レーザー転写用ドナー基板及びその基板を用いて製造される有機電界発光素子
【課題】 本発明は、レーザー転写用ドナー基板及びこれを用いて製造される有機電界発光素子に関する。
【解決手段】 基材フィルム、前記基材フィルム上に形成されている光−熱変換層、前記光−熱変換層上の全面に形成されているバッファー層、基材フィルム全面にかけて前記バッファー層上に形成されている金属層、及び前記金属層上に形成されていて有機物質でなる転写層を含むことを特徴とするレーザー転写用ドナー基板を提供することによって、低分子物質をレーザー転写方法で転写パターン特性が優れたドナー基板を提供する。
【解決手段】 基材フィルム、前記基材フィルム上に形成されている光−熱変換層、前記光−熱変換層上の全面に形成されているバッファー層、基材フィルム全面にかけて前記バッファー層上に形成されている金属層、及び前記金属層上に形成されていて有機物質でなる転写層を含むことを特徴とするレーザー転写用ドナー基板を提供することによって、低分子物質をレーザー転写方法で転写パターン特性が優れたドナー基板を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー転写用ドナー基板及びこの基板を用いて製造される有機電界発光素子に関し、より詳しくは、有機電界発光素子の有機層を形成するために用いられるドナー基板及びこれを用いる有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、有機電界発光素子は、陽極及び陰極と、正孔注入層と、正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層と、電子注入層等の複数の層と、で構成される。有機電界発光素子は用いる材料によって高分子と低分子とに分けられるが、低分子有機EL(Electroluminescence)デバイスの場合には真空蒸着によって各層を導入し、高分子有機ELデバイスの場合にはスピンコーティング工程を用いて発光素子を作ることができる。
【0003】
単色素子の場合、高分子を用いた有機電界発光素子は、スピンコーティング工程を用いて簡単に素子を作ることができるが、低分子を用いることより駆動電圧は低いが、効率と寿命とが落ちる短所がある。また、フルカラー素子を作る際には、各々赤、緑、青の高分子をパターニングしなければならないが、インクジェット技術やレーザー転写法を用いる際、効率と寿命など発光特性が悪くなるおそれがあった。
【0004】
特に、レーザー転写法を用いてパターニングする際には、単一高分子材料としては転写されない材料が大部分である。レーザー熱転写法による高分子有機電界発光素子のパターン形成方法は、下記特許文献1に開示されており、また下記特許文献2、3、4に既に開示されている。
【0005】
前記熱転写法を適用するためには、少なくとも光源、転写フィルム、そして基板を必要とし、光源から出た光が転写フィルムの光吸収層によって吸収されて熱エネルギーに変換され、この熱エネルギーによって転写フィルムの転写層形成物質が基板へ転写されて所望のイメージを形成するべきである(下記特許文献5、6、7、8)。
【0006】
このような熱転写法は、液晶表示素子用カラーフィルター製造に用いられることもあり、また、発光物質のパターンを形成するために用いられる場合があった(下記特許文献2)。
【0007】
下記特許文献9は、フルカラー有機電界発光素子において高度のパターン化された有機層を形成する方法に関するもので、前記方法は、有機電界発光物質が転写可能なコーティング物質でコーティングされたドナー支持体を用いる。前記ドナー支持体は、加熱されて有機電界発光物質が目的とする下部ピクセルにある色化された有機電界発光媒介体を形成する基板のリーセス表面部へ転写されるようにする。このとき、前記転写は、ドナー基板に熱または光が加えられて発光物質が蒸気化(vaporize)されてピクセルに転写される。
【0008】
下記特許文献10は、それぞれの画素領域に形成される負画素(subpixel)を形成するにおいて、ドナーシートから収容体(receiver)シートに転写されることにより形成される。このとき、転写工程は、低温(約400℃以下)で昇華性がある有機電界発光物質をドナーシートから収容体シートに転写して負画素を形成することが開示されている。
【0009】
図1は、通常のフルカラー有機電界発光素子の構造を示す断面図である。
【0010】
図1を参照すれば、絶縁基板100上に第1電極200がパターニングされて形成されている。前記第1電極200としては背面発光構造の場合には透明電極で形成され、前面発光構造の場合には反射膜を含む導電性金属で形成される。
【0011】
前記第1電極200上には画素領域を定義し、発光層間に絶縁のために絶縁性物質で画素定義膜(PDL;300)を形成する。
【0012】
前記画素定義膜(PDL;300)で定義された画素領域に有機発光層33、R、G、Bを含む有機膜層を形成し、前記有機膜層33は、前記有機発光層以外にも正孔注入層、正孔輸送層、正孔抑制層、電子輸送層及び電子注入層の中、1以上の層をさらに含むことができる。前記有機発光層としては高分子物質及び低分子物質が全て可能である。
【0013】
次に、前記有機膜層33上に第2電極400を形成する。前記第2電極400は、第1電極200が透明電極の場合には反射膜を含む導電性金属層で形成し、前記第1電極が反射膜を含む導電性金属層の場合には透明電極で形成する。次に、有機電界発光素子を封止することによって有機電界発光素子を完成する。
【0014】
しかしながら、従来のレーザー転写を用いて発光層を形成する場合には、図2に示すように、従来のレーザー転写用ドナー基板34は、基材フィルム31、光−熱変換層32、及び転写層33からなっていて、バッファー層(不図示)をさらに含むことができる。
【0015】
一方、下記特許文献11、12、13には、バッファー層または中間層(interlayer)を前記光−熱変換層32から発生される汚染が有機膜である転写層33に伝えられないように前記光−熱変換層32と転写層33間に用いていて、このようなバッファー層または中間層としては金属層を含んでいる。前記特許は転写層では高分子及び低分子物質について区分していないので、以下で説明するように、低分子物質を用いる場合、問題点が発生する。
【0016】
図3は、従来のドナー基板を用いる場合の転写モデルに関するもので、図3に示すようにレーザー照射の際、光−熱変換層32が膨脹するにつれて転写層33が膨脹しながらドナー基板から分離されて有機電界発光素子の基板に転写される。
【0017】
しかしながら、従来のドナー基板に転写層33で低分子物質を使用した場合には、図3のA部分のように、ドナー基板表面と低分子転写層33との間の接着力が悪くてラミネート工程の際、ドナー基板上の低分子有機物が基板上に付く形状が発生する。したがって、これによってレーザーで転写する領域以外にも不所望の有機物質が基板表面に覆われるようになって、これは直接的に素子の性能が劣るという問題点があった。
【0018】
図4は、従来のドナー基板を用いて低分子物質をレーザー熱転写させたパターンを示す図面である。
【0019】
図4を参照すれば、基板100の全面的にかけて転写させた低分子有機物が付く現状を確認することができるため、画素の定義が不明確なことが分かる。
【0020】
【特許文献1】韓国特許番号1998-51844号
【特許文献2】米国特許第5,998,085号
【特許文献3】米国特許第6,214,520号
【特許文献4】米国特許第6,114,088号
【特許文献5】米国特許第5,220,348号
【特許文献6】米国特許第5,256,506号
【特許文献7】米国特許第5,278,023号
【特許文献8】米国特許第5,308,737号
【特許文献9】米国特許第5,937,272号
【特許文献10】米国特許第5,688,551号
【特許文献11】米国特許第5,981,136号
【特許文献12】米国特許第6,461,793号
