ状の頭部5bを有している。レリーズボタン5の軸部5aの頭部5bと反対側の先端近傍には、周方向に連続する止め輪用の環状溝15が設けられている。
【0016】
図8及び図9等に示すように、回転レバー6は、レリーズボタン5の頭部5bを収納可能なボタン収納穴16と、レリーズボタン5の軸部5aを回転自在であって軸方向へも移動可能に支持する円筒状の軸受部17とを有している。軸受部17は、回転レバー6の略中央部に配置されており、これと同心をなすようにボタン収納穴16が設けられている。ボタン収納穴16の直径は軸受部17の外径よりも十分に大きく形成されており、軸受部17の外側にボタン側ばね7の一側を収納する環状のばね受け穴18が設けられている。また、回転レバー6には、外周縁の一部から半径方向外側へ突出する操作部19が設けられている。操作部19は、回転レバー6を回転操作するために設けた突起状の凸部として形成されている。
【0017】
ボタン側ばね7は、レリーズボタン5をボタン収納穴16から飛び出させる方向に付勢する圧縮コイルばねである。このボタン側ばね7の一端がばね受け穴18の底面に着座され、圧縮された状態で他端がレリーズボタン5の頭部5bの内面に当接されている。このボタン側ばね7のばね力によるレリーズボタン5の回転レバー6からの抜け出しが、軸部5aに装着された止め輪21によって防止されている。
【0018】
スイッチ部3のセンタベース8は、円筒形状を有する胴体部23と、フレキシブル配線板11の第1の接点部51を支持する配線板支持部24とを有している。センタベース8の胴体部23は、軸方向の一端が端面部23aによって閉じられた有底の筒体からなり、この端面部23a側に配線板支持部24が一体に設けられている。胴体部23の穴25内の中央部には、端面部23aに連続され且つ軸心に沿うように開口側に突出する中央凸部26が設けられており、この中央凸部26の外側にリング状の空間部が設定されている。この中央凸部26に嵌合するようにスイッチ側ばね12とオーバーストロークばね13とがセンタベース8に装着されている。
【0019】
スイッチ側ばね12とオーバーストロークばね13は、この実施例では共に圧縮コイルばねによって構成されている。しかしながら、スイッチ側ばね12とオーバーストロークばね13は、同一平面上であって同一軸心上に配置できるようにするため、スイッチ側ばね12の直径をオーバーストロークばね13の直径よりも十分に小径に形成されている。従って、このレリーズスイッチ装置1の操作時、それぞれの伸縮動作の際にスイッチ側ばね12とオーバーストロークばね13とが互いに摺動接触することはない。スイッチ側ばね12とオーバーストロークばね13の各一端は、センタベース8の端面部23aの内端面に着座されている。
【0020】
更に、センタベース8の胴体部23には、軸方向に直線的に延在された2つの係合溝27,27が設けられている。2つの係合溝27,27は、周方向へ180度回転変位した位置に対向設置されており、それぞれの一端は端面部23aを切り欠くように設けられ、その他端は穴25の開口側の開口端の近傍まで延在されている。また、胴体部23の外周面には、半径方向外側に突出する2つの係合爪28,28と、4つのスライド突条29〜29が設けられている。
【0021】
2つの係合爪28,28は、胴体部23の端面部23aと反対側の端部において、2つの係合溝27,27に対して90度回転変位した位置であって、互いに周方向へ180度回転変位した位置に配置されている。各係合爪28は、端面部23a側の面を、軸心線と垂直に交差する方向に展開された係止面とした鉤爪状に形成されており、反対側の面は傾斜面とされている。4つのスライド突条29〜29は、胴体部23の外周面であって、2つの係合溝27,27と2つの係合爪28,28を避けた位置において、軸方向へ直線状に延在する突条として形成されている。この4つのスライド突条29〜29は、胴体部23の外周面の全面がアウタベース9の穴25の内周面に摺動接触するのを防止するために設けたものである。
【0022】
センタベース8の配線板支持部24は、端面部23aに連続して設けた4つ突起片24a〜24aからなり、4つの突起片24a〜24aが互いに所定の隙間をあけて4箇所に対向するように設置されている。各突起片24aには、対をなす突起片間において対向設置された係止爪31がそれぞれ設けられている。これら4つの係止爪31〜31の内面(端面部23a側の面)と端面部23aとの間に所定の隙間が設定されており、この隙間内にフレキシブル配線板11の第1の接点部51が配設されている。
