説明

レーザ加工装置

【課題】複数のトーチを一斉に動作させて加工やマーキングを行うレーザ加工装置は、定期的にレーザ光の照度とタイミングを測定し、各トーチから発生するレーザ光を補正して均一にして精度の高い加工を行う。
【解決手段】自動制御された複数のミラー22を使用することによって、トーチ10から照射されたレーザ光を屈曲させて本体外側にある照度測定部23とタイミング測定部24に照射することによって、カバーをしたまま安全に測定作業できるようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワーク(加工物)に対してレーザ光を照射することにより、ワークを加工、溶接、切断、エッチング、刻印などするレーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザー光は分子が出す特有の波長の光を往復させ触媒となる分子を励起させて発生する光を増やして照射する。従ってレーザー光は劣化するので定期的にパワー測定する必要がある。更にトーチからレーザー光が発射されるまでに、上記のような工程が必要であり、トーチによってタイミングが異なることがあった。
従来レーザー光のビーム強度分布、パルス幅分布及びパルスタイミング分布の測定方法として特開2000-58949のようなレーザー多段増幅装置のような方法で測定されることが提案されている。
【0003】
図3に基づいて説明する。図3は、従来の色素レーザ多段増幅システムの構成を簡略化して示す図である。図においては、91はパルス発振を行う励起レーザ装置であり、最大100mm程度の大口径ビームを発生する。92は励起レーザ装置91から出射されたレーザ光である。95は出射された励起レーザ光92を複数に分割して後述する複数の光ファイバに入射する光結合装置であり、この光結合装置95は、励起レーザ光92を複数のビームに分割かつ集光する光分割器93、分割かつ集光されたレーザ光94を光ファイバに入射する光ファイバ入射部96を含んでいる。
【0004】
97は光ファイバ入射部96に入射したレーザ光を色素レーザ多段増幅装置98まで伝送する複数の光ファイバ、981は指向性の良いレーザ光を発生する発振器、982〜985は発振器981から出射されるレーザ光を光増幅する4個の増幅器である。982は第1段目の増幅器、983は第2段目の増幅器、984は第3段目の増幅器、985は第4段目の増幅器である。
【0005】
971は光ファイバ97から出射されるレーザ光、972はレーザ光971を発振器981ないしは増幅器982〜985に入射する転写光学系、986は色素レーザ多段増幅装置98より出射された色素レーザ光である。また、902は励起レーザ装置91から出射された励起レーザ光92を集光する集光レンズであり、励起レーザ光92のビーム直径以上の大きさを有する。901は集光レンズ902で集光された励起レーザ光92のビーム強度を検出するパワーメータ等のビーム強度検出器、90はビーム分離器であり、このビーム分離器90は励起レーザ装置91から出射された励起レーザ光92を光結合装置95に向けて透過させると共に、励起レーザ光92の一部を集光レンズ902方向に部分反射する。
【0006】
尚、ビーム分離器904として、ガラス基板にアルミないしは金等の金属を蒸着した金属蒸着ミラーを用いた場合、レーザ光はほぼ反射される。また、ガラス基板に数種の誘電体をその厚さを調整しながら数層蒸着して製作した誘電体多層膜ミラーを用いた場合は、製作条件によりほぼ反射ないしは部分的に反射される。905はビーム分離器904を移動するための光学部品移動用レール、903はビーム分離器90で部分反射されたレーザ光であり、このレーザ光903は反射ビーム強度分布、パルス幅分布およびパルスタイミング分布の測定対象となる。
このような従来例はレーザ光発生装置に使用されており、このようにして照度(ビーム強度)とパルスタイミングを測定して補正することにより、より強いレーザ光を発生することができる。


