レンズフィルムおよびそれを用いたバックライトユニット
【課題】本発明は、硬度が高く、耐久性に優れ、ノルボルネン系樹脂フィルムとレンズ列および/または硬化層との密着性が良好で正面輝度が高く、視野角コントロール性に優れたレンズフィルムを提供する。
【解決手段】ノルボルネン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)直鎖アルキレンジ(メタ)アクリレートおよび(C)光重合開始剤を含有するUV硬化性樹脂組成物から形成されてなるレンズ列を有し、ノルボルネン系樹脂フィルムとレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差の最大値が0.1以下であることを特徴とするレンズフィルム。
【解決手段】ノルボルネン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)直鎖アルキレンジ(メタ)アクリレートおよび(C)光重合開始剤を含有するUV硬化性樹脂組成物から形成されてなるレンズ列を有し、ノルボルネン系樹脂フィルムとレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差の最大値が0.1以下であることを特徴とするレンズフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズフィルムに関する。詳しくは、ノルボルネン系重合体フィルム上に、UV硬化性樹脂組成物からなるレンチキュラーレンズおよび/またはプリズムレンズが形成されてなることを特徴とするレンズフィルムおよびそれを用いたバックライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネルを使用した液晶表示装置が、パソコン用ディスプレイ、情報端末機器等の画像表示手段、テレビ等の家電の画像表示手段、さらには車載用ディスプレイ等として様々な分野で利用されている。
【0003】
このような液晶表示装置では、液晶パネルを背面から照射するバックライトユニットが用いられている。
バックライトユニットには、光源からの光を制御する必要があるため、光源と液晶パネルの間にレンズフィルムが配置されている。
【0004】
図13は、従来のバックライトユニットを有する液晶表示装置の断面略図である。図13に示すように、従来のバックライトユニットは、光源として例えば導光板を用い、その上部に、拡散板、輝度上昇フィルムとしてBEF(Brightness Enhancement Film)、反射型偏光フィルムとしてDBEF−D(Dual Brightness Enhancement Film−Diffuse)、ルーバーフィルムを順に備えている(以下、「BEF方式のバックライトユニット」という。)。さらに、ルーバーフィルムの上部に液晶パネルを配置することで液晶表示装置となる。ここで、BEFは、その一方の面にプリズム列が配されており、BEF方式のバックライトユニットにおいて、BEFは、該プリズム列が光源とは逆方向に向いた状態で配置されている。
【0005】
しかしながら、このようなバックライトユニットでは、正面集光性、輝度の均一性が十分ではなく、また、多数のフィルムを用いる必要があるため、薄型化、軽量化、製造が困難となり、コスト増の要因ともなっていた。
【0006】
これに対して、特許文献1には、略台形形状とプリズム形状を有するシートを用いた面光源装置が開示されており、また、特許文献2には、図14に示すように、プリズム単位を用い、該プリズム単位を光源側に向けて配置した(以下、「逆プリズム方式のバックライトユニット」という。)面光源装置が開示されている。
【0007】
これらの面光源装置では、小型化、集光性に有効である旨記載されているが、視野角の小さい面光源装置に関するものであった。
また、特許文献3には、ベースフィルムにレンチキュラーレンズ樹脂層と、プリズム樹脂層を有するレンズシートが記載され、該レンズシートがバックライトユニットに用いられ、バックライトの正面輝度が向上する旨記載されている。
【0008】
しかしながら、前記特許文献3に記載のレンズシートでは、ベースフィルムと樹脂層との密着性や、レンズシートの硬度が劣るものであり、また、該レンズシートを用いたバックライトのさらなる正面輝度の向上が求められていた。
【0009】
さらに、車載用液晶パネルは、フロントガラスへの映り込みを減少させる等のため上下の輝度視野角を絞り、左右方向の輝度視野角を広げる必要があるが、バックライトユニットに従来のレンズフィルムを用いた場合には、上下の輝度視野角を絞れば、左右方向の輝度視野角も狭くなり、左右方向の輝度視野角を広げれば、上下方向の輝度視野角も広がるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−316091号
【特許文献2】特開平2−000017号
【特許文献3】特開2007−298757号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、硬度が高く、耐久性に優れ、ノルボルネン系樹脂フィルムとレンズ列および/または硬化層との密着性が良好で正面輝度が高く、視野角コントロール性に優れたレンズフィルムを提供することを課題としている。
【0012】
また、本発明は、上下方向の輝度視野角が狭く、左右方向の輝度視野角の広い、小型化、軽量化、薄肉化、製造が容易なバックライトユニットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のレンズフィルムは、ノルボルネン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)直鎖アルキレンジ(メタ)アクリレートおよび(C)光重合開始剤を含有するUV硬化性樹脂組成物から形成されてなるレンズ列を有し、ノルボルネン系樹脂フィルムとレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差の最大値が0.1以下であることを特徴とする。
【0014】
本発明のレンズフィルムは、前記ノルボルネン系樹脂フィルムが下記一般式(1)で表される構造単位を有する(共)重合体を用いて形成されてなることが好ましい。
【0015】
【化1】
[式(1)中、mは1以上の整数、pは0以上の整数であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、
R1〜R4は、それぞれ独立に下記(a)〜(e)で表されるものを表すか、(f)または(g)を表す。
(a)水素原子、
(b)ハロゲン原子、
(c)酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を含む置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(d)置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(e)極性基、
(f)R1とR2、またはR3とR4が、相互に結合して形成されたアルキリデン基を表し、前記結合に関与しないR1〜R4は相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す、
(g)R1とR2、R3とR4、またはR2とR3が、相互に結合して形成された芳香環あるいは非芳香環の単環もしくは多環の炭化水素環または複素環を表し、前記結合に関与しないR1〜R4は相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す。]
【0016】
本発明のレンズフィルム(I)は、前記レンズ列がレンチキュラーレンズ列であり、該レンチキュラーレンズ列が前記ノルボルネン系樹脂フィルムの片面に形成されてなることを特徴とする。
【0017】
本発明のレンズフィルム(I)は、前記ノルボルネン系樹脂フィルムのレンチキュラーレンズ列が形成されていない方の面に前記UV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層を有することが好ましい。
【0018】
本発明のレンズフィルム(I)は、前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(D)光拡散性粒子を含有することが好ましい。
【0019】
本発明のレンズフィルム(I)は、前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
【0020】
本発明のレンズフィルム(II)は、前記レンズ列がプリズムレンズ列であり、該プリズムレンズ列が前記ノルボルネン系樹脂フィルムの片面に形成されてなることを特徴とする。
【0021】
本発明のレンズフィルム(II)は、前記ノルボルネン系樹脂フィルムのプリズムレンズ列が形成されていない方の面に前記UV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層を有することが好ましい。
【0022】
本発明のレンズフィルム(II)は、前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(D)光拡散性粒子を含有することが好ましい。
【0023】
本発明のレンズフィルム(II)は、前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
【0024】
本発明のバックライトユニットは、前記レンズフィルム(I)と、前記レンズフィルム(II)とを有することを特徴とする。
本発明のレンズフィルム(III)は、前記ノルボルネン系樹脂フィルムの両面に、前記レンズ列を有するレンズフィルムであって、一方の面のレンズ列がレンチキュラーレンズ列であり、かつ、他方の面のレンズ列がプリズムレンズ列であることを特徴とする。
【0025】
本発明のレンズフィルム(III)は、前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(D)光拡散性粒子を含有することが好ましい。
【0026】
本発明のレンズフィルム(III)は、前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
【0027】
本発明のバックライトユニットは、前記レンズフィルム(III)を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、硬度が高く、耐久性に優れ、ノルボルネン系樹脂フィルムとレンズ列および/または硬化層との密着性が良好で正面輝度が高く、視野角コントロール性に優れたレンズフィルムを提供することができる。
【0029】
また、本発明によれば、上下方向の輝度視野角が狭く、左右方向の輝度視野角の広い、小型化、軽量化、薄肉化、製造が容易なバックライトユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)の一例を模式的に示す図である。
【図2】図2は、レンチキュラーレンズフィルム(I)を図1中に矢印で示したS1−S2断面で切断した断面図である。なお、図2は、レンチキュラーレンズの凸面の形状が半円状である場合のレンチキュラーレンズフィルム(I)の断面図である。
【図3】図3は、レンチキュラーレンズフィルム(I)を図1中に矢印で示したS1−S2断面で切断した断面図である。なお、図3は、レンチキュラーレンズの凸面の形状が台形状である場合のレンチキュラーレンズフィルム(I)の断面図である。
【図4】図4は、図1のノルボルネン系樹脂フィルム1のレンチキュラーレンズ列が形成されていない方の面にUV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層6を有する図である。
【図5】図5は、本発明のプリズムレンズフィルム(II)の一例を模式的に示す図である。
【図6】図6は、プリズムレンズフィルム(II)を図5中に矢印で示したS3−S4断面で切断した断面図である。
【図7】図7は、図5のノルボルネン系樹脂フィルム7のプリズムレンズ列が形成されていない方の面にUV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層12を有する図である。
【図8】図8は、本発明のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)の一例を模式的に示す図である。なお、図8は、レンチキュラーレンズ列と、プリズムレンズ列の延在方向が垂直である場合のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)の一例を模式的に示す図である。
【図9】図9は、本発明のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)の一例を模式的に示す図である。なお、図9は、レンチキュラーレンズ列14と、プリズムレンズ列16の延在方向が平行である場合のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)の一例を模式的に示す図である。
【図10】図10は、本発明のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)を用いた液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。
【図11】図11は、本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)、プリズムレンズフィルム(II)を用いた液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。なお、図11は、プリズムレンズ列を導光板に向けて配置し、レンチキュラーレンズ列を導光板側と逆向きに配置した逆プリズム方式のバックライトユニットを有する液晶表示装置である。
【図12】図12は、本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)、プリズムレンズフィルム(II)を用いた液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。なお、図12は、プリズムレンズ列、レンチキュラーレンズ列を導光板に向けて配置した逆プリズム方式のバックライトユニットを有する液晶表示装置である。
【図13】図13は、従来のBEF方式のバックライトユニットを有する液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。
【図14】図14は、逆プリズム方式のバックライトユニットの一例を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明について具体的に説明する。
〔レンズフィルム〕
本発明においてレンズフィルムとは、ノルボルネン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面にUV硬化性樹脂組成物からなるレンズ列を有するレンズフィルムであって、ノルボルネン系樹脂フィルムの片面にレンチキュラーレンズ列が形成されてなるレンズフィルム(I)(本発明では、「レンチキュラーレンズ(I)」とも言う。)、ノルボルネン系樹脂フィルムの片面にプリズムレンズ列が形成されてなるレンズフィルム(II)(本発明では、「プリズムレンズフィルム(II)」とも言う。)、ノルボルネン系樹脂フィルムの一方の面にレンチキュラーレンズ列が形成され、かつ、ノルボルネン系樹脂フィルムの他方の面にプリズムレンズ列が形成されてなるレンズフィルム(III)(本発明では、「レンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)」とも言う。)のことを言う。
【0032】
また、本発明において、レンズ列とは、レンチキュラーレンズが複数個延在されてなるレンチキュラーレンズ列、プリズムレンズが複数個延在されてなるプリズムレンズ列のことを言う。
【0033】
また、本発明において、レンズとは、上記レンズ列を形成するレンチキュラーレンズ、プリズムレンズのことを言う。
なお、本発明において、レンズフィルムは、レンズシートであってもよく、フィルムとシートに文言上の差異はない。
【0034】
≪ノルボルネン系樹脂フィルム≫
本発明におけるノルボルネン系樹脂フィルムは、下記一般式(I)で表される構造単位を有する(共)重合体を用いて形成されるフィルムであればいずれでもかまわない。
【0035】
このような、ノルボルネン系樹脂フィルムは、可視光領域において高い透明性を有しており、また、耐久性、耐熱性、低吸水性、耐衝撃性、耐薬品性、成形容易性、軽量化に優れるため好ましい。
【0036】
本発明において、ノルボルネン系樹脂フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、10〜500μm、好ましくは、50〜200μmの範囲にあることが望ましい。
本発明で用いるノルボルネン系樹脂フィルムとしては、厚さ0.1mmでの全光線透過率が通常80%以上であり、好ましくは83%以上、更に好ましくは85%以上であることが望ましい。全光線透過率がこのような範囲であれば、ノルボルネン系樹脂フィルムが良好な透明性を示し、ヘイズ値の小さいノルボルネン系樹脂フィルムが得られるため好ましい。
【0037】
《ノルボルネン系樹脂》
本発明に係るノルボルネン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、ノルボルネン骨格を有する環状オレフィン系単量体の開環(共)重合体、開環(共)重合体の水素添加物、付加(共)重合体、あるいは環状オレフィン系単量体とその他の共重合性単量体との共重合体、その水素添加物などが挙げられる。
【0038】
具体的には、後述する式(I’)および式(II’)で表されるような環状オレフィン系単量体の開環(共)重合体、当該開環(共)重合体の水素化物、付加(共)重合体、環状オレフィン系単量体とα−オレフィンとの付加共重合体などが挙げられる。これらのうち好ましくは開環(共)重合体の水素化物であり、特に下記一般式(I)で表される構造単位を有する重合体が好ましい。当該重合体は、下記一般式(I)で表される構造単位を有する単独重合体であってもよいし、式(I)とともに下記一般式(II)で表される構造単位を有する共重合体であってもよい。
【0039】
【化2】
[式(I)中、mは1以上の整数、pは0以上の整数であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、
R1〜R4は、それぞれ独立に下記(a)〜(e)で表されるものを表すか、(f)または(g)を表す。
(a)水素原子、
(b)ハロゲン原子、
(c)酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を含む置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(d)置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(e)極性基、
(f)R1とR2、またはR3とR4が、相互に結合して形成されたアルキリデン基を表し、前記結合に関与しないR1〜R4は相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す、
(g)R1とR2、R3とR4、またはR2とR3が、相互に結合して形成された芳香環あるいは非芳香環の単環もしくは多環の炭化水素環または複素環を表し、前記結合に関与しないR1〜R4は相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す。]
【0040】
【化3】
[式(II)中、Eは−CH=CH−または−CH2CH2−で表される基であり、
R5〜R8は、それぞれ独立に下記(i)〜(v)で表されるものを表すか、(vi)または(vii)を表す。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を含む置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(iv)置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(v)極性基、
(vi)R5とR6、および/またはR7とR8が、相互に結合して形成される2価の炭化水素基を表し、前記結合に関与しないR5〜R8は相互に独立に前記(i)〜(v)より選ばれるものを表す、
(vii)R5〜R 8から選ばれる2つの基が、相互に結合して形成される単環の炭化水素環または複素環を表し、前記結合に関与しないR5〜R8は相互に独立に前記(i)〜(v)より選ばれるものを表す。]
【0041】
ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度をフィルム加工に適した領域にし、同時に透明性を確保するため、上記一般式(I)におけるmは好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3であり、pは好ましくは0〜4、より好ましくは0〜2である。また、R1〜R4の炭素原子数は好ましくは1〜25、より好ましくは1〜20である。さらに、上記一般式(II)におけるR5〜R8の炭素原子数は好ましくは1〜25、より好ましくは1〜20である。
【0042】
・ノルボルネン系樹脂の製造方法
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、上記式(I)で表される構造単位と、必要に応じて上記式(II)で表される構造単位を有する。
【0043】
上記式(I)で表される構造単位は、開環(共)重合により、下記式(I’)で表される環状オレフィン系単量体から誘導される。
【0044】
【化4】
(式(I’)中、mおよびR1〜R4は、前記式(I)と同様である。)
式(I)または式(I’)において、極性基としては、たとえば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、たとえばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられ;カルボニルオキシ基としては、たとえばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基などのアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、たとえばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、たとえばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基などが挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては、たとえばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基などが挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基としては、たとえばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
【0045】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜10の炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基などが挙げられる。
【0046】
また、置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、たとえば炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(たとえば、−(CH2)m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(たとえば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−(式中、Rはメチル、エチルなどのアルキル基))などが挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
【0047】
これらの中でも、置換基としてアルコキシカルボニル基を有するとレンズフィルムとした際の硬度、耐久性及びレンズ列および/または硬化層との密着性などに優れるため好ましく、特にメトキシカルボニル基を有することが好ましい。
【0048】
環状オレフィン系単量体(I’)としては、具体的には、次のような化合物が挙げられる。
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−シアノ−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロイソプロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
これらは、単独でまたは2種以上を併用することができる。
【0049】
本発明では、前記式(I)で表される構造単位が極性基を有することが好ましく、その極性基が、下記式(III)で表される基であることが好ましい。すなわち、前記式(I)で表される構造単位あるいは前記式(I’)で表される環状オレフィン系単量体は、R1〜R4の少なくとも一つが、下記式(III)で表される基であることが好ましい。
−(CH2)pCOOR9 …(III)
(式(III)中、pは0または1〜5の整数であり、R9 は炭素原子数1〜15の炭化水素基である。)
【0050】
上記式(III)において、pの値が小さいものほど、また、R9 が炭素数の小さいほど、得られる共重合体のガラス転移温度が高くなり、耐熱性が向上するので好ましい。すなわち、pは通常0または1〜5の整数であるが、好ましくは0または1であり、また、R9 は通常炭素原子数1〜15の炭化水素基であるが、好ましくは炭素原子数1〜3のアルキル基であるのが望ましい。
【0051】
さらに、上記式(I)または(I’)において、上記一般式(III)で表される極性基が結合した炭素原子にさらにアルキル基が結合している場合は、得られる共重合体の耐熱性と吸水(湿)性のバランスを図るうえで好ましい。また、アルキル基の炭素原子数は1〜5であることが好ましく、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
【0052】
前記式(II)で表される構造単位は、開環共重合により、下記式(II’)で表される環状オレフィン系単量体から誘導される。
【0053】
【化5】
(式(II’)中、R5〜R8は前記式(II)と同様である。)
このような環状オレフィン系単量体としては、具体的には次のような化合物が挙げられる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘプチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ノニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ウンデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ドデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−テトラデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキサデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘプタデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−オクタデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ノナデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−イコシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エトキシカルボニル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンスピロ[フルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン)
