説明

レンズ鏡筒、撮像装置

【課題】収納状態の筒長を短くするとともに、撮像素子及び撮像素子前面に設けられた光学部品の性能劣化を防ぐことができるレンズ鏡筒、撮像装置を提供する。
【解決手段】レンズ鏡筒1が収納状態にあるときに、絞りユニット301の開口部(313,320,323,324)に第2レンズ群L2及び1群筒40の一部を挿入するとともに、シャッタユニット201のシャッタ羽根203を閉じて遮光を行う。これにより、収納状態の筒長を短くするとともに、撮像素子105a及び撮像素子前面に設けられた光学部品105bの性能劣化を防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影可能状態から収納状態へと移行することにより、全長を短くすることができるレンズ鏡筒と、そのレンズ鏡筒を有する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影時には繰出し、収納時には沈胴するズームレンズ鏡筒において、収納状態における光軸方向の寸法(筒長)を短くするための技術が、種々提案されている。
特許文献1では、収納状態においてレンズシャッタを開口し、その開口内にレンズ群を入り込ませ、筒長を縮めることのできるレンズ鏡筒、及び、そのようなレンズ鏡筒を備えたカメラを提供する技術が開示されている。
また、特許文献2には、上記特許文献1と同様にして収納状態の筒長を縮めるとともに、レンズバリアを遮光部材として利用して撮像素子やカラーフィルタを外光にさらさないようにして保護する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−347615号公報
【特許文献2】特許3496667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示された従来技術では、収納状態において撮像素子やカラーフィルタに到達する外光により、これら撮像素子やカラーフィルタ等が劣化することについて何ら考慮されていない。
また、特許文献2に開示された従来技術では、収納状態においてレンズバリアを遮光部材として利用しているが、レンズバリアでは、完全な遮光を行うことはできない。そのため鏡筒先端部に設けられたレンズバリアが閉じ状態であっても十分な遮光が行われず、その隙間からわずかに入り込む光が撮像素子まで到達することで、撮像素子及び撮像素子前面に設けられた光学部品の性能が劣化してしまうという問題があった。
【0004】
本発明の課題は、収納状態の筒長を短くするとともに、撮像素子及び撮像素子前面に設けられた光学部品の性能劣化を防ぐことができるレンズ鏡筒、撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面としてのレンズ鏡筒は、撮影可能状態と収納状態との間で光軸に沿った方向に移動可能なレンズと、撮影可能状態において前記レンズを通過する光路の開口径を制限する絞り手段と、撮影可能状態において前記レンズを通過する光路を遮らないように開口するシャッタ手段とを備え、前記絞り手段と前記シャッタ手段のうちの一方は、前記レンズに対して相対的に光軸に沿った方向に移動可能なように設けられ、かつ、収納状態において開口してその開口部内に前記レンズの少なくとも一部が配置され、他方は、収納状態において前記レンズを通過する光を遮光するように開口を閉じることを特徴とする。
【0006】
本発明の第2の側面としての撮像装置は、本発明の第1の側面としてのレンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒により得られる被写体像を撮像する撮像手段とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、収納状態の筒長を短くするとともに、撮像素子及び撮像素子に設けられた光学部品の性能劣化を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
なお、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、動作等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0009】
(実施形態)
図1は、本発明によるレンズ鏡筒を用いた撮像装置の撮影可能状態を示す断面図である。
図2は、撮像装置の収納状態を示す断面図である。
本実施形態の撮像装置は、レンズ鏡筒1とカメラ本体2とを有している。
レンズ鏡筒1は、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3の3群からなる撮影光学系を有している。なお、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3は、いずれも一枚のレンズにより構成されていてもよいし、複数枚のレンズにより構成されていてもよい。
また、レンズ鏡筒1は、いわゆる沈胴式のレンズ鏡筒であり、撮像装置の電源ON/OFFに連動して図1に示す撮影可能状態と図2に示す収納状態(沈胴状態)との間で状態が移行する。撮影可能状態では、レンズ鏡筒1の筒長が比較的長いが、収納状態では、撮影可能状態よりも筒長が短くなり、カメラ本体2の内部に収納される。
