説明

ロック装置

【課題】カバーフレームを容易に開けること。
【解決手段】装置本体1に設けたロック受け13と、装置本体1に対し開閉可能のカバーフレーム2に設けたロックレバー12との係合によりカバーフレーム2をロックするとともに、ロック受け13とロックレバー12との係合を解除する取手7を設けたロック装置において、カバーフレーム2を開放するための動作方向Aと、ロック受け13とロックレバー12との係合を解除するための取手7の動作方向B1を異ならせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は装置本体に対するカバーフレームをロック及びこれを解除するロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、装置本体に対するカバーフレームをロック及びこれを解除するロック装置には、図9に示すロック装置がある。図9は従来のロック装置を示す拡大側面図である。同図(a)はロック状態を示し、同図(b)はロック解除状態を示す。装置本体61にはカバーフレーム62が図示しない蝶番を中心に開閉可能に設けられている。カバーフレーム62のカバー開方向は矢印Aで示す。カバーフレーム62にはロックレバー回転軸54が固定され、装置本体61にはロック受け53が固定されている。ロックレバー回転軸54はロックレバー52と受動側リンク金具63を一体として回転可能に支持している。ロックレバー52と受動側リンク金具63が一体として回転可能であるので、受動側リンク金具63が矢印C方向に移動すると、ロックレバー52は矢印D方向に移動する。
【0003】
ロックレバー回転軸54には、ロックレバーリセットスプリング55が設けられ、ロックレバー52と受動側リンク金具63を一体として矢印Cの反対方向及び矢印Dの反対方向に付勢している。ロックレバー52はフック状に形成され、ロックレバー係合部52−1が円柱状に形成されたロック受け53と係合することによりロック状態となる。従って、ロックレバー52がロックレバーリセットスプリング55の付勢力により矢印Dの反対方向に移動することにより、図9(a)に示すようにロックレバー52とロック受け53がロック状態を維持する。
【0004】
更に、カバーフレーム62には取手回転軸58が固定されている。取手67は取手回転軸58を中心に回転可能である。操作者が取手67を操作する操作方向は矢印Bに示す。これはカバーフレーム62を開放する矢印A方向がほぼ同じ方向である。取手回転軸58は取手67と駆動側リンク金具64を一体として回転可能に支持している。取手67と駆動側リンク金具64は一体として回転可能であるので、取手67が矢印B方向に移動すると、駆動側リンク金具64は矢印C方向に移動する。駆動側リンク金具64は受動側リンク金具63を押圧可能に設けられている。取手回転軸58には、取手リセットスプリング59が設けられ、取手67と駆動側リンク金具64を一体として矢印Bの反対方向及び矢印Cの反対方向に付勢している。
【0005】
ロック解除に際しては、操作者が図9(b)に示すように取手67を取手リセットスプリング59の付勢力に抗して矢印B方向に移動させる。すると、取手67は取手回転軸58を中心に回転する。同時に駆動側リンク金具64は取手67と一体に回転する。駆動側リンク金具64が矢印C方向に回転すると、駆動側リンク金具64は受動側リンク金具63を矢印C方向に押し下げる。受動側リンク金具63がロックレバー回転軸54を中心に矢印C方向に回転すると、同時に、ロックレバー52が矢印D方向に回転する。これによりロックレバー52はロック受け53とのロック状態が解除される。こうして、操作者は取手67を更に矢印A方向に持ち上げ、カバーフレーム62を開放することができる。
【0006】
なお、特開平9−147185(特許文献1)には、現金自動取引装置等の電子機器において視覚障害者対応操作ユニットの取付けを容易にする操作部の構造に関する発明が記載されている。特許文献1の段落0009及び図8によると、開閉するフロントパネル3と、ロックレバー17の溝22にはまるロックピン21が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−147185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図9に示した従来技術によれば、取手67を操作する矢印B方向と、カバーフレーム62を開放する矢印A方向がほぼ同じ方向となっている。そのため操作者が取手67を操作すると、ロックレバー52が矢印D方向に動き出す前にカバーフレーム62が矢印A方向に動いてしまう。ロックレバー回転軸54が設けられている位置が、ロックレバー係合部52−1とロック受け53の接触部分から矢印A方向であるため、カバーフレーム62の移動が、ロックレバー回転軸54とロックレバー52の移動につながるので、ロックレバー係合部52−1を移動させることになる。
【0009】
そうすると、ロックレバー係合部52−1とロック受け53の接触が開始され又は接触が強化され、両者間に荷重による摩擦が大きく生じることになる。もともと、操作者が取手67を操作してロックレバー52をロック解除するには、取手リセットスプリング59とロックレバーリセットスプリング55の付勢力に抗する必要がある。ロックレバー係合部52−1とロック受け53間との荷重による摩擦があると、これらを超える力で取手67を取手操作方向へ回転させなければロックレバー52をロック受け53から外すことはできない。従って、カバーフレーム62を開くことができないという問題がある。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、カバーフレーム62を容易に開くことができるロック装置を提供することを可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明に関するロック装置は、装置本体に設けたロック受けと、前記装置本体に対し開閉可能なカバーフレームに設けたロックレバーとの係合により前記カバーフレームをロックするとともに、前記ロック受けとロックレバーとの係合を解除する取手を設けたロック装置において、前記カバーフレームを開放する方向と、前記ロック受けと前記ロックレバーとの係合を解除するための前記取手の動作方向を異ならせることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
上記構成を有する本発明によれば、前記カバーフレームを開放する方向と、前記ロック受けと前記ロックレバーとの係合を解除するための前記取手の動作方向を異ならせることとしたので、ロックレバーのロックレバー係合部とロック受けとの両者間に荷重による摩擦が大きく生じさせることなく、カバーフレームを容易に開くことができるロック装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態に関するロック装置を適用する現金処理機の外観図である。
【図2】第1の実施の形態に関するカバーフレームのロック装置を示す概略側面図である。
【図3】第1の実施の形態に関するロック装置を示す拡大側面図である。
【図4】第1の実施の形態に関するロック装置の取手に掛かる力の分力を示す説明図である。
【図5】第2の実施の形態に関するロック装置を示す拡大側面図である。
【図6】第3の実施の形態に関するロック装置を示す拡大側面図である。
【図7】第3の実施の形態の変形例1に関するロック装置を示す拡大側面図である。
【図8】第3の実施の形態の変形例2に関するロック装置を示す拡大側面図である。
【図9】従来のロック装置を示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は第1の実施の形態に関するロック装置を適用する現金処理機10の外観図である。現金処理機10は銀行等の金融機関における窓口装置として使用され、行員が操作することによって、紙幣及び硬貨の現金を取り扱うものである。装置本体1の上面はカバーフレーム2が設けられる。カバーフレーム2からなる上面は行員の操作のためにガイダンスを表示し、入力を受け付ける操作表示部3、紙幣の入出金を行う紙幣入出金口4及び硬貨の入出金を行う硬貨入出金口5が設けられる。装置本体1の前面には図示しない金庫の出し入れ等のための開閉扉6が設けられる。
【0015】
カバーフレーム2は現金処理機10の保守のため装置本体1から開閉可能となっている。カバーフレーム2の開閉は、前面に設けられた取手7を矢印A方向に操作することにより行うことができる。
【0016】