これらは単独でまたは2種以上を併用することができる。
【0054】
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、それぞれ1種以上の、環状オレフィン系単量体(I’)および環状オレフィン系単量体(II’)を開環共重合することにより製造することができる。本発明に係るノルボルネン系樹脂は、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンとビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)または8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンとトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン)からなる共重合体であることが、特に好ましい。
【0055】
本発明において、環状オレフィン系単量体(I’)および環状オレフィン系単量体(II’)の共重合比率は、これらの合計を100重量部とした場合に、通常、環状オレフィン系単量体(II’)が0〜40重量部、好ましくは、0〜30重量部の範囲であるのが望ましい。環状オレフィン系単量体(II’)の共重合割合が30重量部を超えると、ガラス転移温度を低下させ、位相差や寸法などフィルム諸特性の耐熱安定性を低下させる場合がある。
【0056】
本発明においては、これらの環状オレフィン系単量体(I’)および(II’)の他に、本発明の目的を損なわない範囲でその他の環状オレフィン系単量体あるいは共重合可能なその他のモノマーを共重合原料モノマーとして少量用いることもでき、本発明に係るノルボルネン系樹脂は、前記式(I)および(II)で表される構造単位以外の構造単位を含有することができる。かかる構造単位は、たとえば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのシクロオレフィン系単量体を、上記環状オレフィン系単量体(I’)および(II’)とともに開環共重合することにより形成することができる。また、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖にオレフィン性不飽和結合を有する不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に上記環状オレフィン系単量体(I’)および(II’)を開環共重合することによっても形成することができる。
【0057】
しかしながら、本発明においては、環状オレフィン系単量体(I’)および(II’)のみを用いて共重合を行うのが好ましい。すなわち、本発明に係るノルボルネン系樹脂は、前記式(I)および(II)で表される構造単位の他に本発明の目的を損なわない範囲でその他の構造単位を有していてもよいが、前記式(I)および(II)で表される構造単位以外の構造単位を有さないことが好ましい。
【0058】
各環状オレフィン系単量体を開環共重合しただけの開環共重合体は、その分子内にオレフィン性不飽和結合を有しており、耐熱着色などの問題を有しているため、かかるオレフィン性不飽和結合は水素添加されることが好ましいが、かかる水素添加反応も公知の方法を適用できる。また、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン)を環状オレフィン系単量体(II’)として使用した場合には、開環共重合体の分子内の主鎖構造に加えて側鎖構造にもオレフィン性不飽和結合を有しており、同様の理由から水素添加されることが好ましいが、かかる水素添加反応も公知の方法を適用できる。
【0059】
たとえば、特開昭63−218726号公報、特開平1−132626号公報、特開平1−240517号公報、特開平2−10221号公報などに記載された触媒や溶媒および温度条件などを適用することで、開環重合反応および水素添加反応を実施することができる。
【0060】
オレフィン性不飽和結合の水素添加率としては、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であることが望ましい。なお、本発明における水素添加反応とは、上記の通り、分子内のオレフィン性不飽和結合に対するものであり、本発明に係るノルボルネン系樹脂が芳香族基を有する場合、かかる芳香族基は屈折率など光学的な特性や耐熱性において有利に作用することもあるので、必ずしも水素添加される必要はない。
【0061】
本発明に係るノルボルネン系樹脂の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、通常3×103〜5×105、好ましくは5×103〜3×105、さらに好ましくは1×104〜2×105であり、また、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常5×103〜1×106、好ましくは1×104〜5×105、さらに好ましくは2×104〜4×105の範囲であるのが望ましい。
【0062】
分子量が過小である場合には、得られるフィルムの強度が低いものとなったり、延伸加工時の位相差発現性が低下したりすることがある。一方、分子量が過大である場合には、溶液粘度が高くなりすぎて本発明の共重合体の生産性や加工性が悪化することがある。
【0063】
また、本発明に係るノルボルネン系樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.5〜10、好ましくは2〜7、さらに好ましくは2〜5であるのが望ましい。
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、23℃における飽和吸水率が、通常0.05〜1重量%、好ましくは0.07〜0.8重量%、さらに好ましくは0.1〜0.7重量%であるのが望ましい。本発明に係るノルボルネン系樹脂の飽和吸水率が上記の範囲内にあれば、得られるフィルムの各種の光学特性、透明性、位相差および寸法精度が、高温多湿のような条件下でも安定に維持されると共に、UV硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物との密着性・接着性に優れるため、レンズフィルムの使用中のレンズ列や硬化層の剥離などが発生することがなく、また、酸化防止剤等の添加剤との相溶性も良好であるため、添加剤の種類および添加量の選択の自由度が大きくなる。
【0064】
この飽和吸水率が0.05重量%未満である場合には、得られるフィルムは、他材料との密着性や接着性が低いものとなり、使用中に剥離を生じやすくなることがあり、また、酸化防止剤等の添加剤の添加量が制約されることがある。一方、この飽和吸水率が1重量%を超える場合には、吸水により光学特性の変化や寸法変化を起こしやすくなるおそれがある。
【0065】
ここで、飽和吸水率は、ASTM D570に準拠し、23℃の水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求められる値である。
本発明に係るノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常70〜250℃であり、好ましくは90〜200℃、さらに好ましくは100〜180℃である。Tgが150℃以上である場合には、優れた耐熱性を有するため好ましい。Tgが90℃未満である場合には、熱変形温度が低くなるため、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られるフィルムにおける温度による光学特性の変化が大きくなるという問題が生じることがある。一方、Tgが200℃を超える場合には、延伸加工する際に加工温度が高くなりすぎて本発明の共重合体が熱劣化する場合がある。
【0066】
ここで、ノルボルネン系樹脂のTgとは、示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度20℃/分、窒素雰囲気にて測定した際に得られる微分示差走査熱量曲線の最大ピーク温度(A点)及び最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求められる。
【0067】
・重合
本発明に係るノルボルネン系樹脂は公知の方法により得ることができ、例えば、特開平1−132626号公報、特開平1−240517号公報、特開2006−77257号公報および特開2008−955号公報に記載の方法により得ることができる。樹脂の製造に用いる触媒としては、たとえば、Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization(K.J.IVIN, J.C.MOL, Academic Press 1997)に記載されている触媒等が好ましく用いられる。
【0068】
開環共重合反応において用いられる溶媒(すなわち、単量体、開環重合触媒、分子量調節剤などを溶解する溶媒)としては、たとえば、アルカン類;シクロアルカン類;芳香族炭化水素;ハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリール;飽和カルボン酸エステル類;エーテル類が挙げられ、これらの中では芳香族炭化水素が好ましい。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0069】
・添加剤
本発明に係るノルボルネン系樹脂には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。たとえば、酸化安定性を向上させ、着色および劣化を防ぐため、フェノール系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤から選ばれる酸化防止剤を配合することができる。
【0070】
前記酸化防止剤は、前記重合体100重量部当たり0.001〜5重量部の割合で配合することができる。酸化防止剤の具体例としては、
1)2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチル−フェニル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアレート、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノンおよびペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤またはヒドロキノン系酸化防止剤、
2)ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイトおよびトリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどのリン系2次酸化防止剤、ならびに
3)ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネートおよび2−メルカプトベンズイミダゾールなどの硫黄系2次酸化防止剤などを挙げることができる。
【0071】
また本発明に係るノルボルネン系樹脂には難燃剤を配合することもできる。難燃剤としては公知のものを使用することができ、たとえば、ハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤および金属水酸化物などを挙げることができる。なかでも少量の配合で効果を示し、吸水性、低誘電性および透明性の悪化を最小限にすることができるリン酸エステル系難燃剤が好ましい。
【0072】
本発明に係るノルボルネン系樹脂には、さらに必要に応じて、公知の滑剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、帯電防止剤、位相差調節剤、可塑剤および染料などを配合することもできる。
【0073】
《ノルボルネン系樹脂フィルムの製法》
本発明に係るノルボルネン系樹脂フィルムは、ノルボルネン系樹脂をフィルム状に成形することにより得られる。
【0074】
具体的な成形方法としては、樹脂の種類あるいはフィルムの所望特性などに応じて適宜選択して行うことができ、例えば、溶融成形法または溶液流延法などの方法を採用することができる。フィルムの成形方法としては、膜厚の均一性および表面平滑性が良好になる点からは溶剤キャスト法が好ましい。また、製造コスト面からは溶融成形法が好ましい。
【0075】
ノルボルネン系樹脂フィルムは、後述のUV硬化性樹脂組成物からなるレンズ列および/または硬化層との接着性を高める目的で表面処理を施したものであってもよい。該表面処理としては、プラズマ処理、コロナ処理、アルカリ処理、コーティング処理等が挙げられる。とりわけコロナ処理を用いることで、ノルボルネン系樹脂フィルムとレンズ列および硬化層との密着を強固とすることができる。
【0076】
コロナ処理条件としては、コロナ放電電子の照射量が1〜1,000W/m2/minであることが好ましく、10〜300W/m2/minであることがより好ましい。前記照射量が1W/m2/min未満である場合には、充分な表面改質効果が得られない場合があり、また1,000W/m2/minを超える場合には、ノルボルネン系樹脂フィルムの内部にまで処理効果が及び、該フィルムそのものが変質してしまうおそれがある。このコロナ処理はレンズ列および/または硬化層と当接する面のみならず、その反対側の面に施してもよい。
【0077】
また、コロナ処理をしたノルボルネン系樹脂フィルム上に、レンズ列および/または硬化層を形成する場合、コロナ処理をした直後のフィルムを用いてもよいが、除電させてから用いることが好ましい。
【0078】
≪UV硬化性樹脂組成物≫
UV硬化性樹脂組成物は、少なくとも(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)直鎖アルキレンジ(メタ)アクリレートおよび(C)光重合開始剤を含有し、ノルボルネン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に設けられるレンズ列または硬化層を形成する材料となる。
【0079】
ノルボルネン系樹脂フィルムの一方の面にレンズ列を設け、他方の面に硬化層を設ける場合およびノルボルネン系樹脂フィルムの両面に異なるレンズ列を設ける場合において、それらレンズ列、硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物は異なる組成であってもよいが、同じ組成物であることが好ましい。
【0080】
本発明のUV硬化性樹脂組成物は、更に(D)光拡散性粒子を含有することが好ましい。
また、更に(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
【0081】
《(A)ウレタン(メタ)アクリレート》
UV硬化性樹脂組成物を構成する(A)成分は、ウレタン(メタ)アクリレートである。
【0082】
ウレタン(メタ)アクリレートの一例として、(a)ポリイソシアネートと(b)水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させてなるウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0083】
(a)ポリイソシアネートとしては、ジイソシアネートが好ましく、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートを用いることができる。具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(または6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。
【0084】
これらのうち、特に、2,4−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環式ジイソシアネートが好ましく、特に、脂環式ジイソシアネートが好ましい。ジイソシアネート成分に芳香族系化合物又は脂環族系化合物を用いることで、加熱時の黄変を抑制することができる。加熱時の低黄変性をさらに向上させる観点から、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環式ジイソシアネートがさらに好ましい。
【0085】
これらの化合物は、単独であるいは二種類以上を組み合わせて用いることができる。
(b)水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの如きグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物;等を挙げることができる。これら水酸基含有(メタ)アクリレートのうち、特に、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート((メタ)アクリロイル基を2つ以上有する化合物)が好ましく、中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0086】
これらの、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独であるいは、二種類以上組み合わせて用いることができる。
UV硬化性樹脂組成物に用いる(A)ウレタン(メタ)アクリレートには、さらに、(c)ポリオールを用いることができる。
【0087】
(c)ポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,2−ブチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体およびプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール、脂肪族または環式ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
【0088】
(A)ウレタン(メタ)アクリレートは、(a)ポリイソシアネートと、(b)水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させることにより製造される。
(c)ポリオールを用いる場合には、(a)〜(c)成分を一括で仕込んで反応させる方法、(a)成分と(c)成分を反応させた後で、(b)成分を反応させる方法、(a)成分と(b)成分を反応させた後で、(c)成分を反応させる方法等、種々の方法を採用することができる。
【0089】
(A)ウレタン(メタ)アクリレートを製造する際には、通常、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン−2−メチルトリエチレンアミン等のウレタン化触媒が、反応原料の総量に対して0.01〜1質量%の量で用いられる。尚、反応温度は通常、10〜90℃、特に30〜80℃で行うのが好ましい。
【0090】
(A)成分をこれらの反応物とすることで、UV硬化性樹脂組成物の屈折率制御を容易とし、硬化時に適度な硬度を与え、更に過度の硬化収縮を抑制することができるため、光学的な歪みを少なくすることが可能となる。また、レンズフィルムを長期使用する際の光によるレンズフィルムの黄変を低減することも可能となる。
【0091】
得られる(A)ウレタン(メタ)アクリレートは、数平均分子量が、好ましくは100〜2000、より好ましくは200〜1000である。該数平均分子量が上記範囲にあると、組成物を硬化して得られる硬化物のノルボルネン系樹脂フィルムへの密着性が向上し、組成物は、適度な粘度を有するため、取り扱い易くなり好ましい。
【0092】
UV硬化性樹脂組成物中、(A)成分の配合割合は、該組成物の全量を100質量%として、好ましくは10〜80質量%であり、より好ましくは15〜75質量%である。UV硬化性樹脂組成物中、(A)成分の配合割合が上記範囲にあると、ノルボルネン系樹脂フィルムに対する密着性が向上するため好ましい。
【0093】
《(B)直鎖アルキレンジ(メタ)アクリレート》
UV硬化性樹脂組成物を構成する(B)成分は、直鎖アルキレンジ(メタ)アクリレートである。このような(B)成分を用いることにより、ノルボルネン系樹脂フィルムに対して、優れた密着性を有するレンズ列および硬化層を形成することができる。
【0094】
直鎖アルキレンジ(メタ)アクリレートは、CH2=C(R10)−C(=O)−O−(CH2)n−O−C(=O)−C(R10)=CH2(式中、R10は水素又はメチル基を示し、nは1〜20の整数である。)の構造を有するものであることが好ましい。具体的には、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
【0095】
(B)成分の市販品としては、NKエステルA−HD(新中村化学社製)、ビスコート#215(大阪有機化学社製)等が挙げられる。
UV硬化性樹脂組成物中、(B)成分の配合割合は、該組成物の全量を100質量%として、好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは10〜55質量%である。UV硬化性樹脂組成物中、(B)成分の配合割合が上記範囲にあると、ノルボルネン系樹脂フィルムに対する密着性が向上するため好ましい。
【0096】
[(C)光重合開始剤]
UV硬化性樹脂組成物を構成する(C)成分は、光重合開始剤である。
(C)成分として用いられる光重合開始剤は、紫外線の照射によって、エチレン性不飽和基を重合しうる活性種(ラジカル種)を発生することのできるラジカル性光重合開始剤である。
【0097】
上記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。
【0098】
上記光重合開始剤の市販品としては、例えば、Irgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI11850、CG24−61、Darocur1116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、LucirinTPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)等が挙げられる。
【0099】
光重合開始剤は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
なお、上記光重合開始剤と共に、光増感剤を用いることができる。光増感剤としては、例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられる。
【0100】
UV硬化性樹脂組成物中、(C)成分の配合割合は、該組成物の全量を100質量%として、好ましくは0.005〜10質量%であり、より好ましくは0.2〜5質量%である。UV硬化性樹脂組成物中、(C)成分の配合割合が上記範囲にあると、UV硬化性組成物は、硬化特性に優れ、硬化速度を容易に調節でき、取り扱い性に優れるため好ましい。また、光学特性に優れたレンズ、硬化層を得ることができるため好ましい。
【0101】
《(D)光拡散性粒子》
UV硬化性樹脂組成物には、更に(D)光拡散性粒子を含有してもよい。
(D)成分として用いられる光拡散性粒子は、可視光領域の波長に対する屈折率がUV硬化性樹脂組成物の屈折率と異なる粒子であればいずれの粒子も用いることができるが、たとえば、ガラスや、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン酸系樹脂、トリアセチルセルロース系樹脂等の樹脂であることが好ましい。
【0102】
このような粒子がUV硬化性樹脂組成物中に含まれることにより、UV硬化性樹脂組成物からなるレンズ列および/または硬化層に入射した光は拡散透過される。そのため、光拡散性粒子を含んだUV硬化性樹脂組成物からなるレンズ列および/または硬化層を有するレンズフィルムをバックライトユニットに用いると、該バックライトユニットでは、従来のような拡散板を用いなくても輝度均一性の高いバックライトユニットを容易に安価で製造することができるため好ましい。また、このようなバックライトユニットは薄型化、軽量化に優れるため好ましい。
【0103】
UV硬化性樹脂組成物中、(D)成分の配合割合は、該組成物の全量を100質量%として、好ましくは0.01〜50質量%であり、より好ましくは0.1〜20質量%である。
【0104】
また、光拡散性粒子の屈折率は、光拡散性粒子の屈折率とノルボルネン系樹脂フィルムの屈折率との差の絶対値が0以上、好ましくは0.01以上であることが好ましい。光拡散性粒子の粒子径は、0.5〜20μm、好ましくは1〜15μmであることが望ましい。UV硬化性樹脂組成物中の光拡散性粒子の配合割合、屈折率、粒子径が上記範囲にあると、適度な光拡散効果を有するレンズ列および/または硬化層が得られるため好ましい。
【0105】
《(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレート》
UV硬化性樹脂組成物には、更に(E)成分として脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有してもよい。
【0106】
脂環式(メタ)アクリレートとしては、単官能モノマーとしてイソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、イミドアクリレート等が挙げられる。また多官能モノマーとしては、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールアクリレート等が挙げられる。
【0107】
UV硬化性樹脂組成物中、(E)成分の配合割合は、該組成物の全量を100質量%として、好ましくは20〜80質量%であり、より好ましくは30〜70質量%である。UV硬化性樹脂組成物中、(E)成分の配合割合が上記範囲にあると、ノルボルネン系樹脂フィルムに対する良好な密着性を得ることができるため好ましい。
【0108】
《任意成分》
UV硬化性樹脂組成物には、上述の成分以外にも各種添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、離型剤等を配合することができる。
【0109】
酸化防止剤の市販品としては、例えば、Irganox1010、1035、1076、1222(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Antigen P、3C、FR、GA−80(住友化学工業社製)等が挙げられる。
【0110】
紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、Tinuvin P、234、320、326、327、328、329、213(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Seesorb102、103、110、501、202、712、704(以上、シプロ化成社製)等が挙げられる。
【0111】
光安定剤の市販品としては、例えば、Tinuvin 292、144、622LD(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、サノールLS770(三共社製)、Sumisorb TM−061(住友化学工業社製)等が挙げられる。
【0112】
シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。市販品としては、SH6062、6030(以上、東レ・ダウ コーニング・シリコーン社製)、KBE903、603、403(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0113】