【0023】
スイッチ部3のアウタベース9は、円筒形状を有する胴体部33と、フレキシブル配線板11の第2の接点部52を支持する配線板支持兼固定部34とを有している。アウタベース9の胴体部33は、軸方向の一端が端面部33aによって閉じられた有底の筒体からなり、この端面部33a側に配線板支持兼固定部34が一体に設けられている。胴体部33の穴35は、センタベース8の胴体部23の外径よりも少し大径に形成されており、この穴35内に胴体部23の開口側が挿入されている。穴35内の中央部には、端面部33aに連続され且つ開口側に突出する中央凸部36が設けられている。この中央凸部36に装着するようにして、少し圧縮した状態でスイッチ側ばね12の他端が端面部33aに着座されている。
【0024】
更に、胴体部33には、軸方向に直線的に延在された2つの係合溝37,37が設けられている。2つの係合溝37,37は、周方向へ180度回転変位した位置に対向設置されており、それぞれの一端は端面部33aを切り欠くように設けられ、その他端は穴35の開口側の開口端の近傍まで延在されている。2つの係合溝37,37には、センタベース8に設けた2つの係合爪28,28がそれぞれ摺動可能に係合されている。また、胴体部33の端面部33aには、中央凸部36を挟んで直径方向両側に対向するように2つの貫通孔38,38が設けられている。
【0025】
アウタベース9の配線板支持兼固定部34は、端面部33aに連続して設けた4つの固定片34a〜34aからなり、4つの固定片34a〜34aが互いに所定の隙間をあけて4箇所に対向するように設置されている。これら4つの固定片34a〜34aによってアウタベース9が取付板14の一面上に載置され、4つの固定片34a〜34aを取付板14に固定することによってスイッチ部3が取付板14に取り付けられる。この取付板14の載置面とアウタベース9の端面部33aとの間には所定の隙間が設定されており、この隙間内にフレキシブル配線板11の第2の接点部52が配設されている。
【0026】
スイッチ部3のインナベース10は、円筒形状を有する胴体部41からなっている。インナベース10の胴体部41の中央部を貫通する穴42は、その中途部に設けた段部43によって大径穴42aと小径穴42bとして形成されている。胴体部41の外径は、センタベース8の穴25の内径よりも少し小径に形成されており、この穴25内に胴体部41が挿入されている。そして、大径穴42aに挿入するようにして、少し圧縮した状態でオーバーストロークばね13の他端が段部43に着座されている。更に、胴体部41には、穴42の小径穴42b側において穴方向に突出する2つの押圧凸部44,44と、大径穴42a側において半径方向外側に突出する2つの係合爪45,45とが設けられている。
【0027】
2つの押圧凸部44,44は、アウタベース9の端面部33aに設けた2つの貫通孔38,38と対応する位置に設けられている。そして、2つの押圧凸部44,44は、2つの貫通孔38,38に対してそれぞれ適当な隙間を持って挿入されている。また、2つの係合爪45,45は、2つの押圧凸部44,44を結ぶ線と平行をなす線上に配置されている。従って、2つの係合爪45,45は、周方向へ180度回転変位した位置に配置されている。各係合爪45は、押圧凸部44側の面を、軸心線と垂直に交差する方向に展開された係止面とした鉤爪状に形成されており、反対側の面は傾斜面とされている。
【0028】
更に、インナベース10の胴体部41には、4つのスライド突条46〜46が設けられている。4つのスライド突条46〜46は、胴体部41の外周面であって、2つの係合爪45,45を避けた位置において、軸方向へ直線状に延在する突条として形成されている。この4つのスライド突条46〜46は、胴体部41の外周面の全面がセンタベース8の穴25の内周面に摺動接触するのを防止するために設けたものである。
【0029】
フレキシブル配線板11は、図1〜図3に示すような形状及び構成を有している。即ち、フレキシブル配線板11は、所定の回路パターンを形成している導体部と、この導体部の表裏両面を覆う保護層とからなり、保護層の一部を切除して導体部を露出させることによって2つの接点部51,52が形成されている。フレキシブル配線板11は、全体として略L字形状に形成されており、長片の先端側に第1の接点部51が設けられ、その長片と短片とが交わる部分から短片に至る部分に第2の接点部52が設けられている。
【0030】
図2に示すように、フレキシブル配線板11の長片の先端には、固定端子(固定接点)55を有する第1の固定部53aが設けられ、その固定部53aから折曲部54aを形成する所定距離を隔てた部位に可動端子(可動接点)56を有する第1の可動部53bが設けられている。また、フレキシブル配線板11の短片の先端には、可動端子(可動接点)57を有する第2の可動部53cが設けられ、その可動部53cから折曲部54bを形成する所定距離を隔てた部位に固定端子(固定接点)58を有する第2の固定部53dが設けられている。そして、第1の可動部53bと第2の固定部53dとは連結部54cにより連結されていて、全体としてフレキシブル配線板11が一体に形成されている。
【0031】
2つの固定端子55,58及び2つの可動端子56,57は、それぞれ保護層を切除して導体部を露出させることによって形成されている。そして、互いに対をなす第1の固定端子55と第1の可動端子56及び第2の可動端子57と第2の固定端子58は、それぞれの折曲部54a,54bで折り曲げた状態において、それぞれが上下に重なり合って接触可能に構成されている。即ち、第1の折曲部54aの略中間部を折り曲げると第1の可動端子56と第1の固定端子55が重なり合って接触可能とされ、第2の折曲部54bの略中間部を折り曲げると第2の可動端子57と第2の固定端子58が重なり合って接触可能とされている。
【0032】
図3は、フレキシブル配線板11の使用時の形態を示すものである。第1の接点部51は、第1の折曲部54aの略中間部を折り曲げ、第1の固定部53aを第1の可動部53bに向かい合わせる。これにより、第1の固定部53aに設けた第1の固定端子55が第1の可動部53bに設けた第1の可動端子56に所定の隙間をあけて対向される。また、第2の接点部52は、第2の折曲部54bの略中間部を折り曲げ、第2の可動部53cを第2の固定部53dに向かい合わせる。これにより、第2の可動部53cに設けた第2の可動端子57が第2の固定部53dに設けた第2の固定端子58に所定の隙間をあけて対向される。
【0033】
その後、連結部54cの両側を同方向に折り曲げる。これにより、第1の接点部51と第2の接点部52が、所定間隔あけて対向設置される。この際、第1の接点部51の中心部と第2の接点部52の中心部は、略同一線上に位置するように折り曲げ位置を設定する。このような構成を有するフレキシブル配線板11が、第1の接点部51をセンタベース8の上部に配置し、且つ、第2の接点部52をアウタベース9の下部に配置した状態でスイッチ部3に組み立てられている。
【0034】
フレキシブル配線板11の保護層の材質としては、端子部の接合に際して半田付け作業を要する場合には、耐熱性が高く、難燃性を有するポリイミド(PI)を使用する必要があるが、コストが高いという欠点がある。例えば、先行技術においては、板ばねを接点部に用いているため、その板ばねとフレキシブル配線板の導体部を半田付けによって接合する必要があり、その際に、半田付け作業時の熱が保護層に伝達されて、保護層が高温に晒されることになる。
【0035】
これに対して、本願発明の場合には、フレキシブル配線板11に複数の端子部を設け、その端子部を接触させて電気的導通を図る構成となっているため、従来のような半田付け作業を必要とせず、フレキシブル配線板11が高温に晒されることもない。そのため、本発明のフレキシブル配線板11の保護層の材質として、例えば、コストの安いポリエチレンテレフタレート(PET)を使用することができ、装置全体のコストダウンを図ることができる。
【0036】
レリーズスイッチ装置1を構成するレリーズボタン5と回転レバー6とセンタベース8とアウタベース9とインナベース10の材質としては、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)を適用することができる。しかしながら、これらの材質に限定されるものではなく、その他のエンジニアリングプラスチックを用いることができることは勿論である。また、プラスチック以外にもアルミニウム合金その他の金属を用いることもできる。
