説明

ロボット装置、ロボットシステム、及び紐状体包装製品の製造方法

【課題】作業者の労力負担を低減しつつ生産性を向上できるようにする。
【解決手段】ロボット装置24は、旋回ベース42、下部アーム44、上部アーム46、及び手首部48と、手首部48に設けられ、麺線群12の長手方向中間部を支持する又は当該支持を解除するハンド50と、旋回ベース42、下部アーム44、上部アーム46、手首部48、及びハンド50の動作を制御するコントローラ36とを有しており、コントローラ36は、ハンド50が、麺線群12を支持する位置である支持位置から支持を解除する位置である解除位置までの間の少なくとも一部の区間において斜め上方に向けて移動するように、旋回ベース42、下部アーム44、上部アーム46、及び手首部48を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、例えばうどん、そば、ラーメン等の麺線からなる紐状体を移送するロボット装置、そのロボット装置を備えたロボットシステム、及び、紐状体を例えば包装袋、包装紙、包装フィルム等の包装材で包装して紐状体包装製品を製造する紐状体包装製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、紐状体(麺線)を生成して搬送装置(チェーンコンベア)へ投入する生成装置(製麺装置)に関する技術が開示されている。この従来技術では、生成された麺生地が麺生地蓄積部に供給され蓄積されると、麺生地は、第1及び第2の圧延ローラの回転と共に第1及び第2の圧延ローラ間に巻き込まれ、所定の圧延工程を経て麺帯が形成されて第2及び第3の圧延ローラ間の上流側に導かれる。そして、圧延された麺帯を一対の切刃ローラ間に供給して紐状体に切断した後、この紐状体を搬送装置上に落下させて排出口に向け排出させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−304870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、搬送装置により搬送されてくる紐状体は、販売するのに適した量となるように作業者の人手により小分けされ、包装装置により各小分け量毎に1袋に包装される。このような場合、所定の速度で連続して続々と搬送されてきた紐状体を、最適な量だけ手で掴み取って持ち上げ、包装装置の例えば上方に設けた受入口へ向かって次々とタイミングよく投入する必要がある。このような作業には、スピードと熟練を要し、また多大な肉体的負担と疲労を伴っていた。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、作業者の労力負担を低減しつつ生産性を向上できるロボット装置、ロボットシステム、及び紐状体包装製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、紐状体を移送するロボット装置であって、ロボットアームと、前記ロボットアームに設けられ、前記紐状体の長手方向中間部を支持する又は当該支持を解除するロボットハンドと、前記ロボットアーム及び前記ロボットハンドの動作を制御するコントローラと、を有し、前記コントローラは、前記ロボットハンドが、前記紐状体を支持する位置である支持位置から前記支持を解除する位置である解除位置までの間の少なくとも一部の区間において斜め上方に向けて移動するように、前記ロボットアームを制御するロボット装置が適用される。
【発明の効果】
【0007】
本発明のロボット装置、ロボットシステム、及び紐状体包装製品の製造方法によれば、作業者の労力負担を低減しつつ生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施の形態の製造システムの全体構成を模式的に表すシステム構成図である。
【図2】ロボット本体の構成を表す平面図である。
【図3】ハンドの構成を表す平面図である。
【図4】ガイド部材及び受入部材の構成を表す斜視図である。
【図5】麺線群包装製品を模式的に表す平面図である。
【図6】麺線群包装製品の製造方法を説明する模式図である。
【図7】図6中の矢印A方向から見た矢視図である。
【図8】麺線群包装製品の製造方法を説明する模式図である。
【図9】麺線群包装製品の製造方法を説明する模式図である。
【図10】麺線群包装製品の製造方法を説明する模式図である。
【図11】麺線群包装製品の製造方法を説明する模式図である。
【図12】麺線群包装製品の製造方法を説明する模式図である。
【図13】図12中の矢印B方向から見た矢視図である。
【図14】麺線群包装製品の製造方法を説明する模式図である。
【図15】図14中の矢印C方向から見た矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の製造システム10(ロボットシステム)は、例えばうどん、そば、ラーメン等の、複数本の紐状の麺線12a(紐状体)からなる麺線群12を移送し、包装袋14(包装材)で包装して、麺線群包装製品16(紐状体包装製品。後述の図5参照)を製造するシステムである。この製造システム10は、製麺装置18(生成装置)と、コンベア20(搬送装置)と、複数(この例では4つ)のセンサ22a,22b,22c,22dと、ロボット装置24と、麺線受け26と、ガイド部材30と、受入部材28と、包装装置32とを有している。
【0011】
製麺装置18は、図示及び説明を省略する前工程で生成された帯状の麺帯120を所定幅かつ所定の長さの複数本の麺線12a(麺線群12)として生成してコンベア20へ投入する装置である。この製麺装置18は、隙間を介して対峙する一対の圧延ローラ181と、一対の櫛歯状の切刃ローラ182と、カッタユニット183とを有している。圧延ローラ181は、麺帯120を圧延する。切刃ローラ182は、圧延ローラ181により圧延された麺帯120を長さ方向に切断し、所定幅の複数本の紐状の麺線12aとする。カッタユニット183は、切刃ローラ182により切り出された複数本の麺線12aを幅方向に切断し、所定の長さとする。
【0012】
コンベア20は、水平方向に沿った上面(搬送面)の長さ方向(図1中の左−右方向)に形成された所定の搬送経路に沿って、製麺装置18により生成され投入された麺線群12を右側(一方側。図1中の右側)へ搬送する。
【0013】
センサ22a〜22dは、コンベア20による麺線群12の搬送経路近傍、この例では搬送経路下流側(コンベア20の右側)の上部に、コンベア20の幅方向(図1中の紙面手間−紙面奥行き方向)に沿って所定のピッチで配列され固定されている。これらセンサ22a〜22dは、コンベア20により搬送経路下流側へ搬送されてきた麺線群12を検出する。
【0014】
ロボット装置24は、コンベア20により搬送経路の終点(すなわち、コンベア20の右端部)まで搬送されてきた麺線群12を支持しつつ移送するロボット本体34と、ロボット本体34の動作を制御するコントローラ36とを有している。これらロボット本体34及びコントローラ36は、ケーブル38を介して相互通信可能に接続されている(又は無線接続されていてもよい)。なお、コントローラをロボット本体34側に設けてもよい。
【0015】
ロボット本体34は、この例では6軸垂直多関節ロボットであり、図2及び図1に示すように、基台40と、旋回ベース42と、下部アーム44と、上部アーム46と、手首部48と、ハンド50(ロボットハンド)とを備えている。
【0016】
基台40は、設置面(例えば床部等)に対し図示しないアンカーボルト等により固定されている。
【0017】
旋回ベース42は、基台40に対し垂直軸であるS軸Ax1回りに旋回自在に取り付けられている。
【0018】
下部アーム44は、旋回ベース42に対し水平軸であるL軸Ax2回りに回転自在に取り付けられている。
【0019】
上部アーム46は、下部アーム44の先端に対し水平軸であるU軸Ax3回りに回転自在に取り付けられている。
【0020】
手首部48は、胴体481と、揺動体482と、回転体483とを備えている。胴体481は、上部アーム46の先端に対し、上部アーム46の長さ方向に延びる中心軸であるR軸Ax4回りに回転自在に取り付けられている。揺動体482は、胴体481の先端に対し、上記R軸Ax4に略直交するB軸Ax5回りに回転自在に取り付けられている。回転体483は、揺動体482の先端に対し、上記B軸Ax5に略直交するT軸Ax6回りに回転自在に取り付けられている。
【0021】
なお、上記旋回ベース42、下部アーム44、上部アーム46、及び手首部48が、特許請求の範囲に記載のロボットアームに相当する。
【0022】
ハンド50は、手首部48の回転体483の先端に取り付けられており、コンベア20により搬送経路の終点まで搬送されてきた麺線群12の長手方向中間部を支持する又は当該支持を解除する。このハンド50は、図3に示すように、回転体483の先端に連結されたベースリンク501と、第1リンク体502と、第2リンク体503と、第1及び第2リンク体502,503を回転駆動するためのエアシリンダ504(アクチュエータ)とを有している。
【0023】
