説明

レーザー加工装置

【課題】レーザー発振器から発振されるレーザー光線を集光レンズによって集光することなく集光器に伝送することができる光伝送手段を備えたレーザー加工装置を提供する。
【解決手段】レーザー光線照射手段がレーザー光線を発振するレーザー発振器62と、レーザー発振器が発振したレーザー光線を集光してチャックテーブルに保持された被加工物に照射する集光器64と、レーザー発振器が発振したレーザー光線を集光器に導く光伝送手段65とを具備しているレーザー加工装置であって、光伝送手段は、可撓性を有し両端が開口されたフレキシブルチューブ651と、フレキシブルチューブに充填されレーザー光線を伝送する液体652と、フレキシブルチューブの一端部を閉塞し液体を封止する透明部材によって形成された第1の栓653と、フレキシブルチューブの他端部を閉塞し液体を封止する透明部材によって形成された第2の栓654とからなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物にレーザー光線を照射してレーザー加工を施すレーザー加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々の半導体チップを製造している。また、サファイヤ基板の表面にフォトダイオード等の受光素子やレーザーダイオード等の発光素子等が積層された光デバイスウエーハもストリートに沿って切断することにより個々のフォトダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハをストリートに沿って分割する方法として、ウエーハに形成されたストリートに沿ってパルスレーザー光線を照射することによりレーザー加工溝または内部に変質層を形成し、このレーザー加工溝または変質層に沿って破断する方法が提案されている。このようにウエーハ等の被加工物にレーザー加工を施すレーザー加工装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段とを具備している。このレーザー光線照射手段は、レーザー光線を発振するレーザー発振器と、該レーザー発振器が発振したレーザー光線を集光してチャックテーブルに保持された被加工物に照射する集光器と、レーザー発振器が発振したレーザー光線を集光器に導く光伝送手段とから構成されている。
【0004】
上述したレーザー発振器から発振されたレーザー光線を集光器に導く光伝送手段は、一般にレンズとミラーからなる光学系からなっている。しかるに、レンズとミラーからなる光学系は設置場所によっては設計上の自由度が少ないという問題がある。このような問題を解消するために、光ファイバーを用いた光伝送手段が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−277775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した光伝送手段としての光ファイバーは、ガラスで形成されており、柔軟性を持たせるために直径が25μm程度の細さに形成されている。しかるに、レーザー発振器から発振されるレーザー光線は直径が2〜3mmであるため、レーザー発振器から発振されたレーザー光線を集光レンズによって集光し光ファイバーの端面の中心に位置付ける必要があるので、光伝送手段は必ずしも簡単な構成とはならない。また、レーザー発振器から発振されたレーザー光線を集光レンズによって集光して光ファイバーの端面の中心に位置付けるので、光ファイバーの端面が照射されるレーザー光線によって早期に劣化するという問題もある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、レーザー発振器から発振されるレーザー光線を集光レンズによって集光することなく集光器に伝送することができる光伝送手段を備えたレーザー加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するために、本発明によれば、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段とを備え、該レーザー光線照射手段がレーザー光線を発振するレーザー発振器と、該レーザー発振器が発振したレーザー光線を集光してチャックテーブルに保持された被加工物に照射する集光器と、該レーザー発振器が発振したレーザー光線を集光器に導く光伝送手段とを具備しているレーザー加工装置において、
該光伝送手段は、可撓性を有し両端が開口されたフレキシブルチューブと、該フレキシブルチューブに充填されレーザー光線を伝送する液体と、該フレキシブルチューブの一端部を閉塞し該液体を封止する透明部材によって形成された第1の栓と、該フレキシブルチューブの他端部を閉塞し該液体を封止する透明部材によって形成された第2の栓と、からなっている、
ことを特徴とするレーザー加工装置が提供される。
【0009】
上記光伝送手段を構成するフレキシブルチューブはフッ素系樹脂によって形成され、液体は純水であり、第1の栓および第2の栓は石英によって形成されている。
また、上記光伝送手段を構成するフレキシブルチューブの開口の直径は、上記レーザー発振器が発振するレーザー光線の直径以上に設定されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるレーザー加工装置においては、レーザー光線照射手段を構成する光伝送手段が、可撓性を有し両端が開口されたフレキシブルチューブと、フレキシブルチューブに充填されレーザー光線を伝送する液体と、該フレキシブルチューブの一端部を閉塞し液体を封止する透明部材によって形成された第1の栓と、フレキシブルチューブの他端部を閉塞し液体を封止する透明部材によって形成された第2の栓とからなっており、レーザー光線を伝送する媒体が液体であるため、液体が充填されるフレキシブルチューブは、その内径(開口の直径に対応)をパルスレーザー光線発振器が発振するパルスレーザー光線の直径に対応した値に形成することが容易である。従って、パルスレーザー光線発振器が発振したパルスレーザー光線を集光することなく光伝送手段を構成する第1の栓または第2の栓の端面に直接入光することができるので、集光レンズが不要となるとともに、第1の栓または第2の栓の端面が照射されるレーザー光線のパワー密度が低いので早期に劣化するという問題も解消される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に従って構成されたレーザー加工装置の斜視図。