【特許文献13】米国特許第6,099,994号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、上述のような問題点を解決するために案出されたもので、本発明の目的は、有機電界発光素子の製造の際、発光層をレーザー転写法で形成する場合、未転写不良を防止できるレーザー転写用ドナー基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は前記の目的を達成するため、本発明は、
基材フィルムと、
前記基材フィルム上に形成されている光−熱変換層と、
前記光−熱変換層上の全面に形成されているバッファー層と、
前記バッファー層上に形成されている金属層、及び
前記金属層上に形成されていて有機物質とからなる転写層と、を含むことを特徴とするレーザー転写用ドナー基板を提供する。
【0023】
また、本発明は、
基材フィルムと、光−熱変換層と、バッファー層及び転写層とを含み、前記バッファー層の表面を改質するための改質層を前記バッファー層と転写層との間に含むことを特徴とするレーザー転写用ドナー基板を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、レーザー転写用ドナー基板において、バッファー層と転写層との間に改質層または金属層を形成してドナー基板と低分子転写物質の表面特性を向上させることによって転写パターン特性を向上させ、これに伴い素子特性もまた向上されることが分かる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【0026】
本発明では同じ構成要素については同じ参照番号を付して説明する。
【0027】
図5は、本発明によってレーザーを用いて有機電界発光素子に用いられる発光有機膜を転写パターニングする際の転写メカニズムを示す図面である。
【0028】
一般のレーザーを用いて有機膜を転写パターニングする際のメカニズムは、図5から分かるように、基板S1に付いていた有機膜S2(33)がレーザーの作用でS1から離れて基板S3に転写されながら、レーザーを受けない部分と分離が発生しなければならない。
【0029】
転写特性を左右する因子は、基板S1とフィルムS2との第1接着力W12と、フィルム間での粘着力W22、そしてフィルムS2と基板S3との第2接着力W23の3種類である。
【0030】
このような第1、第2接着力と粘着力を各層の表面張力(γ1、γ2、γ3)と界面張力(γ12、γ23)で表すと、下記式のように表される。
【0031】
W12=γ1+γ2−γ12
W22=2γ2
W23=γ2+γ3−γ23
レーザー転写特性を向上させるためには、フィルム間での粘着力が各基板とフィルム間の接着力より小さくなければならない。
【0032】
一般に、有機電界発光素子では各層をなす物質として有機物質を用いていて、低分子物質を用いる場合には前記第1及び第2接着力が粘着力より大きいため、ドナー基板34から発光物質を有機電界発光素子に転写させることによって物質転移(mass transition)が発生して発光層の微細パターンを形成できる。このように転写することによって、微細な発光層のパターンまでも形成できてミスアラインメント(mis-alignment)が発生する可能性が小さくなる。
【0033】
図6は、本発明の第1実施例に係る低分子レーザー転写用ドナー基板の構造を示す図面である。
【0034】
図6を参照すれば、前記ドナー基板34は基材フィルム31と、前記基材フィルム31上に形成されている光−熱変換層32と、基材フィルム31の全面にかけて前記光−熱変換層32上に形成されているバッファー層35と、前記バッファー層35上の全面に形成されている金属層36及び前記金属層上に形成されている有機物質からなる転写層33とが積層されている構造を有している。
【0035】
本発明では、前記有機物質としては低分子有機物質を使用し、前記低分子物質は正孔輸送層、正孔注入層、発光層、正孔抑制層、電子輸送層及び電子注入層の中、1以上の層を形成する。
【0036】
このとき、前記低分子有機物質として低分子有機発光物質を用いる場合には、下記式1乃至4で表される物質を用いて形成し、またはIr、Pt、Eu、及びTbからなる群から選択される1種の金属有機金属錯物として三重項状態で燐光発光が可能な燐光ドーパントとカルバゾール系、アリルアミン系、ヒドラゾン系、スチルベン系、スターバスト系、及びオキサジアゾール系のような発光ホスト物質を全て用いる燐光低分子発光物質を用いることができる。
【0037】
【化1】
このとき、転写層33の形成は、一般的なコーティング方法である圧出、スピン、ナイフコーティング方法、真空蒸着法、CVD等の方法を用いて100乃至50,000Å厚さでコーティングする。
【0038】
一方、図6のドナー基板は、用途に応じてフィルム構造を変更して用いることができる。例えば、フィルムの感度(sensitivity)を向上させるために光−熱変換層下にガス生成層(不図示)をさらに形成することもでき、前記金属層36と転写層33との間にバッファー層(不図示)をさらに含むことができる。
【0039】
前記基材フィルム31は、透明性高分子からなっているが、このような高分子としてはポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリアクリル、ポリエポキシ、ポリエチレン、ポリスチレン等を用いる。その中でポリエチレンテレフタレートフィルムを主に用いる。基材フィルムの厚さは、10乃至500μmであることが好ましく、この基材フィルムの役割は支持フィルムとしての役割をし、複合的な多重系も使用可能である。
【0040】
前記光−熱変換層32は、赤外線−可視光線領域の光を吸収する性質を持っている光吸収性物質で形成する。レーザー光吸収物質が含まれている有機膜、金属及びこれらの複合層の中の一つである。
【0041】
このような特性を持っている膜として金属、その金属の酸化物及び硫化物、そしてカーボンブラック、黒鉛や赤外線染料が添加された高分子からなる有機膜がある。
【0042】
このとき、前記金属、その金属の酸化物及び硫化物は、光学濃度(optical density)が0.2乃至3.0であるもので、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)等の金属、その酸化物及びこれらの混合物があるが、その中でもアルミニウム(Al)またはその酸化物が好ましい。
【0043】
そして、前記カーボンブラック、黒鉛や赤外線染料が添加された高分子からなる有機膜としては、高分子結合樹脂に顔料、染料等のような着色剤、分散剤等が分散された有機物で、前記高分子結合樹脂を形成する物質としては、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等のような(メタ)アクリレートオリゴマーを単独で用いる。また、前記オリゴマーに(メタ)アクリレートモノマーを混合して使用し、または(メタ)アクリレートモノマーだけ単独で用いる。そして、前記カーボンブラックまたは黒鉛は、粒径が0.5μm以下であることを用いることが好ましくて、このときの光学濃度は、0.5乃至4であることが好ましい。
【0044】
一方、積層される光−熱変換層32があまり薄く形成される場合には、エネルギー吸収率が低く、且つ光−熱変換されるエネルギー量が小さいため、膨脹圧力が低くなるようになって、また、透過されるエネルギーが大きくなることによって有機電界発光素子の基板回路に損傷を与えることになる。
【0045】
また、転写の際、レーザーエネルギーによって膨脹されるとき、一定の厚さ以下を維持することにより膨脹の際、曲率半径が小さくなって転写層が有機電界発光素子の画素領域を定義する画素定義膜によって発生される段差によるエッジオープン不良を減らすことができる。
【0046】
一方、あまり厚い場合には、レーザーの照射の際、レーザーエネルギーが光−熱変換層に全体的に伝えられなくて転写特性が不良が発生することができ、特に、有機電界発光素子の画素領域を定義する画素定義膜によって発生される段差部分でフィルムと基板との密着が悪くてエッジオープン(edge open)不良が発生する可能性が大きい。
【0047】
