説明

ロボット

【課題】 ロボットとリストウオッチ等のウオッチにより、使い勝手のよい簡易な構成で、モニタ対象者の屋内および屋外での行動等を連続的に把握できるセキュリティシステムの提供。
【解決手段】 ロボット10は屋内でのモニタ対象者の動作に追従して撮像した画像から得る行動情報を取得してメモリに記録する(P1)。モニタ対象者が外出する際にはリストウオッチを装着し、ロボットは外出登録を行なう(P2)。外出登録を行わない場合は、ロボットは、屋内での行動情報を基にモニタ対象者の動作に応じたセキュリティ処理を実行する(P3)。外出中はリストウオッチがモニタ対象者の行動情報を取得しメモリに記憶する(P4)。帰宅時にはモニタ対象者はリストウオッチを取り外し、ロボットは帰宅登録を行なうと共にリストウオッチが取得した外出時のモニタ対象者の行動情報を取り込み(P6)外出時の行動情報に応じたセキュリティ動作を実行する(P7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットにより高齢者等のセキュリティ対象者の行動を見守るセキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、在宅高齢者等の日常生活を支援するシステムとして、健康状況あるいは行動をモニタするロボットについての各種提案がなされている。
たとえば、特許文献1には高齢者等の独居者の日常生活の状況、健康状態に異常が発生した場合、ケア情報として緊急度を判断し、その結果に基づいて家族及び必要連絡先に連絡できるロボットを用いたケア情報基地が開示されている。
【0003】
また、高齢者等の外出時のセキュリティ技術として、特許文献2には、介護者(探索者)の負担を軽減するため、徘徊癖のある老人(探索対象者)の徘徊を未然に防ぐことを目的とした装置が開示されている。
【0004】
また、高齢者等の日常生活を支援するシステムとして、特許文献3には、ユーザの健康状態などに対応する情報の出力および行動を行う情報通信ロボット装置、情報通信方法および情報通信ロボットシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−172410号公報
【特許文献2】特開2004−357268号公報
【特許文献3】特開2001−246580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
在宅高齢者等の日常生活をロボット等の装置を用いて支援し、セキュリティを維持しようとする場合、室内、室外を問わず連続的に健康状況や行動をモニタすることが望ましいが、上記特許文献1に記載の技術では、対象とする高齢者等が室内にいる場合にはその日常生活を支援することができとしても、外出時の行動等を把握することはできない。つまり、在宅時だけの健康状況や行動のモニタでは高齢者のセキュリティの連続性を欠いたものとなる。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の技術では、モニタ対象者が自宅の位置から一定距離だけ離れたら、そのモニタ対象者が携帯する端末(位置情報送信システム)の送信機が自律的に起動し、関係者に位置情報を送信することができるが、徘徊癖のある老人の場合はともかく、それ以外の高齢者の外出先を一定距離で制限することは行動の自由を奪うことであり、支援システムとしては望ましいものではない。
【0008】
これに対し、上記特許文献3に記載の技術では、モニタ対象者が装着しているリストウオッチでユーザの居所および生体情報を検出して検出データをロボットに送信するように構成されているので、屋外にいる場合(GPSによる測位:同特許文献の明細書段落[0068]参照)も屋内にいる場合(室内に設置された3つのアンテナによる測位:同明細書段落[0069]参照)にもモニタを行うことができる。
【0009】
しかしながら、上記特許文献3に記載の技術では、対象者をモニタするための情報はリストウオッチで検出してロボットに送信するので、
(イ)モニタ対象者は、常時、対象者をモニタするための情報を検出してロボットに送信するように構成されたリストウオッチを装着していなければならないといった課題や、
(ロ)リストウオッチは屋外ではGPSによる測位により位置情報を取得し、屋内では3本のアンテナによる測位により位置情報を取得してロボットに位置情報を送信するので、狭い室内にアンテナを設けたり、位置によっては送受信が困難な場合がありえるといった課題や、
(ハ)検出データをロボットに送信するために、ほぼ常時、電波を発信することによるリストウオッチの電池の早期消耗といった課題や、
(ニ)生体情報検出用のセンサやデータ送信用の送信部を屋外用と屋内用(無線LAN用)で別々に設ける必要があるのでリストウオッチの構成が複雑になるといった課題、
があった。
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、ロボットとリストウオッチ等のウオッチによる、モニタ対象者の屋内および屋外での行動等を連続的に把握できるセキュリティシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、セキュリティシステムであって、ボットとウオッチを含み、ロボットは、所定のエリア内におけるモニタ対象者の動作に追従して該モニタ対象者を認識してその行動情報を取得する行動認識部と、行動認識部によって取得された行動情報に基づいてエリア内でのモニタ対象者の位置および状態を判定して判定結果に応じたセキュリティ処理を実行するセキュリティ処理部と、モニタ対象者がエリアから外へ出る際に外出登録を行うと共にエリア内におけるモニタ対象者に対する行動認識部の動作を停止する外出登録処理部と、モニタ対象者がエリア内へ入るときにモニタ対象者が装着していたウオッチから転送される該モニタ対象者のエリア外の行動情報を行動情報メモリに取り込むと共にエリア内における該モニタ対象者に対する行動認識部の動作