図2は第1の実施の形態に関するカバーフレーム2のロック装置を示す概略側面図である。図中左側が現金処理機10の前面であり、図中右側が現金処理機10の奥側である。カバーフレーム2の奥側には蝶番11が設けられカバーフレーム2を回転可能に支持する。カバーフレーム2の前面には取手7が設けられる。操作者は取手7を操作することにより、次に説明するようにロックレバー12とロック受け13との係合を解除する。そして、カバーフレーム2を矢印A方向に開放することができる。
【0017】
図3は第1の実施の形態に関するロック装置を示す拡大側面図である。同図(a)はロック状態を示し、同図(b)はロック解除状態を示す。カバーフレーム2のカバー開方向は矢印Aで示す。カバーフレーム2にはロックレバー回転軸14が固定され、装置本体1にはロック受け13が固定されている。ロックレバー回転軸14はロックレバー12と受動側リンク金具16を一体として回転可能に支持している。ロックレバー12と受動側リンク金具16が一体として回転可能であるので、受動側リンク金具16が矢印C方向に移動すると、ロックレバー12は矢印D方向に移動する。
【0018】
ロックレバー回転軸14には、ロックレバーリセットスプリング15が設けられ、受動側リンク金具16とロックレバー12を一体として矢印Cの反対方向及び矢印Dの反対方向に付勢している。ロックレバー12はフック状に形成され、ロックレバー係合部12−1が円柱状に形成されたロック受け13と係合することによりロック状態となる。従って、ロックレバー12がロックレバーリセットスプリング15の付勢力により矢印Dの反対方向に移動することにより、図3(a)に示すようにロックレバー12とロック受け13がロック状態を維持する。
【0019】
更に、カバーフレーム2には取手回転軸18が固定されている。取手7は取手回転軸18を中心に回転可能である。操作者が取手7を操作する操作方向は矢印B1に示す。これはカバーフレーム2を開放する矢印A方向と45度異なる方向である。なお、ここでは45度異なる方向とするが、角度は45度以上であればよい。取手回転軸18は取手7と駆動側リンク金具17を一体として回転可能に支持している。取手7と駆動側リンク金具17は一体として回転可能であるので、取手7が矢印B1方向に移動すると、駆動側リンク金具17は矢印C方向に移動する。駆動側リンク金具17は受動側リンク金具16を矢印C方向に押圧可能に設けられている。取手回転軸18には、取手リセットスプリング19が設けられ、取手7と駆動側リンク金具17を一体として矢印B1の反対方向及び矢印Cの反対方向に付勢している。
【0020】
ロック解除に際しては、操作者が図3(b)に示すように取手7を取手リセットスプリング19の付勢力に抗して矢印B1方向に移動させる。すると、取手7は取手回転軸18を中心に回転する。同時に駆動側リンク金具17は取手7と一体に回転する。駆動側リンク金具17が矢印C方向に回転すると、駆動側リンク金具17は受動側リンク金具16を矢印C方向に押し下げる。受動側リンク金具16がロックレバー回転軸14を中心に矢印C方向に回転すると、同時に、ロックレバー12が矢印D方向に回転する。これによりロックレバー12はロック受け13とのロック状態が解除される。こうして、操作者は取手7を更に矢印A方向に持ち上げ、カバーフレーム2を開放することができる。
【0021】
図4は第1の実施の形態に関するロック装置の取手7に掛かる力の分力を示す説明図である。矢印Aは蝶番11を中心にしてカバーフレーム2が開く方向である。矢印Bは従来の取手67を操作する力を示し、仮に矢印Aと同方向とする。矢印B1は第1の実施の形態の取手7を操作する力を示す。矢印B1は、矢印A方向の分力として矢印B1x及びこれに直角な方向の分力として矢印B1yに分解できる。従って、第1の実施の形態においては、取手7を操作する力のうち矢印A方向の分力は、B−B1yだけ減少することができることになる。
【0022】
即ち、第1の実施の形態によれば、ロックレバー係合部12−1とロック受け13間との荷重による摩擦がB−B1yだけ減少することができる。よって、カバーフレーム2を容易に開くことができる。
【0023】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図5は第2の実施の形態に関するロック装置を示す拡大側面図である。同図(a)はロック状態を示し、同図(b)はロック解除状態を示す。カバーフレーム2のカバー開方向は矢印Aで示す。カバーフレーム2にはロックレバー回転軸14が固定され、装置本体1にはロック受け13が固定されている。ロックレバー回転軸14はロックレバー12と受動側リンク金具16を一体として回転可能に支持している。ロックレバー12と受動側リンク金具16が一体として回転可能であるので、受動側リンク金具16が矢印C方向に移動すると、ロックレバー12は矢印D方向に移動する。