したがって、光−熱変換層32が金属、または金属の酸化物または硫化物の場合には、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法またはスパッタリングを用いて100乃至5,000Å厚さで形成し、有機膜の場合には、一般的なフィルムコーティング方法である圧出(extrusion)、スピン(spin)、及びナイフ(knife)コーティング方法を用いて0.1乃至1μmの厚さで積層する。
【0048】
また、前記ガス生成層は、光または熱を吸収すると、分解反応を起こして窒素ガスや水素ガス等を放出することによって転写エネルギーを提供する役割をし、四硝酸ペンタエリトリット(PETN)、トリニトロトルエン(TNT)等から選択された物質からなる。
【0049】
前記光−熱変換層32上には、バッファー層35を形成できる。前記バッファー層35は、前記光−熱変換層と金属層36が隣接して前記光−熱変換層と金属層36との表面特性を改善するため形成されることができる。前記バッファー層35は、金属酸化物、金属硫化物または非金属無機化合物や有機物を用いることがあり、金属酸化物等は前記金属層を形成した後に表面を酸化させて形成し、または別途の工程で形成できる。有機物は、不活性高分子(inert polymer)をコーティングし、または低分子を蒸着して形成できる。厚さは、0.01乃至2μm以内であることが好ましい。
【0050】
一方、前記基材フィルム全面にかけて前記バッファー層35上に形成される金属層36としてはレーザービーム透過率が20%以下である金属を用いる。また、前記金属層36の厚さは1μm以下で真空蒸着法、電子ビーム蒸着法またはスパッタリング法で積層する。前記金属層36の厚さは、レーザー光のエネルギー及び光−熱変換層32の熱エネルギーを転写層33の材料に伝達出来なくて材料の熱的変形を止めることができる程度であればよく、あまり厚ければ光−熱変換層が膨脹の際、金属層が膨脹出来なくて転写特性に影響を与えることができるためである。
【0051】
このとき、前記金属層36は低分子転写層33とドナー基板34との接着力を向上させて低分子転写層33が転写する領域以外にも付くことを防止できる。
【0052】
前記金属層36としてはアルミニウム(Al)、銀(Ag)、クロム(Cr)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、金(Au)、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、及び鉛(Pb)の中のいずれかが用いられることができ、好ましくは、AlまたはAgを用いる。
【0053】
図7は、本発明の第2実施例に係るレーザー転写用ドナー基板の断面図である。図7を参照すれば、本発明の第2実施例としては基材フィルム31と、光−熱変換層32と、バッファー層35及び転写層33を含み、前記バッファー層35と前記転写層33との間に前記バッファー層の表面を改質するための改質層36’を含むことを特徴とするレーザー転写用ドナー基板を開示する。
【0054】
このとき、前記転写層としては低分子有機物質を使用し、前記低分子物質は、正孔輸送層と、正孔注入層と、発光層と、正孔抑制層と、電子輸送層及び電子注入層の中、1以上の層を形成する。
【0055】
このとき、前記低分子有機物質で低分子有機発光物質を用いる場合には、下記式1乃至4で表される物質を用いて形成し、またはIr、Pt、Eu、及びTbからなる群から選択される1種の金属有機金属錯物として三重項状態で燐光発光が可能な燐光ドーパントとカルバゾール系、アリルアミン系、ヒドラゾン系、スチルベン系、スターバスト系、及びオキサジアゾール系のような発光ホスト物質を全て用いる燐光低分子発光物質を用いることができる。
【0056】
【化2】
このとき、転写層33の形成は、一般的なコーティング方法である圧出、スピン、ナイフコーティング方法、真空蒸着法、CVD等の方法を用いて100乃至50,000Å厚さでコーティングする。
【0057】
前記改質層36’としては前記低分子転写層33とドナー基板34間の表面特性、特に、接着力(adhesion)を改善できるならば有機物、無機物または金属でも関係ない。
【0058】
前記改質層36’としてはレーザー光透過率が20%以下の物質を使用し、好ましくは、金属を用いる。
【0059】
前記改質層36’としてはアルミニウム(Al)、銀(Ag)、クロム(Cr)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、金(Au)、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉛(Pb)及びそれらの酸化物の中のいずれかが用いられることができ、好ましくは、AlまたはAgを用いる。
【0060】
前記改質層36’は、用いる物質によって積層する厚さは変わるが、レーザー光透過率、転写パターン特性を考慮して1μm以下で積層することが好ましい。
【0061】
以外の構成要素は、第1実施例と同じ物質及び方法を採用する。
【0062】
本発明で開示しているレーザー転写用ドナー基板は、特に、発光素子が低分子有機物からなる有機電界発光素子の場合、微細パターンを形成することが容易である。
【0063】
以下、図8を参照して本発明に係るドナー基板を用いて有機電界発光素子の低分子有機薄膜の微細パターンを形成する方法を詳細に説明する。以下の説明では、説明の便宜の上、本発明のドナー基板が適用される一例として有機電界発光素子を言及したが、本発明のドナー基板が適用されることは有機電界発光素子に限定されるのではない。
【0064】
図8は、本発明に係るドナー基板を用いて転写する方法を説明するための図面で、まず、透明基板100上に透明電極層200を形成する。これと別途に基材フィルム31上に光−熱変換層32と、バッファー層35と、金属層36と、を塗布したドナー基板34及び前記ドナー基板34上に転写層33が形成されている。
【0065】
ここで、転写層33は、低分子有機薄膜形成用物質をコーティングすることによって製造される。このとき、様々な特性を改善するため、所定含量の添加物質を添加しても関係ない。例えば、発光層の効率を上げるため、ドーパント(dopant)を添加してもよい。そして、転写層33を形成する方法では上述の通り、一般なフィルムコーティング方法である圧出(extrusion)、スピン(spin)及びナイフ(knife)コーティング方法を用いる。
【0066】
前記転写層33としては上述した通り、低分子有機物質を用いて一つの層だけでなく二つ以上の層を必要に応じて積層できる。
【0067】
次に、透明電極層200が形成された基板100と所定間隔だけ離隔された位置に前記ドナー基板34を配置した後に、前記ドナー基板34にエネルギー源57を照射する。
【0068】
前記エネルギー源57は、転写装置を介して基材フィルム31を通過して光−熱変換層32を活性化させ、熱分解反応によって熱を放出する。
【0069】
このように放出された熱によって前記ドナー基板の光−熱変換層32が膨脹されながら前記転写層33がドナー基板34から分離されて、有機電界発光素子の基板100上に画素定義膜によって定義された画素領域上に転写物質である発光層が所望するパターンと厚さで転写されるようになる。
【0070】
本発明のように金属層36または改質層36’を導入して低分子物質をレーザー転写するとき、ドナー基板34と低分子転写層33との間の表面特性、特に、接着力を向上させて基板に低分子物質が付かないように転写パターン特性を向上させることができる。
【0071】
本発明で用いるエネルギー源は、レーザー、キセノン(Xe)ランプ、そしてフラッシュ(flash)ランプ等が可能である。その中でもレーザーが最も優れた転写効果を得ることができるために好ましい。このとき、レーザーとしては固体、ガス、半導体、染料等のあらゆる汎用的なレーザーを全て用いることができ、レーザービームの形状も円形のビーム、またはその他に可能な形状のビームを用いることができる。
【0072】
前記のような転写過程を経る後には、転写された物質を固形化、固着化させるため熱処理する工程を経るようになる。
【0073】