を再開する帰宅登録処理部と、を備え、ウオッチは、時刻信号を生成し、生成した時刻信号に基づいて時刻を表示する時計部と、位置情報を取得する位置情報取得部と、モニタ対象者の動作に従って位置情報取得部によって取得される位置情報を時刻と対応付けたエリア外行動情報としてエリア外情報メモリに記憶する行動情報取得部と、帰宅登録時にエリア外情報メモリに記憶したエリア外行動情報を情報転送部を介してロボットに送信する記録情報転送部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明のセキュリティシステムにおいて、エリア内は屋内であり、エリア外は屋外であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明のセキュリティシステムにおいて、ロボットは、更に、ウオッチを定置する定置部と、定置部へのウオッチの定置または取り出しを検出する検出部と、を備え、外出登録処理部は、検出部が、ウオッチが定置部から取り出されたことを検出するとモニタ対象者の外出登録を行なってエリア内における該モニタ対象者に対する行動認識部の動作を停止させ、帰宅登録処理部は、検出部が、ウオッチが定置部に定置されたことを検出するとウオッチからロボットへの情報の送信を許可し、該ウオッチから送信される外出時の行動情報を行動情報メモリに取り込んで、エリア内における該モニタ対象者に対する行動認識部の動作を再開することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は請求項1に記載の発明のセキュリティシステムにおいて、ウオッチは、更に、ウオッチを装着しようとする人の個人認証を行う認証部と、ウオッチの人体への着脱を検出する着脱検出部と、を備え、行動情報取得部は、着脱検出部によりウオッチが個人認証されたモニタ対象者の身体へ装着されたことが検出されるとエリア外における該モニタ対象者の行動情報の取得動作を開始し、着脱検出部によりウオッチがモニタ対象者の身体から取り外されたことが検出されるとエリア外における該モニタ多少者の行動情報の取得を停止し、記録情報転送部は、着脱検出部によりウオッチがモニタ対象者の身体から取り外されたことが検出され、且つロボットによる送信許可があるとロボットへの行動情報を転送する、ことを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は請求項4に記載の発明のセキュリティシステムにおいて、ウオッチは、人の指またはてのひらまたは手首の静脈を読み取ることにより認証を行う認証部を備え、認証部による個人認証は、モニタ対象者がウオッチを装着しようとして該装置を把持する際に認証部によって行われることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は請求項4に記載の発明のセキュリティシステムにおいて、ウオッチは、人の指紋または紋掌を読み取ることにより認証を行う認証部を備え、認証部による個人認証は、モニタ対象者がウオッチを装着しようとする際に該ウオッチによって該モニタ対象者の指紋または掌紋を読み取ることにより行われることを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は請求項1に記載の発明のセキュリティシステムにおいて、セキュリティ処理部は、更に、モニタ対象者の帰宅登録後、屋外行動情報メモリに取り込んだ行動情報を解析して該モニタ対象者の外出時の経路および状態を判定して判定結果に応じたセキュリティ処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、所定のエリア内ではロボットによるモニタ対象者の行動や状態等を把握し、把握内容に応じた処理を実行できる。また、モニタ対象者が所定のエリア外にいる時にはリストウオッチによりモニタ対象者の行動等を把握してそれに応じた処理を実行できる。従って、本発明によれば簡単な構成で所定のエリア内外のモニタ対象者の行動等を連続的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に基づくロボットとリストウオッチからなるシステムの基本的プロセスを示すプロセスチャートである。
【図2】本発明に基づくロボットの正面概要図である。
【図3】ロボットの内部構成の一実施例を示す図である。
【図4】リストウオッチの上面概観を示す図である。
【図5】リストウオッチの内部構成の一実施例を示す図である。
【図6】リストウオッチの動作例を示すフローチャートである。
【図7】モニタ対象者の外出/帰宅時におけるロボットの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<用語の定義>
(1)ロボット
自律型ロボットであり自走型が望ましいが固定型(自走せず一定箇所に設けられたもの)でもよい。
(2)屋内
家屋やマンション(集合住宅)等の室内、若しくは、複数のモニタ対象者が利用する施設(養護施設等)の建造物内部を意味する。
(3)屋外
上記建造物の外部である。
(4)外出
後述する認証された行動を意味する。認証がない行動は「行き先不明」として異常事態の範疇(異常アラーム通報対象)となる。
【0021】
<本発明の概要>
図1は、本発明に基づくロボットとリストウオッチからなるシステムの基本的動作を示すプロセスチャートである。
図1で、ロボットは撮像機能および画像認識機能を備え、屋内でのモニタ対象者の動作に追従してモニタ対象者を撮像し、画像認識によって得る行動情報を取得してメモリに記録する。なお、撮像は所定時間間隔で行い、モニタ対象者がほぼ静止状態の場合は撮像を行わないか、メモリへの記録を行わないように構成することが望ましい(P1)。
【0022】
