説明

ローズマリーハーブの飲料粉末及びその製造方法

この発明は、容易に元に戻る粉末状ハーブ飲料濃縮物の製造方法に関する。特に、この方法は、一連の単位工程及び認可された食品用添加物を用い、ローズマリーからハーブ飲料濃縮物を製造する方法を記述する。本発明は、カプセル化されたローズマリー香0.47-3.70%、ローズマリー抽出物4.60-10.50%、ショ糖84.30-94.90%、有機酸0.07-1.60%、及び安息香酸ナトリウム0.01-0.40%を含むローズマリーハーブの飲料粉末を記述する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容易に水で戻る粉末状ハーブ飲料濃縮物の製造方法に関する。特に、この方法は、一連の単位工程及び認可された食品用添加物を用い、ローズマリーからハーブ飲料濃縮物を製造する方法を記述する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景技術及び従来技術文献)
ローズマリーは、1年の大部分を通して乾燥から適度の湿気がある気候であるヨーロッパ及びインドの多くの地域で野生に育つ小さな常緑低木である。多くの他のハーブと異なり、ローズマリーは極めて強くかつ心地よいシネオール芳香を有する。ローズマリーの葉は、快い芳香を持ち、樟脳の味を有する。この葉は、香料、薬剤並びに特に肉、ソーセージ、スープ及びテーブルソースを風味付けるための料理目的に使用される揮発性油(1-2%)を生じると報告されている。ローズマリーの抗酸化能はよく認められている。ローズマリー酸、ローズマリノール(rosamarinol)、ローズマリー・ジフェノールのような抗酸化成分はローズマリーから単離されてきた。最近、いくつかの化粧品及び医薬品用途に関し、天然抗酸化剤は極めて重要であると考えられてきている。食用油、酸、塩及びハーブを含む安定化した食用ハーブ組成物が記述されているバカル A.Iによる米国特許番号4572836(1986)について述べる。2桁の番号を付してリストされたハーブの組合せは、水で戻した時に適する香味組成ではない。組成物への食用油の添加は、組成物を酸化させ、カロリーを増して健康特性へのハーブの効果を隠す傾向にある。糊のような粘度を付与するのに必要な脂肪の量が極めて高いことは(25-70質量%)、この発明の主要な欠点である。最近、脂肪は主な健康上の関心であるため、本発明では我々は脂肪を用いなかった。
【0003】
ハーブの溶媒抽出物と低脂肪族アルコール又はポリオール水溶液とを攪拌し、水相/抽出物を分離することによるシソ科植物の抗酸化剤の安定なアルカリ溶液についてのトッド P. H. Jrによる他の米国特許番号5061405(1991)について述べる(特許文献1)。この発明の欠点は、認可されていない有機溶媒の使用であり、又、製品への溶媒の残留の問題を引き起す。本発明では我々は溶媒もアルカリも使用しなかったが、最大限の生理活性を発揮するため抽出物をその自然な状態に保つ一般的な水溶媒を用いて、中性に近いpHで抽出プロセスが実行された。本発明/製法では溶媒残留の恐れはない。前記製法は、他の許容される添加物を含むことにより、さらに消費に適した抽出物を製造する。ハーブからの保存料-溶媒抽出物の製造方法を記述するカナモリ Tとキムラ Yによる米国特許番号4380506(1983)についても述べる(特許文献2)。この製法は、エッセンシャルオイル(精油)の回収後の極性及び無極性(non-polar)溶媒を用いた複数のハーブからの含油樹脂の調製、及びさらにその後に本発明とは異なる抽出物を混合することを含むが、溶媒残留という主要な欠点を有する。本発明/製法では溶媒残留の問題はない。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5061405号明細書
【特許文献2】米国特許第4380506号明細書
【発明の開示】
【0005】
(本発明の目的)
本発明の主な目的は、容易に元に戻る粉末状ハーブ飲料濃縮物の製造方法を提供することにある。
本出願の他の目的は、爽快なローズマリーの風味の飲料を提供することにある。
本出願の別の目的は、強壮剤及び他の治療製剤に用いられる飲料の調製を提供することにある。
【0006】
(発明の要約)
本発明は、容易に水で元に戻る粉末状ハーブ飲料濃縮物の製造方法を提供する。特に、この方法は、一連の単位工程及び認可された食品用添加物を用い、ローズマリーからハーブ飲料濃縮物を製造する方法を記述する。
【0007】
(発明の詳細の説明)
従って本発明は、容易に元に戻る粉末状ハーブ飲料濃縮物の製造方法に関する。特に、この方法は、一連の単位工程及び認可された食品用添加物を用い、ローズマリーからハーブ飲料濃縮物を製造する方法を記述する。
本発明は、カプセル化されたローズマリー香0.47-3.70%、ローズマリー抽出物4.60-10.50%、ショ糖84.30-94.90%、有機酸0.07-1.60%、固化防止剤0.009-0.50%、及び安息香酸ナトリウム0.01-0.40%を含むローズマリーハーブの飲料粉末を記述する。
【0008】
本発明の他の実施形態は、有機酸濃度が0.5-1.0%の範囲である。
本発明のさらに他の実施形態は、好ましいショ糖濃度が85-90%の範囲であることを提供する。
本実施形態の別の実施形態は、ローズマリー抽出物が6-8%の範囲であることを提供する。
本発明のさらに別の実施形態は、好ましい安息香酸ナトリウム濃度が0.2-0.4%の範囲であることを提供する。
本発明のさらに別の実施形態は、好ましい固化防止剤濃度が0.1-0.3%の範囲であることを提供する。
本発明のさらに別の実施形態は、カプセル化されたローズマリー香が1.5-2.5%の濃度範囲であることを提供する。
【0009】
本発明のさらに他の実施形態は、カプセル化されたローズマリー香0.47-3.70%、ローズマリー抽出物4.60-10.50%、ショ糖84.30-94.90%、有機酸0.07-1.60%、固化防止剤0.009-0.50%、及び安息香酸ナトリウム0.01-0.40%を含むローズマリーハーブの飲料粉末を提供し、前記方法は:
a.ローズマリーを45-65℃で4-6h乾燥し;
b.乾燥したローズマリーを20-30メッシュの粒径に粉砕し;
c.エッセンシャルオイルを含む水性抽出物を得るため、1-3hrの間、1:1〜1:4の範囲の比率の蒸留水を用いて粉砕したローズマリーからエッセンシャルオイルを抽出し;
d.前記抽出物を2つの部分に分割し;
e.約0.5%の濃度のエッセンシャルオイル、10-20%の濃度範囲の担体及び担体の約0.4%の濃度の乳化剤を含む水溶性エマルションを乾燥によってカプセル化して第1の部分を乳化し;
f.必要とされるろ液と残渣とを得るために水性抽出物の第2の部分をろ過し;
g.前記ろ液を濃縮し;
h.前記濃縮されたろ液を約5%の担体と混合し;
i.前記濃縮され混合された抽出物を約60℃の温度で約6h乾燥し;
j.前記濃縮された抽出物と、0.47-3.70%の濃度範囲のステップ(e)のカプセル化されたローズマリー香と、84.30-94.90%の濃度範囲の粉末ショ糖と、0.07-1.60%の濃度範囲の有機酸と、0.009-0.50%の濃度範囲の固化防止剤とを混合し;及び
k.乾燥した材料を回収することによりローズマリーハーブの飲料粉末を得る
ステップを含む。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態は、蒸留水に対する粉砕したローズマリーの好ましい比が約1:2であることを提供する。
本発明のさらに別の実施形態は、前記残渣の抽出物に対する蒸留水の好ましい比が約1:1であることを提供する。
本発明のさらに別の実施形態は、前記ろ液が蒸発又は減圧蒸留によって濃縮されることを提供する。
本発明のさらに別の実施形態は、前記担体がアラビアゴム及びマルトデキストリンからなる群から選ばれることを提供する。
本発明のさらに別の実施形態は、前記有機酸がクエン酸、リンゴ酸及びフマル酸を含む群から選ばれることを提供する。
本発明のさらに別の実施形態は、前記固化防止剤がリン酸三カルシウム、シリカ、及び珪酸ナトリウムアルミニウムを含む群から選ばれることを提供する。
【0011】
ローズマリーからのハーブ飲料濃縮物の製造方法は、以下のフローチャートに説明される。
【化1】

【0012】
前記方法の新規性は、高抗酸化性のハーブを利用し、適切な単位工程を用いてそれを高い生理活性の便利な製品に変換することにある。
以下の実施例は本発明を説明するために提供され、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0013】
