説明

レンズユニット、LEDヘッド、露光装置、画像形成装置および読取装置

【課題】焦点深度が深い光学系を提供する。
【解決手段】物体の倒立像を中間像面上に中間像として形成する第1のレンズと該第1のレンズが形成した中間像の倒立像を結像面上に形成する第2のレンズとからなるレンズ対が、該レンズ対の光軸と直交する方向へ略直線に複数配列されたレンズアレイを有するレンズユニットにおいて、前記第1のレンズの第1主平面と物体面との距離をSO1、前記第1のレンズの第2主平面と前記中間像面との距離をSI1、前記第2のレンズの第1主平面と前記中間像面との距離をSO2、前記第2のレンズの第2主平面と前記結像面との距離をSI2としたとき、距離SO1の距離SI1に対する比が、距離SI2の距離SO2に対する比に略等しく、前記第1のレンズと前記物体面との間隔が、前記第2のレンズと前記結像面との間隔と異なるように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズユニット、LEDヘッド、露光装置、画像形成装置および読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレンズユニットは、複数のLED(発光ダイオード)を直線状に配列したLEDヘッドを用いた電子写真方式の画像形成装置や、複数の受光素子を直線状に配列した受光部に読取り原稿の像を結像させるスキャナやファクシミリ等の読取装置の結像面に物体の正立等倍像をライン状に形成することができる光学系として用いられている。
【0003】
このレンズユニットを、物体の縮小倒立像を形成するレンズと、拡大倒立像を形成するレンズとを対向させて配置したレンズ対として構成し、複数の該レンズ対を略直線状に配列して物体の正立等倍像をライン状に形成する光学系として構成するようにしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−221445号公報(段落「0017」〜段落「0023」、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、レンズ対と結像面の間隔が変化すると結像が分裂して形成されるため、焦点深度を深くすることができないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、焦点深度が深い光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本発明による光学系は、物体の倒立像を中間像面上に中間像として形成する第1のレンズと該第1のレンズが形成した中間像の倒立像を結像面上に形成する第2のレンズとからなるレンズ対が、該レンズ対の光軸と直交する方向へ略直線に複数配列されたレンズアレイを有するレンズユニットにおいて、前記第1のレンズの第1主平面と物体面との距離をSO1、前記第1のレンズの第2主平面と前記中間像面との距離をSI1、前記第2のレンズの第1主平面と前記中間像面との距離をSO2、前記第2のレンズの第2主平面と前記結像面との距離をSI2としたとき、距離SO1の距離SI1に対する比が、距離SI2の距離SO2に対する比に略等しく、前記第1のレンズと前記物体面との間隔が、前記第2のレンズと前記結像面との間隔と異なるように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このようにした本発明は、焦点深度の深い光学系を構成することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施例におけるレンズユニットの断面図
【図2】第1の実施例におけるプリンタの構成を示す概略図
【図3】第1の実施例におけるLEDヘッドの概略説明図
【図4】第1の実施例におけるLEDヘッドの概略断面図
【図5】第1の実施例におけるレンズユニットの分解斜視図
【図6】第1の実施例におけるレンズユニットのAA断面図
【図7】第1の実施例におけるレンズユニットの平面図
【図8】第1の実施例における遮光部材の平面図
【図9】第1の実施例におけるレンズユニットのBB断面図
【図10】第1の実施例におけるLED素子とマイクロレンズの位置関係を示す説明図
【図11】第1の実施例におけるレンズユニットの動作を示す説明図
【図12】第1の実施例における焦点距離測定器の構成を示す説明図
【図13】第1の実施例における画像形成装置の画像評価の説明図
【図14】第2の実施例における読取装置の構成を示す概略図
【図15】第2の実施例における読取装置の読取ヘッドの構成を示す概略図
【図16】第2の実施例における読取装置の読取ヘッドの動作を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明によるレンズユニット、LEDヘッド、露光装置、画像形成装置および読取装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
本実施例の画像形成装置としてのプリンタを図2の第1の実施例におけるプリンタの構成を示す概略図に基づいて説明する。
【0012】
図2において、プリンタ100は、色材としての顔料を含む樹脂からなるトナーにより、画像データをもとに印字媒体上に画像を形成する。
【0013】
プリンタ100には、印字媒体としての用紙101を貯留する給紙カセット60が装着され、用紙101を給紙カセット60から取り出す給紙ローラ61を備え、用紙101を給紙して搬送する搬送ローラ62、63が配置される。
【0014】
本発明におけるプリンタ100は、カラー電子写真方式であり、プリンタ100内には画像形成部としてイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色の画像を形成する静電潜像担持体としての感光体ドラム41、その感光体ドラム41に形成された静電潜像をトナーにより現像し、トナー像を形成する現像器5、その現像器5にトナーを供給するトナーカートリッジ51が用紙101の搬送路に沿って並べて配置されている。
【0015】
また、感光体ドラム41の表面に電荷を供給して帯電させる帯電ローラ42、光学ヘッドとしてのLEDヘッド3が、感光体ドラム41の表面に対向するように配置され、LEDヘッド3は帯電ローラ42で帯電された感光体ドラム41の表面に画像データをもとに選択的に光を照射して静電画像を形成する。
【0016】
さらに、感光体ドラム41上に形成され、トナーにより静電潜像を可視化した像であるトナー像を用紙101上に転写する転写ローラ80が、転写部で用紙101を搬送する転写ベルト81を挟むように感光体ドラム41に対向して配置され、また用紙101が転写部を通過した後の感光体ドラム41の表面に残留したトナーを除去するクリーニングブレード43が感光体ドラム41の表面に接触して配置されている。
【0017】
転写部の下流には用紙101上に形成されたトナー像を熱および圧力で定着させる定着器9が配置され、その定着器9を通過した用紙101を搬送する搬送ローラ64、その搬送ローラ64により搬送され、画像が形成された用紙101を貯留する排出部7へ排出する排出ローラ65が配置される。
【0018】
また、帯電ローラ42および転写ローラ80には図示しない電源により所定の電圧が印加される。そして、転写ベルト81、感光体ドラム41および各ローラはそれぞれ図示しないモータと図示しない駆動を伝達するギアにより回転駆動される。さらに、現像器5、LEDヘッド3、定着器9、および図示しない各モータには、それぞれ電源および制御装置が接続されている。