【0007】
【特許文献1】特願2000-58949
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来例として、光増幅作用を利用して高出力かつ高指向性レーザ光を得るレーザ多段増幅装置に関するもので光分割装置に入射する励起レーザ光の径方向におけるビーム強度分布、パルス幅分布及びパルスタイミング分布を測定する装置を提案した。
【0009】
しかしこのようなビーム強度分布やパルスタイミング分布を測定する方法では、装置全体が大きくなり、複雑な構成を必要とする。
本出願の加工装置のようにプラスチック材等に穴を開けたり、マーキングをする等のレーザ加工装置においては、安価に製作しなくてはならない。更に単純な構成であれば劣悪な環境でも誤作動を防止することができる。
【0010】
トーチ10から照射されるレーザ光は使用頻度の経過と共に照度と照射タイミングが変化してしまう性質を持っている。
そこで現状では、レーザ光を照射するトーチ10の下に携帯式の測定装置を載置してレーザ光を照射して照度とタイミングを測定している。
しかし、レーザ光は誤照射すると大変危険であり、人に照射しないように十分な配慮をしなければならない。従って測定器を配置した後、レーザ照射のたびにレーザ加工機のカバーを閉じて測定作業しなければならず、測定器を載置した位置がずれて正確な測定値を検出できないことがあった。
【0011】
また、トーチ10の数が多くなると、上記カバーを開閉して測定する作業が煩雑で時間がかかり歩留まりを低減する一因になっていた。
均一なレーザ加工をする為には定期的にトーチ10から発せられる レーザ光の照度(ビーム強度)と照射タイミングを測定して制御部で補正しなければならない。
【0012】
加工台に載置されたワークはトーチの下に移動して、制御部2の制御に従って移動しながら、トーチ10の照射と連動して加工される。
そのために、トーチから発せられるレーザのビーム強度(照度)を均一化させて複数のトーチに同一加工させるようにしなければならない。そのためには各トーチがレーザ光を照射するタイミングを均一にすると共に、均一な照度であるか定期的に測定しながら加工作業しなくてはならない。
【0013】
また、トーチ10と加工台21のワーク20はできるだけ近接させてレーザ光を効果的に使用して作業するのが良い。そのためにはトーチ10と加工台21が近接していることが望ましい。
更に、集塵装置なども設置されることがあり、トーチ10の下には測定具が挿入できるような空隙がなく、分解しなければトーチ10のレーザ光を測定できないようなレーザ加工装置も存在する。
そこでレーザ加工装置はトーチ10の下に広い空間を構成しなければならず、装置が大きくなる原因になっていた。


【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで作業範囲内を移動する加工台に載置されたワークをトーチから照射されたレーザ光によって加工する装置であって、前記トーチから照射されたレーザ光を別方向に反射する前記加工台に取り付けられた分光ミラーと、前記分光ミラーで反射されたレーザ光の照度を測定する照度測定部と、前記分光ミラーで反射されたレーザ光が前記トーチから発生されるまでのタイミングを測定するタイミング測定部と、前記加工台と前記トーチと前記分光ミラーと前記照度測定部と前記タイミング測定部を制御する制御部を備え、前記トーチから照射されたレーザ光を、前記加工台を移動することによって前記分光ミラーで前記照度測定部に入射させレーザ光の照度を測定すると共に、前記加工台を移動することによって前記分光ミラーで前記タイミング測定部に入射させ前記トーチから照射されるレーザ光のタイミングを測定するように制御したことを特徴とするレーザ加工装置を提案するものである。
【0015】
そして前記分光ミラーにレーザ光が入射するように第二のミラーを取り付けたことを特徴とするレーザ加工装置を提案するものである。