【0010】
レンズ鏡筒1は、固定筒20、移動カム筒30、直進規制筒31,1群筒40を備えている。
固定筒20は、カメラ本体2に固定されている撮像素子ベース10に固定されており、ズーム動作及びフォーカス動作では移動しない略円筒形状の部材である。固定筒20の内周側には、螺旋状に形成された不図示のカム溝と、光軸と平行に形成された不図示の直進ガイド溝が設けられている。
【0011】
移動カム筒30は、直進規制筒31の外周側、かつ、固定筒20の内周側となる位置に配置された略円筒状の部材である。移動カム筒30は、内周側に複数のカム溝を有し、外周側にカムフォロア部とギヤ部とを有している。移動カム筒30のカムフォロア部は、固定筒20のカム溝にカム係合している。また、移動カム筒30は、直進規制筒31に対して光軸まわりで回転可能、かつ、光軸方向に一体的に移動するように設けられている。
【0012】
直進規制筒31は、固定筒20の内周側に配置された略円筒状の部材である。直進規制筒31は、外周側に突出した突起部31aを有し、この突起部31aが固定筒20の直進ガイド溝に係合することにより、移動可能な方向が光軸に平行な方向となるように規制されている。また、直進規制筒31は、光軸と平行に形成された不図示の直進ガイド孔を複数有している。
【0013】
1群筒40は、直進規制筒31の内周側に配置され、第1レンズ群L1を保持する部材である。1群筒40は、外周側に突出した不図示のカムフォロア部を有している。1群筒40のカムフォロア部は、直進規制筒31の直進ガイド孔を貫通して移動カム筒30のカム溝にカム係合している。よって、1群筒40は、移動可能な方向が光軸に平行な方向となるように規制されている。1群筒40の被写体側先端付近には、バリア機構41が設けられている。
【0014】
2群ユニット101は、直進規制筒31の内周側に配置され、第2レンズ群L2を保持する部材である。2群ユニット101は、外周側に突出したカムフォロア部101a(図4参照)を、光軸Oを中心として周方向に略均等に3箇所有している。2群ユニット101のカムフォロア部101aは、直進規制筒31の直進ガイド孔を貫通して移動カム筒30のカム溝にカム係合している。よって、2群ユニット101は、移動可能な方向が光軸に平行な方向となるように規制されている。
【0015】
3群枠102は、第3レンズ群L3を保持する部材である。本実施形態の撮影光学系では、第3レンズ群L3は、フォーカス動作時に光軸方向に移動を行うフォーカスレンズ群として機能する。3群枠102は、撮像素子ベース10上に固定された不図示のAFガイド軸にガイドされ、不図示のスクリューとナットにより光軸に沿った方向に移動可能に設けられている。
【0016】
撮像素子105aは、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、又は、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサからなっている。撮像素子105aは、撮像素子ベース10に固定され、レンズ鏡筒1により得られる光学的な被写体像を電気的なアナログ信号に変換する。
撮像素子105aの被写体側には、カラーフィルタ、ローパスフィルタ、保護フィルタ等の光学部品105bが設けられている。
【0017】
上述した構成により、移動カム筒30に不図示のズームモータから回転駆動力が伝わると、移動カム筒30は、固定筒20のカム溝にしたがい回転しながら光軸に沿って移動を行う。
また、直進規制筒31は、固定筒20の直進ガイド溝にガイドされて、回転することなく移動カム筒30とともに光軸に沿って移動する。さらに、1群筒40及び2群ユニット101は、移動カム筒30のカム溝にしたがい、かつ、直進規制筒31の直進ガイド孔にガイドされて回転することなく光軸に沿って移動する。
【0018】
図3は、撮影可能状態における2群ユニット101を被写体側から見た図である。
図4は、撮影可能状態における2群ユニット101及び第1レンズ群L1を図3中に示したX−X断面で拡大して示した断面図である。
第2レンズ群L2は、2群レンズ枠103に固定されている。2群レンズ枠103は、シャッタベース202と別部材で構成されており、光軸Oに直交する平面内で移動可能な状態に保持されている。そして、2群レンズ枠103は、不図示のアクチュエータにより駆動されて、像ブレ補正動作を行う。なお、2群レンズ枠103とシャッタベース202は、同一部材で構成されていてもよい。
【0019】
シャッタユニット201と絞りユニット301は、各々独立して構成されており、光軸Oに平行で、第2レンズ群L2を挟む形で配置されている。
シャッタユニット201は、第2レンズ群L2を挟んで絞りユニット301よりも撮像素子105aに近い位置に配置されている。シャッタユニット201は、シャッタベース202、シャッタ羽根203、シャッタカバー204、シャッタアクチュエータ205から構成されている。
シャッタ羽根203は、そのスペースに応じて1枚から複数枚で構成されており、シャッタアクチュエータ205の動力を利用して開閉し、無通電状態であっても全開状態、及び、全閉状態に保持できる。図3,4に示した撮影可能状態では、シャッタ羽根203は、全開状態となっており、不図示のレリーズボタンが押されて撮影を行うときには、シャッタ羽根203の開閉動作は行われずに、撮像素子105aの電子シャッタを利用する。