また、ロボットはモニタ対象者が外出登録を行ったか否かを調べ、外出登録を行なわない場合はプロセスP3に移行し、外出登録を行うとプロセスP4に移行する。外出登録はロボットがモニタ対象者が外出したと判断したときに外出開始時間等をメモリに記憶することであり、外出の判断方法の例として、モニタ対象者がリストウオッチを装着するか定置位置から取り出したことを検出したとき外出したと判断することができる(P2)。
【0023】
外出登録を行わない場合は、ロボットは、上記プロセスP1で取得した行動情報を分析してモニタ対象者の動作を判定し、モニタ対象者の動作に応じたセキュリティ処理を実行する。モニタ対象者の動作を判定方法の例として、屋内の部屋の配置図とモニタ対象者の位置を比較し、時間的要素を加味することにより何をしているかを判定し、セキュリティ処理を実行することができる(たとえば、浴室に入ったことがわかれば、入浴時間を調べ、長すぎれば警告音を発したり、関係先に通報できる)。セキュリティ処理の実行後はP1に戻る(P3)。
【0024】
外出登録を行なった場合は、リストウオッチがモニタ対象者の行動情報(所定時間間隔ごとの時刻と位置情報)を取得してリストウオッチのメモリに記録する。リストウオッチによるモニタ対象者の行動情報収集は、例えばGPSから所定時間間隔で取得する位置データを取得時刻と対応付けてメモリに記憶することにより行うことができる(P4)。
【0025】
モニタ対象者が帰宅して装着していたリストウオッチを取り外すとリストウオッチは駆動情報の記録を停止し(P5)、リストウオッチをロボットの所定の部分に設けられた定置位置に置くと、ロボットは帰宅登録を行い、リストウオッチの情報をロボットのメモリに取り込む。これによって、帰宅したことを知り、また何時間外出していたかを知ることができ、ロボットの見守り情報の連続性を保つことができる。なお、リストウオッチを装着したままで、リストウオッチをロボットのほうに向けると近距離通信等の手段により自動的にリストウオッチのデータ袖手動作を停止して帰宅登録を行い、データをリストウオッチからロボットに転送するようにしてもよい(P6)。
【0026】
次に、ロボットは、リストウオッチで収集した外出時の行動情報の分析結果に応じたセキュリティ動作を実行し、屋内での見守り動作を再開する(P7)。
【0027】
図2は本発明に基づくロボットの正面概要図であり、ロボット10は、頭部10−1に、撮像部を構成する撮像レンズ11−1、11−2と、音声入出力部を構成するマイクロフォン12およびスピーカ13を備え、胴体部10−2には、モニタ対象者に対する案内メッセージや警告メッセージやモニタ対象者の画像等を表示する表示部14と、リストウオッチ40(図4参照)を定置(保持若しくは収容)するためのリストウオッチ定置部15を備え、リストウオッチ定置部15には、リストウオッチ40の保持若しくは収容の有無を検出する接触センサ16とリストウオッチ40とデータを授受するための近距離通信部17が設けられている。
【0028】
なお、図示していないが、胴体部10−2には通信回線に接続するための回線インターフェイス34(図3参照)および充電部が設けられている。また、ユーザの動きに追従して自走する自走部(若しくは脚部)を胴体下部に備えるようにしてもよい。自走部(または脚部)を備えた場合には、電圧低下前に充電装置のある充電位置に戻って自動的に充電を行うよう構成することもできる。また、外出時や警告時等にモニタ対象者の注意をロボットに集中させるために点滅等を行うためのLED発光部(図示せず)を頭部10−1若しくは胴体部10−2に設けるようにしてもよい。
【0029】
リストウオッチ定置部15の形状はリストウオッチ40を保持または収容しやすい形状および構成をなしていればよく、図示のような凹部に限定されない。接触センサ16はリストウオッチ40のリストウオッチ定置部15への定置(保持若しくは収容)を検出すると定置検出信号を出力し、またはリストウオッチ40のリストウオッチ定置部15からの取り出しを検出すると取り出し検出信号を出力する。
【0030】
なお、リストウオッチ定置部15にリストウオッチ用の充電部を設け、リストウオッチがリストウオッチ定置部に収容されている間に、無接点充電方式等により自動的に充電するように構成してもよい。これにより、帰宅時にリストウオッチを収容すると自動的に充電できるので電池切れ等の問題が生じない。
【0031】
近距離通信部17はモニタ対象者がリストウオッチ定置部15にリストウオッチ40を定置した際にリストウオッチ40に設けられている転送部47(図4参照)とほぼ対抗する位置にあり、リストウオッチ40がリストウオッチ定置部16に定置されるとロボット10からリストウオッチ40側に転送許可信号が近距離通信部17および転送部47を介してブルートゥース(Blue Tooth(登録商標))により送出され、転送許可を得たリストウオッチ40はモニタ対象者の外出時に収集した行動情報データを転送部47および近距離通信部17を介してロボット10側に転送することができる。なお、ロボット10にリストウオッチ定置部15が設けられていない場合は、モニタ対象者がリストウオッチ40の文字盤側を近距離通信部17に対抗させやすいロボット10上の位置に近距離通信部17を設けるようにすればよい。なお、近距離通信手段はブルートゥースに限定されない。例えば赤外線によるものでもよくその他公知の技術によるものでもよい。
【0032】
