説明

ロック解除アダプタ及び通信ケーブルユニット

【課題】コネクタユニットのロック状態を容易に解除できるようにする。
【解決手段】第2コネクタに固定されるホルダ10と、ホルダ10に回動自在に軸支される軸部材20とをそなえ、軸部材20が、その回転軸方向の一端において、その回転軸と直行する方向に突出する押下突起部21をそなえ、軸部材20の第1の回動位置において押下突起部21がロック解除突起544を押下することにより、ロック状態を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、ケーブルコネクタのロック解除アダプタ及び通信ケーブルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
図27は情報処理装置500の斜視図、図28は通信ケーブルユニット50の斜視図である。情報処理装置500は、例えば、FC(Fibre Channel)スイッチであり、図27に示す例においては2つの入出力ポート501をそなえている。又、この図27に示す例においては、各入出力ポート501に、それぞれ12個のメスコネクタ52が配置されている。
【0003】
各メスコネクタ52には、他の機器と接続するための通信ケーブルユニット50が取り付けられる。
通信ケーブルユニット50は、図28に示すように、通信ケーブル53の端部にオスコネクタ54をそなえている。以下、通信ケーブル53がFCケーブルの例について示す。
そして、オスコネクタ54を入出力ポート501のメスコネクタ52に挿入することにより、通信ケーブルユニット50が情報処理装置500に取り付けられる。
【0004】
図28に例示する通信ケーブルユニット50において、オスコネクタ54は、2本のFCケーブル53を平行に連結するDLC(Duplex LC:2心LC)コネクタとして形成されている。DLCコネクタの形状等は、例えば、IEC 61754-20等の規格に規定されており、その詳細な説明は省略する。
オスコネクタ54は、ハウジング541の一端に一対のFCケーブル53,53の各一端が平行に取り付けられ、ハウジング541の他端において、これらのFCケーブル53,53のコア部(図示省略)と導通する端子543,543が突出する。
【0005】
また、ハウジング541における端子543,543の上部には、弾性部材で形成された板状の部材である2つのロック用突起544,544が、互いに平行に端子543,543に沿って取り付けられている。
これらのロック用突起544,544は、それぞれ、その一端をハウジング541に片持ち式に固定し、斜面を形成するように配置されている。これにより、他方の端部544a,544aが当該ロック用突起544,544の弾性変形によって上下動可能に構成されている。
【0006】
図29はFCケーブル53のオスコネクタ54をメスコネクタ52に取り付けた状態を示す斜視図である。
オスコネクタ54は、メスコネクタ52の嵌合穴に挿入されることにより取り付けられ、この嵌合穴内において、端子543,543が図示しない端子と導通可能に接続される。
【0007】
ロック用突起544,544は、オスコネクタ54をメスコネクタ52の嵌合穴に挿入する際に、この嵌合穴の縁辺部等により押下されて、ハウジング541側に押し付けられるように弾性変形しながら挿入される。そして、オスコネクタ54の端子543,543がメスコネクタ52内の端子と導通可能状態となる位置で、嵌合穴内でロック用突起544,544への縁辺部等による付勢は解除される。これにより、ロック用突起544,544がハウジング541から離隔する方向に移動し、ロック用突起544,544の一部が、メスコネクタ52に形成された係合穴522に係合する。
【0008】
このように、オスコネクタ54をメスコネクタ52に挿入した状態で、ロック用突起544が係合穴522に係合することにより、オスコネクタ54がメスコネクタ52から抜け出ることを抑止する。すなわち、オスコネクタ54はメスコネクタ52にロックされた状態(以下、ロック状態という)となる。
そして、オスコネクタ54をメスコネクタ52から取り外すためには、ロック用突起544の端部544aを押下してロック用突起544を弾性変形させる。すなわち、メスコネクタ52の係合穴522から係止されているロック用突起544を取り外すことにより、ロック状態を解除する。そして、このようにロック状態を解除した状態(ロック解除状態)で、メスコネクタ52の嵌合穴からオスコネクタ54を引き抜く。
【0009】
すなわち、オスコネクタ54とメスコネクタ52とは、ロック用突起544,544と係合穴522とにより、プッシュプルロック機構を実現する。
また、図28,図29に示す例においては、ロック用突起544,544の端部544a,544aの上部には、これらの端部544a,544aに覆い被さるようにロック解除補助板545が形成されている。このロック解除補助板545は、弾性部材でできた板状の部材であって、その一端部がハウジング541に片持ち式に固定されることにより、その他方の端部545aが当該ロック解除補助板545の弾性変形によって上下動可能に構成されている。又、このロック解除補助板545の端部545aは、ロック用突起544,544の端部544a,544aの上部に重合する位置に配置されている。
【0010】
これにより、ロック解除補助板545の端部545aを押下することにより、ロック用突起544,544の端部544a,544aが同時に押下される。すなわち、ロック解除補助板545の端部545aを押下することにより、ロック用突起544,544の両方を同時にロック解除状態とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−071888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述の如きFCケーブルで使われているコネクタのサイズは小さく、又、情報処理装置を小型化するために、入出力ポート501においてメスコネクタ52を狭い範囲に密集して実装されることが多い。このため、オスコネクタ54間の上下左右の隙間が非常に狭い状態である事が多い。
図30は図27の入出力ポート501を拡大して示す斜視図である。この図30に示す例においては、各メスコネクタ52にそれぞれ通信ケーブルユニット50が取り付けられている。
【0013】
この図30に示すように、入出力ポート501において、メスコネクタ52が上下方向に3つ(3段)以上並べて実装された場合に、中間に位置するメスコネクタ52の上下の隙間が非常に狭くなる。このため、特に中間に位置するメスコネクタ52については、通信ケーブルユニット50を取り外すために指でロック解除補助板545を押下してロックを解除する作業が非常に困難であるという課題がある。
【0014】
また、一般に、FCケーブルの通信ケーブルユニット50においては、ロック解除補助板545が小さくて押下し辛い上に、ロック状態を解除するためには比較的強い力で押下する必要があるものもある。このような通信ケーブルユニット50においては、たとえオスコネクタ54の上下方向に他のコネクタが無く、密集していない状態であっても、指でロック解除補助板545を押下してロックを解除する作業が困難であり、作業性が悪いという課題もある。
【0015】
本件の目的の一つは、コネクタユニットのロック状態を容易に解除できるようにすることである。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の1つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このため、このロック解除アダプタは、第1コネクタに第2コネクタが固定されてロック状態となり、ロック解除突起を押下することにより前記ロック状態が解除されるコネクタユニットに取り付けられるロック解除アダプタであって、前記第2コネクタに固定されるホルダと、前記ホルダに回動自在に軸支される軸部材とをそなえ、前記軸部材が、前記軸部材の回転軸方向の一端において、当該回転軸と直行する方向に突出する押下突起部をそなえ、前記軸部材の第1の回動位置において前記押下突起部が前記ロック解除突起を押下することにより、前記ロック状態を解除する。
【0017】
また、この通信ケーブルユニットは、ロック解除突起を有し、第1コネクタに固定されてロック状態となるとともに、前記ロック解除突起を押下することにより前記ロック状態が解除される第2コネクタをそなえる通信ケーブルユニットであって、前記第2コネクタに固定されるホルダと、前記ホルダに回動自在に軸支される軸部材とをそなえ、前記軸部材が、前記軸部材の回転軸方向の一端において、当該回転軸と直行する方向に突出する押下突起部をそなえ、前記軸部材の第1の回動位置において前記押下突起部が前記ロック解除突起を押下することにより、前記ロック状態を解除する。
【発明の効果】
【0018】
開示のロック解除アダプタ及び通信ケーブルユニットによれば、第1のコネクタと第2のコネクタとのロック状態を容易に解除でき、作業性を向上できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタのロック状態を示す側断面図である。
【図2】第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタのロック状態の外観を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタのロック解除状態を示す側断面図である。
【図4】第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタのロック解除状態の外観を示す斜視図である。
【図5】(a)〜(e)は第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタのロック解除レバーの構成を示す図である。
【図6】第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタにおけるヘッドの外観を示す斜視図である。
【図7】第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタのヘッドの形状を説明する為の側断面図である。
【図8】(a)〜(e)は第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタのアダプタハウジングの構成を示す図である。
【図9】第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタを通信ケーブルユニットに取り付ける状態を示す斜視図である。
【図10】第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタの構成を示す分解斜視図である。
【図11】(a),(b)は第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタの通信ケーブルユニットへの取り付け手法を例示する斜視図である。
【図12】情報処理装置としてのFCスイッチの斜視図である。
【図13】図12のFCスイッチの入出力ポートを拡大して示す図である。
【図14】図13に示す入出力ポートにおいて一部のロック解除アダプタをロック解除状態にした例を示す斜視図である。
【図15】情報処理装置としてのFCスイッチの斜視図である。
【図16】(a),(b)は図15のFCスイッチの入出力ポートを拡大して示す図である。
【図17】図16(b)のC矢視図である。
【図18】図16(b)のD矢視図である。
【図19】第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタのロック状態を示す側断面図である。
【図20】(a)〜(e)は第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタのロック解除レバーの構成を示す図である。
【図21】(a)〜(e)は第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタのアダプタハウジングの構成を示す図である。
【図22】(a),(b)は第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタの構成を示す分解斜視図である。
【図23】第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタにおけるロック解除レバーの回転操作を説明するための側面透視図である。
【図24】第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタにおけるロック解除レバーの回転操作を説明するための側面透視図である。
【図25】第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタのロック解除状態を示す側断面図である。
【図26】第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタの斜視図である。
【図27】情報処理装置の斜視図である。
【図28】通信ケーブルユニットの斜視図である。
【図29】FCケーブルのオスコネクタをメスコネクタに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図30】図27の入出力ポートを拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本ロック解除アダプタ1に係る実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形例や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
(A)第1実施形態
図1は第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1のロック状態を示す側断面図、図2はその外観を示す斜視図である。又、図3は第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタのロック解除状態を示す側断面図、図4はその外観を示す斜視図である。
【0021】
