説明

レーザー加工方法、およびバイオセンサ用電極の製造方法

【課題】
本発明は、金属化フィルムの金属層を、両面同時に、かつ完全に除去することによって電極を形成する、優れたレーザー加工方法を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明のレーザー加工方法は、全光線透過率が80%以上である高分子フィルム基材で構成された両面金属化フィルムの金属層を除去するレーザー加工方法において、該高分子フィルム基材を透過するレーザーとしてQスイッチパルスレーザーを用いて、両面の金属層を同時に除去することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜が積層された基材に任意の形状を設けるレーザー加工方法であり、より詳しくは、金属化フィルムの両面に形成された金属層を任意の形状に除去するレーザー加工方法に関するものである。
【0002】
また、本発明は、上記レーザー加工方法により、両面金属化フィルムの金属層を除去するバイオセンサ用電極の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
生体試料中の特定成分を簡易に定量するバイオセンサの測定方法として、酵素電極法が提案されている。
【0004】
この酵素電極法は、絶縁性基材上に測定極、対極および参照極からなる電極を形成し、この電極上に、酸化還元酵素および電子メディエータを含む酵素層を形成した酵素電極を用いる。このように作成された酵素電極の酵素層上に、酵素反応の基質である特定成分を含む試料液を滴下すると、酵素層が試料液に溶解して、酵素と基質が反応し、さらに電子メディエータが還元される。この還元された電子メディエータを電気化学的に酸化する際に電極へ流れる電流値から、試料液中の基質濃度を求めることができる。
【0005】
一例として、グルコースセンサが開発されている(特許文献1等)。酵素にグルコースオキシダーゼまたはグルコースデヒドロゲナーゼ、電子メディエータにフェリシアン化カリウム等をそれぞれ用いている。血液等の試料液に含まれるグルコース量を測定できるため、糖尿病患者の自己血糖測定用途を中心に広く使用されている。
【0006】
酵素電極の電極部材は、絶縁性の高分子フィルム基材上に、スパッタリング法等により金、白金、パラジウム等の貴金属層を積層し、レーザー加工により該貴金属層の一部を除去することで形成することができる(特許文献2等)。
【0007】
さらに、絶縁性基材の両面に酵素電極を形成する方式のバイオセンサが提案されている(特許文献3)。該バイオセンサによれば、複数の酵素電極に同一の酵素を用いることによって定量の信頼性を高めることができる。また、複数の酵素電極に異なる酵素を用いることによって、試料液中の複数の成分を同時に定量することができる。
【0008】
一方、透明な絶縁性基材の両面に金属層を積層し、レーザー加工により両面の金属層を同時に除去する方法が提案されている(特許文献4)。
【0009】
しかしながら、かかる方法を用いて金属化フィルムの両面の金属層を除去することにより電極を形成する場合、一度のレーザースキャンでは両面の金属層を完全に除去することができず、金属層の一部が絶縁性基材上に残ってしまうという問題があった。
【特許文献1】特開平5−196595号公報(第2頁第1欄第20行〜第2欄第2行)
【特許文献2】特開2001−305096号公報(請求項5)
【特許文献3】特開平5−196596号公報(請求項1)
【特許文献4】特開平1−251689号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、金属化フィルムの金属層を、両面同時に、かつ完全に除去することによって電極を形成する、優れたレーザー加工方法を提供せんとするものである。
【0011】
絶縁性基材の異なる面上に複数組の酵素電極を形成したバイオセンサは、通常、カバー/スペーサー/電極/絶縁性基材/電極/スペーサー/カバーの順で構成されている(特許文献4等)。本発明は、特に、このバイオセンサ等の電極を得るためのレーザー加工方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明におけるレーザー加工方法は、全光線透過率が80%以上である高分子フィルム基材で構成された両面金属化フィルムの金属層を除去するレーザー加工方法であって、該高分子フィルム基材を透過するレーザーとしてQスイッチパルスレーザーを用いて、両面の金属層を同時に除去するものである。
【0013】
また、本発明は、上記レーザー加工方法により、両面金属化フィルムの金属層を除去するバイオセンサ用電極の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一度のレーザースキャンにより、金属層を両面同時かつ完全に除去することができるので、グルコースセンサに代表されるようなバイオセンサ等において、両面に電極を備えた形式のバイオセンサに用いる電極を形成するための、優れたレーザー加工方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、前記課題、つまり、金属化フィルムの金属層を両面同時かつ完全に除去して電極を形成する方法について鋭意検討を行った結果、該金属化フィルムの高分子フィルム基材を透過するレーザーとして、Qスイッチパルスレーザーという特殊なものを用いたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0016】
