説明

レーザ加工装置

【課題】 被加工物を支持プレートに吸着させながら被加工物にレーザ光を照射して貫通穴を形成する場合に被加工物を支持プレートに確実に吸着させる。
【解決手段】 被加工物が載置される支持プレート20の、被加工物が支持プレート20上に載置された状態でレーザ照射手段10によってレーザ光が照射される領域に吸引穴21を形成するとともに、この吸引穴21に隣接し、被加工物が支持プレート20上に載置された状態でレーザ照射手段10によってレーザ光が照射されない領域に吸引補助穴22を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物にレーザ光によって貫通穴を形成するレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙やフィルム等の被加工物に微細な貫通穴を形成する場合、レーザ光を被加工物に照射する方法が利用されている。このようなレーザ光を用いた加工においては、被加工物に貫通穴を機械的に形成する場合と比べて精細な制御が可能であるため、微細な貫通穴を形成する場合に適している。
【0003】
ところが、このようにレーザ光を被加工物に照射することにより貫通穴を形成する場合、被加工物が載置された支持プレートの貫通穴に対向する部分の表面がレーザ光によって昇華し、この昇華した物質の一部が被加工物に付着し、被加工物に汚れが生じて品質が低下してしまう。
【0004】
ここで、被加工物が載置される支持プレートのレーザ光が照射される部分に貫通穴を形成しておき、それにより、被加工物をレーザ光によって加工した場合に支持プレートが昇華することを回避できるレーザ加工装置が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。また、この特許文献1には、支持プレートの下部から支持プレートに形成された貫通穴を介して被加工物を吸引し、それにより、被加工物が支持プレートから浮いて被加工物に所望の貫通穴を形成することができなくなってしまうことを回避する技術が記載されている。
【0005】
ところが、この特許文献1に記載されたレーザ加工装置においては、被加工物が載置される支持プレートのレーザ光が照射される部分に貫通穴が形成されているため、被加工物をレーザ光によって加工した場合に支持プレートが昇華することを回避できるものの、支持プレートに形成された貫通穴に、被加工物の加工によって生じた加工くずが蓄積し、量産加工時に貫通穴が塞がれてしまう虞れがある。
【0006】
そこで、上記構成に加えて、支持プレートのレーザ光が照射されない領域にも貫通穴を形成しておき、この貫通穴を介しても被加工物を吸引するレーザ加工装置が考えられている(例えば、特許文献2参照。)。このレーザ加工装置においては、被加工物が載置される支持プレートのレーザ光が照射される部分、すなわち、被加工物の貫通穴に対向する部分と、支持プレートのレーザ光が照射されない部分とに貫通穴が形成されており、それにより、支持プレートのレーザ光が照射される部分に形成された貫通穴が被加工物の加工くずによって塞がれた場合であっても、被加工物を支持プレートに吸着させることができる。ここで、この特許文献2に記載されたレーザ加工装置においては、これら支持プレートのレーザ光が照射される部分に形成された貫通穴と、支持プレートのレーザ光が照射されない部分に形成された貫通穴とでは、異なる吸引手段によって被加工物が吸引される。そのため、支持プレートのレーザ光が照射されない部分に形成された貫通穴は、支持プレートのレーザ光が照射される部分に形成された複数の貫通穴を取り囲むように形成されることになる。また、支持プレートについて、被加工物に対する複数種類の加工パターンに応じた位置に貫通穴がそれぞれ形成されており、それにより、加工パターン毎に、実際にはレーザ光が照射されない貫通穴を介して被加工物が吸引されることになる。
【0007】
また、上述したような支持プレートを厚さ方向に空気を通す多孔質部材から構成し、それにより、支持プレートにおける被加工物の吸引領域と非吸引領域とで凹凸が生じてしまうことを回避することができるレーザ加工装置が考えられている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開平11−58061号公報
【特許文献2】特開2003−71585号公報
