説明

レーザーイオン化質量分析装置およびレーザーイオン化質量分析方法

【課題】 レーザーイオン化質量分析装置の分析感度を高める。
【解決手段】 レーザーイオン化質量分析装置は、測定対象ガス分子のビーム7を生成するビーム生成手段3、4と、ガス分子のビームにレーザー光8を照射して分子をイオン化するイオン化手段と、イオン化したガス分子を引き出すイオン引き出し電極9、10と、イオン引き出し電極9、10によって引き出されたガス分子が通過するイオンレンズ11、12と、イオンレンズ11、12を通過したガス分子が入射して通過する四重極電極14と、四重極電極14を通過したガス分子のイオン信号を時間分解計測により検出する検出器15、20と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーザーイオン化質量分析装置およびレーザーイオン化質量分析方法に係り、特に、ガス中の有機ハロゲン化合物の監視に好適なレーザーイオン化質量分析装置およびレーザーイオン化質量分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ハロゲン化合物の中でポリ塩化ビフェニル(PCB)やダイオキシンは微量で高い毒性を有しており、高感度の分析法の開発が望まれている。最近はPCB分解処理施設の建設準備が進められ、この施設から放出される排気ガス中には、PCBが規制値内にあることが厳密に求められ、施設内および施設外におけるPCB濃度のリアルタイム監視が重要である。この施設内外におけるPCB濃度については、従来、定期的に実施するガスサンプリングでPCBを液体に濃縮し、その濃縮液を分析する方法が採用されている。しかしながら、この手法ではサンプリングから分析結果を得るまでに数時間から数十時間を要するため、リアルタイム監視はできず、施設での何らかの不具合が生じた場合の対応が遅れる懸念があった。
【0003】
一方、原子・分子に対するレーザーイオン化質量分析法が1980年代から開発され、非特許文献1〜3に代表されるような多くの文献に示されているが、有機ハロゲン化合物の分子ビームに対してレーザー光による多光子イオン化法と組み合わせることにより高感度検出が可能となっている。
【非特許文献1】Vladilen.S.Letokhov著「Laser Photoionization Spectroscopy」、Academic Press,Inc. 1987年,ISBN:0-12-444320-6
【非特許文献2】Edward.H.Piepmeier編「Analytical Applications of Laser」、Jhon Wiley & Sons, 1986年,ISBN:0-471-87023-4
【非特許文献3】粕谷敬宏・塚越幹郎編「真空紫外域のレーザー分光」、(株)学会出版センター,1991年,ISBN:4-7678-4678-6
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記体系ではガス中の有機ハロゲン化合物の計測方法として、イオン化検出器と飛行時間型質量分析器とを組み合わせた質量スペクトル分析装置を用いているが、質量分解能を高くするために飛行距離が長く、また、このため生成したイオンの検出率が低いという問題がある。
【0005】
有機ハロゲン化合物の中でPCBやダイオキシンは微量で高い毒性を有しており、高感度の分析法の開発が望まれている。この有機ハロゲン化合物の高感度検出が可能である従来のレーザーイオン化質量分析装置にあっては、イオン化検出器と飛行時間型分析器とを組み合わせた質量スペクトル分析装置を用いているが、質量分解能を高くするために飛行距離を長くとる必要があり、また、このため生成したイオンの検出率が低いという問題があった。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、基本構造を変えなくても比較的高い分析感度を得ることができるレーザーイオン化質量分析装置およびレーザーイオン化質量分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるレーザーイオン化質量分析装置は、測定対象ガス分子のビームを生成するビーム生成手段と、前記ガス分子のビームにレーザー光を照射して前記分子をイオン化するイオン化手段と、前記イオン化したガス分子を引き出すイオン引き出し電極と、前記イオン引き出し電極によって引き出されたガス分子が通過するイオンレンズと、前記イオンレンズを通過したガス分子が入射して通過する四重極電極と、前記四重極電極を通過したガス分子のイオン信号を時間分解計測により検出する検出器と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明によるレーザーイオン化質量分析方法は、レーザー光を測定対象ガスの分子ビームに照射して、前記測定対象ガスの分子をイオン化してそのイオン電流を検知して質量分析を行なうレーザーイオン化質量分析方法において、イオン化された試料ガス分子をイオン引き出し電極によりイオンを引き出すイオン引き出しステップと、前記引き出されたイオンを、イオンレンズを介して四重極電極に入射して、この四重極電極を通過させる四重極電極通過ステップと、前記四重極電極を通過したイオンのイオン信号を時間分解計測により検出する検出ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レーザーイオン化質量分析装置の基本構造を変えなくても、比較的高い分析感度を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係るレーザーイオン化質量分析装置および方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
[実施の形態1]
まず、図1を用いて実施の形態1を説明する。図1は、本実施の形態1のレーザーイオン化質量分析装置の概略構造を示す。本装置では、試料ガスは、ガスサンプリング配管4を介して、ガスサンプリング室2に連続導入される。このガスサンプリング室2は光反応セル1に導入する試料ガス量に応じて圧力調整される。このガスサンプリング室2に導入された試料ガスはパルスバルブ3により真空排気された光反応セル1に間欠的に導入される。間欠導入の理由は光反応セルの真空度を10−3(Pa)程度に保つ必要があり、この条件を得るための真空排気系の容量を低くするためである。このパルスバルブ3から光反応セル1に導入された試料ガスは、ガイド管6により整流され分子ビーム7となってレーザー照射部に導入される。
【0012】
この分子ビーム7には、試料ガスのイオン化のためのレーザー光8が照射される。このレーザー光は、パルス発振レーザーで検出対象とする試料ガスによって、その波長、波長幅、パルスエネルギー、パルス幅等を適正化することにより、試料ガスのイオン化が可能となる。このレーザー光8によってイオン化された試料ガス分子をイオン引き出し電極によりイオン検出器に入射することにより、試料ガス分子イオンの検出ができる。
【0013】
本実施の形態の場合、図1に示すように、光反応セル1に導入される試料ガスの分子ビーム7にレーザー光8を照射して試料分子をイオン化する。高い質量分解能を要する場合には、開口メッシュを有するA側イオン引き出し電極9にプラス電位を、開口メッシュを有するB側イオン引き出し電極10をアース電位として、イオンをB側に引き出し、イオンレンズ12を介して四重極電極14側に入射して、これを通過したイオン流13をB側イオン検出器15で検出する。ここで、四重極電極は一般にマスフィルタと呼ばれるもので、4本の対向した電極ロッドに直流電圧に高周波電圧を加えた特殊な電圧を印加することにより、その条件に合った質量のみのイオンが電極ロッド中を通過できる。
【0014】
本実施の形態ではこのイオン信号をレーザー照射タイミングと同期させた時間分解計測により検出する。イオン信号はレーザー照射からイオン引き出し電圧と飛行距離に応じた時間遅れでパルス的にイオン検出器に入射するため、イオン信号をこのイオン信号が生じる時間帯のみをゲート処理することにより、S/N(シグナル/ノイズ)比の高いイオン信号を計測することが可能となる。この方法によれば、高分解能計測において大型装置となってしまう飛行時間型質量分析器を使用しないため装置を小型化することが可能となる。
【0015】
特に本実施の形態では、飛行時間型質量分析器による質量分析の際に問題となるイオンのエネルギー広がりが大きな場合に有効である。すなわち、試料ガスの高感度化を図る際に分子ビームに対してレーザービーム径を大きくして照射される試料分子量を多くして高感度化を図ることがあるが、この場合にはイオンの生成される位置によりイオン引き出し電極から引き出される際のイオンエネルギーが異なり、イオンエネルギーの広がりが大きくなり、イオンの飛行時間に広がりが生じることになる。このような場合のイオンの質量分解能低下を四重極電極を通過したイオン信号を時間分解計測することにより防ぐことができる。