ここで、転写物質の転写は一度または多段階を経てなされることができる。すなわち、転写しようとする低分子有機薄膜層の厚さにおいては一度に必要な厚さを転写でき、複数回の反復によって転写することができる。しかしながら、工程の便宜性及び安全性を考慮すれば、一度に転写物質を転写させることが好ましい。
【0074】
図9は、本発明のドナー基板を用いて低分子物質をレーザー熱転写させたパターンを示す図面である。
【0075】
図9を参照すれば、本発明のドナー基板を使用した場合、基板100上の下部電極200上に低分子転写物質がきれいにパターニングされて、明確に画素領域を定義することが分かる。
【0076】
図10は、従来のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子と本発明のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子の電圧と輝度特性と、を示すグラフであり、図11は、従来のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子と、本発明のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子との発光効率特性を比較したグラフである。
【0077】
図10及び図11を参照すれば、本発明の実施例によって製造された有機電界発光素子の場合、従来の場合より電圧対応輝度が高いことが分かり、また発光効率面でも本発明の実施例が従来の場合より優れることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】通常のフルカラー有機電界発光素子の構造を示す断面図である。
【図2】従来のレーザー転写用ドナー基板の構造を示す断面図である。
【図3】従来の低分子転写層を含むドナー基板を用いる場合の転写モデルを示す図面である。
【図4】従来のドナー基板を用いて低分子物質をレーザー熱転写させたパターンを示す図面である。
【図5】レーザーを用いて有機電界発光素子に用いられる発光有機膜を転写パターニングした際の転写メカニズムを示す図面である。
【図6】本発明の第1実施例に係るレーザー転写用ドナー基板の構造を示す図面である。
【図7】本発明の第2実施例に係るレーザー転写用ドナー基板の断面図である。
【図8】本発明に係るドナー基板を用いて転写する方法を説明するための図面である。
【図9】本発明のドナー基板を用いて低分子物質をレーザー熱転写させたパターンを示す図面である。
【図10】従来のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子と本発明のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子との電圧と輝度特性とを示すグラフである。
【図11】従来のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子と本発明のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子との発光効率特性を比較したグラフである。
【符号の説明】
【0079】
31 基材フィルム
32 光−熱変換層
33 転写層
34 ドナー基板
35 バッファー層
36 金属層
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー転写用ドナー基板及びこの基板を用いて製造される有機電界発光素子に関し、より詳しくは、有機電界発光素子の有機層を形成するために用いられるドナー基板及びこれを用いる有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、有機電界発光素子は、陽極及び陰極と、正孔注入層と、正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層と、電子注入層等の複数の層と、で構成される。有機電界発光素子は用いる材料によって高分子と低分子とに分けられるが、低分子有機EL(Electroluminescence)デバイスの場合には真空蒸着によって各層を導入し、高分子有機ELデバイスの場合にはスピンコーティング工程を用いて発光素子を作ることができる。
【0003】
単色素子の場合、高分子を用いた有機電界発光素子は、スピンコーティング工程を用いて簡単に素子を作ることができるが、低分子を用いることより駆動電圧は低いが、効率と寿命とが落ちる短所がある。また、フルカラー素子を作る際には、各々赤、緑、青の高分子をパターニングしなければならないが、インクジェット技術やレーザー転写法を用いる際、効率と寿命など発光特性が悪くなるおそれがあった。
【0004】
特に、レーザー転写法を用いてパターニングする際には、単一高分子材料としては転写されない材料が大部分である。レーザー熱転写法による高分子有機電界発光素子のパターン形成方法は、下記特許文献1に開示されており、また下記特許文献2、3、4に既に開示されている。
【0005】
前記熱転写法を適用するためには、少なくとも光源、転写フィルム、そして基板を必要とし、光源から出た光が転写フィルムの光吸収層によって吸収されて熱エネルギーに変換され、この熱エネルギーによって転写フィルムの転写層形成物質が基板へ転写されて所望のイメージを形成するべきである(下記特許文献5、6、7、8)。
【0006】
このような熱転写法は、液晶表示素子用カラーフィルター製造に用いられることもあり、また、発光物質のパターンを形成するために用いられる場合があった(下記特許文献2)。
【0007】
下記特許文献9は、フルカラー有機電界発光素子において高度のパターン化された有機層を形成する方法に関するもので、前記方法は、有機電界発光物質が転写可能なコーティング物質でコーティングされたドナー支持体を用いる。前記ドナー支持体は、加熱されて有機電界発光物質が目的とする下部ピクセルにある色化された有機電界発光媒介体を形成する基板のリーセス表面部へ転写されるようにする。このとき、前記転写は、ドナー基板に熱または光が加えられて発光物質が蒸気化(vaporize)されてピクセルに転写される。
【0008】
下記特許文献10は、それぞれの画素領域に形成される負画素(subpixel)を形成するにおいて、ドナーシートから収容体(receiver)シートに転写されることにより形成される。このとき、転写工程は、低温(約400℃以下)で昇華性がある有機電界発光物質をドナーシートから収容体シートに転写して負画素を形成することが開示されている。
【0009】
図1は、通常のフルカラー有機電界発光素子の構造を示す断面図である。
【0010】
図1を参照すれば、絶縁基板100上に第1電極200がパターニングされて形成されている。前記第1電極200としては背面発光構造の場合には透明電極で形成され、前面発光構造の場合には反射膜を含む導電性金属で形成される。
【0011】
前記第1電極200上には画素領域を定義し、発光層間に絶縁のために絶縁性物質で画素定義膜(PDL;300)を形成する。
【0012】
前記画素定義膜(PDL;300)で定義された画素領域に有機発光層33、R、G、Bを含む有機膜層を形成し、前記有機膜層33は、前記有機発光層以外にも正孔注入層、正孔輸送層、正孔抑制層、電子輸送層及び電子注入層の中、1以上の層をさらに含むことができる。前記有機発光層としては高分子物質及び低分子物質が全て可能である。
【0013】
次に、前記有機膜層33上に第2電極400を形成する。前記第2電極400は、第1電極200が透明電極の場合には反射膜を含む導電性金属層で形成し、前記第1電極が反射膜を含む導電性金属層の場合には透明電極で形成する。次に、有機電界発光素子を封止することによって有機電界発光素子を完成する。
【0014】
しかしながら、従来のレーザー転写を用いて発光層を形成する場合には、図2に示すように、従来のレーザー転写用ドナー基板34は、基材フィルム31、光−熱変換層32、及び転写層33からなっていて、バッファー層(不図示)をさらに含むことができる。
【0015】
