説明

レーザ光検出回路及び光ディスク装置

【課題】光ディスク装置の動作停止モードにおいて、半導体レーザ1のレーザ光の強度を抑制して半導体レーザ1の破壊を防止する。
【解決手段】レーザ光検出回路3は、フォトダイオード10、電流電圧変換回路11、前段の増幅回路12、出力段の第1の増幅回路13、第2の増幅回路14、第1の出力端子15、第2の出力端子16,入力端子17、第1のスイッチング素子24及び第2のスイッチング素子25を含んで構成される。動作停止モードの場合、第1のスイッチング素子24及び第2のスイッチング素子25はオンするように構成されている。第1のスイッチング素子24及び第2のスイッチング素子25がオンすると、第1の出力端子15の第1の出力電圧Vopは電源電圧Vccに設定され、第2の出力端子16の第2の出力電圧Vonは接地電圧Vssに設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザにより生成されたレーザ光の強度に応じた電気信号を出力するレーザ光検出回路、及びそのレーザ光検出回路が組み込まれた光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マルチメディア時代の主役としてCD(Compact Discの略)等の光ディスクは目覚ましい普及を遂げている。こうした中で新世代の光ディスクとして、青紫色半導体レーザを用いたブルーレイ・ディスク(Blu-ray Disc)が登場している。
【0003】
図2は、光ディスク装置100の構成を示す概略図である。光ディスク装置100は、半導体レーザ1、ハーフミラー2、レーザ光検出回路3、レーザドライバ4、マイクロコンピュータ5、光ディスク6及びデータ読み取り装置7を含んで構成されている。
【0004】
半導体レーザ1から発生されたレーザ光は、ハーフミラー2により反射されて光ディスク6の表面に照射される。光ディスク6の表面からの反射光はハーフミラー2を通してデータ読み取り装置7により受光される。データ読み取り装置7は受光した反射光に基づき、光ディスク6に記録されたデータを読み取る。
【0005】
その一方で、半導体レーザ1から発生されたレーザ光は、ハーフミラー2を通してレーザ光検出回路3により受光される。レーザ光検出回路3はレーザ光の強度に応じた電気信号を出力する回路である。この場合、レーザ光検出回路3は、第1の出力端子から第1の出力電圧Vopを出力し、第2の出力端子から第2の出力電圧Vonを出力する。第2の出力電圧Vonは、第1の出力電圧Vopを基準電圧に対して反転した電圧である。
【0006】
レーザドライバ4は、第1及び第2の出力電圧Vop,Vonを受けて、それらの電圧差(Vop−Von)に応じて半導体レーザ1のレーザ光の強度を制御する回路である。この場合、レーザドライバ4は、電圧差(Vop−Von)が大きくなるに連れて、半導体レーザ1のレーザ光の強度が小さくなるように半導体レーザ1を制御する。
【0007】
逆に言えば、レーザドライバ4は、電圧差(Vop−Von)が小さくなるに連れて、半導体レーザ1のレーザ光の強度が大きくなるように半導体レーザ1を制御する。レーザドライバ4のフィードバック制御により、半導体レーザ1から発生されるレーザ光の強度は、一定になるように制御される。このような光ディスク装置100は特許文献1に記載されている。
【0008】
ところで、動作停止モード(スリープ・モード)と動作モード(アクティブ・モード)という2つのモードを持った光ディスク装置100が開発されている。動作停止モードの場合、レーザ光検出回路3の動作は停止されると共に、第1及び第2の出力端子における出力インピーダンスは、高インピーダンスに設定されるように設計されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−141767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の動作停止モードにおいて、レーザ光検出回路3の第1及び第2の出力端子における出力インピーダンスは、高インピーダンスに設定される。このため、第1及び第2の出力電圧Vop,Vonの値は、後段のレーザドライバ4により決定され、電圧差(Vop−Von)が小さくなる可能性がある。