【0016】
本実施の形態によれば、より高感度のガス検出が可能なシステム構成が実現できる。
【0017】
[実施の形態2]
次に、同じく図1を用いて実施の形態2を説明する。実施の形態2では、B側イオン引き出し電極10にプラス電位を、A側イオン引き出し電極9をアース電位として、イオンをA側に引き出し、イオンレンズ11を介してA側イオン検出器20に直接に入射して、このイオン信号を時間分解計測により検出する。この場合ではイオンは四重極電極を介さずにイオン検出器に入射するため、質量分解能は低いが、通常10%以下のイオン透過率の四重極電極を介さずにイオン検出器に入射するため、イオンの高感度検出が可能となる。なお、イオン検出器は2次電子増倍管(SEM)あるいはマイクロチャンネルプレート(MCP)を用いれば良いが、この場合、使用真空度がMCPより1桁低くても(悪くても)使用可能であり、イオンレンズ11によるイオン収束機能により、SEMの適用の方が高感度化が可能であるため好ましい。
【0018】
この方法によれば、A側では質量分解能は低いが高感度検出が可能であり、B側では検出感度は低いが高質量分解能での計測が可能となる。また、高分解能計測においても大型装置となってしまう飛行時間型質量分析器を使用しないため装置を小型化することが可能となる。本実施の形態によれば、質量分析優先か検出感度優先かの分析検出目的に応じたガス検出が可能なシステム構成が実現できる。
【0019】
[実施の形態3]
次に、図2および図3を用いて実施の形態3を説明する。なお実施の形態1と同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。実施の形態2では、実施の形態1の構成において、イオンレンズ11に加え、イオンレンズ17、18、19をセットとして追加したものである。この場合のレーザー照射によって生じる直径6mmのイオンが引き出し電圧およびイオンレンズ電圧によってイオン検出器20に入射するイオンの軌道を計算したものが、図3である。図3中にはレーザー光8の照射で生じたイオンがイオンレンズ11、17、18、19を通過した後、B側イオン検出器20に入射するまでのイオンレンズによる等電位線23とイオンの軌道16が示されている。なお、イオンレンズによる等電位線23は下半分のみ示しているが、上半分も線対称の形状を有している。
【0020】
この場合、イオンレンズ11、17、18、19に適切な電圧を印加することにより、分子ビーム7の速度が1000m/s程度ある場合にも、全イオンをイオン検出器20に入射することが可能となり、イオンの高感度検出が可能となる。
【0021】
なお、この場合の計算条件としては、イオンレンズ11は平板で円形開口形状、イオンレンズ17、18、19は円筒状でそれぞれの内径は20mm、イオンレンズ17、18、19の長さはそれぞれ43mm、65mm、65mm、イオン引き出し電極14とイオンレンズ11の間隔は20(mm)、イオンレンズ11とイオンレンズ12の間隔は20(mm)で各電極の印加電圧V1〜V6は、V1=600(V)、V2=0(V)、V3=60(V)、V4=0(V)、V5=140(V)、V6=0(V)としたものである。この体系ではV2、V4およびV6をアース電位とし、V1に応じてV3およびV5を適正化することによりイオンのイオン検出器への収束効率を高めることが可能である。
【0022】
本実施の形態によれば、より高感度のガス検出が可能なシステム構成が実現できる。
【0023】
[実施の形態4]
次に、図4および図5を用いて実施の形態4を説明する。なお実施の形態1と同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。実施の形態1および2の体系で、高質量分解能の四重極電極によりA側のイオン信号の時間波形と質量を校正した場合、モニターする試料ガス成分が既知で高分解能計測が不要な場合、B側の機器を切り離すことにより、より小型化した装置を構成することが可能となる。図4はその実施の形態を示したもので、この場合はB側の装置は不要となり、より装置を小型化することが可能となる。
【0024】
さらに、図5は図4中のイオンレンズ17、18、19を無くしてさらに装置構成を簡単化したものである。測定対象とするイオンの質量分解能が低くても良い場合には、図4の体系より図5の体系の方が装置が小型化可能となる。