【0037】
このような構成を備えたレリーズスイッチ装置1は、例えば、次のようにして組み立てることができる。まず、ボタン部2の組立作業について説明する。図1に示すように、レリーズボタン5とボタン側ばね7と回転レバー6を配置し、ボタン側ばね7の一側を回転レバー6の軸受部17に嵌合する。次に、回転レバー6の軸部5aを軸受部17の穴に挿通し、ボタン側ばね7を少し圧縮させて軸部5aに設けた環状溝15を回転レバー6のボタン収納穴16が開口する面と反対側の面から突出させる。そして、環状溝15に止め輪21を装着し、回転レバー6からのレリーズボタン5の抜け出しを防止する。これにより、ボタン部2の組立作業が完了する。
【0038】
次に、スイッチ部3の組立作業について説明する。例えば、図1に示すように、センタベース8とオーバーストロークばね13とインナベース10とスイッチ側ばね12とアウタベース9を上下方向へ並べて配置する。そして、スイッチ側ばね12の下側をアウタベース9の胴体部33の穴35内に挿入し、その端面部33aの中央に設けた中央凸部36に係合させ、スイッチ側ばね12の下端を端面部33aの面に着座させる。また、オーバーストロークばね13の下側をインナベース10の穴42内に挿入し、その下端を段部43の端面に着座させる。
【0039】
次に、インナベース10の胴体部41の穴42の開口側をセンタベース8の胴体部23の穴25に挿入し、その胴体部41に設けた2つの係合爪45,45及びその周辺部を半径方向内側に弾性変形させる。そして、2つの係合爪45,45を、センタベース8の胴体部23の肉厚部を乗り越えさせて、胴体部23に設けた2つの係合溝27,27にそれぞれ係合させる。これにより、インナベース10がセンタベース8に対して着脱可能に装着され、オーバーストロークばね13の上端が穴25の面に圧接される。その結果、オーバーストロークばね13が少し圧縮された状態でセンタベース8とインナベース10の間に設置される。
【0040】
次いで、インナベース10が装着されているセンタベース8の胴体部23を、そのインナベース10側からアウタベース9の胴体部33の穴35に挿入し、その胴体部23に設けた2つの係合爪28,28及びその周辺部を半径方向内側に弾性変形させる。そして、アウタベース9の胴体部33の肉厚部を乗り越えさせて、2つの係合爪28,28を胴体部33に設けた2つの係合溝37,37にそれぞれ係合させる。これと略同時に、インナベース10に設けた2つの押圧凸部44,44がアウタベース9の胴体部33の端面部33aに設けた2つの貫通孔38,38に挿入される。これにより、センタベース8がアウタベース9に対して着脱可能に装着され、スイッチ側ばね12の上端が胴体部23の穴25の面に圧接される。その結果、スイッチ側ばね12が少し圧縮された状態でセンタベース8とアウタベース9の間に設置される。
【0041】
次に、上述したようにして組み立てられるセンタベース8とアウタベース9とインナベース10からなるベース組立体に、図3に示した形態に折り曲げ形成されたフレキシブル配線板11を組み立てる。
【0042】
まず、フレキシブル配線板11の第2の接点部52の第2の固定部53dの第2の固定端子58と反対側の面を、取付板14の取付面の所定位置に接着剤で接着して固定する。次に、第2の接点部52の第2の折曲部54bで折り曲げて第2の可動部53cを第2の固定部53dの上方に折り重ね、ベース組立体のアウタベース9の4つの固定部34a〜34aを第2の固定部53dの所定位置に載置する。そして、図示しない接着剤或いは固定ねじ等を用いて、アウタベース9を取付板14に固定する。
【0043】
これにより、第2の接点部52の第2の可動部53cと第2の固定部53dが、アウタベース9の配線板支持兼固定部34の所定位置である略中央部に配置され、第2の接点部52が弾性変形可能に支持される。この場合、第2の接点部52の第2の可動部53cには、フレキシブル配線板11を折り曲げることによって発揮される弾性により、第2の固定部53dから離反する方向へ開こうとする力が作用する。そのため、フレキシブル配線板11自体が持つ弾性によって第2の可動部53cがアウタベース9の端面部33aの外面に圧接される。
【0044】
ここで、第2の可動部53cに設けた第2の可動端子57は、第2の固定部53dに設けた第2の固定端子58に対して所定の隙間をあけて重なり合うように対向設置される。また、アウタベース9の端面部33aに圧接された第2の可動端子57には、その端面部33aに設けた2つの貫通孔38,38に挿通されているインナベース10に設けた2つの押圧凸部44,44のうち、一方の押圧凸部44が対向するように設置される。
【0045】
次に、フレキシブル配線板11の第1の接点部51を、センタベース8の配線板支持部24に設けた4つの突起片24a〜24aで囲まれた空間部内に差し込んで設置する。この第1の接点部51は、第1の固定部53aを内側にして第1の折曲部54a側から4つの突起片24a〜24aの空間部内に挿入する。このとき、第1の接点部51の第1の固定部53aと第1の可動部53bには、フレキシブル配線板11を折り曲げることによって発揮される弾性により、互いに外側に開こうとする力が作用する。
【0046】
そのため、フレキシブル配線板11自体が持つ弾性によって第1の固定部53aがセンタベース8の端面部23aの外面に圧接され、第1の可動部53bが4つの突起片24a〜24aに設けた4つの係止爪31〜31に内側から圧接される。これにより、第1の接点部51の第1の固定部53aと第1の可動部53bが、センタベース8の配線板支持部24の所定位置である略中央部に配置され、第1の接点部51が弾性変形可能に支持される。このとき、第1の固定部53aに設けた第1の固定端子55と第1の可動部53bに設けた第1の可動端子56が、所定の隙間をあけて重なり合うように対向設置される。
【0047】
これにより、図8及び図9に断面して示すような構成を有するレリーズスイッチ装置1の組立作業が完了する。本発明のレリーズスイッチ装置1は、ボタン部2とスイッチ部3が別個独立に構成されており、使用に際しては、図8及び図9に示すように、所定の間隔をあけて電子機器本体に取り付けることにより使用に供される。図4はレリーズスイッチ装置1の組立状態のボタン部2側から見た斜視図、図5は同じくスイッチ部3側から見た斜視図、図6は正面図、図7は右側面図である。
【0048】
このような構成を有するレリーズスイッチ装置1の動作を、図8〜図15を参照して説明する。図8及び図9は、レリーズスイッチ装置1の自由(フリー)状態を示し、図10及び図11は、レリーズスイッチ装置1の第1のスイッチ(1番目のスイッチ)がオンした状態を示している。そして、図12及び図13は、レリーズスイッチ装置1の第2のスイッチ(2番目のスイッチ)がオンした状態を示し、図14及び図15は、第2のスイッチがオンした後のオーバーストローク動作が実行されている状態を示している。
【0049】
図8及び図9に示すように、ボタン部2とスイッチ部3とは別個独立に構成されており、ボタン部2とスイッチ部3との間に所定の隙間をあけて所望の電子機器に取り付けられて使用に供される。この際、レリーズボタン5の軸部5aの軸心線と3つのベース8,9,10の軸心線(中心線)を同一軸心線上に一致させると共に、その軸部5aの先端と第1の接点部51との間に所定の隙間を設定して、ボタン部2とスイッチ部3を電子機器に取り付ける。このとき、第1の接点部51の第1の固定端子55と第1の可動端子56は所定の隙間を隔てて離反されてオフ状態となっており、第2の接点部52の第2の固定端子58と第2の可動端子57も同様に所定の隙間を隔てて離反されてオフ状態となっている。
【0050】
この状態から、図10及び図11に示すように、レリーズボタン5を、いわゆる半押し状態にすると、第1の接点部51のみが接触してオフ状態からオン状態に切り換えられる。即ち、レリーズボタン5を略1/3程度押圧すると、レリーズボタン5の軸部5aの先端がフレキシブル配線板11の第1の接点部51の第1の可動部53bに当接し、その第1の可動部53bを所定距離だけ押し下げる。その結果、第1の可動部53bの第1の可動端子56が、センタベース9の端面部23aに支持されている第1の接点部51の第1の固定部53aの第1の固定端子55に押圧される。これにより、第1の可動端子56と第1の固定端子55が導通されて第1の接点部51がオンとなる。このとき、センタベース9は、スイッチ側ばね12の付勢力によって当初の位置が保持され、インナベース10はオーバーストロークばね13の付勢力によって当初の位置が保持される。