一方、下記特許文献11、12、13には、バッファー層または中間層(interlayer)を前記光−熱変換層32から発生される汚染が有機膜である転写層33に伝えられないように前記光−熱変換層32と転写層33間に用いていて、このようなバッファー層または中間層としては金属層を含んでいる。前記特許は転写層では高分子及び低分子物質について区分していないので、以下で説明するように、低分子物質を用いる場合、問題点が発生する。
【0016】
図3は、従来のドナー基板を用いる場合の転写モデルに関するもので、図3に示すようにレーザー照射の際、光−熱変換層32が膨脹するにつれて転写層33が膨脹しながらドナー基板から分離されて有機電界発光素子の基板に転写される。
【0017】
しかしながら、従来のドナー基板に転写層33で低分子物質を使用した場合には、図3のA部分のように、ドナー基板表面と低分子転写層33との間の接着力が悪くてラミネート工程の際、ドナー基板上の低分子有機物が基板上に付く形状が発生する。したがって、これによってレーザーで転写する領域以外にも不所望の有機物質が基板表面に覆われるようになって、これは直接的に素子の性能が劣るという問題点があった。
【0018】
図4は、従来のドナー基板を用いて低分子物質をレーザー熱転写させたパターンを示す図面である。
【0019】
図4を参照すれば、基板100の全面的にかけて転写させた低分子有機物が付く現状を確認することができるため、画素の定義が不明確なことが分かる。
【0020】
【特許文献1】韓国特許番号1998-51844号
【特許文献2】米国特許第5,998,085号
【特許文献3】米国特許第6,214,520号
【特許文献4】米国特許第6,114,088号
【特許文献5】米国特許第5,220,348号
【特許文献6】米国特許第5,256,506号
【特許文献7】米国特許第5,278,023号
【特許文献8】米国特許第5,308,737号
【特許文献9】米国特許第5,937,272号
【特許文献10】米国特許第5,688,551号
【特許文献11】米国特許第5,981,136号
【特許文献12】米国特許第6,461,793号
【特許文献13】米国特許第6,099,994号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、上述のような問題点を解決するために案出されたもので、本発明の目的は、有機電界発光素子の製造の際、発光層をレーザー転写法で形成する場合、未転写不良を防止できるレーザー転写用ドナー基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は前記の目的を達成するため、本発明は、
基材フィルムと、
前記基材フィルム上に形成されている光−熱変換層と、
前記光−熱変換層上の全面に形成されているバッファー層と、
前記バッファー層上に形成されている金属層、及び
前記金属層上に形成されていて有機物質とからなる転写層と、を含むことを特徴とするレーザー転写用ドナー基板を提供する。
【0023】
また、本発明は、
基材フィルムと、光−熱変換層と、バッファー層及び転写層とを含み、前記バッファー層の表面を改質するための改質層を前記バッファー層と転写層との間に含むことを特徴とするレーザー転写用ドナー基板を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、レーザー転写用ドナー基板において、バッファー層と転写層との間に改質層または金属層を形成してドナー基板と低分子転写物質の表面特性を向上させることによって転写パターン特性を向上させ、これに伴い素子特性もまた向上されることが分かる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【0026】
本発明では同じ構成要素については同じ参照番号を付して説明する。
【0027】
図5は、本発明によってレーザーを用いて有機電界発光素子に用いられる発光有機膜を転写パターニングする際の転写メカニズムを示す図面である。
【0028】
一般のレーザーを用いて有機膜を転写パターニングする際のメカニズムは、図5から分かるように、基板S1に付いていた有機膜S2(33)がレーザーの作用でS1から離れて基板S3に転写されながら、レーザーを受けない部分と分離が発生しなければならない。
【0029】
転写特性を左右する因子は、基板S1とフィルムS2との第1接着力W12と、フィルム間での粘着力W22、そしてフィルムS2と基板S3との第2接着力W23の3種類である。
【0030】
このような第1、第2接着力と粘着力を各層の表面張力(γ1、γ2、γ3)と界面張力(γ12、γ23)で表すと、下記式のように表される。
【0031】
W12=γ1+γ2−γ12
W22=2γ2
W23=γ2+γ3−γ23
レーザー転写特性を向上させるためには、フィルム間での粘着力が各基板とフィルム間の接着力より小さくなければならない。
【0032】
一般に、有機電界発光素子では各層をなす物質として有機物質を用いていて、低分子物質を用いる場合には前記第1及び第2接着力が粘着力より大きいため、ドナー基板34から発光物質を有機電界発光素子に転写させることによって物質転移(mass transition)が発生して発光層の微細パターンを形成できる。このように転写することによって、微細な発光層のパターンまでも形成できてミスアラインメント(mis-alignment)が発生する可能性が小さくなる。
【0033】
図6は、本発明の第1実施例に係る低分子レーザー転写用ドナー基板の構造を示す図面である。
【0034】
図6を参照すれば、前記ドナー基板34は基材フィルム31と、前記基材フィルム31上に形成されている光−熱変換層32と、基材フィルム31の全面にかけて前記光−熱変換層32上に形成されているバッファー層35と、前記バッファー層35上の全面に形成されている金属層36及び前記金属層上に形成されている有機物質からなる転写層33とが積層されている構造を有している。
【0035】
本発明では、前記有機物質としては低分子有機物質を使用し、前記低分子物質は正孔輸送層、正孔注入層、発光層、正孔抑制層、電子輸送層及び電子注入層の中、1以上の層を形成する。
【0036】
このとき、前記低分子有機物質として低分子有機発光物質を用いる場合には、下記式1乃至4で表される物質を用いて形成し、またはIr、Pt、Eu、及びTbからなる群から選択される1種の金属有機金属錯物として三重項状態で燐光発光が可能な燐光ドーパントとカルバゾール系、アリルアミン系、ヒドラゾン系、スチルベン系、スターバスト系、及びオキサジアゾール系のような発光ホスト物質を全て用いる燐光低分子発光物質を用いることができる。
【0037】
【化1】
このとき、転写層33の形成は、一般的なコーティング方法である圧出、スピン、ナイフコーティング方法、真空蒸着法、CVD等の方法を用いて100乃至50,000Å厚さでコーティングする。
【0038】
一方、図6のドナー基板は、用途に応じてフィルム構造を変更して用いることができる。例えば、フィルムの感度(sensitivity)を向上させるために光−熱変換層下にガス生成層(不図示)をさらに形成することもでき、前記金属層36と転写層33との間にバッファー層(不図示)をさらに含むことができる。
【0039】
前記基材フィルム31は、透明性高分子からなっているが、このような高分子としてはポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリアクリル、ポリエポキシ、ポリエチレン、ポリスチレン等を用いる。その中でポリエチレンテレフタレートフィルムを主に用いる。基材フィルムの厚さは、10乃至500μmであることが好ましく、この基材フィルムの役割は支持フィルムとしての役割をし、複合的な多重系も使用可能である。
【0040】
前記光−熱変換層32は、赤外線−可視光線領域の光を吸収する性質を持っている光吸収性物質で形成する。レーザー光吸収物質が含まれている有機膜、金属及びこれらの複合層の中の一つである。
【0041】
このような特性を持っている膜として金属、その金属の酸化物及び硫化物、そしてカーボンブラック、黒鉛や赤外線染料が添加された高分子からなる有機膜がある。
【0042】