塗面改良剤としては、例えば、ジメチルシロキサンポリエーテル等のシリコーン添加剤が挙げられる。市販品としては、DC−57、DC−190(以上、ダウ コーニング社製)、SH−28PA、SH−29PA、SH−30PA、SH−190(以上、東レ・ダウ コーニング・シリコーン社製)、KF351、KF352、KF353、KF354(以上、信越化学工業社製)、L−700、L−7002、L−7500、FK−024−90(以上、日本ユニカー社製)等が挙げられる。
離型剤の市販品としては、プライサーフA208F(第一工業製薬社製)等が挙げられる。
【0114】
≪UV硬化性樹脂組成物の物性等≫
本発明に用いられるUV硬化性樹脂組成物は、ノルボルネン系樹脂フィルムとの波長400〜700nmの範囲における屈折率差の最大値が0.1以下となる硬化物が得られる組成を選択することが好ましい。
【0115】
これは、UV硬化性樹脂組成物に(A)、(B)および(C)以外の成分(但し(D)成分を除く。UV硬化性樹脂組成物が(D)成分を含む場合は後述する。)が配合されているときであっても同様である。
【0116】
UV硬化性樹脂組成物が(D)成分を含有する場合には、(A)〜(C)及び(E)を上記配合比で配合し、さらに、(D)ノルボルネン系樹脂フィルムの屈折率との差の絶対値が0以上、好ましくは0.01以上である光拡散性粒子をUV硬化性樹脂組成物100質量%に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜40質量%、さらに好ましくは0.5〜30質量%となる量で配合量を制御することにより、(D)成分を含有するUV硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物とノルボルネン系樹脂フィルムとの波長400〜700nmの範囲における屈折率差の最大値が0.1以下となるレンズ、硬化層を形成することができる。
【0117】
UV硬化性樹脂組成物は、前記の各成分を常法により混合することで製造することができる。このUV硬化性樹脂組成物は、無溶剤で調製することができるため、所望の形状を有するレンチキュラーレンズ、プリズムレンズ、硬化層を容易に形成することができる。
【0118】
得られるUV硬化性樹脂組成物の粘度は、好ましくは50〜400cp/25℃、より好ましくは100〜2000cp/25℃である。粘度が高すぎると、ノルボルネン系樹脂フィルムにUV硬化性樹脂組成物を塗布する際に、塗布ムラやうねりが生じ、あるいはレンチキュラーレンズ、プリズムレンズを形成する時に、目的とする形状が得られないことがある。逆に、粘度が低すぎても、目標とする膜厚が得られにくい上に、作業性が悪化することがある。
【0119】
<レンチキュラーレンズフィルム(I)>
本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)は、前記ノルボルネン系樹脂フィルムの片面に、前記UV硬化性樹脂組成物から形成されてなるレンチキュラーレンズ列を有する。
【0120】
本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)は、液晶表示装置等のバックライトに用いられる場合には、その液晶表示装置の左右方向の輝度視野角を広げる役割を果たす。
さらに、ノルボルネン系樹脂フィルムとレンチキュラーレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差は、0〜0.1、好ましくは0〜0.08である。
【0121】
ノルボルネン系樹脂フィルムとレンチキュラーレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差が上記範囲にあると、高い正面輝度を有し、視野角コントロール容易なレンズフィルムが得られるため好ましい。
【0122】
以下、本発明のレンズフィルムについて、適宜図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の各図は、本発明のレンズフィルム、液晶表示装置についての一例を模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。また、本発明は以下の各図に限定されるものではない。
【0123】
図1は、本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)の一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、レンチキュラーレンズフィルム(I)は、ノルボルネン系樹脂フィルム1の片面にレンチキュラーレンズ2が複数個併設されている。本発明でのレンチキュラーレンズ列3とは、図1に示すように、レンチキュラーレンズ2が複数個併設されていることをいう。
【0124】
図2は、レンチキュラーレンズフィルム(I)を図1中に矢印で示したS1−S2断面で切断した断面図である。
このように、レンチキュラーレンズフィルム(I)は、レンチキュラーレンズの凸面の形状4が連続的に形成され、好ましくは、一定の厚みの土台部分5を有する。
【0125】
前記レンチキュラーレンズの凸面の形状4は、頂点の数が4以上の多角形若しくは半円(楕円を含む)であれば良く、成形容易性や、左右方向の視野角を広げるという点から断面が台形、半円状のものが好ましい。
【0126】
図2は、レンチキュラーレンズの凸面の形状4が半円状である場合のレンチキュラーレンズフィルム(I)の断面図であり、図3は、レンチキュラーレンズの凸面の形状4が台形状(頂点の数が4の多角形)である場合のレンチキュラーレンズフィルム(I)の断面図である。
【0127】
互に隣り合うレンチキュラーレンズのピッチAは、レンチキュラーレンズフィルム(I)上において、一定のピッチであっても、ピッチに変化があっても構わないが、通常数μm〜100μm、好ましくは、10μm〜40μmの一定のピッチであることが望ましい。さらに、レンチキュラーレンズのピッチは、後述するプリズムレンズのピッチと同程度であることが好ましい。
【0128】
レンチキュラーレンズのピッチがプリズムレンズのピッチと同程度であると、レンチキュラーレンズフィルムとプリズムレンズフィルムを同時にバックライトユニットに用いる場合において、高い正面輝度を有し、視野角コントロールの容易なバックライトユニットを形成することができるため好ましい。
【0129】
レンチキュラーレンズの凸面の形状4の高さBは本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、レンチキュラーレンズの製造容易性や、レンチキュラーレンズの耐久性の点から、通常5〜30μm、好ましくは5〜15μmの範囲に設定される。
【0130】
また、本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)において、土台部分5を有していても有さなくてもよいが、土台部分5を設ける場合には、土台部分5の高さCは、レンチキュラーレンズの透明性等の点から通常0〜20μmであり、好ましくは0〜15μmである。
【0131】
また、図4に示すように、ノルボルネン系樹脂フィルム1のレンチキュラーレンズ列が形成されていない方の面にUV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層6を有することが好ましい。
【0132】
レンチキュラーレンズフィルム(I)が、硬化層6を有すると、レンズフィルムは耐久性に優れ、レンズフィルムのそりを効率よく防止することができるため好ましい。
これは、ノルボルネン系樹脂フィルム1を挟んで両側に、UV硬化性樹脂組成物からなるレンズ列3と、同様のUV硬化性樹脂組成物からなる硬化層6が形成され、略対称な形状となるため、レンズフィルムのそりが効率よく防止されることによると考えられる。
【0133】
この場合において、硬化層はその厚みが0.01〜30μm好ましくは0.05〜15μmであり、レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物と、硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物が同じ組成であると、硬化層もノルボルネン系樹脂フィルムとの波長400〜700nmの範囲における屈折率差の最大値が0.1以下となり、ノルボルネン系樹脂フィルムの両面の屈折率の差がなくなるため、レンズフィルムの正面輝度と視野角コントロール性が向上し、また、レンズフィルムのそりが、より防止されるため好ましい。
【0134】
<プリズムレンズフィルム(II)>
本発明のプリズムレンズフィルム(II)はノルボルネン系樹脂フィルムの片面に、UV硬化性樹脂組成物から形成されてなるプリズムレンズ列を有する。
【0135】
本発明のプリズムレンズフィルム(II)は、液晶表示装置等のバックライトに用いられる場合には、その液晶表示装置の正面輝度を向上させる役割を果たす。特に、液晶表示装置において、レンチキュラーレンズフィルム(II)のレンズ列を光源側に向けて配置すると、液晶表示装置の正面輝度をより向上させることができるため好ましい。
【0136】
さらに、ノルボルネン系樹脂フィルムとプリズムレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差は、0〜0.1、好ましくは0〜0.08である。
ノルボルネン系樹脂フィルムとプリズムレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差が上記範囲にあると、高い正面輝度を有する視野角コントロール容易なレンズフィルムが得られるため好ましい。
【0137】
図5は、本発明のプリズムレンズフィルム(II)の一例を模式的に示す図である。
プリズムレンズフィルム(II)は、ノルボルネン系樹脂フィルム7の片面にプリズムレンズ8が複数個併設されている。本発明でのプリズムレンズ列9とは、図5に示すように、プリズムレンズ8が複数個併設されていることをいう。
【0138】
図6は、プリズムレンズフィルム(II)を図5中に矢印で示したS3−S4断面で切断した断面図である。
このように、プリズムレンズフィルム(II)は、プリズムレンズの凸面の形状10が連続的に形成され、好ましくは、一定の厚みの土台部分11を有する。
【0139】
前記プリズムレンズの凸面の形状10は、略三角形であれば良く、成形容易性や、上下左右方向の集光する点から頂角の角度が、30〜100°、好ましくは、40〜90°であることが望ましい。
【0140】
互に隣り合うプリズムレンズのピッチA'は、プリズムレンズフィルム(II)上において、一定のピッチであっても、ピッチに変化があっても構わないが、通常数μm〜100μm、好ましくは、10μm〜40μmの一定のピッチであることが望ましい。さらに、プリズムレンズのピッチは、前記レンチキュラーレンズのピッチと同程度であることが好ましい。
【0141】
プリズムレンズのピッチは、レンチキュラーレンズのピッチと同程度であると、レンチキュラーレンズフィルムとプリズムレンズフィルムを同時にバックライトユニットに用いる場合において、高い正面輝度を有し、視野角コントロールの容易なバックライトユニットを形成することができるため好ましい。
【0142】
プリズムレンズの凸面の形状10の高さB'は本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、プリズムレンズの製造容易性や、プリズムレンズの耐久性の点から、通常5〜30μm、好ましくは10〜15μmの範囲に設定される。
【0143】
また、本発明のプリズムレンズフィルム(II)において、土台部分11を有していても有さなくてもよいが、土台部分11を設ける場合には、土台部分11の高さC'は、プリズムレンズの透明性等の点から通常0〜20μmであり、好ましくは0〜15μmである。
【0144】
また、図7に示すように、ノルボルネン系樹脂フィルム7のプリズムレンズ列が形成されていない方の面にUV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層12を有することが好ましい。
【0145】
プリズムレンズフィルム(II)が、硬化層12を有すると、レンズフィルムは耐久性に優れ、レンズフィルムのそりを効率よく防止することができるため好ましい。
これは、ノルボルネン系樹脂フィルム7を挟んで両側に、UV硬化性樹脂組成物からなるレンズ列9と、同様のUV硬化性樹脂組成物からなる硬化層12が形成され、略対称な形状となるため、レンズフィルムのそりが効率よく防止されることによると考えられる。
【0146】
この場合において、硬化層はその厚みが0.01〜30μm、好ましくは0.05〜15μmであり、プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物と、硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物が同じ組成であると、硬化層もノルボルネン系樹脂フィルムとの波長400〜700nmの範囲における屈折率差の最大値が0.1以下となり、ノルボルネン系樹脂フィルムの両面の屈折率の差がなくなるため、レンズフィルムの正面輝度と視野角コントロール性が向上し、また、レンズフィルムのそりが、より防止されるため好ましい。
【0147】
<レンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)>
図8は、本発明のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)の一例を模式的に示す図である。
【0148】
本発明のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)はノルボルネン系樹脂フィルム13の片面に、UV硬化性樹脂組成物から形成されてなるレンチキュラーレンズ列15を有し、さらに、該ノルボルネン系樹脂フィルム13の他方の面に前記UV硬化性樹脂組成物から形成されてなるプリズムレンズ列17を有する。
【0149】
本発明のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)は、前記レンチキュラーレンズフィルム(I)とプリズムレンズフィルム(II)の有する効果を併せ持ったレンズフィルムである。つまり、レンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)が液晶表示装置等のバックライトに用いられる場合には、その正面輝度が高く(上下方向の輝度視野角が狭く)、左右方向の輝度視野角の広い液晶表示装置が得られる。
【0150】
さらに、ノルボルネン系樹脂フィルムとプリズムレンズおよびレンチキュラーレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差は、0〜0.1、好ましくは0〜0.08である。
【0151】
ノルボルネン系樹脂フィルムとプリズムレンズおよびプリズムレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差が上記範囲にあると、高い正面輝度を有する視野角コントロール容易なレンズフィルムが得られるため好ましい。
【0152】
レンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)は、ノルボルネン系樹脂フィルム13を挟んで両側に、同様のUV硬化性樹脂組成物からなるレンチキュラーレンズ列15とプリズムレンズ列17が形成されているため、レンズフィルムは耐久性に優れ、レンズフィルムのそりを効率よく防止することができる。
【0153】
この場合において、レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物と、プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物が同じ組成であると、ノルボルネン系樹脂フィルムの両面の屈折率の差がなくなるため、レンズフィルムの正面輝度と視野角コントロール性が向上し、また、レンズフィルムのそりが、より防止されるため好ましい。
【0154】
レンチキュラーレンズ14と、プリズムレンズ16の形状、ピッチは上記と同様である。
レンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)は、レンチキュラーレンズ列15と、プリズムレンズ列17の延在方向が垂直である場合(図8)でも、平行である場合(図9)でもかまわないが、好ましくは、レンチキュラーレンズ列15と、プリズムレンズ列17の延在方向が垂直であるレンズフィルムを液晶表示装置に用いると上下方向の視野角が狭く、左右方向の視野角が広いレンズフィルムを得ることができる点で好ましい。
【0155】
バックライトユニットにレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)を用いる場合には、プリズムレンズ列が入射面となるように(光源と向かい合うように)レンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)を配置することが好ましい。
【0156】
≪レンズフィルムの製造方法≫
本発明のレンズフィルムの製造方法は、所望のレンズフィルムを形成することができればいずれの方法を用いてもよいが、たとえば、上述のように、ノルボルネン系樹脂フィルムを製造した後、該ノルボルネン系樹脂フィルムの表面上にUV硬化性樹脂組成物からなるレンズ列、硬化層を形成する。
【0157】
レンズ列を形成する方法としては、たとえば、前記UV硬化性樹脂組成物をノルボルネン系樹脂フィルムの上面に塗布して塗膜を形成した後、該塗膜のノルボルネン系樹脂フィルムに接していない面側から、所望の形状を有する金型等を密着させながら紫外線を照射し、前記塗膜を硬化させることにより形成することができる。
【0158】
また、所望の形状を有する金型に前記UV硬化性組成物を充填した後、ノルボルネン系樹脂フィルムを押し当て、紫外線を照射することでレンズ列を形成することもできる。
さらに、前記UV硬化性樹脂組成物をノルボルネン系樹脂フィルムの上面に塗布して塗膜を形成した後、所望の形状を有するロールを用い、該ロールの表面形状を塗膜に転写させながら紫外線を照射することで、レンズ列を形成することもできる。
【0159】
特に、前記金型を用いてレンズフィルムを作成すると、基板の薄肉化が容易になり、生産量の調整、レンズ列のデザイン変更等への順応性が高く、かつ工程数が少ないため、生産性、歩留を向上させることができるため特に好ましい。
【0160】
UV硬化性樹脂組成物を硬化させる際の紫外線としては、特に限定されるものではないが、通常、200〜450nmの紫外〜可視領域の光、好ましくは波長365nmの紫外線を含む光が用いられる。波長200〜450nmでの照射は、照度が100〜500mW/cm2、照射量が0.5〜5J/cm2、好ましくは0.5〜2J/cm2となるように行なわれて露光される。
【0161】
硬化層を形成する方法としては、たとえば、前記UV硬化性樹脂組成物をノルボルネン系樹脂フィルムの上面に塗布して塗膜を形成した後、紫外線を照射し、前記塗膜を硬化させることにより形成することができる。
【0162】
なお、硬化層を有するレンズフィルムを作成する場合には、ノルボルネン系樹脂フィルムの表面上にレンズ列、硬化層のいずれを先に形成してもよい。また、ノルボルネン系樹脂フィルムの表面上にレンズ列、硬化層を同時に形成することもできる。
【0163】
<レンズフィルムの用途>
これら本発明で得られるレンズフィルムは、耐久性、高輝度、視野角コントロール性等に優れるため、パソコン用ディスプレイ、情報端末機器等の画像表示手段、テレビ等の家電の画像表示手段、さらには車載用ディスプレイ等の液晶パネルを使用した液晶表示装置等のバックライトユニット等用いることができる。特に、本発明のレンズフィルムは視野角コントロ−ル性に優れるため車載用ディスプレイのバックライトユニットに好適に用いることができる。
【0164】
ここで、本発明で得られるレンズフィルムをバックライトユニットに用いる場合について具体的に説明する。
本発明のバックライトユニットは、前記レンズフィルムを有するバックライトであればいずれの構造を持つバックライトでもかまわない。
【0165】
以下、本発明のバックライトユニットについて、適宜図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す各図は、本発明のバックライトユニットについての一例を模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。また、本発明は以下の各図に限定されるものではない。
【0166】
図10は、本発明のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)を用いた液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。
図11,12は、本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)、プリズムレンズフィルム(II)を用いた液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。なお、図11は、プリズムレンズ列を光源である導光板に向けて配置し、レンチキュラーレンズ列を導光板と逆向きに配置した逆プリズム方式のバックライトユニットを有する液晶表示装置である。つまり、図11は、プリズムレンズフィルムにおいてプリズムレンズ列を光の入射面とし、レンチキュラーレンズフィルムにおいてレンチキュラーレンズ列を出射面とした液晶表示装置である。
【0167】
図12は、プリズムレンズ列、レンチキュラーレンズ列を導光板に向けて配置した液晶表示装置である。
また、図13は、従来のBEF方式のバックライトユニットを有する液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。
【0168】
図10〜12のバックライトユニットでは、本発明のプリズムレンズ列、レンチキュラーレンズ列を有し、プリズムレンズ列が導光板に向けて配置されているため、従来のBEF方式のバックライトユニットで用いる必要があったBEF、DBEF−D、ルーバーフィルムの3枚のフィルムを、1枚のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム若しくは、レンチキュラーレンズフィルム、プリズムレンズフィルムの2枚で代用することができ、バックライトユニットの小型化、軽量化、薄肉化、製造が容易になり、さらに、従来のBEF方式のバックライトユニットに比べ、より正面集光性に優れ、視野角コントロール性に優れたバックライトユニットを得ることができるため好ましい。
【0169】
特に、本発明のバックライトユニットを用いた液晶表示装置は、上下方向の輝度視野角が狭く、左右方向の輝度視野角の広い液晶表示装置を製造することができる点で好ましい。ここで、液晶表示装置の上下方向の輝度視野角とは、液晶表示装置を通常使用する状態に置いた時の上下方向のことを言い、液晶表示装置の左右方向の輝度視野角とは、液晶表示装置を通常使用する状態に置いた時の左右方向のことを言う。
【0170】
また、本発明のレンズフィルムは、BEF方式のバックライトユニットにも好適に用いることができる。本発明のレンズフィルムをBEFF方式のバックライトユニットに用いると、該バックライトユニットは、耐久性、正面輝度、視野角コントロール性等に優れるため好ましい。
【0171】
さらに、本発明のレンズフィルムにおいて、レンズ列および/または硬化層に光拡散性粒子が含まれていると、該光拡散性粒子を含んだレンズ列および/または硬化層が拡散板の役割をも果たすためBEF方式のバックライトユニットで用いる必要があった拡散板も省略することができ、バックライトユニットの一層の小型化、軽量化、薄肉化、製造が容易になり好ましい。
【0172】
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」はいずれも「重量部」を表す。
各種物性は、次のようにして測定あるいは評価した。
【0173】
(1)ガラス転移温度(Tg);
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製DSC6200)を用いて、昇温速度を毎分20℃、窒素気流下で測定を行った(DSC法)。Tgは、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)及び最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた。
【0174】
(2)水素添加率;
核磁気共鳴分光計(NMR)はBruker社製AVANCE500を用い、測定溶媒はd−クロロホルムで1H−NMRを測定した。5.1〜5.8ppmのビニレン基、3.7ppmのメトキシ基、0.6〜2.8ppmの脂肪族プロトンの積分値より、単量体の組成を算出後、水素添加率を算出した。
【0175】
(3)重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn);
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製HLC−8220GPC、カラム:東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSKgel GMHXL2本、TSK gel G2000HXLを順次連結、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1mL/min、サンプル濃度:0.7〜0.8重量%、注入量:70μL、測定温度:40℃とし、検出器:RI(40℃)、標準物質:東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)を用い、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した(GPC法)。なお、前記Mnは数平均分子量である。
【0176】
(4)残留溶媒量;
サンプルを塩化メチレンに溶解し、得られた溶液をガスクロマトグラフィー(島津製作所製GC−7A)を用いて分析した。
【0177】
(5)対数粘度;
ウベローデ型粘度計を用いて、クロロホルム中(試料濃度:0.5g/dL)、30℃で測定した。
【0178】
(6)飽和吸水率;
ASTM D570に準拠し、23℃の水中に1週間サンプルを浸漬し、浸漬前後の重量変化を測定して求めた。
【0179】
(7)全光線透過率、ヘイズ;
スガ試験機社製ヘイズメーター(HGM−2DP型)を使用して測定した。
【0180】
(8)屈折率;
セキテクノトロン(株)製 プリズムカプラ式屈折率測定装置を用いて室温(25℃)で測定した。測定波長は408nm、633nm、830nmでそれぞれ測定し、Cauchyの分散式にλ2(λは光の波長(nm))の補正項を入れた次式を用いて波長400nmから700nmの範囲の屈折率を求めた。
屈折率の波長依存性 : n2=A+B/λ2+C/λ-2+D/λ-4
【0181】
(9)輝度測定;
SUMSUNG社製デスクトップPC用モニター[Sync Master 204B]、およびソニー社製ノートPC[VAIO、VGN−FW81HS]を分解し、バックライトユニットの導光板より上に配置される拡散板やレンズフィルムなどを取り除いた(以下、それぞれ光源1、光源2とする)。上記光源1もしくは光源2を点灯させ、作製したレンズフィルムを光源1もしくは光源2の導光板上に配置した。ELDIM株式会社製の「EZ contrast−XL88」を用い、作製したバックライトの出射光の輝度および視野角を照度1lx以下の暗室にて測定した。得られた結果より、正面の輝度、バックライト左右方向の半値角度幅および上下方向の半値角度幅を評価した。
【0182】
(10)耐久試験;
レンズフィルムを105℃dryのギヤオーブン内に1000時間静置した。
【0183】
(11)正面輝度低下率;