【図2】図1に示すレーザー加工装置に装備されるレーザー光線照射手段の構成を簡略に示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成されたレーザー加工装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1には、本発明に従って構成されたレーザー加工装置の斜視図が示されている。図1に示すレーザー加工装置は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動可能に配設され被加工物を保持するチャックテーブル機構3と、静止基台2に加工送り方向(X軸方向)と直交する矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット支持機構4と、該レーザー光線ユニット支持機構4に後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直な矢印Zで示す集光点位置調整方向(Z軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット5とを具備している。
【0014】
上記チャックテーブル機構3は、静止基台2上に矢印Xで示す加工送り方向に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該案内レール31、31上に矢印Xで示す加工送り方向に(X軸方向)移動可能に配設された第一の滑動ブロック32と、該第1の滑動ブロック32上に矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に配設された第2の滑動ブロック33と、該第2の滑動ブロック33上に円筒部材34によって支持されたカバーテーブル35と、被加工物保持手段としてのチャックテーブル36を具備している。このチャックテーブル36は多孔性材料から形成された吸着チャック361を具備しており、被加工物保持面としての吸着チャック361上に被加工物である例えば円板状の半導体ウエーハを図示しない吸引手段によって保持するようになっている。このように構成されたチャックテーブル36は、円筒部材34内に配設された図示しないパルスモータによって回転せしめられる。なお、チャックテーブル36には、後述する環状のフレームを固定するためのクランプ362が配設されている。
【0015】
上記第1の滑動ブロック32は、その下面に上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられているとともに、その上面に矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って平行に形成された一対の案内レール322、322が設けられている。このように構成された第1の滑動ブロック32は、被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第1の滑動ブロック32を一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動させるためのボール螺子機構からなる加工送り手段37を具備している。加工送り手段37は、上記一対の案内レール31と31の間に平行に配設された雄ネジロッド371と、該雄ネジロッド371を回転駆動するためのパルスモータ372等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド371は、その一端が上記静止基台2に固定された軸受ブロック373に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ372の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド371は、第1の滑動ブロック32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ372によって雄ネジロッド371を正転および逆転駆動することにより、第一の滑動ブロック32は案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動せしめられる。
【0016】
上記第2の滑動ブロック33は、その下面に上記第1の滑動ブロック32の上面に設けられた一対の案内レール322、322と嵌合する一対の被案内溝331、331が設けられており、この被案内溝331、331を一対の案内レール322、322に嵌合することにより、矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第2の滑動ブロック33を第1の滑動ブロック32に設けられた一対の案内レール322、322に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動させるためのボール螺子機構からなる第1の割り出し送り手段38を具備している。第1の割り出し送り手段38は、上記一対の案内レール322と322の間に平行に配設された雄ネジロッド381と、該雄ネジロッド381を回転駆動するためのパルスモータ382等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド381は、その一端が上記第1の滑動ブロック32の上面に固定された軸受ブロック383に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ382の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド381は、第2の滑動ブロック33の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ382によって雄ネジロッド381を正転および逆転駆動することにより、第2の滑動ブロック33は案内レール322、322に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめられる。