第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1は、図2等に示すように、図28に示すような通信ケーブルユニット50のオスコネクタ(第2コネクタ)54に取り付けられ、ロック用突起(ロック解除突起)544,544とメスコネクタ(第1コネクタ)52の係合穴522とによるロック状態の解除作業を容易に行なわせる。
すなわち、FCケーブルが接続されたオスコネクタ54とメスコネクタ52とで構成されたコネクタユニットにロック解除アダプタ1を取り付けて用いる例について示す。
【0022】
なお、以下、便宜上、オスコネクタ54におけるロック用突起544が形成されている側を上側といい、その対向する方向を下側という。すなわち、例えば、図1に示す例においては、紙面上方が上側となる。又、図1及び図3中においては、便宜上、オスコネクタ54におけるロック用突起544及びロック解除補助板545以外の内部構成やFCケーブル53の内部構成の図示を省略している。
【0023】
ロック解除アダプタ1は、図2に示すように、アダプタハウジング(ホルダ)10とロック解除レバー(軸部材)20とをそなえる。
アダプタハウジング10は、通信ケーブルユニット50のオスコネクタ54に固定されるとともに、ロック解除レバー20を回動自在に軸支する。
図5(a)〜(e)は第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1のロック解除レバー20の構成を示す図であり、図5(a)はその斜視図である。又、図5(b)はその上面図、図5(c)はその正面図である。図5(d),(e)はそれぞれその側面図であり、図5(d)は図5(a)のA矢視図、図5(e)は図5(a)のB矢視図である。又、図6は第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1におけるヘッド21を示す斜視図である。
【0024】
ロック解除レバー20は、図5(a)に示すように、円柱状のシャフト23の一端側にヘッド(押下突起部)21をそなえ、又、その他端側につまみ22をそなえる。
ヘッド21は、図6に示すように、シャフト23の軸の直径よりも大きい直径を有し、シャフト23の軸(回転軸)に直交する方向に突出する円柱部211をそなえる。円柱部211は、その中心軸がシャフト23の軸(回転軸)と一致するようにシャフト23の端部に取り付けられ、又、この円柱部211におけるシャフト23とは反対側には、円柱部211の中心軸と中心軸を一致させてドーム部212をそなえる。これにより、ヘッド21はほぼ球形状の外形をそなえる。
【0025】
また、ヘッド21は、図5(c)や図6に示すように、そのドーム部212及び円柱部211を部分的に切り欠くことにより斜面21aが形成されている。すなわち、この斜面21aは、ヘッド21が不在の非突出部分に相当する。この斜面21aは、平面もしくは曲率の大きな平面に近い曲面であることが望ましい。又、図6に示すように、斜面21aと円柱部211やドーム部212との境界には面取りがされており、これにより、斜面21aと円柱部211やドーム部212とがなめらかに連続する。
【0026】
図7は第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1のヘッド21の形状を説明する為の側断面図である。
ヘッド21の斜面21aは、図1示すように、オスコネクタ54のロック用突起544に対向する。従って、斜面21aのシャフト23の軸に対する角度は、図7に示すように、オスコネクタ54においてロック用突起544がハウジング541の表面から突出する角度αに一致もしくはほぼ一致することが望ましい。
【0027】
これにより、後述の如く、本ロック解除アダプタ1を通信ケーブルユニット50に取り付け、図1に示すように、ヘッド21の斜面21aを下側に向けた場合に、斜面21aとロック用突起544とが微小の隙間を介してもしくは触れ合う状態で対向する。これにより、ヘッド21がオスコネクタ54のロック用突起544に干渉することがなく、オスコネクタ54のロック用突起544を押下してロック状態が解除されることが防止される。
【0028】
すなわち、ヘッド21を回動させて、その斜面21aをロック用突起544に対向させた状態では、ヘッド21がロック用突起544を押下しない非押下状態となる。なお、この非押下状態とは、ヘッド21がロック用突起544を押下しないことの他、ロック用突起544を多少は押下したとしても、ロック用突起544とメスコネクタ52の係合穴522との係合を解除するまでは至らない状態をも含む。すなわち、ロック用突起544とメスコネクタ52の係合穴522との係合を解除しない(非系合解除)状態を非押下状態という。
【0029】
また、ヘッド21を、円柱部211とドーム部212とをそなえたほぼ球形状の外形として形成することにより、ロック解除レバー20を回動させた場合におけるヘッド21付近の外形寸法の変化を小さくすることができる。これによりロック解除アダプタ1のサイズを小さくすることができる。
なお、以下、図1に示すような、ロック解除レバー20をヘッド21の斜面21aを下側に向けた状態を第1の姿勢という場合がある。
【0030】
つまみ22は、シャフト23におけるヘッド21とは反対側において、シャフト23の円周面から、シャフト23の軸方向に沿って突出する板状部材である。
また、このつまみ22における筒状体221の軸方向に沿った縁辺部であって、シャフト23の軸方向におけるヘッド21の反対側位置には、半円状に突出する突出部222が形成されている。
【0031】
作業者は、このつまみ22を持ってロック解除レバー20の回動操作を行ない、図1,図2に示す状態(ロック状態)と、図3,図4に示す状態(ロック解除状態)とを切り替える。
シャフト23におけるつまみ22のヘッド21側には、つまみ22に隣接して回転角度規制用突起24が突出している。この回転角度規制用突起24は、後述するアダプタハウジング10に形成された回転角度規制用溝113(図8(d)参照)に係合する。
【0032】
また、図5(e)に示すように、ロック解除レバー20の矢印B方向から見た場合において、斜面21aが形成されている位置とつまみ22の突出位置とは所定の位置関係を有する。具体的には、ヘッド21をシャフト23の軸方向から見て、斜面21aが形成されている面を下側に向けた場合に、つまみ22は水平方向よりも下側に突出することが望ましい。すなわち、ヘッド21をシャフト23の軸方向から見て、斜面21aの法線方向とつまみ22の突出方向との角度βが90度以下であることが望ましい。図5(e)においては、角度βが約55度程度である例を示す。
【0033】
これにより、ロック解除レバー20を第1の姿勢とした場合に、図5(e)に示すように、つまみ22が水平方向よりも下側に突出する。ただし、この第1の姿勢において、つまみ22が、当該ロック解除アダプタ1が取り付けられたFCケーブル53に干渉しない程度に近づけることが望ましい。
また、図5(e)に示すように、図5(a)の矢印B方向から見た場合において、ヘッド21をシャフト23の軸方向から見て、つまみ22の突出する方向とシャフト23の中心軸を介して対向する位置Pには、円柱部211及びドーム部212が突出している。すなわち、つまみ22の突出する方向とシャフト23の中心軸を介して対向する位置Pには斜面21aは形成されていない。
【0034】
これにより、図3に示すような、つまみ22を上側に向けた場合に、ヘッド21の円柱部211もしくはドーム部212が斜面21aに変わってオスコネクタ54のロック用突起544に対向して接触し、この円柱部211がロック用突起544を押下してロック状態が解除される。
すなわち、つまみ22によるロック解除レバー20の回動操作により、オスコネクタ54のロック用突起544に対向する斜面21aと円柱部211(ドーム部212)とが切り替えられ、これによりロック状態とロック解除状態とが切り替えられる。
【0035】
なお、以下、図3に示すような、つまみ22を上側に向けた状態を第2の姿勢という場合がある。
図8(a)〜(e)は第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1のアダプタハウジング10の構成を示す図であり、図8(a)はその斜視図である。又、図8(b)はその上面図、図8(c)はその正面図である。図8(d),(e)はそれぞれその側面図であり、図8(d)は図8(a)のA矢視図、図8(e)は図8(a)のB矢視図である。又、図9は第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1を通信ケーブルユニット50に取り付ける状態を示す斜視図である。
【0036】
アダプタハウジング10は、図8(a)及び図9に示すように、対向する一対の開口10a,10bをそなえるトンネル形状を有し、これらの開口10a,10bを貫通するように通信ケーブルユニット50やロック解除レバー20を環囲する。
アダプタハウジング10の内部には、図8(a)〜(e)に示すように、その上側において開口10aから開口10bにかけてガイド11が形成されている。ガイド11は、ロック解除レバー20のシャフト23を案内するものであり、シャフト23が回動可能に貫通するアーム部貫通穴111をそなえる。すなわち、アダプタハウジング10はロック解除レバー20のシャフト23を回動自在に軸支する。
【0037】
また、ガイド11における下側には、アーム部貫通穴111に沿ってアーム部取り付け用スリット115が開口している。アダプタハウジング10のガイド11にロック解除レバー20を取り付ける際には、後述の如く、ロック解除レバー20のつまみ22をこのアーム部取り付け用スリット115を通過させる。従って、このアーム部取り付け用スリット115の幅は、つまみ22の板厚寸法よりも大きいことが望ましい。
【0038】
また、アダプタハウジング10の内部において、開口10aに向けて、一対のロック用爪12,12が形成されている。これらのロック爪12,12は、弾性部材で形成され、図9に示すように、アダプタハウジング10を通信ケーブルユニット50のオスコネクタ54に取り付ける際に、例えば、オスコネクタ54のロック解除補助板545に引っ掛けることにより固定する。すなわち、ロック用爪12,12は、互いにロック解除補助板545の両側方から回り込むように挟持する。なお、ロック爪12,12は、ロック解除補助板545に引っ掛ける代わりに、例えば、オスコネクタ54のハウジング541の他の部分(例えば、くぼみ等)に引っ掛けてもよく、種々変形して実施することができる。
【0039】
アダプタハウジング10の下面には、図8(a),(d),(e)に示すように、開口10aから開口10bにかけてスリット15が形成されている。アダプタハウジング10を通信ケーブルユニット50のオスコネクタ54に取り付ける際には、FCケーブル53をこのスリット15を通過させることにより、アダプタハウジング10内に通信ケーブルユニット50を格納する。従って、このスリット15の幅は、FCケーブル53のケーブル太さよりも大きいことが望ましい。
【0040】
また、アダプタハウジング10の内壁面には、オスコネクタ54のハウジング541の端面が当接するための突起である、コネクタロック用突起13,13,14,14が形成されている。これらのコネクタロック用突起13,13,14,14により、アダプタハウジング10内においてオスコネクタ54が位置決めされ、ロック爪12,12により固定される。
【0041】
すなわち、ロック用爪12,12と、アダプタハウジング10内に突出するように形成されたコネクタロック用突起13,13,14,14とにより、ロック解除アダプタ1をオスコネクタ54に固定する。
なお、上述したロック爪12やコネクタロック用突起13,14の位置や形状は、オスコネクタ54の形状に応じて適宜変更して実施される。
【0042】
また、ガイド11における開口10b側の面には、図8(d)に示すように、アーム部貫通穴111の開口に沿って部分的に回転角度規制用溝113が形成されている。この回転角度規制用溝113は、ガイド11のアーム部貫通穴111の開口の周囲を部分的に切除することにより形成され、図8(d)に示す例においては、アーム部貫通穴111の開口の上側から、時計周りに約(180−β)の角度に亘って同一深さで切除することにより回転規制用溝113が形成されている。なお、図8(d)においては、回転規制用溝113が、アーム部貫通穴111の開口の上側から時計周りに約135度に亘って形成されている例を示す。
【0043】
この回転角度規制用溝113は、アダプタハウジング10にロック解除レバー20を取り付けた際に、ロック解除レバー20の回転角度規制用突起24が挿入され、ロック解除レバー20の回動に従って移動する回転角度規制用突起24の移動を規制する。すなわち、回転角度規制用溝113はロック解除レバー20の回転角度を規制する。
なお、ガイド11において回転角度規制用溝113が形成される範囲は、適宜変更して実施することができる。
【0044】
さらに、ガイド11の開口10b側の面において、アーム部取り付け用スリット115から回転角度規制用溝113の下側の端部までの部分は、アーム部貫通穴111の軸方向の寸法が連続的に変化するテーパ114が形成されている。すなわち、ガイド11において、アーム部取り付け用スリット115の縁辺部の方が、回転角度規制用溝113の下側の端部よりもアーム部貫通穴111の軸方向の寸法が短く、回転角度規制用溝113の下側の端部に向かって徐々にアーム部貫通穴111の軸方向の長さが長くなっている。
【0045】
ロック解除レバー20をアダプタハウジング10に取り付ける際に、ガイド11のアーム部貫通穴111にロック解除レバー20を挿入した後、ロック解除レバー20をアーム部貫通穴111内で回動させることにより、アーム部取り付け用スリット115を通過した回転角度規制用突起24がテーパ114に案内され、回転角度規制用溝113に挿入される。
【0046】
すなわち、テーパ114は、ロック解除レバー20の回転角度規制用突起24を回転角度規制用溝113に容易に挿入するために形成されている。
上述の如く構成されたアダプタハウジング10に対して、ロック解除レバー20を組み付けることによりロック解除アダプタ1を組み立てる。
図10は第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1の構成を示す分解斜視図である。この図10に示すように、アダプタハウジング10の開口10a側から、ガイド11のアーム部貫通穴111にロック解除レバー20のシャフト23を挿入することにより、アダプタハウジング10にロック解除レバー20を取り付ける。又、この際、ガイド11のアーム部取り付け用スリット115につまみ22を通過させる。
【0047】
その後、ロック解除レバー20を、アーム部貫通穴111内で図10の矢印D方向に回動させると、回転角度規制用突起24がガイド11のテーパ114によって回転角度規制用溝113に案内される。なお、一旦、回転角度規制用溝113内に配置された回転角度規制用突起24は、アーム部貫通穴111内でロック解除レバー20を回動させても、回転角度規制用突起24が回転角度規制用溝113の下側の端部に当接し、回転角度規制用溝113から回転角度規制用突起24が容易に飛び出すことはない。
【0048】
図11(a),(b)は第1実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1の通信ケーブルユニット50への取り付け手法を例示する斜視図である。すなわち、図11(a)はロック解除アダプタ1のハウジング10内にFCケーブル53を通過させる前の状態を示す斜視図、図11(b)はそのハウジング10内にFCケーブル53を通過させた状態を示す斜視図である。
【0049】
図11(a)に示すように、アダプタハウジング10を、開口10aをオスコネクタ54に向けた状態で、スリット15にFCケーブル53を通過させる。
また、アダプタハウジング10内にFCケーブル53を貫通させた状態で、アダプタハウジング10をオスコネクタ54に近付けるように移動(スライド)させる。
そして、図9に示すように、オスコネクタ54にロック解除アダプタ1を固定する。すなわち、コネクタロック用突起13,13,14,14にオスコネクタ54が当接した状態で、ロック爪12,12をオスコネクタ54のロック解除補助板545に引っ掛けることにより、オスコネクタ54にロック解除アダプタ1を固定する。
【0050】
図12は情報処理装置としてのFCスイッチ300の斜視図、図13は図12の入出力ポート301を拡大して示す図である。又、図14は図13に示す入出力ポート301において一部のロック解除アダプタ1をロック解除状態にした例を示す斜視図である。
図12に示す例においては、FCスイッチ300に2つの入出力ポート301がそなえられている。又、これらの図12,図13に示す例においては、各入出力ポート301に、上下2段に分けて計8個のメスコネクタ52が配置されている。
【0051】
なお、これらの図12,図13に示す例においては、入出力ポート301に上下2段に配置されたメスコネクタ52の内、下の段に配置されたメスコネクタ52は、上の段のメスコネクタ52と180度反転した状態で取り付けられている。
そして、これらのメスコネクタ52に、ロック解除アダプタ1が取り付けられた通信ケーブルユニット50が取り付けられる。なお、以下、ロック解除アダプタ1が取り付けられた通信ケーブルユニット50をアダプタ付き通信ケーブルユニット50という。
【0052】
なお、図12に示す例においては、一方の入出力ポート301のメスコネクタ52に対してのみ、アダプタ付き通信ケーブルユニット50を取り付けている。
また、本アダプタ付き通信ケーブルユニット50において、オスコネクタ54がメスコネクタ52に取り付けられたロック状態においては、例えば、図13における上の段のメスコネクタ52に取り付けられたアダプタ付き通信ケーブルユニット50のように、ロック解除アダプタ1のつまみ22が水平方向よりも下側に向いている。
【0053】
このように、ロック状態においてつまみ22をアダプタハウジング10よりも上方に突出させないように構成することにより、意図せずにつまみ22が操作されてロック状態が解除されることを防止することができ、信頼性を向上させることができる。
そして、アダプタ付き通信ケーブルユニット50を取り外す場合には、図14に示すように、対象とするアダプタ付き通信ケーブルユニット50(図14中では2つ)のつまみ22を回動させて上側に向ける。これにより、回転角度規制用突起24が回転角度規制用溝113に案内されながら、ヘッド21が回動する。
【0054】
このヘッド21の回動により、オスコネクタ54のロック解除補助板545に対向する部位が斜面21aから円柱部211もしくはドーム部212に入れ替わり、この円柱部211もしくはドーム部212がオスコネクタ54のロック解除補助板545を押下する。そして、このロック解除補助板545によってロック用突起544が押下され、メスコネクタ52とオスコネクタ54とのロック状態が解除される。
【0055】
本アダプタ付き通信ケーブルユニット50においては、つまみ22を回動操作することにより、通信ケーブルユニット50のロック状態の解除を容易に行なうことができる。又、つまみ22の位置により、アダプタ付き通信ケーブルユニット50におけるロックの状態を容易に視認することができ利便性が高い。
図15は情報処理装置としてのFCスイッチ300の斜視図であり、入出力ポート301において、メスコネクタ52が上下方向に3つ(3段)並べて実装されている例を示す。又、図16(a),(b)は図15のFCスイッチの入出力ポート301を拡大して示す図であり、図16(a)は全てのアダプタ付き通信ケーブルユニット50がロック状態を示し、図16(b)は一部のアダプタ付き通信ケーブルユニット50のロック状態が解除されている例を示す。又、図17は図16(b)のC矢視図、図18は図16(b)のD矢視図である。ただし、図17,図18においては、便宜上、上下方向に並んだ3つのアダプタ付き通信ケーブルユニット50だけを示し、他のアダプタ付き通信ケーブルユニット50の図示を省略する。
【0056】
本ロック解除アダプタ1によれば、これらの図15,図16(a),(b),図17,図18に示すように、入出力ポート301において、メスコネクタ52が上下方向に3つ(3段)以上並べて実装され、中間に位置するメスコネクタ52の上下の隙間が非常に狭い場合であっても、容易にロックの解除を行なうことができる。
すなわち、ロック解除の操作を行なうためのつまみ22が、FCケーブル53に沿って突出するロック解除レバー20のシャフト23から突出するように形成されているので、オスコネクタ54から離隔してつまみ22が位置する。これにより、つまみ22へ作業者の指が到達し易くなり作業性が向上する。
【0057】
(B)第2実施形態
図19は第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1のロック状態を示す側断面図である。なお、この図19中においては、便宜上、オスコネクタ54におけるロック用突起544及びロック解除補助板545以外の内部構成やFCケーブル53の内部構成の図示を省略している。
【0058】
本第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1も第1実施形態のロック解除アダプタ1と同様に、図28に示すような通信ケーブルユニット50のオスコネクタ54に取り付けられ、ロック用突起544,544を用いたロック状態の解除作業を容易に行なわせる。
なお、図中、既述の符号と同一の符号は同一もしくは略同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0059】
本第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタも第1実施形態と同様に、アダプタハウジング10とロック解除レバー20とをそなえる。
図20(a)〜(e)は第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1のロック解除レバー20の構成を示す図であり、図20(a)はその斜視図である。又、図20(b)はその上面図、図20(c)はその正面図である。図20(d),(e)はそれぞれその側面図であり、図20(d)は図20(a)のA矢視図、図20(e)は図20(a)のB矢視図である。
【0060】
また、図21(a)〜(e)は第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1のアダプタハウジング10の構成を示す図であり、図21(a)はその斜視図である。又、図21(b)はその上面図、図21(c)はその正面図である。図21(d),(e)はそれぞれその側面図であり、図21(d)は図21(a)のA矢視図、図21(e)は図21(a)のB矢視図である。
【0061】
また、図22(a),(b)は第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1の構成を示す分解斜視図であり、図22(a)はその開口10a側から見た図、図22(b)はその開口10(b)側から見た図である。
本第2実施形態において、ロック解除レバー20は、図20(a),(b),(c)に示すように、円柱状のシャフト23の一端側にヘッド21をそなえ、又、その他端側に筒状体221をそなえる。又、この筒状体221につまみ22が形成されている。
【0062】
なお、本第2実施形態において、ヘッド21の形状や機能は第1実施形態と同様であり、その説明は省略する。
また、本第2実施形態においても、ロック解除レバー20における、ヘッド21の斜面21aが形成されている位置とつまみ22の突出位置とは、第1実施形態と同様の位置関係を有する。
【0063】
筒状体221は、その内部にシャフト23が嵌合される筒状の部材であり、その円周面から、シャフト23の軸方向に沿って板状部材のつまみ22が突出する。なお、筒状体221に対してシャフト23は例えば、圧入/接着により固定する。又、ロック解除レバー20の強度を確保するために、例えば、シャフト23と筒状体221との少なくとも一方の接触面にローレット加工や回転止めの溝加工等を行なってもよい。
【0064】
また、筒状体221におけるヘッド21側の端面には、規制用突起(回動規制突起)241が形成されている。この規制用突起241は、アダプタハウジング10に形成された回転ロック凹み(回動規制凹み)117(図22(b)参照)に係合して、ロック解除レバー20の回動を規制(阻止)する。すなわち、これらの規制用突起241と回転ロック凹み117とがロック解除レバー20の開度を抑止する回動抑止機構として機能する。
【0065】
回転ロック凹み117は、ガイド11における開口10b側の面において、図21(d)に示すように、回転角度規制用溝113の下側の端部を、規制用突起24が挿入可能な大きさに切除することにより構成される。すなわち、図21(d)に示す例においては、ガイド11のアーム部貫通穴111の開口の周囲において、アーム部貫通穴111の上側から時計周りに約135度の位置付近に、回転ロック凹み117が形成されている。そして、これにより、回転ロック凹み117は回転角度規制用溝113に隣接している。
【0066】
そして、規制用突起241が回転ロック凹み117に係合することにより、ロック解除レバー20の回動が規制される。すなわち、規制用突起241と回転ロック凹み117とが協働してラッチとして機能することにより、ロック解除レバー20の回動規制機構を実現する。
この規制用突起241によるロック解除レバー20の回転規制機構の機能を解除するためには、ロック解除レバー20をシャフト23の軸に沿ってメスコネクタ52とは反対側(図19の紙面右側)へ引っ張り、規制用突起241と回転ロック凹み117との係合を解除する。そして、更に、回転ロック凹み117から引き出した規制用突起241を、ロック解除レバー20を図22(b)のD矢印方向に回動させることにより、回転ロック凹み117に隣接して設けられた回転角度規制用溝113に移動させる。
【0067】
また、規制用突起241は、第1実施形態の回転角度規制用突起24と同様に、ロック解除レバー20の回動に従い、回転角度規制用溝113内を移動する。すなわち、この規制用突起241は、前述した回転角度規制用突起24としての機能もそなえる。
さらに、本第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1は、図19に示すような第1の姿勢において、規制用突起241を回転ロック凹み117へ付勢する付勢機構3をそなえる。
【0068】
この付勢機構3は、図19に示すように、バネ取付穴116と、このバネ取付穴116内に配置されるバネ(弾性部材)30とをそなえ、ロック解除レバー20をメスコネクタ52側(図19の紙面右側)へ付勢する。
バネ取付穴116は、アダプタハウジング10のアーム部貫通穴111における開口10a側に、所定の深さまでアーム部貫通穴111の内径を同心状に広げることによって形成される。そして、このバネ取付穴116内に、ロック解除レバー20のシャフト23を環囲した状態でバネ30が配置される。又、このバネ30のシャフト23の軸方向長さは、バネ取付穴116の深さよりも長く、バネ30はバネ取付穴116内にロック解除レバー20のヘッド21とバネ取付穴116の底部116aとにより押し縮められた状態で取り付けられる。
【0069】
これにより、付勢機構3は、図19に示すような第1の姿勢において、ロック解除レバー20をメスコネクタ52側へ付勢することにより、規制用突起241を回転ロック凹み117に押し付けるように付勢する。
すなわち、本第2実施形態のロック解除アダプタ1においては、この付勢機構3が、規制用突起241がアダプタハウジング10の回転ロック凹み117に係合した状態で、この係合状態を維持するよう付勢する。これにより、操作者の意図しないロック解除レバー20の回動を抑止して、意図しないロック状態の解除が阻止されるので、信頼性を向上させることができる。
【0070】
なお、付勢機構3においては、バネ30に代えてゴム等の他の弾性部材を用いてもよく、適宜変更して実施することができる。
上述の如く構成されたアダプタハウジング10に対して、ロック解除レバー20を組み付けることにより本第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1を組み立てる。
すなわち、先ず、図22(a)に示すように、アダプタハウジング10の開口10a側から、バネ取付穴116にバネ30を挿入する。その後、このバネ30及びガイド11のアーム部貫通穴111にロック解除レバー20のシャフト23を開口10a側から挿入する。
【0071】
そして、図22(b)に示すように、アダプタハウジング10の開口10b側から、ガイド11から突出したシャフト23のヘッド21とは反対側の端部に、筒状体221を嵌め合わせ、筒状体221とシャフト23とは例えば、圧入/接着により固定する。
また、この際、ロック解除レバー20において、斜面21aが形成されている位置とつまみ22の突出位置とが、前述した所定の位置関係を有するように調整する。
【0072】
このようにして、ロック解除アダプタ1が生成される。
そして、本第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1においても、第1実施形態と同様の手法により、通信ケーブルユニット50に取り付けられる。
また、本第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1をそなえたアダプタ付き通信ケーブルユニット50も、図12,図13等に示した第1実施形態と同様に、情報処理装置としてのFCスイッチ300の入出力ポート301のメスコネクタ52に取り付けられる。
【0073】
図23及び図24は、第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1におけるロック解除レバー20の回転操作を説明するための側面透視図であり、図23はそのロック状態を示す図、図24はそのロック解除状態を示す図である。又、図25は第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1のロック解除状態を示す側断面図、図26はその斜視図である。なお、図25中においては、便宜上、オスコネクタ54におけるロック用突起544及びロック解除補助板545以外の内部構成やFCケーブル53の内部構成の図示を省略している。
【0074】
図23に示す例においては、ロック状態を示しており、ヘッド21が斜面21aによって解除補助板545に対向し、この解除補助板545及びロック用突起544は押下されていない。
かかる状態において、ロック解除レバー20の規制用突起241は、アダプタハウジング10の回転ロック凹み117に係合しており、これによりロック解除レバー20の回動は抑止されている。
【0075】
また、ロック解除レバー20はバネ30の弾性によりアダプタハウジング10側(図23中における左側)に押し付けられ、回転角度規制用突起24と回転ロック凹み117との係合状態が維持される。
この図23に示すようなロック状態を解除するためには、図24に示すように、ロック解除レバー20をヘッド21とは反対方向(図24中における右側:ロック解除レバー引き方向)に引くことにより、回転ロック凹み117から規制用突起241を抜き出し、係合状態を解除する。この際、つまみ22の突出部222に指をかけることにより、ロック解除レバー20を容易且つ確実に引くことができ、操作性が向上する。
【0076】
回転ロック凹み117と規制用突起241との係合状態を解除することにより、規制用突起241が回転角度規制用溝113内を移動可能となる。このような状態において、規制用突起241が回転角度規制用溝113内にある範囲内で、ロック解除レバー20を回動させることが可能となる。
なお、図23に示す例において、ヘッド21のシャフト23側の端面とガイド11の開口10a側の端面との間隔dがロック解除レバー20の引き代d(図24参照)に相当する。
【0077】
本第2実施形態のロック解除アダプタ1においては、このように、ロック解除レバー20をロック解除レバー引き方向へ引くことにより規制用突起241と回転ロック凹み117との係合を解除し、この係合解除状態でロック解除レバー20を回動する。これにより、規制用突起241が回転角度規制用溝113に案内されながら、ヘッド21が回動する。
【0078】
また、本第2実施形態のロック解除アダプタ1においても、第1実施形態と同様に、一旦、回転角度規制用溝113内に配置された規制用突起241は、アーム部貫通穴111内でロック解除レバー20を回動させても、規制用突起241が回転角度規制用溝113(回転角度規制用溝113)の下側の端部に当接し、回転角度規制用溝113から規制用突起241が容易に飛び出すことはない。
【0079】
このヘッド21の回動により、ヘッド21の円柱部211もしくはドーム部212がオスコネクタ54のロック解除補助板545を押下し、この解除補助板545によってロック用突起544が押下され、メスコネクタ52とオスコネクタ54とのロック状態が解除される。
そして、図25,図26に示すように、つまみ22を上側に向けて第2の姿勢にすると、ヘッド21の円柱部211がオスコネクタ54のロック用突起544を押下してロック状態が解除される。
【0080】
このように、第2実施形態の一例としてのロック解除アダプタ1によれば、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる他、規制用突起241及び回転ロック凹み117により、意図しないロック状態の解除が阻止されるので、信頼性を向上させることができる。
また、付勢機構3をそなえ、規制用突起241がアダプタハウジング10の回転ロック凹み117に係合した状態で、この係合状態を維持するよう付勢することにより、規制用突起241と回転ロック凹み117との係合が維持され、これにより、更に、信頼性を向上させることができる。
【0081】
(C)その他
なお、上述した各実施形態に関わらず、各実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述した各実施形態においては、通信ケーブルユニット50の例として、DLCコネクタとして構成されたFCケーブルについて説明したが、これに限定されるものではなく、同様のプッシュプルロック機能をそなえる種々のコネクタを用いるコネクタユニットに適用することができる。
【0082】
また、上述した各実施形態においては、ヘッド21を円柱部211とドーム部212とをそなえたほぼ球形状の外形として形成し、又、その一部を切り欠いて斜面21aを形成しているが、これに限定されるものではない。すなわち、ヘッド21として、シャフト23の軸方向と直行する方向に部分的に突出する部分(押下突起部)と、突出しない部分とをそなえ、ロック解除レバー20の回動に応じて、これらの部分を切り替え可能に構成することにより、適宜変更して実施することができる。
【0083】
さらに、上述した各実施形態においては、斜面21aが形成されている位置とつまみ22の突出位置とは所定の位置関係を有し、ロック解除レバー20を第1の姿勢とした場合に、図5(e)に示すように、つまみ22が水平方向よりも下側に突出するように構成しているが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、実装時のスペースに十分な余裕がある場合等には、斜面21aが形成されている位置とつまみ22の突出位置とが、これらの位置関係を有しなくてもよく、例えば、これらを平行に配置してもよい。
【0084】
そして、上述した開示により本実施形態を当業者によって実施・製造することが可能である。
(D)付記
(付記1)
第1コネクタに第2コネクタが固定されてロック状態となり、ロック解除突起を押下することにより前記ロック状態が解除されるコネクタユニットに取り付けられるロック解除アダプタであって、
前記第2コネクタに固定されるホルダと、
前記ホルダに回動自在に軸支される軸部材とをそなえ、
前記軸部材が、
前記軸部材の回転軸方向の一端において、当該回転軸と直行する方向に突出する押下突起部をそなえ、
前記軸部材の第1の回動位置において前記押下突起部が前記ロック解除突起を押下することにより、前記ロック状態を解除することを特徴とする、ロック解除アダプタ。
【0085】
(付記2)
前記軸部材の第2の回動位置において前記押下突起部が前記ロック解除突起に非押下状態となることにより、前記ロック状態を維持することを特徴とする、付記1記載のロック解除アダプタ。
(付記3)
前記押下突起部が前記軸部材の円周方向に沿って立設するとともに、前記軸部材の円周方向における一部において前記押下突起部が不在の非突出部分を有し、前記第2の回動位置において、前記非突出部分が前記ロック解除突起に対向することを特徴とする、付記2記載のロック解除アダプタ。
【0086】
(付記4)
前記軸部材の回動を抑止する回動抑止機構をそなえることを特徴とする、付記1〜3のいずれか1項に記載のロック解除アダプタ。
(付記5)
前記回動抑止機構が、
前記軸部材の外周面に突出する回動規制突起と、
前記ホルダにおいて、前記軸部材を軸支する貫通穴の縁辺に前記回動規制突起が係合される回動規制凹みとをそなえることを特徴とする、付記4記載のロック解除アダプタ。
【0087】
(付記6)
前記回動規制突起を前記回転規制凹みに押し付けるように付勢する付勢機構をそなえることを特徴とする、付記5記載のロック解除アダプタ。
(付記7)
ロック解除突起を有し、第1コネクタに固定されてロック状態となるとともに、前記ロック解除突起を押下することにより前記ロック状態が解除される第2コネクタをそなえる通信ケーブルユニットであって、
前記第2コネクタに固定されるホルダと、
前記ホルダに回動自在に軸支される軸部材とをそなえ、
前記軸部材が、
前記軸部材の回転軸方向の一端において、当該回転軸と直行する方向に突出する押下突起部をそなえ、
前記軸部材の第1の回動位置において前記押下突起部が前記ロック解除突起を押下することにより、前記ロック状態を解除することを特徴とする、通信ケーブルユニット。
【0088】
(付記8)
前記軸部材の第2の回動位置において前記押下突起部が前記ロック解除突起に非押下状態となることにより、前記ロック状態を維持することを特徴とする、付記7記載の通信ケーブルユニット。
(付記9)
前記押下突起部が前記軸部材の円周方向に沿って立設するとともに、前記軸部材の円周方向における一部において前記押下突起部が不在の非突出部分を有し、前記第2の回動位置において、前記非突出部分が前記ロック解除突起に対向することを特徴とする、付記8記載の通信ケーブルユニット。
【0089】
(付記10)
前記軸部材の回動を抑止する回動抑止機構をそなえることを特徴とする、付記7〜9のいずれか1項に記載の通信ケーブルユニット。
(付記11)
前記回動抑止機構が、
前記軸部材の外周面に突出する回動規制突起と、
前記ホルダにおいて、前記軸部材を軸支する貫通穴の縁辺に前記回動規制突起が係合される回動規制凹みとをそなえることを特徴とする、付記10記載の通信ケーブルユニット。
【0090】
(付記12)
前記回動規制突起を前記回転規制凹みに押し付けるように付勢する付勢機構をそなえることを特徴とする、付記11記載の通信ケーブルユニット。
【符号の説明】
【0091】
1 ロック解除アダプタ
3 付勢機構
10 アダプタハウジング(ホルダ)
10a,10b 開口
11 ガイド
12 ロック爪
13,14 コネクタロック用突起
20 ロック解除レバー(軸部材)
21 ヘッド(押下突起部),
21a 斜面(非突出部分)
22 つまみ
23 シャフト
24 回転角度規制用突起
50 通信ケーブルユニット
52 メスコネクタ(第1コネクタ)
53 FCケーブル
54 オスコネクタ(第2コネクタ)
111 アーム部貫通穴
113 回転角度規制用溝
114 テーパ
115 アーム部取り付け用スリット
117 回転ロック凹み(回動規制凹み)
211 円柱部
212 ドーム部
222 突出部
241 規制用突起(回動規制突起)
300 FCスイッチ(情報処理装置)
301 入出力ポート
522 係合穴
541 ハウジング
543 端子
544 ロック用突起
544a 端部
545 ロック解除補助板
545a 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタに第2コネクタが固定されてロック状態となり、ロック解除突起を押下することにより前記ロック状態が解除されるコネクタユニットに取り付けられるロック解除アダプタであって、
前記第2コネクタに固定されるホルダと、
前記ホルダに回動自在に軸支される軸部材とをそなえ、
前記軸部材が、
前記軸部材の回転軸方向の一端において、当該回転軸と直行する方向に突出する押下突起部をそなえ、
前記軸部材の第1の回動位置において前記押下突起部が前記ロック解除突起を押下することにより、前記ロック状態を解除することを特徴とする、ロック解除アダプタ。
【請求項2】
前記軸部材の第2の回動位置において前記押下突起部が前記ロック解除突起に非押下状態となることにより、前記ロック状態を維持することを特徴とする、請求項1記載のロック解除アダプタ。
【請求項3】
前記押下突起部が前記軸部材の円周方向に沿って立設するとともに、前記軸部材の円周方向における一部において前記押下突起部が不在の非突出部分を有し、前記第2の回動位置において、前記非突出部分が前記ロック解除突起に対向することを特徴とする、請求項2記載のロック解除アダプタ。
【請求項4】
前記軸部材の回動を抑止する回動抑止機構をそなえることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のロック解除アダプタ。
【請求項5】
前記回動抑止機構が、
前記軸部材の外周面に突出する回動規制突起と、
前記ホルダにおいて、前記軸部材を軸支する貫通穴の縁辺に前記回動規制突起が係合される回動規制凹みとをそなえることを特徴とする、請求項4記載のロック解除アダプタ。
【請求項6】
ロック解除突起を有し、第1コネクタに固定されてロック状態となるとともに、前記ロック解除突起を押下することにより前記ロック状態が解除される第2コネクタをそなえる通信ケーブルユニットであって、
前記第2コネクタに固定されるホルダと、
前記ホルダに回動自在に軸支される軸部材とをそなえ、
前記軸部材が、
前記軸部材の回転軸方向の一端において、当該回転軸と直行する方向に突出する押下突起部をそなえ、
前記軸部材の第1の回動位置において前記押下突起部が前記ロック解除突起を押下することにより、前記ロック状態を解除することを特徴とする、通信ケーブルユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−41775(P2013−41775A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178961(P2011−178961)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】