耐久試験前の正面輝度と耐久試験後の正面輝度との差を耐久試験前の正面輝度で割った値を算出し、正面輝度低下率を算出した。
【0184】
(12)輝度均一性;
点灯させた導光板上に作製したレンズフィルムを配置し、以下の基準で目視により評価した。
○ :導光板の輝度ムラがほとんど認識できない
△ :導光板の輝度ムラが認識できるが、目立たない
× :導光板の輝度ムラがはっきり認識できる
【0185】
(13)レンズフィルムのそり;
縦100mm、横200mmのレンズフィルムを用い、レンズ面を上に向けて平らな台上に静置して、レンズフィルムの4隅と台の間の垂直距離を側面より測定し、その平均値にて評価した。
○ :耐久試験前後でそりが変わらない。
× :耐久試験前後でそりが大きくなった。
【0186】
(14)鉛筆硬度;
耐久試験前のレンズフィルムについて、(株)東洋精機製 鉛筆引掻塗膜硬さ試験機NPを用いて、JIS K−5600−5−4に準拠して鉛筆硬度を測定した。
【0187】
(15)密着性;
耐久試験前のレンズフィルムについて、JIS Z1522に規定する粘着テープを使用し、JIS K5600−5−6に準拠してノルボルネン系樹脂フィルムとレンズ列または硬化層との密着性を25マスの碁盤目剥離テープ試験にて評価し、レンズ列または硬化層の残膜率を評価した。
○ :レンズ列または硬化層の残膜率25/25
△ :レンズ列または硬化層の残膜率6/25〜24/25
× :レンズ列または硬化層の残膜率0/25〜5/25
【0188】
[合成例1](ノルボルネン系樹脂Aの製造)
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(DNM)225部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NB)25部とを単量体として用い、1−ヘキセン(分子量調節剤)27部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とともに、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(1.5mol/リットル)0.62部と、tert−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(tert−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35mol:0.3mol:1mol)のトルエン溶液(濃度0.05mol/リットル)3.7部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
【0189】
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6H5)3]3を0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反応を行った。
【0190】
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下、「樹脂A」という。)を得た。
【0191】
このようにして得られた樹脂Aの1H−NMRにより測定した水素添加率は99.9%、DSC法により測定したTgは130℃、GPC法により測定したポリスチレン換算によるMnは20,800、Mwは62,000およびMw/Mnは3.00、23℃における飽和吸水率は0.21%ならびに30℃におけるクロロホルム中での対数粘度は0.51dl/gであった。
【0192】
[作製例1](ノルボルネン系重合体フィルムAの製造)
合成例1で得た環状オレフィン系樹脂Aを、トルエンに30%濃度(室温での溶液粘度は30,000mPa・s)になるように溶解させ、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を樹脂100重量部に対して0.1重量部添加し、日本ポール製の孔径5μmの金属繊維焼結フィルターを用い、差圧が0.4MPa以内となるように溶液の流速をコントロールしながら濾過した。
【0193】
前記の方法により製造した樹脂溶液を、二軸押出機(東芝機械株式会社製;TEM−48)を用いて、3段ベントにより、トルエンを脱気しながら、ギアポンプを用いて下流に押出を行い、ストランドダイより流出させた樹脂を冷却水槽で冷却の後、ストランドカッターに送り込み、米粒状に裁断し、造粒樹脂を得た。
【0194】
この造粒樹脂を窒素雰囲気下で100℃×4時間乾燥の後、単軸押出機(90mmΦ)に送り込み、260℃で溶融しながら、ギアポンプで定量押出を実施し、公称の目開きを10μmとした日本精線製の金属繊維焼結フィルターを用いて、溶融ろ過を行い、コートハンガー型のダイ(1700mm幅)を用いて、コートハンガーダイ出口の間隙を0.5mmとして260℃で膜状に押出した。このときに用いたダイのダイランド長(ダイ出口の平行部分の長さ)は、20mmであった。ダイ出口からロール圧着点までの距離を65mmとして、押出したフィルムを、表面粗さが0.1Sの250mmΦの鏡面ロールと、0.3mm厚の金属ベルトの間に挟んで、フィルムの表面を光沢面に転写した。金属ベルト(幅1650mm)は、ゴム被覆のロール(保持するロールの径は150mmΦ)と、冷却ロール(ロール径150mm)により保持したもので、市販のスリーブ式転写ロール(千葉機械工業製)を用いて、転写した。転写するときのロール間隔は、0.35mmであり、転写圧力は、0.35MPaであった。
【0195】
このときの、鏡面ロールの外周の周速度を10m/minとした。このときの鏡面ロールの温度は、オイル温調機を用いて125℃、ゴム被覆ロールの温度は、115℃に設定した。
【0196】
鏡面ロールの下流側には、250mmΦの冷却ロールを配置し、鏡面ロールから剥ぎ取ったフィルムを115℃に設定した冷却ロールに圧着するまでの時間を2.1秒間として冷却した。その後フィルムを、剥離張力0.4MPa・cmで剥離して、片面にマスキングフィルムを貼合して、巻き取り機で巻き取り、厚み130μmの樹脂フィルムを得た(以下、「原反フィルムA」ともいう)。得られたフィルムの残留溶媒量は0.1%であり、全光線透過率は93%で、ガラス転移温度(Tg)は130℃であった。また、波長400nmから700nmの範囲の屈折率は1.53〜1.51であった。
【0197】
(レンズフィルムの製造・評価)
<単独レンズフィルム>
[実施例1](レンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂)
原反フィルムAの両面に、大気中、300W・min/m2でコロナ放電処理を行なった。ウレタンアクリレート30部、1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト20部、トリシクロデカンジメタノールアクリレート50部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3部を均一に混合することで得たUV硬化性樹脂組成物を原反フィルムAの片面に塗工して塗膜を形成後、1J/cm2の紫外線を照射して、平滑面を有する硬化層を形成した。その後、円弧部の曲率半径が20μm、ピッチ40μmのレンチキュラー形状のレンズ列が形成された金型にUV硬化性樹脂組成物を充填し、原反フィルムAの硬化層と反対の面をUV硬化性樹脂組成物が充填された金型に押し当てながら、1J/cm2の紫外線を照射することで、そりがほとんどない、レンチキュラーレンズ列を有するレンチキュラーレンズフィルムA−1を得た。
【0198】
得られたレンチキュラーレンズフィルムA−1のレンズ列を光源1の長軸と同一面内で垂直な方向と平行にし、硬化層が入射面となるように(導光板の出射面側と向かい合うように)配置して導光板上に配置することでバックライトを構成した。作製したバックライトを点灯させ、輝度、正面輝度低下率を測定した。また、レンチキュラーレンズA−1の密着性、鉛筆硬度およびそりを評価した。
評価結果を表1に示す。レンズおよび硬化層の屈折率とノルボルネン系原反Aの屈折率の差の最大値は、波長400〜700nmの範囲で0.05以下であった。
【0199】
[実施例2](プリズム/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂)
UV硬化性樹脂組成物にてレンズ列を形成する際に、頂角80度、ピッチ20μmのプリズム形状のレンズ列が形成された金型を用いたこと以外は実施例1と同様にして、そりがほとんどない、プリズム列を有するプリズムレンズフィルムA−2を得た。
【0200】
得られたプリズムレンズフィルムA−2のレンズ列を光源1の長軸方向と平行にし、硬化層が入射面となるように(導光板の出射面側と向かい合うように)配置して導光板上に配置することでバックライトを構成した。作製したバックライトを点灯させ、輝度、正面輝度低下率を測定した。また、プリズムレンズフィルムA−2の密着性、鉛筆硬度およびそりを評価した。
評価結果を表1に示す。
【0201】
[実施例3](レンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/粒子入りUV硬化樹脂)
硬化層を形成する際に、光拡散性粒子(JSR製 3μmポリスチレン粒子、屈折率=1.59)を10重量部分散させたUV硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、そりがほとんどない、レンチキュラーレンズ列を有するレンチキュラーレンズフィルムA−3を得た。
【0202】
実施例1と同様にして、得られたレンチキュラーレンズフィルムA−3を用いたバックライトの輝度、正面輝度低下率およびレンチキュラーレンズフィルムA−3の物性を評価した。
評価結果を表1に示す。レンズおよび硬化層の屈折率とノルボルネン系原反Aの屈折率の差の最大値は、波長400〜700nmの範囲で0.1以下であった。
【0203】
[実施例4](プリズム/ノルボルネン系樹脂フィルム/粒子入りUV硬化樹脂)
硬化層を形成する際に、光拡散性粒子(JSR製 3μmポリスチレン粒子、屈折率=1.59)を10重量部分散させたUV硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例2と同様にして、そりがほとんどない、プリズム列を有するプリズムレンズフィルムA−4を得た。
【0204】
実施例2と同様にして、得られたプリズムレンズフィルムA−4を用いたバックライトの輝度、正面輝度低下率およびプリズムレンズフィルムA−4の物性を評価した。
評価結果を表1に示す。
【0205】
[実施例5](粒子入りレンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂)
レンチキュラーレンズ列を形成する際に、光拡散性粒子(JSR製 3μmポリスチレン粒子、屈折率=1.59)を10重量部分散させたUV硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、そりがほとんどない、レンチキュラーレンズ列を有するレンチキュラーレンズフィルムA−5を得た。
【0206】
実施例1と同様にして得られたレンチキュラーレンズフィルムA−5を用いたバックライトの輝度、正面輝度低下率およびレンチキュラーレンズフィルムA−5の物性を評価した。
評価結果を表1に示す。
【0207】
[実施例6](粒子入りプリズム/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂)
プリズムレンズ列を形成する際に、光拡散性粒子(JSR製 3μmポリスチレン粒子、屈折率=1.59)を10重量部分散させたUV硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例2と同様にして、そりがほとんどない、プリズム列を有するプリズムレンズフィルムA−6を得た。
【0208】
実施例2と同様にして得られたプリズムレンズフィルムA−6を用いたバックライトの輝度、正面輝度低下率およびプリズムレンズフィルムA−6の物性を評価した。
評価結果を表1に示す。
【0209】
[比較例1](プリズム/PET/UV硬化樹脂)
原反フィルムAに替えて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、そりがほとんどない、プリズム列を有するプリズムレンズフィルムB−1を得た。
【0210】
実施例2と同様にして得られたプリズムレンズフィルムB−1を用いたバックライトの輝度、正面輝度低下率およびプリズムレンズフィルムB−1の物性を評価した。
評価結果を表2に示す。
【0211】
[比較例2](レンチキュラー/PMMA/UV硬化樹脂)
原反フィルムAに替えて、ポリメタクリル酸メチルフィルム(PMMAフィルム)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、そりがほとんどない、レンチキュラーレンズ列を有するレンチキュラーレンズフィルムC−1を得た。
【0212】
実施例1と同様にして得られたレンチキュラーレンズフィルムC−1を用いたバックライトの輝度、正面輝度低下率およびレンチキュラーレンズフィルムC−1の物性を評価した。
評価結果を表2に示す。
【0213】
[比較例3](プリズム/PC単層)
実施例2と同様の金型を用い、ポリカーボネートフィルム(PCフィルム)の片面に熱プレスすることにより、そりがほとんどない、プリズム列を有するプリズムレンズフィルムD−1を得た。
【0214】
実施例2と同様にして得られたプリズムレンズフィルムD−1を用いたバックライトの輝度、正面輝度低下率およびプリズムレンズフィルムD−1の物性を評価した。
評価結果を表2に示す。
【0215】
[比較例4](レンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂:直鎖アルキレンジアクリレート無し)
ウレタンアクリレート100部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3部を均一に混合することで得たUV硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、そりがほとんどない、レンチキュラーレンズ列を有するレンチキュラーレンズフィルムA−10を得た。
得られたレンズフィルムA−10の密着性を評価した。
評価結果を表2に示す。
【0216】
[比較例5](レンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂:ウレタンアクリレート無し)
1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト100部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3部を均一に混合することで得たUV硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、そりがほとんどない、レンチキュラーレンズ列を有するレンチキュラーレンズフィルムA−11を得た。
得られたレンズフィルムA−11の密着性を評価した。
評価結果を表2に示す。
【0217】
[比較例6](プリズム/PET/UV硬化樹脂:屈折率差>0.1)
UV硬化性樹脂組成物として(VDF/TFE/HFPフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンの共重合体(アルケマ社製、商品名「カイナーADS」)20部、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(大阪有機化学製、商品名「ビスコート17F」)60部、ネオペンチルグリコールジアクリレート(新中村化学工業社製、商品名「NKエステルA-NPG」)15部、ネオペンチルグリコールとヒドロキシピバリンとの反応物(日本化薬社製、商品名「KAYARAD MANDA」)2部、イソボルニルアクリレート3部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3部を均一に混合することで得たUV硬化性樹脂組成物)を用いたこと以外は比較例1と同様にして、そりがほとんどない、プリズム列を有するレンズフィルムB−2を得た。
得られたレンズフィルムB−2の輝度を実施例2と同様にして評価した。
【0218】
評価結果を表2に示す。レンズおよび硬化層レンズおよび硬化層の屈折率とノルボルネン系原反Aの屈折率の差の最大値は、波長400〜700nmの範囲で0.1以上であった。
【0219】
<レンズフィルムの組合せ>
なお、以下において「上に配置する」とは、下となる導光板やレンズフィルムと接するように配置してもよいし、所定の空間を開けて配置してもよい。
【0220】
[実施例7](プリズム/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂+プリズム/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂)
プリズムレンズフィルムA−2のレンズ列を光源1の長軸方向と平行にし、硬化層が入射面となるように(導光板の出射面側と向かい合うように)導光板上に配置し、更にその上にプリズムレンズフィルムA−2のレンズ列を光源1の長軸と同一面内で垂直な方向と平行にし、硬化層が入射面となるように(プリズムレンズフィルムA−2の出射面側と向かい合うように)プリズムレンズフィルムA−2上に配置することでバックライトユニットを構成した。作製したバックライトユニットを点灯させ、輝度、正面輝度低下率、輝度均一性を測定した。
評価結果を表3に示す。
【0221】
[実施例8](プリズム/ノルボルネン系樹脂フィルム/粒子入りUV硬化樹脂+プリズム/ノルボルネン系樹脂フィルム/粒子入りUV硬化樹脂)
プリズムレンズフィルムA−2に替えて、プリズムレンズフィルムA−4を用いたこと以外は実施例7と同様にしてバックライトユニットを作製し、輝度、正面輝度低下率および輝度の均一性を評価した。
評価結果を表3に示す。
【0222】
[実施例9](レンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂+UV硬化樹脂/ノルボルネン系樹脂フィルム/逆プリズム)
UV硬化性樹脂組成物にてレンズ列を形成する際に、頂角65度、ピッチ10μmのプリズム形状のレンズ列が形成された金型を用いたこと以外は実施例2と同様にして、そりがほとんどない、プリズム列を有するプリズムレンズフィルムA−7を得た。
【0223】
得られたプリズムレンズフィルムA−7のレンズ列を光源2の長軸方向と平行にし、プリズム列面が入射面となるように(導光板の出射面側と向かい合うように)導光板上に配置し、更にその上にレンチキュラーレンズフィルムA−1のレンズ列を光源2の長軸と同一面内で垂直な方向と平行にし、レンチキュラーレンズ面が入射面となるように(プリズムレンズフィルムA−7の出射面側と向かい合うように)プリズムレンズフィルムA−7上に配置することでバックライトユニットを構成した。作製したバックライトユニットを点灯させ、輝度、正面輝度低下率および輝度の均一性を評価した。
評価結果を表3に示す。
【0224】
[実施例10](台形レンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/逆プリズム:一枚構成)
UV硬化性樹脂にてレンズ列を形成する際に、等脚台形の斜辺角度45度、ピッチ40μmのレンチキュラー形状のレンズ列が形成された金型を用いてレンチキュラーレンズ列を形成し、もう一方の面に、頂角65度、ピッチ10μmのプリズム形状のレンズ列が形成された金型を用いて、レンチキュラーレンズ列と直交するようにプリズム列を形成したこと以外は実施例1と同様にして、そりがほとんどない、両面にレンズ列を有するレンズフィルムA−8を得た。
【0225】
得られたレンズフィルムA−8のプリズム列を光源2の長軸方向と平行にし(レンチキュラーレンズ列は光源2の長軸と同一面内で垂直な方向と平行)、プリズム列面が入射面となるように(導光板の出射面側と向かい合うように)配置して導光板上に配置することでバックライトユニットを構成した。作製したバックライトユニットを点灯させ、輝度、正面輝度低下率および輝度の均一性を評価した。
評価結果を表3に示す。
【0226】
[実施例11](粒子入り台形レンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/粒子入り逆プリズム)
レンチキュラーレンズ列およびプリズム列を形成する際に、粒子を10重量部分散させたUV硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例10と同様にして、そりがほとんどない、両面にレンズ列を有するレンズフィルムA−9を得た。
【0227】
得られたレンズフィルムA−9の輝度、正面輝度低下率および輝度の均一性は実施例10と同様にして評価した。
評価結果を表3に示す。
【0228】
<レンズフィルムの組合せ>
[比較例7](プリズム/PET/UV硬化樹脂+プリズム/PET/UV硬化樹脂)
レンズフィルムA−2に替えて、レンズフィルムB−1を用いたこと以外は実施例7と同様にしてバックライトユニットを作製し、輝度および輝度の均一性を評価した。
評価結果を表3に示す。
【0229】
[比較例8](拡散板+プリズム/PET/UV硬化樹脂+プリズム/PET/UV硬化樹脂)
二枚のレンズフィルムB−1の上に拡散板を加えて配置したこと以外は比較例7と同様にしてバックライトユニットを作製し、輝度および輝度の均一性を評価した。
評価結果を表3に示す。
【0230】
【表1】
【0231】
【表2】
【0232】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0233】
本発明のレンズフィルムは、パソコン用ディスプレイ、情報端末機器等の画像表示手段、テレビ等の家電の画像表示手段、さらには車載用ディスプレイ等の液晶パネルを使用した液晶表示装置等に好適に用いることができる。特に、これらの液晶表示装置のバックライトユニット等に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0234】
1,7,13:ノルボルネン系樹脂フィルム
2,14:レンチキュラーレンズ
3,15:レンチキュラーレンズ列
4,4':レンチキュラーレンズの凸面の形状
5,5':レンチキュラーレンズの土台部分
6,12:硬化層
A:レンチキュラーレンズのピッチ
B:レンチキュラーレンズの凸面の形状の高さ
C:レンチキュラーレンズの土台部分の高さ
8,16:プリズムレンズ
9,17:プリズムレンズ列
10:プリズムレンズの凸面の形状
11:プリズムレンズの土台部分
A':プリズムレンズのピッチ
B':プリズムレンズの凸面の形状の高さ
C':プリズムレンズの土台部分の高さ
18,24,30:導光板
19:レンチキュラー/プリズムレンズフィルム
20:液晶パネル
21,29,32:バックライトユニット
22:プリズムレンズ
23:レンチキュラーレンズ
25:拡散板
26:BEF
27:DBEF−D
28:ルーバーフィルム
30:レンチキュラーレンズ
31:プリズムレンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズフィルムに関する。詳しくは、ノルボルネン系重合体フィルム上に、UV硬化性樹脂組成物からなるレンチキュラーレンズおよび/またはプリズムレンズが形成されてなることを特徴とするレンズフィルムおよびそれを用いたバックライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネルを使用した液晶表示装置が、パソコン用ディスプレイ、情報端末機器等の画像表示手段、テレビ等の家電の画像表示手段、さらには車載用ディスプレイ等として様々な分野で利用されている。
【0003】
このような液晶表示装置では、液晶パネルを背面から照射するバックライトユニットが用いられている。
バックライトユニットには、光源からの光を制御する必要があるため、光源と液晶パネルの間にレンズフィルムが配置されている。
【0004】
図13は、従来のバックライトユニットを有する液晶表示装置の断面略図である。図13に示すように、従来のバックライトユニットは、光源として例えば導光板を用い、その上部に、拡散板、輝度上昇フィルムとしてBEF(Brightness Enhancement Film)、反射型偏光フィルムとしてDBEF−D(Dual Brightness Enhancement Film−Diffuse)、ルーバーフィルムを順に備えている(以下、「BEF方式のバックライトユニット」という。)。さらに、ルーバーフィルムの上部に液晶パネルを配置することで液晶表示装置となる。ここで、BEFは、その一方の面にプリズム列が配されており、BEF方式のバックライトユニットにおいて、BEFは、該プリズム列が光源とは逆方向に向いた状態で配置されている。
【0005】
しかしながら、このようなバックライトユニットでは、正面集光性、輝度の均一性が十分ではなく、また、多数のフィルムを用いる必要があるため、薄型化、軽量化、製造が困難となり、コスト増の要因ともなっていた。
【0006】
これに対して、特許文献1には、略台形形状とプリズム形状を有するシートを用いた面光源装置が開示されており、また、特許文献2には、図14に示すように、プリズム単位を用い、該プリズム単位を光源側に向けて配置した(以下、「逆プリズム方式のバックライトユニット」という。)面光源装置が開示されている。
【0007】
これらの面光源装置では、小型化、集光性に有効である旨記載されているが、視野角の小さい面光源装置に関するものであった。
また、特許文献3には、ベースフィルムにレンチキュラーレンズ樹脂層と、プリズム樹脂層を有するレンズシートが記載され、該レンズシートがバックライトユニットに用いられ、バックライトの正面輝度が向上する旨記載されている。
【0008】
しかしながら、前記特許文献3に記載のレンズシートでは、ベースフィルムと樹脂層との密着性や、レンズシートの硬度が劣るものであり、また、該レンズシートを用いたバックライトのさらなる正面輝度の向上が求められていた。
【0009】
さらに、車載用液晶パネルは、フロントガラスへの映り込みを減少させる等のため上下の輝度視野角を絞り、左右方向の輝度視野角を広げる必要があるが、バックライトユニットに従来のレンズフィルムを用いた場合には、上下の輝度視野角を絞れば、左右方向の輝度視野角も狭くなり、左右方向の輝度視野角を広げれば、上下方向の輝度視野角も広がるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−316091号
【特許文献2】特開平2−000017号
【特許文献3】特開2007−298757号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、硬度が高く、耐久性に優れ、ノルボルネン系樹脂フィルムとレンズ列および/または硬化層との密着性が良好で正面輝度が高く、視野角コントロール性に優れたレンズフィルムを提供することを課題としている。
【0012】
また、本発明は、上下方向の輝度視野角が狭く、左右方向の輝度視野角の広い、小型化、軽量化、薄肉化、製造が容易なバックライトユニットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のレンズフィルムは、ノルボルネン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)直鎖アルキレンジ(メタ)アクリレートおよび(C)光重合開始剤を含有するUV硬化性樹脂組成物から形成されてなるレンズ列を有し、ノルボルネン系樹脂フィルムとレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差の最大値が0.1以下であることを特徴とする。
【0014】
本発明のレンズフィルムは、前記ノルボルネン系樹脂フィルムが下記一般式(1)で表される構造単位を有する(共)重合体を用いて形成されてなることが好ましい。
【0015】
【化1】