ローズマリーの調製された葉部分(10kg)が洗浄及び乾燥され、それぞれ一定(2-6cm深さ)層のハーブを有する浅い網又は穴開きトレイが取付けられた断熱棚からなる直交流ドライヤー内で乾燥(55℃/4h)された。トレイ面積1m2当たり0.5-5m s-1で温風が棚を通って循環する。均一な空気分布を促進するため、各トレイの上に及び/又は各トレイを通って空気を導くようダクト及び邪魔板のシステムが用いられる。
【0014】
乾燥したローズマリー(1kg)を22メッシュBS篩の粒径に粉砕し、エッセンシャルオイルを回収するためにクレベンジャー・トラップを用いて5.5Lの水で2h沸騰させることにより、ローズマリーの水性抽出物が調製された。抽出物は布フィルターを用いてろ過され、残渣は別の水2.5L(6.5°ブリックス)で1h沸騰させられ、ろ過された。抽出物は1箇所に貯留され、2.4Lの体積に濃縮された。等しい一定量の抽出物にアラビアゴムとマルトデキストリン(それぞれ100g)が別個に溶解され、ワーリング(waring)・ブレンダー内でよく混合された。溶液(2.6L;13.5°ブリックス)が3つのアルミニウムトレイに等量で広げられ、温度60℃及び25インチ以下の真空で6時間の間、真空棚(ストークス、真空棚式ドライヤー,PA,USA)で乾燥させられた。乾燥の最後に真空が解除され、トレイが回収されて乾燥材料が集められた(290g)。
【0015】
アラビアゴム、粉末(200g)が水400mlに30分間浸され、水により体積が2Lに足され、ろ過された。この溶液に対し、0.4%の濃度の乳化剤(トゥイーン(tween)60)と共にローズマリー揮発油(5ml)が添加され、5分間均質化(15000-19000rpm)された。乳液は、60ml/minの流量で135℃の入口空気温度及び100℃の出口温度で噴霧乾燥(ボーエン,USA)された。カプセル化されたローズマリー香の収量は150gであった。
【0016】
カプセル化されたローズマリー香,5.0g,真空棚乾燥したローズマリー抽出物10g;粉末ショ糖,120g;クエン酸;1g,及びリン酸三カルシウム,2gがシグマ(sigma)混合器内で混合され、PP袋でパックされた。爽快なローズマリー香の飲料を与えるため、このようにして得られた一定量(6ml)の乾燥混合物が炭酸水(100ml)に加えられた。
【実施例2】
【0017】
ローズマリーの調製された葉部分(6kg)が洗浄及び乾燥され、それぞれ一定(2-6cm深さ)層のハーブを有する浅い網又は穴開きトレイが取付けられた断熱棚からなる直交流ドライヤー内で乾燥(55℃/4h)された。トレイ面積1m2当たり0.5-5m s-1で温風が棚を通って循環する。均一な空気分布を促進するため、各トレイの上に及び/又は各トレイを通って空気を導くようにダクト及び邪魔板のシステムが用いられる。
【0018】
乾燥したローズマリー(1kg)を22メッシュBS篩の粒径に粉砕し、エッセンシャルオイルを回収するためにクレベンジャー・トラップを用いて2.5Lの水で1h沸騰させることにより、ローズマリーの水性抽出物が調製された。抽出物は布フィルターを用いてろ過され、残渣は別の水2.5L(6.8°ブリックス)で1h沸騰させられ、ろ過された。抽出物は1箇所に貯留され、2.4Lの体積に濃縮された。等しい一定量の抽出物にアラビアゴムとマルトデキストリン(それぞれ100g)が別個に溶解され、ワーリング(waring)・ブレンダー内でよく混合された。溶液(2.8L;12.5°ブリックス)が3つのアルミニウムトレイに等量で広げられ、温度60℃及び25インチ以下の真空で6時間の間、真空棚(ストークス、真空棚式ドライヤー,PA,USA)で乾燥させられた。乾燥の最後に真空が解除され、トレイが回収されて乾燥材料が集められた(290g)。
【0019】
乾燥飲料混合物を調製する際の不揮発性の抽出物(真空棚乾燥された粉末)の利用は、ショ糖、クエン酸、安息香酸ナトリウム、認可された着色料(任意)及び固化防止剤からなる。甘さ−酸味バランスを最適化するため、中間物、すなわち以下の添付に与えられるローズマリーからの真空棚乾燥された粉末を組合せていくつかの実験が行われた。
【0020】
<添付>
最終的な飲料100ml用のハーブ飲料混合物は以下からなる:
ショ糖 12g
クエン酸 0.125g
真空棚乾燥したローズマリー抽出物 1g
安息香酸ナトリウム 0.014g
リン酸三カルシウム 0.1g
これらの混合物は別個に水100mlに溶かされ、香り、味、後味及び総合的な合否が評価された。非発泡性飲料及び炭酸飲料の両方として非常に満足することがわかった。それらは強壮剤及び他の治療製剤に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル化されたローズマリー香0.47-3.70%、ローズマリー抽出物4.60-10.50%、ショ糖84.30-94.90%、有機酸0.07-1.60%、固化防止剤0.009-0.50%、及び安息香酸ナトリウム0.01-0.40%を含むローズマリーハーブの飲料粉末。
【請求項2】
好ましい有機酸濃度が0.5-1.0%の範囲である請求項1に記載のローズマリーハーブの飲料粉末。
【請求項3】
好ましいショ糖濃度が85-90%の範囲である請求項1に記載のローズマリーハーブの飲料粉末。
【請求項4】
好ましいローズマリー抽出物が6-8%の範囲である請求項2に記載のローズマリーハーブの飲料粉末。
【請求項5】
好ましい安息香酸ナトリウム濃度が0.2-0.4%の範囲である請求項1に記載のローズマリーハーブの飲料粉末。
【請求項6】
好ましい固化防止剤濃度が0.1-0.3%の範囲である請求項1に記載のローズマリーハーブの飲料粉末。
【請求項7】
好ましいカプセル化されたローズマリー香が1.5-2.5%の濃度範囲である請求項1に記載のローズマリーハーブの飲料粉末。
【請求項8】
カプセル化されたローズマリー香0.47-3.70%、ローズマリー抽出物4.60-10.50%、ショ糖84.30-94.90%、有機酸0.07-1.60%、固化防止剤0.009-0.50%、及び安息香酸ナトリウム0.01-0.40%を含むローズマリーハーブの飲料粉末の製造方法であって、前記方法は:
a.ローズマリーを45-65℃で4-6h乾燥し;
b.乾燥したローズマリーを20-30メッシュの粒径に粉砕し;
c.エッセンシャルオイルを含む水性抽出物を得るため、1-3hrの間、1:1〜1:4の範囲の比率の蒸留水を用いて粉砕したローズマリーからエッセンシャルオイルを抽出し;
d.前記抽出物を2つの部分に分割し;
e.約0.5%の濃度のエッセンシャルオイル、10-20%の濃度範囲の担体及び担体の約0.4%の濃度の乳化剤を含む水溶性エマルションを乾燥によってカプセル化して第1の部分を乳化し;
f.必要とされるろ液と残渣とを得るために水性抽出物の第2の部分をろ過し;
g.前記ろ液を濃縮し;
h.前記濃縮されたろ液を約5%の担体と混合し;
i.前記濃縮され混合された抽出物を約60℃の温度で約6h乾燥し;
j.前記濃縮された抽出物と、0.47-3.70%の濃度範囲のステップ(e)のカプセル化されたローズマリー香と、84.30-94.90%の濃度範囲の粉末ショ糖と、0.07-1.60%の濃度範囲の有機酸と、0.009-0.50%の濃度範囲の固化防止剤とを混合し;及び
k.乾燥した材料を回収することによりローズマリーハーブの飲料粉末を得る
ステップを含むローズマリーハーブの飲料粉末の製造方法。
【請求項9】
蒸留水に対する粉砕したローズマリーの好ましい比が約1:2である請求項8に記載のローズマリーハーブの飲料粉末の製造方法。
【請求項10】
前記残渣の抽出物に対する蒸留水の好ましい比が約1:1である請求項8に記載のローズマリーハーブの飲料粉末の製造方法。
【請求項11】
前記ろ液が蒸発又は減圧蒸留によって濃縮される請求項8に記載のローズマリーハーブの飲料粉末の製造方法。
【請求項12】
前記担体がアラビアゴム及びマルトデキストリンからなる群から選ばれる請求項8に記載のローズマリーハーブの飲料粉末の製造方法。
【請求項13】
前記有機酸がクエン酸、リンゴ酸及びフマル酸を含む群から選ばれる請求項8に記載のローズマリーハーブの飲料粉末の製造方法。
【請求項14】
前記固化防止剤がリン酸三カルシウム、シリカ、及び珪酸ナトリウムアルミニウムを含む群から選ばれる請求項8に記載のローズマリーハーブの飲料粉末の製造方法。

【公表番号】特表2007−528198(P2007−528198A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514345(P2005−514345)
【出願日】平成15年12月26日(2003.12.26)
【国際出願番号】PCT/IB2003/006189
【国際公開番号】WO2005/070236
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(595059872)カウンシル オブ サイエンティフィク アンド インダストリアル リサーチ (81)
【Fターム(参考)】