このとき、前記金属、その金属の酸化物及び硫化物は、光学濃度(optical density)が0.2乃至3.0であるもので、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)等の金属、その酸化物及びこれらの混合物があるが、その中でもアルミニウム(Al)またはその酸化物が好ましい。
【0043】
そして、前記カーボンブラック、黒鉛や赤外線染料が添加された高分子からなる有機膜としては、高分子結合樹脂に顔料、染料等のような着色剤、分散剤等が分散された有機物で、前記高分子結合樹脂を形成する物質としては、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等のような(メタ)アクリレートオリゴマーを単独で用いる。また、前記オリゴマーに(メタ)アクリレートモノマーを混合して使用し、または(メタ)アクリレートモノマーだけ単独で用いる。そして、前記カーボンブラックまたは黒鉛は、粒径が0.5μm以下であることを用いることが好ましくて、このときの光学濃度は、0.5乃至4であることが好ましい。
【0044】
一方、積層される光−熱変換層32があまり薄く形成される場合には、エネルギー吸収率が低く、且つ光−熱変換されるエネルギー量が小さいため、膨脹圧力が低くなるようになって、また、透過されるエネルギーが大きくなることによって有機電界発光素子の基板回路に損傷を与えることになる。
【0045】
また、転写の際、レーザーエネルギーによって膨脹されるとき、一定の厚さ以下を維持することにより膨脹の際、曲率半径が小さくなって転写層が有機電界発光素子の画素領域を定義する画素定義膜によって発生される段差によるエッジオープン不良を減らすことができる。
【0046】
一方、あまり厚い場合には、レーザーの照射の際、レーザーエネルギーが光−熱変換層に全体的に伝えられなくて転写特性が不良が発生することができ、特に、有機電界発光素子の画素領域を定義する画素定義膜によって発生される段差部分でフィルムと基板との密着が悪くてエッジオープン(edge open)不良が発生する可能性が大きい。
【0047】
したがって、光−熱変換層32が金属、または金属の酸化物または硫化物の場合には、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法またはスパッタリングを用いて100乃至5,000Å厚さで形成し、有機膜の場合には、一般的なフィルムコーティング方法である圧出(extrusion)、スピン(spin)、及びナイフ(knife)コーティング方法を用いて0.1乃至1μmの厚さで積層する。
【0048】
また、前記ガス生成層は、光または熱を吸収すると、分解反応を起こして窒素ガスや水素ガス等を放出することによって転写エネルギーを提供する役割をし、四硝酸ペンタエリトリット(PETN)、トリニトロトルエン(TNT)等から選択された物質からなる。
【0049】
前記光−熱変換層32上には、バッファー層35を形成できる。前記バッファー層35は、前記光−熱変換層と金属層36が隣接して前記光−熱変換層と金属層36との表面特性を改善するため形成されることができる。前記バッファー層35は、金属酸化物、金属硫化物または非金属無機化合物や有機物を用いることがあり、金属酸化物等は前記金属層を形成した後に表面を酸化させて形成し、または別途の工程で形成できる。有機物は、不活性高分子(inert polymer)をコーティングし、または低分子を蒸着して形成できる。厚さは、0.01乃至2μm以内であることが好ましい。
【0050】
一方、前記基材フィルム全面にかけて前記バッファー層35上に形成される金属層36としてはレーザービーム透過率が20%以下である金属を用いる。また、前記金属層36の厚さは1μm以下で真空蒸着法、電子ビーム蒸着法またはスパッタリング法で積層する。前記金属層36の厚さは、レーザー光のエネルギー及び光−熱変換層32の熱エネルギーを転写層33の材料に伝達出来なくて材料の熱的変形を止めることができる程度であればよく、あまり厚ければ光−熱変換層が膨脹の際、金属層が膨脹出来なくて転写特性に影響を与えることができるためである。
【0051】
このとき、前記金属層36は低分子転写層33とドナー基板34との接着力を向上させて低分子転写層33が転写する領域以外にも付くことを防止できる。
【0052】
前記金属層36としてはアルミニウム(Al)、銀(Ag)、クロム(Cr)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、金(Au)、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、及び鉛(Pb)の中のいずれかが用いられることができ、好ましくは、AlまたはAgを用いる。
【0053】
図7は、本発明の第2実施例に係るレーザー転写用ドナー基板の断面図である。図7を参照すれば、本発明の第2実施例としては基材フィルム31と、光−熱変換層32と、バッファー層35及び転写層33を含み、前記バッファー層35と前記転写層33との間に前記バッファー層の表面を改質するための改質層36’を含むことを特徴とするレーザー転写用ドナー基板を開示する。
【0054】
このとき、前記転写層としては低分子有機物質を使用し、前記低分子物質は、正孔輸送層と、正孔注入層と、発光層と、正孔抑制層と、電子輸送層及び電子注入層の中、1以上の層を形成する。
【0055】
このとき、前記低分子有機物質で低分子有機発光物質を用いる場合には、下記式1乃至4で表される物質を用いて形成し、またはIr、Pt、Eu、及びTbからなる群から選択される1種の金属有機金属錯物として三重項状態で燐光発光が可能な燐光ドーパントとカルバゾール系、アリルアミン系、ヒドラゾン系、スチルベン系、スターバスト系、及びオキサジアゾール系のような発光ホスト物質を全て用いる燐光低分子発光物質を用いることができる。
【0056】
【化2】
このとき、転写層33の形成は、一般的なコーティング方法である圧出、スピン、ナイフコーティング方法、真空蒸着法、CVD等の方法を用いて100乃至50,000Å厚さでコーティングする。
【0057】
前記改質層36’としては前記低分子転写層33とドナー基板34間の表面特性、特に、接着力(adhesion)を改善できるならば有機物、無機物または金属でも関係ない。
【0058】
前記改質層36’としてはレーザー光透過率が20%以下の物質を使用し、好ましくは、金属を用いる。
【0059】
前記改質層36’としてはアルミニウム(Al)、銀(Ag)、クロム(Cr)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、金(Au)、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉛(Pb)及びそれらの酸化物の中のいずれかが用いられることができ、好ましくは、AlまたはAgを用いる。
【0060】
前記改質層36’は、用いる物質によって積層する厚さは変わるが、レーザー光透過率、転写パターン特性を考慮して1μm以下で積層することが好ましい。
【0061】
以外の構成要素は、第1実施例と同じ物質及び方法を採用する。
【0062】
本発明で開示しているレーザー転写用ドナー基板は、特に、発光素子が低分子有機物からなる有機電界発光素子の場合、微細パターンを形成することが容易である。
【0063】
以下、図8を参照して本発明に係るドナー基板を用いて有機電界発光素子の低分子有機薄膜の微細パターンを形成する方法を詳細に説明する。以下の説明では、説明の便宜の上、本発明のドナー基板が適用される一例として有機電界発光素子を言及したが、本発明のドナー基板が適用されることは有機電界発光素子に限定されるのではない。
【0064】
図8は、本発明に係るドナー基板を用いて転写する方法を説明するための図面で、まず、透明基板100上に透明電極層200を形成する。これと別途に基材フィルム31上に光−熱変換層32と、バッファー層35と、金属層36と、を塗布したドナー基板34及び前記ドナー基板34上に転写層33が形成されている。
【0065】