【特許文献3】特開2000−202675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献2に記載されたレーザ加工装置においては、支持プレートのレーザ光が照射されない部分に形成された貫通穴が、支持プレートのレーザ光が照射される部分に形成された複数の貫通穴を取り囲むように形成されているため、支持プレートのレーザ光が照射される部分に形成された複数の貫通穴の数あるいは間隔によっては、支持プレートのレーザ光が照射されない部分に形成された貫通穴どうしの間隔が離れてしまうことになり、その場合、支持プレートのレーザ光が照射される部分に形成された貫通穴が塞がれて被加工物の吸引力が低下してもそれを補うほどの吸引力を生じさせることができるとは言いがたい。また、被加工物に対する複数種類の加工パターンに応じた位置に貫通穴がそれぞれ形成されているため、加工パターン毎に、実際にはレーザ光が照射されない貫通穴を介して被加工物を吸引することができるが、これらの貫通穴の間隔は、被加工物の吸引力の低下を補うために設定されているわけではないため、実際にはレーザ光が照射されない貫通穴とレーザ光が照射される貫通穴との間隔が離れている場合があり、そのため、支持プレートのレーザ光が照射される部分に形成された貫通穴が塞がれて被加工物の吸引力が低下してもそれを補うほどの吸引力を生じさせることができるとは言いがたい。また、その貫通穴も加工パターンによってはレーザ光が照射されることになるため、被加工物の加工くずによって塞がれてしまう虞れがある。
【0009】
また、上述した特許文献3に記載されたレーザ加工装置においては、支持プレートが多孔質部材から構成されているが、多孔質部材は網目状に形成されているため、厚さ方向、すなわち被加工物の吸引方向において、被加工物の加工くずが詰まりやすいという問題点がある。
【0010】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、被加工物を支持プレートに吸着させながら被加工物にレーザ光を照射して貫通穴を形成する場合に被加工物を支持プレートに確実に吸着させることができるレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、
被加工物が載置される支持プレートと、前記支持プレートに載置された被加工物にレーザ光を照射するレーザ照射手段と、前記支持プレート上に載置された被加工物を、前記支持プレートに形成された貫通穴部を介して吸引する吸引手段とを有し、前記支持プレートに載置された被加工物に前記レーザ照射手段からレーザ光を照射することにより当該被加工物に加工を行うレーザ加工装置において、
前記貫通穴部は、
前記被加工物が前記支持プレート上に載置された状態で前記レーザ照射手段によってレーザ光が照射される領域に形成された吸引穴と、
該吸引穴に隣接し、前記被加工物が前記支持プレート上に載置された状態で前記レーザ照射手段によってレーザ光が照射されない領域に形成された吸引補助穴とから構成されることを特徴とする。
【0012】
上記のように構成された本発明においては、被加工物が支持プレート上に載置された状態でレーザ照射手段からレーザ光が照射されることによって被加工物に加工が行われる。その際、被加工物は、支持プレートに形成された吸引穴と吸引補助穴とから構成される貫通穴部を介して吸引手段によって吸引され、それにより、支持プレートに吸着され、所望の貫通穴が形成されることになる。この貫通穴部のうち吸引穴は、被加工物が支持プレート上に載置された状態でレーザ照射手段によってレーザ光が照射される領域に形成されている。そのため、被加工物がレーザ光によって加工される際に支持プレートの対向する部分が昇華されることが回避されている。また、この吸引穴を介して被加工物が吸引手段によって吸引されているが、吸引穴は、被加工物の加工によって生じた加工くずが蓄積して塞がれてしまう場合があり、その場合、被加工物が支持プレートから浮いて被加工物に所望の貫通穴を形成することができなくなってしまうことになる。そこで、本願発明においては吸引穴に隣接した領域に吸引補助穴が形成されている。この吸引補助穴は、被加工物が支持プレート上に載置された状態でレーザ照射手段によってレーザ光が照射されない領域に形成されているので、被加工物の加工によって生じた加工くずが蓄積することはなく、かつ、吸引穴に隣接して形成されているので、吸引穴が被加工物の加工によって生じた加工くずが蓄積して塞がれてしまった場合であっても、被加工物のレーザ光による加工部分が支持プレートに吸着され、被加工物に所望の貫通穴を形成することができる。
【0013】
また、貫通穴部は、被加工物に対するレーザ照射手段によるレーザ光の照射位置データを用いてレーザ照射手段からレーザ光が照射されることによって形成されていることが考えられる。この場合、貫通穴部のうち吸引穴は、被加工物が支持プレート上に載置された状態でレーザ照射手段によってレーザ光が照射される領域に形成されるため、被加工物に対するレーザ照射手段によるレーザ光の照射位置データをそのまま用い、また、貫通穴部のうち吸引補助穴は、吸引穴に隣接した領域に形成されるため、被加工物に対するレーザ照射手段によるレーザ光の照射位置に対して所定量だけオフセットした位置にレーザ照射手段からレーザ光を照射して形成することになる。
【0014】