[式(1)中、mは1以上の整数、pは0以上の整数であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、
R1〜R4は、それぞれ独立に下記(a)〜(e)で表されるものを表すか、(f)または(g)を表す。
(a)水素原子、
(b)ハロゲン原子、
(c)酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を含む置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(d)置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(e)極性基、
(f)R1とR2、またはR3とR4が、相互に結合して形成されたアルキリデン基を表し、前記結合に関与しないR1〜R4は相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す、
(g)R1とR2、R3とR4、またはR2とR3が、相互に結合して形成された芳香環あるいは非芳香環の単環もしくは多環の炭化水素環または複素環を表し、前記結合に関与しないR1〜R4は相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す。]
【0016】
本発明のレンズフィルム(I)は、前記レンズ列がレンチキュラーレンズ列であり、該レンチキュラーレンズ列が前記ノルボルネン系樹脂フィルムの片面に形成されてなることを特徴とする。
【0017】
本発明のレンズフィルム(I)は、前記ノルボルネン系樹脂フィルムのレンチキュラーレンズ列が形成されていない方の面に前記UV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層を有することが好ましい。
【0018】
本発明のレンズフィルム(I)は、前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(D)光拡散性粒子を含有することが好ましい。
【0019】
本発明のレンズフィルム(I)は、前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
【0020】
本発明のレンズフィルム(II)は、前記レンズ列がプリズムレンズ列であり、該プリズムレンズ列が前記ノルボルネン系樹脂フィルムの片面に形成されてなることを特徴とする。
【0021】
本発明のレンズフィルム(II)は、前記ノルボルネン系樹脂フィルムのプリズムレンズ列が形成されていない方の面に前記UV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層を有することが好ましい。
【0022】
本発明のレンズフィルム(II)は、前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(D)光拡散性粒子を含有することが好ましい。
【0023】
本発明のレンズフィルム(II)は、前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
【0024】
本発明のバックライトユニットは、前記レンズフィルム(I)と、前記レンズフィルム(II)とを有することを特徴とする。
本発明のレンズフィルム(III)は、前記ノルボルネン系樹脂フィルムの両面に、前記レンズ列を有するレンズフィルムであって、一方の面のレンズ列がレンチキュラーレンズ列であり、かつ、他方の面のレンズ列がプリズムレンズ列であることを特徴とする。
【0025】
本発明のレンズフィルム(III)は、前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(D)光拡散性粒子を含有することが好ましい。
【0026】
本発明のレンズフィルム(III)は、前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
【0027】
本発明のバックライトユニットは、前記レンズフィルム(III)を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、硬度が高く、耐久性に優れ、ノルボルネン系樹脂フィルムとレンズ列および/または硬化層との密着性が良好で正面輝度が高く、視野角コントロール性に優れたレンズフィルムを提供することができる。
【0029】
また、本発明によれば、上下方向の輝度視野角が狭く、左右方向の輝度視野角の広い、小型化、軽量化、薄肉化、製造が容易なバックライトユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)の一例を模式的に示す図である。
【図2】図2は、レンチキュラーレンズフィルム(I)を図1中に矢印で示したS1−S2断面で切断した断面図である。なお、図2は、レンチキュラーレンズの凸面の形状が半円状である場合のレンチキュラーレンズフィルム(I)の断面図である。
【図3】図3は、レンチキュラーレンズフィルム(I)を図1中に矢印で示したS1−S2断面で切断した断面図である。なお、図3は、レンチキュラーレンズの凸面の形状が台形状である場合のレンチキュラーレンズフィルム(I)の断面図である。
【図4】図4は、図1のノルボルネン系樹脂フィルム1のレンチキュラーレンズ列が形成されていない方の面にUV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層6を有する図である。
【図5】図5は、本発明のプリズムレンズフィルム(II)の一例を模式的に示す図である。
【図6】図6は、プリズムレンズフィルム(II)を図5中に矢印で示したS3−S4断面で切断した断面図である。
【図7】図7は、図5のノルボルネン系樹脂フィルム7のプリズムレンズ列が形成されていない方の面にUV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層12を有する図である。
【図8】図8は、本発明のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)の一例を模式的に示す図である。なお、図8は、レンチキュラーレンズ列と、プリズムレンズ列の延在方向が垂直である場合のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)の一例を模式的に示す図である。
【図9】図9は、本発明のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)の一例を模式的に示す図である。なお、図9は、レンチキュラーレンズ列14と、プリズムレンズ列16の延在方向が平行である場合のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)の一例を模式的に示す図である。
【図10】図10は、本発明のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)を用いた液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。
【図11】図11は、本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)、プリズムレンズフィルム(II)を用いた液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。なお、図11は、プリズムレンズ列を導光板に向けて配置し、レンチキュラーレンズ列を導光板側と逆向きに配置した逆プリズム方式のバックライトユニットを有する液晶表示装置である。
【図12】図12は、本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)、プリズムレンズフィルム(II)を用いた液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。なお、図12は、プリズムレンズ列、レンチキュラーレンズ列を導光板に向けて配置した逆プリズム方式のバックライトユニットを有する液晶表示装置である。
【図13】図13は、従来のBEF方式のバックライトユニットを有する液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。
【図14】図14は、逆プリズム方式のバックライトユニットの一例を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明について具体的に説明する。
〔レンズフィルム〕
本発明においてレンズフィルムとは、ノルボルネン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面にUV硬化性樹脂組成物からなるレンズ列を有するレンズフィルムであって、ノルボルネン系樹脂フィルムの片面にレンチキュラーレンズ列が形成されてなるレンズフィルム(I)(本発明では、「レンチキュラーレンズ(I)」とも言う。)、ノルボルネン系樹脂フィルムの片面にプリズムレンズ列が形成されてなるレンズフィルム(II)(本発明では、「プリズムレンズフィルム(II)」とも言う。)、ノルボルネン系樹脂フィルムの一方の面にレンチキュラーレンズ列が形成され、かつ、ノルボルネン系樹脂フィルムの他方の面にプリズムレンズ列が形成されてなるレンズフィルム(III)(本発明では、「レンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)」とも言う。)のことを言う。
【0032】
また、本発明において、レンズ列とは、レンチキュラーレンズが複数個延在されてなるレンチキュラーレンズ列、プリズムレンズが複数個延在されてなるプリズムレンズ列のことを言う。
【0033】
また、本発明において、レンズとは、上記レンズ列を形成するレンチキュラーレンズ、プリズムレンズのことを言う。
なお、本発明において、レンズフィルムは、レンズシートであってもよく、フィルムとシートに文言上の差異はない。
【0034】
≪ノルボルネン系樹脂フィルム≫
本発明におけるノルボルネン系樹脂フィルムは、下記一般式(I)で表される構造単位を有する(共)重合体を用いて形成されるフィルムであればいずれでもかまわない。
【0035】
このような、ノルボルネン系樹脂フィルムは、可視光領域において高い透明性を有しており、また、耐久性、耐熱性、低吸水性、耐衝撃性、耐薬品性、成形容易性、軽量化に優れるため好ましい。
【0036】
本発明において、ノルボルネン系樹脂フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、10〜500μm、好ましくは、50〜200μmの範囲にあることが望ましい。
本発明で用いるノルボルネン系樹脂フィルムとしては、厚さ0.1mmでの全光線透過率が通常80%以上であり、好ましくは83%以上、更に好ましくは85%以上であることが望ましい。全光線透過率がこのような範囲であれば、ノルボルネン系樹脂フィルムが良好な透明性を示し、ヘイズ値の小さいノルボルネン系樹脂フィルムが得られるため好ましい。
【0037】
《ノルボルネン系樹脂》
本発明に係るノルボルネン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、ノルボルネン骨格を有する環状オレフィン系単量体の開環(共)重合体、開環(共)重合体の水素添加物、付加(共)重合体、あるいは環状オレフィン系単量体とその他の共重合性単量体との共重合体、その水素添加物などが挙げられる。
【0038】
具体的には、後述する式(I’)および式(II’)で表されるような環状オレフィン系単量体の開環(共)重合体、当該開環(共)重合体の水素化物、付加(共)重合体、環状オレフィン系単量体とα−オレフィンとの付加共重合体などが挙げられる。これらのうち好ましくは開環(共)重合体の水素化物であり、特に下記一般式(I)で表される構造単位を有する重合体が好ましい。当該重合体は、下記一般式(I)で表される構造単位を有する単独重合体であってもよいし、式(I)とともに下記一般式(II)で表される構造単位を有する共重合体であってもよい。
【0039】
【化2】
[式(I)中、mは1以上の整数、pは0以上の整数であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、
R1〜R4は、それぞれ独立に下記(a)〜(e)で表されるものを表すか、(f)または(g)を表す。
(a)水素原子、
(b)ハロゲン原子、
(c)酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を含む置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(d)置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(e)極性基、
(f)R1とR2、またはR3とR4が、相互に結合して形成されたアルキリデン基を表し、前記結合に関与しないR1〜R4は相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す、
(g)R1とR2、R3とR4、またはR2とR3が、相互に結合して形成された芳香環あるいは非芳香環の単環もしくは多環の炭化水素環または複素環を表し、前記結合に関与しないR1〜R4は相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す。]
【0040】
【化3】
[式(II)中、Eは−CH=CH−または−CH2CH2−で表される基であり、
R5〜R8は、それぞれ独立に下記(i)〜(v)で表されるものを表すか、(vi)または(vii)を表す。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を含む置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(iv)置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(v)極性基、
(vi)R5とR6、および/またはR7とR8が、相互に結合して形成される2価の炭化水素基を表し、前記結合に関与しないR5〜R8は相互に独立に前記(i)〜(v)より選ばれるものを表す、
(vii)R5〜R 8から選ばれる2つの基が、相互に結合して形成される単環の炭化水素環または複素環を表し、前記結合に関与しないR5〜R8は相互に独立に前記(i)〜(v)より選ばれるものを表す。]
【0041】
ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度をフィルム加工に適した領域にし、同時に透明性を確保するため、上記一般式(I)におけるmは好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3であり、pは好ましくは0〜4、より好ましくは0〜2である。また、R1〜R4の炭素原子数は好ましくは1〜25、より好ましくは1〜20である。さらに、上記一般式(II)におけるR5〜R8の炭素原子数は好ましくは1〜25、より好ましくは1〜20である。
【0042】
・ノルボルネン系樹脂の製造方法
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、上記式(I)で表される構造単位と、必要に応じて上記式(II)で表される構造単位を有する。
【0043】
上記式(I)で表される構造単位は、開環(共)重合により、下記式(I’)で表される環状オレフィン系単量体から誘導される。
【0044】
【化4】
(式(I’)中、mおよびR1〜R4は、前記式(I)と同様である。)
式(I)または式(I’)において、極性基としては、たとえば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、たとえばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられ;カルボニルオキシ基としては、たとえばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基などのアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、たとえばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、たとえばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基などが挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては、たとえばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基などが挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基としては、たとえばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
【0045】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜10の炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基などが挙げられる。
【0046】
また、置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、たとえば炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(たとえば、−(CH2)m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(たとえば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−(式中、Rはメチル、エチルなどのアルキル基))などが挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
【0047】
これらの中でも、置換基としてアルコキシカルボニル基を有するとレンズフィルムとした際の硬度、耐久性及びレンズ列および/または硬化層との密着性などに優れるため好ましく、特にメトキシカルボニル基を有することが好ましい。
【0048】
環状オレフィン系単量体(I’)としては、具体的には、次のような化合物が挙げられる。
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−シアノ−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロイソプロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
これらは、単独でまたは2種以上を併用することができる。
【0049】
本発明では、前記式(I)で表される構造単位が極性基を有することが好ましく、その極性基が、下記式(III)で表される基であることが好ましい。すなわち、前記式(I)で表される構造単位あるいは前記式(I’)で表される環状オレフィン系単量体は、R1〜R4の少なくとも一つが、下記式(III)で表される基であることが好ましい。
−(CH2)pCOOR9 …(III)
(式(III)中、pは0または1〜5の整数であり、R9 は炭素原子数1〜15の炭化水素基である。)
【0050】
上記式(III)において、pの値が小さいものほど、また、R9 が炭素数の小さいほど、得られる共重合体のガラス転移温度が高くなり、耐熱性が向上するので好ましい。すなわち、pは通常0または1〜5の整数であるが、好ましくは0または1であり、また、R9 は通常炭素原子数1〜15の炭化水素基であるが、好ましくは炭素原子数1〜3のアルキル基であるのが望ましい。
【0051】
さらに、上記式(I)または(I’)において、上記一般式(III)で表される極性基が結合した炭素原子にさらにアルキル基が結合している場合は、得られる共重合体の耐熱性と吸水(湿)性のバランスを図るうえで好ましい。また、アルキル基の炭素原子数は1〜5であることが好ましく、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
【0052】
前記式(II)で表される構造単位は、開環共重合により、下記式(II’)で表される環状オレフィン系単量体から誘導される。
【0053】
【化5】
(式(II’)中、R5〜R8は前記式(II)と同様である。)
このような環状オレフィン系単量体としては、具体的には次のような化合物が挙げられる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘプチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ノニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ウンデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ドデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−テトラデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキサデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘプタデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−オクタデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ノナデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−イコシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エトキシカルボニル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンスピロ[フルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン)
これらは単独でまたは2種以上を併用することができる。
【0054】
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、それぞれ1種以上の、環状オレフィン系単量体(I’)および環状オレフィン系単量体(II’)を開環共重合することにより製造することができる。本発明に係るノルボルネン系樹脂は、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンとビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)または8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンとトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン)からなる共重合体であることが、特に好ましい。
【0055】
本発明において、環状オレフィン系単量体(I’)および環状オレフィン系単量体(II’)の共重合比率は、これらの合計を100重量部とした場合に、通常、環状オレフィン系単量体(II’)が0〜40重量部、好ましくは、0〜30重量部の範囲であるのが望ましい。環状オレフィン系単量体(II’)の共重合割合が30重量部を超えると、ガラス転移温度を低下させ、位相差や寸法などフィルム諸特性の耐熱安定性を低下させる場合がある。
【0056】
本発明においては、これらの環状オレフィン系単量体(I’)および(II’)の他に、本発明の目的を損なわない範囲でその他の環状オレフィン系単量体あるいは共重合可能なその他のモノマーを共重合原料モノマーとして少量用いることもでき、本発明に係るノルボルネン系樹脂は、前記式(I)および(II)で表される構造単位以外の構造単位を含有することができる。かかる構造単位は、たとえば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのシクロオレフィン系単量体を、上記環状オレフィン系単量体(I’)および(II’)とともに開環共重合することにより形成することができる。また、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖にオレフィン性不飽和結合を有する不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に上記環状オレフィン系単量体(I’)および(II’)を開環共重合することによっても形成することができる。
【0057】
しかしながら、本発明においては、環状オレフィン系単量体(I’)および(II’)のみを用いて共重合を行うのが好ましい。すなわち、本発明に係るノルボルネン系樹脂は、前記式(I)および(II)で表される構造単位の他に本発明の目的を損なわない範囲でその他の構造単位を有していてもよいが、前記式(I)および(II)で表される構造単位以外の構造単位を有さないことが好ましい。
【0058】
各環状オレフィン系単量体を開環共重合しただけの開環共重合体は、その分子内にオレフィン性不飽和結合を有しており、耐熱着色などの問題を有しているため、かかるオレフィン性不飽和結合は水素添加されることが好ましいが、かかる水素添加反応も公知の方法を適用できる。また、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン)を環状オレフィン系単量体(II’)として使用した場合には、開環共重合体の分子内の主鎖構造に加えて側鎖構造にもオレフィン性不飽和結合を有しており、同様の理由から水素添加されることが好ましいが、かかる水素添加反応も公知の方法を適用できる。
【0059】
たとえば、特開昭63−218726号公報、特開平1−132626号公報、特開平1−240517号公報、特開平2−10221号公報などに記載された触媒や溶媒および温度条件などを適用することで、開環重合反応および水素添加反応を実施することができる。
【0060】
オレフィン性不飽和結合の水素添加率としては、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であることが望ましい。なお、本発明における水素添加反応とは、上記の通り、分子内のオレフィン性不飽和結合に対するものであり、本発明に係るノルボルネン系樹脂が芳香族基を有する場合、かかる芳香族基は屈折率など光学的な特性や耐熱性において有利に作用することもあるので、必ずしも水素添加される必要はない。
【0061】
本発明に係るノルボルネン系樹脂の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、通常3×103〜5×105、好ましくは5×103〜3×105、さらに好ましくは1×104〜2×105であり、また、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常5×103〜1×106、好ましくは1×104〜5×105、さらに好ましくは2×104〜4×105の範囲であるのが望ましい。
【0062】
分子量が過小である場合には、得られるフィルムの強度が低いものとなったり、延伸加工時の位相差発現性が低下したりすることがある。一方、分子量が過大である場合には、溶液粘度が高くなりすぎて本発明の共重合体の生産性や加工性が悪化することがある。
【0063】
また、本発明に係るノルボルネン系樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.5〜10、好ましくは2〜7、さらに好ましくは2〜5であるのが望ましい。
