説明

レーザ定着用トナーおよびその利用

【課題】カラートナーを用いてフルカラー画像を形成する際にも十分な定着性を確保でき、同時に良好な発色性が得られるレーザ定着用トナーおよび画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るレーザ定着用トナー10は、結着樹脂、第1着色剤および離型剤を少なくとも含むトナー母粒子1と、トナー母粒子1に外添された外添剤であって、第2着色剤を含む外添剤2と、を有する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ定着用トナーおよびその利用に関する。より詳細には、転写材(記録紙)上に形成された未定着のトナー像に光源より光を照射し、当該光のエネルギーを用いて上記トナー像を構成するトナーを溶融させ、転写材上に定着させる定着装置を備えた画像形成装置にて扱われるレーザ定着用トナー、および当該レーザ定着用トナーを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置(例えば、プリンタ)には、記録紙上に形成されたトナー像を熱溶融することによって記録紙上に定着させる定着装置が備えられている。この定着装置としては、例えば、定着ローラと加圧ローラとから構成されるローラ対方式の定着装置や、光のエネルギーを利用してトナーを定着させる定着装置が知られている。光のエネルギーを利用した定着装置は、ローラ対方式の定着装置よりも少ないエネルギーで効率よくトナーを定着させることができる。
【0003】
しかし、光のエネルギーを利用した定着装置では、照射した光のエネルギーによってトナーを加熱・溶融させることによって定着させている。このため、トナーの光吸収効率が悪い場合は、光の照射によってトナーが十分に加熱されないため、十分な定着性が得られない場合がある。一般的に、ブラックトナーは、少なくとも可視光〜近赤外領域に渡って十分な光吸収率を有する分光特性を示す。これに対し、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラートナーは、カラートナー毎に吸収波長域が大きく異なる。
【0004】
このため、特許文献1には、キセノンフラッシュ光を照射してフラッシュ定着を行う場合に、全ての色のトナーが十分な光吸収性能を有するように、トナーに赤外線吸収剤を内添または外添することによって、波長が700nm以上の赤外光の光吸収効率を向上させた光定着用トナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−156777号公報(2002年 5月31日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の光定着用トナーでは、十分な定着性を確保しつつ、良好な発色性を得ることは困難であるという問題があった。
【0007】
具体的には、赤外線吸収剤の分光特性は、カラートナーの分光特性とは異なる。このため、特許文献1に開示された、赤外線吸収剤を含む光定着用トナーでは、十分な定着性を得るために必要な量の赤外線吸収剤をトナーに添加すると、カラートナーの発色性が少なからず影響を受ける。
【0008】
また、特許文献1では光定着用トナーをフラッシュ定着しているが、フラッシュ定着装置は、記録紙全面に対して露光する構成であり、エネルギー効率が良いとはいえない。このため、エネルギー効率を向上させ、定着に要するエネルギーを削減する観点から、記録紙上に形成されたトナー像に対して、レーザ光にて狙いを絞ってトナー付着領域のみを局所加熱するレーザ定着方式の定着方法(レーザ定着)によって、特許文献1に開示された、赤外線吸収剤を含む光定着用トナーを定着させることが考えられる。しかし、この場合も、十分な定着性を得るためには光定着用トナーに含まれる赤外線吸収剤によってカラートナーの発色性が影響を受けるという同様の課題を有する。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、その主たる目的は、カラートナーを用いてフルカラー画像を形成する際にも十分な定着性を確保でき、同時に良好な発色性が得られるレーザ定着用トナーおよび画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係るレーザ定着用トナーは、結着樹脂、第1着色剤および離型剤を少なくとも含むトナー母粒子と、当該トナー母粒子に外添された外添剤であって、第2着色剤を含む外添剤と、を有することを特徴としている。
【0011】
上記構成であれば、照射されたレーザ光が、上記第2着色剤を含む上記外添剤(着色剤含有外添剤)にも吸収されるため、レーザ照射装置から照射されるレーザ光が、より効率的にトナーに吸収される。この結果、トナーの発熱性能が向上するので、トナーの良好な定着性を確保することができる。このように、本発明に係るレーザ定着用トナーは、トナーの転写材への定着性を十分確保することができるので、トナーの定着特性を得るために、トナーに赤外線吸収剤を添加する必要が無い。それゆえ、赤外線吸収剤に起因する発色性の悪化が起こらない画像を得ることができる。さらに、トナー母粒子に外添された着色剤含有外添剤によって、トナーの流動性等も確保される。
【0012】
本発明に係るレーザ定着用トナーでは、上記第2着色剤を含む上記外添剤は、上記トナー母粒子が有する吸収波長域と略同じ吸収波長域を有することが好ましい。
【0013】
上記構成であれば、トナー母粒子に着色剤含有外添剤を外添させることによるトナーの色の濁り等を防止することができる。この結果、発色性のより良好なカラー画像を得ることができる。
【0014】
本発明に係るレーザ定着用トナーでは、上記第2着色剤を含む上記外添剤は、上記トナー母粒子の表面に埋没していることが好ましい。
【0015】
上記構成であれば、着色剤含有外添剤とトナー母粒子との間の熱の伝達効率が向上するので、着色剤含有外添剤において発生した熱エネルギーをトナー母粒子に効率よく伝えることが可能となる。この結果、トナーの定着性を一層向上させることができる。
【0016】
本発明に係るレーザ定着用トナーでは、上記第2着色剤を含む上記外添剤は、無機金属酸化物を上記第2着色剤によって着色したものを含むことが好ましい。
【0017】
無機金属酸化物は熱的に安定であるので、係る着色剤含有外添剤を含むトナーの保存性が低下する等の問題を生じ難い。
【0018】
本発明に係るレーザ定着用トナーでは、上記第2着色剤を含む上記外添剤は、樹脂を上記第2着色剤によって着色したものを含むことが好ましい。
【0019】
樹脂中に第2着色剤等を分散させて用いる場合に、第2着色剤の種類を適宜変更することで、トナー母粒子の分光特性に最適な着色剤含有外添剤を比較的簡単に作製することができる。
【0020】
本発明に係るレーザ定着用トナーは、シアントナー、マゼンタトナー、もしくはイエロートナーであることが好ましい。
【0021】
本発明に係るレーザ定着トナーがカラートナーであることによって、定着性および発色性が向上する効果がより顕著に発現される。
【0022】
本発明に係る画像形成装置は、上述したレーザ定着用トナーを備え、当該トナーを用いて転写材上にトナー像を形成する現像装置と、当該現像装置によって上記転写材上に形成した未定着の上記トナー像に、レーザ光照射装置より光を照射し、当該光のエネルギーを用いて、上記トナー像を構成する上記トナーを溶融させ、上記転写材上に定着させる定着装置と、を備えていることを特徴としている。