【0025】
図6は、図5に示す実施の形態による装置体系で測定した例を示したものである。この場合、試料ガスにビフェニルとクロルベンゼンの混合ガスを用い、レーザー光にNd:YAGレーザーの4倍波(266nm)を照射して生成したイオンを測定したものである。図6の破線はB側の四重極電極を介してイオン検出した信号を示し、また、実線はA側のイオン信号についてイオン検出時間の平方根で質量校正した結果を示したものである。
【0026】
この結果に示すように、測定されたイオンの質量スペクトルにおいて、質量数154においてビフェニルが、質量数112、76、50の近辺においてクロルベンゼンによるイオンがそれぞれ測定された。この結果から、A側のイオン検出器のみよる信号は質量の分解能は質量分析器によるものと比べて劣っているが、クロルベンゼンで生じたイオンの塩素1個分の質量のピークは明確に分離でき、その感度としては10倍以上が得られている。したがって、モニターする試料ガスの成分が固定の場合で高分解能の質量分析が不要な場合には、この実施の形態による体系が好適となる。
【0027】
本実施の形態によれば、より高感度のガス検出が可能なシステム構成が実現できる。
【0028】
[実施の形態5]
次に、図7および図8を用いて実施の形態5を説明する。図7はイオン引き出し電極内のレーザービームの照射状況を示したものである。実施の形態2〜5の体系で、試料ガスの高感度化を図る際に分子ビームに対してレーザービーム径を大きくして照射される試料分子量を多くして高感度化を図る場合のイオンのエネルギーは、イオンの生成される位置によりイオン引き出し電極まで到達するまでの距離差によりイオンエネルギーが異なり、イオンエネルギーの広がりが大きくなり、結果的にイオンの飛行時間(TOF;Time Of Flight)に広がりが生じることになる。このような場合はイオンの引き出し電圧が一定(DC)電場の際に生じる。
【0029】
一方、イオンの引き出し電場をパルス電場とし、そのパルス幅を、レーザービーム位置の最も引き出し電極に近い場所のイオンがイオン引き出し電極に到達するまでの時間幅とすると、これ以降のイオンの加速は行なわれなくなり、レーザービームの位置によらず一定のエネルギーとすることができる。
【0030】
具体的には、イオン引き出し間隔を2d(m)、レーザービーム径を2r(m)とした場合のイオン引き出し電圧を2V(V)場のパルス幅τとしては、イオン電荷q、イオン質量Mとすると、
τ=[2M(d−r)/qV]1/2 ・・・ [式1]
で与えると該当イオンのエネルギーを単一とすることができる。
【0031】
なお、この場合、イオンのイオン検出器までの到達時間にはレーザービーム径(2r)の移動時間の差が生じる。いま、イオン引き出し電極からイオン検出器までに距離Lに対して2rの大きさが、
L>>2r ・・・ [式2]
であればパルス幅の補正は不要であるが、上記条件に該当しない場合にはLに応じて印加するパルス幅をやや広めに取ることによりイオン検出器への到達時間の幅を狭めることができる。
【0032】
図8は、レーザー照射によるイオン生成時刻におけるイオン引き出しのためのパルス電場の印加状況を示したもので、式1で示されるパルス幅はレーザー照射時刻以降にイオンが受ける電場とすれば良い。なお、イオン化で生じるプラズマ密度が濃くなるとイオンの引き出しに必要な時間が長くなる。しかしながら、イオン引き出し電圧を100(V)以上とすれば、微量のガスを検知することを目的とする本実施の形態において生成されるプラズマ密度では、問題無く適用可能となる。
【0033】
本実施の形態によれば、簡便でS/N比の高いレーザーイオン化によるガス検出が可能なシステム構成が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るレーザーイオン化質量分析装置の実施の形態1および2の模式的部分斜視縦断面図。
【図2】本発明に係るレーザーイオン化質量分析装置の実施の形態3の模式的縦断面図。
【図3】図2のレーザーイオン化質量分析装置におけるイオンレンズによる等電位線とイオン軌道の計算結果を示す図。
【図4】本発明に係るレーザーイオン化質量分析装置の実施の形態4の模式的縦断面図。
【図5】本発明に係るレーザーイオン化質量分析装置の実施の形態4の変形例の模式的縦断面図。
【図6】図5のレーザーイオン化質量分析装置によるガス検出例を表すグラフ。
【図7】イオン引き出し電極からイオン検出器までのイオン運動の説明図。
【図8】イオン引き出し電極への印加電圧の時間波形を表すグラフ。
【符号の説明】
【0035】
1:光反応セル
2:ガスサンプリング室
3:パルスバルブ(ビーム生成手段)
4:ガスサンプリング配管(ビーム生成手段)
5:ガス導入室
6:ガイド管
7:分子ビーム
8:レーザー光
9:A側イオン引き出し電極
10:B側イオン引き出し電極
11:イオンレンズ
12:イオンレンズ
13:B側イオン軌道(イオン流)
14:四重極電極
15:B側イオン検出器
16:A側イオン軌道(イオン流)
17:イオンレンズ
18:イオンレンズ
19:イオンレンズ
20:A側イオン検出器
21:ガス放出管
22:真空ポンプによる真空排気
23:イオンレンズによる等電位線
24:レーザー光パルス照射タイミング
25:パルス電場の時間幅
26:ガス導入室と光反応セルとの通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象ガス分子のビームを生成するビーム生成手段と、
前記ガス分子のビームにレーザー光を照射して前記分子をイオン化するイオン化手段と、
前記イオン化したガス分子を引き出すイオン引き出し電極と、
前記イオン引き出し電極によって引き出されたガス分子が通過するイオンレンズと、
前記イオンレンズを通過したガス分子が入射して通過する四重極電極と、
前記四重極電極を通過したガス分子のイオン信号を時間分解計測により検出する検出器と、
を有することを特徴とするレーザーイオン化質量分析装置。
【請求項2】
前記イオン引き出し電極は一対のメッシュ開口を有し、
前記イオンレンズは前記イオン引き出し電極の背後に配置され、
前記イオン引き出し電極に印加する電圧を切り替えることによってイオンの引き出し側を2方向に切り替えられるように構成され、
イオンの引き出し側の一方には前記四重極電極を配置して、この四重極電極に入射してこれを通過したイオンのイオン信号を時間分解計測により検出できるように前記検出器が配置され、イオンの引き出し側のもう一方には四重極電極を通らずに入射したイオンのイオン信号を検出する検出器が配置されていること、
を特徴とする請求項1記載のレーザーイオン化質量分析装置。
【請求項3】
レーザー光を測定対象ガスの分子ビームに照射して、前記測定対象ガスの分子をイオン化してそのイオン電流を検知して質量分析を行なうレーザーイオン化質量分析方法において、
イオン化された試料ガス分子をイオン引き出し電極によりイオンを引き出すイオン引き出しステップと、
前記引き出されたイオンを、イオンレンズを介して四重極電極に入射して、この四重極電極を通過させる四重極電極通過ステップと、
前記四重極電極を通過したイオンのイオン信号を時間分解計測により検出する検出ステップと、
を有することを特徴とするレーザーイオン化質量分析方法。
【請求項4】
前記イオン引き出し電極は、一対のメッシュ開口を有するイオン引き出し電極を有し、前記イオンレンズは前記イオン引き出し電極の背後に配置されており、
前記イオン引き出し電極に印加する電圧を切り替えることによって、イオンの引き出し側を2方向に切り替えるステップと、
イオンの引き出し側の一方で、前記四重極電極に入射してこれを通過したイオンのイオン信号を時間分解計測により検出する第1の検出ステップと、
イオンの引き出し側のもう一方で、四重極電極を通らずに入射したイオンのイオン信号を検出する第2の検出ステップと、
を有すること、を特徴とする請求項3記載のレーザーイオン化質量分析方法。
【請求項5】
前記第1の検出ステップの結果により、前記第2の検出ステップの結果として得られるイオン信号の時間波形と質量を校正するステップをさらに有すること、を特徴とする請求項4記載のレーザーイオン化質量分析方法。
【請求項6】
前記イオン引き出し電極に印加するイオン引き出し電圧をパルス状とし、イオン引き出し間隔を2d、レーザービーム径を2r、イオン引き出し電圧を2V、イオン電荷をq、イオン質量をMとする場合に、前記イオン引き出し電圧のパルス幅τを
τ=[2(d−r)M/qV]1/2
とすることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項記載のレーザーイオン化質量分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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