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、23℃における飽和吸水率が、通常0.05〜1重量%、好ましくは0.07〜0.8重量%、さらに好ましくは0.1〜0.7重量%であるのが望ましい。本発明に係るノルボルネン系樹脂の飽和吸水率が上記の範囲内にあれば、得られるフィルムの各種の光学特性、透明性、位相差および寸法精度が、高温多湿のような条件下でも安定に維持されると共に、UV硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物との密着性・接着性に優れるため、レンズフィルムの使用中のレンズ列や硬化層の剥離などが発生することがなく、また、酸化防止剤等の添加剤との相溶性も良好であるため、添加剤の種類および添加量の選択の自由度が大きくなる。
【0064】
この飽和吸水率が0.05重量%未満である場合には、得られるフィルムは、他材料との密着性や接着性が低いものとなり、使用中に剥離を生じやすくなることがあり、また、酸化防止剤等の添加剤の添加量が制約されることがある。一方、この飽和吸水率が1重量%を超える場合には、吸水により光学特性の変化や寸法変化を起こしやすくなるおそれがある。
【0065】
ここで、飽和吸水率は、ASTM D570に準拠し、23℃の水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求められる値である。
本発明に係るノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常70〜250℃であり、好ましくは90〜200℃、さらに好ましくは100〜180℃である。Tgが150℃以上である場合には、優れた耐熱性を有するため好ましい。Tgが90℃未満である場合には、熱変形温度が低くなるため、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られるフィルムにおける温度による光学特性の変化が大きくなるという問題が生じることがある。一方、Tgが200℃を超える場合には、延伸加工する際に加工温度が高くなりすぎて本発明の共重合体が熱劣化する場合がある。
【0066】
ここで、ノルボルネン系樹脂のTgとは、示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度20℃/分、窒素雰囲気にて測定した際に得られる微分示差走査熱量曲線の最大ピーク温度(A点)及び最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求められる。
【0067】
・重合
本発明に係るノルボルネン系樹脂は公知の方法により得ることができ、例えば、特開平1−132626号公報、特開平1−240517号公報、特開2006−77257号公報および特開2008−955号公報に記載の方法により得ることができる。樹脂の製造に用いる触媒としては、たとえば、Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization(K.J.IVIN, J.C.MOL, Academic Press 1997)に記載されている触媒等が好ましく用いられる。
【0068】
開環共重合反応において用いられる溶媒(すなわち、単量体、開環重合触媒、分子量調節剤などを溶解する溶媒)としては、たとえば、アルカン類;シクロアルカン類;芳香族炭化水素;ハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリール;飽和カルボン酸エステル類;エーテル類が挙げられ、これらの中では芳香族炭化水素が好ましい。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0069】
・添加剤
本発明に係るノルボルネン系樹脂には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。たとえば、酸化安定性を向上させ、着色および劣化を防ぐため、フェノール系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤から選ばれる酸化防止剤を配合することができる。
【0070】
前記酸化防止剤は、前記重合体100重量部当たり0.001〜5重量部の割合で配合することができる。酸化防止剤の具体例としては、
1)2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチル−フェニル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアレート、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノンおよびペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤またはヒドロキノン系酸化防止剤、
2)ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイトおよびトリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどのリン系2次酸化防止剤、ならびに
3)ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネートおよび2−メルカプトベンズイミダゾールなどの硫黄系2次酸化防止剤などを挙げることができる。
【0071】
また本発明に係るノルボルネン系樹脂には難燃剤を配合することもできる。難燃剤としては公知のものを使用することができ、たとえば、ハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤および金属水酸化物などを挙げることができる。なかでも少量の配合で効果を示し、吸水性、低誘電性および透明性の悪化を最小限にすることができるリン酸エステル系難燃剤が好ましい。
【0072】
本発明に係るノルボルネン系樹脂には、さらに必要に応じて、公知の滑剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、帯電防止剤、位相差調節剤、可塑剤および染料などを配合することもできる。
【0073】
《ノルボルネン系樹脂フィルムの製法》
本発明に係るノルボルネン系樹脂フィルムは、ノルボルネン系樹脂をフィルム状に成形することにより得られる。
【0074】
具体的な成形方法としては、樹脂の種類あるいはフィルムの所望特性などに応じて適宜選択して行うことができ、例えば、溶融成形法または溶液流延法などの方法を採用することができる。フィルムの成形方法としては、膜厚の均一性および表面平滑性が良好になる点からは溶剤キャスト法が好ましい。また、製造コスト面からは溶融成形法が好ましい。
【0075】
ノルボルネン系樹脂フィルムは、後述のUV硬化性樹脂組成物からなるレンズ列および/または硬化層との接着性を高める目的で表面処理を施したものであってもよい。該表面処理としては、プラズマ処理、コロナ処理、アルカリ処理、コーティング処理等が挙げられる。とりわけコロナ処理を用いることで、ノルボルネン系樹脂フィルムとレンズ列および硬化層との密着を強固とすることができる。
【0076】
コロナ処理条件としては、コロナ放電電子の照射量が1〜1,000W/m2/minであることが好ましく、10〜300W/m2/minであることがより好ましい。前記照射量が1W/m2/min未満である場合には、充分な表面改質効果が得られない場合があり、また1,000W/m2/minを超える場合には、ノルボルネン系樹脂フィルムの内部にまで処理効果が及び、該フィルムそのものが変質してしまうおそれがある。このコロナ処理はレンズ列および/または硬化層と当接する面のみならず、その反対側の面に施してもよい。
【0077】
また、コロナ処理をしたノルボルネン系樹脂フィルム上に、レンズ列および/または硬化層を形成する場合、コロナ処理をした直後のフィルムを用いてもよいが、除電させてから用いることが好ましい。
【0078】
≪UV硬化性樹脂組成物≫
UV硬化性樹脂組成物は、少なくとも(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)直鎖アルキレンジ(メタ)アクリレートおよび(C)光重合開始剤を含有し、ノルボルネン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に設けられるレンズ列または硬化層を形成する材料となる。
【0079】
ノルボルネン系樹脂フィルムの一方の面にレンズ列を設け、他方の面に硬化層を設ける場合およびノルボルネン系樹脂フィルムの両面に異なるレンズ列を設ける場合において、それらレンズ列、硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物は異なる組成であってもよいが、同じ組成物であることが好ましい。
【0080】
本発明のUV硬化性樹脂組成物は、更に(D)光拡散性粒子を含有することが好ましい。
また、更に(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
【0081】
《(A)ウレタン(メタ)アクリレート》
UV硬化性樹脂組成物を構成する(A)成分は、ウレタン(メタ)アクリレートである。
【0082】
ウレタン(メタ)アクリレートの一例として、(a)ポリイソシアネートと(b)水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させてなるウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0083】
(a)ポリイソシアネートとしては、ジイソシアネートが好ましく、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートを用いることができる。具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(または6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。
【0084】
これらのうち、特に、2,4−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環式ジイソシアネートが好ましく、特に、脂環式ジイソシアネートが好ましい。ジイソシアネート成分に芳香族系化合物又は脂環族系化合物を用いることで、加熱時の黄変を抑制することができる。加熱時の低黄変性をさらに向上させる観点から、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環式ジイソシアネートがさらに好ましい。
【0085】
これらの化合物は、単独であるいは二種類以上を組み合わせて用いることができる。
(b)水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの如きグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物;等を挙げることができる。これら水酸基含有(メタ)アクリレートのうち、特に、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート((メタ)アクリロイル基を2つ以上有する化合物)が好ましく、中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0086】
これらの、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独であるいは、二種類以上組み合わせて用いることができる。
UV硬化性樹脂組成物に用いる(A)ウレタン(メタ)アクリレートには、さらに、(c)ポリオールを用いることができる。
【0087】
(c)ポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,2−ブチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体およびプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール、脂肪族または環式ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
【0088】
(A)ウレタン(メタ)アクリレートは、(a)ポリイソシアネートと、(b)水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させることにより製造される。
(c)ポリオールを用いる場合には、(a)〜(c)成分を一括で仕込んで反応させる方法、(a)成分と(c)成分を反応させた後で、(b)成分を反応させる方法、(a)成分と(b)成分を反応させた後で、(c)成分を反応させる方法等、種々の方法を採用することができる。
【0089】
(A)ウレタン(メタ)アクリレートを製造する際には、通常、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン−2−メチルトリエチレンアミン等のウレタン化触媒が、反応原料の総量に対して0.01〜1質量%の量で用いられる。尚、反応温度は通常、10〜90℃、特に30〜80℃で行うのが好ましい。
【0090】
(A)成分をこれらの反応物とすることで、UV硬化性樹脂組成物の屈折率制御を容易とし、硬化時に適度な硬度を与え、更に過度の硬化収縮を抑制することができるため、光学的な歪みを少なくすることが可能となる。また、レンズフィルムを長期使用する際の光によるレンズフィルムの黄変を低減することも可能となる。
【0091】
得られる(A)ウレタン(メタ)アクリレートは、数平均分子量が、好ましくは100〜2000、より好ましくは200〜1000である。該数平均分子量が上記範囲にあると、組成物を硬化して得られる硬化物のノルボルネン系樹脂フィルムへの密着性が向上し、組成物は、適度な粘度を有するため、取り扱い易くなり好ましい。
【0092】
UV硬化性樹脂組成物中、(A)成分の配合割合は、該組成物の全量を100質量%として、好ましくは10〜80質量%であり、より好ましくは15〜75質量%である。UV硬化性樹脂組成物中、(A)成分の配合割合が上記範囲にあると、ノルボルネン系樹脂フィルムに対する密着性が向上するため好ましい。
【0093】
《(B)直鎖アルキレンジ(メタ)アクリレート》
UV硬化性樹脂組成物を構成する(B)成分は、直鎖アルキレンジ(メタ)アクリレートである。このような(B)成分を用いることにより、ノルボルネン系樹脂フィルムに対して、優れた密着性を有するレンズ列および硬化層を形成することができる。
【0094】
直鎖アルキレンジ(メタ)アクリレートは、CH2=C(R10)−C(=O)−O−(CH2)n−O−C(=O)−C(R10)=CH2(式中、R10は水素又はメチル基を示し、nは1〜20の整数である。)の構造を有するものであることが好ましい。具体的には、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
【0095】
(B)成分の市販品としては、NKエステルA−HD(新中村化学社製)、ビスコート#215(大阪有機化学社製)等が挙げられる。
UV硬化性樹脂組成物中、(B)成分の配合割合は、該組成物の全量を100質量%として、好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは10〜55質量%である。UV硬化性樹脂組成物中、(B)成分の配合割合が上記範囲にあると、ノルボルネン系樹脂フィルムに対する密着性が向上するため好ましい。
【0096】
[(C)光重合開始剤]
UV硬化性樹脂組成物を構成する(C)成分は、光重合開始剤である。
(C)成分として用いられる光重合開始剤は、紫外線の照射によって、エチレン性不飽和基を重合しうる活性種(ラジカル種)を発生することのできるラジカル性光重合開始剤である。
【0097】
上記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。
【0098】
上記光重合開始剤の市販品としては、例えば、Irgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI11850、CG24−61、Darocur1116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、LucirinTPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)等が挙げられる。
【0099】
光重合開始剤は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
なお、上記光重合開始剤と共に、光増感剤を用いることができる。光増感剤としては、例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられる。
【0100】
UV硬化性樹脂組成物中、(C)成分の配合割合は、該組成物の全量を100質量%として、好ましくは0.005〜10質量%であり、より好ましくは0.2〜5質量%である。UV硬化性樹脂組成物中、(C)成分の配合割合が上記範囲にあると、UV硬化性組成物は、硬化特性に優れ、硬化速度を容易に調節でき、取り扱い性に優れるため好ましい。また、光学特性に優れたレンズ、硬化層を得ることができるため好ましい。
【0101】
《(D)光拡散性粒子》
UV硬化性樹脂組成物には、更に(D)光拡散性粒子を含有してもよい。
(D)成分として用いられる光拡散性粒子は、可視光領域の波長に対する屈折率がUV硬化性樹脂組成物の屈折率と異なる粒子であればいずれの粒子も用いることができるが、たとえば、ガラスや、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン酸系樹脂、トリアセチルセルロース系樹脂等の樹脂であることが好ましい。
【0102】
このような粒子がUV硬化性樹脂組成物中に含まれることにより、UV硬化性樹脂組成物からなるレンズ列および/または硬化層に入射した光は拡散透過される。そのため、光拡散性粒子を含んだUV硬化性樹脂組成物からなるレンズ列および/または硬化層を有するレンズフィルムをバックライトユニットに用いると、該バックライトユニットでは、従来のような拡散板を用いなくても輝度均一性の高いバックライトユニットを容易に安価で製造することができるため好ましい。また、このようなバックライトユニットは薄型化、軽量化に優れるため好ましい。
【0103】
UV硬化性樹脂組成物中、(D)成分の配合割合は、該組成物の全量を100質量%として、好ましくは0.01〜50質量%であり、より好ましくは0.1〜20質量%である。
【0104】
また、光拡散性粒子の屈折率は、光拡散性粒子の屈折率とノルボルネン系樹脂フィルムの屈折率との差の絶対値が0以上、好ましくは0.01以上であることが好ましい。光拡散性粒子の粒子径は、0.5〜20μm、好ましくは1〜15μmであることが望ましい。UV硬化性樹脂組成物中の光拡散性粒子の配合割合、屈折率、粒子径が上記範囲にあると、適度な光拡散効果を有するレンズ列および/または硬化層が得られるため好ましい。
【0105】
《(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレート》
UV硬化性樹脂組成物には、更に(E)成分として脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有してもよい。
【0106】
脂環式(メタ)アクリレートとしては、単官能モノマーとしてイソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、イミドアクリレート等が挙げられる。また多官能モノマーとしては、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールアクリレート等が挙げられる。
【0107】
UV硬化性樹脂組成物中、(E)成分の配合割合は、該組成物の全量を100質量%として、好ましくは20〜80質量%であり、より好ましくは30〜70質量%である。UV硬化性樹脂組成物中、(E)成分の配合割合が上記範囲にあると、ノルボルネン系樹脂フィルムに対する良好な密着性を得ることができるため好ましい。
【0108】
《任意成分》
UV硬化性樹脂組成物には、上述の成分以外にも各種添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、離型剤等を配合することができる。
【0109】
酸化防止剤の市販品としては、例えば、Irganox1010、1035、1076、1222(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Antigen P、3C、FR、GA−80(住友化学工業社製)等が挙げられる。
【0110】
紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、Tinuvin P、234、320、326、327、328、329、213(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Seesorb102、103、110、501、202、712、704(以上、シプロ化成社製)等が挙げられる。
【0111】
光安定剤の市販品としては、例えば、Tinuvin 292、144、622LD(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、サノールLS770(三共社製)、Sumisorb TM−061(住友化学工業社製)等が挙げられる。
【0112】
シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。市販品としては、SH6062、6030(以上、東レ・ダウ コーニング・シリコーン社製)、KBE903、603、403(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0113】
塗面改良剤としては、例えば、ジメチルシロキサンポリエーテル等のシリコーン添加剤が挙げられる。市販品としては、DC−57、DC−190(以上、ダウ コーニング社製)、SH−28PA、SH−29PA、SH−30PA、SH−190(以上、東レ・ダウ コーニング・シリコーン社製)、KF351、KF352、KF353、KF354(以上、信越化学工業社製)、L−700、L−7002、L−7500、FK−024−90(以上、日本ユニカー社製)等が挙げられる。
離型剤の市販品としては、プライサーフA208F(第一工業製薬社製)等が挙げられる。
【0114】
≪UV硬化性樹脂組成物の物性等≫
本発明に用いられるUV硬化性樹脂組成物は、ノルボルネン系樹脂フィルムとの波長400〜700nmの範囲における屈折率差の最大値が0.1以下となる硬化物が得られる組成を選択することが好ましい。
【0115】
これは、UV硬化性樹脂組成物に(A)、(B)および(C)以外の成分(但し(D)成分を除く。UV硬化性樹脂組成物が(D)成分を含む場合は後述する。)が配合されているときであっても同様である。
【0116】
UV硬化性樹脂組成物が(D)成分を含有する場合には、(A)〜(C)及び(E)を上記配合比で配合し、さらに、(D)ノルボルネン系樹脂フィルムの屈折率との差の絶対値が0以上、好ましくは0.01以上である光拡散性粒子をUV硬化性樹脂組成物100質量%に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜40質量%、さらに好ましくは0.5〜30質量%となる量で配合量を制御することにより、(D)成分を含有するUV硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物とノルボルネン系樹脂フィルムとの波長400〜700nmの範囲における屈折率差の最大値が0.1以下となるレンズ、硬化層を形成することができる。
【0117】
UV硬化性樹脂組成物は、前記の各成分を常法により混合することで製造することができる。このUV硬化性樹脂組成物は、無溶剤で調製することができるため、所望の形状を有するレンチキュラーレンズ、プリズムレンズ、硬化層を容易に形成することができる。
【0118】
得られるUV硬化性樹脂組成物の粘度は、好ましくは50〜400cp/25℃、より好ましくは100〜2000cp/25℃である。粘度が高すぎると、ノルボルネン系樹脂フィルムにUV硬化性樹脂組成物を塗布する際に、塗布ムラやうねりが生じ、あるいはレンチキュラーレンズ、プリズムレンズを形成する時に、目的とする形状が得られないことがある。逆に、粘度が低すぎても、目標とする膜厚が得られにくい上に、作業性が悪化することがある。
【0119】
<レンチキュラーレンズフィルム(I)>
本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)は、前記ノルボルネン系樹脂フィルムの片面に、前記UV硬化性樹脂組成物から形成されてなるレンチキュラーレンズ列を有する。
【0120】
本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)は、液晶表示装置等のバックライトに用いられる場合には、その液晶表示装置の左右方向の輝度視野角を広げる役割を果たす。
さらに、ノルボルネン系樹脂フィルムとレンチキュラーレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差は、0〜0.1、好ましくは0〜0.08である。
【0121】
ノルボルネン系樹脂フィルムとレンチキュラーレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差が上記範囲にあると、高い正面輝度を有し、視野角コントロール容易なレンズフィルムが得られるため好ましい。
【0122】
以下、本発明のレンズフィルムについて、適宜図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の各図は、本発明のレンズフィルム、液晶表示装置についての一例を模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。また、本発明は以下の各図に限定されるものではない。
【0123】
図1は、本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)の一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、レンチキュラーレンズフィルム(I)は、ノルボルネン系樹脂フィルム1の片面にレンチキュラーレンズ2が複数個併設されている。本発明でのレンチキュラーレンズ列3とは、図1に示すように、レンチキュラーレンズ2が複数個併設されていることをいう。
【0124】
図2は、レンチキュラーレンズフィルム(I)を図1中に矢印で示したS1−S2断面で切断した断面図である。
このように、レンチキュラーレンズフィルム(I)は、レンチキュラーレンズの凸面の形状4が連続的に形成され、好ましくは、一定の厚みの土台部分5を有する。
【0125】
前記レンチキュラーレンズの凸面の形状4は、頂点の数が4以上の多角形若しくは半円(楕円を含む)であれば良く、成形容易性や、左右方向の視野角を広げるという点から断面が台形、半円状のものが好ましい。
【0126】
図2は、レンチキュラーレンズの凸面の形状4が半円状である場合のレンチキュラーレンズフィルム(I)の断面図であり、図3は、レンチキュラーレンズの凸面の形状4が台形状(頂点の数が4の多角形)である場合のレンチキュラーレンズフィルム(I)の断面図である。
【0127】
互に隣り合うレンチキュラーレンズのピッチAは、レンチキュラーレンズフィルム(I)上において、一定のピッチであっても、ピッチに変化があっても構わないが、通常数μm〜100μm、好ましくは、10μm〜40μmの一定のピッチであることが望ましい。さらに、レンチキュラーレンズのピッチは、後述するプリズムレンズのピッチと同程度であることが好ましい。
【0128】
レンチキュラーレンズのピッチがプリズムレンズのピッチと同程度であると、レンチキュラーレンズフィルムとプリズムレンズフィルムを同時にバックライトユニットに用いる場合において、高い正面輝度を有し、視野角コントロールの容易なバックライトユニットを形成することができるため好ましい。