【0051】
次に、図10及び図11に示す状態から、更にレリーズボタン5を押圧して、図12及び図13に示すように、いわゆる全押しすると、第1の接点部51がオン状態になったまま、第2の接点部52もオフ状態からオン状態に切り換えられる。即ち、スイッチ側ばね12の付勢力に抗して、レリーズボタン5を更に略1/3程度押圧すると、軸部5aの先端がセンタベース9を押し下げ、その押下力がオーバーストロークばね13を介してインナベース10に伝達される。このインナベース10の押下力により、インナベース10に設けた2つの押圧凸部44が2つの貫通孔38,38から下方に突出され、その下方に位置する第2の接点部52の第2の可動部53cに当接し、その第2の可動部53cを所定距離だけ押し下げる。
【0052】
その結果、第2の可動部53cの第2の可動端子57が、取付板14の取付面に載置されている第2の接点部52の第2の固定部53dの第2の固定端子58に押圧される。これにより、第2の可動端子57と第2の固定端子58が導通されて第2の接点部52がオンとなる。これにより、レリーズスイッチ装置1の目的が達成され、例えば、電子機器が一眼レフレックスカメラである場合には、シャッタボタンが切られて被写体の撮影が実行される。
【0053】
次に、図12及び図13に示す状態から、更にレリーズボタン5を押圧して、図14及び図15に示すように、いわゆるオーバーストロークすると、第1の接点部51と第2の接点部52を共にオン状態にしたまま、レリーズボタン5を更に押し下げることができる。即ち、レリーズボタン5を更に略1/3程度押圧すると、インナベース10との係合状態が解除されてセンタベース9のみがオーバーストロークばね13の付勢力に抗して押し下げられる。このオーバーストロークばね13のばね力により、レリーズボタン5のオーバーストローク時における衝撃力の発生を防止し、衝撃力がレリーズボタン5を押圧操作する指に付与されるのを防止することができる。
【0054】
このような動作を有するレリーズスイッチ装置1は、例えば、図16〜図20に示すような状態で各種の電子機器に用いられて使用に供される。図16は、電子機器の筐体(電子機器本体)61にレリーズスイッチ装置1を取り付けた状態を示す斜視図、図17はその平面図、図18は正面図、図19は図17のX−X線部分の断面図、図20は右側面図である。レリーズスイッチ装置1のボタン部2は、筐体61に設けた嵌合穴62に回転レバー6の胴体部を圧入して嵌合することによって固定されている。一方、スイッチ部3は、筐体61に設けた支持柱63に取付板14を固定ねじ64でねじ止めすることによって取り付けられている。
【0055】
図21は、このレリーズスイッチ装置1を適用した電子機器の一具体例を示す一眼レフレックスカメラ70の外観斜視図である。この一眼レフレックスカメラ70は、電子機器本体としての筐体の一具体例を示すカメラボディ71を備えている。このカメラボディ71に、本発明の実施例に係るレリーズスイッチ装置1が適用されている。そして、カメラボディ71に対して、交換式の撮影レンズユニットであるレンズ鏡筒80が着脱可能に構成されている
【0056】
カメラボディ71は、内部に空間が設けられた横長の筐体からなり、その内部空間には、図示しないが、各種の電子部品が実装された配線基板、バッテリー電源、記憶装置、その他各種の装置、部品等が収納されている。このカメラボディ71は、レンズ鏡筒80が装着されるマウント部72が設けられており、レンズ鏡筒80のレンズマウントが着脱自在に装着可能とされている。更に、マウント部72には、レンズ鏡筒80を取り外すためのレンズ取外しボタン73が設けられている。
【0057】
また、カメラボディ71は、その正面右上部にモード選択ダイヤル74を備えている。モード選択ダイヤル74を操作することにより、カメラの各種モード、例えば、各種撮影モード、撮影した画像を再生する再生モード、及び外部機器との間でデータ交信を行う通信モード等の設定動作(切換動作)等を行うことが可能である。各種撮影モードとしては、例えば、人物撮影モード、風景撮影モード、及びフルオート撮影モード等を挙げることができる。更に、カメラボディ71の正面左側部に、撮影者が把持するためのグリップ部75が設けられている。グリップ部75の内部には電池収納室とカード収納室とが設けられている。電子収納室にはカメラの電源として、例えば、リチウムイオン電池等の電池が収納され、カード収納室には撮影画像の画像データを記録するためのメモリーカード等の外部記憶装置が着脱可能に収納される。
【0058】
このカメラボディ71のグリップ部75の上部に、上述したレリーズスイッチ装置1が取り付けられている。レリーズスイッチ装置1は、半押し状態と全押し状態との2つの状態を検出可能な2段階検出スイッチであり、更にオーバーストローク機能を備えている。レリーズスイッチ装置1のレリーズボタン5が半押しされた状態では、第1の接点部51がオンとなり、被写体に関する記録用静止画像(本撮影画像)を取得するための準備動作(例えば、AF制御動作等)が行われる。また、レリーズボタン5が更に押圧されて全押しされた状態になると、第2の接点部52もオンとなる。そして、本撮影画像の撮影動作(撮像素子を用いて被写体の光像に関する露光動作を行い、その露光動作によって得られた画像信号に所定の画像処理を施す一連の動作)が行われる。
【0059】
この際、レリーズスイッチ装置1の全押し操作の後に、そのままレリーズボタン5が押圧されたとしても、オーバーストローク機能が働くために、レリーズボタン5を押圧する指に衝撃力が加えられることがない。そのため、シャッタを切る際の衝撃力の発生を防止し、指に安全であって、操作感の良好なレリーズスイッチ装置1を備えた撮像装置を提供することができる。
【0060】
以上説明したように、本発明によれば、スイッチサイズを小型化することで、電子機器本体に対するレリーズスイッチ装置1の搭載の自由度を向上させることができる。更に、複数の部品を同心上に並べることで、スペースの効率よい使用を可能とすることができ、電子機器全体の小型化を図ることができる。また、板ばねの荷重を調整可能な機構とする場合には板ばねのサイズが大きなものとなってしまうが、圧縮コイルばねを使用することにより、スイッチ装置全体の小型化を図ることができる。更に、圧縮コイルばねは、板ばねよりも力量計算が単純であるため、その力量の微調整も容易に行うことができる。
【0061】
また、上記実施例では、ボタン部2とスイッチ部3を切り離した構造としたため、ボタン部を他のサイズ、他の形状のものと交換使用することが可能となり、デザインの変更を容易に行うことができる。更に、従来の装置では板ばねを導通部品として使用しているため、摺動抵抗を減らすための金メッキや半田付け等が必要となる。しかしながら、本実施例では、圧縮コイルばねを導通部品として使用することなく、フレキシブル配線板11をそのまま接点部品として使用しているため、大幅なコストダウンを図ることができる。
【0062】
以上説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形実施が可能である。例えば、前述の実施例では、弾性部材として圧縮コイルばねを適用した例について説明したが、例えば、皿ばねや竹の子ばね、ゴム状弾性体等を用いることもできる。また、電子機器の例として一眼レフレックスカメラに適用した例について説明したが、ビデオカメラ、デジタルカメラ等の撮像装置は勿論のこと、カメラ付き携帯電話機、カメラ付き携帯端末その他各種の電子機器に適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
1…レリーズスイッチ装置、 2…ボタン部、 3…スイッチ部、 5…レリーズボタン、 6…回転レバー、 7…ボタン側ばね(第1の弾性部材)、 8…センタベース(第1のベース部材)、 9…アウタベース(第2のベース部材)、 10…インナベース(第3のベース部材)、 11…フレキシブル配線板、 12…スイッチ側ばね(第2の弾性部材)、 13…オーバーストロークばね(第3の弾性部材)、 14…取付板、 23…胴体部、 23a…端面部、 25…穴、 26…中央凸部、 27…係合溝、 28…係合爪、 33…胴体部、 33a…端面部、 34…配線板支持兼固定部、 34a…固定片、 35…穴、 36…中央凸部、 37…係合溝、 38…貫通孔、 41…胴体部、 42…穴、 43…段部、 44…押圧凸部、 45…係合爪、 51…第1の接点部、 52…第2の接点部、 53a…固定部、 53b…可動部、 54a,54b…折曲部、 55,58…固定端子(固定接点)、 56,57…可動端子(可動接点)、 61…筐体(電子機器本体)、 70…一眼レフレックスカメラ(電子機器)、 71…カメラボディ(電気機器本体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部の軸方向の一端に入力部を設けたレリーズボタンと、
前記レリーズボタンを入力部側に付勢する第1の弾性部材と、
互いに接続及び離反可能とされた固定端子と可動端子を有する第1の接点部及び第2の接点部を設けたフレキシブル配線板と、
前記固定端子と前記可動端子を所定の隙間をあけて対向させて前記第1の接点部を支持すると共に当該第1の接点部に前記軸部の先端を臨ませた状態で前記レリーズボタンに対向設置される第1のベース部材と、
前記固定端子と前記可動端子を所定の隙間をあけて対向させて前記第2の接点部を支持すると共に前記第1のベース部材を所定の範囲内で移動可能に支持する第2のベース部材と、
前記第1のベース部材に所定の範囲内で移動可能に支持されると共に前記第2の接点部に臨む押圧部を設けた第3のベース部材と、
前記第1のベース部材を前記第2のベース部材から離反させる方向へ付勢する第2の弾性部材と、
前記第3のベース部材を前記第1のベース部材から離反させる方向へ付勢する第3の弾性部材と、を備え、
前記第1のベース部材と前記第2のベース部材と前記第3のベース部材を、互いの動作の中心を一致させて同一軸心線上に配置した
レリーズスイッチ装置。
【請求項2】
前記第1のベース部材と前記第2のベース部材と前記第3のベース部材は、直径を異ならせた円筒状の胴体部を有し、
前記第1のベース部材の胴体部と前記第2のベース部材の胴体部と前記第3のベース部材の胴体部を、入れ子式に出し入れ可能に構成した
請求項1記載のレリーズスイッチ装置。
【請求項3】
前記第2の弾性部材と前記第3の弾性部材は、直径を異ならせたコイルばねによって形成すると共に、互いの軸心線を一致させて同一軸心線上に配置した
請求項1又は2記載のレリーズスイッチ装置。
【請求項4】
前記フレキシブル配線板の前記第1の接点部及び第2の接点部は、当該フレキシブル配線板の片面又は両面において、導体部を覆う被覆層の4箇所を削除して導体部を露出させることにより2つの固定端子と2つの可動端子を設け、対応する固定端子と可動端子のそれぞれ中間部を折り曲げて固定端子と可動端子をそれぞれ対向させることによって形成した
請求項1、2又は3記載のレリーズスイッチ装置。
【請求項5】
レリーズボタンを半押しすることで中間動作が実行され、続けてレリーズボタンを全押しすることで最終動作が実施されるレリーズスイッチ装置を備え、
前記レリーズスイッチ装置は、
軸部の軸方向の一端に入力部を設けた前記レリーズボタンと、
前記レリーズボタンを入力部側に付勢する第1の弾性部材と、
互いに接続及び離反可能とされた固定端子と可動端子を有する第1の接点部及び第2の接点部を設けたフレキシブル配線板と、
前記固定端子と前記可動端子を所定の隙間をあけて対向させて前記第1の接点部を支持すると共に当該第1の接点部に前記軸部の先端を臨ませた状態で前記レリーズボタンに対向設置される第1のベース部材と、
前記固定端子と前記可動端子を所定の隙間をあけて対向させて前記第2の接点部を支持すると共に前記第1のベース部材を所定の範囲内で移動可能に支持する第2のベース部材と、
前記第1のベース部材に所定の範囲内で移動可能に支持されると共に前記第2の接点部に臨む押圧部を設けた第3のベース部材と、
前記第1のベース部材を前記第2のベース部材から離反させる方向へ付勢する第2の弾性部材と、
前記第3のベース部材を前記第1のベース部材から離反させる方向へ付勢する第3の弾性部材と、を備え、
前記第1のベース部材と前記第2のベース部材と前記第3のベース部材を、互いの動作の中心を一致させて同一軸心線上に配置した
電子機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−128998(P2012−128998A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277722(P2010−277722)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】