説明

ロバストなオンライン固定子巻き故障識別システム

【課題】電動機の固定子における巻き故障を識別するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】この方法は、電動機の測定された電圧および電流の対称成分から正規化交差インピーダンスを求めることを含む。また、正規化交差インピーダンスを負シーケンスインピーダンスに対して正規化することができる。負シーケンスインピーダンスは、線間電圧、馬力、極の数のような電動機のパラメータを使用した回帰分析によって求めることができる。正規化交差インピーダンスを求め、正規化交差インピーダンスを1つまたは複数のしきい値と比較し、電動機のトリガ、警報出力、および/または遮断を行うように構成されたメモリおよびプロセッサを有する装置を含むシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、交流(AC)誘導電動機の固定子の巻き故障(turn fault)を検出することに関する。
【背景技術】
【0002】
AC誘導電動機は、広範囲の用途およびプロセスに使用されている。AC誘導電動機は通常、固定部、すなわち「固定子」と、回転部、すなわち「回転子」とを含む。3相AC電動機では、固定子に電力を印加して磁界を誘導し、回転子を旋回させ、機械的エネルギーを発生させる。固定子は、磁界を誘導するのに必要な電流を搬送する任意の数の「巻き線」または巻き極(wound poles)を含むことができる。これらの巻き線は、巻き線の「巻き数」によって特徴付けられることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5514978号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの環境では、固定子の巻き線では、一般に「巻き故障:turn fault」と呼ばれる巻き線の巻き同士の間の短絡が生じやすい。巻き線および絶縁部に使用される材料に応じて、任意の数または種類の故障が生じる可能性がある。このような故障は、機械的、化学的、または電気的なものであり、絶縁の劣化、巻き線材料、製造上の欠陥などによって生じるおそれがある。これらの巻き故障は、緩慢に(gradually)巻き線の長期故障(extended failures)となり、最終的に電動機が故障し、電動機構成部品または電動機自体を交換するかあるいは修理することになる。電動機または電動機構成部品の修理または交換は予測できないものであり、電動機をオフラインにしたときに電動機を使用する用途またはプロセスで望ましくないダウンタイムが生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
誘導電動機において巻き故障を判定する方法を提供する。この方法は、負シーケンス電圧を求めるステップと、負シーケンス電流および正シーケンス電流を求めるステップと、負シーケンスインピーダンスを求めるステップと、負シーケンス電圧、負シーケンス電流、正シーケンス電流、正シーケンス電圧、および負シーケンスインピーダンスから正規化交差インピーダンスを求めるステップと、正規化交差インピーダンスが巻き故障の存在を示しているかどうかを判定するステップとを含む。
【0006】
誘導電動機における巻き故障を判定するシステムであって、誘導電動機に結合され、負シーケンス電圧、負シーケンス電流、正シーケンス電圧、および正シーケンス電流を求めるように構成された、保護リレーや計器などの装置を含み、該装置がメモリを含むシステムを提供する。メモリは、負シーケンスインピーダンスまたは正シーケンスインピーダンスによって正規化されたインピーダンスを含む正規化交差インピーダンスを求める命令と、正規化交差インピーダンスが、巻き故障が存在することを示しているかどうかを判定する命令とを含む。
【0007】
有形コンピュータ可読媒体を備える製造方法を提供する。有形コンピュータ可読媒体は、負シーケンス電流および正シーケンス電流を求め、負シーケンスインピーダンスを求め、負シーケンス電圧、負シーケンス電流、正シーケンス電流、正シーケンス電圧、および負シーケンスインピーダンスから正規化交差インピーダンスを求め、正規化交差インピーダンスが巻き故障の存在を示すかどうかを判定するように構成されたコードを含む。
【0008】
正規化交差インピーダンスを求めるステップと、正規化交差インピーダンスを第1のしきい値と比較するステップと、正規化交差インピーダンスが第1のしきい値より大きい場合、第1の警報をトリガするステップとを含む他の方法を提供する。
【0009】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読んだときによりよく理解されよう。図面全体にわたって、同じ符号は同じ部品を表している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態による誘導電動機の概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による図1の誘導電動機を含むシステムのブロック図である。
【図3】一般的な多相巻き線の一次固定子巻き線の電圧および電流を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による負シーケンスインピーダンス巻き故障同士の関係のグラフである。
【図5】本発明の一実施形態による固定子巻き故障を判定するプロセスを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による固定子巻き故障に応答するプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、誘導電動機10の概略斜視図である。図1は、例示のためのみのものであり、本発明の実施形態は任意の特定の電動機またはその構成に限らない。図示の例では、電動機10は、回転子コアを貫通して延びる回転子軸14を含む回転子組立体12を含む。回転子組立体12は軸14と一緒に固定子組立体16内部で回転することができる。回転子軸14を囲む軸受組立体18は、固定子組立体16内でのこのような回転を円滑にすることができる。固定子組立体16は、固定子組立体16を貫通して回転子軸14の周りを周方向にかつ回転子軸14に沿って軸方向に延びる複数の固定子巻き線19を含む。動作時には、固定子巻き線19内で誘導される回転磁界が回転子組立体12内の誘導電流に反応して回転子組立体12を回転させ、電気エネルギーを、軸14を通って出力される機械的エネルギーに変換する。いくつかの実施形態では、電動機10は同期電動機であり、他の実施形態では、電動機10は非同期電動機である。同期電動機は、極対数によって高くなる電源周波数とまったく同じ周波数で回転し、一方、非同期電動機は、スリップが存在することを特徴とするより低い周波数を示す。
【0012】
固定子巻き線19は、銅線のような任意の適切な導電材料であってもよく、巻き線と固定子組立体16の他の部品との間に絶縁部を含むことができる。巻き線19は、固定子組立体16の性能に影響を与え、さらに回転子組立体12およびモータ10によって出力されるエネルギーに影響を及ぼす化学的、機械的、または電気的劣化を受けやすい。製造上の欠陥によって巻き線19の性能が低下することもある。巻き線19における巻き故障は、電流および固定子組立体16内で誘導される磁界に干渉するおそれがある。電動機10の動作を簡単な図によって説明するが、電動機10の例はこの特定の簡素な設計に限定されない。他のより複雑な設計も適用可能であり、該構成には以下に詳しく論じる技術が有利であり得る。
【0013】
図2は、図1の誘導電動機10を含むシステム20のブロック図である。誘導電動機10をAC主電源や他のAC電源などの3相電源に結合することができる。3相AC電源は、線22によって示されているように誘導電動機10に電力を供給している。電動機10を制御し監視するために、リレー、計器、または任意の他の適切な装置などの装置24を電動機10に結合することができる。装置24が、コンピュータの構成部品を含んでも、コンピュータであってもよいことを理解されたい。たとえば、図2に示されているように、装置24はプロセッサ26とメモリ28とを含む。メモリ28は、任意の適切な揮発性メモリ、非揮発性メモリ、またはそれらの組み合わせであってもよい。メモリ28は、電動機10を制御し監視するための任意のパラメータ、アルゴリズム、または他のデータを記憶することができ、プロセッサ26がこのデータにアクセスするのを可能にする。
【0014】
装置24は、誘導電動機10の様々なパラメータを監視することができる。たとえば、電流、電圧、または任意の他のパラメータを監視するセンサ、変圧器など、誘導電動機10内の様々な監視構成部品に装置24を結合することができる。線30によって示されているように、装置24は電動機10から電動機相電流を受けることができる。また、線32によって示されているように、装置24は、電動機10から電動機相電圧を受け取ることができる。信号調節器、増幅器、フィルタのような様々な信号処理構成部品を装置24内または電動機10と装置24との間に含めることができることを理解されたい。装置24は、電動機のオン・オフを切り替えるスイッチ25を含んでもよい。以下に詳しく説明するように、装置24は、巻き故障に応じてスイッチ25を介して電動機10を停止することができる。装置24はディスプレイ27を含んでもよい。ディスプレイ27は、視覚的および/または聴覚的ディスプレイ機能を含むことができる。
【0015】
理解されるように、装置24は、受け取った3相パラメータを対称成分、たとえば正シーケンス(p)成分、負シーケンス(n)成分、零シーケンス(0)成分に変換することもできる。たとえば、3相電流Ia、Ib、およびIc用の各フェーザを対称成分Ip、In、およびI0に変換することができる。同様に、3相電流Va、Vb、およびVc用の各フェーザを対称成分Vp、Vn、およびV0に変換することができる。
【0016】
図3〜6は、電動機10の固定子組立体16の巻き故障を判定する技術を示している。一実施形態では、固定子組立体16における巻き故障の数を示すものとして正規化交差インピーダンスを求めることができる。以下に詳しく説明するように、正規化交差インピーダンスは、負シーケンス電圧、負シーケンス電流、正シーケンス電流、正シーケンス電圧、負シーケンスインピーダンスのような、電動機10の様々なパラメータから求めることができる。
【0017】
図3は、3相電圧Va、Vb、およびVcならびに3相電流Ia、Ib、およびIcを示す、一般的な多相巻き線の一次固定子巻き線34を示している。理解されるように、3相巻き線の電圧と電流とインピーダンスとの関係は以下のように表すことができる。
【0018】
【数1】

上式で、Va、Vb、およびVcは相a、b、およびc用の電圧である。
a、Ib、およびIcは相a、b、およびc用の電流である。
aa、Zbb、およびZccは相a、b、およびc用のインピーダンスである。
ab、Zba、Zac、Zca、Zbc、およびZcbは相aと相bとの間の相互インピーダンス、相aと相cとの間の相互インピーダンス、相bと相cとの間の相互インピーダンスである。
【0019】
対称成分理論を数式1に適用すると、電圧、電流、およびインピーダンスの対称成分間の関係を以下のように表すことができる。
【0020】
【数2】

上式で、
pは正シーケンス電圧であり、
nは負シーケンス電圧であり、
pは正シーケンス電圧であり、
nは負シーケンス電圧であり、
ppは正シーケンスインピーダンスであり、
nnは負シーケンスインピーダンスであり、
npは負−正差分インピーダンスであり、
pnは正−負差分インピーダンスである。
【0021】
理想的な電動機10では、数式2の非対角要素は零であり、電動機10のための、切り離された正シーケンス成分回路と負シーケンス成分回路を意味する。数式2に基づいて、負シーケンス電圧は以下のように求めることができる。
【0022】
【数3】

したがって、数式3に基づいて、負シーケンスインピーダンスZnnに対する正規化交差インピーダンスを以下のように求めることができる。
【0023】
【数4】

上式で、
np/Znnは負シーケンスインピーダンスに対する正規化交差インピーダンスである。
【0024】
他の実施形態では、正規化交差インピーダンスを正シーケンスインピーダンスに対して正規化することができる。正シーケンスインピーダンスに対する正規化交差インピーダンスは以下のように求めることができる。
【0025】
【数5】

上式で、
np/Zppは正シーケンスインピーダンスに対する正規化交差インピーダンスである。
【0026】
正シーケンスインピーダンスに対する正規化交差インピーダンスを、負シーケンスインピーダンスに対する正規化交差インピーダンスと一緒に使用して、固定子16における巻き故障の検出をさらに強化することができる。
【0027】
図4は、(負シーケンスインピーダンスに対する)正規化交差インピーダンスと巻き故障の数との関係のグラフ40である。グラフ40のy軸は正規化交差インピーダンスZnp/Znnであり、x軸は存在する可能性のある巻き故障の数である。図4に示されているように、第1の点42は、約0.02のZnp/Znnに相当し、「健全な」電動機、すなわち巻き故障を有する可能性が低い電動機を示す。第2の点44は、約0.025の正規化交差インピーダンスに相当し、約1つの巻き故障が存在することを示している。第3の点46は、約0.045の正規化交差インピーダンスに相当し、約2つの巻き故障が存在する可能性があることを示している。グラフ40に示されているように、第1の点42における「健全」値からの正規化交差インピーダンスの上昇は、電動機10に存在する可能性がある巻き故障の数の増加に対応する。正規化交差インピーダンスをこれらの相関値と比較することによって、巻き故障の数および/または深刻度の指標を求めることができる。
【0028】
上記に数式2〜5で説明したように、正規化交差インピーダンスを求める際に使用される1つのパラメータは負シーケンスZnnである。様々な技術を使用して負シーケンスインピーダンスZnnを求めることができる。いくつかの実施形態では、以下の技術、すなわち、1)機械パラメータを使用した計算、2)不平衡を故意に導入することによって直接、試運転時に負シーケンスインピーダンスを測定すること、または3)電動機10のパラメータの負シーケンスインピーダンスをヒューリスティックに求めることのうちの任意の1つまたは組み合わせを使用して求めることができる。
【0029】
一実施形態では、ヒューリスティックに求めることは、回帰分析によって、負シーケンスインピーダンスZnnと電動機10のパラメータとの関係を判定することを含むことができる。1つのそのような実施形態では、以下のように表すことのできる関係を有する静止インピーダンスとしてZnnを求めることができる。
【0030】
【数6】

上式で、
HPは電動機10の定格馬力であり、
極は電動機10の極の数であり、
電圧は電動機10の線間電圧であり、
周波数は電動機10の周波数であり、
サイズは電動機10のサイズである。
【0031】
このような実施形態では、回帰分析を低HP機械(500HP以下)用の第1の分析と高HP機械(500HPを超える)用の第2の分析に分割することができる。この実施形態では、負シーケンスインピーダンスを上述のパラメータの非線形高階関数として表すことができる。たとえば、Znnの大きさを以下のように表すことができる。
【0032】
【数7】

上式で、
A、B、C、D、E、F、G、H、I、およびJは回帰分析によって求められる定数である。
HPは電動機の定格馬力である。
VLLは電動機の線間電圧である。
Pは極の数である。
【0033】
同様に、Znnの相を以下のように求めることができる。
【0034】
【数8】

上式で、
1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、I1、およびJ1は回帰分析によって求められる定数である。
【0035】
数式6および7を使用して電動機10について負シーケンスインピーダンスを求めて装置24のメモリ28に記憶することができる。したがって、負シーケンスインピーダンスZnnと、電動機10の電圧および電流を測定することによって求められた各電流および電圧の対称成分とによって、上記の数式4および5で論じたように正規化交差インピーダンスを求めることができる。
【0036】
図5は、本発明の一実施形態によって固定子巻き故障を判定するプロセス50の一実施形態を示している。プロセス50は、装置24、たとえばリレー、計器、または他の適切な装置など、および電動機10の始動時に開始する(ブロック52)。上述の3つの技術のうちの1つ(機械パラメータを使用した計算、負シーケンスインピーダンスの直接測定、または負シーケンスインピーダンスの回帰分析)を介して静止負シーケンスインピーダンスZnnを求めることができる(ブロック54)。
【0037】
電動機10の変圧器または他の構成部品から3相電圧Va、Vb、およびVcならびに3相電流Ia、Ib、およびIcを得て(ブロック56)、装置24または電動機10に結合された他の装置によってこれらの電圧および電流を受け取る。電圧および電流を単一相位相ロックループ(PLL)を通過させて各電圧Va、Vb、およびVcならびに各電流Ia、Ib、およびIcの大きさおよび角度を得ることができる(ブロック58)。理解されるように、瞬時値から大きさおよび角度を得る他の技術を使用することができる。各実施形態にはPLLまたは任意の他の適切な技術を含むことができる。各電圧および電流の大きさおよび位相情報を組み合わせて電流および電圧フェーザを作成することができる(ブロック60)。上述のように、装置24は、対称シーケンス変換を適用して電圧および電流をa−b−c相から正負零シーケンスフレームに変換することができる(ブロック62)。
【0038】
負シーケンスおよび/または正シーケンスに対する正規化交差インピーダンスは、上述のように求めることができる(ブロック64)。上記に図4で説明した相関を使用して、(負インピーダンスに対する)正規化交差インピーダンスZnp/Znnをしきい値と比較することができる(決定ブロック66)。正規化交差インピーダンスがしきい値より低い場合、プロセス50は、線68によって示されているように電動機10の通常の動作に戻ることができる。正規化交差インピーダンスがしきい値より高い場合、固定子巻き故障が存在する可能性が高く、装置24または電動機10に結合された他の装置は、固定子巻き故障を宣言することができる(ブロック70)。
【0039】
図6は、正規化交差インピーダンスによって示される巻き故障を判定してそれに応答するプロセス80の一実施形態を示している。上述のように、プロセス80の開始(ブロック82)には、電動機10および装置24を始動させることを含むことができる。プロセス80では、上記で数式7および8に示した回帰式から静止負シーケンスインピーダンスを求めることができ(ブロック84)、あるいは上述の任意の他の技術によって静止負シーケンスインピーダンスを求めることができる。上述の実施形態と同様に、プロセス80は、3相電圧および電流を得ること(ブロック86)と、単一相PLLまたは他の技術によって各電圧および電流の大きさおよび角度を得ること(ブロック88)と、大きさおよび位相情報からフェーザを作成すること(ブロック90)とを含むことができる。
【0040】
3相電圧および電流から対称成分を求めることができ(ブロック92)、負シーケンスおよび/または正シーケンスに対する正規化交差インピーダンスを上述のように求めることができる(ブロック94)。この実施形態では、(負インピーダンスに対する)正規化交差インピーダンスZnp/ZnnまたはZnp/Zppをそれぞれの異なるしきい値と比較して巻き故障の数および/または深刻度を求めることができる。たとえば、しきい値1およびしきい値2と呼ばれる2つのしきい値を使用することができ、しきい値2がしきい値1より高く、巻き故障がより多いことおよび/または巻き故障の深刻度がより高いことを示す。
【0041】
正規化交差インピーダンスは、複数の巻き故障および/またはより深刻な巻き故障を示すしきい値2と比較することができる(決定ブロック96)。正規化交差インピーダンスがしきい値2より大きい場合、プロセス80は第2の警報をトリガして電動機10を遮断し、電動機10を動作不能にすることができる(ブロック98)。
【0042】
正規化交差インピーダンスがしきい値2より低い場合、プロセス80は正規化交差インピーダンスをしきい値1と比較する(決定ブロック100)。正規化交差インピーダンスがしきい値1より低い場合、プロセス80は、矢印102によって示されているように正常に継続する。正規化交差インピーダンスがしきい値1より高い場合、第1の警報をトリガすることができる(ブロック104)。プロセス80は、第1の警報をトリガした後、矢印106によって示されているように正常に継続する。他の実施形態では、3つのしきい値、4つのしきい値、5つのしきい値などのような任意の数のしきい値を使用して巻き故障の様々な数および/または深刻度を示すことができる。いくつかの実施形態では、警報はユーザまたはユーザの選択に特有の警報であってもよい。
【0043】
本明細書では、本発明のある特徴のみを図示し説明したが、当業者には多数の修正実施形態および変更実施形態が考えられよう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲内のすべてのそのような修正実施形態および変更実施形態を対象とするものである。
【符号の説明】
【0044】
10 電動機
12 回転子組立体
14 軸
16 固定子組立体
18 軸受組立体
19 固定子巻き線
20 システム
21 3相電源
22 線
24 装置
25 スイッチ
26 プロセッサ
27 ディスプレイ
28 メモリ
30 線
32 線
Ia、Ib、Ic 3相電流
Ip、In、I0 対称成分
a、Vb、Vc 3相電圧
p、Vn、V0 対称成分
aa、Zbb、Zcc インピーダンス
ab、Zba、Zac、Zca、Zbc、Zcb 相互インピーダンス
p 正シーケンス電圧
n 負シーケンス電圧
p 正シーケンス電流
n 負シーケンス電流
pp 正シーケンスインピーダンス
nn 負シーケンスインピーダンス
np 負−正差分インピーダンス
pn 正−負差分インピーダンス
np/Znn 負シーケンスインピーダンスに対する正規化交差インピーダンス
np/Zpp 正シーケンスインピーダンスに対する正規化交差インピーダンス
A、B、C、D、E、F、G、H、I、J 定数
1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、I1、J1 定数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電電動機における巻き故障を判定する方法であって、
負シーケンス電圧を求めるステップと、
負シーケンス電流および正シーケンス電流を求めるステップと、
負シーケンスインピーダンスを求めるステップと、
前記負シーケンス電圧、負シーケンス電流、正シーケンス電流、および負シーケンスインピーダンスから正規化交差インピーダンスを求めるステップと、
前記正規化交差インピーダンスが、巻き故障が存在することを示しているかどうかを判定するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記正規化交差インピーダンスが、巻き故障が存在することを示しているかどうかを判定することが、前記正規化交差インピーダンスをしきい値と比較することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記正規化交差インピーダンスを第1のしきい値と比較して1つの巻き故障を示し、第2のしきい値と比較して2つの巻き故障を示し、第3のしきい値と比較して3つの巻き故障を示すことを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記正規化交差インピーダンスが、巻き故障が存在することを示している場合に警報を発することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記正規化交差インピーダンスが、1つの巻き故障が存在することを示している場合に第1の警報を発し、前記正規化交差インピーダンスが、2つの巻き故障が存在することを示している場合に第2の警報を発し、前記正規化交差インピーダンスが、3つの巻き故障が存在することを示している場合に第3の警報を発することを含む、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記負シーケンスインピーダンスを求めることが、前記誘導電動機の複数のパラメータから前記負シーケンスインピーダンスを求めることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記複数のパラメータが、前記誘導電動機の定格馬力、前記誘導電動機の極、および前記誘導電動機の定格電圧を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
誘電電動機における巻き故障を判定するシステムであって、
前記誘導電動機に結合され、負シーケンス電圧、負シーケンス電流、および正シーケンス電流を求めるように構成され、メモリを備える装置を備え、
前記メモリが、
前記負シーケンスインピーダンスによって正規化された差分インピーダンスを含む正規化交差インピーダンスを求める命令と、
前記正規化交差インピーダンスが、巻き故障が存在することを示しているかどうかを判定する命令とを備える、システム。
【請求項9】
前記メモリが、前記正規化交差インピーダンスをしきい値と比較する命令を備える、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記正規化交差インピーダンスが、巻き故障が存在することを示している場合に、前記電動機を切り離すように構成されたスイッチを備える、請求項8記載のシステム。
【請求項11】
前記装置がリレーを備える、請求項8記載のシステム。
【請求項12】
前記装置が計器を備える、請求項8記載のシステム。
【請求項13】
前記メモリが、前記誘導電動機の複数のパラメータから前記負シーケンスインピーダンスを求める命令を備えることを含む、請求項8記載のシステム。
【請求項14】
誘電電動機における巻き故障を判定する方法であって、
負シーケンス電圧を求めるステップと、
負シーケンス電流および正シーケンス電圧を求めるステップと、
負シーケンスインピーダンスを求めるステップと、
前記負シーケンス電圧、負シーケンス電流、正シーケンス電圧、および負シーケンスインピーダンスから正規化交差インピーダンスを求めるステップと、
前記正規化交差インピーダンスが、巻き故障が存在することを示しているかどうかを判定するステップとを含む方法。
【請求項15】
前記正規化交差インピーダンスが、巻き故障が存在することを示しているかどうかを判定することが、前記正規化交差インピーダンスをしきい値と比較することを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記正規化交差インピーダンスが、巻き故障が存在することを示している場合に警報を発する命令を備える、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記負シーケンスインピーダンスを求めるステップが、前記誘導電動機の複数のパラメータから前記負シーケンスインピーダンスを求めるステップを含む、請求項14記載の方法。
【請求項18】
誘電電動機における巻き故障を判定する方法であって、
正規化交差インピーダンスを求めるステップと、
前記正規化交差インピーダンスを第1のしきい値と比較するステップと、
前記正規化交差インピーダンスが前記第1のしきい値より大きい場合、第1の警報をトリガするステップとを含む方法。
【請求項19】
前記正規化交差インピーダンスを第2のしきい値と比較するステップと、前記正規化交差インピーダンスが前記第2のしきい値より大きい場合、第2の警報をトリガするステップとを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記正規化交差インピーダンスを第3のしきい値と比較するステップと、前記正規化交差インピーダンスが前記第3のしきい値より大きい場合、前記電動機を停止するステップとを含む、請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−516998(P2012−516998A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548182(P2011−548182)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/021948
【国際公開番号】WO2010/090890
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】