また、貫通穴部の閉塞状態を検知する検知手段を設けた場合は、貫通穴部が被加工物の加工くずによって塞がれた場合、その旨が検知されることになる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明においては、被加工物が載置される支持プレートに形成された貫通穴部が、被加工物が支持プレート上に載置された状態でレーザ照射手段によってレーザ光が照射される領域に形成された吸引穴と、この吸引穴に隣接し、被加工物が支持プレート上に載置された状態でレーザ照射手段によってレーザ光が照射されない領域に形成された吸引補助穴とから構成され、被加工物がこの貫通穴部を介して吸引されることによって支持プレートに吸着される構成としたため、被加工物を加工することにより生じた加工くずによって吸引穴が塞がれた場合であっても、被加工物を支持プレートに確実に吸着させることができる。
【0016】
また、貫通穴部が、被加工物に対するレーザ照射手段によるレーザ光の照射位置データを用いてレーザ照射手段からレーザ光が照射されることによって形成されているものにおいては、貫通穴部を支持プレートに形成するために新たなデータを入力あるいは作成する必要がない。
【0017】
また、貫通穴部の閉塞状態を検知する検知手段を有するものにおいては、貫通穴部が被加工物の加工くずによって塞がれた場合、その旨を検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明のレーザ加工装置の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は装置全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した支持プレート20の構造を説明するための上面図である。
【0020】
本形態は図1に示すように、X−Y方向に移動可能に構成されたテーブル30上に、紙やフィルム等の被加工物が載置される支持プレート20が搭載され、さらに、この支持プレート20上に載置された被加工物にレーザ光を照射するためのレーザ発振器11、ミラー12及び集光レンズ13からなるレーザ照射手段10と、テーブル30に形成された空間31に対して連通部32を介して連通し、テーブル30上に搭載された支持プレート20を吸引する吸引部40とが設けられて構成されている。また、テーブル30に設けられた空間31には、空間31内の圧力を計測する検知手段となる圧力センサ50が設けられている。
【0021】
また、支持プレート20には、被加工物が載置された状態で、レーザ照射手段10によってレーザ光が照射される複数の領域にそれぞれ、支持プレート20の表裏を貫通した吸引穴21が形成されているとともに、この複数の吸引穴21のそれぞれに隣接した領域に、支持プレート20の表裏を貫通した吸引補助穴22が4つずつ形成されている。すなわち、この吸引補助穴22は、被加工物が載置された状態でレーザ照射手段10によってレーザ光が照射されない領域に形成されている。このように、支持プレート20に、吸引穴21と吸引補助穴22とからなる貫通穴部が形成されていることにより、この支持プレート20がテーブル30上に搭載され、さらに支持プレート20上に被加工物が載置された場合、支持プレート20上に載置された被加工物は、吸引穴21と吸引補助穴22とからなる貫通穴部を介して吸引部40によって吸引され、それにより、支持プレート20に吸着することになる。なお、1つの吸引穴21に対する吸引補助穴22の数については、4つに限らず1つ以上であればよい。
【0022】
ここで、支持プレート20においては、載置されたフィルム60のレーザ照射による加工位置に応じて吸引穴21及び吸引補助穴22が形成されているが、以下に、その吸引穴21及び吸引補助穴22の形成方法について説明する。
【0023】
まず、支持プレート20に被加工物が載置されていない状態において、被加工物の加工データ、すなわち、レーザ照射手段10によるレーザ光の照射位置データに基づいて吸引穴21を形成する。具体的には、被加工物が載置されていない状態において、テーブル30を被加工物の加工データに基づいてX−Y方向に移動させ、支持プレート20上に被加工物が載置された場合にこの被加工物にレーザ光が照射される領域にレーザ照射手段10からレーザ光を照射し、それにより、被加工物の加工位置に対向する領域に吸引穴21を形成する。
【0024】
次に、この吸引穴21の形成位置、すなわち、吸引穴21を形成するために支持プレート20にレーザ光を照射した位置に対して、所定のオフセット量を与え、そのオフセット量に基づいて支持プレート20をX−Y方向にそれぞれ移動させてレーザ光を照射し、吸引穴21のそれぞれに隣接する領域に4つずつの吸引補助穴22を形成する。この際、吸引補助穴22の径は吸引穴21の径以下であることが好ましい。そのため、吸引穴21を形成したレーザ照射手段10を用いてその出力や焦点距離を変えることにより、吸引補助穴22と吸引穴21との径を異ならせることや、吸引穴21を形成したレーザ照射手段10とは異なるレーザ照射手段を用いて吸引補助穴22を形成することが考えられる。なお、吸引穴21及び吸引補助穴22の径としては、0.01mm〜1mm程度であることが好ましく、また、形状は円形に限らず、楕円形や多角形であってもよい。また、オフセット量については、0.1mm〜50mm程度が好ましく、さらには0.5mm〜5mmであるとより効果的である。また、支持プレート20としては、例えば、厚さ5mm程度のアクリル等からなるものが考えられる。
【0025】
このように、支持プレート20に形成される吸引穴21及び吸引補助穴22をレーザ光を用いて形成することにより、支持プレート20に直線的に、かつ微細な吸引穴21及び吸引補助穴22を形成することができる。
【0026】
このようにして、支持プレート20に吸引穴21及び吸引補助穴22が形成されることになるが、上述したように被加工物の加工データを用いて吸引穴21及び吸引補助穴22を形成することにより、支持プレート20に吸引穴21及び吸引補助穴22を形成するための新たなデータを入力あるいは作成する必要がなく、また、その後に支持プレート20上に被加工物を載置した際に、吸引穴21と被加工物の加工位置との位置合わせを行う必要がなくなる。なお、上述したように、被加工物の加工データを用いずに、支持プレート20に吸引穴21及び吸引補助穴22を形成するための新たなデータを入力あるいは作成する方法を適用してもよい。
【0027】
以下に、上記のように構成されたレーザ加工装置における被加工物の加工動作時の作用について説明する。
【0028】
図2は、図1に示したレーザ加工装置における被加工物の加工動作時の作用を説明するための図であり、(a)は支持プレート20の吸引穴21が加工くずによって塞がれていない状態を示す図、(b)は支持プレート20の吸引穴21が加工くずによって塞がれている状態を示す図である。
【0029】
図1に示したレーザ加工装置を用いて被加工物を加工する場合は、図2に示すように、支持プレート20上に被加工物となるフィルム60を載置し、この状態にて吸引部40を駆動させる。すると、吸引部40による吸引作用が支持プレート20に形成された吸引穴21及び吸引補助穴22に働き、それにより、支持プレート20上に載置されたフィルム60が支持プレート20に吸着する。この際、吸引穴21の径が大きいとフィルム60の吸引穴21に対向する部分が吸引穴21内に吸引されてその部分が窪んでしまう。レーザ照射手段10の集光レンズ13とフィルム60表面との間の距離は、フィルム60の加工形状に応じて、レーザ照射手段10から照射されるレーザ光14がフィルム60表面にて集光するように、あるいは所定の位置にて集光するように設定されているため、フィルム60が窪んでレーザ照射手段10の集光レンズ13とフィルム60表面との間の距離が変化してしまうと、フィルム60に所望の加工を行うことができなくなってしまう。そのため、吸引穴21の径は、フィルム60にレーザ光によって形成される貫通穴の径よりも若干大きくなる程度が好ましい。また、吸引補助穴22においても、吸引穴21と同様にその径が大きいとフィルム60の吸引補助穴22に対向する部分が吸引補助穴22内に吸引されてその部分が窪んでしまい、フィルム60の吸引穴21に対向する領域にも影響が及んでしまうため、その径は吸引穴21の径以下とすることが好ましい。なお、被加工物としては、フィルム60に限らず、紙、樹脂、布、皮革、木材、ゴム、金属等、レーザ加工が可能なものであれば適用することができる。
【0030】
この状態にてレーザ発振器11から、例えばCO2レーザ光14を出力し、このレーザ光14をミラー12にて反射させ、さらに集光レンズ13にて集光してフィルム60上に照射すると、フィルム60のレーザ光14が照射された領域、すなわち、吸引穴21と対向する領域が昇華して貫通穴が形成される。
【0031】
この際、フィルム60が昇華されていくと加工くずが生じるが、この加工くずのほとんどは、フィルム60の上部に別途設けられた集塵機(不図示)により煙(ヒューム)となって吸引され、さらに、フィルム60が貫通することにより、フィルム60の下部にも加工くず61が生じ、この加工くず61は吸引部40による吸引作用によって吸引穴21から吸引されていく。そして、吸引穴21から吸引された加工くず61は吸引穴21の内部に徐々に蓄積され、このままフィルム60に対する加工を続けていくと、図2(b)に示すように、吸引穴21が加工くず61によって塞がれてしまうことになる。
【0032】
ここで、本形態においては、吸引穴21に隣接する領域に吸引補助穴22が形成されている。この吸引補助穴22は、支持プレート20上にフィルム60が載置された状態にてレーザ光14が照射されない領域に形成されているため、フィルム60が加工されることによって生じる加工くず61が蓄積されることはなく、それにより、フィルム60はこの吸引補助穴22を介して吸引部40によって吸引され続けることになる。さらに、この吸引補助穴22は、吸引部40に隣接する領域に形成されているため、吸引穴21が加工くず61によって塞がれた場合であっても、フィルム60の加工が行われる領域の近傍が支持シート20に吸着されているため、その領域が支持プレート20から浮いてしまうことはなく、フィルム60に対する所望の加工を行うことができる。
