説明

レンズ鏡筒、カメラおよびカメラボディ

【課題】駆動開始時または駆動終了時の騒音の発生が防止されたレンズ鏡筒、カメラおよびカメラボディを提供する。
【解決手段】回転子と電圧の印加により励磁される複数の固定子とを有するアクチュエータと、アクチュエータにより駆動される被駆動部材と、複数の固定子を順次励磁して回転子を所定の停止位置まで駆動させる駆動信号をアクチュエータに供給する駆動信号供給手段と、駆動信号の供給による駆動の直前または駆動信号の供給停止による駆動の終了の直後の少なくとも一方において、回転子を所定の停止位置に保持する保持電圧を、当該停止位置に対応する固定子へ所定時間供給する電圧供給手段とを備え、電圧供給手段は、所定時間において、保持電圧の電圧レベルを目標の電圧レベルまで漸次変化させるレンズ鏡筒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒、カメラおよびカメラボディに関する。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモータは、回転子と電圧の印加により励磁される複数の固定子とを有し、これら複数の固定子を順次励磁することにより回転子が駆動されるモータである。ステッピングモータにおいては、回転子の停止保持のためには固定子を励磁し続ける必要がある。例えば特許文献1には、回転子(可動子)の起動時および停止時に、所定の期間に渡って固定子を励磁するステッピングモータの制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−243893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたステッピングモータの制御装置は、モータの駆動開始時および駆動終了時に、回転子の急激な移動により騒音が発生するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、回転子と電圧の印加により励磁される複数の固定子とを有するアクチュエータと、アクチュエータにより駆動される被駆動部材と、複数の固定子を順次励磁して回転子を所定の停止位置まで駆動させる駆動信号をアクチュエータに供給する駆動信号供給手段と、駆動信号の供給による駆動の直前または駆動信号の供給停止による駆動の終了の直後の少なくとも一方において、回転子を所定の停止位置に保持する保持電圧を、当該停止位置に対応する固定子へ所定時間供給する電圧供給手段とを備え、電圧供給手段は、所定時間において、保持電圧の電圧レベルを目標の電圧レベルまで漸次変化させることを特徴とするレンズ鏡筒である。
請求項8に係る発明は、回転子と電圧の印加により励磁される複数の固定子とを有するアクチュエータと、アクチュエータにより駆動される被駆動部材と、複数の固定子を順次励磁して回転子を所定の停止位置まで駆動させる駆動信号をアクチュエータに供給する駆動信号供給手段と、駆動信号の供給による駆動の直前または駆動信号の供給停止による駆動の終了の直後の少なくとも一方において、回転子を所定の停止位置に保持する保持電圧を、当該停止位置に対応する固定子へ所定時間供給する電圧供給手段とを備え、電圧供給手段は、所定時間において、保持電圧の電圧レベルを目標の電圧レベルまで漸次変化させることを特徴とするカメラである。
請求項9に係る発明は、回転子と電圧の印加により励磁される複数の固定子とを有するアクチュエータと、アクチュエータにより駆動される被駆動部材を有するレンズ鏡筒が着脱可能に取り付けられる取付手段と、複数の固定子を順次励磁して回転子を所定の停止位置まで駆動させる駆動信号をアクチュエータに供給する駆動信号供給手段と、駆動信号の供給による駆動の直前または駆動信号の供給停止による駆動の終了の直後の少なくとも一方において、回転子を所定の停止位置に保持する保持電圧を、当該停止位置に対応する固定子へ所定時間供給する電圧供給手段とを備え、電圧供給手段は、所定時間において、保持電圧の電圧レベルを目標の電圧レベルまで漸次変化させることを特徴とするカメラボディである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、駆動開始時または駆動終了時の騒音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るカメラシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】ステッピングモータ23を駆動する様子を示すタイミングチャートである。
【図3】カメラ100による自動焦点調節処理のフローチャートである。
【図4】図3において呼び出される前励磁処理および後励磁処理のフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態における保持電圧のタイミングチャートである。
【図6】連続的に変化する保持電圧のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るカメラシステムの構成を示すブロック図である。なお図1では、本発明に関係しない各部については図示および説明を省略する。カメラ100は、カメラボディ1およびカメラボディ1に着脱可能なレンズ鏡筒2から構成される。