本発明において、金属化フィルムとは、高分子フィルム基材の両面に金属層を積層したフィルムを意味する。本発明によれば、レーザーを照射した部分において金属化フィルム両面の金属層は除去され、高分子フィルム基材が露出することとなる。
【0017】
本発明における、レーザー加工前の金属化フィルムの断面図を図1に示した。該金属化フィルムは、高分子フィルム基材(1)、金属層(2)および(3)からなる。
【0018】
本発明における、レーザー加工後の金属化フィルムの断面図を図2に示した。レーザー加工部(4)は、レーザーが照射された部分であり、両面の金属層が除去され、高分子フィルム基材(1)が露出することとなる。
【0019】
本発明における金属化フィルムの高分子フィルム基材は、かかるレーザーを透過する素材で構成することが必要である。すなわち、JIS−K−7105(1981年版)に基づいて測定した全光線透過率が、80%以上であることが必要であり、好ましくは85%以上、より好ましくは87%以上である。全光線透過率が80%より低いと、かかる高分子フィルム基材に熱が蓄積し損傷を受けるため、好ましくない。
【0020】
本発明における高分子フィルム基材を構成する素材は、公知のプラスチックフィルム基材の素材の中から適宜選択して用いることができる。例えば、このようなプラスチックフィルム基材の素材として、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ジアセテート系、トリアセテート系、ポリスチレン系、ポリカーボネート系、ポリメチルペンテン系、ポリスルホン系、ポリエーテルエチルケトン系、ポリイミド系、フッ素系、ナイロン系、メタクリル系およびポリ乳酸系等の樹脂から選ばれた樹脂を使用することができる。これらの樹脂の中で、機械的強度および均一性等の観点から、ポリエステル樹脂からなるポリエステルフィルムを用いることが好ましい。
【0021】
かかるポリエステルフィルムのポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を使用することができる。また、これらのポリエステルには、さらに他のジカルボン酸成分やジオール成分を20モル%以下の範囲で共重合したものも使用することができる。これらの構成成分は一種のみ用いても、二種以上併用してもいずれでも良いが、品質、経済性等を総合的に判断すると、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましく使用される。
【0022】
また、かかる高分子フィルム基材の厚さは特に限定されるものではないが、機械的強度の点から、好ましくは5〜800μm、より好ましくは10〜250μmである。
【0023】
また、本発明の金属化フィルムは、金属層を積層する前に、高分子フィルム基材表面に表面処理を施すことができる。例えば、このような表面処理として、エッチング処理、蒸気処理、イオンビーム処理、粗面化処理、コロナ放電処理を施すことができる。また、同様に、金属層を積層する前に、表面コーティングを施すことができる。例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエステルアクリレート系、ポリウレタンアクリレート系、ポリエポキシアクリレート系等の樹脂やチタネート系化合物等をコーティングすることができる。かかる表面処理および/または表面コーティングにより、該金属層の高分子フィルム基材に対する密着性を高めることができる。
【0024】
かかる金属層を構成する金属素材としては、酸化されにくく、かつ導電性があれば、いずれの金属でも用いることができるが、特に、化学的な安定性が良好であることから、金、白金、パラジウム、銀、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム等の貴金属は、化学反応による変化を電気的に捉えるための電極用途、例えば、バイオセンサ用の酵素電極等に好適に使用できるので好ましい。また、かかる金属層を構成する金属素材は、一種であっても二種以上併用しても良い。さらに、複数の金属層が積層されたものであっても良く、合金であっても良い。加えて、金属層を構成する素材は、金属化フィルムの両面で異なっていても良く、金属層の数が両面で異なっても良い。
【0025】
かかる金属層の厚さは、両面とも50nm以下であることが好ましく、より好ましくは40nm以下、特に好ましくは30nm以下である。また、金属層の厚さは、かかる範囲内であれば、両面で異なっても良い。しかし、少なくとも片面の金属層の厚さが50nmより大きいと、一度のレーザースキャンで両面の金属層を完全に除去することができない場合がある。
【0026】
本発明における金属化フィルムの両面に金属層を積層する方法は、スパッタリング法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法等が挙げられる。中でも、金属層の厚さの均一性、密着性等の観点から、スパッタリング法が特に好ましい。
【0027】
本発明におけるレーザー加工には、Qスイッチパルスレーザーを用いることが必要である。かかるQスイッチパルスレーザーとは、半値幅が10ナノ秒以上300ナノ秒以下のパルス発振をするレーザーを意味する。かかるQスイッチパルスレーザーを用いることにより、一度のレーザースキャンで金属層を両面同時かつ完全に除去することができる。連続発振、あるいは半値幅が300ナノ秒より大きいパルスレーザーでは、一度のレーザースキャンで両面の金属層を完全に除去することができないため好ましくない。また、半値幅が10ナノ秒未満のパルスレーザーでは、金属化フィルムに急激に熱が蓄積して損傷するため、好ましくない。
【0028】
かかるQスイッチパルスレーザーについては、例えば「レーザ加工技術」(宮崎俊行他著、産業図書発行)の9〜10ページ等に詳細に記述されている。
【実施例】
【0029】
〔評価方法〕
各実施例および比較例で作成した金属化フィルムの両面(レーザー入射面、および裏面)に対して、金属層の厚さ、フィルム基材の全光線透過率、表面抵抗値、およびレーザー加工部の深さを測定した。測定は、温度25℃、相対湿度45〜55%RHの大気下で行った。100mm×100mmの大きさの正方形の形状に10枚のフィルムサンプルを切り出して各測定に用いた。測定値は、かかる10枚のフィルムサンプルの平均値とした。
【0030】
(1)金属層の厚さ
分光エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン(株)製M−2000)を用いて測定した。入射光の波長範囲は245〜1000nm、光径は2mmφ、入射角は60°とした。
金属化フィルムの任意の片面から光を入射して、両面のそれぞれの金属層の厚さを一度に測定した。
【0031】
(2)フィルム基材の全光線透過率
フィルム基材の全光線透過率は、JIS−K−7105(1981年版)に基づいて、濁度計(日本電色工業(株)製NDH2000)を用いて測定した。
【0032】
(3)表面抵抗値
レーザー加工部の金属層が完全に除去されたかを、表面抵抗値により評価した。
表面抵抗値は、JIS−C−2151(2006年版)に基づいて、表面抵抗率計(日置電機(株)製デジタルハイテスタ3256)を用い、試験電圧100Vで測定を行った。
フィルム両面それぞれについて中心部の値を測定した。レーザー加工後の金属化フィルムに関しては、二本の電極探針が直線状のレーザースキャン部を挟むように設置して測定した。異なる10枚のフィルムサンプルの各面の表面抵抗値の平均値を、それぞれの面の測定値とした。以下の式により算出される表面抵抗値の比が1000以上であれば、レーザー加工部の金属層は良好に除去されている。
・表面抵抗値の比=レーザー加工後の表面抵抗値(Ω/□)/レーザー加工前の表面抵抗値(Ω/□)。
【0033】
(4)レーザー加工部の深さ
レーザー加工部におけるフィルム基材の損傷の有無を評価するため、レーザー加工部の深さ(フィルム基材表面からレーザー加工跡の凹部底面までの距離)を測定した。レーザー加工部の深さは、高精度薄膜段差計((株)小坂研究所製ET−10)を用いて、触針先端半径0.5μm、針圧5mgで測定を行った。
レーザー加工部の深さが1.5μm以下であれば、金属化フィルムの基材が損傷を受けず、金属層が良好に除去されている。また、金属層が未除去であることを目視確認できる場合は、不良である。
なお、本測定方法では金属層表面からレーザー加工跡の凹部底面までの距離を測定しており、厳密にはレーザー加工部のみの深さをしていない。しかし、レーザー加工部の深さに対して金属層の厚みは非常に小さいことから、本願においては本測定方法による値をレーザー加工部の深さとみなす。
【0034】
〔実施例1、2、3および比較例1〕
フィルム基材として厚さ100μmの透明ポリエステルフィルム(東レ(株)製ルミラー(登録商標)#100S10)を使用し、マグネトロンスパッタリング装置を用いて、厚さ10nmのパラジウム膜をフィルム基材の両面に積層した。ターゲットには、純度99.99質量%のパラジウム(フルウチ化学(株)製)を用いた。到達背圧は5×10−3Pa以下とした。スパッタガスには、スパッタ圧力0.7Paのアルゴンを用いた。
【0035】
レーザー加工は、YVOレーザマーカ(MD−V9600、(株)キーエンス製)により行った。該レーザマーカ装置の波長は1064nmであり、パルスレーザーの半値幅は10ナノ秒であった。
【0036】
レーザー条件は、Qスイッチパルス周波数を10kHz、レーザー強度を40%に設定した。スキャンスピード200mm/秒で、100mm×100mmの正方形のフィルムサンプルの中心を通り、かかる正方形の任意の一辺に平行な直線状にレーザースキャンを施した。かかる加工により得られたフィルムサンプルを実施例1とした。
【0037】
また、実施例1において、パラジウム膜の厚さがフィルム両面ともに20nmであるフィルムサンプルを実施例2、パラジウム膜の厚さがフィルム両面ともに50nmであるフィルムサンプルを実施例3とした。さらに、実施例1において、パラジウム膜の厚さがフィルム両面ともに100nmであるフィルムサンプルを比較例1とした。
【0038】
〔実施例4〕
フィルム基材として厚さ125μmの透明ポリエステルフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)#125T60)を使用し、マグネトロンスパッタリング装置を用いて、厚さ10nmのパラジウム膜をフィルム基材の両面に積層した。ターゲットには、純度99.99質量%のパラジウム(フルウチ化学(株)製)を用いた。到達背圧は5×10−3Pa以下とした。スパッタガスには、スパッタ圧力0.7Paのアルゴンを用いた。
【0039】
レーザー加工は、YVOレーザマーカ(MD−V9600、(株)キーエンス製)により行った。該レーザマーカ装置の波長は1064nmであり、パルスレーザーの半値幅は10ナノ秒であった。
【0040】
レーザー条件は、Qスイッチパルス周波数を10kHz、レーザー強度を40%に設定した。スキャンスピード200mm/秒で、100mm×100mmの正方形のフィルムサンプルの中心を通り、かかる正方形の任意の一辺に平行な直線状にレーザースキャンを施した。かかる加工により得られたフィルムサンプルを実施例4とした。
【0041】
〔比較例2〕
フィルム基材として厚さ100μmの白色ポリエステルフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)#100E20)を使用し、マグネトロンスパッタリング装置を用いて、厚さ50nmのパラジウム膜をフィルム基材の両面に積層した。ターゲットには、純度99.99質量%のパラジウム(フルウチ化学(株)製)を用いた。到達背圧は5×10−3Pa以下とした。スパッタガスには、スパッタ圧力0.7Paのアルゴンを用いた。
【0042】
レーザー加工は、YVOレーザマーカ(MD−V9600、(株)キーエンス製)により行った。該レーザマーカ装置の波長は1064nmであり、パルスレーザーの半値幅は10ナノ秒であった。レーザー条件は、Qスイッチパルス周波数を10kHz、レーザー強度を40%に設定した。スキャンスピード200mm/秒で、100mm×100mmの正方形のフィルムサンプルの中心を通り、かかる正方形の任意の一辺に平行な直線状にレーザースキャンを施した。かかる加工により得られたフィルムサンプルを比較例2とした。
【0043】
〔比較例3〕
フィルム基材として厚さ100μmの透明ポリエステルフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)#100S10)を使用し、マグネトロンスパッタリング装置を用いて、厚さ50nmのパラジウム膜をフィルム基材の両面に積層した。ターゲットには、純度99.99質量%のパラジウム(フルウチ化学(株)製)を用いた。到達背圧は5×10−3Pa以下とした。スパッタガスには、スパッタ圧力0.7Paのアルゴンを用いた。
【0044】
レーザー加工は、YVOレーザマーカ(MD−V9600、(株)キーエンス製)により行った。該レーザマーカ装置の波長は1064nmであった。レーザーは連続発振とし、レーザー強度を40%に設定した。スキャンスピード200mm/秒で、100mm×100mmの正方形のフィルムサンプルの中心を通り、かかる正方形の任意の一辺に平行な直線状にレーザースキャンを施した。かかる加工により得られたフィルムサンプルを比較例3とした。
【0045】
各実施例、および比較例の評価結果を、表1に示した。
【0046】
【表1】

【0047】
実施例1〜4は、両面のパラジウム層が完全に除去されており、かつ、レーザー加工部においてフィルム基材の損傷が見られず良好であった。
【0048】
パラジウム層が100nmである比較例1は、レーザー入射面のパラジウム層が完全に除去されているものの、裏面のパラジウム層が除去されておらず、不良であった。
【0049】
金属化フィルムの基材に白色フィルムを用いた比較例2は、レーザー入射面のパラジウム層が完全に除去されているものの、裏面のパラジウム層が除去されておらず、かつ、レーザー入射面の加工部においてフィルム基材の損傷が見られたため、不良であった。
【0050】
連続発振でレーザースキャンを行った比較例3は、レーザー入射面のパラジウム層が完全に除去されているものの、裏面のパラジウム層が除去されておらず、不良であった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、グルコースセンサに代表されるようなバイオセンサ等において、両面に電極を備えた形状のバイオセンサに用いる電極を形成するための優れたレーザー加工方法として、特に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明におけるレーザー加工前の金属化フィルム断面の一例を示す概略図である。
【図2】本発明におけるレーザー加工後の金属化フィルム断面の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0053】
1:高分子フィルム基材
2:金属層
3:金属層
4:レーザー加工部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全光線透過率が80%以上である高分子フィルム基材で構成された両面金属化フィルムの金属層を除去するレーザー加工方法であって、高分子フィルム基材を透過するレーザーとしてQスイッチパルスレーザーを用いて、両面の金属層を同時に除去するレーザー加工方法。
【請求項2】
前記金属層の厚さが、両面とも50nm以下である請求項1に記載のレーザー加工方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレーザー加工方法により、両面金属化フィルムの金属層を除去するバイオセンサ用電極の製造方法。

【図1】
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【図2】
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