ここで、転写層33は、低分子有機薄膜形成用物質をコーティングすることによって製造される。このとき、様々な特性を改善するため、所定含量の添加物質を添加しても関係ない。例えば、発光層の効率を上げるため、ドーパント(dopant)を添加してもよい。そして、転写層33を形成する方法では上述の通り、一般なフィルムコーティング方法である圧出(extrusion)、スピン(spin)及びナイフ(knife)コーティング方法を用いる。
【0066】
前記転写層33としては上述した通り、低分子有機物質を用いて一つの層だけでなく二つ以上の層を必要に応じて積層できる。
【0067】
次に、透明電極層200が形成された基板100と所定間隔だけ離隔された位置に前記ドナー基板34を配置した後に、前記ドナー基板34にエネルギー源57を照射する。
【0068】
前記エネルギー源57は、転写装置を介して基材フィルム31を通過して光−熱変換層32を活性化させ、熱分解反応によって熱を放出する。
【0069】
このように放出された熱によって前記ドナー基板の光−熱変換層32が膨脹されながら前記転写層33がドナー基板34から分離されて、有機電界発光素子の基板100上に画素定義膜によって定義された画素領域上に転写物質である発光層が所望するパターンと厚さで転写されるようになる。
【0070】
本発明のように金属層36または改質層36’を導入して低分子物質をレーザー転写するとき、ドナー基板34と低分子転写層33との間の表面特性、特に、接着力を向上させて基板に低分子物質が付かないように転写パターン特性を向上させることができる。
【0071】
本発明で用いるエネルギー源は、レーザー、キセノン(Xe)ランプ、そしてフラッシュ(flash)ランプ等が可能である。その中でもレーザーが最も優れた転写効果を得ることができるために好ましい。このとき、レーザーとしては固体、ガス、半導体、染料等のあらゆる汎用的なレーザーを全て用いることができ、レーザービームの形状も円形のビーム、またはその他に可能な形状のビームを用いることができる。
【0072】
前記のような転写過程を経る後には、転写された物質を固形化、固着化させるため熱処理する工程を経るようになる。
【0073】
ここで、転写物質の転写は一度または多段階を経てなされることができる。すなわち、転写しようとする低分子有機薄膜層の厚さにおいては一度に必要な厚さを転写でき、複数回の反復によって転写することができる。しかしながら、工程の便宜性及び安全性を考慮すれば、一度に転写物質を転写させることが好ましい。
【0074】
図9は、本発明のドナー基板を用いて低分子物質をレーザー熱転写させたパターンを示す図面である。
【0075】
図9を参照すれば、本発明のドナー基板を使用した場合、基板100上の下部電極200上に低分子転写物質がきれいにパターニングされて、明確に画素領域を定義することが分かる。
【0076】
図10は、従来のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子と本発明のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子の電圧と輝度特性と、を示すグラフであり、図11は、従来のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子と、本発明のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子との発光効率特性を比較したグラフである。
【0077】
図10及び図11を参照すれば、本発明の実施例によって製造された有機電界発光素子の場合、従来の場合より電圧対応輝度が高いことが分かり、また発光効率面でも本発明の実施例が従来の場合より優れることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】通常のフルカラー有機電界発光素子の構造を示す断面図である。
【図2】従来のレーザー転写用ドナー基板の構造を示す断面図である。
【図3】従来の低分子転写層を含むドナー基板を用いる場合の転写モデルを示す図面である。
【図4】従来のドナー基板を用いて低分子物質をレーザー熱転写させたパターンを示す図面である。
【図5】レーザーを用いて有機電界発光素子に用いられる発光有機膜を転写パターニングした際の転写メカニズムを示す図面である。
【図6】本発明の第1実施例に係るレーザー転写用ドナー基板の構造を示す図面である。
【図7】本発明の第2実施例に係るレーザー転写用ドナー基板の断面図である。
【図8】本発明に係るドナー基板を用いて転写する方法を説明するための図面である。
【図9】本発明のドナー基板を用いて低分子物質をレーザー熱転写させたパターンを示す図面である。
【図10】従来のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子と本発明のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子との電圧と輝度特性とを示すグラフである。
【図11】従来のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子と本発明のドナー基板を用いて低分子物質を転写させて製造した有機電界発光素子との発光効率特性を比較したグラフである。
【符号の説明】
【0079】
31 基材フィルム
32 光−熱変換層
33 転写層
34 ドナー基板
35 バッファー層
36 金属層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、
前記基材フィルム上に形成されている光−熱変換層と、
前記光−熱変換層上の全面に形成されているバッファー層と、
前記バッファー層上に形成されている金属層と、
前記金属層上に形成されていて有機物質からなる転写層と、
を含むことを特徴とする、レーザー転写用ドナー基板。
【請求項2】
前記有機物質は、低分子有機物質であることを特徴とする、請求項1に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項3】
前記低分子有機物質は、低分子有機発光物質であることを特徴とする、請求項2に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項4】
前記低分子有機発光物質は、下記式1乃至4で表される物質の中、いずれかの物質を用いて形成し、またはIr、Pt、Eu、及びTbからなる群から選択される1種の金属有機金属錯物とカルバゾール系、アリルアミン系、ヒドラゾン系、スチルベン系、スターバスト系、及びオキシジアゾール系からなる群から選択される1種の発光ホスト物質を全て用いる燐光低分子発光物質で形成されることを特徴とする、請求項3に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【化1】
【請求項5】
前記金属層の厚さは、1μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項6】
前記金属としてはレーザービーム透過率が20%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項7】
前記金属としてはアルミニウム(Al)、銀(Ag)、クロム(Cr)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、金(Au)、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、及び鉛(Pb)からなる群から選択される1種の物質であることを特徴とする、請求項6に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項8】
前記光−熱変換層下にガス生成層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項9】
基材フィルム、光−熱変換層、バッファー層及び転写層を含み、前記バッファー層の表面を改質するための改質層を前記バッファー層と転写層との間に含むことを特徴とする、レーザー転写用ドナー基板。
【請求項10】
