説明

レーザ光源装置、映像表示装置

【課題】レーザ光源装置の劣化判定および劣化時の出力制御を目的とする。
【解決手段】スロープ効率620では、規定光量P0の出力に駆動電圧V1’、規定光量P1の出力に駆動電圧V2’を必要としている。駆動電圧V1’、V2’は、基準スロープ効率610の目標光量P1,P2に対する駆動電圧V1,V2よりも高い。スロープ効率620は、通常動作時の基準スロープ効率を含む基準変換効率範囲650に含まれない。制御部200は、このように、算出したスロープ効率が、基準変換効率範囲650に含まれない場合、レーザ光源装置は劣化していると判断する。基準変換効率範囲650は、例えば、基準スロープ効率の約±10%の範囲内としてもよい。劣化時には、レーザ光源が発振可能な最大光量が映像処理回路へフィードバックされ、映像処理回路は、フィードバックされた最大光量に基づいて最大制御光量を更新し、目標光量を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光源装置およびレーザ光源装置を備える映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ライトバルブやデジタルミラーデバイス(DMD:Digital Mirror Device)等の空間光変調機器を、光源装置の照明光で照射して映像を表示する映像表示装置が利用されている。映像表示装置には、例えば、レーザ光を発するレーザ光源装置が用いられる。
【0003】
レーザ光源装置には、レーザ光源装置の温度変化にかかわらず一定の光出力を保つように、温度や電圧などの駆動条件を制御する自動出力制御(Automatic Power Control:APC)回路が用いられているものがある。
【0004】
【特許文献1】特開平5−95148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レーザ光源装置の劣化時に、劣化前と同じ駆動条件でレーザ光源装置を駆動させると、APCにより設定された目標光量を出力するために、レーザ光源装置の駆動回路に対して許容電圧以上の電圧が印加されてしまう。この結果、レーザ光源装置の故障を招き、耐用年数が短くなるという問題が生じる。
【0006】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、レーザ光源装置の劣化判定および劣化時の出力制御を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
画像生成装置から入力された複数の画像フレームデータを用いて映像を表示する映像表示装置に用いられるレーザ光源装置であって、レーザ光を射出するレーザ光源と、前記レーザ光源を駆動する駆動回路と、前記画像フレームデータの表示に必要な光量である目標光量を取得する目標光量取得手段と、前記レーザ光源装置の出力光量を検出する出力光量検出手段と、前記出力光量が前記目標光量となるように、前記駆動回路を制御する制御手段と、前記制御時の少なくとも異なる二つの目標光量に対する前記駆動回路の駆動条件を用いて、前記レーザ光源の劣化を判定する判定手段と、を備えるレーザ光源装置。
【0009】
適用例1のレーザ光源装置によれば、駆動回路制御時の少なくとも異なる二つの駆動条件を用いて算出される制御時の駆動条件の変化特性、すなわち傾きを用いて劣化判定を行うことができるため、レーザ光源装置の劣化状態を精度良く把握できる。
【0010】
適用例1のレーザ光源装置において、前記判定手段は、前記目標光量に対する前記駆動条件が、予め規定された基準変換効率範囲に含まれない場合に、劣化していると判定する。
【0011】
適用例1のレーザ光源装置によれば、駆動条件が基準変換効率範囲に含まれるか否かに基づいてレーザ光源装置の劣化を判定できる。従って、簡易なシステム構成でレーザ光源装置の劣化状態を把握できる。
【0012】
適用例1のレーザ光源装置は、更に、前記駆動条件を複数保存するための記憶部と、前記記憶部に保存されている複数の駆動条件を用いて前記レーザ光源の出力効率を表すスロープ効率を算出する算出手段と、を備え、前記基準変換効率範囲は、予め規定された基準スロープ効率を含む所定の範囲であり、前記判定手段は、前記算出したスロープ効率が、前記基準変換効率範囲内に含まれない場合に、劣化していると判定する。
【0013】
適用例1のレーザ光源装置によれば、電力がレーザ光に変換される効率を表すスロープ効率を用いるため、ノイズ等の影響による劣化の誤判定を抑制でき、レーザ光源装置の劣化状態を精度良く把握できる。
【0014】
適用例1のレーザ光源装置は、更に、前記記憶部に、予め規定された複数種類の光量のそれぞれに対する前記駆動条件が保存されているかを判断する判断手段を備え、前記算出手段は、前記少なくとも2つの駆動条件が保存されている場合に、前記スロープ効率の算出を行う。
【0015】
適用例1のレーザ光源装置によれば、予め規定された複数種類の光量に対する駆動条件が保存されている場合にスロープ効率の算出を行う。従って、簡易な構成で精度良くスロープ効率を算出できる。
【0016】
適用例1のレーザ光源装置において、前記駆動条件は、前記目標光量および前記目標光量の出力に必要とされる電圧値もしくは電流値を含む。
【0017】
適用例1のレーザ光源装置によれば、簡易に駆動条件を取得でき、レーザ光源装置の処理負荷を軽減できる。
【0018】
[適用例2]
映像表示装置であって、適用例1のレーザ光源装置と、前記画像生成装置から前記複数の画像フレームデータを取得する画像フレームデータ取得手段と、前記画像フレームデータの表示に必要な光量である目標光量を算出する目標光量算出手段と、前記目標光量を前記レーザ光源装置へ転送する転送手段と、前記取得した画像フレームデータと、前記目標光量に応じて制御された前記レーザ光源からの出力光とを用いて前記映像を表示する映像表示手段と、を備える映像表示装置。
【0019】
適用例2の映像表示装置によれば、高い精度で劣化状態を把握可能なレーザ光源装置を備えた映像表示装置を構成できる。
【0020】
適用例2の映像表示装置は、更に、前記レーザ光源の出力光量と、所定の光量の出力に必要とされる駆動条件が前記レーザ光源装置の劣化状態に応じて予め登録された特性テーブルと、を用いて、前記レーザ光源が出力可能な最大光量を取得する最大光量取得手段と、を備え、前記目標光量算出手段は、前記取得した最大光量に基づき、前記レーザ光源に転送する目標光量を算出する。
【0021】
適用例2の映像表示装置によれば、レーザ光源装置の劣化状態に応じて変化する最大光量に基づき目標光量を算出できる。従って、レーザ光源装置への過度の電圧印加を抑制できるため、レーザ光源装置の故障を抑制できるとともに、耐用年数を伸ばすことができる。
【0022】
適用例2の映像表示装置は、前記レーザ光源装置として、赤色光を出力するための赤色レーザ光源装置、緑色光を出力するための緑色レーザ光源装置および青色光を出力するための青色レーザ光源装置を備え、前記目標光量算出手段は、各前記レーザ光源装置からの出力光のホワイトバランスが一定に維持されるように、前記目標光量を算出する。
【0023】
適用例2記載の映像表示装置によれば、出力光のホワイトバランスを一定に維持しながら、レーザ光源装置の出力を制御できる。よって、レーザ光源装置の故障を抑制できるとともに、映像の質の低下を抑制できる。
【0024】
適用例2の映像表示装置において、前記出力光量取得手段は、前記各色のレーザ光源の出力光量を取得し、前記目標光量算出手段は、前記各色レーザ光源のうち、予め規定された所定の時点における出力光量に対して、前記取得した出力光量の低下比率が最大のレーザ光源の出力光量に応じて、前記各色のレーザ光源からの出力光のホワイトバランスが一定に維持されるように、前記各色のレーザ光源装置の目標光量を算出する。
【0025】
適用例2の映像表示装置によれば、出力光量の低下比率が最大のレーザ光源装置の出力光量の変化に連動させて、全色のレーザ光源装置の目標光量を算出できる。従って、1つのレーザ光源装置の劣化状態による出力変化を他のレーザ光源装置に反映することができる。よって、映像の質の低下を抑制できる。
【0026】
適用例2の映像表示装置は、更に、前記画像生成装置から送信された画像データフレームが、全画素データが黒となるように設定された黒フレームであるかを判断する黒フレーム判断手段を備え、前記レーザ光源装置は、更に、前記黒フレームと判断された場合に、予め規定された前記レーザ光源装置の駆動条件である規定駆動条件を前記記憶部に保存する保存手段を備え、前記算出手段は、前記規定駆動条件を用いて前記スロープ効率を算出する。
【0027】
適用例2の映像表示装置によれば、受信した画像データフレームが黒フレームの場合には、予め規定された所定の光量に対する駆動条件を保存できる。従って、画像データフレーム間で輝度変化の少ない静止画等を表示する場合においても、簡易な構成でスロープ効率を計算できるため、レーザ光源装置の劣化状態を把握でき、出力光量を制御できる。
【0028】
適用例2の映像表示装置は、更に、前記最大光量取得手段が取得した前記各画像データフレームの最大光量を記憶するための光量記憶部と、を備え、前記黒フレーム判断手段は、前記光量記憶部に記憶されている前記各画像データフレームの最大光量を用いて、前記判断を行う。
【0029】
適用例2の映像表示装置によれば、簡易な構成で、黒フレームの判断を行うことができる。
【0030】
本発明は、上述のレーザ光源装置、映像表示装置としての構成の他、レーザ光源装置の劣化判定方法、映像表示装置の駆動制御方法の発明として構成することもできる。また、上述の劣化判定、駆動制御を実現するコンピュータプログラム、およびそのプログラムを記録した記録媒体、そのプログラムを含み、搬送波内に具現化されたデータ信号など種々の態様で実現することが可能である。各態様において先に示した種々の付加的要素を適用することが可能である。本発明をコンピュータプログラムまたはそのプログラムを記録した記録媒体等として構成する場合には、レーザ光源装置、映像表示装置を制御するプログラム全体として構成するものとしてもよいし、本発明の機能を果たす部分のみを構成するものとしてもよい。また、記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、DVD−ROM、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(ROMやROM等のメモリ)および外部記憶装置などコンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
A.第1実施例:
A1.システム概要:
第1実施例における映像表示装置としてのプロジェクタについて、図1を参照して説明する。図1は、第1実施例におけるプロジェクタの概略構成について例示する説明図である。
【0032】
図1に示すように、プロジェクタ1000は、光源装置10,20,30、均一化光学素子50、空間光変調素子60、ダイクロイックプリズム70および投射レンズ80を備える。
【0033】
光源装置10〜30は、プロジェクタ1000の光源として用いられる。光源装置10は、レーザ光源210と、第2高調波発生素子110と、共振器120とを備え、約650nmの波長を有する赤色レーザ光を出力する。光源装置20は、レーザ光源220と、第2高調波発生素子110と、共振器120とを備え、約540nmの波長を有する緑色レーザ光を出力する。光源装置30は、レーザ光源230と、第2高調波発生素子110と、共振器120とを備え、約430nmの波長を有する青色レーザ光を出力する。なお、レーザ光は光源装置内の種々の機器に吸収されるため、レーザ光源装置から出力された光の光量と画像の投影に用いられる光の光量は若干異なる。光源装置10〜30の詳細な構成について、後に詳述する。
【0034】
均一化光学素子50は、入射する照射光を重畳して輝度ムラを平均化し、スクリーンの端部と中央部との光量差を低減する。均一化光学素子50を配置することにより、スクリーン全体に明るい画像を投射できる。例えば、均一化光学素子50としては、回折光学素子である計算機合成ホログラム(Computer Generated Hologram:CGH)を用いることができる。
【0035】
空間光変調素子60(ライトバルブ)は、高温ポリシリコン(HTPS:High Temperature Poly−Silicon)を用いて形成された、アクティブマトリクス駆動方式の透過型液晶パネルと、偏光板を有する。空間光変調素子60は、入射光を制御して画像を描画する。
【0036】
ダイクロイックプリズム70は、三角プリズムを4つ組み合わせて直方体とした構成を有しており、空間光変調素子60を通過した赤色レーザ光、緑色レーザ光、および青色レーザ光を合成して画像を形成し、投射レンズ80に投射する。
【0037】
投射レンズ80は、ダイクロイックプリズム70から投射された画像を、スクリーン90に投影する。
【0038】
以上説明したように、プロジェクタ1000は、光源装置10〜30からの射出光をそれぞれに対応する空間光変調素子60に入射させて画像を形成後、射出光を合成しスクリーン90に投影する。鑑賞者は、スクリーン90に投影された画像を視認する。
【0039】
A2.ブロック構成:
図2は、第1実施例におけるプロジェクタ1000のブロック構成を例示する説明図である。プロジェクタ1000は、映像信号を処理する映像処理回路100と、映像信号に基づいて空間光変調素子を駆動させる表示部150と、レーザ駆動回路211,221,231,レーザ光源210,220,230と、レーザ光源を制御する制御部200と、AC/DC電源250と、I/V変換部261,262,263とを備える。
【0040】
映像処理回路100は、色変換回路101と、光量検出回路102と、フレームバッファ103と、透過率演算回路104とを備える。
【0041】
色変換回路101は、プロジェクタ1000に接続された画像生成装置から画像を表すフレーム単位で入力された輝度信号(以降、第1実施例では、画像を表すフレーム単位で入力された輝度信号を単に「フレーム」と呼ぶ)を受信し、1フレームの輝度分布Y(x,y,t)の算出、ホワイトバランスやガンマ特性(γ特性)の演算を行う。なお、輝度分布Y(x,y,t)において、(x,y)はフレームの画素の座標を表し、yは、フレームの順番を示すフレーム番号を表す。また、色変換回路101は、フレームバッファ103に、入力されたフレームの画素データを蓄積する。
【0042】
光量検出回路102は、各レーザ光源210,220および230の最大制御光量を、各レーザ光源210,220,230の出力可能な最大の光量として記憶している。最大制御光量とは、各レーザ光源装置の出力可能な最大光量(ロールオーバーポイントにおける光量)の約70%の光量を表す。光量検出回路102は、記憶されている最大制御光量を用いて、1フレームの輝度分布Y(x,y,t)に基づき、そのフレームの表示に必要な光量を表す目標光量P(t)を算出する。フレームの表示に必要な光量を表す目標光量は、例えば、フレームを構成する複数の画素データの最大輝度値の出力に必要な光量に基づき設定してもよい。第1実施例では、フレームを構成する複数の画素データ最大輝度値の出力に必要な光量を目標光量P(t)として設定する。以降、実施例では、目標光量P(t)を、「フレームの最大光量」とも呼ぶ。
【0043】
透過率演算回路104は、1フレームの画素データと目標光量P(t)とに基づいて、空間光変調素子60の透過率T(x,y,t)を算出する。透過率T(x,y,t)は、以下の式1により算出される。
【0044】
T(x,y,t)=Y(x,y,t)/P(t) …式1
【0045】
表示部150は、表示素子ドライバ151と、変調素子駆動回路152と、空間光変調素子60とを備える。表示素子ドライバ151は、透過率演算回路104により決定された透過率に基づいて、変調素子駆動回路152を制御する。変調素子駆動回路152は、空間光変調素子60を駆動して透過率を調整する。
【0046】
光源装置10のレーザ光源210は、半導体レーザであり、赤色レーザ光のピーク波長である約650nmの倍の約1300nmのピーク波長のレーザ光を出力する。なお、光源装置20のレーザ光源220は、緑色レーザ光のピーク波長である約540nmの倍の約1080nmのピーク波長のレーザ光を出力し、光源装置30のレーザ光源230は、青色レーザ光のピーク波長である約430nmの倍の約860nmのピーク波長のレーザ光を出力する。各レーザ光源210,220,230から出力されたレーザ光は、第2高調波発生素子110(図1)と共振器120(図1)とにより、それぞれ、約650nm,540nm、約430nmのピーク波長のレーザ光とされて射出される。
【0047】
I/V変換部261は、図示しないフォトダイオード(PD)と、I/V変換回路から構成される。フォトダイオードは、レーザ光源210からの出力光を分光させるダイクロイックミラー270により分岐された分岐光の光量を検出し、I/V変換回路は、フォトダイオードによる検出光量に応じて、回路を流れる電流値を電圧値に変換する。I/V変換部262、263は、それぞれ、レーザ光源220,230に対応付けられており、I/V変換部261と同一の機能・構成を備える。
【0048】
制御部200は、駆動条件バッファ201と、基準変換効率範囲記憶部202を備える。また、制御部200は、各レーザ光源の温度を調整するため温調機能を備える(図示省略)駆動条件バッファ201には、所定の目標光量出力時におけるレーザ光源210,220,230の駆動条件が格納されている。基準変換効率範囲記憶部202には、通常動作時(非劣化時)の所定の光量における駆動条件が予め登録された基準変換効率範囲が記憶されている。制御部200は、フレームの目標光量とレーザ光源装置の出力光量とに応じて、目標光量を満足するようにAPCを行うとともに、レーザ光源装置の劣化を判断し、映像処理回路に対して、レーザ光源装置が発振可能な最大光量を通知する。なお、第1実施例では、駆動条件とは、所定の目標光量出力時にレーザ光源210、220,230のレーザ駆動回路211、221,231に印加される電圧値を表す。
【0049】
レーザ駆動回路211は、DC/DCコントローラ211a,レーザ駆動ドライバ211bから構成される。レーザ駆動回路211は、制御部200からのAPC指示に従って、レーザ光源装置の出力を制御する。レーザ駆動回路221,221は、レーザ駆動回路211と同様の機能・構成を備える。
【0050】
以上説明したとおり、プロジェクタ1000は、レーザ光源210,220,230の駆動と、空間光変調素子60の駆動とを並列に制御することにより、視聴者が視認可能な映像を表示できる。
【0051】
A3.最大制御光量再設定処理:
図3〜図6を参照して、劣化判定および最大制御光量再設定処理について説明する。図3および図4は、第1実施例における最大制御光量再設定処理を説明するフローチャートである。図5は、第1実施例における駆動条件の保存について例示する説明図である。図6は、第1実施例における劣化判定を説明する説明図である。
【0052】
映像処理回路100は、1フレームに含まれる画素の輝度値の輝度分布を表すヒストグラムから、フレームの最大輝度値を出力するために必要な光量である目標光量を算出し(ステップS100)、駆動条件バッファに駆動条件が複数個保存されているかを判断する(ステップS102)。映像処理回路100は、バッファに複数個の駆動条件が保存されている場合には(ステップS102:YES)、ホワイトバランスおよびγ補正の演算を行い(ステップS104)、ステップS100において算出した目標光量を制御部200へ転送する(ステップS106)。
【0053】
制御部200は、目標光量を取得すると(ステップS200)、目標光量とレーザ光源の出力光量とを用いてAPCを行う(ステップS202)。制御部200は、目標光量が予め規定された規定光量である場合に、APCにより出力光量が目標光量となったときのレーザ光源の駆動条件を駆動条件バッファ201に保存する(ステップS204)。
【0054】
図5(a)は、駆動条件バッファ201に保存する駆動条件について説明する説明図である。図5(a)のグラフ500において、縦軸は光量を表し、横軸は駆動電圧を表す。制御部200は、目標光量が予め決められた規定光量である場合に、APC後の駆動電圧をバッファに保存すべき駆動条件と判断する。例えば、制御部200は、グラフ500に示すように、目標光量が規定光量P0である場合のレーザ光源の駆動電圧V0,目標光量が規定光量P1である場合の駆動電圧V1,目標光量が規定光量P2である場合の駆動電圧V2,目標光量が規定光量P3である場合の駆動電圧V3、目標光量が規定光量P4時である場合の駆動電圧V4を、駆動条件バッファ201に保存すべき駆動条件と判断する。
【0055】
図5(b)は、駆動条件バッファ201に保存されたレーザ光源210の駆動条件について例示する説明図である。図5(b)に示すように、駆動条件バッファ201には、予め決められた規定光量P0〜P4について、図5(a)において説明したように、各規定光量出力時における駆動電圧V0〜V4が駆動条件として格納されている。制御部200は、駆動条件バッファ201に保存されている駆動条件を用いて、レーザ光源装置のスロープ効率を算出する。スロープ効率は、図5(a)に示すように、出力光量の増加量ΔP/駆動電圧の増加量ΔVにより算出される。
【0056】
図3に戻り、処理の説明を続ける。制御部200は、駆動条件バッファに格納されている出力光量および駆動条件を用いてスロープ効率を算出し(ステップS206)、算出したスロープ効率と、予め規定された基準範囲とを用いて、レーザ光源装置の劣化を判断する(ステップS208)。
【0057】
図6は、第1実施例におけるレーザ光源装置の劣化判断について説明する説明図である。図6のグラフ600において、縦軸は光量を表し、横軸は駆動電圧を表す。基準スロープ効率610は、レーザ光源装置の通常動作時のスロープ効率を表す。第1実施例では、基準スロープ効率を基準とする所定の範囲(以降、第1実施例では、基準変換効率範囲と呼ぶ)650に含まれない場合、レーザ光源装置は劣化していると判断する。基準変換効率範囲650は、例えば、基準スロープ効率の約±10%の範囲内としてもよい。
【0058】
スロープ効率620は、所定のタイミングにおいて保存されている駆動条件に基づいて算出したスロープ効率を表す。スロープ効率620では、例えば、規定光量P0の出力に駆動電圧V1’、規定光量P1の出力に駆動電圧V2’を必要としている。駆動電圧V1’、V2’は、基準スロープ効率610の目標光量P1,P2に対する駆動電圧V1,V2よりも高い。このときのスロープ効率620は、図6に示すように、基準変換効率範囲650に含まれない。制御部200は、このように、算出したスロープ効率が基準変換効率範囲650に含まれない場合に、レーザ光源装置は劣化していると判断する。
【0059】
なお、駆動条件バッファ201に保存されている駆動条件は、予め規定された規定光量P0〜P4に対する最新の駆動条件が保存されている。すなわち、駆動条件バッファ201の保存内容は、適宜更新される。スロープ効率の算出は、駆動条件バッファ201に規定されている全規定光量の全てに対する駆動条件が揃ったときに行っても良いし、駆動条件が少なくとも2つ保存されている場合に行っても良い。スロープ効率の算出タイミングは、利用者が任意に設定する事項である。駆動条件が多いほど、精度の高いスロープ効率を算出できる。
【0060】
制御部200は、レーザ光源装置が劣化していると判断した場合(ステップS208:YES)、劣化している状態において、レーザ光源装置が出力可能な最大光量(図6に示す光量Pmax0)を算出し、映像処理回路100に転送する(ステップS210)。
【0061】
映像処理回路100は、制御部200から最大光量を取得したかを判断し(ステップS108)、最大光量を取得した場合には(ステップS108:YES)、最大光量の約70%の光量を最大制御光量として算出し、最大制御光量に変化があるかを判断する(ステップS110)。映像処理回路100は、最大制御光量に変化があると判断した場合(ステップS110:YES)、最大制御光量を更新する(ステップS112)。なお、この場合、各色レーザ光の少なくとも一つについて、最大制御光量に変化がある場合、予め規定された所定の動作時(例えば、起動時や定常運転時など)に対する最大制御光量の変化率(低下比率)の最大のレーザ光源(以降、実施例では、基準レーザ光源と呼ぶ)の最大制御光量に連動させて、各色レーザ光源からの出力光のホワイトバランスが一定に維持されるように、基準レーザ光源以外のレーザ光源の最大制御光量を変更する。
【0062】
映像処理回路100は、更新された最大制御光量に従って、入力されたフレームの目標光量を設定する。
【0063】
レーザ光源装置の劣化時に、劣化前の最大制御光量に基づいて算出された目標光量でAPCを行うと、目標光量を満足するようにレーザ光源装置に過電圧が印可される。例えば、図6に示すように、劣化時に劣化前の最大制御光量に基づいて算出された目標光量P1でAPCを行うと、通常動作時に目標光量P1を出力するための駆動電圧V1よりも高い駆動電圧V1’が印可される。このように過電圧が印可されることにより、レーザ光源装置が破損するおそれがある。これを回避するために、本実施例では、レーザ光源装置の劣化が検出されると、劣化したレーザ光源装置の出力可能な最大光量に基づいて映像処理回路の最大制御光量を更新することにより、レーザ光源装置への過電圧の印加を抑制している。
【0064】
なお、図4に示すように、映像処理回路100は、駆動条件バッファに複数個の駆動条件が保存されていない場合(ステップS150(ステップS102:NO))、ホワイトバランスおよびγ補正の演算を含む色変換処理を行い(ステップS152)、ステップS100において算出した目標光量を制御部200へ転送する(ステップS154)。
【0065】
制御部200は、目標光量を取得すると(ステップS250)、目標光量とI/V変換部260から取得した出力光量とを用いてAPCを行う(ステップS252)。制御部200は、APC後のレーザ光源装置の駆動条件をバッファに保存する(ステップS254)。
【0066】
第1実施例のプロジェクタによれば、少なくとも二つの目標光量に対する駆動回路の駆動条件を用いて、レーザ光源装置の劣化状態を把握することができる。単に1つの駆動条件を劣化の判断材料とした場合には、ノイズによって、所定の目標光量に対して異なるタイミングで異なる駆動条件となることがあるため、判定結果の精度は高くないが、第1実施例のプロジェクタによれば、異なる目標光量のそれぞれに対する駆動条件を用いて、駆動条件の変化特性(スロープ効率)に基づき劣化判定をしているため、高い精度で劣化判定を行うことができる。また、第1実施例のプロジェクタによれば、レーザ光源装置の劣化状態に応じて、APC可能なレーザ光源装置の最大制御光量を更新できる。従って、レーザ光源装置の駆動回路への許容以上の電圧印加を抑制でき、レーザ光源装置の故障を抑制できる。従って、レーザ光源装置の耐用年数を長期化できる。第1実施例のプロジェクタは、映画やテレビなど各フレーム間の最大光量が適宜変化する映像を表示する場合に好適である。
【0067】
また、第1実施例のプロジェクタによれば、3色のレーザ光源装置からの出力光のホワイトバランスを一定に維持するように、全色のレーザ光源装置の出力を制御することができる。従って、映像の画質低下を抑制でき、観察者への視認性低下を抑制できる。
【0068】
また、第1実施例のプロジェクタによれば、目標光量が予め規定された規定光量である場合にのみ、APC後のレーザ光源の駆動条件を駆動条件バッファに保存できる。従って、全ての目標光量に対する駆動条件を保存する場合に比して、メモリの節約や処理負荷の軽減を図ることができる。所定種類以上の光量に対する駆動条件を用いてスロープ効率を算出することにより、全ての駆動条件を保存する場合とそれほど遜色ない精度でスロープ効率を算出できる。
【0069】
また、第1実施例のプロジェクタによれば、レーザダイオードを光源として用いているため、広い色域で画像を表示できる。また、フレームの画素情報(輝度信号)が、レーザ光源装置と空間光変調素子との双方に入力されるため、コントラスト比を大きくでき、鮮明な映像を表示できる。
【0070】
B.第2実施例:
第2実施例では、予め通常動作時におけるスロープ効率と、劣化時におけるスロープ効率と各スロープ効率における最大光量が関連づけて保存された特性テーブルを用いて、最大制御光量を更新する。なお、第2実施例におけるプロジェクタの構成は、第1実施例とほぼ同一である。ただし、第2実施例の制御部200には、基準変換効率範囲に代えて特性テーブルが保存されている。
【0071】
B1.特性テーブル:
図7は、第2実施例における特性テーブルを例示する説明図である。特性テーブル700には、通常動作時におけるスロープ効率710、劣化時におけるスロープ効率720、通常動作時における最大光量Pmax1および劣化時の最大光量Pmax2が保存されている。特性テーブル700において、縦軸は光量を表し、横軸は駆動電圧を表す。プロジェクタの映像処理回路100は、最大光量Pmax1,Pmax2の約70%の最大制御光量Pc1.Pc2で目標光量を算出する。
【0072】
制御部200は、レーザ光源装置の劣化時には、特性テーブル700から、劣化時のレーザ光源装置が発振可能な最大光量を取得し、映像処理回路に転送する。例えば、制御部200は、レーザ光源装置の劣化を検出すると、特性テーブル700を参照し、劣化時のレーザ光源装置の最大光量Pmax2を映像処理回路100に転送する。第2実施例では、例えば、過電圧の印可検出時にレーザ光源装置が劣化していると判断してもよい。なお、複数のレーザ光源装置において劣化が検出された場合には、最大光量の低下率が最大のレーザ光源装置の最大光量を転送する。
【0073】
映像処理回路100は、制御部200から受け取った最大光量に基づき、光量検出回路に設定されている最大制御光量を更新する。このとき、他のレーザ光源装置の最大制御光量についても、ホワイトバランスを一定に維持するように、更新した最大制御光量に連動させて更新する。
【0074】
以上説明した第2実施例のプロジェクタによれば、予め規定された特性テーブルを用いて、劣化したレーザ光源装置の発振可能な最大光量を取得できる。従って、劣化状態に応じて、動的かつ迅速に最大制御光量を更新できるため、レーザ光源装置の故障を抑制でき、耐用年数を長期化できる。
【0075】
C.第3実施例:
第3実施例では、静止画の表示やプレゼンテーション資料など、各フレーム間の最大光量の変化量が小さいときのスロープ効率の求め方および映像処理回路における最大制御光量再設定処理について説明する。
【0076】
C1.機能ブロック:
図8は、第3実施例におけるプロジェクタ及び機能ブロックを例示するブロック図である。第3実施例のプロジェクタの構成は、第1実施例とほぼ同様である。ただし、第3実施例のプロジェクタの映像処理回路100は、直前のフレームの最大光量を一時的に保存する最大光量バッファ106と、黒フレームの目標光量として予め規定された規定光量が設定された規定光量テーブル107を備える。
【0077】
C2.黒フレームの挿入について:
図9は、第3実施例におけるフレームの一部について例示する説明図である。時間tは、経過時間を表す。第1実施例と同様に、画像生成装置からプロジェクタに対して、フレーム単位で映像信号が入力される。例えば、フレーム300の次にフレーム301が入力され、フレーム301の次にフレーム302が入力される。第3実施例では、画像を表示するフレーム300,302,304の各フレーム間に全画素が黒となるように画素値が設定されたフレーム301,303が挿入される。以降、画像表示用のフレームを通常フレーム、全画素が黒となるように設定されたフレームを黒フレームと呼ぶ。
【0078】
C3.最大制御光量再設定処理:
図10は、第3実施例における最大制御光量再設定処理を説明するフローチャートである。映像処理回路100は、1フレームに含まれる画素データの輝度値の輝度分布を表すヒストグラムに基づいてフレームの目標光量を算出し、各フレームの目標光量を目標光量バッファに保存する(ステップS300)。映像処理回路100は、目標光量バッファに保存されている目標光量を用いて、入力された複数のフレームに黒フレームが含まれているかを判断する(ステップS302)。具体的には、以下の式2に示すとおり、直前フレームの最大光量Pmax(t-1)と、今回フレームの最大光量Pmax(t)との差分Hが、所定の範囲内に含まれる場合に、黒フレームが挿入されていると判断する。なお、黒フレームが挿入されている場合を黒フレームモードと呼び、黒フレームが挿入されていない場合を通常モードと呼ぶ。
【0079】
−α<H=Pmax(t-1)−Pmax(t)<α …式2
【0080】
映像処理回路100は、黒フレームモードの場合(ステップS302:YES)、ホワイトバランスおよびγ補正の演算を含む色変換処理を行い(ステップS304)、目標光量を制御部200へ転送する(ステップS306)。映像処理回路100は、通常モードの場合(ステップS302:NO)、第1実施例において説明したステップS102以降の処理を行う。
【0081】
図11を参照して、黒フレーム入力時にレーザ光源装置の制御部200に転送すべき目標光量について説明する。図11は、第3実施例における黒フレーム挿入時の規定光量を例示する説明図である。図11に示すように、規定光量テーブル107には、黒フレームの挿入順番と規定光量とが保存されている。例えば、最初に挿入される黒フレームBF1には、規定光量P11が関連付けられている。
【0082】
映像処理回路100は、入力されたフレームが黒フレームである場合には、予め規定された規定光量を、かかる黒フレームの目標光量として制御部200に転送する。例えば、映像処理回路100は、黒フレーム301が最初に挿入された黒フレームである場合、制御部200に対して規定光量P11を目標光量として転送する。
【0083】
図10に戻り説明を続ける。目標光量の転送以降の処理は、第1実施例の処理と同様である。すなわち、制御部200の処理は第1実施例において説明した処理と同様である。制御部200は、目標光量を取得すると(ステップS200)、目標光量とレーザ光源の出力光量とを用いてAPCを行う(ステップS202)。制御部200は、目標光量が予め規定された規定光量である場合に、APCにより出力光量が目標光量となったときのレーザ光源の駆動条件を駆動条件バッファ201に保存し(ステップS204)、駆動条件バッファ201に保存されている駆動条件を用いてスロープ効率を算出する(ステップS206)。ステップS206のスロープ効率算出以降の処理(映像処理回路100のステップS108以降の処理を含む)については説明を省略する。