【0129】
レンチキュラーレンズの凸面の形状4の高さBは本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、レンチキュラーレンズの製造容易性や、レンチキュラーレンズの耐久性の点から、通常5〜30μm、好ましくは5〜15μmの範囲に設定される。
【0130】
また、本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)において、土台部分5を有していても有さなくてもよいが、土台部分5を設ける場合には、土台部分5の高さCは、レンチキュラーレンズの透明性等の点から通常0〜20μmであり、好ましくは0〜15μmである。
【0131】
また、図4に示すように、ノルボルネン系樹脂フィルム1のレンチキュラーレンズ列が形成されていない方の面にUV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層6を有することが好ましい。
【0132】
レンチキュラーレンズフィルム(I)が、硬化層6を有すると、レンズフィルムは耐久性に優れ、レンズフィルムのそりを効率よく防止することができるため好ましい。
これは、ノルボルネン系樹脂フィルム1を挟んで両側に、UV硬化性樹脂組成物からなるレンズ列3と、同様のUV硬化性樹脂組成物からなる硬化層6が形成され、略対称な形状となるため、レンズフィルムのそりが効率よく防止されることによると考えられる。
【0133】
この場合において、硬化層はその厚みが0.01〜30μm好ましくは0.05〜15μmであり、レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物と、硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物が同じ組成であると、硬化層もノルボルネン系樹脂フィルムとの波長400〜700nmの範囲における屈折率差の最大値が0.1以下となり、ノルボルネン系樹脂フィルムの両面の屈折率の差がなくなるため、レンズフィルムの正面輝度と視野角コントロール性が向上し、また、レンズフィルムのそりが、より防止されるため好ましい。
【0134】
<プリズムレンズフィルム(II)>
本発明のプリズムレンズフィルム(II)はノルボルネン系樹脂フィルムの片面に、UV硬化性樹脂組成物から形成されてなるプリズムレンズ列を有する。
【0135】
本発明のプリズムレンズフィルム(II)は、液晶表示装置等のバックライトに用いられる場合には、その液晶表示装置の正面輝度を向上させる役割を果たす。特に、液晶表示装置において、レンチキュラーレンズフィルム(II)のレンズ列を光源側に向けて配置すると、液晶表示装置の正面輝度をより向上させることができるため好ましい。
【0136】
さらに、ノルボルネン系樹脂フィルムとプリズムレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差は、0〜0.1、好ましくは0〜0.08である。
ノルボルネン系樹脂フィルムとプリズムレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差が上記範囲にあると、高い正面輝度を有する視野角コントロール容易なレンズフィルムが得られるため好ましい。
【0137】
図5は、本発明のプリズムレンズフィルム(II)の一例を模式的に示す図である。
プリズムレンズフィルム(II)は、ノルボルネン系樹脂フィルム7の片面にプリズムレンズ8が複数個併設されている。本発明でのプリズムレンズ列9とは、図5に示すように、プリズムレンズ8が複数個併設されていることをいう。
【0138】
図6は、プリズムレンズフィルム(II)を図5中に矢印で示したS3−S4断面で切断した断面図である。
このように、プリズムレンズフィルム(II)は、プリズムレンズの凸面の形状10が連続的に形成され、好ましくは、一定の厚みの土台部分11を有する。
【0139】
前記プリズムレンズの凸面の形状10は、略三角形であれば良く、成形容易性や、上下左右方向の集光する点から頂角の角度が、30〜100°、好ましくは、40〜90°であることが望ましい。
【0140】
互に隣り合うプリズムレンズのピッチA'は、プリズムレンズフィルム(II)上において、一定のピッチであっても、ピッチに変化があっても構わないが、通常数μm〜100μm、好ましくは、10μm〜40μmの一定のピッチであることが望ましい。さらに、プリズムレンズのピッチは、前記レンチキュラーレンズのピッチと同程度であることが好ましい。
【0141】
プリズムレンズのピッチは、レンチキュラーレンズのピッチと同程度であると、レンチキュラーレンズフィルムとプリズムレンズフィルムを同時にバックライトユニットに用いる場合において、高い正面輝度を有し、視野角コントロールの容易なバックライトユニットを形成することができるため好ましい。
【0142】
プリズムレンズの凸面の形状10の高さB'は本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、プリズムレンズの製造容易性や、プリズムレンズの耐久性の点から、通常5〜30μm、好ましくは10〜15μmの範囲に設定される。
【0143】
また、本発明のプリズムレンズフィルム(II)において、土台部分11を有していても有さなくてもよいが、土台部分11を設ける場合には、土台部分11の高さC'は、プリズムレンズの透明性等の点から通常0〜20μmであり、好ましくは0〜15μmである。
【0144】
また、図7に示すように、ノルボルネン系樹脂フィルム7のプリズムレンズ列が形成されていない方の面にUV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層12を有することが好ましい。
【0145】
プリズムレンズフィルム(II)が、硬化層12を有すると、レンズフィルムは耐久性に優れ、レンズフィルムのそりを効率よく防止することができるため好ましい。
これは、ノルボルネン系樹脂フィルム7を挟んで両側に、UV硬化性樹脂組成物からなるレンズ列9と、同様のUV硬化性樹脂組成物からなる硬化層12が形成され、略対称な形状となるため、レンズフィルムのそりが効率よく防止されることによると考えられる。
【0146】
この場合において、硬化層はその厚みが0.01〜30μm、好ましくは0.05〜15μmであり、プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物と、硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物が同じ組成であると、硬化層もノルボルネン系樹脂フィルムとの波長400〜700nmの範囲における屈折率差の最大値が0.1以下となり、ノルボルネン系樹脂フィルムの両面の屈折率の差がなくなるため、レンズフィルムの正面輝度と視野角コントロール性が向上し、また、レンズフィルムのそりが、より防止されるため好ましい。
【0147】
<レンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)>
図8は、本発明のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)の一例を模式的に示す図である。
【0148】
本発明のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)はノルボルネン系樹脂フィルム13の片面に、UV硬化性樹脂組成物から形成されてなるレンチキュラーレンズ列15を有し、さらに、該ノルボルネン系樹脂フィルム13の他方の面に前記UV硬化性樹脂組成物から形成されてなるプリズムレンズ列17を有する。
【0149】
本発明のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)は、前記レンチキュラーレンズフィルム(I)とプリズムレンズフィルム(II)の有する効果を併せ持ったレンズフィルムである。つまり、レンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)が液晶表示装置等のバックライトに用いられる場合には、その正面輝度が高く(上下方向の輝度視野角が狭く)、左右方向の輝度視野角の広い液晶表示装置が得られる。
【0150】
さらに、ノルボルネン系樹脂フィルムとプリズムレンズおよびレンチキュラーレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差は、0〜0.1、好ましくは0〜0.08である。
【0151】
ノルボルネン系樹脂フィルムとプリズムレンズおよびプリズムレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差が上記範囲にあると、高い正面輝度を有する視野角コントロール容易なレンズフィルムが得られるため好ましい。
【0152】
レンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)は、ノルボルネン系樹脂フィルム13を挟んで両側に、同様のUV硬化性樹脂組成物からなるレンチキュラーレンズ列15とプリズムレンズ列17が形成されているため、レンズフィルムは耐久性に優れ、レンズフィルムのそりを効率よく防止することができる。
【0153】
この場合において、レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物と、プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物が同じ組成であると、ノルボルネン系樹脂フィルムの両面の屈折率の差がなくなるため、レンズフィルムの正面輝度と視野角コントロール性が向上し、また、レンズフィルムのそりが、より防止されるため好ましい。
【0154】
レンチキュラーレンズ14と、プリズムレンズ16の形状、ピッチは上記と同様である。
レンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)は、レンチキュラーレンズ列15と、プリズムレンズ列17の延在方向が垂直である場合(図8)でも、平行である場合(図9)でもかまわないが、好ましくは、レンチキュラーレンズ列15と、プリズムレンズ列17の延在方向が垂直であるレンズフィルムを液晶表示装置に用いると上下方向の視野角が狭く、左右方向の視野角が広いレンズフィルムを得ることができる点で好ましい。
【0155】
バックライトユニットにレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)を用いる場合には、プリズムレンズ列が入射面となるように(光源と向かい合うように)レンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)を配置することが好ましい。
【0156】
≪レンズフィルムの製造方法≫
本発明のレンズフィルムの製造方法は、所望のレンズフィルムを形成することができればいずれの方法を用いてもよいが、たとえば、上述のように、ノルボルネン系樹脂フィルムを製造した後、該ノルボルネン系樹脂フィルムの表面上にUV硬化性樹脂組成物からなるレンズ列、硬化層を形成する。
【0157】
レンズ列を形成する方法としては、たとえば、前記UV硬化性樹脂組成物をノルボルネン系樹脂フィルムの上面に塗布して塗膜を形成した後、該塗膜のノルボルネン系樹脂フィルムに接していない面側から、所望の形状を有する金型等を密着させながら紫外線を照射し、前記塗膜を硬化させることにより形成することができる。
【0158】
また、所望の形状を有する金型に前記UV硬化性組成物を充填した後、ノルボルネン系樹脂フィルムを押し当て、紫外線を照射することでレンズ列を形成することもできる。
さらに、前記UV硬化性樹脂組成物をノルボルネン系樹脂フィルムの上面に塗布して塗膜を形成した後、所望の形状を有するロールを用い、該ロールの表面形状を塗膜に転写させながら紫外線を照射することで、レンズ列を形成することもできる。
【0159】
特に、前記金型を用いてレンズフィルムを作成すると、基板の薄肉化が容易になり、生産量の調整、レンズ列のデザイン変更等への順応性が高く、かつ工程数が少ないため、生産性、歩留を向上させることができるため特に好ましい。
【0160】
UV硬化性樹脂組成物を硬化させる際の紫外線としては、特に限定されるものではないが、通常、200〜450nmの紫外〜可視領域の光、好ましくは波長365nmの紫外線を含む光が用いられる。波長200〜450nmでの照射は、照度が100〜500mW/cm2、照射量が0.5〜5J/cm2、好ましくは0.5〜2J/cm2となるように行なわれて露光される。
【0161】
硬化層を形成する方法としては、たとえば、前記UV硬化性樹脂組成物をノルボルネン系樹脂フィルムの上面に塗布して塗膜を形成した後、紫外線を照射し、前記塗膜を硬化させることにより形成することができる。
【0162】
なお、硬化層を有するレンズフィルムを作成する場合には、ノルボルネン系樹脂フィルムの表面上にレンズ列、硬化層のいずれを先に形成してもよい。また、ノルボルネン系樹脂フィルムの表面上にレンズ列、硬化層を同時に形成することもできる。
【0163】
<レンズフィルムの用途>
これら本発明で得られるレンズフィルムは、耐久性、高輝度、視野角コントロール性等に優れるため、パソコン用ディスプレイ、情報端末機器等の画像表示手段、テレビ等の家電の画像表示手段、さらには車載用ディスプレイ等の液晶パネルを使用した液晶表示装置等のバックライトユニット等用いることができる。特に、本発明のレンズフィルムは視野角コントロ−ル性に優れるため車載用ディスプレイのバックライトユニットに好適に用いることができる。
【0164】
ここで、本発明で得られるレンズフィルムをバックライトユニットに用いる場合について具体的に説明する。
本発明のバックライトユニットは、前記レンズフィルムを有するバックライトであればいずれの構造を持つバックライトでもかまわない。
【0165】
以下、本発明のバックライトユニットについて、適宜図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す各図は、本発明のバックライトユニットについての一例を模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。また、本発明は以下の各図に限定されるものではない。
【0166】
図10は、本発明のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム(III)を用いた液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。
図11,12は、本発明のレンチキュラーレンズフィルム(I)、プリズムレンズフィルム(II)を用いた液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。なお、図11は、プリズムレンズ列を光源である導光板に向けて配置し、レンチキュラーレンズ列を導光板と逆向きに配置した逆プリズム方式のバックライトユニットを有する液晶表示装置である。つまり、図11は、プリズムレンズフィルムにおいてプリズムレンズ列を光の入射面とし、レンチキュラーレンズフィルムにおいてレンチキュラーレンズ列を出射面とした液晶表示装置である。
【0167】
図12は、プリズムレンズ列、レンチキュラーレンズ列を導光板に向けて配置した液晶表示装置である。
また、図13は、従来のBEF方式のバックライトユニットを有する液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。
【0168】
図10〜12のバックライトユニットでは、本発明のプリズムレンズ列、レンチキュラーレンズ列を有し、プリズムレンズ列が導光板に向けて配置されているため、従来のBEF方式のバックライトユニットで用いる必要があったBEF、DBEF−D、ルーバーフィルムの3枚のフィルムを、1枚のレンチキュラー/プリズムレンズフィルム若しくは、レンチキュラーレンズフィルム、プリズムレンズフィルムの2枚で代用することができ、バックライトユニットの小型化、軽量化、薄肉化、製造が容易になり、さらに、従来のBEF方式のバックライトユニットに比べ、より正面集光性に優れ、視野角コントロール性に優れたバックライトユニットを得ることができるため好ましい。
【0169】
特に、本発明のバックライトユニットを用いた液晶表示装置は、上下方向の輝度視野角が狭く、左右方向の輝度視野角の広い液晶表示装置を製造することができる点で好ましい。ここで、液晶表示装置の上下方向の輝度視野角とは、液晶表示装置を通常使用する状態に置いた時の上下方向のことを言い、液晶表示装置の左右方向の輝度視野角とは、液晶表示装置を通常使用する状態に置いた時の左右方向のことを言う。
【0170】
また、本発明のレンズフィルムは、BEF方式のバックライトユニットにも好適に用いることができる。本発明のレンズフィルムをBEFF方式のバックライトユニットに用いると、該バックライトユニットは、耐久性、正面輝度、視野角コントロール性等に優れるため好ましい。
【0171】
さらに、本発明のレンズフィルムにおいて、レンズ列および/または硬化層に光拡散性粒子が含まれていると、該光拡散性粒子を含んだレンズ列および/または硬化層が拡散板の役割をも果たすためBEF方式のバックライトユニットで用いる必要があった拡散板も省略することができ、バックライトユニットの一層の小型化、軽量化、薄肉化、製造が容易になり好ましい。
【0172】
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」はいずれも「重量部」を表す。
各種物性は、次のようにして測定あるいは評価した。
【0173】
(1)ガラス転移温度(Tg);
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製DSC6200)を用いて、昇温速度を毎分20℃、窒素気流下で測定を行った(DSC法)。Tgは、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)及び最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた。
【0174】
(2)水素添加率;
核磁気共鳴分光計(NMR)はBruker社製AVANCE500を用い、測定溶媒はd−クロロホルムで1H−NMRを測定した。5.1〜5.8ppmのビニレン基、3.7ppmのメトキシ基、0.6〜2.8ppmの脂肪族プロトンの積分値より、単量体の組成を算出後、水素添加率を算出した。
【0175】
(3)重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn);
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製HLC−8220GPC、カラム:東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSKgel GMHXL2本、TSK gel G2000HXLを順次連結、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1mL/min、サンプル濃度:0.7〜0.8重量%、注入量:70μL、測定温度:40℃とし、検出器:RI(40℃)、標準物質:東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)を用い、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した(GPC法)。なお、前記Mnは数平均分子量である。
【0176】
(4)残留溶媒量;
サンプルを塩化メチレンに溶解し、得られた溶液をガスクロマトグラフィー(島津製作所製GC−7A)を用いて分析した。
【0177】
(5)対数粘度;
ウベローデ型粘度計を用いて、クロロホルム中(試料濃度:0.5g/dL)、30℃で測定した。
【0178】
(6)飽和吸水率;
ASTM D570に準拠し、23℃の水中に1週間サンプルを浸漬し、浸漬前後の重量変化を測定して求めた。
【0179】
(7)全光線透過率、ヘイズ;
スガ試験機社製ヘイズメーター(HGM−2DP型)を使用して測定した。
【0180】
(8)屈折率;
セキテクノトロン(株)製 プリズムカプラ式屈折率測定装置を用いて室温(25℃)で測定した。測定波長は408nm、633nm、830nmでそれぞれ測定し、Cauchyの分散式にλ2(λは光の波長(nm))の補正項を入れた次式を用いて波長400nmから700nmの範囲の屈折率を求めた。
屈折率の波長依存性 : n2=A+B/λ2+C/λ-2+D/λ-4
【0181】
(9)輝度測定;
SUMSUNG社製デスクトップPC用モニター[Sync Master 204B]、およびソニー社製ノートPC[VAIO、VGN−FW81HS]を分解し、バックライトユニットの導光板より上に配置される拡散板やレンズフィルムなどを取り除いた(以下、それぞれ光源1、光源2とする)。上記光源1もしくは光源2を点灯させ、作製したレンズフィルムを光源1もしくは光源2の導光板上に配置した。ELDIM株式会社製の「EZ contrast−XL88」を用い、作製したバックライトの出射光の輝度および視野角を照度1lx以下の暗室にて測定した。得られた結果より、正面の輝度、バックライト左右方向の半値角度幅および上下方向の半値角度幅を評価した。
【0182】
(10)耐久試験;
レンズフィルムを105℃dryのギヤオーブン内に1000時間静置した。
【0183】
(11)正面輝度低下率;
耐久試験前の正面輝度と耐久試験後の正面輝度との差を耐久試験前の正面輝度で割った値を算出し、正面輝度低下率を算出した。
【0184】
(12)輝度均一性;
点灯させた導光板上に作製したレンズフィルムを配置し、以下の基準で目視により評価した。
○ :導光板の輝度ムラがほとんど認識できない
△ :導光板の輝度ムラが認識できるが、目立たない
× :導光板の輝度ムラがはっきり認識できる
【0185】
(13)レンズフィルムのそり;
縦100mm、横200mmのレンズフィルムを用い、レンズ面を上に向けて平らな台上に静置して、レンズフィルムの4隅と台の間の垂直距離を側面より測定し、その平均値にて評価した。
○ :耐久試験前後でそりが変わらない。
× :耐久試験前後でそりが大きくなった。
【0186】
(14)鉛筆硬度;
耐久試験前のレンズフィルムについて、(株)東洋精機製 鉛筆引掻塗膜硬さ試験機NPを用いて、JIS K−5600−5−4に準拠して鉛筆硬度を測定した。
【0187】
(15)密着性;
耐久試験前のレンズフィルムについて、JIS Z1522に規定する粘着テープを使用し、JIS K5600−5−6に準拠してノルボルネン系樹脂フィルムとレンズ列または硬化層との密着性を25マスの碁盤目剥離テープ試験にて評価し、レンズ列または硬化層の残膜率を評価した。
○ :レンズ列または硬化層の残膜率25/25
△ :レンズ列または硬化層の残膜率6/25〜24/25
× :レンズ列または硬化層の残膜率0/25〜5/25
【0188】
[合成例1](ノルボルネン系樹脂Aの製造)
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(DNM)225部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NB)25部とを単量体として用い、1−ヘキセン(分子量調節剤)27部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とともに、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(1.5mol/リットル)0.62部と、tert−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(tert−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35mol:0.3mol:1mol)のトルエン溶液(濃度0.05mol/リットル)3.7部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
【0189】
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6H5)3]3を0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反応を行った。
【0190】
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下、「樹脂A」という。)を得た。
【0191】
このようにして得られた樹脂Aの1H−NMRにより測定した水素添加率は99.9%、DSC法により測定したTgは130℃、GPC法により測定したポリスチレン換算によるMnは20,800、Mwは62,000およびMw/Mnは3.00、23℃における飽和吸水率は0.21%ならびに30℃におけるクロロホルム中での対数粘度は0.51dl/gであった。
【0192】
[作製例1](ノルボルネン系重合体フィルムAの製造)
合成例1で得た環状オレフィン系樹脂Aを、トルエンに30%濃度(室温での溶液粘度は30,000mPa・s)になるように溶解させ、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を樹脂100重量部に対して0.1重量部添加し、日本ポール製の孔径5μmの金属繊維焼結フィルターを用い、差圧が0.4MPa以内となるように溶液の流速をコントロールしながら濾過した。
【0193】
前記の方法により製造した樹脂溶液を、二軸押出機(東芝機械株式会社製;TEM−48)を用いて、3段ベントにより、トルエンを脱気しながら、ギアポンプを用いて下流に押出を行い、ストランドダイより流出させた樹脂を冷却水槽で冷却の後、ストランドカッターに送り込み、米粒状に裁断し、造粒樹脂を得た。
【0194】
この造粒樹脂を窒素雰囲気下で100℃×4時間乾燥の後、単軸押出機(90mmΦ)に送り込み、260℃で溶融しながら、ギアポンプで定量押出を実施し、公称の目開きを10μmとした日本精線製の金属繊維焼結フィルターを用いて、溶融ろ過を行い、コートハンガー型のダイ(1700mm幅)を用いて、コートハンガーダイ出口の間隙を0.5mmとして260℃で膜状に押出した。このときに用いたダイのダイランド長(ダイ出口の平行部分の長さ)は、20mmであった。ダイ出口からロール圧着点までの距離を65mmとして、押出したフィルムを、表面粗さが0.1Sの250mmΦの鏡面ロールと、0.3mm厚の金属ベルトの間に挟んで、フィルムの表面を光沢面に転写した。金属ベルト(幅1650mm)は、ゴム被覆のロール(保持するロールの径は150mmΦ)と、冷却ロール(ロール径150mm)により保持したもので、市販のスリーブ式転写ロール(千葉機械工業製)を用いて、転写した。転写するときのロール間隔は、0.35mmであり、転写圧力は、0.35MPaであった。
【0195】
このときの、鏡面ロールの外周の周速度を10m/minとした。このときの鏡面ロールの温度は、オイル温調機を用いて125℃、ゴム被覆ロールの温度は、115℃に設定した。
【0196】
鏡面ロールの下流側には、250mmΦの冷却ロールを配置し、鏡面ロールから剥ぎ取ったフィルムを115℃に設定した冷却ロールに圧着するまでの時間を2.1秒間として冷却した。その後フィルムを、剥離張力0.4MPa・cmで剥離して、片面にマスキングフィルムを貼合して、巻き取り機で巻き取り、厚み130μmの樹脂フィルムを得た(以下、「原反フィルムA」ともいう)。得られたフィルムの残留溶媒量は0.1%であり、全光線透過率は93%で、ガラス転移温度(Tg)は130℃であった。また、波長400nmから700nmの範囲の屈折率は1.53〜1.51であった。
【0197】
(レンズフィルムの製造・評価)
<単独レンズフィルム>