前記転写層は、低分子有機物質層であることを特徴とする、請求項9に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項11】
前記低分子有機物質層は、低分子有機発光層であることを特徴とする、請求項10に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項12】
前記低分子有機発光層は、前記低分子有機発光物質としては下記式1乃至4で表される物質の中、いずれかの物質を用いて形成し、またはIr、Pt、Eu、及びTbからなる群から選択される1種の金属有機金属錯物と、カルバゾール系、アリルアミン系、ヒドラゾン系、スチルベン系、スターバスト系、及びオキシジアゾール系からなる群から選択される1種の発光ホスト物質を全て用いる燐光低分子発光物質で形成されることを特徴とする、請求項11に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【化2】
【請求項13】
前記改質層は、レーザービーム透過率が20%以下であることを特徴とする、請求項9に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項14】
前記改質層は、金属からなることを特徴とする、請求項13に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項15】
前記改質層は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、クロム(Cr)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、金(Au)、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉛(Pb)、及びそれらの酸化物からなる群から選択される1種の物質で形成されることを特徴とする、請求項13に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項16】
前記改質層の厚さは、1μm以下であることを特徴とする、請求項9に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項17】
請求項1または請求項9のドナー基板を用いることを特徴とする、有機電界発光素子。
【請求項1】
基材フィルムと、
前記基材フィルム上に形成されている光−熱変換層と、
前記光−熱変換層上の全面に形成されているバッファー層と、
前記バッファー層上に形成されている金属層と、
前記金属層上に形成されていて有機物質からなる転写層と、
を含むことを特徴とする、レーザー転写用ドナー基板。
【請求項2】
前記有機物質は、低分子有機物質であることを特徴とする、請求項1に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項3】
前記低分子有機物質は、低分子有機発光物質であることを特徴とする、請求項2に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項4】
前記低分子有機発光物質は、下記式1乃至4で表される物質の中、いずれかの物質を用いて形成し、またはIr、Pt、Eu、及びTbからなる群から選択される1種の金属有機金属錯物とカルバゾール系、アリルアミン系、ヒドラゾン系、スチルベン系、スターバスト系、及びオキシジアゾール系からなる群から選択される1種の発光ホスト物質を全て用いる燐光低分子発光物質で形成されることを特徴とする、請求項3に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【化1】
【請求項5】
前記金属層の厚さは、1μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項6】
前記金属としてはレーザービーム透過率が20%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項7】
前記金属としてはアルミニウム(Al)、銀(Ag)、クロム(Cr)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、金(Au)、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、及び鉛(Pb)からなる群から選択される1種の物質であることを特徴とする、請求項6に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項8】
前記光−熱変換層下にガス生成層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項9】
基材フィルム、光−熱変換層、バッファー層及び転写層を含み、前記バッファー層の表面を改質するための改質層を前記バッファー層と転写層との間に含むことを特徴とする、レーザー転写用ドナー基板。
【請求項10】
前記転写層は、低分子有機物質層であることを特徴とする、請求項9に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項11】
前記低分子有機物質層は、低分子有機発光層であることを特徴とする、請求項10に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項12】
前記低分子有機発光層は、前記低分子有機発光物質としては下記式1乃至4で表される物質の中、いずれかの物質を用いて形成し、またはIr、Pt、Eu、及びTbからなる群から選択される1種の金属有機金属錯物と、カルバゾール系、アリルアミン系、ヒドラゾン系、スチルベン系、スターバスト系、及びオキシジアゾール系からなる群から選択される1種の発光ホスト物質を全て用いる燐光低分子発光物質で形成されることを特徴とする、請求項11に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【化2】
【請求項13】
前記改質層は、レーザービーム透過率が20%以下であることを特徴とする、請求項9に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項14】
前記改質層は、金属からなることを特徴とする、請求項13に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項15】
前記改質層は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、クロム(Cr)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、金(Au)、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉛(Pb)、及びそれらの酸化物からなる群から選択される1種の物質で形成されることを特徴とする、請求項13に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項16】
前記改質層の厚さは、1μm以下であることを特徴とする、請求項9に記載のレーザー転写用ドナー基板。
【請求項17】
請求項1または請求項9のドナー基板を用いることを特徴とする、有機電界発光素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図4】
【図9】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図4】
【図9】
【公開番号】特開2006−80051(P2006−80051A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378201(P2004−378201)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
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