【0084】
なお、入力されたフレームが黒フレームの場合には、表示素子ドライバは、ライトバルブが黒表示されるように制御する。こうすることにより、黒フレーム入力時に、表示される画像は全画素が黒とされた黒画像となるが、プロジェクタ内部では、所定の目標光量に対するAPCが行われ、複数種類の光量に対する駆動条件を取得できる。
【0085】
以上説明した第3実施例のプロジェクタによれば、フレーム間に黒フレームを意図的に挿入し、黒フレームの挿入時に規定光量を出力するための駆動条件を取得することで、スロープ効率を算出できる。従って、フレーム間での輝度変化量の比較的少ない映像の表示時、例えば、静止画像の表示時やプレゼンテーション資料の表示時においても、レーザ光源装置の劣化を判定でき、利便性の向上を図ることができる。
【0086】
D.変形例:
(1)第1実施例では、異なる5種類の目標光量に対する駆動条件を用いて算出したスロープ効率が基準変換効率範囲に含まれない場合にレーザ光源装置が劣化していると判断しているが、例えば、少なくとも異なる二つの目標光量に対する駆動回路の駆動条件からこの傾きを算出し、劣化判定を行っても良い。こうすれば、所定時間の駆動条件あるいは所定時間の駆動条件の傾きと比較して劣化判定を行うことができる。なお、少なくとも二つの目標光量に対する駆動回路の駆動条件から求められる傾きと、所定時間の駆動条件との比較により劣化判定を行っても良いし、少なくとも二つの目標光量に対する駆動回路の駆動条件から求められる傾きと、所定時間駆動条件により算出される傾きとの比較により劣化判定を行っても良い。
【0087】
(2)第1実施例〜第3実施例では、赤色レーザ光源装置、青色レーザ光源装置、緑色レーザ光源装置のうち、通常時の低下比率が最大である光源光量に連動して全色のレーザ光源装置の最大制御光量を更新しているが、予め決められたいずれか1色のレーザ光源装置の低下比率に連動させて、全色のレーザ光源装置の最大制御光量を更新してもよい。例えば、温度依存性の高いレーザ光源装置に連動させて他の光源装置の最大制御光量を調整してもよい。赤色レーザ光源が温度依存性が高いため、赤色レーザ光源装置に他色光源を連動させてもよい。こうすれば、簡易な構成で効率的にホワイトバランスを一定に維持できる。
【0088】
(3)上述した種々のレーザ光源装置を備える映像表示装置としてのプロジェクタの構成の他、画像表示装置、モニタ装置、照明装置としても構成できる。上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりできる。
【0089】
(4)第1実施例〜第3実施例では、ホワイトバランスをレーザ光源の光量で調整しているが、例えば、ライトバルブを用いて調整してもよい。また、レーザ光源とライトバルブの双方を制御してホワイトバランスを調整してもよい。
【0090】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】第1実施例におけるプロジェクタの概略構成について例示する説明図。
【図2】第1実施例におけるプロジェクタのブロック構成を例示する説明図。
【図3】第1実施例における最大制御光量再設定処理を説明するフローチャート。
【図4】第1実施例における最大制御光量再設定処理を説明するフローチャート。
【図5】第1実施例における駆動条件の保存について例示する説明図。
【図6】第1実施例における劣化判定を説明する説明図。
【図7】第2実施例における特性テーブルを例示する説明図。
【図8】第3実施例におけるプロジェクタおよび機能ブロックを例示するブロック図。
【図9】第3実施例におけるフレームの一部について例示する説明図。
【図10】第3実施例における最大制御光量再設定処理を説明するフローチャート。
【図11】第3実施例における黒フレーム挿入時の規定光量を例示する説明図。
【符号の説明】
【0092】
10、20、30…光源装置
50…均一化光学素子
60…空間光変調素子
70…ダイクロイックプリズム
80…投射レンズ
90…スクリーン
100…映像処理回路
101…色変換回路
102…光量検出回路
103…フレームバッファ
104…透過率演算回路
106…最大光量バッファ
107…規定光量テーブル
110…第2高調波発生素子
120…共振器
150…表示部
151…表示素子ドライバ
152…変調素子駆動回路
200…制御部
201…駆動条件バッファ
202…基準変換効率範囲記憶部
210、220、230…レーザ光源
211、221,231…レーザ駆動回路
211a,221a,231a…DC/DCコントローラ
211b,221b,231b…レーザ駆動ドライバ
270…ダイクロイックミラー
300、302,304…フレーム
301、303…黒フレーム
500…グラフ
600…グラフ
610…基準スロープ効率
620…スロープ効率
650…基準変換効率範囲
700…特性テーブル
710…スロープ効率
720…スロープ効率
1000…プロジェクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像生成装置から入力された複数の画像フレームデータを用いて映像を表示する映像表示装置に用いられるレーザ光源装置であって、
レーザ光を射出するレーザ光源と、
前記レーザ光源を駆動する駆動回路と、
前記画像フレームデータの表示に必要な光量である目標光量を取得する目標光量取得手段と、
前記レーザ光源装置の出力光量を検出する出力光量検出手段と、
前記出力光量が前記目標光量となるように、前記駆動回路を制御する制御手段と、
前記制御時の少なくとも異なる二つの目標光量に対する前記駆動回路の駆動条件を用いて、前記レーザ光源の劣化を判定する判定手段と、を備えるレーザ光源装置。
【請求項2】
請求項1記載のレーザ光源装置であって、
前記判定手段は、前記目標光量に対する前記駆動条件が、予め規定された基準変換効率範囲に含まれない場合に、劣化していると判定する、レーザ光源装置。
【請求項3】
請求項2記載のレーザ光源装置であって、更に、
前記駆動条件を複数保存するための記憶部と、
前記記憶部に保存されている複数の駆動条件を用いて前記レーザ光源の出力効率を表すスロープ効率を算出する算出手段と、を備え、
前記基準変換効率範囲は、予め規定された基準スロープ効率を含む所定の範囲であり、
前記判定手段は、前記算出したスロープ効率が、前記基準変換効率範囲内に含まれない場合に、劣化していると判定する、レーザ光源装置。
【請求項4】
請求項3記載のレーザ光源装置であって、更に、
前記記憶部に、予め規定された複数種類の光量のそれぞれに対する前記駆動条件が保存されているかを判断する判断手段を備え、
前記算出手段は、前記少なくとも2つの駆動条件が保存されている場合に、前記スロープ効率の算出を行う、レーザ光源装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか記載のレーザ光源装置であって、
前記駆動条件は、レーザ光の出力に必要とされる電圧値もしくは電流値を含む、レーザ光源装置。
【請求項6】
映像表示装置であって、
請求項1ないし請求項5いずれか記載のレーザ光源装置と、
前記画像生成装置から前記複数の画像フレームデータを取得する画像フレームデータ取得手段と、
前記画像フレームデータの表示に必要な光量である目標光量を算出する目標光量算出手段と、
前記目標光量を前記レーザ光源装置へ転送する転送手段と、
前記取得した画像フレームデータと、前記目標光量に応じて制御された前記レーザ光源からの出力光とを用いて前記映像を表示する映像表示手段と、を備える映像表示装置。
【請求項7】
請求項6記載の映像表示装置であって、更に、
前記レーザ光源の出力光量と、所定の光量の出力に必要とされる駆動条件が前記レーザ光源装置の劣化状態に応じて予め登録された特性テーブルと、を用いて、前記レーザ光源が出力可能な最大光量を取得する最大光量取得手段と、を備え、
前記目標光量算出手段は、前記取得した最大光量に基づき、前記レーザ光源に転送する目標光量を算出する、映像表示装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7記載の映像表示装置であって、
前記レーザ光源装置として、赤色光を出力するための赤色レーザ光源装置、緑色光を出力するための緑色レーザ光源装置および青色光を出力するための青色レーザ光源装置を備え、
前記目標光量算出手段は、各前記レーザ光源装置からの出力光のホワイトバランスが一定に維持されるように、前記目標光量を算出する、映像表示装置。
【請求項9】
請求項8記載の映像表示装置であって、
前記出力光量取得手段は、前記各色のレーザ光源の出力光量を取得し、
前記目標光量算出手段は、前記各色レーザ光源のうち、予め規定された所定の時点における出力光量に対して、前記取得した出力光量の低下比率が最大のレーザ光源の出力光量に応じて、前記各色のレーザ光源からの出力光のホワイトバランスが一定に維持されるように、前記各色のレーザ光源装置の目標光量を算出する、映像表示装置。
【請求項10】
請求項6ないし請求項9いずれか記載の映像表示装置であって、更に、
前記画像生成装置から送信された画像データフレームが、全画素データが黒となるように設定された黒フレームであるかを判断する黒フレーム判断手段を備え、
前記レーザ光源装置は、更に、前記黒フレームと判断された場合に、予め規定された前記レーザ光源装置の駆動条件である規定駆動条件を前記記憶部に保存する保存手段を備え、
前記算出手段は、前記規定駆動条件を用いて前記スロープ効率を算出する、映像表示装置。
【請求項11】
請求項10記載の映像表示装置であって、更に、
前記最大光量取得手段が取得した前記各画像データフレームの最大光量を記憶するための光量記憶部と、を備え、
前記黒フレーム判断手段は、前記光量記憶部に記憶されている前記各画像データフレームの最大光量を用いて、前記判断を行う、映像表示装置。
【請求項12】
画像生成装置から入力された複数の画像フレームデータを用いて映像を表示する映像表示装置に用いられるレーザ光源装置の劣化を判定する劣化判定方法であって、
前記レーザ光源装置を駆動させるための電力を供給する駆動回路と、
前記画像フレームデータの表示に必要な光量である目標光量を取得し、
前記レーザ光源装置の出力光量を取得し、
前記出力光量が前記目標光量となるように、前記レーザ光源装置を駆動させるための電力を供給する駆動回路を制御する制御手段と、
前記制御時の少なくとも異なる二つの目標光量に対する前記駆動回路の駆動条件を用いて、前記レーザ光源装置の劣化を判定する、劣化判定方法。
【請求項13】
レーザ光源装置を用いて映像を表示する映像表示装置が実行する制御方法であって、
前記レーザ光源装置の劣化状態に応じた前記レーザ光源装置が出力可能な最大光量を取得し、
画像生成装置から前記複数の画像フレームデータを取得し、
前記取得した最大光量を用いて前記画像フレームデータの表示に必要な光量である目標光量を算出し、
前記算出された目標光量を用いて、前記レーザ光源装置の出力を制御する、制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−145586(P2009−145586A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322266(P2007−322266)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】