【0023】
レーザ光は単色光であるため、トナーを十分に溶融させるためには、トナーが有する分光特性を十分に考慮する必要がある。上述したように、本発明に係るレーザ定着トナーは、トナーの転写材への定着性を十分確保することができるので、トナーの定着特性を得るために、トナーに赤外線吸収剤を添加する必要が無い。このため、本発明に係るレーザ定着トナーを用いる画像形成装置は、定着性および発色性の良好な画像を得ることが可能な画像形成装置となり得る。
【0024】
本発明に係る画像形成装置では、上記レーザ光照射装置が照射するレーザ光の波長は、当該波長における上記レーザ定着用トナーの吸光率が80%以上となる波長であることが好ましい。
【0025】
この範囲の波長のレーザ光を照射することによって定着性のより良好な画像を得ることが可能な画像形成装置となり得る。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るレーザ定着用トナーは、結着樹脂、第1着色剤および離型剤を少なくとも含むトナー母粒子と、当該トナー母粒子に外添された外添剤であって、第2着色剤を含む外添剤と、を有する構成である。
【0027】
本発明に係るレーザ定着用トナーでは、照射されたレーザ光が、上記第2着色剤を含む上記外添剤(着色剤含有外添剤)にも吸収されるため、レーザ照射装置から照射されるレーザ光が、より効率的にトナーに吸収される。この結果、トナーの発熱性能が向上するので、トナーの良好な定着性を確保することができる。このように、本発明に係るレーザ定着用トナーは、トナーの転写材への定着性を十分確保することができるので、トナーの定着特性を得るために、トナーに赤外線吸収剤を添加する必要が無い。それゆえ、赤外線吸収剤に起因する発色性の悪化が起こらない画像を得ることができる。さらに、トナー母粒子に外添された着色剤含有外添剤によって、トナーの流動性等も確保される。
【0028】
また、本発明に係る画像形成装置は、上述したレーザ定着用トナーを備え、当該トナーを用いて転写材上にトナー像を形成する現像装置と、当該現像装置によって上記転写材上に形成した未定着の上記トナー像に、レーザ光照射装置より光を照射し、当該光のエネルギーを用いて、上記トナー像を構成する上記トナーを溶融させ、上記転写材上に定着させる定着装置と、を備えている構成である。
【0029】
本発明に係るレーザ定着トナーは、トナーの転写材への定着性を十分確保することができるので、トナーの定着特性を得るために、トナーに赤外線吸収剤を添加する必要が無い。このため、本発明に係るレーザ定着トナーを用いる画像形成装置は、定着性および発色性の良好な画像を得ることが可能な画像形成装置となり得る。
【0030】
従って、本発明によれば、レーザ定着を行うことによって定着に要するエネルギーを削減しつつ、カラートナーを用いてフルカラー画像を形成する際にも十分な定着性が得られると同時に良好な発色性が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るレーザ定着用トナーの実施形態の一例を説明するものであり、本発明に係るレーザ定着用トナーの構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の実施形態の一例を説明するものであり、乾式電子写真方式カラー画像形成装置の内部構造の概略を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る定着装置の構成の概略を示す図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置の実施形態の別の一例を説明するものであり、乾式電子写真方式カラー画像形成装置の内部構造の概略を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るレーザアレイの構成の概略を示す図である。
【図6】シアントナーの吸収スペクトルを示す図である。
【図7】マゼンタトナーの吸収スペクトルを示す図である。
【図8】イエロートナーの吸収スペクトルを示す図である。
【図9】ブラックトナーの吸収スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態の一例について、詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変形を加えた態様で実施できるものである。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。尚、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0033】
〔1.本発明に係るレーザ定着用トナー〕
本発明に係るレーザ定着用トナー(以下、「本発明のトナー」、または単に「トナー」と称する)は、トナーの色の吸収波長域に波長を有するレーザ光を、転写材(記録紙)上の未定着のトナー像に照射し、光のエネルギーを用いて当該トナー像を構成するトナーを溶融させ、転写材上に定着させる定着装置にて扱われるトナーである。
【0034】
本発明のトナーは、ブラックトナーであってもよいし、カラートナー(イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー)であってもよいが、本発明のトナーがシアントナー、マゼンタトナー、もしくはイエロートナーである場合に定着性および発色性が向上する効果がより顕著に発現される。
【0035】
本発明のトナーは、結着樹脂、第1着色剤および離型剤を少なくとも含むトナー母粒子と、当該トナー母粒子に外添された外添剤であって、第2着色剤を含む外添剤と、を有する構成である。
【0036】
ここで、本発明のトナーの構成の一例を、図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係るレーザ定着用トナーの実施形態の一例を説明するものであり、本発明に係るレーザ定着用トナー10の構成を模式的に示す図である。尚、図1において、符号2は一つの着色剤含有外添剤(第2着色剤を含む外添剤)しか指していないが、黒色の丸で表されている部材はすべて着色剤含有外添剤である。
【0037】
図1に示すように。本発明のトナー10は、トナー母粒子1に、着色剤含有外添剤2が外添されている。着色剤含有外添剤2は、照射されたレーザ光を吸収可能であり、光吸収剤として働くので、トナー10の光吸収効率が向上し、その結果、トナー10の定着性が向上する。さらに、トナー母粒子1に外添された着色剤含有外添剤2によって、トナー10に流動性等の粉体特性が付与される。
【0038】
ここで、本発明のトナー10においては、着色剤含有外添剤2が、トナー母粒子1に外添されていればよく、着色剤含有外添剤2とトナー母粒子1とが静電気的に結合していてもよく、固着していてもよい。しかし、着色剤含有外添剤2とトナー母粒子1との結合力が弱い場合に、着色剤含有外添剤2がトナー母粒子1から離脱することによって感光体へのフィルミング等が出現することがあるので、このような場合は、図1に示すように、トナー母粒子1の表面に着色剤含有外添剤2が埋没(固着)している構成とすることが好ましい。
【0039】
また、本発明のトナー10においては、トナー母粒子1が100重量部に対して着色剤含有外添剤2が0.1重量部以上10重量部以下の範囲内となるように外添されていることが好ましく、1重量部以上5重量部以下の範囲内となるように外添されていることがより好ましい。
【0040】
ここで、トナー母粒子1、着色剤含有外添剤2、および本発明のトナー10の製造方法について、以下に説明する。
【0041】
(1−1.トナー母粒子)
トナー母粒子1は、結着樹脂、第1着色剤および離型剤を少なくとも含む構成である。上記「結着樹脂」としては、特に限定されるものではなく、この分野で常用されるブラックトナー用結着樹脂またはカラートナー用結着樹脂を用いることができる。例えば、ポリスチレン樹脂、スチレンの置換体の単独重合体からなる樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
これらの結着樹脂の中でも、カラートナー用結着樹脂としては、保存性、耐久性等に優れることから、軟化点が100〜150℃、ガラス転移点が50〜80℃である結着樹脂が好ましく、前記の軟化点およびガラス転移点を有するポリエステル樹脂が特に好ましい。ポリエステル樹脂は軟化状態で高い透明度を示すので、ポリエステル樹脂を結着樹脂として含む、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が重ね合わされた多色トナー像を記録媒体に定着させると、ポリエステル自体は透明化する。このため、結着樹脂がポリエステルである場合は、減法混色によって充分な発色を得ることができる。
【0043】
上記「第1着色剤」としては、従来から電子写真方式の画像形成技術に用いられるトナー用の顔料および染料を用いることができる。このような顔料としては、例えば、アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体系顔料等の有機系顔料、カーボンブラック、モリブデンレッド、クロムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ベルリンブルー等の無機系顔料等が挙げられる。
【0044】
また、染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キレート染料、スクアリリウム染料等が挙げられる。
【0045】
これらの第1着色剤は、1種を単独で用いてもよく、同色系の複数の第1着色剤を併用することもできる。
【0046】
トナー母粒子1における第1着色剤の含有量は、通常用いられる範囲であれば特に限定されるものではない。
【0047】
上記「離型剤」としては、特に限定されるものではなく、例えば、ワックスを用いることができる。ワックスとしてはこの分野で常用されるものを用いることができる。例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス、エステルワックス等が挙げられる。
【0048】
トナー母粒子1における離型剤の含有量は、通常用いられる範囲であれば、特に限定されるものではない。
【0049】
トナー母粒子1は、これら結着樹脂、第1着色剤および離型剤の他に、帯電制御剤等の一般的なトナー用添加剤を含有できる。
【0050】
上記「帯電制御剤」としては、トナー10を帯電させるまたはその帯電をコントロールできるものであれば特に制限されるものではない。しかし、帯電制御剤をカラートナーに用いる場合は、トナーの発色性に影響を及ぼさないものであることが好ましい。このような帯電制御剤としては、一般的には、例えば、ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン誘導体、サリチル酸亜鉛錯体、ナフトール酸亜鉛錯体、ベンジル酸誘導体の金属酸化物等が挙げられる。これらの帯電制御剤は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上の帯電制御剤を併用してもよい。尚、後述する着色剤含有外添剤が帯電性を向上させる機能を有する場合は、帯電制御剤をトナー母粒子に含有させることが不要となる場合もある。
【0051】
トナー母粒子1における帯電制御剤の含有量は、通常用いられる範囲であれば、特に限定されるものではない。
【0052】
ここで、トナー母粒子1の製造方法を説明する。トナー母粒子1は、従来公知のトナー母粒子の方法に従って製造することができる。例えば、粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法等を挙げることができる。
【0053】
上記「粉砕法」は、第1着色剤、離型剤等を、結着樹脂と溶融混練して粉砕することによってトナー母粒子を製造する方法である。上記「懸濁重合法」は、結着樹脂のモノマー、第1着色剤、離型剤等を均一に分散させた後、結着樹脂のモノマーを重合させることによってトナー母粒子を製造する方法である。上記「乳化凝集法」は、結着樹脂粒子、着色剤、離型剤等を凝集剤によって凝集させ、得られる凝集物の微粒子を加熱することによってトナー母粒子を製造する方法である。
【0054】
トナー母粒子1の一次粒子の体積平均粒子径は、特に限定されるものではないが、トナー母粒子1の一次粒子の体積平均粒子径が2μm〜7μmであることが好ましい。トナー母粒子1の体積平均粒径が2μmより小さい場合は、得られたトナー10の流動性が低下する。これによって、現像動作の際に、トナー10の供給、撹拌および帯電が不充分になり、トナー量の不足、逆極トナーの増加等が起こる。この結果、高画質画像が得られない場合がある。一方、トナー母粒子1の体積平均粒径が7μmより大きい場合は、出力画像の高解像度化を阻害する等の問題が発生する。
【0055】
(1−2.着色剤含有外添剤)
着色剤含有外添剤2は、第2着色剤を含む外添剤のことを指す。尚、本明細書では、特に断りのない限り、単に「外添剤」と表記した場合は、「第2着色剤を含まない外添剤」を意味し、「第2着色剤を含む外添剤」である「着色剤含有外添剤」とは区別する。
【0056】
着色剤含有外添剤を作製するために、この分野で通常用いられる外添剤、例えば、無機金属酸化物粒子、樹脂粒子等を用いることができる。
【0057】
また、上記「第2着色剤を含む」とは、第2着色剤がレーザ光を吸収できるように外添剤に含まれている状態を意図している。具体的には、外添剤が無機金属酸化物粒子のように透明でない場合は、第2着色剤が外添剤の表面に付着もしくは吸着している状態を指し、外添剤が樹脂のように透明である場合は、第2着色剤が外添剤の表面に付着している状態および第2着色剤が外添剤に内添されている場合を指している。
【0058】
上記「無機金属酸化物粒子」としては、例えば、酸化亜鉛粒子、酸化チタン粒子等を用いることができる。このような無機金属酸化物は、一般的に熱的に安定であるので、着色剤含有外添剤2として第2着色剤を含む無機金属酸化物粒子を選択する場合は、係る着色剤含有外添剤2を含むトナー10の保存性等が低下する等の問題が生じ難い。
【0059】
上記「樹脂粒子」としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂等を用いることができる。
【0060】
上記「第2着色剤」としては、従来から電子写真方式の画像形成技術に用いられるトナー用の顔料および染料を用いることができる。このような顔料および染料については、上記「1−1.トナー母粒子」の項において、第1着色剤の具体例として説明したとおりである。更には、ポリメチン系のシアニン色素やキサンテン系の染料等も使用可能である。これらの第2着色剤は、1種を単独で用いてもよく、同色系の複数の第2着色剤を併用することもできる。
【0061】
ここで、着色剤含有外添剤2の製造方法を説明する。例えば、着色剤含有外添剤2として第2着色剤を含む無機金属酸化物粒子を用いる場合は、無機金属酸化物の微粒子を、染料等の第2着色剤にて着色することによって製造することができる。具体的には、まず、第2着色剤をメタノール等の溶媒に溶解させた溶液中に無機金属酸化物粒子を浸漬し、超音波分散機で無機金属酸化物粒子を1次粒子に分散させながら第2着色剤を無機金属酸化物粒子の表面に化学吸着させる。次いで、無機金属酸化物粒子表面の余分な色素を洗い流すために、多量の溶媒(第2着色剤を溶解させた溶媒)を用いて十分に洗浄し、その後、無機金属酸化物粒子を乾燥させる。溶液中では、無機金属酸化物粒子の1次粒子(サブミクロンサイズ)表面に均一に色素が吸着された状態であるが、その後乾燥により凝集塊となる。このようにして得られた無機金属酸化物粒子の凝集塊を粉砕することによって、サブミクロンオーダーの粒子径を有し、表面に均一に色素が付着した着色金属酸化物粒子を作製することができる。
【0062】
また、外添剤として樹脂粒子を用いる場合は、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂等のモノマーに第2着色剤を溶解し、従来公知のソープフリー乳化重合法を用いて、ラジカル重合させることによって、第2着色剤を樹脂中に分散させた樹脂粒子を作製することによってサブミクロンオーダーの粒子径を有する着色樹脂粒子を製造することができる。
【0063】
着色剤含有外添剤2の大きさとしては、トナー母粒子1の粒子径よりも小さい粒子径を有すればよいが、サブミクロンオーダーの粒子径を有することが好ましい。レーザ光を効率良く吸収するためには比表面積を大きくする必要があり、逆に比表面積を小さくし過ぎると取り扱いが困難となる。このため、具体的には、着色剤含有外添剤2の一次粒子の体積平均粒子径が0.01μm〜1μmであることが好ましく、0.05μm〜0.4μmであることがより好ましい。
【0064】
(1−3.本発明のトナーの製造方法)
本発明のトナー10は、トナー母粒子1に着色剤含有外添剤2を外添させることによって製造することができる。ここで、トナー母粒子1に着色剤含有外添剤2を外添させることができれば、外添させる方法は特に限定されない。例えば、トナー母粒子1と着色剤含有外添剤2とを混合することによって、トナー母粒子1の表面に着色剤含有外添剤2を外添させることができる。トナー母粒子1と着色剤含有外添剤2とを混合する方法は特に限定されない。
【0065】
しかし、着色剤含有外添剤2とトナー母粒子1との結合力が弱い場合に、着色剤含有外添剤2がトナー母粒子1から離脱することによって感光体へのフィルミング等が出現することがあるので、このような場合は、トナー母粒子1の表面に着色剤含有外添剤2を埋没(固着)させることが好ましい。
【0066】
トナー母粒子1の表面に着色剤含有外添剤2を埋没(固着)させる方法としては、例えば、従来公知のメカノケミカル装置を用いてトナー母粒子1および着色剤含有外添剤2を混合しながら機械的エネルギーを与えることによって着色剤含有外添剤2をトナー母粒子1の表面に埋没(固着)させるメカノケミカル方法;熱処理法等を挙げることができる。
【0067】
また、本発明のトナーの製造方法においては、トナー母粒子1が100重量部に対して着色剤含有外添剤2が0.1重量部以上10重量部以下の範囲内となるように、トナー母粒子1と着色剤含有外添剤2とを混合することが好ましく、1重量部以上5重量部以下の範囲内となるように混合することがより好ましい。
【0068】
本発明のトナー10では、第1着色剤を含むトナー母粒子1に対して、当該第1着色剤と同一の着色剤を第2着色剤として含む外添剤(着色剤含有外添剤2)を外添させてもよい。また、第1着色剤を含むトナー母粒子1に対して、当該第1着色剤と同系色であるが異なる種類の第2着色剤を含む外添剤(着色剤含有外添剤2)を外添させてもよい。
【0069】
しかし、トナーの色の濁り等を防止する観点から、着色剤含有外添剤2が、トナー母粒子1が有する吸収波長域と略同じ吸収波長域を有するように、トナー母粒子1と着色剤含有外添剤2とを組み合わせることが好ましい。例えば、マゼンタトナーとして第1着色剤としてキナクリドン系顔料を含むトナー母粒子1に対しては、第2着色剤としてキナクリドン系顔料を含む外添剤(着色剤含有外添剤2)を外添させることが好ましい。
【0070】
尚、従来公知の方法を用いてトナー母粒子1の光吸収スペクトルを測定し、得られた光吸収スペクトルの光吸収ピーク領域を、「トナー母粒子1が有する吸収波長域」として定義している。同様に、着色剤含有外添剤2の光吸収スペクトルを測定し、得られた光吸収スペクトルの光吸収ピーク領域を、「着色剤含有外添剤2が有する吸収波長域」として定義している。
【0071】
一般的に、外添剤は、トナーに対して、粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、耐熱性向上、長期保存性改善、クリーニング特性改善、および感光体表面の磨耗特性制御等の機能を付与する目的で添加される。本発明のトナー10においても、この分野で通常用いられる外添剤に第2着色剤を含ませた着色剤含有外添剤2が外添されているので、用いられる外添剤の種類に応じて、上記の機能がトナー10に付与され得る。
【0072】
尚、このようにして製造されたトナー10は、そのまま一成分現像剤として用いることも可能であり、キャリア粒子と混合攪拌することで二成分現像剤として用いることも可能である。
【0073】
二成分現像剤に用いられるキャリア粒子としては、特に限定されるものではなく、この分野で通常用いられるキャリア粒子を用いることができるが、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性材料;フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等からなるキャリア粒子を用いることが好ましい。さらに、これらのキャリア粒子をコア粒子として表面を樹脂材料でコートしたものを用いることもできる。いずれも、トナー成分に応じて適宜選択することが好ましく、1種を単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。キャリア粒子の粒径は特に限定されるものではないが、高画質化を考慮すると、粒径が30μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0074】
また、二成分現像剤の製造方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法によって製造することができる。本発明のトナー10は、二成分現像剤全量に対して、3重量%以上20重量%以下の濃度となるように含まれていることが好ましい。
【0075】
〔2.本発明に係る画像形成装置〕
本発明に係る画像形成装置は、画像情報に応じて、記録紙上にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する画像形成装置である。本発明に係る画像形成装置は、本発明に係るレーザ定着用トナーを備え、当該トナーを用いて転写材上にトナー像を形成する現像装置と、当該現像装置によって上記転写材上に形成した未定着の上記トナー像に、レーザ光照射装置より光を照射し、当該光のエネルギーを用いて、上記トナー像を構成する上記トナーを溶融させ、上記転写材上に定着させる定着装置と、を備えている構成である。
【0076】
ここで、本発明の実施形態である画像形成装置の構成の一例を図2に基づき説明する。図2は、本発明に係る画像形成装置の実施形態の一例を説明するものであり、乾式電子写真方式カラー画像形成装置100の内部構造の概略を示す図である。尚、図2中に示す黒色の丸は、本発明に係るトナーを表している。また、図2中に示す矢印(符号なし)は、無端状の搬送ベルト33の回転方向を示し、矢印Zは、記録紙Pの搬送方向を示し、矢印Fは感光体ドラム51の回転方向を示している。
【0077】
乾式電子写真方式カラー画像形成装置100(以下、「画像形成装置100」と称する)は、例えば、ネットワーク上の各端末装置から送信された画像データ等に基づいて、所定の転写材(記録紙)に対して多色または単色の画像を形成する装置である。
【0078】
画像形成装置100は、現像装置としての可視像形成ユニット50(50Y・50M・50C・50B)、記録紙搬送装置30、定着装置40および給紙トレイ20を備えている。
【0079】
可視像形成ユニット50は、本発明に係るトナーを用いて現像を行う。可視像形成ユニット50には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(B)の各色トナーに対応する4つの可視像形成ユニット50Y・50M・50C・50Bが並設されている。具体的には、可視像形成ユニット50は、給紙トレイ20と定着装置40とを繋ぐ、記録紙Pの搬送方向に沿って、4つの可視像形成ユニット50Y〜50Bが配設された、いわゆる「タンデム式」に配置されている。可視像形成ユニット50Yは、イエロー(Y)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット50Mは、マゼンタ(M)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット50Cは、シアン(C)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット50Bは、ブラック(B)のトナーを用いて画像形成を行う。尚、本実施形態では、4つの可視像形成ユニット50Y・50M・50C・50Bは、それぞれが記録紙Pの搬送方向に沿ってこの順に配置されている。しかし、可視像形成ユニット50Y〜50Bの配置順序はこれに限定されるものではなく、順序を変更してもよい。
【0080】
4つの可視像形成ユニット50Y〜50Bは、それぞれ実質的に同一の構成を有する。すなわち、それぞれの可視像形成ユニット毎に、感光体ドラム51、帯電器52、レーザ光照射装置53(図2では、感光体ドラムへ潜像を書き込むためのレーザ光照射装置)、現像器54、転写ローラ55およびドラムクリーナユニット56が設けられており、搬送される記録紙Pに対して、対応する色のトナーを多重転写する。
【0081】
感光体ドラム51は、形成される画像を担持するものである。帯電器52は、感光体ドラム51の表面を所定の電位に均一に帯電させる。レーザ光照射装置53は、画像形成装置100に入力された画像データに応じて、帯電器52によって帯電した感光体ドラム51の表面を露光することによって感光体ドラム51の表面に静電潜像を形成する。現像器54は、感光体ドラム51の表面に形成された静電潜像を、各色のトナーによって顕像化する。転写ローラ55は、トナーとは逆極性のバイアス電圧が印加されており、後述する記録紙搬送装置30により搬送された記録紙Pに、形成されたトナー像を転写させる。ドラムクリーナユニット56は、感光体ドラム51の表面に形成された静電潜像が現像器54によって現像処理され、記録紙Pに転写された後に、感光体ドラム51表面に残留したトナーを、除去および回収する。このような、記録紙Pに対するトナー像の転写は、4色のトナーについてそれぞれ行われる。
【0082】
記録紙搬送装置30は、駆動ローラ31、アイドリングローラ32および無端状の搬送ベルト(無端状搬送ベルト)33を備え、可視像形成ユニット50によって記録紙P上にトナー像が形成されている間、記録紙Pを搬送する。駆動ローラ31およびアイドリングローラ32は、無端状搬送ベルト33を架張するものであり、駆動ローラ31が所定の周速度に制御されて回転することによって、無端状搬送ベルト33を回転させている。無端状搬送ベルト33は、外面(駆動ローラ31およびアイドリングローラ32と接していない面)に静電気を発生させており、記録紙Pを静電吸着させながら搬送している。
【0083】
このように、記録紙Pは、搬送ベルト33によって搬送されながら可視像形成ユニット50によってトナー像を転写された後に、駆動ローラ31の曲率により搬送ベルト33から剥離され、定着装置40に搬送される。
【0084】
定着装置40は、レーザ光を照射することによって、光吸収剤もしくは着色剤が光を吸収して発熱しトナーが溶融して記録紙Pに固定することで、堅牢な画像を形成する。
【0085】
ここで、定着装置40について、図3に基づいて詳細に説明する。図3は、本発明の実施形態に係る定着装置40の構成の概略を示す図である。尚、図3中に示す黒色の丸は、本発明に係るトナーを表している。また、図3中に示す矢印は、記録紙Pの搬送方向を示している。
【0086】
定着装置40は、光源としてのレーザ光照射装置104(104Y・104M・104C・104B)と、記録紙Pを搬送する記録紙搬送装置108とを備えている。図3に示すように、定着装置40においては、記録紙搬送装置108が記録紙Pを搬送し、4つのレーザ光照射装置104Y〜104Bが、搬送されている記録紙Pに向けてレーザ光を照射するようになっている。そして、記録紙Pの表面の、4つのレーザ光照射装置104Y〜104Bからのレーザ光が照射される領域において、トナーが溶融し、これによりトナーが記録紙Pに定着する。
【0087】
4つのレーザ光照射装置104Y〜104Bは、各色トナーに対応しており、それぞれが異なる波長のレーザ光を照射する。例えば、レーザ光照射装置104Yは、イエロートナーが吸収し易い波長のレーザ光を照射し、レーザ光照射装置104Mは、マゼンタトナーが吸収し易い波長のレーザ光を照射し、レーザ光照射装置104Cは、シアントナーが吸収し易い波長のレーザ光を照射し、レーザ光照射装置104Bは、ブラックトナーが吸収し易い波長のレーザ光を照射する。
【0088】
上記「トナーが吸収し易い波長」としては、対応する色のレーザ定着用トナーの吸収波長域の波長であれば特に限定されないが、より十分な定着性を得る観点から、照射するレーザ光の波長は、当該波長におけるレーザ定着用トナーの吸光率が80%以上となる波長であることが好ましい。照射するレーザ光の波長におけるトナーの吸光率が80%以上であれば、トナーがレーザ光を十分に吸収することができているので、十分な定着性が得られる。尚、上記「吸光率」とは、物質が光を吸収する度合いを示すものであり、「吸収率」とも換言される。「吸収率」は、下記式(1)で表すことができる.
吸光率(%)=100−透過率−反射率(%) … (1)。
【0089】
トナーの吸光率の測定方法について以下に具体的に説明する。まず、対象となる各色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナーを用いてOHPシート上にべた画像を形成する。これらOHPシート上に形成されたべた画像(付着量は0.5mg/cm)のサンプルを用いて、測定器として分光光度計U−3300(株式会社日立製作所製)を用い、各トナーの透過率および反射率を800〜300nmの範囲において測定し、式(1)より吸収率を求める。
【0090】
ここで、各色トナーの吸収スペクトルを示す図6〜9を参照しながら、上記「トナーが吸収し易い波長」について具体的に説明する。図6、図7、図8および図9は、それぞれ、シアントナーの吸収スペクトル、マゼンタトナーの吸収スペクトル、イエロートナーの吸収スペクトル、ブラックトナーの吸収スペクトルを示す図である。シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナーは、シャープ社製 MX−2600に搭載のトナーを用いた。
【0091】
シアントナー定着用のレーザ光照射装置104Cは、シアントナーの吸光率が80%以上となる波長領域(例えば、図6に示す、555nm〜750nm)に対応した波長のレーザ光を照射することが好ましい。尚、本実施形態では、650nmの波長のレーザ光を照射している。
【0092】
マゼンタトナー定着用のレーザ光照射装置104Mは、マゼンタトナーの吸光率が80%以上となる波長領域(例えば、図7に示す、505nm〜590nm)に対応した波長のレーザ光を照射することが好ましい。尚、本実施形態では、550nmの波長のレーザ光を照射している。
【0093】
イエロートナー定着用のレーザ光照射装置104Yは、イエロートナーの吸光率が80%以上となる波長領域(例えば、図8に示す、380nm〜480nm)に対応した波長のレーザ光を照射することが好ましい。尚、本実施形態では、450nmの波長のレーザ光を照射している。
【0094】
図9に示すように、ブラックトナーは400nm〜800nmの波長領域で光を吸収することができる。このため、ブラックトナー定着用のレーザ光照射装置104Bは、例えば、400nm〜800nmの波長領域のレーザ光を照射することができる。尚、本実施形態では、780nmの近赤外光を照射している。
【0095】
レーザ光照射装置104としては、例えば、半導体レーザを用いることができる。半導体レーザは、炭酸ガスレーザ等の他のレーザに比べ、安価で、小型である。また、半導体素子の配合や材料の組成を選択することによって、400nm〜800nmの領域で任意の波長のレーザ光を発生させることができる。
【0096】
図3に示されるように、本実施形態では、4つのレーザ光照射装置104Y・104M・104C・104Bは、それぞれが記録紙Pの搬送方向に沿ってこの順に配置されている。しかし、4つのレーザ光照射装置104Y〜104Bの配置順序はこれに限定されるものではなく、順序を変更してもよい。
【0097】
また、本実施形態では、光源としてのレーザ光照射装置104から直接、記録紙P上のトナーに対して照射しているが、レーザ光照射装置104と記録紙Pとの間にレンズを設け、光源から出射したレーザ光をレンズにより集光させ、集光した光を照射してもよい。
【0098】
別の実施形態において、レーザ光照射装置104は、レーザ光照射装置104Y〜104Bを記録紙Pの搬送方向に垂直な方向(すなわち、記録紙Pの幅方向)に複数並べたレーザアレイであってもよい。
【0099】
ここで、上記レーザアレイの構成の一例を図5に基づいて説明する。図5は、本発明の実施形態に係るレーザアレイ105の構成の概略を示す図である。図5は、図3に示す定着装置40を上方から見た上面図であり、図5中の矢印は、記録紙Pの搬送方向を示している。
【0100】
図5に示すように、レーザアレイ105は、各色トナー定着用のレーザ光照射装置104Y〜104Bを、それぞれ記録紙Pの搬送方向に対して垂直方向に複数並べた構成である。例えば、各色トナー定着用のレーザ光照射装置104Y〜104Bをそれぞれ1つずつ備えた定着装置では、記録紙Pの全面にレーザ光照射する場合に、記録紙Pの搬送方向だけでなく、記録紙Pの搬送方向と垂直方向にもレーザ光を走査させる必要がある。それゆえ、定着プロセスに時間がかかり、高速でトナーを定着させるのに限界がある。また、記録紙Pの搬送方向と垂直方向にレーザ光を走査させるためには、レーザ光の走査方向を制御するための装置がさらに必要となり、定着装置の複雑化およびコストアップに繋がる。
【0101】
これに対し、図5にしめすように、各色トナーに対応するレーザ光照射装置104Y・104M・104C・104Bを、それぞれ記録紙Pの搬送方向に垂直な方向に複数並べたレーザアレイ105(105Y・105M・105C・105B)とすることによって、記録紙Pの搬送方向と垂直方向(すなわち、記録紙Pの幅方向)にレーザ光を走査させる必要がなくなる。つまり、記録紙Pの搬送方向にレーザ光を走査させれば、記録紙Pの幅方向に対しても同時にレーザ光を照射することができる。このため、装置を複雑化させることなく必要最低限の構成でトナーを定着させることができ、さらに、高速でトナーを定着させることが可能となる。
【0102】
尚、図5に示す実施形態では、4つのレーザアレイ105Y・105M・105C・105Bは、それぞれが記録紙Pの搬送方向に沿ってこの順に配置されている。しかし、4つのレーザアレイ105Y〜105Bの配置順序はこれに限定されるものではなく、順序を変更してもよい。
【0103】
図3に示す定着装置40において、記録紙搬送装置108は、一対のテンションローラ101および102と、耐熱性の無端状搬送ベルト103とから構成され、無端状搬送ベルト103によって記録紙Pは搬送される。無端状搬送ベルト103としては、例えば、ベルト厚75(μm)、体積抵抗率1×1016(Ω・cm)のポリイミド樹脂からなる無端ベルトを用いることができる。
【0104】
無端状搬送ベルト103は、一対のテンションローラ101および102に張架され、駆動モータ(図示しない)により、任意の速度で回転駆動するように構成されている。また、無端状搬送ベルト103の周囲には、吸着チャージャー(図示しない)、分離チャージャー(図示しない)、除電チャージャー(図示しない)および分離爪(図示しない)が設けられている。このように構成された記録紙搬送装置108において、未定着トナー像が形成された記録紙Pは、テンションローラ102上の無端状搬送ベルト103と、上記吸着チャージャーとの間に搬送される。
【0105】
テンションローラ102は導電性材料で構成され、接地されている。このテンションローラ102に対向する位置において、上記吸着チャージャーによって記録紙Pに電荷を与えることで、記録紙Pと無端状搬送ベルト103とは、それぞれ誘電分極を起こす。これにより、記録紙Pは、無端状搬送ベルト103上に静電吸着される。
【0106】
無端状搬送ベルト103の回転駆動に伴って、記録紙Pは、レーザ光が照射されるレーザ光照射装置40に向けて搬送される。レーザ光照射装置40において、記録紙P上の未定着トナー像は、各色トナーに対応する4つのレーザ光照射装置(レーザヘッド)104Y〜104Bによって画像情報に応じてレーザ照射されることにより溶融され、記録紙Pに定着される。
【0107】
トナー画像の定着が終了した記録紙Pは、無端状搬送ベルト103に静電吸着された状態で、上記分離チャージャーとテンションローラ101との間に搬送される。テンションローラ101は、導電性材料で構成され、接地されている。上記分離チャージャーによって記録紙Pを除電することで、無端状搬送ベルト103と記録紙Pとの間の静電吸着力が弱まる。この状態で、テンションローラ101に沿って無端状搬送ベルト103が大きな曲率で回転駆動することにより、記録紙Pの先端部が無端状搬送ベルト103から浮き上がり、さらに、上記分離爪により完全に無端状搬送ベルト103から記録紙Pが剥離される。記録紙Pが剥離された無端状搬送ベルト103は、上記除電チャージャーによって外面および内面が除電され、その後、再び記録紙Pの吸着位置へ移動される。
【0108】
尚、図2では、記録紙P上に各色のトナー像をすべて形成した後に、当該トナー像に対してレーザ光を照射することによってトナーを定着させる構成について説明した。しかし、各色のトナーによって画像を形成する度に、レーザ光を照射してトナーを定着させる構成としてもよい。かかる構成を有する画像形成装置について、図4に基づいて説明する。図4は、本発明に係る画像形成装置の別の実施形態の一例を説明するものであり、乾式電子写真方式カラー画像形成装置200の内部構造の概略を示す断面図である。尚、図4中に示す矢印(符号なし)は、レーザ光照射装置60から照射されるレーザ光の照射方向を示し、矢印Zは、記録紙の搬送方向を示している。
【0109】
図4に示すように、画像形成装置200は、図2に示す画像形成装置100と同様、可視像形成ユニット50(50Y・50M・50C・50B)、記録紙搬送装置30および定着装置としてのレーザ光照射装置60を備えている。可視像形成ユニット50および記録紙搬送装置30については、図2で説明したとおりである。
【0110】
トナー定着用のレーザ光照射装置60(60Y・60M・60C・60B)は、それぞれが各可視像形成ユニット50(50Y・50M・50C・50B)の下流に配置されている。本実施形態では、4つのレーザ光照射装置60Y〜60Bは、半導体レーザを記録紙の幅方向に複数並べたレーザアレイとしているが、本発明はこれに限定されない。
【0111】
4つのレーザ光照射装置60Y〜60Bは、各色トナーに対応しており、それぞれが異なる波長のレーザ光を照射する。例えば、レーザ光照射装置60Cは、シアントナーを主に定着させる為のレーザ光照射装置であり、発振波長は、シアントナーの光吸収ピーク領域に合わせた波長(例えば、555〜750nm)に対応した波長のレーザである。レーザ光照射装置60Mは、マゼンタトナーを主に定着させる為のレーザ光照射装置であり、発振波長は、マゼンタトナーの光吸収ピーク領域に合わせた波長(例えば、505〜590nm)に対応した波長のレーザである。レーザ光照射装置60Yは、イエロートナーを主に定着させる為のレーザ光照射装置であり、発振波長は、イエロートナーの光吸収ピーク領域に合わせた波長(例えば、380nm〜480nm)に対応した波長のレーザである。これらのレーザ光照射装置60C、60Mおよび60Yのいずれも、対応するカラートナーの吸光率が80%以上となる波長のレーザ光を発振するものである。
【0112】
一方、レーザ光照射装置60Bは、ブラックトナーを主に定着させる為のレーザ光照射装置である。ブラックトナーは、全波長域で高い光吸収特性を有するので、例えば、400nm〜800nmの波長領域のレーザ光を照射することができる。
【0113】
次に、画像形成装置200における作像プロセスについて説明する。まず、画像形成処理部(図示しない)に画像データが入力されると、その画像データに基づき、4つの可視像形成ユニット50Y・50M・50C・50Bにおいて各色トナーの画像が形成される。
【0114】
例えば、図4に示すように、画像形成装置200では、最上流部に位置する可視像形成ユニット50Y(イエローユニット)では、帯電器52により一様に帯電された感光体ドラム51の表面に、図示しないレーザ等による書込みユニットで潜像形成を行い、イエローの現像器54にて現像することで、感光体ドラム51上にイエロートナー像を形成させる。このように感光体ドラム51上での画像形成を行うと同時に、無端状の搬送ベルト(無端状搬送ベルト)33によって記録紙(図示しない)を搬送する。感光体ドラム51と無端状搬送ベルト33とで形成された転写ニップ部では、無端状搬送ベルト33の裏側(内周面)に当接している転写ローラ55に電圧を印加することで、感光体ドラム51の表面から記録紙上にトナー(図示しない)を転写する。この転写工程で記録紙上に転写されずに感光体ドラム51上に残ったトナーは、ドラムクリーナユニット(図示しない)によりクリーニングされて、再び、帯電、露光、現像の各工程が繰り返される。無端状搬送ベルト33上に残ったトナーは、ベルトクリーナユニット56によりクリーニングされる。
【0115】
このようにして記録紙上に形成されたイエロートナー像は、イエロートナー用のレーザ光照射装置(定着装置)60Yにてレーザ光が照射され、トナーは溶融し、記録紙に浸透することで記録紙に定着される。尚、本実施形態では、レーザ光照射装置60Yから450nmの波長のレーザ光を照射している。
【0116】
このようにイエロートナー像の定着工程を終えた記録紙は、次に、マゼンタトナーが転写される転写ニップ部へと搬送される。可視像形成ユニット50Mでは、可視像形成ユニット50Yと同様に、感光体ドラム上にマゼンタトナー像が形成されており、可視像形成ユニット50Mと無端状搬送ベルト33とで形成される転写ニップ部で感光体ドラムの表面から記録紙上へとトナーが転写される。このようにして記録紙上に形成されたマゼンタトナー像は、マゼンタトナー用のレーザ光照射装置(定着装置)60Mにてレーザ光が照射され、トナーは溶融し、記録紙に浸透することで記録紙に定着される。尚、本実施形態では、レーザ光照射装置60Mから550nmの波長のレーザ光を照射している。
【0117】
イエローおよびマゼンタトナー像の定着工程を終えた記録紙は、次に、シアントナーが転写される転写ニップ部へと搬送される。可視像形成ユニット50Cでは、可視像形成ユニット50Yと同様に感光体ドラム上にシアントナー像が形成されており、可視像形成ユニット50Cと無端状搬送ベルト33とで形成される転写ニップ部で感光体ドラムの表面から記録紙上へとトナーが転写される。このようにして記録紙上に形成されたシアントナー像は、シアントナー用のレーザ光照射装置(定着装置)60Cにてレーザ光が照射され、トナーは溶融し、記録紙に浸透することで記録紙に定着される。尚、本実施形態では、レーザ光照射装置60Cから650nmの波長のレーザ光を照射している。
【0118】
イエロー、マゼンタおよびシアントナー像の定着工程を終えた記録紙は、次に、ブラックトナーが転写される転写ニップ部へと搬送される。可視像形成ユニット50Bでは、可視像形成ユニット50Yと同様に感光体ドラム上にブラックトナー像が形成されており、可視像形成ユニット50Bと無端状搬送ベルト33とで形成される転写ニップ部で感光体ドラムの表面から記録紙上へとトナーが転写される。このようにして記録紙上に形成されたブラックトナー像は、ブラックトナー用のレーザ光照射装置(定着装置)60Bにてレーザ光が照射され、トナーは溶融し、記録紙に浸透することで記録紙に定着される。尚、本実施形態では、レーザ光照射装置60Bから780nmの波長のレーザ光を照射している。このように、各トナーについて記録紙上で転写、定着の工程を繰り返し、最終的にカラー画像が形成される。
【0119】
尚、図4に示す実施形態では、4つの可視像形成ユニット50Y・50M・50C・50Bは、それぞれが記録紙Pの搬送方向に沿ってこの順に配置されている。しかし、4つの可視像形成ユニット50Y〜50Bの配置順序はこれに限定されるものではなく、順序を変更してもよい。可視像形成ユニット50Y〜50Bの配置順序を変更した場合は、可視像形成ユニットのすぐ下流に、対応するレーザ光照射装置が配置されるように、レーザ光照射装置60Y〜60Bの配置順序を変更して配置すればよい。
【0120】
また、画像形成装置200は、例えば、A4サイズ横送りで、10〜70枚/分の送り速度に対応しており、低速印字から高速印字、モノクロ印字を始めカラー印字にも対応しているが、本発明はこれに限定されない。
【0121】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的装置を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0122】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0123】
〔1.トナーの作製〕
(実施例1)
(1)トナー母粒子の作製
結着樹脂としてポリエステル樹脂(L−4S1、B100(花王社製))、第1着色剤としてマゼンタ着色剤、離型剤としてポリエチレンワックス(HNP−10(日本精蝋社製))、および帯電制御剤としてベンジル酸誘導体の金属酸化物(LR−147(日本カーリット社製))を用いた。尚、マゼンタ着色剤としては、ナフトール系の顔料(N−DYM SH 2101レッド(山陽色素社製))を用いた。
【0124】
結着樹脂を87部、第1着色剤を7.5部、離型剤を5部、および帯電制御剤を0.5部を、ヘンシェルミキサーを用いて十分混合した後に、溶融混練機を用いて溶融混練し、ジェットミルを用いて微粉砕した。得られた粒子を、風力分級機を用いて分級を行い、一次粒子の体積平均粒子径(一次粒子径)が6μmのトナー母粒子を得た。
【0125】
得られたトナー母粒子の分光反射特性を調べた結果、540〜580nm近傍に吸収波長のピークを有することが確認された。
【0126】
(2)着色剤含有外添剤の作製
第2着色剤としてマゼンタ着色剤であるエリトロシンB(Erythrosine B)をメタノールに溶解させた溶液中に酸化亜鉛粒子を浸漬させ、酸化亜鉛粒子の表面にエリトロシンBを化学吸着させた。次いで、多量のメタノールを用いて酸化亜鉛粒子表面の不要な色素を洗い流し、その後、酸化亜鉛粒子を十分に乾燥させることによって着色酸化亜鉛粒子を作製した。この着色酸化亜鉛粒子をジェットミルを用いて粉砕し、一次粒子径が0.1μmの着色酸化亜鉛粒子を作製した。
【0127】
得られた着色酸化亜鉛粒子の分光反射特性を調べた結果、500〜550nm近傍に吸収波長のピークを有することが確認された。
【0128】
(3)トナーの作製
作製したトナー母粒子100部に着色剤含有外添剤粒子2部を混合し、ハイブリダイゼーションシステムNHS−0型(奈良機械製作所製)を用いてトナー母粒子の表面に着色剤含有外添剤粒子を埋没(固着)させることによって、実施例1のトナー粒子を作製した。
【0129】
(比較例1)
第2着色剤を含まない酸化亜鉛粒子を外添剤として用いた以外は、実施例1と同様の方法によって比較例1のトナー粒子を作製した。
【0130】
〔2.定着性の評価〕
坪量64gの記録紙に対して、記録紙上のトナー付着量が0.5mg/cm、3cm×3cmになるように、実施例および比較例で得られたトナーを用いて、べた画像をそれぞれ形成し、評価用画像を作製した。トナーは、500nm近傍の波長を有するレーザ光を照射することによって記録紙に定着させた。
【0131】
作製した評価用画像を用いて擦り試験を行い、実施例および比較例のトナーの定着性の評価を行った。具体的には、以下のようにして擦り試験を行った。
(擦り試験法)
砂消しゴム(LION社製 型番261−11)を用いて、消しゴムに9.8Nの荷重をかけて10mm/sの速度で3往復分、上記評価用画像を擦り、擦り前後の画像濃度を測定し、下記式(2)より残存率を算出した.
残存率=(擦り前の画像濃度)/(擦り前の画像濃度)×100 … (2)。
【0132】
画像濃度の測定には、分光測色計X−Rite939(エックスライト社製)を用いた。画像の残存率70%以上であれば、定着性が良好であると判断した。
【0133】
着色剤含有外添剤を用いていない比較例1のトナーでは、画像の残存率が70%以下であった。これに対し、実施例1のトナーでは、画像の残存率が70%以上であった。この結果から、着色剤含有外添剤を用いていない比較例1のトナーと比較して、実施例1のトナーは定着性の向上効果があることを確認することができた。
【0134】
〔3.発色性の評価〕
実施例および比較例で得られたトナーについて、発色性を評価した。具体的には、分光光度計(U−3300、株式会社日立製作所製)によって、トナーの分光反射特性を測定することにより評価した。
【0135】
着色剤含有外添剤の外添処理前後において吸収波長光以外の波長領域において大きな分光特性の変化が見られない場合に、発色性に問題なし(発色性が良好である)と判断した。
【0136】
この結果、トナー母粒子の吸収波長域と略同じ吸収波長域の光を吸収する分光特性を示す着色剤含有外添剤を、トナー母粒子に外添させることで、良好な定着性と良好な発色性を得ることができることを確認することができた。
【0137】
尚、本実施例ではマゼンタトナーについての結果を示したが、イエロートナー、シアントナー、ブラックトナーについても同様に、一般的なトナー製造方法でトナー母粒子を作製し、その後、所望の着色剤を含む着色剤含有外添剤をトナー母粒子に外添させることで、レーザ定着装置において定着性に優れるトナーを容易に作製することができる。
【0138】
なお、トナーの帯電性、流動性等を更に向上させる目的で、外添剤として通常用いられるシリカ、アルミナ等を更に追加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明に係るレーザ定着用トナーは、当該トナーからなる一成分現像剤、または当該トナーとキャリアとを含む二成分現像剤に適用可能である。また、当該一成分現像剤または二成分現像剤を用いて現像を行う現像装置およびレーザ定着装置を備えた各種画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0140】
1 トナー母粒子
2 着色剤含有外添剤(第2着色剤を含む外添剤)
10 レーザ定着用トナー
40 定着装置
50 可視像形成ユニット(定着装置)
60 レーザ光照射装置
100 画像形成装置
104 レーザ光照射装置
200 画像形成装置
P 記録紙(転写材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂、第1着色剤および離型剤を少なくとも含むトナー母粒子と、
当該トナー母粒子に外添された外添剤であって、第2着色剤を含む外添剤と、を有することを特徴とするレーザ定着用トナー。
【請求項2】
上記第2着色剤を含む上記外添剤は、上記トナー母粒子が有する吸収波長域と略同じ吸収波長域を有することを特徴とする請求項1に記載のレーザ定着用トナー。
【請求項3】
上記第2着色剤を含む上記外添剤は、上記トナー母粒子の表面に埋没していることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ定着用トナー。
【請求項4】
上記第2着色剤を含む上記外添剤は、無機金属酸化物を上記第2着色剤によって着色したものを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のレーザ定着用トナー。
【請求項5】
上記第2着色剤を含む上記外添剤は、樹脂を上記第2着色剤によって着色したものを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のレーザ定着用トナー。
【請求項6】
シアントナー、マゼンタトナー、もしくはイエロートナーであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のレーザ定着用トナー。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のレーザ定着用トナーを備え、当該トナーを用いて転写材上にトナー像を形成する現像装置と、
当該現像装置によって上記転写材上に形成した未定着の上記トナー像に、レーザ光照射装置より光を照射し、当該光のエネルギーを用いて、上記トナー像を構成する上記トナーを溶融させ、上記転写材上に定着させる定着装置と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
上記レーザ光照射装置が照射するレーザ光の波長は、当該波長における上記レーザ定着用トナーの吸光率が80%以上となる波長であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−247916(P2011−247916A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117802(P2010−117802)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】