【0019】
プリンタ100は、外部装置から印刷データを受信する外部インターフェースを有し、その外部インターフェースで受信した印刷データをもとに印字媒体上に画像を形成する。
【0020】
このように構成されたプリンタ100は、制御プログラムをメモリ等の記憶部に記憶し、その制御プログラムに基づいて全体を制御する制御手段および演算手段としての制御部を備えている。
【0021】
次に、露光装置としてのLEDヘッド3の構成を図3の第1の実施例におけるLEDヘッドの概略説明図に基づいて説明する。
【0022】
LEDヘッド3には、レンズユニット1が配置され、そのレンズユニット1はホルダ34によりLEDヘッド3に固定されている。また、発光部としての複数のLED素子30は図面の水平方向に略直線に配置されている。
【0023】
41は静電潜像が形成される感光体ドラム、PVは感光体ドラム41の回転軸であり、感光体ドラム41は図面の水平方向が回転軸PVとなるように配置されている。
【0024】
レンズユニット1は、長尺であり、略直線に配置されたLED素子30と平行に配置され、またレンズユニット1と感光体ドラム41の回転軸PVは平行に配置される。さらに、レンズユニット1に配列される各マイクロレンズの光軸は図面の鉛直方向になるように配置される。
【0025】
図4は、第1の実施例におけるLEDヘッドの概略断面図であり、図3におけるAA断面図である。
【0026】
図4において、レンズユニット1の各マイクロレンズ12の光軸は図5におけるz方向、レンズユニット1の中心線CLがLED素子30と感光体ドラム41表面を結ぶ線と一致するように配置され、またLED素子30は間隔PDを保持して図5におけるy方向に複数配列されている。さらに、感光体ドラム41は回転軸PVが図5におけるy方向になるように配置されている。
【0027】
LED素子30およびドライバIC31は配線基板33上に配置されている。LED素子30とドライバIC31はワイヤ32により結線され、発光部としてのLED素子30はドライバIC31により制御されて発光する。
【0028】
このレンズユニット1により、感光体ドラム41にLED素子30の像が結像し、感光体ドラム41の回転に合わせてLED素子30を発光させることにより感光体ドラム41上に静電潜像が形成される。
【0029】
本実施例においては、LEDヘッド3は600dpi(dots per inch)の解像度であり、LED素子30が1インチ当たり(1インチは約25.4mm)600個配置されている。すなわち、LED素子30が、間隔PDを0.0423mmとして配列されている。
【0030】
次に、レンズユニット1の構成を図5の第1の実施例におけるレンズユニットの分解斜視図に基づいて説明する。
【0031】
図5において、レンズユニット1は、レンズ素子の集合体としてのレンズアレイ10と遮光部材としての遮光板20とからなり、2枚のレンズアレイ10が遮光板20を挟んで対向して配置されている。
【0032】
そのレンズアレイ10には、複数のレンズ素子としてのマイクロレンズ12がy方向に略直線状に配列されている。また、遮光板20には、絞りとしての略半円形状の開口部22がy方向に略直線状に複数配列され、LED素子30からの発光光線がレンズアレイ10のマイクロレンズ12の配置に対応するように貫通孔として形成された各開口部22を通して透過する。
【0033】
マイクロレンズ12と開口部22の配列方向はy方向であり、互いに平行し、またマイクロレンズ12と開口部22の光線の透過方向はz方向で略同一方向である。
【0034】
図6は第1の実施例におけるレンズユニットの断面図であり、図3のAAの位置におけるマイクロレンズ12の配列方向(図5におけるy方向)と直交する平面による断面図である。
【0035】
図6において、AXは、図面における右側の列のマイクロレンズ12の光軸であり、図面の鉛直方向(図5におけるz方向)に配置されている。また、マイクロレンズ12の配列方向は図面と直交する方向(図5におけるy方向)となるように配列されている。
【0036】
CLは、マイクロレンズ12の配列方向(図5におけるy方向)と光軸AX(図5におけるz方向)の両方に直交する方向(レンズアレイ幅方向:図5におけるx方向)におけるレンズユニット1の中央(マイクロレンズ12の2つ配列の中心位置)を示す中心線である。
【0037】
レンズユニット1は、2枚のレンズアレイ10の各マイクロレンズ12の光軸AXが一致し、さらに遮光板20の開口部22の位置が光軸AXに一致している。すなわち、レンズユニット1は、光軸AXが一致するように配置された2枚のマイクロレンズ12からなるレンズ対を光軸AXに対して直交する方向(図5におけるy方向)に2列に配列した構成となっている。
【0038】
図7は、第1の実施例におけるレンズアレイの平面図である。図7におけるレンズアレイ10は、レンズユニット1の物体側を示している。
【0039】
図7において、レンズアレイ10には、複数のマイクロレンズ12が、平行する2列の略直線に交互に配置され、各列で並ぶそれぞれのマイクロレンズ12の間隔はPY、二つの平行する列、すなわちマイクロレンズ12の配列方向と光軸AXの両方に直交する方向(図5におけるx方向)の間隔はPXである。
【0040】
2列のマイクロレンズ12の各列と図示しない複数のLED素子30が配置された直線は互いに平行であり、また2列のマイクロレンズ12の各列と図示しない複数のLED素子30が配置された直線との距離は等しくなるように構成されている。
【0041】
列間で隣接するマイクロレンズ12の中心間を間隔PNとすると、間隔PN<間隔PYとなっており、2つの列間で隣接するマイクロレンズ12は互いにオーバーラップするようにマイクロレンズ12の表面が途中で連結されて配置されている。また、マイクロレンズ12は、半径RLの円と半径RLの円の中心から間隔PN/2を隔てた位置にある直線とからなる形状となっている。
【0042】
ここで、レンズアレイ10を結像面側に配置する場合の構成を説明する。この場合、レンズアレイ10の各部の構成は、物体面側に配置する場合と同様であるが、寸法が異なる。つまり、図7示したマイクロレンズ12の各寸法のうち、半径が異なり、半径RLを半径RL2に置き換えることにより、結像面側に配置されるレンズアレイ10を示すものとする。
【0043】
なお、レンズアレイ10は、物体(LED素子30)からの光線を透過する素材により形成されている。
【0044】
本実施例のレンズユニット1では、レンズアレイ10はシクロオレフィン系樹脂である光学樹脂(日本ゼオン社製、商品名;ZEONEX(ゼオネックス)(登録商標)E48R)を使用し、射出成型により複数のマイクロレンズ12を一体に成型した。
【0045】
マイクロレンズ12の各曲面(マイクロレンズ12と空気層の境界面)は数式1で表される多項式非球面で構成される。Z(r)は、マイクロレンズ12の光軸に平行な方向を軸とし、半径方向の座標をrとした回転座標系を示し、マイクロレンズ12の各曲面の頂点を原点とし、マイクロレンズ12側の方向を正の数で表し、空気層側の方向を負の数で表す。このとき、半径rはX座標、Y座標の値を用いて、数式2で表される。kはコーニック定数、Cは曲率半径、Aは非球面係数、lとmは正の整数である。
【数1】


【数2】

【0046】
図8は、第1の実施例における遮光板の平面図である。
図8において、遮光板20には、間隔PYで略直線に開口部22が形成され、その開口部22は、マイクロレンズ12の光軸AX(図5におけるz方向)と開口部22の配列方向(図5におけるy方向)の両方に直交する方向(図5におけるx方向)に間隔PXで2列に配列されている。
【0047】
また、開口部22は、隣接するマイクロレンズ12に対応してその中心間を間隔PNとして形成され、間隔PN<間隔PYとなっている。さらに、開口部22は、半径RAの円の中心から距離RAXを隔てた位置にある開口部22の配列方向(図5におけるy方向)と平行な直線と、半径RAの円とからなる形状である。
【0048】
開口部22の半径RAの円の中心は、マイクロレンズ12の光軸AXと一致するように構成されている。
なお、遮光板20は、物体(LED素子30)からの光線を遮光する素材により形成されている。
本実施例の遮光板20は、黒色のポリカーボネートを用いて射出成型により作成した。
【0049】
次にレンズユニット1の詳細を図7および図9の第1の実施例におけるレンズアレイの動作を示す説明図に基づいて説明する。図7は、レンズアレイ10の平面図であり、物体(LED素子30)と光軸AXとの位置関係を示す。物体30aは、LED素子30のうち、隣接する2つのマイクロレンズ12の光軸AXの中間にあるものを示している。図9はレンズアレイ10を含むレンズユニット1および物体面OPならびに結像面IPの断面図であり、隣接する2つのマイクロレンズ12の各光軸AXを含む平面による断面図、すなわち図7および図8における直線BBの位置における断面図である。
【0050】
図9において、レンズユニット1の物体面OPから距離LOの位置に第1のレンズアレイ10aが配置され、さらに第2のレンズアレイ10bが第1のレンズアレイ10aと対向して、距離LSを隔てて配置される。レンズユニット1の結像面IPは第2のレンズアレイ10bから光軸AX方向に距離LIを隔てた位置である。
【0051】
遮光板20は、第1のレンズアレイ10aと第2のレンズアレイ10bの間に配置される。また、第1のマイクロレンズ12aと第2のマイクロレンズ12bは、それぞれの光軸が光軸AXに一致するように配置される。
【0052】
本実施例においては、距離LOと距離LIとは、異なる値に構成され、距離LIは距離LOより大きくなるように構成されている。
【0053】
第1のマイクロレンズ12aは、厚さがLT1であり、光軸AX方向に距離LO1の位置にある物体30aの像を中間像30bとして、光軸AX方向に距離LI1離れた中間像面IMPに形成する。
【0054】
第2のマイクロレンズ12bは、厚さがLT2であり、距離LO2の位置にある中間像面IMP上の中間像30bの結像30cを、光軸AX方向に距離LI2隔てた位置に形成する。
【0055】
レンズユニット1の物体面OPから第1のマイクロレンズ12aまでの距離LOは距離LO1と等しく設定され、第1のマイクロレンズ12aと第2のマイクロレンズ12bの間隔LSは、(距離LI1+距離LO2)に設定され、第2のマイクロレンズ12bからレンズユニット1の結像面IPまでの距離LIは距離LI2と等しく設定される。
【0056】
本実施例においては、距離LO1と距離LI2とは異なる値に構成され、結像面IPである感光体ドラム41が回転体であるため、面間隔の変動が発生しやすい距離LI2が距離LO1と比べて大きくなるように構成されている。
【0057】
このようにレンズユニット1は、遮光板20を挟んで2個のレンズアレイ10が対向して結像面に結像できる間隔で保持されて配置され、正立等倍率の光学系を形成している。このように光軸が一致する2個のマイクロレンズ12からなる光学系は、LED素子30の像を感光体ドラム41の表面に正立等倍率で結像することができる。
【0058】
また、遮光板20は、レンズアレイ10の間にあって光軸が一致する2個のマイクロレンズからなる光学系に他の光学系から入る迷光(一部の光)を遮断するとともに他の光学系に迷光を出さないように遮断している。
【0059】
上述した構成の作用について説明する。
まず、プリンタ100の動作を図2に基づいて説明する。
【0060】
プリンタ100の感光体ドラム41表面は、図示しない電源装置により電圧が印加された帯電ローラ42により帯電される。続いて、感光体ドラム41が回転することによって帯電された感光体ドラム41表面がLEDヘッド3の付近に到達するとLEDヘッド3によって露光され、感光体ドラム41表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像器5により現像され、感光体ドラム41の表面にトナー像が形成される。
【0061】
一方、給紙カセット60にセットされた用紙101が給紙ローラ61によって給紙カセット60から取り出され、搬送ローラ62、63により、転写ローラ80および転写ベルト81の付近に搬送される。
【0062】
感光体ドラム41が回転することにより、現像によって得られた感光体ドラム41表面上のトナー像が転写ローラ80および転写ベルト81の付近に到達すると図示しない電源装置により電圧が印加されている転写ローラ80および転写ベルト81によって、感光体ドラム41表面上のトナー像は用紙101上に転写される。
【0063】
続いて、表面にトナー像が形成された用紙101は、転写ベルト81の回転により定着器9へ搬送され、用紙101上のトナー像はその定着器9により加圧されながら加熱されることにより溶解し、用紙101上に固定される。トナー像が固定された用紙101は、搬送ローラ64および排出ローラ65により排出部7に排出されてプリンタ100の動作が終了する。
【0064】
次に、露光装置としてのLEDヘッド3の動作を図4に基づいて説明する。
画像データをもとにプリンタ100の制御部によりLEDヘッド3の制御信号が発信されるとドライバIC31はその制御信号に基づき任意の光量でLED素子30が発光する。そのLED素子30からの光線はレンズユニット1に入射し、感光体ドラム41上に結像が形成される。
【0065】
次に、レンズユニット1の動作を図9に基づいて説明する。
物体30aとしてのLED素子30の光線は第1のマイクロレンズ12aに入射し、その第1のマイクロレンズ12aによって光軸AX方向に距離LI1隔てた位置にある中間像面MIP上に中間像30bが形成される。このとき、遮光板20により、中間像30bの形成に寄与しない光線の一部が遮光される。
【0066】
さらに、第2のマイクロレンズ12bによってその中間像30bの像である結像30cが結像面IP上に形成されることにより、物体30aの結像30cが結像面IP上に形成される。このとき、遮光板20により、結像30cの形成に寄与しない光線の一部が遮光される。
【0067】
中間像30bは第1のマイクロレンズ12aによる物体30aの倒立縮小像であり、結像30cはその中間像30bの第2のマイクロレンズ12bによる倒立拡大像である。
また、第1のマイクロレンズ12aと第2のマイクロレンズ12bとの間では物体面上の各点からの光線の主光線が平行である、いわゆるテレセントリックになっている。
このようにしてレンズユニット1は物体30aの正立等倍像を形成する。
【0068】
次に、レンズユニット1の動作について図1を用いて説明する。
図1は、第1のマイクロレンズ12a、開口部22および第2のマイクロレンズ12bの断面図である。
図1において、物体30aは、物体面OP上の任意の位置に配置されているものとし、光軸AXと物体30aの距離をROとする。また、結像30cは物体30aのレンズユニット1による結像であり、光軸AXと結像30cの距離をREとする。
【0069】
図1には、物体30aから発せられた光線のうち、結像30cの形成に寄与する主光線BCを示す。第1のマイクロレンズ12aと第2のマイクロレンズ12bとの間はテレセントリックであるため、第1のマイクロレンズ12aと第2のマイクロレンズ12bの間で主光線BCは、光軸AXに平行である。
【0070】
また、第1のマイクロレンズ12aの第1焦点面をFP1、第2のマイクロレンズ12bの第2焦点面をFP2、第1のマイクロレンズ12aの第1主平面をHF1、第1のマイクロレンズ12aの第2主平面をHS1、第2のマイクロレンズ12bの第1主平面をHF2、第2のマイクロレンズ12bの第2主平面をHS2とし、物体面OPから第1主平面HF1までの距離をSO1、第2主平面HS1から中間像面IMPまでの距離をSI1、中間像面IMPから第1主平面HF2までの距離をSO2、結像面IPから第2主平面HS2までの距離をSI2とする。
【0071】
さらに、第1のマイクロレンズ12aの焦点距離はF1であり、第1焦点面FP1から第1主平面HF1までの距離がF1となり、第2のマイクロレンズ12bの焦点距離はF2であり、第2焦点面FP2から第2主平面HS2までの距離がF2となる。また、開口部22の開口の半径RAは、光軸AXから開口部22の内壁までの距離である。
【0072】
図1において、物体30aの光軸AXからの距離ROは、中間像30bの光軸AXからの距離RMを用いて、数式3で表される。
【数3】

【0073】
さらに、一般に物体と結像とが共役であるとき(物体からの光線が結像の位置で集光するとき)、第1主平面と物体面との距離SO、第2主平面と結像面との距離SI、レンズの焦点距離Fとすると数式4で表すガウスのレンズの公式が成り立つ。
【数4】

【0074】
数式4の距離SOを距離SO1、距離SIを距離SI1、焦点距離Fを焦点距離F1に置き換えた式と、数式3から数式5が成り立つ。
【数5】

【0075】
また、図1において、結像30cの光軸AXからの距離REは、中間像30bの光軸AXからの距離RMを用いて、数式6で表される。
【数6】

【0076】
数式4の距離SOを距離SO2、距離SIを距離SI2、焦点距離Fを焦点距離F2に置き換えた式と、数式6から数式7が成り立つ。
【数7】

【0077】
レンズユニット1は、正立等倍像を形成するから距離RE=距離ROであって、数式5および数式7から数式8が成り立つ。
【数8】

【0078】
つまり、距離SO1の距離SI1に対する比が、距離SI2の距離SO2に対する比に等しく、レンズユニット1は正立等倍像を形成する。
このとき、距離SO1≒距離LO1、距離SI1≒距離LI1、距離SO2≒距離LO2、距離SI2≒距離LI2から数式9が成り立つ。
【数9】

【0079】
つまり、距離LO1の距離LI1に対する比が、距離LI2の距離LO2に対する比に等しく、レンズユニット1は正立等倍像を形成する。

また、第1のマイクロレンズ12aの視野半径(レンズの最大視野の半径)をRVとすると、距離RMの最大値が距離RAであるから、数式3より数式10が成り立つ。
【数10】

【0080】
同様に、数式5より数式11が成り立つ。
【数11】


次に、図10を用いてレンズユニット1の動作を説明する。図10は、LED素子30とマイクロレンズ12の位置関係を示している。
【0081】
図10の(a)から(d)の各図は、物体面OP上にマイクロレンズ12の光軸AXの位置とマイクロレンズ12の最大視野CVを示している。図において、マイクロレンズ12の配列方向およびLED素子30の配列方向はともに、図面の鉛直(上下)方向であり、光軸AXは図面(紙面)と直交する方向に配置されている。
【0082】
マイクロレンズ12を2列に配列した場合、図10(a)は、LED素子30の配列された直線上で2つのレンズ対の最大視野CVが重なり、レンズ対の視野半径RVが最も小さい場合を示し、図10(b)は、LED素子30の配列された直線上で2つのレンズ対の最大視野CVが重なり、レンズ対の視野半径RVが最も大きい場合を示している。
【0083】
レンズを2列に配列した場合のレンズ対の視野半径RVを、第1のマイクロレンズ12aのレンズの配列間隔PYおよび配列間隔PXで表すと数式12となる。
【数12】

【0084】
数式10と数式12より、数式13が成り立つ。
【数13】

【0085】
また、距離LO1≒距離SO1より、数式14が成り立つ。
【数14】

【0086】
さらに、数式11と数式12より、数式15が成り立つ。
【数15】

【0087】
また、距離LO1≒距離SO1、距離LI1≒距離SI1より、数式16が成り立つ。
【数16】


また、マイクロレンズ12を1列に配列した場合、図10(c)は、2つのレンズ対の視野が重なり、かつレンズ対の視野半径RVが最も小さい場合を示し、図10(d)は、2つのレンズ対の視野が重なり、かつレンズ対の視野半径RVが最も大きい場合を示している。
【0088】
レンズを1列に配列した場合のレンズ対の視野半径RVを、第1のマイクロレンズ12aのレンズの配列間隔PYで表すと数式17となる。
【数17】

【0089】
数式10と数式17より、数式18が成り立つ。
【数18】

【0090】
また、距離LO1≒距離SO1より、数式19が成り立つ。
【数19】

【0091】
さらに、数式11と数式17より、数式20が成り立つ。
【数20】

【0092】
また、距離LO1≒距離SO1より、数式21が成り立つ。
【数21】

【0093】
さらに、図11の第1の実施例におけるレンズユニットの動作を示す説明図を用いてレンズユニット1の動作を説明する。
図11において、マイクロレンズ12(第1のマイクロレンズ12a並びに第2のマイクロレンズ12b)および開口部22の配列方向は図面における水平方向、光軸AXは図面における鉛直方向に配置される。物体30aは、各図面の上部に配置され、結像面IPは各図面の下部に配置される。
【0094】
IP´は結像面IPが光軸AXの方向に距離DIPずれた結像面を示し、BCは物体30aからマイクロレンズ12に入射する光線のうち主光線を示している。
【0095】
図11(a)は、本実施例の効果を説明するための従来のレンズユニットの構成での光線を示している。図11(a)において、3つ以上のマイクロレンズ12(レンズ対)の視野が重なる従来のレンズユニットでは、結像面IP´上の結像30c´が3点以上に分裂して形成され、結像30c´は大きさSDAに広がって形成される。したがって、結像面IP´上の結像30c´は、結像面IP上の結像30cと比較して拡大されてしまう。
【0096】
一方、本実施例の構成のレンズユニット1においては、図11(b)に示すように、2つのマイクロレンズ12(レンズ対)の視野が重なるので結像面IP´上の結像30c´が2点に分裂して形成され、結像30c´は大きさSDBに広がって形成されるが、結像面IP´上の結像30c´の大きさSDBは、従来のレンズユニットが形成する結像30c´の大きさSDAに比べて小さく、結像面が同じ距離DIPずれた場合の結像の広がりは小さく、焦点深度が深くなる。
【0097】
さらに、第2のマイクロレンズ12bと結像面IPの距離LI(=距離LI2)を、第1のマイクロレンズ12aと物体面OPの距離LO(=距離LO1)より大きくしたレンズユニット1では、図11(c)に示すように、結像面IP´上の結像30c´の大きさSDCは、大きさSDAやSDBに比べて小さく、結像面が同じ距離DIPずれた場合の結像の広がりは小さく、焦点深度が深くなる。
【0098】
このようにレンズユニット1の距離SO1の距離SI1に対する比が、距離SI2の距離SO2に対する比に略等しく、第1のマイクロレンズ12aと物体面との間隔が、第2のマイクロレンズ12bと結像面との間隔と異なるように構成することにより、結像面側のマイクロレンズと結像面との間隔が変化しても結像が分裂されることが抑制され、レンズユニット1の焦点深度を深くすることができる。
【0099】
次に、焦点測定器を図12の第1の実施例における焦点距離測定器の説明図に基づいて説明する。なお、図12(a)は焦点距離測定器の概略平面図であり、図12(b)は焦点距離測定器の概略側面図である。
【0100】
図12において、焦点測定器200は、回転台201、ステージ202、顕微鏡203および照明装置204から構成される。
【0101】
回転台201は、回転軸201Aを中心に、その回転台201上に配置されているステージ202と披検レンズ12(マイクロレンズ12)を回転できるように構成されている。このステージ202上には披検レンズ12が、その披検レンズ12の光軸AXが顕微鏡203の光軸と一致するように固定される。ステージ202は、光軸AXと平行する方向に移動できるように構成されている。
【0102】
また、顕微鏡203は、光軸AXと平行する方向に移動できるように構成されており、顕微鏡203の結像点の位置を回転軸201Aの位置とした場合を基準に顕微鏡203の移動量が計測できるように構成されている。
照明装置204は、披検レンズ12に平行光線BTが入射するように光線を出射する。
【0103】
次に、焦点距離の測定方法について、図12を用いて説明する。
照明装置204より光線を出射させ、顕微鏡203で披検レンズ12による光線BTの結像を確認しながら、顕微鏡203を披検レンズ12から離れる方向に移動させる。光線BTの結像の大きさが最も小さくなったら、回転台201を微小に回転させても光線BTの結像の位置が変わらないステージ202の位置と顕微鏡203の位置を検出するように、ステージ202と顕微鏡203をそれぞれ別に移動させる。
【0104】
そして、回転台201を微小に回転させても光線BTの結像の位置が変わらなくなったときの顕微鏡203の回転軸201Aの位置からの移動量Z1を計測する。ここで、移動量Z1は、披検レンズ12の焦点距離Fに相当する。また、このときの回転軸201Aの位置は披検レンズ12の第1主平面に相当する。
【0105】
次に、ステージ202の位置は固定したまま、顕微鏡203のみを披検レンズ12へ近づける方向に移動させ、顕微鏡203の結像点が披検レンズ12の面頂点となるように移動させる。そして、顕微鏡203の結像点が披検レンズ12の面頂点となる位置の顕微鏡203の回転軸201Aの位置からの移動量Z2を計測する。
【0106】
さらに、披検レンズ12の面頂点と物体面までの距離LOを別の方法で測定することにより、披検レンズ12の物体面と主平面との距離SOを、SO=移動量Z2+距離LOより求めることができる。
【0107】
以上の焦点距離の測定方法は、ノーダル・スライド法による既知の測定方法である。
【0108】
本実施例のレンズアレイ10を用いたLEDヘッド3について、結像の解像度示すMTF(Modulation Transfer Function:振幅伝達関数)の測定をしたところ80%以上の値を測定した。
【0109】
ここで、MTFとは、露光装置の解像度を示し、露光装置中で点灯しているLED素子30の結像のコントラストを示す。100%が結像のコントラストが最も大きく、露光装置としての解像度が高いことを示し、小さいほど光量のコントラストは小さく、露光装置の解像度は低い。
【0110】
MTF(%)は、結像の光量の最大値をEMAX、隣り合う2つの結像の間の光量の最小値をEMINとしたとき、
MTF=(EMAX−EMIN)/(EMAX+EMIN)×100(%)
のように定義される。
【0111】
このMTFの測定においては、LEDヘッド3のレンズユニット1の結像面IP上、第2のマイクロレンズ12bの結像面側レンズの頂点から距離LI(mm)離れた位置の結像を顕微鏡デジタルカメラにより撮影し、撮影画像よりLED素子30の結像の光量分布を解析し、このMTFを算出した。
【0112】
また、MTFの測定においては、LED素子30の配列間隔PD=0.0423mmであるLEDヘッド3を用いた。
【0113】
さらに、MTFの値と画像形成装置の画像品質について説明する。
【0114】
本来、画像形成装置が形成する画像でトナーが乗らない部分は、静電潜像においては電位が十分に高くなければならない。また、LEDヘッドで形成される結像は暗くなければならない。ところが、MTFの値が小さいとLEDヘッドで形成される結像において、暗くなければならない部分にも光線が入射してしまう。
【0115】
光線が入射してしまうと静電潜像においては電位が十分に高くなければならないところの電位が下がってしまい、本来、画像形成装置の画像でトナーが乗らない部分にトナーが付着してしまう。
【0116】
画像形成装置の画像でトナーが乗らない部分は、本来、用紙の色である白色によって画像が構成されるが、トナーが付着してしまった部分は、トナーの色が混ざって見えるため、画像形成装置の画像品質が低下する。
【0117】
様々な評価を重ねた結果、MTFが80%以上のとき、画像形成装置の画像は筋や濃淡斑のない良好な画像となった。
【0118】
次に、カラーLEDプリンタを用いて本実施例のレンズユニットを実装した画像形成装置の画像を評価したところ、筋や濃淡斑のない良好な画像が得られた。画像形成装置の画像の評価は、印刷領域全面に図13に示した全画素のうち1つおきにドットを形成する画像を形成し、画像品質の良否を評価した。図13において、301はトナーが乗っているドット、302はトナーが乗っていないドットを示している。また、各ドットの間隔PD=0.0423mmである。
【0119】
なお、本実施例では、マイクロレンズ12は回転対称高次非球面で構成したが、これに限られることなく、球面を形成するようにしてもよい。また、アナモフィック非球面、放物面、楕円面、双曲面、コーニック面等の曲面を形成してもよい。
【0120】
また、レンズアレイ10は一般射出成型により作成したが、圧縮射出成型等、その他の成型法でもよく、切削により形成してもよい。さらに、レンズアレイ10の素材は樹脂を用いているがガラスを用いてもよい。
【0121】
また、遮光板20はポリカーボネートを用いて射出成型により作成したが、これに限られることなく、切削加工により作成してもよく、またエッチングなどで作成してもよい。
【0122】
また、発光部としてLED素子30を複数配置したLEDアレイを用いたが、例えば有機EL、半導体レーザーを用いてもよい。
【0123】
以上説明したように、第1の実施例では、物体面OPから第1主平面HF1までの距離SO1の第2主平面HS1から中間像面IMPまでの距離SI1に対する比が、中間像面IMPから第1主平面HF2までの距離SI2の結像面IPから第2主平面HS2までの距離SO2に対する比に等しくなるようにレンズアレイを構成することにより、結像面側のマイクロレンズと結像面との間隔が変化しても結像が分裂されることが抑制され、焦点深度の深い光学系を構成することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0124】
第1の実施例では、本発明によるレンズユニットを画像形成装置としてのプリンタに適用したものとして説明したが、第2の実施例では読取装置に適用した例を説明する。
【0125】
第2の実施例の構成を図14の第2の実施例における読取装置の構成を示す概略図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0126】
図14において、500は、原稿を読取って画像データとしての電子データを生成する読取装置としてのスキャナである。
【0127】
スキャナ500は、読取ヘッド400、ランプ501、原稿台502、レール503、駆動ベルト505、モータ506等で構成されている。
【0128】
読取ヘッド400は、照明装置としてのランプ501により照射され、原稿の表面で反射した光線を取り込み電子データに変換するものである。ランプ501は、照射した光が原稿の表面で反射し、読取ヘッド400内に取り込まれるように配置されている。
【0129】
原稿台502は、電子データが生成される原稿507を載置するものであり、可視光線を透過する素材で形成されている。
【0130】
レール503は、原稿台502の下方に配置され、読取ヘッド400を移動可能にするものであり、読取ヘッド400は、その一部が複数の滑車504により張架された駆動ベルト505に接続され、モータ506で駆動された駆動ベルト505によりレール503上を移動可能に構成されている。
【0131】
次に、読取ヘッド400の構成を図15の第2の実施例における読取装置の読取りヘッドの構成を示す概略図に基づいて説明する。
【0132】
図15において、読取ヘッド400は、レンズユニット1、ラインセンサ401およびミラー402で構成されている。
【0133】
ミラー402は、原稿503で反射された光線の光路を折り曲げてその光線をレンズユニット1に入射させるものである。
【0134】
ラインセンサ401は、複数の受光素子が略直線に配置されており、レンズユニット1により形成された原稿画像の結像を電気信号に変換するものである。このラインセンサ401は、レンズユニット1の幅方向の中央を示す中心線CL上に位置するように配置される。
【0135】
また、図16は本実施例の読取ヘッド400の構成および物体面OP(原稿507)と結像面IPとの位置関係を示している。なお、本実施例のレンズユニット1の構成は第1の実施例と同様であり、原稿507の折れにより面間隔が変動し易い距離LOが距離LIに比べて大きくなっている。
【0136】
なお、本実施例では、ラインセンサ401は600dpiの解像度であり、受光素子が1インチ当たり600個配置されている。すなわち、受光素子の間隔は0.0423mmである。
【0137】
上述した構成の作用について説明する。
【0138】
まず、読取装置の動作を図14に基づいて説明する。
【0139】
ランプ501が点灯し、原稿507の表面を照射することにより、原稿507の表面で反射した光線が読取ヘッド400内に取り込まれる。モータ506により、駆動ベルト505が駆動して読取ヘッド400とランプ501が図14における左右方向に移動し、読取ヘッド400は原稿507の全面から反射した光線を取り込む。
【0140】
次に、読取ヘッド400の動作を図15に基づいて説明する。
【0141】
原稿507で反射された光線は、原稿台502を透過し、ミラー402で光路が折り曲げられ、レンズユニット1に入射する。レンズユニット1により結像された原稿画像の結像はラインセンサ401上に形成され、ラインセンサ401は形成された原稿画像の結像を電気信号に変換して電子データを生成する。
【0142】
本実施例による読取装置を用いて、図13で示すようにドットの間隔PD=0.0423mm、解像度600dpiの全ドットのうち、1つおきにドットを形成した画像を媒体上の印字領域全面に形成した原稿から電子データを形成したところ、原稿と同一の良好な電子データが得られた。
【0143】
なお、本実施例においては、原稿画像を電子データに変換する読取装置としてスキャナを例に説明したが、光学的信号を電気信号に変換するセンサやスイッチ、およびそれらを用いた入出力装置、生体認証装置、通信装置、寸法測定器等であってもよい。
【0144】
以上説明したように、第2の実施例では、読取装置においても第1の実施例と同様の効果が得られ、原稿の折れ等により、物体面側のマイクロレンズと物体面との間隔が変化しても原稿と同一の電子データを得ることができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0145】
1 レンズユニット
3 LEDヘッド
5 現像器
7 排出部
9 定着器
10 レンズアレイ
12 マイクロレンズ
20 遮光板
22 開口部
30 LED素子
31 ドライバIC
32 ワイヤ
33 配線基板
34 ホルダ
41 感光体ドラム
42 帯電ローラ
43 クリーニングブレード
51 トナーカートリッジ
60 給紙カセット
61 給紙ローラ
62、63、64 搬送ローラ
65 排出ローラ
80 転写ローラ
81 転写ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の倒立像を中間像面上に中間像として形成する第1のレンズと該第1のレンズが形成した中間像の倒立像を結像面上に形成する第2のレンズとからなるレンズ対が、該レンズ対の光軸と直交する方向へ略直線に複数配列されたレンズアレイを有するレンズユニットにおいて、
前記第1のレンズの第1主平面と物体面との距離をSO1、前記第1のレンズの第2主平面と前記中間像面との距離をSI1、前記第2のレンズの第1主平面と前記中間像面との距離をSO2、前記第2のレンズの第2主平面と前記結像面との距離をSI2としたとき、距離SO1の距離SI1に対する比が、距離SI2の距離SO2に対する比に略等しく、前記第1のレンズと前記物体面との間隔が、前記第2のレンズと前記結像面との間隔と異なるように形成されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
請求項1のレンズユニットにおいて、
前記第1のレンズと物体面との距離をLO1、前記第1のレンズと前記中間像面との距離をLI1、前記第2のレンズと前記中間像面との距離をLO2、前記第2のレンズと前記結像面との距離をLI2としたとき、距離LO1の距離LI1に対する比が、距離LI2の距離LO2に対する比に略等しく、前記距離LO1が、前記距離LI2と異なるように形成されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2のレンズユニットにおいて、
前記それぞれの第1のレンズと第2のレンズとの間に配置される絞りが略直線に複数形成された遮光部材を備え、
二つの前記レンズ対の視野が重なり合うようにしたことを特徴とするレンズユニット。
【請求項4】
請求項3のレンズユニットにおいて、
前記レンズ対の配列方向の間隔をP、前記第1のレンズの焦点距離をF、前記第1のレンズの第1主平面と物体面との距離をSO、前記光軸と前記絞りの開口部の内壁との距離の最大値をRAとしたとき、数式22を満たすことを特徴とするレンズユニット。
【数22】

【請求項5】
請求項3のレンズユニットにおいて、
前記レンズ対の配列方向の間隔をP、前記第1のレンズの焦点距離をF、前記第1のレンズと物体面との距離をLO、前記光軸と前記絞りの開口部の内壁との距離の最大値をRAとしたとき、数式23を満たすことを特徴とするレンズユニット。
【数23】

【請求項6】
請求項3のレンズユニットにおいて、
前記レンズ対の配列方向の間隔をP、前記第1のレンズの第1主平面と物体面との距離をSO、前記第1のレンズの第2主平面と前記中間像面との距離をSI、前記光軸と前記絞りの開口部の内壁との距離の最大値をRAとしたとき、数式24を満たすことを特徴とするレンズユニット。
【数24】

【請求項7】
請求項3のレンズユニットにおいて、
前記レンズ対の配列方向の間隔をP、前記第1のレンズと物体面との距離をLO、前記第1のレンズと前記中間像面との距離をLI、前記光軸と前記絞りの開口部の内壁との距離の最大値をRAとしたとき、数式25を満たすことを特徴とするレンズユニット。
【数25】

【請求項8】
請求項3のレンズユニットにおいて、
前記レンズ対は、該レンズ対の光軸と直交する方向へ2列に配列され、
前記レンズ対の配列方向の間隔をPY、前記レンズ対の配列方向と直交する方向の間隔をPX、前記第1のレンズの焦点距離をF、前記第1のレンズの第1主平面と物体面との距離をSO、前記光軸と前記絞りの開口部の内壁との距離の最大値をRAとしたとき、数式26を満たすことを特徴とするレンズユニット。
【数26】

【請求項9】
請求項3のレンズユニットにおいて、
前記レンズ対は、該レンズ対の光軸と直交する方向へ2列に配列され、
前記レンズ対の配列方向の間隔をPY、前記レンズ対の配列方向と直交する方向の間隔をPX、前記第1のレンズの焦点距離をF、前記第1のレンズと物体面との距離をLO、前記光軸と前記絞りの開口部の内壁との距離の最大値をRAとしたとき、数式27を満たすことを特徴とするレンズユニット。
【数27】

【請求項10】
請求項3のレンズユニットにおいて、
前記レンズ対は、該レンズ対の光軸と直交する方向へ2列に配列され、
前記レンズ対の配列方向の間隔をPY、前記レンズ対の配列方向と直交する方向の間隔をPX、前記第1のレンズの第1主平面と物体面との距離をSO、前記第1のレンズの第2主平面と前記中間像面との距離をSI、前記光軸と前記絞りの開口部の内壁との距離の最大値をRAとしたとき、数式28を満たすことを特徴とするレンズユニット。
【数28】

【請求項11】
請求項3のレンズユニットにおいて、
前記レンズ対は、該レンズ対の光軸と直交する方向へ2列に配列され、
前記レンズ対の配列方向の間隔をPY、前記レンズ対の配列方向と直交する方向の間隔をPX、前記第1のレンズと物体面との距離をLO、前記第1のレンズと前記中間像面との距離をLI、前記光軸と前記絞りの開口部の内壁との距離の最大値をRAとしたとき、数式29を満たすことを特徴とするレンズユニット。
【数29】

【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項のレンズユニットにおいて、
前記第1のレンズと物体面との距離が、前記第2のレンズと前記結像面との距離より小さいことを特徴とするレンズユニット。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項のレンズユニットを用いたLEDヘッド。
【請求項14】
請求項1から請求項12のいずれか1項のレンズユニットを用いた露光装置。
【請求項15】
請求項1から請求項12のいずれか1項のレンズユニットを用いた画像形成装置。
【請求項16】
請求項1から請求項11のいずれか1項のレンズユニットにおいて、
前記第1のレンズと物体面との距離が、前記第2のレンズと前記結像面との距離より大きいことを特徴とするレンズユニット。
【請求項17】
請求項1から請求項11または請求項16のいずれか1項のレンズユニットを用いた読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−95627(P2011−95627A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251370(P2009−251370)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】