[実施例1](レンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂)
原反フィルムAの両面に、大気中、300W・min/m2でコロナ放電処理を行なった。ウレタンアクリレート30部、1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト20部、トリシクロデカンジメタノールアクリレート50部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3部を均一に混合することで得たUV硬化性樹脂組成物を原反フィルムAの片面に塗工して塗膜を形成後、1J/cm2の紫外線を照射して、平滑面を有する硬化層を形成した。その後、円弧部の曲率半径が20μm、ピッチ40μmのレンチキュラー形状のレンズ列が形成された金型にUV硬化性樹脂組成物を充填し、原反フィルムAの硬化層と反対の面をUV硬化性樹脂組成物が充填された金型に押し当てながら、1J/cm2の紫外線を照射することで、そりがほとんどない、レンチキュラーレンズ列を有するレンチキュラーレンズフィルムA−1を得た。
【0198】
得られたレンチキュラーレンズフィルムA−1のレンズ列を光源1の長軸と同一面内で垂直な方向と平行にし、硬化層が入射面となるように(導光板の出射面側と向かい合うように)配置して導光板上に配置することでバックライトを構成した。作製したバックライトを点灯させ、輝度、正面輝度低下率を測定した。また、レンチキュラーレンズA−1の密着性、鉛筆硬度およびそりを評価した。
評価結果を表1に示す。レンズおよび硬化層の屈折率とノルボルネン系原反Aの屈折率の差の最大値は、波長400〜700nmの範囲で0.05以下であった。
【0199】
[実施例2](プリズム/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂)
UV硬化性樹脂組成物にてレンズ列を形成する際に、頂角80度、ピッチ20μmのプリズム形状のレンズ列が形成された金型を用いたこと以外は実施例1と同様にして、そりがほとんどない、プリズム列を有するプリズムレンズフィルムA−2を得た。
【0200】
得られたプリズムレンズフィルムA−2のレンズ列を光源1の長軸方向と平行にし、硬化層が入射面となるように(導光板の出射面側と向かい合うように)配置して導光板上に配置することでバックライトを構成した。作製したバックライトを点灯させ、輝度、正面輝度低下率を測定した。また、プリズムレンズフィルムA−2の密着性、鉛筆硬度およびそりを評価した。
評価結果を表1に示す。
【0201】
[実施例3](レンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/粒子入りUV硬化樹脂)
硬化層を形成する際に、光拡散性粒子(JSR製 3μmポリスチレン粒子、屈折率=1.59)を10重量部分散させたUV硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、そりがほとんどない、レンチキュラーレンズ列を有するレンチキュラーレンズフィルムA−3を得た。
【0202】
実施例1と同様にして、得られたレンチキュラーレンズフィルムA−3を用いたバックライトの輝度、正面輝度低下率およびレンチキュラーレンズフィルムA−3の物性を評価した。
評価結果を表1に示す。レンズおよび硬化層の屈折率とノルボルネン系原反Aの屈折率の差の最大値は、波長400〜700nmの範囲で0.1以下であった。
【0203】
[実施例4](プリズム/ノルボルネン系樹脂フィルム/粒子入りUV硬化樹脂)
硬化層を形成する際に、光拡散性粒子(JSR製 3μmポリスチレン粒子、屈折率=1.59)を10重量部分散させたUV硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例2と同様にして、そりがほとんどない、プリズム列を有するプリズムレンズフィルムA−4を得た。
【0204】
実施例2と同様にして、得られたプリズムレンズフィルムA−4を用いたバックライトの輝度、正面輝度低下率およびプリズムレンズフィルムA−4の物性を評価した。
評価結果を表1に示す。
【0205】
[実施例5](粒子入りレンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂)
レンチキュラーレンズ列を形成する際に、光拡散性粒子(JSR製 3μmポリスチレン粒子、屈折率=1.59)を10重量部分散させたUV硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、そりがほとんどない、レンチキュラーレンズ列を有するレンチキュラーレンズフィルムA−5を得た。
【0206】
実施例1と同様にして得られたレンチキュラーレンズフィルムA−5を用いたバックライトの輝度、正面輝度低下率およびレンチキュラーレンズフィルムA−5の物性を評価した。
評価結果を表1に示す。
【0207】
[実施例6](粒子入りプリズム/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂)
プリズムレンズ列を形成する際に、光拡散性粒子(JSR製 3μmポリスチレン粒子、屈折率=1.59)を10重量部分散させたUV硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例2と同様にして、そりがほとんどない、プリズム列を有するプリズムレンズフィルムA−6を得た。
【0208】
実施例2と同様にして得られたプリズムレンズフィルムA−6を用いたバックライトの輝度、正面輝度低下率およびプリズムレンズフィルムA−6の物性を評価した。
評価結果を表1に示す。
【0209】
[比較例1](プリズム/PET/UV硬化樹脂)
原反フィルムAに替えて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、そりがほとんどない、プリズム列を有するプリズムレンズフィルムB−1を得た。
【0210】
実施例2と同様にして得られたプリズムレンズフィルムB−1を用いたバックライトの輝度、正面輝度低下率およびプリズムレンズフィルムB−1の物性を評価した。
評価結果を表2に示す。
【0211】
[比較例2](レンチキュラー/PMMA/UV硬化樹脂)
原反フィルムAに替えて、ポリメタクリル酸メチルフィルム(PMMAフィルム)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、そりがほとんどない、レンチキュラーレンズ列を有するレンチキュラーレンズフィルムC−1を得た。
【0212】
実施例1と同様にして得られたレンチキュラーレンズフィルムC−1を用いたバックライトの輝度、正面輝度低下率およびレンチキュラーレンズフィルムC−1の物性を評価した。
評価結果を表2に示す。
【0213】
[比較例3](プリズム/PC単層)
実施例2と同様の金型を用い、ポリカーボネートフィルム(PCフィルム)の片面に熱プレスすることにより、そりがほとんどない、プリズム列を有するプリズムレンズフィルムD−1を得た。
【0214】
実施例2と同様にして得られたプリズムレンズフィルムD−1を用いたバックライトの輝度、正面輝度低下率およびプリズムレンズフィルムD−1の物性を評価した。
評価結果を表2に示す。
【0215】
[比較例4](レンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂:直鎖アルキレンジアクリレート無し)
ウレタンアクリレート100部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3部を均一に混合することで得たUV硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、そりがほとんどない、レンチキュラーレンズ列を有するレンチキュラーレンズフィルムA−10を得た。
得られたレンズフィルムA−10の密着性を評価した。
評価結果を表2に示す。
【0216】
[比較例5](レンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂:ウレタンアクリレート無し)
1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト100部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3部を均一に混合することで得たUV硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、そりがほとんどない、レンチキュラーレンズ列を有するレンチキュラーレンズフィルムA−11を得た。
得られたレンズフィルムA−11の密着性を評価した。
評価結果を表2に示す。
【0217】
[比較例6](プリズム/PET/UV硬化樹脂:屈折率差>0.1)
UV硬化性樹脂組成物として(VDF/TFE/HFPフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンの共重合体(アルケマ社製、商品名「カイナーADS」)20部、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(大阪有機化学製、商品名「ビスコート17F」)60部、ネオペンチルグリコールジアクリレート(新中村化学工業社製、商品名「NKエステルA-NPG」)15部、ネオペンチルグリコールとヒドロキシピバリンとの反応物(日本化薬社製、商品名「KAYARAD MANDA」)2部、イソボルニルアクリレート3部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3部を均一に混合することで得たUV硬化性樹脂組成物)を用いたこと以外は比較例1と同様にして、そりがほとんどない、プリズム列を有するレンズフィルムB−2を得た。
得られたレンズフィルムB−2の輝度を実施例2と同様にして評価した。
【0218】
評価結果を表2に示す。レンズおよび硬化層レンズおよび硬化層の屈折率とノルボルネン系原反Aの屈折率の差の最大値は、波長400〜700nmの範囲で0.1以上であった。
【0219】
<レンズフィルムの組合せ>
なお、以下において「上に配置する」とは、下となる導光板やレンズフィルムと接するように配置してもよいし、所定の空間を開けて配置してもよい。
【0220】
[実施例7](プリズム/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂+プリズム/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂)
プリズムレンズフィルムA−2のレンズ列を光源1の長軸方向と平行にし、硬化層が入射面となるように(導光板の出射面側と向かい合うように)導光板上に配置し、更にその上にプリズムレンズフィルムA−2のレンズ列を光源1の長軸と同一面内で垂直な方向と平行にし、硬化層が入射面となるように(プリズムレンズフィルムA−2の出射面側と向かい合うように)プリズムレンズフィルムA−2上に配置することでバックライトユニットを構成した。作製したバックライトユニットを点灯させ、輝度、正面輝度低下率、輝度均一性を測定した。
評価結果を表3に示す。
【0221】
[実施例8](プリズム/ノルボルネン系樹脂フィルム/粒子入りUV硬化樹脂+プリズム/ノルボルネン系樹脂フィルム/粒子入りUV硬化樹脂)
プリズムレンズフィルムA−2に替えて、プリズムレンズフィルムA−4を用いたこと以外は実施例7と同様にしてバックライトユニットを作製し、輝度、正面輝度低下率および輝度の均一性を評価した。
評価結果を表3に示す。
【0222】
[実施例9](レンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/UV硬化樹脂+UV硬化樹脂/ノルボルネン系樹脂フィルム/逆プリズム)
UV硬化性樹脂組成物にてレンズ列を形成する際に、頂角65度、ピッチ10μmのプリズム形状のレンズ列が形成された金型を用いたこと以外は実施例2と同様にして、そりがほとんどない、プリズム列を有するプリズムレンズフィルムA−7を得た。
【0223】
得られたプリズムレンズフィルムA−7のレンズ列を光源2の長軸方向と平行にし、プリズム列面が入射面となるように(導光板の出射面側と向かい合うように)導光板上に配置し、更にその上にレンチキュラーレンズフィルムA−1のレンズ列を光源2の長軸と同一面内で垂直な方向と平行にし、レンチキュラーレンズ面が入射面となるように(プリズムレンズフィルムA−7の出射面側と向かい合うように)プリズムレンズフィルムA−7上に配置することでバックライトユニットを構成した。作製したバックライトユニットを点灯させ、輝度、正面輝度低下率および輝度の均一性を評価した。
評価結果を表3に示す。
【0224】
[実施例10](台形レンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/逆プリズム:一枚構成)
UV硬化性樹脂にてレンズ列を形成する際に、等脚台形の斜辺角度45度、ピッチ40μmのレンチキュラー形状のレンズ列が形成された金型を用いてレンチキュラーレンズ列を形成し、もう一方の面に、頂角65度、ピッチ10μmのプリズム形状のレンズ列が形成された金型を用いて、レンチキュラーレンズ列と直交するようにプリズム列を形成したこと以外は実施例1と同様にして、そりがほとんどない、両面にレンズ列を有するレンズフィルムA−8を得た。
【0225】
得られたレンズフィルムA−8のプリズム列を光源2の長軸方向と平行にし(レンチキュラーレンズ列は光源2の長軸と同一面内で垂直な方向と平行)、プリズム列面が入射面となるように(導光板の出射面側と向かい合うように)配置して導光板上に配置することでバックライトユニットを構成した。作製したバックライトユニットを点灯させ、輝度、正面輝度低下率および輝度の均一性を評価した。
評価結果を表3に示す。
【0226】
[実施例11](粒子入り台形レンチキュラー/ノルボルネン系樹脂フィルム/粒子入り逆プリズム)
レンチキュラーレンズ列およびプリズム列を形成する際に、粒子を10重量部分散させたUV硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例10と同様にして、そりがほとんどない、両面にレンズ列を有するレンズフィルムA−9を得た。
【0227】
得られたレンズフィルムA−9の輝度、正面輝度低下率および輝度の均一性は実施例10と同様にして評価した。
評価結果を表3に示す。
【0228】
<レンズフィルムの組合せ>
[比較例7](プリズム/PET/UV硬化樹脂+プリズム/PET/UV硬化樹脂)
レンズフィルムA−2に替えて、レンズフィルムB−1を用いたこと以外は実施例7と同様にしてバックライトユニットを作製し、輝度および輝度の均一性を評価した。
評価結果を表3に示す。
【0229】
[比較例8](拡散板+プリズム/PET/UV硬化樹脂+プリズム/PET/UV硬化樹脂)
二枚のレンズフィルムB−1の上に拡散板を加えて配置したこと以外は比較例7と同様にしてバックライトユニットを作製し、輝度および輝度の均一性を評価した。
評価結果を表3に示す。
【0230】
【表1】
【0231】
【表2】
【0232】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0233】
本発明のレンズフィルムは、パソコン用ディスプレイ、情報端末機器等の画像表示手段、テレビ等の家電の画像表示手段、さらには車載用ディスプレイ等の液晶パネルを使用した液晶表示装置等に好適に用いることができる。特に、これらの液晶表示装置のバックライトユニット等に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0234】
1,7,13:ノルボルネン系樹脂フィルム
2,14:レンチキュラーレンズ
3,15:レンチキュラーレンズ列
4,4':レンチキュラーレンズの凸面の形状
5,5':レンチキュラーレンズの土台部分
6,12:硬化層
A:レンチキュラーレンズのピッチ
B:レンチキュラーレンズの凸面の形状の高さ
C:レンチキュラーレンズの土台部分の高さ
8,16:プリズムレンズ
9,17:プリズムレンズ列
10:プリズムレンズの凸面の形状
11:プリズムレンズの土台部分
A':プリズムレンズのピッチ
B':プリズムレンズの凸面の形状の高さ
C':プリズムレンズの土台部分の高さ
18,24,30:導光板
19:レンチキュラー/プリズムレンズフィルム
20:液晶パネル
21,29,32:バックライトユニット
22:プリズムレンズ
23:レンチキュラーレンズ
25:拡散板
26:BEF
27:DBEF−D
28:ルーバーフィルム
30:レンチキュラーレンズ
31:プリズムレンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノルボルネン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)直鎖アルキレンジ(メタ)アクリレートおよび(C)光重合開始剤を含有するUV硬化性樹脂組成物から形成されてなるレンズ列を有し、ノルボルネン系樹脂フィルムとレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差の最大値が0.1以下であることを特徴とするレンズフィルム。
【請求項2】
前記ノルボルネン系樹脂フィルムが下記一般式(1)で表される構造単位を有する(共)重合体を用いて形成されてなることを特徴とする請求項1に記載のレンズフィルム。
【化1】
[式(1)中、mは1以上の整数、pは0以上の整数であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、
R1〜R4は、それぞれ独立に下記(a)〜(e)で表されるものを表すか、(f)または(g)を表す。
(a)水素原子、
(b)ハロゲン原子、
(c)酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を含む置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(d)置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(e)極性基、
(f)R1とR2、またはR3とR4が、相互に結合して形成されたアルキリデン基を表し、前記結合に関与しないR1〜R4は相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す、
(g)R1とR2、R3とR4、またはR2とR3が、相互に結合して形成された芳香環あるいは非芳香環の単環もしくは多環の炭化水素環または複素環を表し、前記結合に関与しないR1〜R4は相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す。]
【請求項3】
前記レンズ列がレンチキュラーレンズ列であり、該レンチキュラーレンズ列が前記ノルボルネン系樹脂フィルムの片面に形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズフィルム(I)。
【請求項4】
前記ノルボルネン系樹脂フィルムのレンチキュラーレンズ列が形成されていない方の面に前記UV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層を有することを特徴とする請求項3に記載のレンズフィルム(I)。
【請求項5】
前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(D)光拡散性粒子を含有することを特徴とする請求項3または4に記載のレンズフィルム(I)。
【請求項6】
前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のレンズフィルム(I)。
【請求項7】
前記レンズ列がプリズムレンズ列であり、該プリズムレンズ列が前記ノルボルネン系樹脂フィルムの片面に形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズフィルム(II)。
【請求項8】
前記ノルボルネン系樹脂フィルムのプリズムレンズ列が形成されていない方の面に前記UV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層を有することを特徴とする請求項7に記載のレンズフィルム(II)。
【請求項9】
前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(D)光拡散性粒子を含有することを特徴とする請求項7または8に記載のレンズフィルム(II)。
【請求項10】
前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のレンズフィルム(II)。
【請求項11】
請求項3〜6のいずれかに記載のレンズフィルム(I)と、請求項7〜10のいずれかに記載のレンズフィルム(II)とを有することを特徴とするバックライトユニット。
【請求項12】
前記ノルボルネン系樹脂フィルムの両面に、前記レンズ列を有するレンズフィルムであって、一方の面のレンズ列がレンチキュラーレンズ列であり、かつ、他方の面のレンズ列がプリズムレンズ列であることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズフィルム(III)。
【請求項13】
前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(D)光拡散性粒子を含有することを特徴とする請求項12に記載のレンズフィルム(III)。
【請求項14】
前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする請求項12または13に記載のレンズフィルム(III)。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれかに記載のレンズフィルム(III)を有することを特徴とするバックライトユニット。
【請求項1】
ノルボルネン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)直鎖アルキレンジ(メタ)アクリレートおよび(C)光重合開始剤を含有するUV硬化性樹脂組成物から形成されてなるレンズ列を有し、ノルボルネン系樹脂フィルムとレンズの波長400〜700nmの範囲における屈折率差の最大値が0.1以下であることを特徴とするレンズフィルム。
【請求項2】
前記ノルボルネン系樹脂フィルムが下記一般式(1)で表される構造単位を有する(共)重合体を用いて形成されてなることを特徴とする請求項1に記載のレンズフィルム。
【化1】
[式(1)中、mは1以上の整数、pは0以上の整数であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、
R1〜R4は、それぞれ独立に下記(a)〜(e)で表されるものを表すか、(f)または(g)を表す。
(a)水素原子、
(b)ハロゲン原子、
(c)酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を含む置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(d)置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(e)極性基、
(f)R1とR2、またはR3とR4が、相互に結合して形成されたアルキリデン基を表し、前記結合に関与しないR1〜R4は相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す、
(g)R1とR2、R3とR4、またはR2とR3が、相互に結合して形成された芳香環あるいは非芳香環の単環もしくは多環の炭化水素環または複素環を表し、前記結合に関与しないR1〜R4は相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す。]
【請求項3】
前記レンズ列がレンチキュラーレンズ列であり、該レンチキュラーレンズ列が前記ノルボルネン系樹脂フィルムの片面に形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズフィルム(I)。
【請求項4】
前記ノルボルネン系樹脂フィルムのレンチキュラーレンズ列が形成されていない方の面に前記UV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層を有することを特徴とする請求項3に記載のレンズフィルム(I)。
【請求項5】
前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(D)光拡散性粒子を含有することを特徴とする請求項3または4に記載のレンズフィルム(I)。
【請求項6】
前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のレンズフィルム(I)。
【請求項7】
前記レンズ列がプリズムレンズ列であり、該プリズムレンズ列が前記ノルボルネン系樹脂フィルムの片面に形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズフィルム(II)。
【請求項8】
前記ノルボルネン系樹脂フィルムのプリズムレンズ列が形成されていない方の面に前記UV硬化性樹脂組成物により形成された硬化層を有することを特徴とする請求項7に記載のレンズフィルム(II)。
【請求項9】
前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(D)光拡散性粒子を含有することを特徴とする請求項7または8に記載のレンズフィルム(II)。
【請求項10】
前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記硬化層を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のレンズフィルム(II)。
【請求項11】
請求項3〜6のいずれかに記載のレンズフィルム(I)と、請求項7〜10のいずれかに記載のレンズフィルム(II)とを有することを特徴とするバックライトユニット。
【請求項12】
前記ノルボルネン系樹脂フィルムの両面に、前記レンズ列を有するレンズフィルムであって、一方の面のレンズ列がレンチキュラーレンズ列であり、かつ、他方の面のレンズ列がプリズムレンズ列であることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズフィルム(III)。
【請求項13】
前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(D)光拡散性粒子を含有することを特徴とする請求項12に記載のレンズフィルム(III)。
【請求項14】
前記レンチキュラーレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物、前記プリズムレンズ列を形成するUV硬化性樹脂組成物の少なくとも一方が更に(E)脂環式アルキル(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする請求項12または13に記載のレンズフィルム(III)。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれかに記載のレンズフィルム(III)を有することを特徴とするバックライトユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−224113(P2010−224113A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69890(P2009−69890)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】
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