【発明の効果】
【0016】
本発明は、8本のトーチ10(101〜108)によって加工台21に載置されたワーク20をレーザ光で加工するレーザ加工装置1の加工台21に、トーチ10の下を移動可能に設置された分光ミラー22を取り付けたものである。
図1のようにX方向に移動する加工台21上にY方向に移動する分光ミラー22を取り付けることによって、トーチ10のレーザ光を左右に振り分けて、タイミング測定部24と照度測定部23を照射し、レーザ光の照度とタイミングを測定することができるようになっている。
【0017】
作業台19の上に分光ミラー22を取り付けたのでワーク20の加工の合間に短時間で測定作業ができる。測定結果に基づいてレーザ光を補正することによって、照度とタイミングが均一なレーザ光を得られ、均一な加工をすることができる。
分光ミラー22を作業台19上に設置したので、従来例のような複雑で大きな装置ではなく、コンパクトに測定機構を構成することができる。
【0018】
レーザ加工装置のいままでの照度とタイミングの測定方法は、タイミング測定部24並びに照度測定部23をトーチ10の下に載置して、レーザ光を照射して測定していたので、上板3と下板4の間隔が狭いと、タイミング測定部24と照度測定部23を載置することができず、装置によっては分解しないとトーチ10の測定作業ができなかった。
しかし本発明では測定をレーザ加工装置1の外側に配置したのでレーザ加工装置1の全高(Z方向の高さ)を低く押さえることができる。また、ワーク20とトーチ10との間隙を短くすることができ、レーザ光を低減させず、有効で正確にワーク20を加工することができる。
【0019】
また、安全の為レーザ加工装置1の全体をレーザ光を透過しないカバー(図示しない)で覆って測定しなければならない。なぜならばレーザ光が思いがけない方向に照射することが危惧されるので、測定のたびにカバーを閉じて作業しなければならないが、測定器具が正確にトーチの下に載置されたかが不明で、不安であった。
本発明では分光ミラー22の位置をあらかじめ制御部2に記憶させておくことによってカバーをした状態で測定することができるので安全で短時間で必要なときに測定作業することができる。
【0020】
図1のように場所をとる照度測定部23とタイミング測定部24を上板3と下板4の外側に配することによってレーザ加工装置1全体の高さが低くなり、コンパクトでトーチ10とワーク20の間隙を狭く配置することができるようになったので加工が正確になったと共に、作業台の動きを利用して測定作業できるようになった。
単純な構成であり、僅かな追加構成によって自動で短時間で簡単に測定作業できるようになった。


【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は分光ミラー22を加工台21に取り付けた状態のレーザ加工装置1を図示するもので、(1)はレーザ加工装置1の鳥瞰図である。(2)は(1)の上板3と下板4支柱5とトーチ10を半透明にして作業台19と分光ミラー22の構成が理解しやすいようにした図である。(3)は(1)の上板3と下板4支柱5とトーチ10を非表示にして更に構成をわかりやすく図示したものである。図2の(1)(2)(3)も同様の趣旨で図示されている。

【実施例】
【0022】
図1に基づいて本発明の概要を説明する。レーザ加工装置1は下板4に対して支柱5を介して上板3が装置の架台として構成されている。
上板3には穴301が穿たれ、その箇所に複数のトーチ10(101〜108)が下向きに配置されている。トーチ10の後方にはレーザ発生部16(161〜168)が配置されており上板3に分解可能に固着されている。
【0023】
下板4にはガイドレール121が凸設されており、それに沿って作業台19のガイドレール凹部191が勘合しX方向に自在に移動できるように構成されている。
また、その作業台19には加工台モータ11の駆動によって回転するねじ軸12がねじ軸受け192を介して螺合して作業台19の位置制御がされている。
【0024】
ワーク20の加工後は作業台モータ11の駆動によって作業台19は上板3の外側まで移動し、ワーク20を加工前のものと交換できるようになっている。
なお、これらの移動部等の制御は制御部2(図示しない)にデータが送られ作業台の位置制御がされる構成になっている。位置制御は各モータの回転状態をパルスで制御部2に送られ、ねじ軸のピッチに応じて演算され各部材の位置制御がなされるように構成されている。
また、制御部2はレーザ発生部16やトーチ10の発生するレーザ光を制御すると共に、照度測定部23やタイミング測定部24のデータを受信して演算し制御している。
【0025】
作業台19の上には加工台21が取り付けられており、その上にワーク20(例えば電子基板等)が取り付けられ、作業台19がX移動し所定の位置に停止したときに、トーチ10からレーザ発生装置101で増幅して発生させたレーザ光が照射され、ワーク20に穴を開けたり、マーキングしたりする構成になっている。
【0026】
通常このようなレーザ加工装置において、レーザ発生装置101で発生しトーチ10で照射されたレーザ光は加工作業に使用され続けることによって照度が低下し、発射タイミングがずれ始める。
また、レーザ光はレーザ発生装置101の中を何度も往復して増幅し照度を増す。従ってレーザ光発生スイッチがONになっても、レーザ光を発生するタイミングが各々のトーチ101〜108によって異なってしまう。
【0027】
従って高速で均一にワーク20の加工を終了する為には、作業台19の移動速度を早くすると共に、トーチ10から発生するレーザ光の照度とタイミングを制御部2で補正して照射し、一定の均一した加工を施すように制御しなければならない。
【0028】
そこで通常はトーチ10の直下に手作業によって照度測定器具やタイミング測定器具を載置し、トーチ101〜108を各々測定し、制御部2にそのデータを記憶させることによって補正するように構成している。
照度が著しく劣化した場合は、策定結果に基づいてトーチ10もしくはレーザ発生装置101を交換しなければならない。
【0029】
しかしそのためには、照度測定部23と同様の簡易式の測定装置(図示しない)をトーチ10の直下に載置して測定しなければならず、図1のようなレーザ加工装置1であれば下板4を分解して、トーチ10の下に手作業でもって簡易式の測定装置(図示しない)を載置し、計測しなければならない。
【0030】
タイミング測定部24についても同様な簡易測定具(図示しない)をトーチ10の直下に載置してスイッチを入切と共にレーザ光を発生するタイミングを測定し、制御部2で演算して制御するべく補正しなくてはならない。
【0031】
また、レーザ光は大変危険であり、レーザ加工装置1の加工時や測定作業時には、カバー(図示しない)を閉じ、レーザ加工装置1の全体をカバーで覆い、レーザ光が予想外の方向を照射しても大丈夫なように、安全を期さなくてはならない。
【0032】
従って手作業で照度の測定やタイミングの測定をする際トーチ10の直下にそれらの測定器が正確に載置されているかどうかカバー越しに確認せねばならず確実ではない。更に其々の測定ごとにカバーを開閉して各々のトーチ101〜108の直下に測定載置作業をしなければならず、大変時間のかかる非効率な作業である。
従って、加工途中で任意にレーザ光の測定をすることは不可能であった。
【0033】
本発明は作業台19の上に分光ミラー22を載置し、分光ミラーモータ221を駆動すると、ねじ軸222が回転し螺合しているねじ軸受け223がY方向に移動し、分光ミラー22がY方向に移動するようになっている。
なお、分光ミラー22を含む全てのミラーは自在に角度調整ができる構成になっている。
【0034】
左分光ミラー224をトーチ101の直下に制御部2の制御によって配置してトーチ101を発光すると、レーザ光は左分光ミラー224によって90度屈曲し、タイミング測定部24の中心部を照射するようにあらかじめ設定して制御部2によって制御する構成になっている。
【0035】
このような構成にすることによって、レーザ加工に取り掛かる前にトーチ101〜108のレーザ光の照度とタイミングを測定し、補正して均一化したレーザ光に整えることができる。

【0036】
同様にトーチ101の直下に右側分光ミラー225を配置するようにして、トーチ101からレーザ光を照射すると、レーザ光は90度屈曲し照度測定部23の中心部を照射する。
このようにして照度とタイミングを測定し、補正することができる。
【0037】
制御部2の制御によってトーチ101〜108は各々前記のように測定され、制御部2の制御によって補正することができるようになっている。
なお、本発明においては分光ミラー22は分光ミラーモータ221と、作業台19によってX方向にもY方向にも移動することができるようになっている。
【0038】
しかし分光ミラー22がX方向にもY方向にも移動するように構成された作業台19に固着されていれば、作業台19の位置を制御部2によって制御することによって、照度測定部23とタイミング測定部24にレーザ光を照射して測定することができる。
【0039】
以上のような構成によって、照度測定とタイミング測定が随時実行される。また、制御部2に測定を自動制御させておくと、カバーしたまま測定作業をすることができるので、測定ミスや照射ミスによる事故を防止することができると共に、短時間で随時測定作業を実行し、レーザ加工精度を向上させることができるようになった。
【0040】
次に第二の実施例を説明する。図2の(1)〜(3)は分光ミラー22を左分光ミラー224だけ設置し、第二のミラー28を上板3と下板4の外側に配置するようにした第二の実施例を示すようにしたものである。
この実施例も図1と同様に加工作業時は、加工台21の上に載置されたワーク20が加工台モータ11の駆動によってY方向に移動し、所定の位置にトーチ10から発射されたレーザ光によって加工される。
【0041】
レーザ光の測定は、右分光ミラー224をトーチ101の下に移動してトーチ10から照射されたレーザ光を90度屈曲させて第二のミラー28に照射する。
第二のミラー28の左側第二ミラー285によって照射されたレーザ光はタイミング測定部24の中央部に照射されて測定される。
【0042】
第二ミラーモータ281の駆動によって、第二のミラーねじ軸282と螺合する第二のミラーねじ軸受け283によって第二のミラー28はX方向に移動する。このことによって右側分光ミラー286に反射したレーザ光は、照度測定部23を照射し照度が測定される。
これらの測定データは制御部2(図示しない)に送信され、制御部2によって演算され、其々のトーチ101〜108の照度とタイミングを補正され均一な加工が可能なように補正される。
【0043】
この第二の実施例であれば小さな左側分光ミラー224だけが加工台21に固着されていればよいので、加工台21が小型で薄くても対応することができる。
また、第二の実施例であればレーザ光を屈曲させる方向が一定なので予期されない危険な状態も軽減される。
以上のような構成でレーザ加工装置1が構成されている。
【0044】
以上のように、当該発明であればワーク20の加工が始まる前に照度とタイミングの測定を自動的に行うことができ、精密で正確な加工作業に反映しすることができる。
また、測定が自動に行えるので、カバーを閉じた状態で、安全に正確に測定することができる。
【0045】
作業台19に分光ミラー22を取り付けることによって、XY方向の動きを作業台19の動きと兼用することができ、測定のために新たな気候を増加する必要がなく安価である。
【0046】
特に作業台19がXYの両方に移動することができる構造のレーザ加工装置であれば、分光ミラー22を作業台19に固着することで測定することができる。
レーザ光を分光ミラー22によって振り分けることによって、レーザ加工装置1を薄くコンパクトに製作することができる。
【0047】
つまりトーチ10の近接した直下に、ワーク20を設置することができるのでレーザ光を正確で有効に利用することができる。
作業台19の上に分光ミラー22を取り付けたのでワーク20の加工の合間に短時間で測定作業ができる。測定結果に基づいてレーザ光を補正することによって、照度とタイミングが均一なレーザ光を得られ、均一な加工をすることができる。
分光ミラー22を作業台19上に設置したので、従来例のような複雑で大きな装置ではなく、コンパクトに測定機構を構成することができる。
【0048】
レーザ加工装置のいままでの照度とタイミングの測定方法は、タイミング測定部24並びに照度測定部23をトーチ10の下に載置して、レーザ光を照射して測定していたので、上板3と下板4の間隔が狭いと、タイミング測定部24と照度測定部23を載置することができず、装置によっては分解しないとトーチ10の測定作業ができなかった。
しかし本発明では測定をレーザ加工装置1の外側に配置したのでレーザ加工装置1の全高(Z方向の高さ)を低く押さえることができる。また、ワーク20とトーチ10との間隙を短くすることができ、レーザ光を低減させず、有効で正確にワーク20を加工することができる。
【0049】
また、側定時はレーザ加工装置1の全体をレーザ光を透過しないカバー(図示しない)で覆って測定しなければならない。なぜならばレーザ光が思いがけない方向に照射することが危惧されるので、測定のたびにカバーを閉じて作業しなければならないが、カバー越しの測定作業のため測定器具が正確にトーチの下に載置されたかが不明で、不安であった。
本発明では分光ミラー22の位置をあらかじめ制御部2に記憶させておくことによってカバーをした状態で測定することができるので安全で短時間で任意に測定作業することができる。
【0050】
図1のように場所をとる照度測定部23とタイミング測定部24を上板3と下板4の外側に配することによってレーザ加工装置1全体の高さが低くなり、コンパクトでトーチ10とワーク20の間隙を狭く構成することができるようになり、加工が正確になったと共に、作業台の動きを利用して測定作業できるようになった。
単純な構成であり、僅かな追加構成によって自動で短時間で簡単に測定作業できるようになった。


【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明はレーザ加工装置に限ることなく、レーザマーキング装置やレーザー溶接装置などに応用することができる。


【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明にかかるレーザ加工装置全体の斜視図と透視図と模式図である。
【図2】本発明にかかる第二の実施例によるレーザ加工装置全体の斜視図と透視図と模式図である。
【図3】従来のレーザ加工装置の模式図である。
【符号の説明】
【0053】
1 レーザ加工装置本体
2
制御部
3
上板
301

4
下板
5
支柱
10
トーチ
11
加工台モータ
12
ねじ軸
121 ガイドレール
16
レーザ発生部
19
作業台
191
ガイドレール凹部
192
ねじ軸受け
20
ワーク
21
加工台
22
分光ミラー
221
分光ミラーモータ
222
ねじ軸
223
ねじ軸受け
224
左分光ミラー
225
右分光ミラー
23 照度測定部
24 タイミング測定部
28
第二のミラー
281
第二のミラーモータ
282
第二のミラーねじ軸
283
第二のミラーねじ軸受け
285 左側第二ミラー
286 右側第二ミラー
91
励起レーザ装置
92
励起レーザ光
93
光分割器
94
分割集光されたレーザ光
95
光結合装置
96
光ファイバの入射口
97
複数の光ファイバ
98
レーザ多段増幅装置
981
発振器
982
第1段目の増幅器
983
第2段目の増幅器
984
第3段目の増幅器
985
第4段目の増幅器
971
光ファイバから出射されるレーザ光
972
転写光学系
986
レーザ光
902
集光レンズ
901
ビーム強度検出器
90
ビーム分離器
905
光学部品移動用レール
903 測定対象のレーザ光




【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業範囲内を移動する加工台に載置されたワークをトーチから照射されたレーザ光によって加工する装置であって、
前記トーチから照射されたレーザ光を別方向に反射する前記加工台に取り付けられた分光ミラーと、
前記分光ミラーで反射されたレーザ光の照度を測定する照度測定部と、
前記分光ミラーで反射されたレーザ光が前記トーチから発生されるまでのタイミングを測定するタイミング測定部と、
前記加工台と前記トーチと前記分光ミラーと前記照度測定部と前記タイミング測定部を制御する制御部を備え、
前記トーチから照射されたレーザ光を、前記加工台を移動することによって前記分光ミラーで前記照度測定部に入射させレーザ光の照度を測定すると共に、前記加工台を移動することによって前記分光ミラーで前記タイミング測定部に入射させ前記トーチから照射されるレーザ光のタイミングを測定するように制御したことを特徴とするレーザ加工装置


【請求項2】
前記分光ミラーにレーザ光が入射するように第二のミラーを取り付けたことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。








【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate