説明

レーザ加工装置用パレット、およびレーザ加工装置

【課題】 本発明は、真空容器内の透明窓部の曇りをなくしてレーザ加工性能を低下させることのない、小型化・簡素化されたメンテナンスの容易なレーザ加工装置とレーザ加工装置用のパレットを提供する。
【解決手段】 ワークの上部からレーザビームを照射することでレーザ加工する装置があり、当該レーザ加工する装置は透明窓部を有する真空容器2と、真空容器内の加工部22と、真空容器外のレーザ源1とを有しており、前記レーザ源から前記透明窓部21を介して前記真空容器内の加工部に配置したワークに対してレーザビームを照射してなり、前記真空容器内の加工部に対して、前記ワークを複数個収納した状態で位置決め固定するレーザ加工装置用パレット3において、前記パレット3のワーク収納部の上面には着脱構造の透明板4が設けられてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置用のパレットとそのパレットを用いたレーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、圧電振動板などの電子部品素子が収納されたパッケージをレーザビームにより照射することで気密封止してなるレーザビーム封止装置などのレーザ加工装置では、内部雰囲気を真空状態に維持するとともに石英ガラスなどの透明窓部を有する容器(真空チャンバー等)と、容器内の加工部と、容器外のレーザ源とを有しており、前記レーザ源から前記透明窓部を介して前記容器内の加工部に配置したパッケージに対してレーザビームを照射している。なお、石英ガラスは熱膨張係数も小さく、透明度が高いのでレーザビームのゆがみが生じにくく、レーザ加工装置の窓部材として近年よく利用されている。
【0003】
この際、加工対象物であるパッケージのレーザ照射部分では、パッケージ材料の一部が溶融して噴出物や蒸気が発生するため、前記容器内に飛散しパッケージの上部やパッケージ周囲の容器内部の表面に付着することがあった。特に前記レーザ源は容器の外部に配置されているので、これらの飛散物が付着することがないが、前記透明窓部ではこれらの飛散物が付着することがあった。つまりレーザビームの加工処理中に前記飛散物の付着により前記透明窓部に曇りが発生してレーザビームの透過率を低下させ、結果として安定したレーザビームの照射が行えずにレーザ加工性能を極端に低下させてしまうという問題点があった。このような飛散物の悪影響は真空雰囲気の容器内部でレーザ加工する場合により顕著に現れやすい。また真空雰囲気の容器における前記透明窓部に使用される部材は真空と大気圧の圧力差に耐えられるだけの厚いものが用いられており、容器からの取り外しや取り付けも簡単に行えるものでなく、洗浄にも不向きなものであった。また金額も高価であるので容器からの取り外しや取り付け、および洗浄などの際に破損することを避けることが望ましい。
【特許文献1】特開昭59−92192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで上記特許文献1では、前記真空容器内に窓部とレーザ加工対象物の間に可動構造の透明板を配置することで、前記透明窓部に飛散物が付着する前に透明板に付着させ、当該透明板の飛散物が付着していない部分に可動させることでレーザビームの透過率を低下させることなく、レーザ加工性能を維持する提案がなされている。
【0005】
しかしながら、特許文献1のレーザ加工装置では、透明板を容器内で稼動させる機構を設けるため、レーザ加工装置の全体として複雑化・大型化することが否めず、当該レーザ加工装置の保守メンテナンスもコスト高となる。
【0006】
また生産効率を向上させるために複数のワークをパレットなどにより同時投入する場合、レーザ加工の途中で可動構造の透明板が全て曇ってしまうと、前記パレットを取り出して容器内の透明板を洗浄する必要があるので、パレットに格納されるワークの数量を少なめに配置されたものを用いざるを得ない。結果としてレーザ加工する生産効率の低下を招いていた。
【0007】
さらに容器内に可動構造の透明板を配置する関係で、当該透明板からワークまでの距離もある程度離して形成する必要があるため、飛散物の前記透明板への付着効率も低下してしまう。特に一部付着しきれていない飛散物が前記透明板とワークの間で漂い、ワークに再付着することでワークの外観や性能に悪影響を与える危険性もあった。
【0008】
本発明は、容器内の透明窓部の曇りをなくしてレーザ加工性能を低下させることのない、小型化・簡素化されたメンテナンスの容易なレーザ加工装置を実現するためのレーザ加工装置用のパレットとこのパレットを用いたレーザ加工装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明のレーザ加工装置用のパレットは、請求項1に示すように、透明窓部を有する容器と、当該容器内でワークを配置する加工部と、当該容器外から透明窓部を介してワークにレーザビームを照射するレーザ源とを有するレーザ加工装置の前記加工部にワークを複数個収納した状態で位置決め固定するレーザ加工装置用パレットにおいて、前記パレットのワーク収納部の上面には着脱構造の透明板が設けられてなることを特徴とする。
【0010】
上記構成により、前記パレットのワーク収納部の上面には着脱構造の透明板が設けられているので、ワークの上面に近接した状態で透明板を配置することができ、飛散物の透明板への付着効率を高めることができる。特にワークの真上の部分に位置する透明板に対して付着する飛散物の密度を高めることができ、隣接するワークの上面部分に飛散物が付着するのが抑制されるので、パレット内のワークをレーザ加工によってお互いに隣接するワーク上面の透明板に対して曇りが生じるのが抑えられる。つまり1つのワークに対してレーザ加工によって生じる透明板の曇りの領域が小さくなり、隣接するワーク間の配置寸法も縮小することができるため、1つのパレットにおけるワークの収納密度を向上させることができる。また透明板とワークの間で飛散物が漂い、ワークに再付着する危険性もより一層抑制することができる。従ってレーザ加工装置のレーザ加工性能を低下させることなく極めて安定した状態でワークに対するレーザ加工が行えるとともに、ワークの外観や性能に対して飛散物の再付着による悪影響も飛躍的に抑制できるものである。
【0011】
このように効果的に飛散物の除去が行える透明板一体型のパレットは、パレットを入れ替えながら、レーザ加工装置の稼働を止めることなく、パレットに収納された全てのワークのレーザ加工が完了すると同時にレーザ加工装置の容器から取り出すことができる。取り出された透明板一体型のパレットの透明板のみを取り外して洗浄することで、再度パレットに取り付けて利用することができる。透明板が破損すれば透明板を取り替えることも極めて簡単に行える。従って保守メンテナンスも容易なものとなり、パレット単位でのワークに対するレーザ加工処理数量(生産処理数量)を増大させることができるので、生産効率と生産性の高い極めて実用的なレーザ加工装置が得られる。
【0012】
また、レーザ加工装置としては、前記ワークが電子部品素子を搭載したベースの開口部に対して蓋を配置した電子部品用パッケージであり、前記レーザ加工する装置が前記電子部品用パッケージの蓋の上部からレーザビームを照射することにより所定の雰囲気中(真空雰囲気や窒素などの不活性ガス雰囲気)で気密封止するためのレーザビーム封止装置であることがより望ましい。レーザビーム封止装置に本発明のパレットを適用することで、電子部品用パッケージの蓋の上面に近接した状態で透明板を配置することができ、飛散物の透明板への付着効率を高めることができる。特に電子部品用パッケージの蓋の真上の部分に位置する透明板に対して付着する飛散物の密度を高めることができ、隣接する電子部品用パッケージの上面部分に飛散物が付着するのが抑制されるので、パレット内の電子部品用パッケージの蓋をレーザビーム封止することによってお互いに隣接する電子部品用パッケージの上面部分に対応する透明板の領域に対して曇りが生じるのが抑えられる。つまり1つの電子部品用パッケージに対してレーザビーム封止によって生じる透明板の曇りの領域が小さくなり、隣接する電子部品用パッケージ間の配置寸法も縮小することができるため、1つのパレットにおける電子部品用パッケージの収納密度を向上させることができる。また透明板と電子部品用パッケージの間で飛散物が漂い、電子部品用パッケージの蓋体に飛散物が再付着したり、未封止の電子部品用パッケージ内部に飛散物が侵入する危険性もより一層抑制することができる。従ってレーザビーム封止装置の封止性能を低下させることなく極めて安定した状態で気密封止が行えるとともに、電子部品用パッケージへの飛散物の再付着による外観不良の発生や、電子部品用パッケージ内部への飛散物の侵入による電子部品素子の電気的特性の劣化や悪影響も飛躍的に抑制できるものである。特に真空雰囲気中では飛散物の拡散がより生じやすく、真空雰囲気中で気密封止を行う電子部品では飛散物が電子部品用パッケージ内部に飛散物が残存したり、電子部品素子に対して飛散物が付着すると、電気的特性に著しく劣化を招きやすくなるのでこれらの悪影響をより効果的に抑制できるものである。
【0013】
また、請求項2に示すように、上述の構成のレーザ加工装置用パレットを用いたレーザ加工装置であることを特徴とする。
【0014】
このようなレーザ加工装置用のパレットを用いたレーザ加工装置では、従来のように透明板を容器内で稼動させる機構を設ける必要ないため、レーザ加工装置の全体として簡素化・小型化することでき、レーザ加工装置の保守メンテナンスなものとなり、より安価で実用的なものを提供できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、容器内の透明窓部の曇りをなくしてレーザ加工性能を低下させることのない、小型化・簡素化されたメンテナンスの容易なレーザ加工装置を実現するためのレーザ加工装置用のパレットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明によるレーザ加工装置の実施形態では、レーザ加工対象のワークとして圧電振動板などの電子部品素子が収納されたベースと蓋からなる電子部品用パッケージを例にし、かつ当該電子部品用パッケージをレーザビーム溶接することで気密封止してなるレーザビーム封止装置とそのレーザビーム封止装置に用いられ前記電子部品用パッケージを複数個収納してなるパレットを例にとり、図面とともに説明する。図1は本発明の実施形態によるレーザビーム封止装置の模式的な断面図であり、図2は本発明のレーザビーム封止装置用パレットを示した断面図である。図3は本発明のレーザビーム封止装置用パレットを用いた工程を示す図である。
【0017】
本発明のレーザビーム封止装置(レーザ加工装置)は、図1に示すようにレーザビームの発光部分となるレーザ源1と、真空雰囲気中でレーザビームによる電子部品用パッケージPの気密封止を行う真空チャンバー(容器)2と、電子部品用パッケージを収納しながら前記真空チャンバー2内に位置決め固定して配備されるパレット3とから構成されている。
【0018】
電子部品用パッケージに使用されるレーザビーム封止装置のレーザ源1としては、連続発振出力することができるファイバーレーザを用いたものが近年利用されるようになっている。そこでレーザ源1としては例えばファイバーレーザを用いた。なお、これは封止装置として好適な例であり、他のレーザ加工に応じて適宜ふさわしいものを選択することができる。例えばYAGレーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザなどであってもよい。
【0019】
真空チャンバー2は、レーザビームを外部から入射する透明窓部21と、真空チャンバー内の加工台22(加工部)とを有している。この真空チャンバー2には図示しない真空ポンプが接続されており、レーザビームによる封止工程(レーザ加工)が行われる前に真空ポンプが駆動されることにより、この真空チャンバー2の内部空間が真空引きされるようになっている。透明窓部21としては真空と大気圧の圧力差に耐えられるだけの厚いものが用いられており、熱膨張係数も小さく、透明度が高い石英ガラスなどが好ましい。加工台22にはワークとしての電子部品素子Sが収納されたベースBと蓋Lからなる電子部品用パッケージPが複数収納された後述するパレット3が配置され、各パッケージに対してレーザビームを照射して気密封止が実施される領域である。
【0020】
パレット3は、ステンレス等の材料からなり電子部品用パッケージPをマトリックス状に複数位置決め収納しながら前記真空チャンバー2内の加工台22に配備され位置決め固定される。当該パレット3に収納される電子部品用パッケージPは、電子部品素子Sが収納されたセラミックなど絶縁材料からなるベースBと金属性の蓋LからなりベースBと蓋Lの間には図示しない封止用ろう材が介在した構成となっている。前記パレット3の具体的な構成は、図2に示すように、平板のパレットベース板31と、電子部品用パッケージの配置を定めながら収納する複数の収納部322がマトリックス状に形成されたパレットガイド板32とからなる。またパレット3の上部には、パレットのガイド板と平面が同形状同面積に構成された透明板4がパッケージの上面部分に支持部33を介して近接した状態で配置されており、透明板4のみが支持部33から容易に着脱できるように構成されている。透明板4の材料としては、石英ガラスなどの熱膨張係数も小さく、透明度が高いものが好ましい。これらの材料に限らず、他のガラス材料や樹脂材料や水晶などレーザビームが透過できるものであれば得に限定されるものではない。なお、透明板4のパレット側の主面には飛散物を捕捉できる透明の粘着膜などを形成してもよい。