【0033】
また、テーブル30に形成された空間31は、吸引穴21が加工くず61で塞がれた場合とそうでない場合とで内部の圧力が変化する。そこで、空間31に設けられた圧力センサ50にて空間31の内部の圧力を計測し、吸引穴21の閉塞状態を検知する。圧力センサ50にて計測された圧力の値が所定以上の値となった場合、吸引穴21が塞がれたと判断してアラーム等を出力するように構成すれば、吸引穴21が加工くず61によって塞がれたことが報知され、加工くず61を取り除く等の作業が必要であることが認識されることになる。なお、吸引補助穴22は加工くず61では塞がれる可能性が低いものの、何らかの原因で塞がれてしまう可能性があるため、吸引穴21及び吸引補助穴22の両方が塞がれた場合における圧力も設定しておき、圧力センサ50にて計測された圧力がこの圧力を超えた場合に、吸引穴21及び吸引補助穴22の両方が塞がれた旨を報知する構成とすることも考えられる。
【0034】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明のレーザ加工装置の第2の実施の形態を示す図である。
【0035】
本形態は図3に示すように、図1に示したものと比べて、支持プレート20が搭載されるテーブル30の空間31に内部の圧力を計測する圧力センサ50が設けられておらず、検知手段として、テーブル30の空間31内に、発光部51とこの発光部51にて発光した光を受光する受光センサ52とをそれぞれ支持プレート20に近接するように設け、この受光センサ52における受光状態に応じて吸引穴21の閉塞状態を検知する点のみが異なるものである。
【0036】
図4は、図3に示したレーザ加工装置における被加工物の加工動作時の作用を説明するための図であり、(a)は支持プレート20の吸引穴21が加工くずによって塞がれていない状態を示す図、(b)は支持プレート20の吸引穴21が加工くずによって塞がれている状態を示す図である。
【0037】
図3に示したレーザ加工装置において、支持プレート20の吸引穴21が加工くずによって塞がれていない場合は図4(a)に示すように、支持プレート20のフィルム60が載置された面とは反対側の面には突起物が存在しないため、テーブル30の空間31に設けられた発光部51にて発光した光がそのまま受光センサ52にて受光される。
【0038】
一方、図3に示したレーザ加工装置において、支持プレート20の吸引穴21が加工くずによって塞がれている場合は図4(b)に示すように、支持プレート20のフィルム60が載置された面とは反対側の面において、吸引穴21に蓄積した加工くず61が突出し、それにより、テーブル30の空間31に設けられた発光部51にて発光した光はこの突出した加工くず61によって遮られ、受光センサ52にて受光されない。
【0039】
そこで、発光部51にて発光した光が受光センサ52にて受光されない場合、吸引穴21が塞がれたと判断してアラーム等を出力するように構成すれば、吸引穴21が加工くず61によって塞がれたことが報知され、加工くず61を取り除く等の作業が必要であることが認識されることになる。
【0040】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明のレーザ加工装置の第3の実施の形態を示す図である。
【0041】
本形態は図5に示すように、図1に示したものと比べて、支持プレート20が搭載されるテーブル30の空間31に内部の圧力を計測する圧力センサ50が設けられておらず、検知手段として、テーブル30の支持プレート20が搭載された面上に、発光部53とこの発光部53にて発光した光を受光する受光センサ54とをそれぞれ支持プレート20に隣接するように、かつ、その発光部分及び受光部分がそれぞれ、支持プレート20上に載置されたフィルム60の表面から若干だけ露出するように設け、この受光センサ54における受光状態に応じて吸引穴21の閉塞状態を検知する点のみが異なるものである。
【0042】
図6は、図5に示したレーザ加工装置における被加工物の加工動作時の作用を説明するための図であり、(a)は支持プレート20の吸引穴21が加工くずによって塞がれていない状態を示す図、(b)は支持プレート20の吸引穴21が加工くずによって塞がれている状態を示す図である。
【0043】
図5に示したレーザ加工装置において、支持プレート20の吸引穴21が加工くずによって塞がれていない場合は図6(a)に示すように、支持プレート20のフィルム60が載置された面には突起物が存在しないため、テーブル30の支持プレート20が搭載された面上に設けられた発光部53にて発光した光がそのまま受光センサ54にて受光される。
【0044】
一方、図5に示したレーザ加工装置において、支持プレート20の吸引穴21が加工くずによって塞がれている場合は図6(b)に示すように、支持プレート20のフィルム60が載置された面において、吸引穴21に蓄積した加工くず61が突出してフィルム60が盛り上がり、それにより、テーブル30の支持プレート20が搭載された面上に設けられた発光部53にて発光した光はこのフィルム60の盛り上がった部分によって遮られ、受光センサ54にて受光されない。
【0045】
そこで、発光部53にて発光した光が受光センサ54にて受光されない場合、吸引穴21が塞がれたと判断してアラーム等を出力するように構成すれば、吸引穴21が加工くず61によって塞がれたことが報知され、加工くず61を取り除く等の作業が必要であることが認識されることになる。
【0046】
なお、本形態においては、発光部53にて発光した光が受光センサ54にて受光されない場合に、吸引穴21が塞がれたと判断しているが、受光センサ54における総受光量の変化に応じて吸引穴21が塞がれているかどうかを判断する構成とすることも考えられる。その場合、受光センサ54としては例えば、キーエンス製 透過型デジタルレーザセンサーLX2(φ1mmのエリアを8μmで判別可能)を使用することが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のレーザ加工装置の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は装置全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した支持プレートの構造を説明するための上面図である。
【図2】図1に示したレーザ加工装置における被加工物の加工動作時の作用を説明するための図であり、(a)は支持プレートの吸引穴が加工くずによって塞がれていない状態を示す図、(b)は支持プレートの吸引穴が加工くずによって塞がれている状態を示す図である。
【図3】本発明のレーザ加工装置の第2の実施の形態を示す図である。
【図4】図3に示したレーザ加工装置における被加工物の加工動作時の作用を説明するための図であり、(a)は支持プレートの吸引穴が加工くずによって塞がれていない状態を示す図、(b)は支持プレートの吸引穴が加工くずによって塞がれている状態を示す図である。
【図5】本発明のレーザ加工装置の第3の実施の形態を示す図である。
【図6】図5に示したレーザ加工装置における被加工物の加工動作時の作用を説明するための図であり、(a)は支持プレートの吸引穴が加工くずによって塞がれていない状態を示す図、(b)は支持プレートの吸引穴が加工くずによって塞がれている状態を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10 レーザ照射手段
11 レーザ発振器
12 ミラー
13 集光レンズ
14 レーザ光
20 支持プレート
21 吸引穴
22 吸引補助穴
30 テーブル
31 空間
32 連通部
40 吸引部
50 圧力センサ
51,53 発光部
52,54 受光センサ
60 フィルム
61 加工くず

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物が載置される支持プレートと、前記支持プレートに載置された被加工物にレーザ光を照射するレーザ照射手段と、前記支持プレート上に載置された被加工物を、前記支持プレートに形成された貫通穴部を介して吸引する吸引手段とを有し、前記支持プレートに載置された被加工物に前記レーザ照射手段からレーザ光を照射することにより当該被加工物に加工を行うレーザ加工装置において、
前記貫通穴部は、
前記被加工物が前記支持プレート上に載置された状態で前記レーザ照射手段によってレーザ光が照射される領域に形成された吸引穴と、
該吸引穴に隣接し、前記被加工物が前記支持プレート上に載置された状態で前記レーザ照射手段によってレーザ光が照射されない領域に形成された吸引補助穴とから構成されることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工装置において、
前記貫通穴部は、前記被加工物に対する前記レーザ照射手段によるレーザ光の照射位置データを用いて前記レーザ照射手段からレーザ光が照射されることによって形成されていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のレーザ加工装置において、
前記貫通穴部の閉塞状態を検知する検知手段を有することを特徴とするレーザ加工装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−263747(P2006−263747A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82382(P2005−82382)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】