図3は、ロボット10の内部構成の一実施例を示す図であり、ロボット10は撮像レンズ11−1、11−2を介して取り込んだ光学像を電気信号に変換して得た画像信号を得る撮像部20と、撮像部からの画像信号を処理して画像データを得てメモリに記録する画像処理部21と、画像を認識処理する画像認識処理部22と、画像認識の結果から屋内におけるモニタ対象者の行動情報(行動情報)を得る行動情報取得部23と、マイク12からの入力音声を処理して入力音声に応じた音声を生成して(または取り出して)スピーカ13から出力するようにする対話処理部24と、接触センサ16からのリストウオッチ取り出し検出信号により、外出登録処理を行う外出登録処理部25と、接触センサ16からのリストウオッチ定置検出信号により帰宅登録処理を行う帰宅登録処理部26と、帰宅登録処理時に近距離通信部17を介してリストウオッチ40に転送許可信号を送信し、リストウオッチ40から転送される屋外行動情報(信号)を受信する近距離通信部17と、ロボット10の機械的動作を制御するロボット制御部28およびロボット制御部28の制御によりロボット10を機械的に駆動するロボット駆動29と、上記行動情報取得部22および帰宅登録処理部26の処理結果であるモニタ対象者の行動情報を取得し、それら行動情報に応じたセキュリティ処理を実行するセキュリティ処理部27と、時刻を生成して時刻信号を外出登録処理部25および帰宅登録処理部26に与える時刻発生部33と、セキュリティ処理部27から出力されるセキュリティのレベルに応じて関係先に情報を送信するための回線インターフェイス34を備えている。
【0033】
撮像部20は所定時間間隔またはセキュリティ処理部27からの制御信号に基づいて屋内でのモニタ対象者の動きに追従してモニタ対象者を撮像し、画像信号を画像処理部に送出する。
【0034】
画像処理部21、画像認識処理部22、行動情報取得部23、および対話処理部24は屋内行動認識部30を構成する。なお、対話処理部24は必須構成ではない。表示部16はセキュリティ処理部27から出力により案内メッセージや警告メッセージやモニタ対象者の画像等を表示したり画面を明滅させて警告を行うことができる。
【0035】
画像処理部21は画像メモリを備え、撮像部20で撮像された画像の画像処理を行なって、撮像した画像を画像メモリに記録する。画像メモリの記録容量上の制約によりすべての画像を記録しておくことはできないので、撮像画像は循環的に画像メモリに記録するように構成されている。画像処理部21の画像処理動作は公知のデジタルカメラにおける画像処理技術を適用することができる。
【0036】
画像認識処理部22は、モニタ対象者の顔画像および全身をさまざまな方向から撮影してパターン化した画像認識辞書を有している。ロボット10が屋内の所定の位置に静止している(または固定されている)とき、画像認識処理部22は撮像レンズ11−1または11−2を介して撮像された2つの画像と画像認識辞書に登録したモニタ対象者のパターン画像とを比較してモニタ対象者を特定する。また、画像認識処理部22は特定されたモニタ対象者を中心画像として撮像するように撮像/画像処理部21に制御信号を送出する。これにより画像認識処理部22は一種の撮像制御手段としても機能する。画像認識処理部22による画像認識処理には公知の画像認識技術を適用することができる。
【0037】
行動情報取得部23は屋内の間取り等の位置情報を登録した屋内地図登録メモリを有している。行動情報取得部22は撮像/画像処理部21で撮像されたモニタ対象者の画像(中心画像)から視差を得てロボットに対するモニタ対象者の方位を取得し、撮像レンズ11−1、11−2間の距離xを元にロボットとの距離を得ることができる。そして、ロボットの現在位置と取得したモニタ対象者の方位および距離と屋内地図登録メモリに登録されている屋内の間取り等の位置情報からモニタ対象者の行動情報(位置情報および現在屋内の何処(どの部屋、どの部分)にいるかの情報)を取得することができる。なお、モニタ対象者との距離xとして撮像/画像処理部21に設けられている距離センサからの距離データを用いてもよい。行動情報取得部23で取得した行動情報(行動情報)はセキュリティ処理部27に送出される。
【0038】
対話処理部24は質問音声に対応する応答音声データからなる応答言語辞書および音声パターンと単語を対応させた辞書を備えると共にマイクロフォン12およびスピーカ13に接続されており、マイクロフォン12を介して入力した音声の特徴を抽出して雑音を除去して音声を分離し、音声パターン辞書に登録されている音声パターンと比較し、一致度の高い音声パターンに対応する単語をキーワードとして応答言語辞書から応答音声を取り出してスピーカ13を介して再生することによりモニタ対象者との対話可能に構成されている。なお、対話処理部24による対話処理は上述した方法に限定されず、公知の対話処理方法(例えば、特開2002−261966号公報の発明の詳細な説明の項の段落[0044]、[0045]参照)によることができる。
【0039】
セキュリティ処理部27は、セキュリティのレベルに応じて回線インターフェイス34を介して関係先に情報を送信するための通信制御部(図示せず)を備えている。セキュリティ処理部27は行動情報取得部23から入力する屋内行動情報や対話部24から入力する異常音声に応じたセキュリティ処理を実行する。
【0040】
また、セキュリティ処理部27は、モニタ対象者の居住する市町村およびその隣接市町村の地図情報を記録した地図データベースおよびリストウオッチから取り込んだ外出時の行動情報を記憶する屋外情報メモリを備えており、帰宅時に帰宅登録部26で屋外行動情報メモリに取り込んだ行動情報を解析してモニタ対象者の外出時の経路および状態を判定して判定結果に応じたセキュリティ処理を実行することもできる。
【0041】
セキュリティ処理の例として、例えば、モニタ対象者が浴室にいるとの行動情報を得てから所定時間を越えても浴室から出たという行動情報を得ることがなかった場合は、スピーカ13から警告音を出力し、さらに所定時間たっても浴室から出てこない場合は関係先(登録された機関または親族等)に回線インターフェイス34を介して指定された方法(合成音声による電話連絡、インターネットによるメール送信等)により緊急通知する。トイレにいる時間が長すぎたり就寝時間が異常に長すぎた場合なども同様である。また、モニタ対処者の異常行動についても同様である。
【0042】
セキュリティ処理の例として、モニタ対象者の「助けて」、「苦しい」、「誰か」・・といった救助要請音声や異常な叫び声等の入力音声の認識結果を対話部24から得ると、関係先(登録された機関または親族等)に回線インターフェイス34を介して指定された方法(合成音声による電話連絡やインターネットによるメール送信等)により緊急通知する。