第1リンク体502は、ベースリンク501の先端側(一端側)に設けられており、第1回転軸部材502aと、第1リンク502bとを備えている。第1リンク502bは、第1回転軸部材502aに連結されており、第1回転軸部材502aと共に、ベースリンク501に対し、上記T軸Ax6に略直交する第1回転軸Ax7回りに回転する。
【0024】
第2リンク体503は、ベースリンク501の末端側(他端側)に設けられており、第2回転軸部材503aと、第2リンク503bとを備えている。第2リンク503bは、第2回転軸部材503aに連結されており、第2回転軸部材503aと共に、ベースリンク501に対し、上記第1回転軸Ax7に略平行な第2回転軸Ax8回りに回転する。
【0025】
これら第1及び第2リンク体502,503は、エアシリンダ504の駆動により、第1及び第2リンク502b,503bの先端同士が互いに遠近する方向(図3中の一点鎖線で示す矢印の方向)に回転駆動される。また、第1及び第2リンク体502,503は、第1及び第2リンク502b,503bの先端同士が互いに接近した状態(図3中の一点鎖線で示す状態)において、第1リンク502bの先端位置と第2リンク503bの先端位置とが、第1及び第2回転軸Ax7,Ax8の方向(図3中の紙面手前−紙面奥行き方向)にずれるように、構成されている。
【0026】
以上のように構成されたロボット本体34においては、コントローラ36の制御によりエアシリンダ504が、第1及び第2リンク体502,503を、第1及び第2リンク502b,503bの先端同士が互いに接近する方向に回転駆動することで、搬送経路の終点近傍、この例では搬送経路の終点よりも右側かつ下方に位置し、麺線群12を支持する位置である支持位置において、ハンド50は、第1及び第2リンク502b,503bにより、コンベア20により搬送経路の終点まで搬送されてきた麺線群12の長手方向中間部を支持することができる。そして、コントローラ36の制御によりエアシリンダ504が、第1及び第2リンク体502,503を、第1及び第2リンク502b,503bの先端同士が互いに遠ざかる方向に回転駆動することで、上記支持位置の右側かつ上方に位置すると共に上記ガイド部材30の上方に位置し、麺線群12の支持を解除する解除位置において、ハンド50は、第1及び第2リンク502b,503bによる麺線群12の支持を解除することができる。また、コントローラ36の制御により、旋回ベース42、下部アーム44、上部アーム46、及び手首部48が協調動作することで、ハンド50は、上記支持位置から上記解除位置までの一部の区間において斜め上方に向けて移動することができる(詳細は後述)。
【0027】
図1に戻り、麺線受け26は、ロボット本体34による麺線群12の移送経路の始点である上記支持位置の下方に設置されており、コンベア20により搬送経路の終点まで搬送されてきた麺線群12の先端側を受け止めて、当該麺線群12が自重により落下するのを防止する。
【0028】
ガイド部材30は、図4及び図1に示すように、ロボット本体34による麺線群12の移送経路の終点である上記解除位置の下方位置、かつ、後述の受入部材28の受入口28aの上方位置となるように、受入部材28と連結して設けられている。このガイド部材30は、導出口30bと、導出口30bの上部に設けられ、ロボット本体34のハンド50により上記解除位置まで移送された麺線群12に接触し、当該麺線群12を導出口30bを介して後述の受入部材28の受入口28aへ導くガイド面30aを備えている。ガイド面30aは、上記支持位置から上記解除位置までの間のロボット本体34による麺線群12の移送経路の下流方向に屈曲した形状、この例では、上面視において、上記移送経路の上流方向に略V字状に開いた形状に形成されている。
【0029】
受入部材28は、図4及び図1に示すように、コンベア20よりも右側かつ上方に配設され、ガイド部材30のガイド面30aに接触しつつ導出口30bより導出された麺線群12を受け入れて、後述の包装装置32の把持部材32aによりセットされた包装袋14へ投入する受入口28aを備えている。
【0030】
包装装置32は、包装袋14を把持して受入部材28の受入口28aの下部にセットするための、2つの把持部材32aを備えている。この包装装置32は、受入口28aが受け入れ、把持部材32aにより当該受入口28aの下部にセットした包装袋14へ投入された麺線群12を、包装袋14で包装し、当該包装袋14の口をシールして、図5に示す麺線群包装製品16とする。
【0031】
以下、図6〜図14を用いて、上記麺線群包装製品16の製造方法の一例を説明する。
【0032】
まず、製麺装置18により麺線群12を生成してコンベア20へ投入する。すなわち、図6及び図7に示すように、麺帯120を一対の圧延ローラ181により圧延する。そして、圧延された麺帯120を一対の切刃ローラ182により長さ方向に切断して、所定幅の複数本の麺線12aとする。その後、切り出された複数本の麺線12aをカッタユニット183により幅方向に切断して、所定の長さとする。以上により、所定幅かつ所定の長さの複数本の麺線12aからなる麺線群12を生成してコンベア20へ投入する。すなわち、以上の手順が、特許請求の範囲に記載の生成手順に相当する。
【0033】
次に、図6及び図7に示すように、上記のようにして製麺装置18により生成されコンベア20へ投入された麺線群12を、コンベア20により上記搬送経路に沿って右側へ搬送する。すなわち、この手順が、特許請求の範囲に記載の搬送手順に相当する。
【0034】
次に、上記支持位置において、ハンド50により、搬送されてくる麺線群12の長手方向中間部を支持し、その支持した麺線群12を上記解除位置までの一部の区間において斜め上方に向けて移動させつつ、当該麺線群12を解除位置まで移送する。
【0035】
すなわち、図8に示すように、上記コントローラ36の制御により、上記ロボット本体34の旋回ベース42、下部アーム44、上部アーム46、及び手首部48が協調動作することで、ハンド50が、コンベア20による麺線群12の搬送経路の終点近傍位置に移動して待機する。このとき、ハンド50は、搬送されてくる麺線群12がセンサ22a〜22dのいずれかにより検出された後、所定のタイミングになったら(例えば0.3秒経過したら)、支持位置において麺線群12の長手方向中間部を支持する支持動作を開始するように、コントローラ36により制御されている。そして、搬送されてくる麺線群12がセンサ22a〜22dのいずれかにより検出された後、上記所定のタイミングになったら、図9に示すように、コントローラ36の制御により上記エアシリンダ504が、上記第1及び第2リンク体502,503を、第1及び第2リンク502b,503bの先端同士が互いに接近する方向に回転駆動することで、ハンド50が、支持位置において第1及び第2リンク502b,503bにより、コンベア20の右端部(搬送経路の終点)から弧を描くように下方の麺線受け26へ向けて落下してくる麺線群12の長手方向中間部を支持する。これにより、第1及び第2リンク502b,503bに、麺線群12が二つ折りの状態となるように、麺線群12の長手方向中間部を引っ掛けて支持する。
【0036】
その後、コントローラ36の制御により、旋回ベース42、下部アーム44、上部アーム46、及び手首部48が協調動作することで、上記第1及び第2回転軸Ax7,Ax8に略垂直な方向である第1及び第2リンク502b,503bの長手方向を水平方向に対し角度θ1(所定の角度。例えば30°)としつつ、移動方向D1が上記第1及び第2リンク502b,503bの長手方向に略一致するように、ハンド50が支持位置より斜め上方に向けて移動する。なお、このときのハンド50の移動方向D1(第1及び第2リンク502b,503bの長手方向)は、この例では、コンベア20の右端部から弧を描くように落下してくる麺線群12の流れ方向(長さ方向)に対する接線T1に垂直な方向に略一致している。
【0037】
そして、図10に示すように、コントローラ36の制御により、旋回ベース42、下部アーム44、上部アーム46、及び手首部48が協調動作することで、第1及び第2リンク502b,503bの長手方向を水平方向に対し上記角度θ1よりも大きな角度θ2(例えば45°)としつつ、移動方向D2が上記第1及び第2リンク502b,503bの長手方向に略一致するように、ハンド50が斜め上方に向けて移動する。なお、このときのハンド50の移動方向D2(第1及び第2リンク502b,503bの長手方向)は、この例では、第1及び第2リンク502b,503bにより二つ折りの状態で支持されている麺線群12の長さ方向に対する接線T2に垂直な方向に略一致している。
【0038】
その後、図11に示すように、コントローラ36の制御により、旋回ベース42、下部アーム44、上部アーム46、及び手首部48が協調動作することで、第1及び第2リンク502b,503bの長手方向を略垂直としつつ、移動方向D3が略水平になるように、ハンド50が略水平に解除位置まで移動する。
【0039】
以上により、麺線群12を解除位置まで移送する。すなわち、以上の手順が、特許請求の範囲に記載の移送手順に相当する。
【0040】
そして、図12及び図13に示すように、ハンド50により麺線群12を解除位置まで移送すると、第1及び第2リンク502b,503bにより支持されている麺線群12がガイド部材30のガイド面30aに接触する。これにより、移送の終了に伴い作用する慣性力による麺線群12の振動が減衰される。その後、コントローラ36の制御により上記エアシリンダ504が、上記第1及び第2リンク体502,503を、第1及び第2リンク502b,503bの先端同士が互いに遠ざかる方向に回転駆動することで、ハンド50が、解除位置において第1及び第2リンク502b,503bによる麺線群12の支持を解除して当該麺線群12を落下させる。これにより、上記のようにして解除位置まで移送した麺線群12を、ガイド部材30のガイド面30aに接触しつつ上記導出口30bより受入部材28へ導出する。
【0041】
その後、図14及び図15に示すように、上記のようにしてガイド部材30の導出口30bより受入部材28に導入された麺線群12を、上記受入口28aにより受け入れて、包装装置32の把持部材32aにより当該受入口28aの下部にセットされた包装袋14へ投入する。すなわち、この手順が、特許請求の範囲に記載の受入手順に相当する。
【0042】
そして、上記のようにして受入部材28の受入口28aが受け入れ、把持部材32aにより当該受入口28aの下部にセットした包装袋14へ投入された麺線群12を、包装袋14で包装し、当該包装袋14の口をシールして、上記麺線群包装製品16とする。すなわち、この手順が、特許請求の範囲に記載の包装手順に相当する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の製造システム10は、製麺装置18と、コンベア20と、包装装置32とを備えている。製麺装置18で紐状に生成された麺線群12は、コンベア20で搬送された後、包装装置32で包装袋14により包装されて麺線群包装製品16となる。
【0044】
このとき、包装の際には、コンベア20により搬送されてきた麺線群12を販売するのに適した量となるように小分けして、各小分け量ごとに1袋に包装する必要がある。作業者の人手により上記小分けを行う場合、コンベア20により所定の速度で連続して続々と搬送されてきた麺線群12を、最適な量だけ手で掴み取って持ち上げ、包装装置32の例えば上方に設けた受入部材30の受入口30aへ向かって次々とタイミングよく投入する必要がある。このような作業には、スピードと熟練とを要し、また多大な肉体的負担と疲労とを伴っていた。
【0045】
そこで本実施形態においては、上記の作業を作業者に代わってロボット装置24が行う。すなわち、ロボット装置24は、旋回ベース42、下部アーム44、上部アーム46、手首部48、及びハンド50を備えたロボット本体34と、ロボット本体34を制御するコントローラ36とを有している。ハンド50は、コントローラ36の制御により、搬送されてくる麺線群12の長手方向中間部を支持位置で支持し、その支持した麺線群12を、斜め上方に向けて移動させつつ、解除位置まで移送する。そして、解除位置で麺線群12の支持を解除することで、解除位置の下方に位置する受入部材30の受入口30aへ向かって麺線群12を落下させ、その受入口30aから包装装置32へと確実に投入することができる。以上のようにして、本実施形態によれば、コンベア20により搬送されてきた麺線群12を小分けして、包装装置32へ投入する作業を、自動化することができる。その結果、作業者の労力負担を低減しつつ生産性を向上することができる。
【0046】
また、上記の作業を作業者により場合、作業者の肉体的負担と疲労との問題から、1人の作業者に対し長時間に亘る作業を行わせることができず、複数の作業者を用意して作業を交替で行わせたり、作業を中断する必要がある。これに対し、本実施形態では、上記の作業を自動化することができるので、上記のような問題を考慮することなく、作業を円滑に連続して行うことができ、作業効率を向上することができる。
【0047】
また、本実施形態では特に、次のような効果を得ることができる。すなわち、2つの支持部材を有し、これら2つの支持部材が互いに遠近する方向に平行に駆動することで、麺線群12を支持したり、当該支持を解除するハンドが考えられる。このようなハンドでは、2つの支持部材を互いに接近する方向に平行に駆動することで紐状体を支持でき、2つの支持部材を互いに遠ざかる方向に平行に駆動することで上記支持を解除できるが、当該支持を解除する際に、支持部材に麺線群12が引っ掛かり残存するおそれがある。そこで本実施形態においては、ハンド50が、ベースリンク501と、第1リンク体502と、第2リンク体503と、エアシリンダ504とを有している。そして、第1及び第2リンク体502,503は、エアシリンダ504により、先端同士が互いに遠近する方向に回転駆動される。そして、第1及び第2リンク体502,503をこれらの先端同士が互いに接近する方向に回転駆動することで麺線群12を支持でき、第1リンク体及び第2リンク体をこれらの先端同士が互いに遠ざかる方向に回転駆動することで上記支持を解除できる。解除位置で麺線群12の支持を解除する際には、第1リンク体502がベースリンク501に対し第1回転軸Ax7回りに回転すると共に、第2リンク体503がベースリンク501に対し第2回転軸Ax8回りに回転する。これにより、第1及び第2リンク体502,503に麺線群12が引っ掛かり残存するのを防止することができ、上記支持した麺線群12をひとまとまりとして、解除位置の下方に向かって落下させることができる。
【0048】
また、本実施形態では特に、第1及び第2リンク体502,503が、第1及び第2リンク502b,503bの先端同士が互いに接近した状態において、第1リンク502bの先端位置と第2リンク503bの先端位置とが、第1及び第2回転軸Ax7,Ax8の方向にずれるように、構成されている。これにより、ハンド50が移動している間に、第1及び第2リンク502b,503bの先端同士の隙間から麺線群12が落下するのを防止することができる。
【0049】
また、本実施形態では特に、ハンド50が、コントローラ36の制御により、コンベア20により搬送されてくる麺線群12の長手方向中間部を支持位置で支持した後、第1及び第2リンク502b,503bの長手方向を水平方向に対し上記角度θ1としつつ、支持した麺線群12を支持位置より斜め上方に向けて移動させる。支持した麺線群12を支持位置から斜め上方に向けて移動させることで、支持している麺線群12で発生する振動を低減でき、麺線群12の移送を安定して行うことができる。
【0050】
また、本実施形態では特に、ハンド50が、コントローラ36の制御により、支持位置から解除位置までの間の一部の区間において、移動方向が第1及び第2リンク502b,503bの長手方向に略一致するように移動する。これにより、ハンド50が上記区間を移動する間は、第1及び第2リンク502b,503bの長手方向と、第1及び第2リンク502b,503bにより支持されている麺線群12の長手方向における水平方向に対する角度とを略一致させることができる。その結果、支持している麺線群12で発生する振動を低減でき、麺線群12の移送を安定して行うことができる。
【0051】
また、本実施形態では特に、受入部材28の受入口28aの上方に設けられたガイド部材30を有している。そして、ガイド部材30は、ハンド50により解除位置まで移送された麺線群12に接触し、当該麺線群12を受入口28aへ導く、ハンド50による麺線群12の移送経路下流方向に屈曲したガイド面30aを備えている。ハンド50により支持しつつ移送している麺線群12を、その移送の終点である解除位置においてガイド部材30のガイド面30aに押し当てることで、上記移送の終了に伴い作用する慣性力による麺線群12の振動を減衰させることができる。また、ガイド面30aをロボット本体34による麺線群12の移送経路下流方向に屈曲させることで、ガイド面30aに押し当てた麺線群12がばらばらに広がるのを抑制しつつ、麺線群12をひとまとまりとして、受入部材28の受入口28aに向かって落下させることができる。
【0052】
また、本実施形態では特に、ガイド部材30のガイド面30aは、上面視において、ロボット本体34による麺線群12の移送経路上流方向に略V字状に開いた形状に形成されている。これにより、ガイド面30aに押し当てた麺線群12がばらばらに広がるのを確実に抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では特に、コンベア20による麺線群12の搬送経路近傍に、麺線群12を検出可能な4つのセンサ22a〜22dを有している。そして、ハンド50は、コントローラ36の制御により、センサ22a〜22dのいずれかにより麺線群12が検出された後、所定のタイミングになったら、支持位置において麺線群12の長手方向中間部を支持する支持動作を開始する。これにより、コンベア20により搬送されてきた麺線群12の長手方向中間部を支持するのに最もよいタイミングで、ハンド50による支持動作を開始することができるので、麺線群12の長手方向中間部を確実に支持することができる。その結果、麺線群12の移送を安定して行うことが可能となる。
【0054】
なお、実施の形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、ガイド部材30のガイド面30aは、上面視において、ロボット本体34による麺線群12の移送経路上流方向に略V字状に開いた形状に形成されていたが、これに限られず、他の形状(例えば、上面視において、ロボット本体34による麺線群12の移送経路上流方向に略U字状に開いた形状等)でもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、麺線群12を包装袋14で包装していたが、これに限られず、包装紙や包装フィルム等の包装材で包装してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、製麺装置18により生成されてコンベア20により搬送されてくる複数本の麺線12aからなる麺線群12を、ロボット装置24で移送していたが、ロボット装置24による移送対象としては麺線群12に限られず、他の紐状体でもよい。
【0057】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0058】
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0059】
10 製造システム(ロボットシステム)
12 麺線群
12a 麺線(紐状体)
14 包装袋(包装材)
16 麺線群包装製品(紐状体包装製品)
18 製麺装置(生成装置)
20 コンベア(搬送装置)
22a〜d センサ
24 ロボット装置
28 受入部材
28a 受入口
30 ガイド部材
30a ガイド面
32 包装装置
34 ロボット本体
36 コントローラ
42 旋回ベース
44 下部アーム
46 上部アーム
48 手首部
50 ハンド(ロボットハンド)
501 ベースリンク
502 第1リンク体
502a 第1リンク
502b 第1回転軸部材
503 第2リンク体
503a 第2リンク
503b 第2回転軸部材
504 エアシリンダ(アクチュエータ)
Ax7 第1回転軸
Ax8 第2回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐状体を移送するロボット装置であって、
ロボットアームと、
前記ロボットアームに設けられ、前記紐状体の長手方向中間部を支持する又は当該支持を解除するロボットハンドと、
前記ロボットアーム及び前記ロボットハンドの動作を制御するコントローラと、
を有し、
前記コントローラは、
前記ロボットハンドが、前記紐状体を支持する位置である支持位置から前記支持を解除する位置である解除位置までの間の少なくとも一部の区間において斜め上方に向けて移動するように、前記ロボットアームを制御する
ことを特徴とするロボット装置。
【請求項2】
前記ロボットハンドは、
前記ロボットアームに連結されたベースリンクと、
前記ベースリンクの一端側に設けられ、前記ベースリンクに対し第1回転軸回りに回転可能な第1リンク体と、
前記ベースリンクの他端側に設けられ、前記ベースリンクに対し前記第1回転軸に略平行な第2回転軸回りに回転可能な第2リンク体と、
前記第1リンク体及び前記第2リンク体を回転駆動するためのアクチュエータと、
を有し、
前記第1リンク体及び前記第2リンク体は、
前記アクチュエータにより、先端同士が互いに遠近する方向に回転駆動される
ことを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
【請求項3】
前記ロボットハンドの前記第1リンク体は、
前記ベースリンクに対し前記第1回転軸回りに回転する第1回転軸部材と、
前記第1回転軸部材に連結された第1リンクと、
を備え、
前記ロボットハンドの前記第2リンク体は、
前記ベースリンクに対し前記第2回転軸回りに回転する第2回転軸部材と、
前記第2回転軸部材に連結された第2リンクと、
を備え、
前記第1リンク体及び前記第2リンク体は、