なお、撮影を行う時点でシャッタ羽根203の開閉動作を行い、いわゆるメカニカルシャッタとして機能させてもよいし、メカニカルシャッタと電子シャッタを併用する形態であってもよい。
【0020】
図5は、絞りユニット301の内部構成が見えるように絞りカバー303を取り外した状態で被写体側から見た図である。
図6は、絞りユニット301の分解斜視図である。
図7は、2群ユニット101の分解斜視図である。
絞りユニット301は、絞りベース302、絞りカバー303、絞りリング305、絞り羽根308、絞りアクチュエータ311、ギヤ312で構成されており、レンズ鏡筒1を通過する光路の開口径を制限する。
【0021】
絞りアクチュエータ311の駆動軸には、ギヤ312が取り付けられている。また、絞りアクチュエータ311は、絞りベース302に固定されている。
絞り羽根308には、絞りカバー303に設けられた穴304と嵌合する回転軸309が被写体側に設けられている。また、絞り羽根308には、絞りリング305に設けられたカム溝306と嵌合するピン310が撮像素子105a側に設けられている。絞りリング305のカム溝306と、絞り羽根308の回転軸309は、それぞれ光軸Oを中心として略等間隔に複数個(本実施形態では、6個)が配置されている。
【0022】
絞りリング305には、絞りアクチュエータ311に固定されたギヤ312と噛み合うギヤ部307が構成されている。絞りアクチュエータ311の動力は、ギヤ312及びギヤ部307を介して絞りリング305へ伝達し、光軸Oを中心に回転駆動させる。
【0023】
絞り羽根308の回転軸309は、絞りカバー303の穴304に挿入されている。また、絞り羽根308のピン310は、絞りリング305のカム溝306に挿入されている。
絞り羽根308は、光軸Oを中心として等間隔に複数枚配置されており、その配置によって開口径の大きさを自在に変更可能な開口部313を形成している。
絞りリング305が光軸Oを中心として回転すると、絞り羽根308は、回転軸309を中心にカム溝306に沿って回転移動し、絞りユニット301の開口部313を意図した大きさへ変化させる。
なお、図3,4では、絞り羽根308は、比較的明るい被写体を撮影するときを想定して、絞り開放状態よりも小さな開口径まで絞り込まれた状態を示している。
【0024】
シャッタベース202は、絞りユニット301のメインガイド206、振れ止め207、ガイド軸209を備えている。
メインガイド206、振れ止め207は、それぞれ光軸Oと略平行に配置され、絞りユニット301を光軸方向へ平行移動可能に支持するとともに、光軸Oに対して略対称に配置されている。メインガイド206、振れ止め207は、それぞれ絞りベース302に設けられたメインガイド用穴314、振れ止め用穴315に挿入されている。
また、ガイド軸209及び振れ止め207は、光軸Oを中心に周方向で略等間隔となるようにシャッタベース202に配置されている。ガイド軸209は、絞りベース302に設けられたガイド軸穴317に挿入されている。
【0025】
振れ止め用穴315には、メインガイド206と振れ止め207を結ぶ線208と略平行であり、かつ、対象な2つの平行な面316a、316bが形成されている。面316a、316bは、絞りユニット301がメインガイド206を中心として回転してしまうことを規制し、光軸Oと略平行に直進案内する。
なお、振れ止め用穴315は、メインガイドと206振れ止め207を結ぶ線208と略平行な面316a、316bが形成されていれば、構成によっては一部面を削除したU字形状等でもかまわない。
また、本実施形態ではシャッタベース202にメインガイド206、振れ止め207を設けているが、構成によっては絞りベース302やその他の構成部品に設けてもよい。
【0026】
スプリング106は、圧縮コイルスプリングであり、絞りユニット301とシャッタユニット201との間に光軸Oと略平行に配置されている。スプリング106には、それぞれの内径にスプリング106をガイドするガイド軸209及び振れ止め207が挿入されている。
なお、本実施形態では、絞りユニット301の振れ止め207をガイド軸209と同じくスプリング106のガイドとして兼用しているが、絞りユニット301、シャッタユニット201の構成によっては、振れ止め207は独立して配置してもよい。
【0027】
絞りベース302には、ガイド軸209及び振れ止め207がそれぞれ挿入されているガイド軸穴317及び振れ止め用穴315と、メインガイド206が挿入されているメインガイド用穴314が設けられている。
本実施形態では、絞りベース302にガイド軸穴317及び振れ止め用穴315が設けられているが、これらの形状はスペースや構成によっては穴形状でなくてもよい。
また、ガイド軸209及び振れ止め207は、シャッタベース202に設けられ、ガイド軸穴317及び振れ止め用穴315は、絞りベース302にそれぞれ設けられているが、配置が困難な場合はその他の構成部品に設けてもよい。
【0028】
スプリング106は、被写体側では絞りユニット301の構成部品の一部に当接し、撮像素子105a側ではシャッタユニット201の構成部品の一部と当接している。よって、スプリング106は、絞りユニット301及びシャッタユニット201を互いに離す方向に付勢する。
シャッタユニット201には、絞りユニット301の光軸方向の位置を規制するためのストッパー211が設けられており、絞りユニット301には、このストッパー211に当接するフック319が設けられている。絞りユニット301は、スプリング106によりシャッタユニット201と離れる方向へ付勢されているが、撮影可能状態では、シャッタユニット201のストッパー211により、絞りユニット301を光軸方向の所定の位置に保持する。
【0029】
図8は、撮影可能状態において絞り開放状態にある2群ユニット101を被写体側から見た図である。
図9は、撮影可能状態において絞り開放状態にある2群ユニット101及び第1レンズ群L1を図8中に示したY−Y断面で拡大して示した断面図である。
先に示した図3,4では、絞り開放状態よりも小さな開口径まで絞り込まれた状態を示したが、図8,9では、絞り開放状態となっているので、絞り羽根308が形成する開口径は、図3,4に示した場合よりも大きくなっている。
【0030】
ここで、絞り開放状態とは、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3からなる撮影光学系について、有効な開口径が撮影可能状態における最大の径として設定された開放値となるように絞り羽根308が開口した状態である。従来の撮影装置では、この撮影可能状態における絞り開放状態が、絞り羽根の開口し得る最大の径であった。これに対し、本実施形態の絞りユニット301は、収納状態では、この絞り開放状態よりもさらに開口径の大きな状態となる。以下、この収納状態について説明する。
【0031】
図10は、収納状態における2群ユニット101を被写体側から見た図である。
図11は、収納状態における2群ユニット101及び第1レンズ群L1を図10中に示したZ−Z断面で拡大して示した断面図である。
レンズ鏡筒1が撮影可能状態から収納状態へ移行するとき、絞り羽根308は、第2レンズ群L2及び2群レンズ枠103との干渉を防止するため絞りカバー303に設けられた開口部320よりも外周側に収納される。このとき、絞り羽根308は、撮影可能状態における絞り開放状態の開口径321よりもさらに大きく開いた状態(ここでは、超開放状態と呼ぶ)へと移行し、保持される。なお、開口部320と後述する開口部232、開口部324については、図9に示した。
また、絞りカバー303に設けられた開口部320、及び、絞りベース302に設けられた開口部323の開口径は、何れも第2レンズ群L2及び2群レンズ枠103の被写体側部分の外径よりも大きくなっている。また、絞りリング305に設けられた開口部324の開口径は、絞りカバー303に設けられた開口部320、及び、絞りベース302に設けられた開口部323の開口径よりもさらに大きい。
よって、第2レンズ群L2及び2群レンズ枠103の被写体側部分は、他の部材に干渉することなく絞りユニット301の開口部内に挿入することが可能である。
【0032】
撮影可能状態から収納状態への移行がさらに進むと、絞りユニット301よりも被写体側に配置された第1レンズ群L1が撮像素子105aに近づく方向へ移動し、絞りカバー303に近づく。そして、第1レンズ群L1を保持する1群筒40が絞りカバー303に当接し、撮像素子105a側へ絞りユニット301を押圧する。
この押圧によりスプリング106は、絞りユニット301を介して押し縮められる。そして、絞りユニット301は、シャッタユニット201に支持されたメインガイド206及び振れ止め207に沿って、撮像素子105a側へ光軸Oと略平行に移動する。
なお、本実施形態では、絞りユニット301は、第1レンズ群L1を保持する1群筒40により押圧しているが、レンズ構成やその他のメカ機構によっては、その他の構成部品により押圧してもよい。
【0033】
絞りユニット301が撮像素子105a側に移動することにより、第2レンズ群L2及び1群筒40の少なくとも一部(本実施形態では、被写体側の突出した部分)が、絞りユニット301の開口部(313,320,323,324)に入り込んだ状態となる。これにより、収納状態において、レンズ鏡筒1の筒長を短縮することができる。
また、シャッタ羽根203は、レンズ鏡筒の状態に関係なく開閉できる。よって、収納状態時にシャッタ羽根203を閉じることで、撮像素子105a及び撮像素子105aの被写体側に設けられたカラーフィルタ、ローパスフィルタ、保護フィルタ等の光学部品105bの性能劣化を防ぐことができる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、絞りユニット301の開口部(313,320,323,324)に第2レンズ群L2及び1群筒40の一部を挿入するとともに、シャッタユニット201のシャッタ羽根203を閉じて遮光を行う。よって、収納状態の筒長を短くするとともに、撮像素子105a及び撮像素子前面に設けられた光学部品105bの性能劣化を防ぐことができる。
【0035】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
本実施形態では絞り羽根308が超開放状態となり、シャッタ羽根203を全閉状態とした例を挙げて説明した。これに限らず、一方をレンズに対して相対的に移動可能とするとともに収納状態で開いてレンズの少なくとも一部を挿入し、他方を閉じる形にすればよい。例えば、シャッタ羽根を全開にし、絞り羽根308を全閉にしてもよい。
【0036】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明によるレンズ鏡筒を用いた撮像装置の撮影可能状態を示す断面図である。
【図2】撮像装置の収納状態を示す断面図である。
【図3】撮影可能状態における2群ユニット101を被写体側から見た図である。
【図4】撮影可能状態における2群ユニット101及び第1レンズ群L1を図3中に示したX−X断面で拡大して示した断面図である。
【図5】絞りユニット301の内部構成が見えるように絞りカバー303を取り外した状態で被写体側から見た図である。
【図6】絞りユニット301の分解斜視図である。
【図7】2群ユニット101の分解斜視図である。
【図8】撮影可能状態において絞り開放状態にある2群ユニット101を被写体側から見た図である。
【図9】撮影可能状態において絞り開放状態にある2群ユニット101及び第1レンズ群L1を図8中に示したY−Y断面で拡大して示した断面図である。
【図10】収納状態における2群ユニット101を被写体側から見た図である。
【図11】収納状態における2群ユニット101及び第1レンズ群L1を図10中に示したZ−Z断面で拡大して示した断面図である。
【符号の説明】
【0038】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
1 レンズ鏡筒
2 カメラ本体
10 撮像素子ベース
20 固定筒
30 移動カム筒
31 直進規制筒
31a 突起部
40 1群筒
41 バリア機構
101 2群ユニット
101a カムフォロア部
102 3群枠
103 2群レンズ枠
105a 撮像素子
105b 光学部品
106 スプリング
201 シャッタユニット
202 シャッタベース
203 シャッタ羽根
204 シャッタカバー
205 シャッタアクチュエータ
206 メインガイド
207 振れ止め
208 メインガイドと振れ止めを結ぶ線
209 ガイド軸
211 ストッパー
301 絞りユニット
302 絞りベース
303 絞りカバー
304 絞りカバーの穴
305 絞りリング
306 絞りリングのカム溝
307 絞りリングのギヤ部
308 絞り羽根
309 絞り羽根の回転軸
310 絞り羽根のピン
311 絞りアクチュエータ
312 ギヤ
313 絞り羽根の開口部
314 メインガイド用穴
315 振れ止め用穴
316a,316b 平行な面
317 ガイド軸穴
319 フック
320 絞りカバー303の開口部
321 絞り開放の開口径
323 絞りベース302の開口部
324 絞りリング305の開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影可能状態と収納状態との間で光軸に沿った方向に移動可能なレンズと、
撮影可能状態において前記レンズを通過する光路の開口径を制限する絞り手段と、
撮影可能状態において前記レンズを通過する光路を遮らないように開口するシャッタ手段と、
を備え、
前記絞り手段と前記シャッタ手段のうちの一方は、前記レンズに対して相対的に光軸に沿った方向に移動可能なように設けられ、かつ、収納状態において開口してその開口部内に前記レンズの少なくとも一部が配置され、他方は、収納状態において前記レンズを通過する光を遮光するように開口を閉じること、
を特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記絞り手段と前記シャッタ手段のうち、収納状態において開口してその開口部内に前記レンズの少なくとも一部が配置されるものについては、撮影可能状態における最大の開口径よりも大きな開口径まで収納状態で開口すること、
を特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記絞り手段と前記シャッタ手段とは、当該レンズ鏡筒の状態に関わらず、それぞれ独立して開閉の駆動が行えること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記絞り手段と前記シャッタ手段のうち、収納状態において前記レンズを通過する光を遮光するように開口を閉じるものについては、前記レンズの光軸方向に沿った移動とともに一体となって移動するように保持されていること、
を特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒と、
前記レンズ鏡筒により得られる被写体像を撮像する撮像手段と、
を備える撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−156874(P2010−156874A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335558(P2008−335558)
【出願日】平成20年12月27日(2008.12.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】