【0017】
上記レーザー光線照射ユニット支持機構4は、静止基台2上に矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に沿って平行に配設された一対の案内レール41、41と、該案内レール41、41上に矢印Yで示す方向に移動可能に配設された可動支持基台42を具備している。この可動支持基台42は、案内レール41、41上に移動可能に配設された移動支持部421と、該移動支持部421に取り付けられた装着部422とからなっている。装着部422は、一側面に矢印Zで示す集光点位置調整方向(Z軸方向)に延びる一対の案内レール423、423が平行に設けられている。図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット支持機構4は、可動支持基台42を一対の案内レール41、41に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動させるためのボール螺子機構からなる第2の割り出し送り手段43を具備している。第2の割り出し送り手段43は、上記一対の案内レール41、41の間に平行に配設された雄ネジロッド431と、該雄ネジロッド431を回転駆動するためのパルスモータ432等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド431は、その一端が上記静止基台2に固定された図示しない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ432の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド431は、可動支持基台42を構成する移動支持部421の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。このため、パルスモータ432によって雄ネジロッド431を正転および逆転駆動することにより、可動支持基台42は案内レール41、41に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめられる。
【0018】
図示の実施形態のおけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51と、該ユニットホルダ51に取り付けられたレーザー光線照射手段6を具備している。ユニットホルダ51は、上記装着部422に設けられた一対の案内レール423、423に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝511、511が設けられており、この被案内溝511、511を上記案内レール423、423に嵌合することにより、矢印Zで示す集光点位置調整方向(Z軸方向)に移動可能に支持される。
【0019】
図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51を一対の案内レール423、423に沿って上記チャックテーブル36被加工物保持面に垂直な方向である矢印Zで示す集光点位置調整方向(Z軸方向)に移動させるための集光点位置調整手段53を具備している。集光点位置調整手段53は、上記加工送り手段37や第1の割り出し送り手段38および第2の割り出し送り手段43と同様にボール螺子機構からなっている。この第1の集光点位置調整手段53は、一対の案内レール423、423の間に配設された雄ネジロッド(図示せず)と、該雄ネジロッドを回転駆動するためのパルスモータ532等の駆動源を含んでおり、パルスモータ532によって図示しない雄ネジロッドを正転および逆転駆動することにより、ユニットホルダ51およびレーザビーム照射手段52を案内レール423、423に沿って矢印Zで示す集光点位置調整方向(Z軸方向)に移動せしめる。なお、図示の実施形態においてはパルスモータ532を正転駆動することによりレーザー光線照射手段6を上方に移動し、パルスモータ532を逆転駆動することによりレーザー光線照射手段6を下方に移動するようになっている。
【0020】
図示のレーザー光線照射手段6は、上記ユニットホルダ51に固定され実質上水平に延出する円筒形状のケーシング61を具備している。この円筒形状のケーシング61の前端部には、上記レーザー光線照射手段6によってレーザー加工すべき加工領域を検出する撮像手段7が配設されている。この撮像手段7は撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
【0021】
図示の実施形態におけるレーザー光線照射手段6は、図2に示すように上記ケーシング61内に配設されパルスレーザー光線LBを発振するパルスレーザー光線発振器62と、該パルスレーザー光線発振器62によって発振されたパルスレーザー光線の出力を調整する出力調整手段63と、ケーシング61の先端に配設されパルスレーザー光線発振器62によって発振されたパルスレーザー光線を集光して上記チャックテーブル36に保持された被加工物Wに照射する集光器64と、パルスレーザー光線発振器62によって発振され出力調整手段63によって出力が調整されたパルスレーザー光線を集光器64に伝送する光伝送手段65と、を具備している。
【0022】
上記パルスレーザー光線発振器62は、YAGレーザー発振器或いはYVO4レーザー発振器からなっている。なお、パルスレーザー光線発振器62は発振するパルスレーザー光線LBの直径は、図示の実施形態においては3.5mmに設定されている。上記出力調整手段63は、波長板631とビームスプリッター632および遮光ボックス633とからなっており、波長板631を回動することによりビームスプリッター632から光伝送手段65側と遮光ボックス633側に送るパルスレーザー光線の割合を調整するようになっている。上記集光器64は、図示の実施形態においては、光伝送手段65から出光されるパルスレーザー光線を図2において下方に方向変換する方向変換ミラー641と、該方向変換ミラー641によって方向変換されたパルスレーザー光線を集光してチャックテーブル36に保持された被加工物Wに照射する集光レンズ642とからなっている。
【0023】
次に、上記光伝送手段65について説明する。
図2に示す実施形態における光伝送手段65は、可撓性を有するフレキシブルチューブ651と、該フレキシブルチューブ651に充填されレーザー光線を伝送する液体652と、フレキシブルチューブ651の一端部を閉塞し液体652を封止する透明部材によって形成された第1の栓653と、フレキシブルチューブ651の他端部を閉塞し液体652を封止する透明部材によって形成された第2の栓654とからなっている。フレキシブルチューブ651は、液体652の光屈折率より小さい光屈折率を有するフッ素系樹脂によって形成されており、両端が開口されそれぞれ開口651a、651bが形成されている。この開口651a、651bの直径は、上記パルスレーザー光線発振器62が発振するレーザー光線LBの直径以上(図示の実施形態においては4.5mm)に設定されている。このように形成されたフレキシブルチューブ651に充填される液体652は、図示の実施形態においては純水が用いられる。また、フレキシブルチューブ651の一端部を閉塞し液体652を封止する第1の栓653およびフレキシブルチューブ651の他端部を閉塞し液体652を封止する第2の栓654は、石英によって円柱状に形成されている。この第1の栓653および第2の栓654は、直径がフレキシブルチューブ651の開口651a、651bの直径より僅かに大きい値に設定されており、それぞれ開口651a、651bから圧入して装着される。
【0024】
図2に示す実施形態におけるレーザー光線照射手段6は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
パルスレーザー光線発振器62から発振されたパルスレーザー光線LBは、出力調整手段63によって所定の出力に調整されて光伝送手段65を構成する第1の栓653の端面から入光し、フレキシブルチューブ651に充填された純水からなる液体652を通して第2の栓654の端面から集光器64の方向変換ミラー641に向けて出光される。方向変換ミラー641に向けて出力されたパルスレーザー光線LBは、方向変換ミラー641によって集光レンズ642に向けて方向変換され、集光レンズ642によって集光されてチャックテーブル36に保持された被加工物Wに照射される。
【0025】
上述したレーザー光線照射手段6を構成する光伝送手段65は、レーザー光線を伝送する媒体が液体652であるため、液体652が充填されるフレキシブルチューブ651は、その内径(開口651a、651bの直径に対応)をパルスレーザー光線発振器62が発振するパルスレーザー光線LBの直径に対応した値に形成することが容易である。従って、パルスレーザー光線発振器62が発振したパルスレーザー光線LBを集光することなく光伝送手段65を構成する第1の栓653の端面に直接入光することができるので、集光レンズが不要となるとともに、第1の栓653の端面が照射されるレーザー光線のパワー密度が低いので早期に劣化するという問題も解消される。
【0026】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で種々の変形は可能である。例えば、図示の実施形態においては光伝送手段65を構成する第2の栓654の端面から出光されたパルスレーザー光線LBを集光器64の方向変換ミラー641に導くように構成した例を示したが、方向変換ミラー641を除去して光伝送手段65を構成する第2の栓654の端面から出光されたパルスレーザー光線LBを直接集光レンズ642に導くように構成してもよい。
【符号の説明】
【0027】
2:静止基台
3:チャックテーブル機構
31:案内レール
36:チャックテーブル
37:加工送り手段
38:第1の割り出し送り手段
4:レーザー光線照射ユニット支持機構
41:案内レール
42:可動支持基台
43:第2の割り出し送り手段
5:レーザー光線照射ユニット
6:レーザー光線照射手段
62:パルスレーザー光線発振器
63:出力調整手段
64:集光器
65:光伝送手段
651:フレキシブルチューブ
652:レーザー光線を伝送する液体(純水)
653:第1の栓
654:第2の栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段とを備え、該レーザー光線照射手段がレーザー光線を発振するレーザー発振器と、該レーザー発振器が発振したレーザー光線を集光してチャックテーブルに保持された被加工物に照射する集光器と、該レーザー発振器が発振したレーザー光線を集光器に導く光伝送手段とを具備しているレーザー加工装置において、
該光伝送手段は、可撓性を有し両端が開口されたフレキシブルチューブと、該フレキシブルチューブに充填されレーザー光線を伝送する液体と、該フレキシブルチューブの一端部を閉塞し該液体を封止する透明部材によって形成された第1の栓と、該フレキシブルチューブの他端部を閉塞し該液体を封止する透明部材によって形成された第2の栓と、からなっている、
ことを特徴とするレーザー加工装置。
【請求項2】
該光伝送手段を構成する該フレキシブルチューブはフッ素系樹脂によって形成され、該液体は純水であり、該第1の栓および該第2の栓は石英によって形成されている、請求項1記載のレーザー加工装置。
【請求項3】
該光伝送手段を構成する該フレキシブルチューブの開口の直径は、該レーザー発振器が発振するレーザー光線の直径以上に設定されている、請求項1又は2記載のレーザー加工装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−71322(P2012−71322A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217315(P2010−217315)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】