前記第1リンク及び前記第2リンクの先端同士が互いに接近した状態において、前記第1リンクの先端位置と前記第2リンクの先端位置とが、前記第1回転軸及び前記第2回転軸の方向にずれるように、構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のロボット装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記ロボットハンドが、前記支持位置において前記第1リンク体及び前記第2リンク体により前記紐状体の前記長手方向中間部を支持した後、前記第1回転軸及び前記第2回転軸に略垂直な方向を前記水平方向に対し所定の角度としつつ、前記支持位置より斜め上方に向けて移動するように、前記ロボットアームを制御する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のロボット装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記少なくとも一部の区間における前記ロボットハンドの移動方向が、前記第1回転軸及び前記第2回転軸に略垂直な方向に略一致するように、前記ロボットアームを制御する
ことを特徴とする請求項4に記載のロボット装置。
【請求項6】
紐状体を移送するロボットシステムであって、
前記紐状体を一方側へ搬送する搬送装置と、
前記搬送装置により前記一方側へ搬送される前記紐状体を移送するロボット装置と、
前記搬送装置よりも前記一方側かつ上方に配設され、前記ロボット装置により移送された前記紐状体を受け入れる受入口と、
を有することを特徴とするロボットシステム。
【請求項7】
前記ロボット装置は、
ロボットアームと、
前記ロボットアームに設けられ、前記紐状体の長手方向中間部を支持する又は当該支持を解除するロボットハンドと、
前記ロボットアーム及び前記ロボットハンドの動作を制御するコントローラと、
を有し、
前記コントローラは、
前記ロボットハンドが、前記搬送装置の前記一方側の端部よりも前記一方側に位置し前記紐状体を支持する位置である支持位置において、前記紐状体の前記長手方向中間部を支持するように、制御する
ことを特徴とする請求項6に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記紐状体を生成して前記搬送装置へ投入する生成装置と、
前記受入口が受け入れた前記紐状体を包装材で包装して紐状体包装製品とする包装装置と、
をさらに有することを特徴とする請求項6又は7に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記受入口の上方に設けられたガイド部材をさらに有し、
前記ガイド部材は、
前記ロボット装置の前記ロボットハンドにより前記紐状体の前記支持を解除する位置である解除位置まで移送された前記紐状体に接触し、当該紐状体を前記受入口へ導く、前記ロボット装置による前記紐状体の移送経路下流方向に屈曲したガイド面を備える
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記ガイド部材のガイド面は、
上面視において、前記ロボット装置による前記紐状体の移送経路上流方向に略V字状に開いた形状に形成されている
ことを特徴とする請求項9に記載のロボットシステム。
【請求項11】
前記搬送装置による前記紐状体の搬送経路近傍に、前記紐状体を検出可能な少なくとも1つのセンサを有し、
前記コントローラは、
前記センサにより前記紐状体が検出された後、所定のタイミングになったら、前記支持位置において前記紐状体の前記長手方向中間部を支持する支持動作を開始するように、前記ロボットハンドを制御する
ことを特徴とする請求項7に記載のロボットシステム。
【請求項12】
紐状体を包装材で包装して紐状体包装製品を製造する紐状体包装製品の製造方法であって、
前記紐状体を生成して投入する生成手順と、
前記生成手順で生成され投入された前記紐状体を一方側へ搬送する搬送手順と、
ロボットハンドにより、前記紐状体を支持する位置である支持位置において前記搬送手順で前記一方側へ搬送された前記紐状体の長手方向中間部を支持し、その支持した前記紐状体を前記支持位置から当該支持位置の前記一方側かつ上方に位置し前記支持を解除する位置である解除位置までの間の少なくとも一部の区間において斜め上方に向けて移動させつつ、前記紐状体を前記解除位置まで移送する移送手順と、
前記移送手順で移送した前記紐状体を前記解除位置の下方に位置する受入口を介して受け入れる受入手順と、
前記受入手順で前記受入口を介して受け入れた前記紐状体を前記包装材で包装して前記紐状体包装製品とする包装手順と、
を有することを特徴とする紐状体包装製品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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