【0011】
すると、レーザドライバ4は、半導体レーザ1のレーザ光の強度が大きくなるように半導体レーザ1を制御するので、半導体レーザ1のレーザ光の強度が過大になり、半導体レーザ1が破壊に至るおそれがあった。
【0012】
そこで、本発明は、光ディスク装置の動作停止モードにおいて、半導体レーザ1のレーザ光の強度を抑制して半導体レーザ1の破壊を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のレーザ光検出回路は、第1及び第2の出力端子と、半導体レーザからのレーザ光の強度に応じた第1の出力電圧を前記第1の出力端子に出力する第1の増幅回路と、前記第1の出力電圧を基準電圧に対して反転した第2の出力電圧を前記第2の出力端子に出力する第2の増幅回路と、前記第1及び第2の増幅回路の動作停止時に、前記第1の出力電圧と前記第2の出力電圧の差を一定値以上に設定するスイッチング回路とを備えることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の光ディスク装置は、レーザ光を生成する半導体レーザと、第1及び第2の出力端子と、半導体レーザからのレーザ光の強度に応じた第1の出力電圧を前記第1の出力端子に出力する第1の増幅回路と、前記第1の出力電圧を基準電圧に対して反転した第2の出力電圧を前記第2の出力端子に出力する第2の増幅回路と、前記第1及び第2の増幅回路の動作停止時に、前記半導体レーザが破壊しないように前記第1の出力電圧と前記第2の出力電圧の差を一定値以上に設定するスイッチング回路とを備えるレーザ光検出回路と、前記第1及び前記第2の出力電圧を受けて、前記第1の出力電圧と前記第2の出力電圧の差が大きくなるに連れて前記半導体レーザのレーザ光の強度が小さくなるように前記半導体レーザを制御するレーザドライバとを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光ディスク装置の動作停止モードにおいて、半導体レーザのレーザ光の強度を抑制して半導体レーザの破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態のレーザ光検出回路の回路図である。
【図2】光ディスク装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図1に基づいて説明する。レーザ光検出回路3は、図2の光ディスク装置100の一部を構成している。レーザ光検出回路3はIC(Integrated Circuit)で構成することができ、レーザ光の強度に応じた電気信号を出力する回路である。レーザ光検出回路3は、フォトダイオード10、電流電圧変換回路11、前段の増幅回路12、出力段の第1の増幅回路13、第2の増幅回路14、第1の出力端子15、第2の出力端子16、入力端子17、第1のスイッチング素子24及び第2のスイッチング素子25を含んで構成される。
【0018】
フォトダイオード10は、図2の半導体レーザ1によって発生されたレーザ光を受光し、レーザ光の強度に応じた電流I1を発生する。電流電圧変換回路11は、電流I1を電圧V1に変換する回路であり、オペアンプ18及び抵抗19を含んで構成される。オペアンプ18の非反転入力端子には基準電圧Vref1が印加されている。
【0019】
抵抗19は、オペアンプ18の反転入力端子と出力端子の間に接続されている。このため、オペアンプ18の出力端子には基準電圧Vref1を中心に電流I1の電流値と抵抗19の抵抗値の積に応じて変化する電圧V1が生じる。
【0020】
前段の増幅回路12は、電圧V1を増幅する増幅回路であり、オペアンプ20、抵抗21,22、コンデンサ23を含んで構成される。オペアンプ20の非反転入力端子には基準電圧Vref2が印加されている。抵抗21は、オペアンプ18の出力端子とオペアンプ20の反転入力端子の間に接続されている。抵抗22は、オペアンプ20の反転入力端子と出力端子との間に接続されている。
【0021】
コンデンサ23は、増幅回路12の周波数帯域を制限する容量であり、オペアンプ20の反転入力端子と出力端子との間に接続されている。増幅回路12の直流利得の大きさは、R2/R1となる。
【0022】
したがって、オペアンプ20は、利得R2/R1で電圧V1を反転増幅する反転増幅回路として動作する。オペアンプ20の非反転入力端子には基準電圧Vref2が印加されているため、出力端子の電圧V2は、基準電圧Vref2を中心に変化する。
【0023】
出力段の第1の増幅回路13は、バッファアンプであり、電圧V2を所定の利得で増幅した第1の出力電圧Vopを第1の出力端子15に出力する。第2の増幅回路14は、電圧V2を所定の利得で反転増幅した第2の出力電圧Vonを第2の出力端子16に出力する。つまり、電圧V2は、第1及び第2の増幅回路13,14にて差動で増幅される。この場合、第2の出力電圧Vonは基準電圧Vref3に対して第1の出力電圧Vopを反転したものである。
【0024】
レーザ光検出回路3は、図2のマイクロコンピュータ5からのモード切り替え信号に応じて、動作停止モード(スリープ・モード)と動作モード(アクティブ・モード)のいずれかのモードに設定される。即ち、レーザ光検出回路3の入力端子17からマイクロコンピュータ5からのモード切り替え信号が印加される。例えば、モード切り替え信号がLレベルの場合、オペアンプ18,20及び第1及び第2の増幅回路13,14は動作停止モードに設定され、これら回路の動作は停止される。具体的には、オペアンプ18,20及び第1及び第2の増幅回路13,14にそれぞれ内蔵され、動作電流を供給する各定電流源の電流値が「0」に設定されることにより、これらの回路の動作は停止される。
【0025】
一方、モード切り替え信号がHレベルの場合、オペアンプ18,20及び第1及び第2の増幅回路13,14は動作モードに設定され、それら回路は動作するように構成されている。つまり、オペアンプ18,20及び第1及び第2の増幅回路13,14に対応する各定電流源から動作電流が供給される。
【0026】
レーザ光検出回路3は、動作停止モードに設定された場合、第1及び第2の増幅回路13,14の出力インピーダンスは、高インピーダンスになるように構成されている。具体的には、第1及び第2の増幅回路13,14の各出力トランジスタ(不図示)は、モード切り替え信号に応じてオフに設定される。
【0027】
第1のスイッチング素子24及び第2のスイッチング素子25は、スイッチング回路を構成する。第1のスイッチング素子24は、電源電圧Vccが供給される電源線26と第1の増幅回路13の第1の出力端子15との間に接続される。第2のスイッチング素子25は、第2の増幅回路14の第2の出力端子16と接地電圧Vssが供給される接地線27との間に接続される。
【0028】
そして、モード切り替え信号がLレベル(動作停止モード)の場合、第1のスイッチング素子24及び第2のスイッチング素子25はオンするように構成されている。第1のスイッチング素子24及び第2のスイッチング素子25がオンすると、第1の出力端子15の第1の出力電圧Vopは電源電圧Vccに設定され、第2の出力端子16の第2の出力電圧Vonは接地電圧Vssに設定される。これにより、第1及び第2の出力電圧Vop,Vonの電圧差(Vop−Von)は(Vcc−Vss)という最大値になる。
【0029】
前述のように、レーザドライバ4は、第1及び第2の出力電圧Vop,Vonを受けて、第1及び第2の出力電圧Vop,Vonの電圧差(Vop−Von)が大きくなるに連れて、半導体レーザ1のレーザ光の強度が小さくなるように半導体レーザ1を制御するので、電圧差(Vcc−Vss)に応じて半導体レーザ1のレーザ光の強度は最小値に抑制される。これにより、動作停止モードにおいて、半導体レーザ1のレーザ光の強度を抑制して半導体レーザ1の破壊を防止することができる。
【0030】
一方、モード切り替え信号がHレベル(動作モード)の場合、第1のスイッチング素子24及び第2のスイッチング素子25はオフし、レーザ光検出回路3は通常の動作を行う。
【0031】
なお、本実施形態においては、第1のスイッチング素子24及び第2のスイッチング素子25の両方を設けているが、それらのいずれか一方だけを設けても、第1及び第2の出力電圧Vop,Vonの電圧差(Vop−Von)をある程度大きくできるので、半導体レーザ1のレーザ光の強度を抑制する効果が得られる。
【0032】
また、動作停止モードにおける第1及び第2の出力電圧Vop,Vonの電圧差(Vop−Von)は上述のように(Vcc−Vss)という最大値であることが好ましいが、半導体レーザ1が破壊しない程度に半導体レーザ1のレーザ光の強度を抑制することができれば、第1及び第2の出力電圧Vop,Vonの電圧差(Vop−Von)は、ある閾値以上に設定されていれば良い。
【0033】
また、第1のスイッチング素子24及び第2のスイッチング素子25は、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ等で形成することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 半導体レーザ 2 ハーフミラー 3 レーザ光検出回路
4 レーザドライバ 5 マイクロコンピュータ 6 光ディスク
7 データ読み取り装置
10 フォトダイオード 11 電流電圧変換回路
12 増幅回路 13 第1の増幅回路 14 第2の増幅回路
15 第1の出力端子 16 第2の出力端子 17 入力端子
18 オペアンプ 19 抵抗
20 オペアンプ 21,22 抵抗 23 コンデンサ
24 第1のスイッチング素子 25 第2のスイッチング素子
26 電源線 27 接地線 100 光ディスク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の出力端子と、
半導体レーザからのレーザ光の強度に応じた第1の出力電圧を前記第1の出力端子に出力する第1の増幅回路と、
前記第1の出力電圧を基準電圧に対して反転した第2の出力電圧を前記第2の出力端子に出力する第2の増幅回路と、
前記第1及び第2の増幅回路の動作停止時に、前記第1の出力電圧と前記第2の出力電圧の差を一定値以上に設定するスイッチング回路とを備えることを特徴とするレーザ光検出回路。
【請求項2】
前記スイッチング回路は、前記第1の出力端子と電源電圧が供給された電源線との間に接続され、前記第1及び第2の増幅回路の動作停止時にオンして、前記第1の出力端子の電圧を電源電圧に設定する第1のスイッチング素子を備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザ光検出回路。
【請求項3】
前記スイッチング回路は、前記第1の出力端子と接地との間に接続され、前記第1及び第2の増幅回路の動作停止時にオンして、前記第2の出力端子の電圧を接地電圧に設定する第2のスイッチング素子を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ光検出回路。
【請求項4】
レーザ光を生成する半導体レーザと、
第1及び第2の出力端子と、半導体レーザからのレーザ光の強度に応じた第1の出力電圧を前記第1の出力端子に出力する第1の増幅回路と、前記第1の出力電圧を基準電圧に対して反転した第2の出力電圧を前記第2の出力端子に出力する第2の増幅回路と、前記第1及び第2の増幅回路の動作停止時に、前記半導体レーザが破壊しないように前記第1の出力電圧と前記第2の出力電圧の差を一定値以上に設定するスイッチング回路とを備えるレーザ光検出回路と、
前記第1及び前記第2の出力電圧を受けて、前記第1の出力電圧と前記第2の出力電圧の差が大きくなるに連れて前記半導体レーザのレーザ光の強度が小さくなるように前記半導体レーザを制御するレーザドライバとを備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
前記スイッチング回路は、前記第1の出力端子と前記レーザ光検出回路の電源電圧が供給された電源線との間に接続され、前記第1の前記レーザ光検出回路の動作停止時にオンして、前記第1の出力端子の電圧を電源電圧に設定する第1のスイッチング素子を備えることを特徴とする請求項4に記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記スイッチング回路は、前記第1の出力端子と前記レーザ光検出回路の接地との間に接続され、前記第1の前記レーザ光検出回路の動作停止時にオンして、前記第2の出力端子の電圧を接地電圧に設定する第2のスイッチング素子を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の光ディスク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate