説明

レーザによるカラーマーキング方法

【課題】色彩模様を安価に細やかに表現できるレーザによるカラーマーキング方法を提供する。
【解決手段】このカラーマーキング方法は、透明又は半透明の、ガラス、プラスチック又はセラミックス材料の裏面に、金属板、金属箔、金属粉を接触又は非接触で接近させ、該材料表面からレーザを照射することにより、該材料裏面にカラーマーキングを行う。このカラーマーキング方法によれば、レーザを1回乃至複数回照射することにより、自動で効率的に複雑な紋様を低コストで、透明又は半透明のガラス、又はプラスチック、又はセラミックスの裏面又は内部に描くことが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非金属の裏面または内部にレーザを用いて色彩模様を形成させ、あるいは芸術的な紋様を製作する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属表面、又は透明又は半透明のガラス、又はプラスチック、又はセラミックス等へ文字、模様などの加工で色を付ける加工方法は、従来から例えば刻印を施されたものにインク等の液体を入れ込む、塗装、印刷、エッチング、ブラスト、などの方法がある。
しかし、これらの方法は、手作業によるものが殆どで、その量産性や品質の均一性などの点で難がある。
【0003】
また、金属表面等に火炎、レーザ等の熱源を加えれば該金属表面が変色することは公知である。
例えば、特許文献1に記載されているように、金属表面にレーザを照射し更に該照射表面を反応性ガス中で熱処理する方法がある。しかし、この方法では、金属表面にレーザを照射した効果が反応性ガス中での熱処理で一部分減じることがある。
また、特許文献2に記載されているように、窒素を含む空気中でレーザを純チタンの金属表面上に照射して発色・模様形成させる方法がある。しかし、この方法は、単に純チタンの金属表面上にレーザを照射するだけなので微妙な色彩が表現できないという欠点がある。
また、基盤表面上にチタンを蒸着し同チタン被膜を酸化処理してその一部を酸化チタン被膜にした上、レーザ照射して該表面を模様化する方法がある。
【0004】
また、素地の上に下地層と上部層の二層を施し、その上部層のみをレーザによって昇華させ下地層を表面に出すことによりレーザを照射した部分のみ別な色(下地層の色)を表現する方法がある。
しかし、この方法では、手間、コストがかかる欠点がある。
【0005】
更に、ガラス等の内部にレーザ光を収斂させて焦点で気泡を発生させて紋様を発生させる方法があるが、色彩を出すことが難しいし、ガラス内にバリウム・ストロンチューム、銅等の発色元素を入れてガラス内部に発色させる方法があるがコスト高になるという問題がある。また、ガラス等の裏面に効果的に色彩を出す方法が無いという問題がある。また、加工処理したものを内部から発光させる方法がないという問題もある。
【0006】
一方、金属の発色については、陽極酸化による酸化膜の形成がすでに知られているが、このような原理を用いて或る文字、模様等を表現するには、表現部以外の部分を樹脂膜等でマスキングを施した上で、これを電解質溶液中に漬けて電流を流す必要があり、特に実用性の点で問題がある。
【特許文献1】特開平6−212451号公報
【特許文献2】特開平4−41662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解決しようとするもので、色彩模様を安価に細やかに表現できるレーザによるカラーマーキング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、透明又は半透明のガラス、又はプラスチック、又はセラミックスの裏面又は内部に、金属板、金属箔、金属粉、金属線を接触、又は非接触で接近させ又は埋め込み又は挟み込み、表面からレーザを照射することにより、該裏面又は内部にカラーマーキングをするカラーマーキング方法である。本発明においては、金属の選定、金属とガラス、プラスチック、セラミックス等の距離、またレーザの電流値、照射時間、繰返し回数、ビームスポットサイズ、焦点距離、パルス周波数、レーザ波長等を変化させることにより、表面蒸着・移着、又は表面除去をし、種々のカラーマーキングをする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レーザを1回乃至複数回照射することにより、自動で効率的に複雑な紋様を低コストで、透明又は半透明のガラス、又はプラスチック、又はセラミックスの裏面又は内部に描くことが出来る。これにより、カラーマーキングによる多様で且つ精細な色彩により製品の付加価値を高めることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態としては、図3に示すように、透明又は半透明のガラス、プラスチック、又はセラミックス材料の裏面に、金属板、金属箔、又は金属粉7を接触又は非接触で接近させ、該材料表面からレーザを照射することにより、該裏面にカラーマーキングを行う方法である。この方法は、金属板、金属箔、又は金属粉のレーザによる蒸着・移着作用を利用することに特徴がある。この場合、大気圧の空気中で施工すること及び減圧容器中で実施することも可能である。また、大気圧及び減圧中の雰囲気を、アルゴン、ヘリウム、水素、窒素、アンモニア、二酸化炭素、一酸化炭素、メタン等のガス又はこれらの組合せのガスのもとで行うことが可能で、多彩な色調を得ることが可能になる。
【0011】
この実施の形態においては、非金属裏面の照射部分である金属の表面蒸着、スクライビング・トリミングなどの表面除去、又は反応させることによりカラーマーキングを行う。又は、上記の処理を行うことにより表面に高い導電性や熱伝導性特性を持たせることも可能である。
【0012】
また、金属板、金属箔、又は金属粉を熱処理した後、この方法を用いてカラーマーキングを行い、レーザ照射後、再度熱処理を行うことも可能である。
【0013】
また、本発明の他の実施の形態としては、透明又は半透明の材料6の中に、金属板、又は金属箔、金属粉、金属線を埋め込み又は挟み込み、該材料表面からレーザ5dを照射することにより、該材料内にカラーマーキングを行う方法である。この方法は、透明又は半透明のガラス、又はプラスチック、又はセラミックス材料自身、又はこの中に閉じこめられたガス成分と金属と反応して、多彩な色調を立体的に得ることが可能になる。金属板、又は金属箔、又は金属粉を挟み込む場合は、挟み込む材料を複数個とする事が出来るし、裏面側材料を不透明の材料とすることも出来る。
【0014】
また、金属板、金属箔、金属粉、金属線等の材料を熱処理した後、この方法を用いてレーザによるカラーマーキングを行い、立体的な像を該材料内に得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】金属等へのカラーマーキング方法を示す概要図である。
【図2】金属等の表面にカラーマーキングする方法を示す概要図である。
【図3】本発明に係る非金属等の裏面にカラーマーキングする方法を示す概要図である。
【符号の説明】
【0016】
1 入力編集装置(パソコン)
2 レーザのコントローラ
3 光ファイバー
4 ケーブル
5 レーザ発振器
5a レーザ媒質
5b Qスイッチ
5c ミラー
5d レーザ光
5e ガルバノスキャナ
5f fθレンズ
6 ワーク
7 金属板又は金属箔又は金属粉
8 作業テーブル
9 ガラスファイバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明又は半透明の、ガラス、プラスチック又はセラミックス材料の裏面に、金属板、金属箔、金属粉を接触又は非接触で接近させ、該材料表面からレーザを照射することにより、該材料裏面にカラーマーキングを行う方法。
【請求項2】
透明又は半透明の、ガラス、プラスチック又はセラミックス材料の中に、金属板、金属箔、金属粉又は金属線を埋め込み又は挟み込み、該材料表面からレーザを照射することにより、該材料内にカラーマーキングを行う方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−265344(P2008−265344A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130463(P2008−130463)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【分割の表示】特願2004−18345(P2004−18345)の分割
【原出願日】平成16年1月27日(2004.1.27)
【出願人】(503038292)有限会社岩倉溶接工業所 (3)
【出願人】(301043812)
【Fターム(参考)】