【0043】
セキュリティ処理の例として、外出登録処理部25からモニタ対象が認証なしに外出しようとしているとの情報を得ると、警告若しくは案内メッセージをスピーカ13から出力する。また、帰宅登録なしに入室しようとする者に対して警告若しくは案内メッセージをスピーカ13から出力する。更に、帰宅登録をしない者に対しては不審者若しくは侵入者として関係機関(警察や警備会社、建物の管理者等)に緊急連絡を行うようにしてもよい。
【0044】
図4は、リストウオッチの上面概観を示す図であり、リストウオッチ40は、時計面(上面;時刻表示面)に日付表示欄41、時刻表示欄42、装着する者の個人認証を行うためのカメラ43、および外部装置からの転送許可信号を受信すると、メモリに記録されている装着者の行動情報をその外部装置に転送する転送部47を備えている。なお、カメラ43、および転送部47の一方または双方をリストウオッチ40の裏側(腕接触面側)に設けるようにしてもよい。また、リストウオッチ40はGPS受信部46−1(図5参照)および裏側面にリストウオッチ40の着脱を検出する着脱検出部42(図5参照)を備えている。
【0045】
図5はリストウオッチ10の内部構成の一実施例を示す図であり、リストウオッチ40は時刻信号を生成し日付および時刻を日付表示欄43および時刻表示欄44に表示する時計部41と、リストウオッチ40の着脱を検出して着脱信号を送出する着脱検出部42と、リストウオッチを装着しようとする際にその人がモニタ対象者本人であるか否かの個人認証を行う認証部45と、個人認証されたモニタ対象者の位置情報および位置情報取得時刻を含む行動情報をメモリに記憶する行動情報取得部46と、ロボット10に位置情報を転送するための転送部47が設けられている。
【0046】
着脱検出部42は接触センサからなり、リストウオッチ40の装着を検知すると装着検出信号を認証部45に出力し、装着されているリストウオッチ40の取り外しを検知すると取り外し検出信号を行動情報取得部46に出力する。
【0047】
認証部45は、指(または手のひらまたは手首)の静脈を撮像するカメラ40−1、カメラ40−1で撮像した指(または手のひらまたは手首)の画像を処理し画像データを得る画像処理部40−2、撮像した画像データから静脈画像を抽出して正規化し、モニタ対象者の指(または手のひらまたは手首)の静脈パターンと照合して個人認証を行う認証処理部45−3、個人認証用パターンデータ(この例ではモニタ対象者の指(または手のひらまたは手首)の静脈パターンデータ)を登録した認証情報登録メモリ45−4、および認識不能の場合に警告音を出力する音響出力部45−5から構成されている。屋内に複数のモニタ対象者がいる場合は認証情報登録メモリ45−4にそれらのモニタ対象者全員もしくは一部の静脈パターンデータを登録しておけば、複数人で1個のリストウオッチを共用することができる。画像処理部40−2での画像処理は公知のデジタルカメラにおける画像処理技術を用いることができる。また、認証処理部45−3における指または手のひらまたは手首の静脈による本人認証は公知の認証技術(例えば、特開2006−48667号公報)に開示の認証技術を利用することができる。
【0048】
行動情報取得部46は、所定時間ごとにGPSデータを受信するGPS受信部46−1と、GPS受信部46−1で受信した受信信号から位置データ(座標(X、Y))を取得すると共に時計部41から時刻データを取得して位置データと関係付けて行動情報としてメモリに記録する位置情報取得部46−2と、位置情報取得部46−2で取得した行動情報を記録する行動情報記録メモリ46−3から構成されている。GPS受信部46−1を備えたリストウオッチは公知であり、市販されているのでそれらGPS受信装置搭載のリストウオッチを利用して行動情報取得部46を構成することもできる。行動情報取得部46は着脱検出部42からリストウオッチ40の装着検出信号を受け取ると動作を開始し、リストウオッチ40の取り外し検出信号を受け取ると動作を停止する。
【0049】
転送部47は、ブルートゥース(Blue Tooth(登録商標))による近距離通信御を行う送受信制御部47−1と、送受信制御部47−1の制御下で外部装置から送出される信号を受信する受信部47−2と、外部装置にデータを送信する送信部47−3から構成され、送受信制御部47−1は受信部47−2を介して外部装置(この例ではロボット40)から転送許可信号を受け取ると行動情報記録メモリ46−3に記憶されている行動情報を送信部47−3を介してその外部装置に送信(転送)させる。なお、近距離通信はブルートゥースに限定されない。例えば赤外線によるものでもよくその他公知の技術によるものでもよい。
【0050】
図6は、外出および帰宅時のリストウオッチの動作例を示すフローチャートである。
リストウオッチ40はロボット10に設けられているリストウオッチ定置部15に収容されており、外出時に、人が玄関方向に向かうとロボット10から、リストウオッチ40の装着を促す案内メッセージ(例えば、「ロボットが預かっているリストウオッチを嵌めてからが外出してください」)がスピーカ13を介して出力される。
【0051】
外出する人が、リストウオッチ40をロボット10のストウオッチ定置部15から取り出そうとして指でリストウオッチ40を掴むと認証部45はその人がモニタ対象者であるか否かの個人認証を行う。つまり、リストウオッチ40のカメラ45−1は指または手のひらまたは手首を撮像し、画像処理部45−2で得た撮像画像を認識処理部47でモニタ対象者の指(または手のひらまたは手首)の静脈パターンと照合して個人認証を行い(ステップT1)、照合結果により個人認証した場合はステップT4に進み、個人認証できなかった場合はステップT3の不認証処理に進む(ステップT2)。
【0052】
個人認証できなかった場合は、認証部45は所定回数(例えば、5回)ステップT1に戻って認証再試行を行い、認証できた場合はステップT4に進み、所定回数の再試行で認証できなかった場合は、(図示していないが)音響出力部45−5から警告音を出力する(ロボット側では、この警告音をマイク12から入力すると更に大きな警告音を出したり、不審者通報を関係機関に送信するようにできる)(ステップT3)。
【0053】
個人認証できた場合は認証済み信号を送出する。認証済み信号を受け取ると行動情報取得部46は着脱検出部42からの装着検出信号を調べ、リストウオッチ40がモニタ対象者に装着されるとステップT5に進む(ステップT4)。
【0054】
行動情報取得部46は、GPS受信部46−1で受信したGPSデータから位置データ(座標(X、Y))を取得し(ステップT5)、時計部41からの時刻情報と関係付けて行動情報メモリ46−3に記録する(ステップT6)。
【0055】
行動情報取得部46は着脱検出部42からの信号を調べ、着脱検出部42から装着されていたリストウオッチ40が取り外された旨の取り外し検出信号を受け取ると、ステップT8に進み、リストウオッチ40の取り外し検出信号ではない場合はステップT5に戻って行動情報の記録を継続し(ステップT7)、リストウオッチ40の取り外し検出信号を受け取った場合はGPS受信部46−1の受信動作を停止することにより位置情報取得動作を停止し、転送部47の送受信制御部47−1に受信動作停止済み信号を送ってステップT9に進む(ステップT8)。
【0056】
受信動作停止済み信号を受け取ると、送受信制御部47−1は受信部47−2を介してロボット10から転送許可信号を受け取ってから行動情報メモリ46−3に記録されている行動情報を読み出して送信部47−3を介してロボット10に転送する。なお、図示されていないが、転送終了後、行動情報メモリ46−3はクリアされる(ステップT9)。
【0057】
上記ステップT2で認証部45は指または手のひらまたは手首の静脈により個人認証を行うようにしたが、認証情報登録メモリ45−3にモニタ対象者の指紋または紋掌パターンを登録するようにして、モニタ対象者の指紋または紋掌により個人認証を行うように構成してもよい。指紋または紋掌により個人認証を行う技術は公知の技術を利用することができる。
【0058】
図7は、モニタ対象者の外出/帰宅時のロボット10の動作例を示すフローチャートであり、図7(a)は外出登録処理部25の動作例を示すフローチャートであり、外出登録処理部25の動作は図1のプロセスP2の詳細動作に相当する。また、図7(b)は帰宅登録処理部26の動作例を示すフローチャートであり、帰宅登録処理部26の動作は図1のプロセスP6の詳細動作に相当する。
【0059】
モニタ対象者は外出時にはロボット10の定置部15に収容してあるリストウッチ40を取り出して装着し、帰宅時には装着していたリストウッチ40を取り外してボット10の定置部15に収容する。図1に示したように定置部15の底部にはリストウオッチ40が接触しやすい位置に接触センサ16か設けられているので、定置部15に収容してあるリストウッチ40を取り出すと接触センサ16がオフとなり接触センサ16から取り出し検出信号が外出登録処理部25に送出される。また、定置部15にリストウッチ40を収容すると接触センサ16がオンとなり接触センサ16から収容検出信号が帰宅登録処理部26に送出される。また、上部にはリストウオッチ40の転送部47とほぼ対応する位置に近距離通信部17が設けられているので定置部15にリストウッチ40からロボット10にデータをブルートゥース等の近距離通信方式により送信(転送)することができる。
【0060】
図7(a)で、モニタ対象者が定置部15からリストウオッチ40を取り出すと接触センサ16から取り出し検出信号が外出登録処理部25に送出されるので(ステップP2−1)、外出登録処理部25は時刻発生部33からの時刻信号に基づいてその時点の時刻を取得して外出開始時間としてメモリに登録(記憶)する。つまり、この例では、外出登録処理部25はモニタ対象者が定置部15からリストウオッチ40を取り出すと外出するものと判断することができる(ステップP2−2)。
【0061】
次に、外出登録処理部25は、時刻発生部33からの時刻信号に基づいて取得した現在の時刻とメモリに記憶されている外出開始時刻の差から外出時間Tを算出し(ステップP2−3)、外出時間Tと所定時間Kを比較し、T≦Kの場合は外出中としてステップP2−3に戻り、T>Kの場合は事故や健康不安状態発生の可能性ありとしてセキュリティ処理部27から回線インターフェイス34を介して登録された関係先(保護者、親族、介護担当者、医師、警察等)に合成音による電話やメールで緊急連絡するために図1のプロセスP3に移行する(ステップP2−4)。
【0062】
なお、上記図7のステップP2−1の次に対話処理部24からスピーカ13を介して「帰宅時間」および外出先を問う質問音声(例えば、「何時ころ帰りますか?」、「外出先は何処ですか?」といった音声)を出力し、マイクロフォン12から入力するモニタ対象者の応答音声を認識して帰宅予定時間および外出先を抽出して外出開始時間と対応付けてメモリに記憶するようにしてもよい。このように構成すると、ステップP2−3では帰宅予定時間Cに所定時間を加算した時間T‘が現在時間Jを越えるとき(つまり、T’>J)の場合に図1のプロセスPに戻ってセキュリティ処理部27から回線インターフェイス34を介して登録された関係先(保護者、親族、介護担当者、医師、警察等)に合成音による電話やメールで緊急連絡することができる。
【0063】
図7(b)で、モニタ対象者が定置部15にリストウオッチ40を収容すると接触センサ16から収容検出信号が帰宅登録処理部26に送出されるので(ステップP6−1)帰宅登録処理部26は時刻発生部33からの時刻信号に基づいてその時点の時刻を取得して帰宅時間とし、メモリに登録(記憶)している外出開始時間と関係付けてメモリに登録(記憶)する。つまり、この例では、帰宅登録処理部26はモニタ対象者が定置部15にリストウオッチ40を収容すると帰宅したものと判断することができる(ステップP6−2)。
【0064】
次に、帰宅登録処理部26は、時刻発生部33からの時刻信号に基づいて取得した現在の時刻を帰宅時間としてメモリに記憶されている外出開始時刻に関連付けてメモリに登録(記憶)し、近距離通信部17にリストウオッチ40への転送許可送信要請信号を送り、転送許可送信要請信号を受け取ると近距離通信部17はリストウオッチ40に転送許可信号を送る(ステップP6−3)。
【0065】
近距離通信部17がリストウオッチ40に転送許可信号を送るとリストウオッチ40の転送部47から外出時の行動情報が転送(送信)されるので、帰宅登録処理部26は近距離通信部17が受信した行動情報を屋外行動情報メモリに記録する。行動情報の受信が終了すると近距離通信部17は受信終了信号をリストウオッチ40の転送部47に送信して図1のプロセスP7に移行する。受信できなかった場合は再送信要求信号をストウオッチ40の転送部47に送信する(ステップP6−4)。
【0066】
上記構成により、モニタ対象者が外出している時にはリストウオッチによりモニタ対象者の位置検出を行って位置データを記録しておき、帰宅時にロボットに転送するのでロボットは受け取ったデータから行動経路や時間を算出して外出時のモニタ対象者の行動等を把握してそれに応じたセキュリティを実行できる。つまり、本発明によれば簡単な構成で屋内および屋外のモニタ対象者の行動等を連続的に把握することができる。
【0067】
上記実施例では、リストウオッチ40で個人認証を行うようにしたが、図4でリストウオッチ40を、時計面(上面;時刻表示面)に日付表示欄41、時刻表示欄42、および転送部47を備えた構成(カメラ45−1を除いた構成)とし、図5でリストウオッチ40の内部構成を時計部41と、リストウオッチ40の着脱を検出して着脱信号を送出する着脱検出部42と、モニタ対象者の位置情報および位置情報取得時刻を含む行動情報をメモリに記憶する行動情報取得部46と、転送部47なる構成(認証部45を除いた構成)とし、ロボット10のリスト定置部15またはその近傍に認証部を設け、図7(a)のステップP2−2で、モニタ対象者がリストウオッチ10をリストウオッチ定置部15から取り出そうとする際にその人がモニタ対象者本人であるか否かの個人認証を行うようにしてもよい。
【0068】
この場合、ロボット10のリストウオッチ定置部15に設けた認証部の構成は図5に示した認証部45の機能および構成と同様でよい。つまり、モニタ対象者がリストウオッチ10をリストウオッチ定置部15から取り出そうとする際に指(または手のひらまたは手首)の静脈をカメラで撮像し、画像処理部でカメラで撮像した指(または手のひらまたは手首)の画像を処理し、認証処理部で撮像した画像データから静脈画像を抽出して正規化し、モニタ対象者の指(または手のひらまたは手首)の静脈パターンと照合して個人認証を行い、個人認証用パターンデータ(この例ではモニタ対象者の指(または手のひらまたは手首)の静脈パターンデータ)を登録した認証情報登録メモリ、および認識不能の場合に警告音を出力する音響出力部からロボット10の認証部を構成するようにすればよい。
【0069】
また、認証部をロボット10に設けた場合、認証情報登録メモリにモニタ対象者の指紋または紋掌パターンを登録するようにして、モニタ対象者がリストウオッチ10をリストウオッチ定置部15から取り出そうとする際にモニタ対象者の指紋または紋掌を撮像して個人認証を行うように構成してもよい。
【0070】
上述したように認証部をロボット10に設けた場合のリストウオッチ40の動作は、図6のフローチャートからステップT1の個人認証動作、ステップT2の個人認証の有無判定動作、およびステップT3の不認証処理動作を除いたステップT4からステップT9の動作でよいので、リストウオッチ40側の制御が認証部45をリストウオッチ40に設けた場合より簡単になる。
【0071】
また、認証部をロボット10に設けた場合のロボット10の動作は、図7(a)のステップP2−2とステップP2−3の間に、図6のステップT1の個人認証動作、ステップT2の個人認証の有無判定動作、およびステップT3の不認証処理動作と同様な動作を行うステップを設けるようにすればよい。
【0072】
このように、ロボット10に認証部を設けて外出時に個人認証をするように構成してもモニタ対象者が外出している時にはリストウオッチによりモニタ対象者の位置検出を行って位置データを記録しておき、帰宅時にロボットに転送するのでロボットは受け取ったデータから行動経路や時間を算出して外出時のモニタ対象者の行動等を把握してそれに応じたセキュリティを実行することができる。つまり、簡単な構成で屋内および屋外のモニタ対象者の行動等を連続的に見守ることができる。
【0073】
なお、ロボット10に認証部を設けた場合、上記図7のステップP2−2の次に対話処理部24からスピーカ13を介して「帰宅時間」および外出先を問う質問音声を出力し、マイクロフォン12から入力するモニタ対象者の応答音声を認識して帰宅予定時間および外出先を抽出して外出開始時間と対応付けてメモリに記憶するようにしてもよい。このように構成すると、リストウオッチ10側に認証部45を設けた場合と同様、ステップP2−3では帰宅予定時間Cに所定時間を加算した時間T‘が現在時間Jを越えるとき(つまり、T’>J)の場合に図1のプロセスPに戻ってセキュリティ処理部27から回線インターフェイス34を介して登録された関係先に合成音による電話やメールで緊急連絡することができる。
【0074】
また、上記説明でロボット10に上述したような構成(つまり、認証部45と同様な構成)の認証部を設けることなく、行動情報取得部23で個人認証を行うようにしてもよい。つまり、モニタ対象者がリストウオッチ10をリストウオッチ定置部15から取り出そうとする際に接触センサ16がリストウオッチ10の取り出しを検出すると、撮像部20に制御信号を送ってモニタ対象者を撮像し、撮像画像に基づいて個人認証を行うように構成してもよい。このように構成しても、ロボット10に認証部を設けた場合の同様の効果を得ることができる。
【0075】
なお、上記各実施例の説明ではモニタ対象者が外出時の行動情報記録装置としてリストウオッチを装着する例について述べたが、モニタ対象者の外出時の行動情報記録装置はリストウオッチに限定されない。リストウオッチに代えて携帯電話でもよい。つまり、時計機能のほか、少なくとも、位置情報収集機能、収集データ記録用メモリおよびロボットに収集データ記録用メモリに記録した位置情報等を渡す収集データ送信機能(通信によるデータ送信に限定されない)を備え、モニタ対象者が外出時に装着若しくは携帯可能な装置であればよく、携帯電話だけでなく、たとえば、上述した機能および構成を備えた装置を設けたベルトや杖などでもよい。
【符号の説明】
【0076】
10 ロボット
12 マイクロフォン
13 スピーカ
15 リストウオッチ定置部
16 接触センサ
20 撮像部
23 行動情報取得部
24 対話処理部
25 外出登録処理部
26 帰宅登録処理部
27 近距離通信部
30 屋内行動認識部
31 セキュリティ処理部
40 リストウオッチ
42 着脱検出部
45 認証部
46 行動情報取得部
47 転送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティシステムであって、ロボットとウオッチを含み、
前記ロボットは、
所定のエリア内におけるモニタ対象者の動作に追従して該モニタ対象者を認識してその行動情報を取得する行動認識部と、
前記行動認識部によって取得された行動情報に基づいてエリア内でのモニタ対象者の位置および状態を判定して判定結果に応じたセキュリティ処理を実行するセキュリティ処理部と、
モニタ対象者が前記エリアから外へ出る際に外出登録を行うと共にエリア内における前記モニタ対象者に対する前記行動認識部の動作を停止する外出登録処理部と、
モニタ対象者が前記エリア内へ入るときにモニタ対象者が装着していたウオッチから転送される該モニタ対象者のエリア外の行動情報を行動情報メモリに取り込むと共にエリア内における該モニタ対象者に対する前記行動認識部の動作を再開する帰宅登録処理部と、
を備え、
前記ウオッチは、
時刻信号を生成し、生成した時刻信号に基づいて時刻を表示する時計部と、
位置情報を取得する位置情報取得部と、
モニタ対象者の動作に従って前記位置情報取得部によって取得される位置情報を時刻と対応付けたエリア外行動情報としてエリア外情報メモリに記憶する行動情報取得部と、帰宅登録時に前記エリア外情報メモリに記憶したエリア外行動情報を前記ロボットに送信する記録情報転送部と、
を備えたことを特徴とするセキュリティシステム。
【請求項2】
前記エリア内は屋内であり、前記エリア外は屋外であることを特徴とする請求項1記載のセキュリティシステム。
【請求項3】
前記ロボットは、更に、
前記ウオッチを定置する定置部と、
前記定置部へのウオッチの定置または取り出しを検出する検出部と、
を備え、
前記外出登録処理部は、前記検出部が、ウオッチが前記定置部から取り出されたことを検出するとモニタ対象者の外出登録を行なって前記エリア内における該モニタ対象者に対する前記行動認識部の動作を停止させ、
前記帰宅登録処理部は、前記検出部が、ウオッチが前記定置部に定置されたことを検出するとウオッチから前記ロボットへの情報の送信を許可し、該ウオッチから送信される外出時の行動情報を前記行動情報メモリに取り込んで、前記エリア内における該モニタ対象者に対する前記行動認識部の動作を再開することを特徴とする請求項1記載のセキュリティシステム。
【請求項4】
前記ウオッチは、更に、
ウオッチを装着しようとする人の個人認証を行う認証部と、
ウオッチの人体への着脱を検出する着脱検出部と、
を備え、
前記行動情報取得部は、前記着脱検出部によりウオッチが個人認証されたモニタ対象者の身体へ装着されたことが検出されると前記エリア外における該モニタ対象者の行動情報の取得動作を開始し、前記着脱検出部によりウオッチがモニタ対象者の身体から取り外されたことが検出されると前記エリア外における該モニタ多少者の行動情報の取得を停止し、
前記記録情報転送部は、前記着脱検出部によりウオッチがモニタ対象者の身体から取り外されたことが検出され、且つ前記ロボットによる送信許可があると前記ロボットへの行動情報を転送する、
ことを特徴とする請求項1に記載のセキュリティシステム。
【請求項5】
前記ウオッチは、人の指または手のひらまたは手首の静脈を読み取ることにより認証を行う認証部を備え、
前記認証部による個人認証は、モニタ対象者が前記ウオッチを装着しようとして該装置を把持する際に前記認証部によって行われることを特徴とする請求項4に記載のセキュリティシステム。
【請求項6】
前記ウオッチは、人の指紋または紋掌を読み取ることにより認証を行う認証部を備え、
前記認証部による個人認証は、モニタ対象者が前記ウオッチを装着しようとする際に該ウオッチによって該モニタ対象者の指紋または掌紋を読み取ることにより行われることを特徴とする請求項4に記載のセキュリティシステム。
【請求項7】
前記セキュリティ処理部は、更に、モニタ対象者の帰宅登録後、前記エリア外行動情報メモリに取り込んだ行動情報を解析して該モニタ対象者の外出時の経路および状態を判定して判定結果に応じたセキュリティ処理を実行することを特徴とする、請求項1に記載のセキュリティシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−38339(P2012−38339A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238680(P2011−238680)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【分割の表示】特願2007−111358(P2007−111358)の分割
【原出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】