【0009】
カメラボディ1は、カメラボディ1の各部を制御するマイコン12を備える。同様に、レンズ鏡筒2はレンズ鏡筒2の各部を制御するマイコン21を備える。マイコン12とマイコン21とは、例えばレンズマウント面の付近に設けられた電気接点などを介してデータ通信が可能に構成されている。カメラボディ1はレリーズ釦11を有しており、レリーズ釦11が押下されると、マイコン12には当該押下を表す操作信号が入力される。マイコン12には更にスピーカ13が接続されている。スピーカ13は周囲の音を録音した音声データをマイコン12に出力する。
【0010】
レンズ鏡筒2はマイコン21の他に、フォーカスレンズ24を含む不図示の結像光学系と、マイコン21にそれぞれ接続されたモータ駆動回路22および位置検出回路25と、フォーカスレンズ24を光軸方向に駆動するステッピングモータ23とを備える。ステッピングモータ23は、回転子と電圧の印加により励磁される複数の固定子とを有する周知のアクチュエータである。
【0011】
位置検出回路25は、例えばGMR(Giant Magneto Resistive)素子、エンコーダ等から構成され、フォーカスレンズ24の位置(移動量)を検出してマイコン21に出力する。
【0012】
マイコン21は、カメラボディ1内のマイコン12から、フォーカスレンズ24のデフォーカス量に関するデータを受信すると、所定の演算によりこのデータをフォーカスレンズ24の駆動量に変換する。そして、位置検出回路25で検出されたフォーカスレンズ24の位置等に基づいて、モータ駆動回路22に駆動制御信号を出力する。モータ駆動回路22は、マイコン21からの駆動制御信号に応じてステッピングモータ23に駆動信号を出力する。この駆動信号により、ステッピングモータ23が有する複数の固定子が順次励磁され、回転子は所定の停止位置まで駆動される。このとき、回転子の運動が不図示の駆動機構を介してフォーカスレンズ24に伝達され、フォーカスレンズ24が光軸方向に駆動される。
【0013】
本実施形態のカメラ100はいわゆるデジタルカメラである。すなわち、カメラボディ1内には不図示の撮像素子(例えばCCDやCMOS等)が設けられ、レンズ鏡筒2内の結像光学系により撮像面に結像された被写体像を撮像して画像信号を出力するように構成されている。カメラボディ内のマイコン12は、このようにして撮像素子から出力された画像信号に種々の画像処理を行って画像データを作成し、不図示の記憶媒体に画像データを記憶する。
【0014】
カメラ100は静止画像の撮影機能に加えて、動画の撮影機能を有する。ユーザが不図示の釦等を操作してマイコン12に動画の撮影開始指示を与えると、マイコン12は所定間隔ごと(例えば60分の1秒ごと)に繰り返し撮像素子による撮像を行い、画像データを生成する。そして、これらの画像データを時系列順に関連付けた動画データを不図示の記憶媒体に記憶する。動画データには更に、スピーカ13から出力された音声データが含まれる。
【0015】
(保持励磁の説明)
本実施形態のモータ駆動回路22は、駆動信号の供給による駆動の直前および駆動信号の供給停止による駆動の終了の直後において、回転子を現在の停止位置に保持する保持電圧を、当該停止位置に対応する固定子へ所定時間供給する。以下の説明では、保持電圧による固定子の励磁を保持励磁と呼ぶ。また、駆動信号の供給による駆動の直前に行われる保持励磁を前励磁と、駆動信号の供給停止による駆動の終了の直後に行われる保持励磁を後励磁と呼ぶ。
【0016】
図2は、ステッピングモータ23を駆動する様子を示すタイミングチャートである。本実施形態のステッピングモータ23は1相励磁方式である。つまり、ステッピングモータ23は4つの入力端子X、Y、X ̄、およびY ̄を有しており、図2(a)に示すように各入力端子に入力される駆動信号は、複数の入力端子において電圧レベルが同時にH(High)レベルにならないように構成されている。
【0017】
以下、時刻T1より前において、回転子が入力端子Xに対応する固定子まで駆動されたものとして説明を行う。時刻T1の時点では、モータ駆動回路22はステッピングモータ23に駆動信号を供給していない。従って、時刻T1において、回転子は外部から加えられた振動等が原因で所定の停止位置からずれている可能性がある。モータ駆動回路22は、ステッピングモータ23に駆動信号の供給を開始するに際し、このようなずれを解消するための前励磁を行う。図2(a)では時刻T1から時刻T2の期間TAにおいて前励磁が行われている。すなわち、回転子を現在の停止位置に保持する保持電圧が、入力端子Xに対応する固定子(現在の停止位置に対応する固定子)に期間TAだけ供給されている。この前励磁により、時刻T2において回転子が所定の停止位置に確実に保持されるようになる。
【0018】
本実施形態のモータ駆動回路22は、前励磁において、保持電圧の電圧レベルを目標の電圧レベルまで徐々に上昇させる。図2(b)は、図2(a)の時刻T1から時刻T2までの期間TAを拡大した図である。図2(b)から明らかなように、モータ駆動回路22は、保持電圧をL(Low)レベルからHレベルまで段階的に変化させている。具体的には、所定期間TBごとに所定量VAずつ電圧レベルを上昇させている。
【0019】
前励磁が完了すると(すなわち保持電圧の供給が完了すると)、モータ駆動回路22は入力端子Y、X ̄、Y ̄、X ̄に対し駆動信号を供給する。図2(a)に示すように、この駆動信号は、時刻T2から時刻T3の間は入力端子Yが、時刻T3から時刻T4の間は入力端子X ̄が、時刻T4から時刻T5の間は入力端子Y ̄が、時刻T5から時刻T6の間は入力端子Xが、それぞれHレベルになるようなパルス信号である。これにより、それぞれの入力端子に対応する固定子が順次励磁され、ステッピングモータ23が駆動される。
【0020】
駆動制御信号により指定された移動量だけステッピングモータ23を駆動し終わると(すなわち駆動信号の供給を停止すると)、モータ駆動回路22は前励磁と同様に、回転子を現在の停止位置に保持する後励磁を行う。図2(a)では時刻T6に、入力端子Xに対応する固定子(現在の停止位置に対応する固定子)に期間TCだけ保持電圧が供給されている。
【0021】
モータ駆動回路22は、後励磁においても前励磁と同様に、保持電圧の電圧レベルを目標の電圧レベルまで徐々に下降させる。図2(c)は、図2(a)の時刻T6から時刻T7までの期間TCを拡大した図である。モータ駆動回路22は、保持電圧を後励磁の開始時刻T6のHレベルからLレベルまで漸次変化させている。具体的には、所定期間TDごとに所定量VBずつ電圧レベルを下降させている。
【0022】
図3は、カメラ100による自動焦点調節処理のフローチャートである。まずステップS300においてマイコン12が、レリーズ釦11が半押しされたか否かを判定する。レリーズ釦11が半押しされていない場合にはステップS300において否定判定がなされ、自動焦点調節は行われない。他方、レリーズ釦11が半押しされていた場合には、ステップS310に進む。
【0023】
ステップS310では、マイコン12が周知の焦点検出演算を行い、フォーカスレンズ24のデフォーカス量を算出する。ステップS320では、カメラボディ1内のマイコン12が、レンズ鏡筒2内のマイコン21に、ステップS310で算出したデフォーカス量を送信する。このときマイコン21は、所定の演算により受信したデフォーカス量をフォーカスレンズ24の駆動量に変換する。ステップS330ではマイコン21が、モータ駆動回路22に駆動制御信号を出力する。この駆動制御信号は、上記の駆動量と、位置検出回路25で検出されたフォーカスレンズ24の位置と、に基づくフォーカスレンズ24の移動量である。
【0024】
ステップS340では、モータ駆動回路22が、後述する前励磁処理を実行する。ステップS350では、モータ駆動回路22がステッピングモータ23に駆動信号を供給し、ステッピングモータ23を駆動させる。ステップS360では、モータ駆動回路22が、後述する後励磁処理を実行する。本実施形態のカメラ100では、上述のようにして自動焦点調節が行われる。
【0025】
図4は、図3において呼び出される前励磁処理および後励磁処理のフローチャートである。まずステップS400では、モータ駆動回路22が、前励磁であれば微少なレベル(Lレベル)の保持電圧を、後励磁であればHレベルの保持電圧を、現在の停止位置に対応する固定子に供給する。ステップS410では、モータ駆動回路22が、ステップS400の実行から所定時間が経過したか否かを判定する。この所定時間は、ステップS400で保持電圧を供給したことによる回転子の振動が収まるのに十分な最小の長さであることが望ましい。モータ駆動回路22は、所定時間が経過するまでステップS410を繰り返す。
【0026】
ステップS410において所定時間が経過したと判定された場合には、処理はステップS420に進む。ステップS420ではモータ駆動回路22が保持電圧の電圧レベルを所定量VAだけ増加(前励磁の場合)、または所定量VBだけ減少(後励磁の場合)させる。ステップS430ではモータ駆動回路22が、保持電圧の電圧レベルが目標の電圧レベル(前励磁であればHレベル、後励磁であればLレベル)に達したか否かを判定する。保持電圧が目標の電圧レベルであれば肯定判定がなされ、図4の処理は終了する。他方、保持電圧の電圧レベルが目標の電圧レベルに達していなかった場合には、処理はステップS410に戻る。以上の処理を繰り返すことで、前励磁および後励磁が実行される。
【0027】
上述した第1の実施の形態によるカメラによれば、次の作用効果が得られる。
(1)カメラ100は、回転子と電圧の印加により励磁される複数の固定子とを有するステッピングモータ23と、ステッピングモータ23により駆動される被駆動部材であるフォーカスレンズ24とを備える。モータ駆動回路22は、複数の固定子を順次励磁して回転子を所定の停止位置まで駆動させる駆動信号をステッピングモータ23に供給すると共に、駆動信号の供給による駆動の直前および駆動信号の供給停止による駆動の終了の直後において、回転子を所定の停止位置に保持する保持電圧を、当該停止位置に対応する固定子へ所定時間供給する。モータ駆動回路22は更に、保持電圧の電圧レベルを目標の電圧レベルまで漸次変化させる。このようにしたので、ステッピングモータ23の駆動開始時または駆動終了時の騒音の発生を防止することができる。
【0028】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係るカメラ100は、第1の実施の形態に係るカメラ100と同様の構成を有する。以下、第1の実施の形態に係るカメラ100と同様の箇所については説明を省略する。
【0029】
本実施形態のカメラ100は、静音モードと非静音モードとを切り替え可能に構成されている。例えば不図示の釦等により、ユーザはカメラ100に対して静音モードの設定および非静音モードの設定を指示することが可能である。マイコン12はユーザからの指示に応じて、カメラ100に対し静音モードの設定および非静音モードの設定を行う。
【0030】
本実施形態における静音モードとは、カメラ100における騒音の発生を抑止するモードである。マイコン12は静音モードが設定されている場合には、動作音(騒音)が発生しないことを優先して各部を制御する。例えば各種モータの駆動速度を低下させたり、操作確認のための電子音をオフにしたりする。
【0031】
他方、非静音モードが設定されている場合、マイコン12は動作速度などを優先して各部を制御する。このときモータ駆動回路22は、前励磁および後励磁における保持電圧の電圧レベルを、第1の実施形態のように目標の電圧レベルまで漸次変化させるのではなく、一度に変化させる。
【0032】
図5は、第2の実施の形態における保持電圧のタイミングチャートである。静音モードが設定されている場合には、図5(a)に示すように、保持電圧の電圧レベルが段階的に変化する。他方、非静音モードが設定されている場合には、図5(b)に示すように、保持電圧の電圧レベルを一度に変化させる。なお、保持電圧の電圧レベルを一度に変化させる場合、保持励磁に必要な期間TAは電圧レベルを段階的に変化させる場合に比べて短くできる。
【0033】
上述した第2の実施の形態によるカメラによれば、次の作用効果が得られる。
(1)マイコン12によりカメラ100に非静音モードが設定されている場合、モータ駆動回路22は、保持電圧の電圧レベルを目標の電圧レベルまで一度に変化させる。このようにしたので、ステッピングモータ23からの騒音の発生が問題にならない場合には、フォーカスレンズ24を高速に駆動させることが可能になる。
【0034】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0035】
(変形例1)
上述の各実施形態では、フォーカスレンズ24を駆動するステッピングモータ23に本発明を適用していたが、本発明はこのような実施形態に限定されない。例えば絞りを駆動するステッピングモータやズームレンズを駆動するステッピングモータに対して本発明を適用することが可能である。つまり、被駆動部材はフォーカスレンズ24でなくてもよい。
【0036】
(変形例2)
第1の実施形態では、モータ駆動回路22は前励磁および後励磁において保持電圧の電圧レベルを漸次変化させていた。これを、スピーカ13による録音が行われている場合にのみこのような制御が行われるようにしてもよい。すなわち、スピーカ13により録音が行われていない場合には、保持電圧の電圧レベルを目標の電圧レベルまで一度に変化させるようにしてもよい。このようにすることで、音声データを含まない動画データを作成する場合にフォーカスレンズ24の高速駆動が可能になる。
【0037】
(変形例3)
モータ駆動回路22が、保持電圧の電圧レベルを段階的に変化させるのではなく、連続的に変化させるようにしてもよい。例えば図6(a)のように、前励磁を開始する時刻T1から前励磁が完了する時刻T2まで、電圧レベルが線型に変化するようにしてもよい。また図6(b)のように、目標の電圧レベルに到達した後、その電圧レベルを一定時間保持するようにしてもよい。つまり、保持電圧の電圧レベルを漸次変化させるものであれば本発明を適用可能であり、その変化の具体的様態についてはどのようなものであってもよい。
【0038】
(変形例4)
ステッピングモータ23とステッピングモータ23により駆動される被駆動部材とが、それぞれカメラボディ1とレンズ鏡筒2とに分散して配置されていてもよい。例えばカメラボディ1がモータ駆動回路22およびステッピングモータ23を内蔵し、ステッピングモータ23の駆動力がレンズマウント面に設けられたカップリング機構を介してレンズ鏡筒2内のフォーカスレンズ24に伝達されるように構成することができる。また本発明はレンズ交換可能なカメラシステムだけではなく、レンズ一体型のカメラについても適用することが可能である。
【0039】
(変形例5)
ステッピングモータ23は回転運動を行うものに限定されない。例えば直線運動を行うリニアステッピングモータに対しても本発明を適用することが可能である。
【0040】
(変形例6)
モータ駆動回路22が、前励磁または後励磁のいずれか一方においてのみ、保持電圧を徐々に変化させる制御を行うようにしてもよい。この場合であっても、ステッピングモータ23の駆動開始時または駆動終了時の騒音の発生を防止することが可能である。
【0041】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1…カメラボディ、2…レンズ鏡筒、11…レリーズ釦、12…マイコン、13…スピーカ、21…マイコン、22…モータ駆動回路、23…ステッピングモータ、24…フォーカスレンズ、100…カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子と電圧の印加により励磁される複数の固定子とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータにより駆動される被駆動部材と、
前記複数の固定子を順次励磁して前記回転子を所定の停止位置まで駆動させる駆動信号を前記アクチュエータに供給する駆動信号供給手段と、
前記駆動信号の供給による駆動の直前または前記駆動信号の供給停止による駆動の終了の直後の少なくとも一方において、前記回転子を所定の停止位置に保持する保持電圧を、当該停止位置に対応する前記固定子へ所定時間供給する電圧供給手段とを備え、
前記電圧供給手段は、前記所定時間において、前記保持電圧の電圧レベルを目標の電圧レベルまで漸次変化させることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズ鏡筒において、
前記電圧供給手段は、前記駆動信号の供給による駆動の直前に前記保持電圧を供給する場合、当該保持電圧の電圧レベルを徐々に上昇させることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項3】
請求項1に記載のレンズ鏡筒において、
前記電圧供給手段は、前記駆動信号の供給停止による駆動の終了の直後に前記保持電圧を供給する場合、当該保持電圧の電圧レベルを徐々に下降させることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒において、
前記電圧供給手段は、前記保持電圧を段階的に変化させることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒において、
前記電圧供給手段は、前記保持電圧を連続的に変化させることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒において、
周囲の音を録音する録音手段を更に備え、
前記電圧供給手段は、前記録音手段により録音が行われていない場合には、前記保持電圧の電圧レベルを前記目標の電圧レベルまで一度に変化させることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒において、
静音モードと非静音モードとを切り替え可能なカメラボディが取り付けられる取付手段を更に備え、
前記電圧供給手段は、前記カメラボディに前記非静音モードが設定されている場合には、前記保持電圧の電圧レベルを前記目標の電圧レベルまで一度に変化させることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項8】
回転子と電圧の印加により励磁される複数の固定子とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータにより駆動される被駆動部材と、
前記複数の固定子を順次励磁して前記回転子を所定の停止位置まで駆動させる駆動信号を前記アクチュエータに供給する駆動信号供給手段と、
前記駆動信号の供給による駆動の直前または前記駆動信号の供給停止による駆動の終了の直後の少なくとも一方において、前記回転子を所定の停止位置に保持する保持電圧を、当該停止位置に対応する前記固定子へ所定時間供給する電圧供給手段とを備え、
前記電圧供給手段は、前記所定時間において、前記保持電圧の電圧レベルを目標の電圧レベルまで漸次変化させることを特徴とするカメラ。
【請求項9】
回転子と電圧の印加により励磁される複数の固定子とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータにより駆動される被駆動部材を有するレンズ鏡筒が着脱可能に取り付けられる取付手段と、
前記複数の固定子を順次励磁して前記回転子を所定の停止位置まで駆動させる駆動信号を前記アクチュエータに供給する駆動信号供給手段と、
前記駆動信号の供給による駆動の直前または前記駆動信号の供給停止による駆動の終了の直後の少なくとも一方において、前記回転子を所定の停止位置に保持する保持電圧を、当該停止位置に対応する前記固定子へ所定時間供給する電圧供給手段とを備え、
前記電圧供給手段は、前記所定時間において、前記保持電圧の電圧レベルを目標の電圧レベルまで漸次変化させることを特徴とするカメラボディ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−215644(P2012−215644A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79453(P2011−79453)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】