【0021】
以上のように構成されたレーザビーム封止装置とそのレーザビーム封止装置に用いられ前記電子部品用パッケージPを複数個収納してなるパレット3を用いたレーザビームによる封止工程(レーザ加工)について図3とともに説明する。
【0022】
ベースBには圧電振動板などの電子部品素子Sが図示しない導電性接合材を介して電気機械的に接合されており、蓋Lの封止面には図示しない封止用ろう材が形成されている。前記パレット3にマトリックス状に形成された各収納部322に対して前記電子部品素子Sが搭載された複数個のベースBを収納し、前記蓋Lを図示しないトレイ上にパレットの各収納部に対応してマトリックス状に複数個配する。これらパレット3上の電子部品用パッケージPとトレイ上の蓋Lとをそれぞれに個別対向させて配することで、蓋Lの封止材にベースBの接合部が接した状態となり、図3(a)に示すように蓋LとベースBとがそれぞれ対向配置された電子部品用パッケージPがパレット3の収納部322にマトリックス状に配置される。また図3(b)に示すようにこの状態のパレット3の収納部322の上部で支持部33に対して洗浄済みの曇りのない前記透明板4が取り付けられる。
【0023】
次に、このように電子部品用パッケージが収納されたパレット3は真空チャンバー2の加工台22に搬入され位置決め固定される。加工台22に対してパレット3が搬入されると、前記真空ポンプが駆動して真空チャンバー2の内部雰囲気を真空状態にし、加工台22上部のパレット3に収納された各電子部品用パッケージの蓋Lに対して透明板4を介してレーザビームを照射する。これにより蓋に形成された封止用ろう材が溶融してベースと接合し電子部品用パッケージ内部も真空雰囲気の状態で気密封止が行われる。その一方で図3(c)に示すようにパレットの透明板4には封止加工時にレーザビーム照射により溶融した蓋材等の飛散物を付着させることができる。
【0024】
以上のようにパレット3に収納された全ての電子部品用パッケージの気密封止が完了すると、前記真空ポンプが駆動して真空チャンバー2の内部雰囲気を大気状態にもどし、パレット3が真空チャンバー2外部へ搬出される。また図3(d)に示すようにパレット3上部の支持部33から透明板4を取り外して洗浄を実施するとともに、図3(e)に示すようにパレット3の各収納部322から気密封止の完了した電子部品用パッケージPも取り出される。その後上記工程と同様に、図3(a)に示すような未封止の電子部品用パッケージPがパレットの収納部に収納されるとともに、図3(b)に示すように洗浄が完了した透明板4をパレット3の支持部33に取り付けられ、以下の工程についても同様に繰り返される。なお、上述のように真空雰囲気内でレーザビーム封止する装置では、パレット3をコンベアベルトなどの搬送手段を用いて真空チャンバー2の内部へ搬入し、同じ搬送手段を用いて真空チャンバー2の外部や搬出するように構成してもよい。すなわち真空チャンバー2には前室と加工台が配置された本室と後室が設けられ、真空チャンバー2の外部から前室へ、前室から本室へ、本室から後室へ、後室から真空チャンバー2の外部へと搬送手段で移動しながら搬入あるいは搬出される。
【0025】
上記実施形態のような透明板4が電子部品用パッケージPの収納部322の上面に形成されたパレット3を用いることで、電子部品用パッケージPの蓋Lの上面に近接した状態で透明板4を配置することができ、飛散物の透明板4への付着効率を高めることができる。特に電子部品用パッケージPの蓋Lのレーザビームの照射時に発生した蓋材料等の飛散物が蓋Lの真上の部分に位置する透明板4に対して高密度で付着させることができる。このため、図3(c)に示すように隣接する電子部品用パッケージPの上面部分に飛散物が付着するのが抑制されるので、パレット3内の電子部品用パッケージPの蓋Lをレーザビーム封止することによってお互いに隣接する電子部品用パッケージPの上面部分に対応する透明板4の領域に対して曇りが生じるのが抑えられる。つまり1つの電子部品用パッケージPに対してレーザビーム封止によって生じる透明板4の曇りの領域が小さくなり、隣接する電子部品用パッケージP間の配置寸法も縮小することができるため、1つのパレット3における電子部品用パッケージPの収納密度を向上させることができる。また透明板4と電子部品用パッケージPの間で飛散物が漂い、電子部品用パッケージPの蓋体Lに飛散物が再付着したり、未封止の電子部品用パッケージPの内部に飛散物が侵入して電子部品素子Sに対して飛散物が付着する危険性もより一層抑制することができる。従ってレーザビーム封止装置(レーザ加工装置)の封止性能(加工性能)を低下させることなく極めて安定した状態で気密封止(レーザ加工)が行えるとともに、電子部品用パッケージPへの飛散物の再付着による外観不良の発生や、電子部品用パッケージPの内部への飛散物の侵入による電子部品素子Sの電気的特性の劣化や悪影響も飛躍的に抑制できるものである。特に本実施形態のように真空雰囲気中でレーザビーム封止する場合、真空容器内部で飛散物の拡散がより生じやすくなるとともに、真空雰囲気中で気密封止を行う電子部品では飛散物が電子部品用パッケージ内部に飛散物が残存したり、電子部品素子に対して飛散物が付着すると、電気的特性に著しく劣化を招きやすくなるのでこれらの悪影響をより効果的に抑制できるものである。
【0026】
このように効果的に飛散物の除去が行える透明板一体型のパレット3は、図3に示すようにパレット3を入れ替えながら、レーザビーム封止装置(レーザ加工装置)の稼働を止めることなく、パレット3に収納された全ての電子部品パッケージPのレーザビーム封止が完了すると同時にレーザビーム封止装置(レーザ加工装置)の真空チャンバー(真空容器)2から取り出すことができる。図3(d)に示すように取り出された透明板一体型のパレット3の透明板4のみを取り外して洗浄することで、図3(b)に示すように再度パレット3に取り付けて利用することができる。透明板4が破損すれば透明板4を取り替えることも極めて簡単に行える。従って保守メンテナンスも容易なものとなり、パレット3単位での電子部品用パッケージPに対するレーザビーム封止処理数量(生産処理数量)を増大させることができるので、生産効率と生産性の高い極めて実用的なレーザビーム封止装置(レーザ加工装置)が得られる。
【0027】
なお、本実施例では、電子部品素子として圧電振動板を適用した場合を示すが、これに限定されるものではなく、ベースと蓋とが封止材を介して接合され、内部空間に配された(搭載された)電子部品素子が気密封止されている電子部品であれば他の形態であってもよい。また、本発明のパレットは、真空雰囲気中の電子部品用パッケージのレーザビーム封止装置のみならず、窒素などの他の不活性ガス雰囲気中のレーザビーム封止装置にも適用できる。さらに電子部品用パッケージのレーザビーム封止装置だけでなく、レーザビームを用いて電子部品用パッケージあるいは電子部品用パッケージ以外の他のワークに対しても加熱・溶融・切断・溶接するレーザ加工装置にも適用できる。
【0028】
なお、本発明は、その思想または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態によるレーザビーム封止装置の模式的な断面図。
【図2】本発明のレーザビーム封止装置用パレットを示した断面図。
【図3】本発明のレーザビーム封止装置用パレットを用いた工程を示す図。
【符号の説明】
【0030】
1 レーザ源
2 真空チャンバー
3 パレット
4 透明板
P 電子部品用パッケージ(ワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明窓部を有する容器と、当該容器内でワークを配置する加工部と、当該容器外から透明窓部を介してワークにレーザビームを照射するレーザ源とを有するレーザ加工装置の前記加工部にワークを複数個収納した状態で位置決め固定するレーザ加工装置用パレットにおいて、
前記パレットのワーク収納部の上面には着脱構造の透明板が設けられてなることを特徴とするレーザ加工装置用パレット。
【請求項2】
特許請求項1記載のレーザ加工装置用パレットを用いたレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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