【0024】
ロックレバー回転軸14には、ロックレバーリセットスプリング15が設けられ、受動側リンク金具16とロックレバー12を一体として矢印Cの反対方向及び矢印Dの反対方向に付勢している。ロックレバー12はフック状に形成され、ロックレバー係合部12−1が円柱状に形成されたロック受け13と係合することによりロック状態となる。従って、ロックレバー12がロックレバーリセットスプリング15の付勢力により矢印Dの反対方向に移動することにより、図5(a)に示すようにロックレバー12とロック受け13がロック状態を維持する。
【0025】
更に、カバーフレーム2には取手回転軸18が固定されている。取手27は取手回転軸18を中心に回転可能である。操作者が取手27を操作する操作方向は矢印B2に示す。これはカバーフレーム2を開放する矢印A方向と90度異なる方向である。取手回転軸18は取手27と駆動側リンク金具17を一体として回転可能に支持している。取手27と駆動側リンク金具17は一体として回転可能であるので、取手27が矢印B2方向に移動すると、駆動側リンク金具17は矢印C方向に移動する。駆動側リンク金具17は受動側リンク金具16を矢印C方向に押圧可能に設けられている。取手回転軸18には、取手リセットスプリング19が設けられ、取手27と駆動側リンク金具17を一体として矢印B2の反対方向及び矢印Cの反対方向に付勢している。
【0026】
ロック解除に際しては、操作者が図5(b)に示すように取手27を取手リセットスプリング19の付勢力に抗して矢印B2方向に移動させる。すると、取手27は取手回転軸18を中心に回転する。同時に駆動側リンク金具17は取手27と一体に回転する。駆動側リンク金具17が矢印C方向に回転すると、駆動側リンク金具17は受動側リンク金具16を矢印C方向に押し下げる。受動側リンク金具16がロックレバー回転軸14を中心に矢印C方向に回転すると、同時に、ロックレバー12が矢印D方向に回転する。これによりロックレバー12はロック受け13とのロック状態が解除される。こうして、操作者は取手27を矢印A方向に持ち上げ、カバーフレーム2を開放することができる。
【0027】
第2の実施の形態においては、操作者が取手27を操作する操作方向はカバーフレーム2を開放する矢印A方向と90度異なる方向であるので、取手27を操作する力のうち矢印A方向の分力はゼロに等しい。以上のように、第2の実施の形態によれば、ロックレバー係合部12−1とロック受け13間との荷重による摩擦が生じさせないようにすることができる。よって、カバーフレーム2を容易に開くことができる。
【0028】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図6は第3の実施の形態に関するロック装置を示す拡大側面図である。同図(a)はロック状態を示し、同図(b)はロック解除状態を示す。カバーフレーム2のカバー開方向は矢印Aで示す。カバーフレーム2にはロックレバー回転軸14が固定され、装置本体1にはロック受け13が固定されている。ロックレバー回転軸14はロックレバー12と受動側リンク金具16を一体として回転可能に支持している。ロックレバー12と受動側リンク金具16が一体として回転可能であるので、受動側リンク金具16が矢印C方向に移動すると、ロックレバー12は矢印D方向に移動する。
【0029】
ロックレバー回転軸14には、ロックレバーリセットスプリング15が設けられ、受動側リンク金具16とロックレバー12を一体として矢印Cの反対方向及び矢印Dの反対方向に付勢している。ロックレバー12はフック状に形成され、ロックレバー係合部12−1が円柱状に形成されたロック受け13と係合することによりロック状態となる。従って、ロックレバー12がロックレバーリセットスプリング15の付勢力により矢印Dの反対方向に移動することにより、図6(a)に示すようにロックレバー12とロック受け13がロック状態を維持する。
【0030】
更に、カバーフレーム2には取手移動ガイド38が固定されている。取手37は移動ガイド38に沿ってスライド可能である。操作者が取手37を操作する操作方向は矢印B3に示す。これはカバーフレーム2を開放する矢印A方向と約180度異なる方向である。取手移動ガイド38は取手37と駆動側リンク金具32を一体としてスライド可能に支持している。取手37と駆動側リンク金具32は一体としてスライド可能であるので、取手37が矢印B3方向に移動すると、駆動側リンク金具32は矢印C方向に移動する。駆動側リンク金具32は受動側リンク金具16を矢印C方向に押圧可能に設けられている。取手37と駆動側リンク金具32の下部には取手リセットスプリング39が設けられ、取手37と駆動側リンク金具32を一体として矢印B3の反対方向及び矢印Cの反対方向に付勢している。
【0031】
ロック解除に際しては、操作者が図6(a)に示すように取手37を取手リセットスプリング39の付勢力に抗して矢印B3方向に移動させる。取手37は取手移動ガイド38に沿って移動する。同時に、図6(b)に示すように駆動側リンク金具32は取手37と一体に移動する。駆動側リンク金具32が矢印B3方向に移動すると、駆動側リンク金具32は受動側リンク金具16を矢印C方向に押し下げる。受動側リンク金具16がロックレバー回転軸14を中心に矢印C方向に回転すると、同時に、ロックレバー12が矢印D方向に回転する。これによりロックレバー12はロック受け13とのロック状態が解除される。そうして、操作者はカバーフレーム2のカバーフレーム底部2−1を矢印A方向に持ち上げ、カバーフレーム2を開放することができる。
【0032】
第3の実施の形態においては、操作者が取手37を操作する操作方向はカバーフレーム2を開放する矢印A方向と180度異なる方向であるので、取手37を操作する力のうち矢印A方向の分力はゼロである。以上のように、第3の実施の形態によれば、ロックレバー係合部12−1とロック受け13間との荷重による摩擦が生じさせないようにすることができる。よって、カバーフレーム2を容易に開くことができる。また、第3の実施の形態によれば、回転部分としての取手回転軸18を設ける必要がないので構造が簡単なロック装置を提供することができる。
【0033】
(第3の実施の形態の変形例1)
前記第3の実施の形態では、取手37を操作する操作方向を矢印A方向と180度異なる方向とするのに、取手37をスライド可能に支持するものについて説明したが、本発明はこれに限らない。図7は第3の実施の形態の変形例1に関するロック装置を示す拡大側面図である。カバーフレーム2のカバー開方向は矢印Aで示す。カバーフレーム2にはロックレバー回転軸14が固定され、装置本体1にはロック受け13が固定されている。ロックレバー回転軸14はロックレバー42と受動側リンク金具46を一体として回転可能に支持している。ロックレバー42と受動側リンク金具46が一体として回転可能であるので、受動側リンク金具46が矢印E方向に移動すると、ロックレバー42は矢印F方向に移動する。矢印E方向及び矢印F方向は前記第3の実施の形態の矢印Cの反対方向及び矢印Dの反対方向である。
【0034】
ロックレバー回転軸14には、ロックレバーリセットスプリング15が設けられ、受動側リンク金具46とロックレバー42を一体として矢印Eの反対方向及び矢印Fの反対方向に付勢している。ロックレバー42はフック状に形成され、ロックレバー係合部42−1が円柱状に形成されたロック受け13と係合することによりロック状態となる。従って、ロックレバー42がロックレバーリセットスプリング15の付勢力により矢印Fの反対方向に移動することにより、図7に示すようにロックレバー42とロック受け13がロック状態を維持する。
【0035】
更に、カバーフレーム2には取手回転軸18が固定されている。取手47は取手回転軸18を中心に回転可能である。操作者が取手47を操作する操作方向は矢印B3に示す。これはカバーフレーム2を開放する矢印A方向と約180度異なる方向である。取手回転軸18は取手47と駆動側リンク金具45を一体として回転可能に支持している。取手47と駆動側リンク金具45は一体として回転可能であるので、取手47が矢印B3方向に移動すると、駆動側リンク金具45は矢印E方向に移動する。駆動側リンク金具45は受動側リンク金具46を矢印E方向に押圧可能に設けられている。取手回転軸18には、取手リセットスプリング19が設けられ、取手47と駆動側リンク金具45を一体として矢印B3の反対方向及び矢印Eの反対方向に付勢している。
【0036】
ロック解除に際しては、操作者が図7に示すように取手47を取手リセットスプリング19の付勢力に抗して矢印B3方向に移動させる。すると、取手47は取手回転軸18を中心に回転する。同時に駆動側リンク金具45は取手47と一体に矢印E方向に回転する。駆動側リンク金具45が矢印E方向に回転すると、駆動側リンク金具45は受動側リンク金具46を矢印E方向に押し上げる。受動側リンク金具46がロックレバー回転軸14を中心に矢印E方向に回転すると、同時に、ロックレバー42が矢印F方向に回転する。これによりロックレバー42はロック受け13とのロック状態が解除される。こうして、操作者は取手47を矢印B3方向に押し下げ、カバーフレーム2のカバーフレーム底部2−1を矢印A方向に持ち上げることにより、カバーフレーム2を開放することができる。
【0037】
第3の実施の形態の変形例1においては、操作者が取手47を操作する操作方向はカバーフレーム2を開放する矢印A方向と180度異なる方向であるので、取手47を操作する力のうち矢印A方向の分力はゼロに等しい。以上のように、第3の実施の形態の変形例1によれば、ロックレバー係合部42−1とロック受け13間との荷重による摩擦が生じさせないようにすることができる。よって、カバーフレーム2を容易に開くことができる。
【0038】
(第3の実施の形態の変形例2)
前記第3の実施の形態の変形例1では、取手47を操作する操作方向を矢印A方向と180度異なる方向とするのに、取手47を取手回転軸18を中心に回転可能に設けるものであるが、本発明はこれに限らない。図8は第3の実施の形態の変形例2に関するロック装置を示す拡大側面図である。カバーフレーム2のカバー開方向は矢印Aで示す。カバーフレーム2にはロックレバー回転軸14が固定され、装置本体1にはロック受け13が固定されている。ロックレバー回転軸14はロックレバー12と取手一体リンク金具48を一体として回転可能に支持している。ロックレバー12と取手一体リンク金具48が一体として回転可能であるので、取手一体リンク金具48が矢印B3方向に移動すると、ロックレバー12は矢印D方向に移動する。
【0039】
ロックレバー回転軸14には、ロックレバーリセットスプリング15が設けられ、取手一体リンク金具48とロックレバー12を一体として矢印B3の反対方向及び矢印Dの反対方向に付勢している。ロックレバー12はフック状に形成され、ロックレバー係合部12−1が円柱状に形成されたロック受け13と係合することによりロック状態となる。従って、ロックレバー12がロックレバーリセットスプリング15の付勢力により矢印Dの反対方向に移動することにより、図8に示すようにロックレバー12とロック受け13がロック状態を維持する。
【0040】
更に、取手57は取手一体リンク金具48の先端に形成され、ロックレバー回転軸14を中心に回転可能である。操作者が取手57を操作する操作方向は矢印B3に示す。これはカバーフレーム2を開放する矢印A方向と約180度異なる方向である。取手57は取手一体リンク金具48と一体として回転可能であるので、取手57が矢印B3方向に移動すると、取手一体リンク金具48も矢印B3方向に移動する。
【0041】
ロック解除に際しては、操作者が図8に示すように取手57をロックレバーリセットスプリング15の付勢力に抗して矢印B3方向に移動させる。すると、取手一体リンク金具48は取手57と一体に回転する。取手一体リンク金具48が矢印B3方向に回転すると、ロックレバー12が矢印D方向に回転する。これによりロックレバー12はロック受け13とのロック状態が解除される。こうして、操作者は取手57を矢印B3方向に押し下げ、カバーフレーム2のカバーフレーム底部2−1を矢印A方向に持ち上げることにより、カバーフレーム2を開放することができる。
【0042】
第3の実施の形態の変形例2においては、操作者が取手57を操作する操作方向はカバーフレーム2を開放する矢印A方向と180度異なる方向であるので、取手57を操作する力のうち矢印A方向の分力はゼロに等しい。以上のように、第3の実施の形態の変形例1によれば、ロックレバー係合部12−1とロック受け13間との荷重による摩擦が生じさせないようにすることができる。よって、カバーフレーム2を容易に開くことができる。また、第3の実施の形態の変形例1によれば、取手回転軸18及び取手リセットスプリング19、更には取手移動ガイド38を設ける必要がないので構造が簡単なロック装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 装置本体
2 カバーフレーム
7 取手
10 現金処理機
11 蝶番
12 ロックレバー
13 ロック受け
14 ロックレバー回転軸
15 ロックレバーリセットスプリング
16 受動側リンク金具
17 駆動側リンク金具
18 取手回転軸
19 取手リセットスプリング


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に設けたロック受けと、前記装置本体に対し開閉可能なカバーフレームに設けたロックレバーとの係合により前記カバーフレームをロックするとともに、前記ロック受けと前記ロックレバーとの係合を解除する取手を設けたロック装置において、
前記カバーフレームを開放するための動作方向と、前記ロック受けと前記ロックレバーとの係合を解除するための前記取手の動作方向を異ならせることを特徴とするロック装置。
【請求項2】
前記ロックレバーは前記カバーフレームに固定されたロックレバー回転軸に回転可能に設けられ、
前記取手は前記カバーフレームに固定された取手回転軸に回転可能に設けられ、
更に、前記ロックレバーと一体として回転可能に設けられる受動側リンク金具と、
前記取手と一体として回転可能に設けられ、前記受動側リンク金具に押圧可能に設けられる駆動側リンク金具とを有し、
前記取手を前記カバーフレームを開放する前記動作方向と所定の角度異なる動作方向に動作させると、前記駆動側リンク金具が回転することにより前記受動側リンク金具を回転させ、これにより前記ロックレバーと前記ロック受けとの係合を解除することを特徴とする請求項1記載のロック装置。
【請求項3】
前記所定の角度は45度以上であることを特徴とする請求項2記載のロック装置。
【請求項4】
前記所定の角度は約90度であることを特徴とする請求項2記載のロック装置。
【請求項5】
前記ロックレバーは前記カバーフレームに固定されたロックレバー回転軸に回転可能に設けられ、
前記取手は前記カバーフレームに固定されたガイドにスライド可能に設けられ、
更に、前記ロックレバーと一体として回転可能に設けられる受動側リンク金具と、
前記取手と一体としてスライド可能に設けられ、前記受動側リンク金具に押圧可能に設けられる駆動側リンク金具とを有し、
前記取手を前記カバーフレームを開放する方向と約180度異なる方向にスライドさせると、前記駆動側リンク金具がスライドすることにより前記受動側リンク金具を回転させ、これにより前記ロックレバーと前記ロック受けとの係合を解除することを特徴とする請求項1記載のロック装置。
【請求項6】
前記ロックレバーは前記カバーフレームに固定されたロックレバー回転軸に回転可能に設けられ、
前記取手は前記カバーフレームに固定された取手回転軸に回転可能に設けられ、
更に、前記ロックレバーと一体として回転可能に設けられる受動側リンク金具と、
前記取手と一体として回転可能に設けられ、前記受動側リンク金具に押圧可能に設けられる駆動側リンク金具とを有し、
前記取手を前記カバーフレームを開放する方向と約180度異なる方向に回転させると、前記駆動側リンク金具が回転することにより前記受動側リンク金具を回転させ、これにより前記ロックレバーと前記ロック受けとの係合を解除することを特徴とする請求項1記載のロック装置。
【請求項7】
前記ロックレバーは前記カバーフレームに固定されたロックレバー回転軸に回転可能に設けられ、
前記取手は前記ロックレバーと一体としてかつ前記ロックレバー回転軸に回転可能に設けられ、
更に、前記取手を前記カバーフレームを開放する方向と約180度異なる方向に回転させると、これにより前記ロックレバーと前記ロック受けとの係合を解除することを特徴とする請求項1記載のロック装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−14977(P2013−14977A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149710(P2011−149710)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】