ロータリーキルン
【課題】リング部材からレトルトに熱膨張率差による過剰な応力が加わりにくく、確実にレトルトを保持することが可能であり、リング部材の取付作業が簡単なロータリーキルンを提供することを課題とする。
【解決手段】ロータリーキルン1は、筒状のレトルト2と、レトルト2の外周面に配置されるリング部材8F、8Rと、を備える。リング部材8F、8Rは、外輪80と、レトルト2の外周面に当接する内周面を有すると共に周方向に並んで配置される三つ以上の保持具81と、隣接する保持具81同士を弾性的に連結し保持具81と共にレトルト2の外周面を環状に囲む連結部材82と、外輪80と保持具81との間に区画される隙間83と、を備える。
【解決手段】ロータリーキルン1は、筒状のレトルト2と、レトルト2の外周面に配置されるリング部材8F、8Rと、を備える。リング部材8F、8Rは、外輪80と、レトルト2の外周面に当接する内周面を有すると共に周方向に並んで配置される三つ以上の保持具81と、隣接する保持具81同士を弾性的に連結し保持具81と共にレトルト2の外周面を環状に囲む連結部材82と、外輪80と保持具81との間に区画される隙間83と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸方向に搬送しながら被処理物に熱処理を施すロータリーキルンに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリーキルンは、円筒状のレトルトと、架台と、を備えている。レトルトは略水平に配置されている。レトルトの外周面には、リング状のタイヤが配置されている。一方、架台には、ローラーが配置されている。ローラー上でタイヤを転動させることにより、レトルトを軸回りに回転させることができる。
【0003】
レトルトおよびタイヤは、一般的に、SUS(ステンレス鋼)などの金属製である。このため、簡単にレトルトにタイヤを取り付けることができる。しかしながら、被処理物の特性などによっては、セラミック製、カーボン製など非金属製のレトルトを用いる場合がある。この場合、レトルトにタイヤを取り付けるのが困難である。また、レトルトの熱膨張率とタイヤの熱膨張率との差により、タイヤからレトルトに過剰な応力が加わる場合がある。
【0004】
そこで、特許文献1には、熱膨張率差によりレトルトに加わる応力を、抑制可能なロータリーキルンが紹介されている。図11に、同文献記載のロータリーキルンの径方向断面図を示す。図11に示すように、ロータリーキルン100は、レトルト101と、タイヤ102と、一対のローラー103と、を備えている。レトルト101は、セラミック製であって、円筒状を呈している。タイヤ102は、レトルト101の外周面に配置されている。
【0005】
タイヤ102は、外輪102aと、三つのばね部材102bと、隙間102cと、を備えている。外輪102aは、リング状を呈している。外輪102aの内周面には、ガイドリブ104が配置されている。ガイドリブ104は、周方向に延在している。隙間102cは、外輪102aの内周面と、レトルト101の外周面と、の間に区画されている。ばね部材102bは、M字状を呈している。ばね部材102bのM字両端には、一対の被ガイド片105が配置されている。被ガイド片105は、ガイドリブ104に摺接している。ばね部材102bの二つのM字頂部は、レトルト101の外周面に弾接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−250475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のロータリーキルン100によると、外輪102aの内周面と、レトルト101の外周面と、の間に、隙間102cが区画されている。このため、外輪102aおよびレトルト101が熱により変形しても、当該変形量を隙間102cが吸収することができる。したがって、タイヤ102からレトルト101に、過剰な応力が加わりにくい。
【0008】
しかしながら、同文献記載のロータリーキルン100によると、三つのばね部材102bが、レトルト101の周方向に連なって配置されていない。このため、三つのばね部材102bによる拘束から、レトルト101が外れることも考えられる。この場合、例えば、レトルト101と、被ガイド片105と、が干渉するおそれがある。
【0009】
また、同文献記載のロータリーキルン100によると、タイヤ102の取付作業が煩雑である。すなわち、タイヤ102を取り付ける場合は、まずレトルト101の径方向外側にタイヤ102を配置し、次いで合計六つの被ガイド片105を、ガイドリブ104に対して、各々スライドさせ、最後にタイヤ102の中心軸と、レトルト101の中心軸と、を一致させる必要がある。このため、タイヤ102の取付作業が煩雑である。
【0010】
本発明のロータリーキルンは、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、タイヤやスプロケットやギアなどのリング部材からレトルトに熱膨張率差による過剰な応力が加わりにくく、確実にレトルトを保持することが可能であり、リング部材の取付作業が簡単なロータリーキルンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記課題を解決するため、本発明のロータリーキルンは、略水平に配置され軸回りに回転可能な筒状のレトルトと、該レトルトの外周面に配置されるリング部材と、を備えてなるロータリーキルンであって、前記リング部材は、外輪と、前記レトルトの前記外周面に当接する内周面を有すると共に周方向に並んで配置される三つ以上の保持具と、隣接する該保持具同士を弾性的に連結し該保持具と共に該レトルトの該外周面を環状に囲む連結部材と、該外輪と該保持具との間に区画される隙間と、を備えることを特徴とする(請求項1に対応)。
【0012】
本発明のロータリーキルンによると、外輪と保持具との間に、隙間が区画されている。このため、外輪およびレトルトが熱により変形しても、当該変形量を隙間が吸収することができる。したがって、レトルトの熱膨張率とリング部材の熱膨張率との差により、リング部材からレトルトに過剰な応力が加わりにくい。
【0013】
また、本発明のロータリーキルンによると、保持具と連結部材とが連なって形成されるリングにより、レトルトが径方向外側から囲まれている。このため、確実にレトルトを保持することができる。また、保持具は三つ以上配置されている。この点においても、確実にレトルトを保持することができる。
【0014】
また、本発明のロータリーキルンによると、隣り合う保持具同士を連結部材で連結することで、レトルトにリング部材を取り付けることができる。このため、リング部材の取付作業が簡単である。
【0015】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記リング部材は、ローラーに転動可能に載置されるタイヤである構成とする方がよい(請求項2に対応)。本構成によると、レトルトの熱膨張率とタイヤの熱膨張率との差により、タイヤからレトルトに過剰な応力が加わりにくい。また、本構成によると、確実にレトルトを保持することができる。また、本構成によると、タイヤの取付作業が簡単である。また、本構成によると、レトルトに対するタイヤの安定性が高い。
【0016】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記レトルトは、円筒状である構成とする方がよい(請求項3に対応)。本構成によると、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、滑りにくい。以下、その理由を説明する。
【0017】
すなわち、一般的に、円筒状のレトルトの外周面は真円状(詳しくは、レトルトの径方向断面における外周面(外周線)が真円状)に設計される。同様に、リング部材の内周面も真円状に設計される。両部材が設計どおりに作製されれば、リング部材はレトルトに全周的に面接触することになる。このため、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、滑りにくい。
【0018】
ところが、実際には、設計どおりに作製できず、レトルトの真円度が低い場合がある。例えば、作製後のレトルトの外周面が楕円状の場合がある。この場合、真円状のリング部材は、楕円状のレトルトに対して、二箇所で当接することになる。このため、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、滑りやすい。
【0019】
この点、本構成によると、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、少なくとも三箇所で当接する(保持具の配置数が多いほど当接箇所が多くなる)。すなわち、レトルトの外周面が真円状であっても、あるいは楕円状、長円状、異形状などであっても、レトルトの外周面の形状によらず、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、少なくとも三箇所で当接する。このため、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、滑りにくい。
【0020】
また、保持具の配置数が二つ以下の場合、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、二箇所で当接することもあり得る。この場合、二箇所の当接部分を結ぶ仮想軸を中心に、レトルトに対してリング部材がぐらつくことも考えられる。このように、保持具の配置数が二つ以下の場合、レトルトに対するリング部材の安定性が低い。この点、本構成によると、保持具の配置数が三つ以上である。このため、レトルトに対するリング部材の安定性が高い。
【0021】
(4)好ましくは、上記(3)の構成において、前記保持具は、可撓性を有し、自然状態における該保持具の前記内周面の曲率と、前記レトルトの前記外周面の設計曲率と、は異なる構成とする方がよい(請求項4に対応)。
【0022】
つまり、本構成は、取付前の自然状態(拘束されていない状態)の保持具の内周面の曲率と、レトルトの外周面の設計曲率と、を一致させないものである。本構成によると、保持具を取り付ける際、保持具の内周面の形状がレトルトの外周面の形状に沿うように、保持具が弾性変形する。このため、当該弾性変形による復元力を利用して、保持具の内周面をレトルトの外周面に弾接させることができる。したがって、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、さらに滑りにくくなる。
【0023】
(5)好ましくは、上記(3)または(4)の構成において、前記保持具は、三つ配置されている構成とする方がよい(請求項5に対応)。保持具の配置数が多いほど、レトルトの外周面に対する、保持具の内周面の当接箇所が多くなる。このため、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、さらに滑りにくくなる。その反面、保持具の配置数が多いほど、リング部材の部品点数が多くなる。このため、リング部材の構造が複雑化する。
【0024】
この点、本構成によると、保持具が三つだけ配置されている。すなわち、レトルトに対してリング部材を安定して取り付けることができる最小配置数だけ、保持具が配置されている。このため、リング部材の安定性を確保しつつ、リング部材の部品点数を少なくすることができる。また、リング部材の構造を簡単にすることができる。
【0025】
(6)好ましくは、上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、前記リング部材は、さらに、前記隙間に配置され、前記外輪に揺動可能に支持される外端と、前記保持具に揺動可能に支持される内端と、を持つリンクアームを有する構成とする方がよい(請求項6に対応)。
【0026】
本構成によると、リンクアームの外端を中心に、リンクアームの内端と共に、保持具を揺動させることができる。このため、保持具の径方向位置を調整することができる。また、本構成によると、リンクアームの内端を中心に、保持具を揺動させることができる。このため、保持具の内周面の角度を調整することができる。このように、本構成によると、レトルトの外周面の形状や曲率や径などに対する、保持具の適応性が高くなる。
【0027】
特に本構成と、上記(3)ないし(5)のいずれかの構成と、を組み合わせると、リング部材の取付作業が簡単になる。例えば、レトルトの真円度が低くかつリング部材の真円度が高い場合、取付後のリング部材の滑りを抑制するため、リング部材とレトルトとの当接面積が大きくなる角度を探しながら(例えばレトルトに対してリング部材を回しながら)、リング部材を取り付ける必要がある。このため、リング部材の取付作業が煩雑である。
【0028】
これに対して、本構成の場合、リンクアームにより、保持具を自在に動かすことができる。このため、保持具とレトルトとの当接面積が大きくなる角度を探しながら、リング部材を取り付ける必要がない。したがって、リング部材の取付作業が簡単である。
【0029】
(7)好ましくは、上記(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記レトルトは、セラミック製である構成とする方がよい(請求項7に対応)。セラミック製のレトルトは、まず成形し、次いで焼成することにより、作製される。成形直後かつ焼成前のレトルトは軟らかい。このため、成形された形状を、維持するのが困難である。このため、例えば、自重などにより、レトルトが変形してしまう場合がある。この場合、変形した形状のまま、レトルトは焼成されることになる。したがって、焼成後のレトルトの外周面の面精度(設計面に対する実際の面の再現度)が低下してしまう。
【0030】
この点、本発明のロータリーキルンによると、レトルトの外周面の面精度によらず、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、少なくとも三箇所で当接する。このため、確実にレトルトを保持することができる。
【0031】
また、本発明のロータリーキルンによると、外輪と保持具との間に、隙間が区画されている。このため、リング部材から、セラミック製のレトルトに、熱膨張率差による過剰な応力が加わりにくい。
【0032】
特に本構成と、上記(3)ないし(5)のいずれかの構成と、を組み合わせると、焼成後のレトルトの外周面の真円度が低い場合であっても、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、少なくとも三箇所で当接することになる。このため、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、滑りにくい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、タイヤやスプロケットやギアなどのリング部材からレトルトに熱膨張率差による過剰な応力が加わりにくく、確実にレトルトを保持することが可能であり、リング部材の取付作業が簡単なロータリーキルンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第一実施形態のロータリーキルンの斜視図である。
【図2】同ロータリーキルンの分解斜視図である。
【図3】同ロータリーキルンの前方のタイヤ付近の斜視図である。
【図4】同タイヤ付近の分解斜視図である。
【図5】同タイヤ付近の径方向断面図である。
【図6】同タイヤの上方に配置された連結部材付近の分解斜視図である。
【図7】レトルトの外周面が楕円状の場合の、同ロータリーキルンの前方のタイヤ付近の径方向断面図である。
【図8】第二実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤ付近の径方向断面図である。
【図9】第三実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤ付近の径方向断面図である。
【図10】第四実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤの、上方に配置された連結部材付近の分解斜視図である。
【図11】従来のロータリーキルンの径方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明のロータリーキルンの実施の形態について説明する。
【0036】
<第一実施形態>
[ロータリーキルンの構成]
まず、本実施形態のロータリーキルンの構成について説明する。図1に、本実施形態のロータリーキルンの斜視図を示す。図2に、同ロータリーキルンの分解斜視図を示す。図1、図2に示すように、ロータリーキルン1は、主に、レトルト2と、スクリューフィーダー3と、上流側フード4と、ホッパー5と、加熱部6(図1においては透過して、図2においては省略して、それぞれ示す。)と、下流側フード7と、前後一対のタイヤ8F、8Rと、架台9とを備えている。
【0037】
図1に太い点線で示すように、被処理物は、外部からホッパー5に投入される。投入された被処理物は、スクリューフィーダー3→レトルト2→下流側フード7→ロータリーバルブ71、72の順に、各部材を通過する。そして、外部に払い出される。レトルト2の内部を通過する際、加熱部6からの熱により、被処理物に所定の熱処理が施される。
【0038】
(架台9)
架台9は、机状を呈している。架台9は、一対のローラー90L、90Rと、一対のローラー91L、91Rと、一対の軸受部92と、を備えている。これらの部材は、架台9上面に、前後方向に並んで配置されている。
【0039】
一対のローラー90L、90Rは、架台9上面の前縁に配置されている。ローラー90L、90Rの回転軸は、各々、前後方向に延在している。一対のローラー90L、90Rは、左右方向に並んで配置されている。一対のローラー91L、91Rは、架台9上面の、中央やや後方に配置されている。一対のローラー91L、91Rの回転軸は、各々、前後方向に延在している。一対のローラー91L、91Rは、左右方向に並んで配置されている。一対の軸受部92は、架台9上面の後縁付近に配置されている。一対の軸受部92は、前後方向に並んで配置されている。一対の軸受部92の軸貫通孔は、前後方向に同軸状に並んでいる。
【0040】
(レトルト2)
レトルト2は、セラミック製であって、前後方向に延在する円筒状を呈している。レトルト2の外周面は、真円状を呈している。スプロケット24は、鋼製であって、レトルト2における、タイヤ8Rよりも後方に周設されている。駆動装置(図略)からの駆動力がスプロケット24に伝達されることにより、レトルト2は、ローラー90L、90R上、およびローラー91L、91R上で、軸回りに回転可能である。なお、レトルト2は、略水平に配置されているが、被処理物を流動させるため、厳密には後方から前方に向かってやや下向きに傾斜している。
【0041】
(加熱部6、下流側フード7、上流側フード4)
加熱部6は、直方体箱状を呈している。加熱部6の内面には、ヒータ(図略)が配置されている。レトルト2は、加熱部6を前後方向に貫通している。レトルト2の軸方向(前後方向)略中央部分は、加熱部6に収容されている。
【0042】
下流側フード7の上部は直方体箱状を、下部は下方に尖る四角錐箱状を、それぞれ呈している。下流側フード7上部の後壁には、レトルト挿入孔70が開設されている。レトルト挿入孔70には、レトルト2の前端が収容されている。レトルト挿入孔70の孔縁とレトルト2外周面との間には、摺動シール部材(図略)が介装されている。下流側フード7の下方には、ロータリーバルブ71、72が上下方向に連設されている。
【0043】
上流側フード4は、中空円柱状を呈している。上流側フード4の前壁には、レトルト挿入孔40が開設されている。レトルト挿入孔40には、レトルト2の後端が収容されている。レトルト挿入孔40の孔縁とレトルト2外周面との間には、摺動シール部材(図略)が介装されている。上流側フード4の後壁には、供給パイプ挿入孔41が開設されている。
【0044】
(スクリューフィーダー3、ホッパー5)
スクリューフィーダー3は、供給パイプ30(図2においては透過して示す。)とシャフト31とスクリュー32とを備えている。供給パイプ30は、軸方向(前後方向)に延びる円筒状を呈している。供給パイプ30は、上流側フード4の供給パイプ挿入孔41に挿入され、固定されている。供給パイプ30の前端は、レトルト2内部に開放されている。
【0045】
シャフト31は、丸棒状を呈している。シャフト31は、供給パイプ30の径方向内側に、同軸状に配置されている。シャフト31の後端は、供給パイプ30の後方に突出している。シャフト31の後端は、前記一対の軸受部92により、回転可能に支持されている。
【0046】
シャフト31後端における、一対の軸受部92同士の間には、スプロケット311が周設されている。スプロケット311を介して、外部からシャフト31に駆動力(回転力)が伝達される。
【0047】
スクリュー32は、螺旋状を呈している。スクリュー32は、シャフト31と共に、供給パイプ30の径方向内側に収容されている。スクリュー32は、シャフト31の外周面に周設されている。前記スプロケット311を介してシャフト31に伝達される回転力により、スクリュー32は、シャフト31と共に、シャフト31の軸回りに回転する。
【0048】
ホッパー5は、上蓋付きホッパーであって、上部は円筒状を、下部は下方に尖る円錐箱状を、それぞれ呈している。ホッパー5は、供給パイプ30の上方に固定されている。ホッパー5には、被処理物が貯留されている。
【0049】
(タイヤ8F、8R)
タイヤ8Fは、レトルト2の前端付近の外周面に配置されている。タイヤ8Fは、一対のローラー90L、90R上に転動可能に載置されている。タイヤ8Rは、レトルト2の後端付近の外周面に配置されている。タイヤ8Rは、一対のローラー91L、91R上に転動可能に載置されている。
【0050】
前後一対のタイヤ8Fとタイヤ8Rとは、前後方向に対称に配置されている。タイヤ8F、8Rの構成は同じである。よって、ここでは、タイヤ8Fについてのみ説明し、タイヤ8Rについての説明を兼ねるものとする。
【0051】
図3に、本実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤ付近の斜視図を示す。図4に、同タイヤ付近の分解斜視図を示す。図5に、同タイヤ付近の径方向断面図を示す。なお、図4においては、レトルト2を透過して示す。図3〜図5に示すように、タイヤ8Fは、外輪80と、三つの保持具81と、三つの連結部材82と、隙間83と、三つのリンクアーム84と、を備えている。
【0052】
外輪80は、鋼製であって真円リング状を呈している。外輪80の前面には、外端取付孔800が穿設されている。外端取付孔800は、周方向に120°ずつ離間して、合計三つ配置されている。外輪80の中心軸A1と、レトルト2の中心軸A2と、は略一致している。
【0053】
保持具81は、鋼製であって部分円弧状を呈している。図5に細線で示すように、レトルト2に取り付けられる前の自然状態の保持具81の内周面の曲率は、レトルト2の外周面の設計曲率よりも、大きく設定されている。このため、保持具81は、広げられた状態で(曲率を小さくされた状態で)、レトルト2の外周面に取り付けられている。保持具81の内周面は、レトルト2の外周面に、線接触している。すなわち、三つの保持具81は、レトルト2に、略120°ずつ離間した三箇所で、線接触している。保持具81の周方向略中央には、内端取付部810が配置されている。内端取付部810には、内端取付孔810aが穿設されている。保持具81の周方向両端は、径方向外側に折り曲げられている。一対の当該屈曲部分には、各々、連結部811が形成されている。隙間83は、外輪80の内周面と、保持具81の外周面と、の間に区画されている。
【0054】
リンクアーム84は、鋼製であって、細板状を呈している。リンクアーム84は、外輪80と保持具81とを、径方向に連結している。リンクアーム84は、合計三つ配置されている。リンクアーム84は、外端840と、内端841と、を備えている。外端840には、外端孔840aが穿設されている。外端孔840aは、外輪80の外端取付孔800と、前後方向に並んでいる。これら外端孔840aと外端取付孔800とには、外端用ピン部材85が挿入されている。このため、リンクアーム84は、外端用ピン部材85を中心に、揺動可能である。内端841には、内端孔841aが穿設されている。内端孔841aは、保持具81の内端取付孔810aと、前後方向に並んでいる。これら内端孔841aと内端取付孔810aとには、内端用ピン部材86が挿入されている。このため、保持具81は、内端用ピン部材86を中心に、揺動可能である。
【0055】
連結部材82は、周方向に隣接する保持具81同士を連結している。すなわち、三つの連結部材82と、三つの保持具81と、が交互に連なることにより、レトルト2を、径方向外側から包囲している。図6に、本実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤの、上方に配置された連結部材付近の分解斜視図を示す。図6に示すように、連結部材82は、ボルト820と、ナット821と、ワッシャーリング822〜824と、コイルばね825と、を備えている。保持具81の連結部811には、連結孔811aが穿設されている。ボルト820は、隣り合う一対の連結孔811aを、右側から左側に、貫通している。ナット821は、ボルト820の貫通端(左端)に螺着されている。ワッシャーリング822は、ボルト820の頭部と、右側の連結部811と、の間に介装されている。ワッシャーリング823、824は、ナット821の右側に連設されている。コイルばね825は、ワッシャーリング823と、左側の連結部811と、の間に介装されている。コイルばね825には、ボルト820とナット821とを締結することにより、伸張方向の付勢力が蓄積されている。すなわち、コイルばね825は、左側の連結部811を、右側に付勢してる。言い換えると、コイルばね825の付勢力は、左右一対の連結部811を互いに近づける方向に、作用している。
【0056】
[タイヤの取付方法]
次に、本実施形態のロータリーキルンの、タイヤの取付方法について説明する。図5に示すように、タイヤ8Fの取付においては、まず、リンクアーム84を径方向外側に揺動させることにより、三つの保持具81の径方向内側に、比較的大きなスペースを確保する。次いで、タイヤ8Fを、レトルト2の径方向外側に配置する。それから、周方向に隣接する保持具81同士を、連結部材82により、連結する。このようにして、タイヤ8Fを、レトルト2に装着する。
【0057】
[レトルトの外周面が楕円状の場合の動き]
次に、本実施形態のロータリーキルンの、レトルトの外周面が楕円状の場合の動きについて説明する。図7に、レトルトの外周面が楕円状の場合の、本実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤ付近の径方向断面図を示す。なお、図7は、図5と対応している。
【0058】
図7に示すように、レトルト2の外周面は、上下方向に潰れた楕円状を呈している。なお、図7に一点鎖線で示すのが、図5のレトルト2の形状(真円状)である。レトルト2の外周面の上下区間の曲率は、真円に対して小さくなっている。レトルト2の外周面の左右区間の曲率は、真円に対して大きくなっている。三つの保持具81は、レトルト2の外周面を、下方、右上方、左上方の三方から覆っている。このうち、下方の保持具81の内周面の曲率と、レトルト2の外周面の下区間の曲率と、は近似している。このため、下方の保持具81は、比較的広い面積で、レトルト2に面接触している。また、右上方の保持具81および左上方の保持具81は、レトルト2に線接触している。また、レトルト2の外周面の周方向全長に応じて、連結部材82のコイルばね825は、伸縮している。
【0059】
このように、レトルト2の外周面が楕円状であっても、三つの保持具81の内周面は、しっかりとレトルト2の外周面に、当接している。また、外輪80の中心軸A1と、レトルト2の中心軸A2と、は略一致している。
【0060】
[レトルトおよびタイヤが熱変形する場合のタイヤの動き]
次に、本実施形態のロータリーキルンの、レトルトおよびタイヤが熱変形する場合の動きについて説明する。図5に示すように、外輪80が径方向内側に熱膨張する場合は、隙間83により、外輪80から保持具81に、応力が加わるのを、遮断することができる。また、レトルト2が径方向外側に熱膨張する場合は、連結部材82のコイルばね825が収縮することにより、当該変形を吸収することができる。並びに、隙間83により、レトルト2の変形を吸収することができる。また、保持具81が周方向に熱膨張する場合は、連結部材82のコイルばね825が伸張することにより、当該変形を吸収することができる。また、図4に示すように、熱変形により、外輪80の外端取付孔800と、保持具81の内端取付孔810aと、の相対的な位置関係が変わる場合は、リンクアーム84が揺動することにより、当該変化を吸収することができる。
【0061】
[作用効果]
次に、本実施形態のロータリーキルンの作用効果について説明する。本実施形態のロータリーキルン1によると、図5に示すように、外輪80と保持具81との間に、隙間83が区画されている。このため、外輪80およびレトルト2が熱により変形しても、当該変形量を隙間83が吸収することができる。したがって、レトルト2の熱膨張率とタイヤ8F、8Rの熱膨張率との差により、タイヤ8F、8Rからレトルト2に過剰な応力が加わりにくい。また、保持具81の内周面とレトルト2の外周面との間にも、隙間が区画されている。この点においても、レトルト2に過剰な応力が加わりにくい。
【0062】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、図5に示すように、三つの保持具81と三つの連結部材82とが、交互に連なって形成されるリングにより、レトルト2が径方向外側から囲まれている。このため、確実にレトルト2を保持することができる。
【0063】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、隣り合う保持具81同士を連結部材82で連結することで、レトルト2にタイヤ8F、8Rを取り付けることができる。このため、タイヤ8F、8Rの取付作業が簡単である。
【0064】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が、少なくとも三箇所で当接する。すなわち、レトルト2の外周面の形状が、図5に示す真円状であっても、あるいは図7に示す楕円状であっても、レトルト2の外周面の形状によらず、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が、少なくとも三箇所で当接する。このため、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が、滑りにくい。また、本実施形態のロータリーキルン1によると、保持具81の配置数が三つである。このため、レトルト2に対するタイヤ8F、8Rの安定性が高い。
【0065】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、自然状態の保持具81の内周面の曲率と、レトルト2の外周面の設計曲率と、が一致していない。このため、保持具81を取り付ける際、保持具81の内周面の形状がレトルト2の外周面の形状に沿うように、保持具81が弾性変形する。したがって、当該弾性変形による復元力を利用して、保持具81の内周面をレトルト2の外周面に弾接させることができる。この点においても、本実施形態のロータリーキルン1は、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が滑りにくい。
【0066】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、リンクアーム84の外端840を中心に、リンクアーム84の内端841と共に、保持具81を揺動させることができる。このため、保持具81の径方向位置を調整することができる。また、本実施形態のロータリーキルン1によると、リンクアーム84の内端841を中心に、保持具81を揺動させることができる。このため、保持具81の内周面の角度を調整することができる。このように、本実施形態のロータリーキルン1によると、レトルト2の外周面の曲率や径などに対する、保持具81の適応性が高くなる。
【0067】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、リンクアーム84により、保持具81を自在に動かすことができる。このため、保持具81とレトルト2との当接面積が大きくなる角度を探しながら、タイヤ8F、8Rを取り付ける必要がない。この点においても、タイヤ8F、8Rの取付作業が簡単である。
【0068】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、保持具81が三つだけ配置されている。このため、タイヤ8F、8Rの安定性を確保しつつ、タイヤ8F、8Rの部品点数を少なくすることができる。また、タイヤ8F、8Rの構造を簡単にすることができる。
【0069】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、同長の三つのリンクアーム84により、三つの保持具81が揺動可能に支持されている。このため、レトルト2の形状によらず、外輪80の中心軸A1と、レトルト2の中心軸A2と、を一致させやすい。
【0070】
また、レトルト2は、セラミック製である。このため、図7に示すように、楕円状に変形しやすい。しかしながら、本実施形態のロータリーキルン1によると、レトルト2の外周面の真円度によらず、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が、少なくとも三箇所で当接する。このため、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が、滑りにくい。
【0071】
<第二実施形態>
本実施形態のロータリーキルンと第一実施形態のロータリーキルンとの相違点は、自然状態の保持具の内周面の曲率が、レトルトの外周面の設計曲率よりも、小さく設定されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0072】
図8に、本実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤ付近の径方向断面図を示す。なお、図5と対応する部位については、同じ符号で示す。図8に細線で示すように、レトルト2に取り付けられる前の自然状態の保持具81の内周面の曲率は、レトルト2の外周面の設計曲率よりも、小さく設定されている。このため、保持具81は、狭められた状態で(曲率を大きくされた状態で)、レトルト2の外周面に取り付けられている。
【0073】
本実施形態のロータリーキルンは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のロータリーキルンと同様の作用効果を有する。本実施形態のロータリーキルンのように、自然状態の保持具81の内周面の曲率を、レトルト2の外周面の設計曲率よりも、小さく設定してもよい。
【0074】
<第三実施形態>
本実施形態のロータリーキルンと第一実施形態のロータリーキルンとの相違点は、保持具、連結部材、リンクアームの配置数が、各々、六つである点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0075】
図9に、本実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤ付近の径方向断面図を示す。なお、図5と対応する部位については、同じ符号で示す。図9に示すように、レトルト2は、合計六つの保持具81により囲まれている。保持具81と外輪80とは、リンクアーム84により、連結されている。また、隣接する保持具81同士は、連結部材82により、連結されている。
【0076】
本実施形態のロータリーキルンは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のロータリーキルンと同様の作用効果を有する。本実施形態のロータリーキルンによると、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が、六箇所で当接している。すなわち、レトルト2の外周面が真円状であっても、あるいは楕円状、長円状、異形状などであっても、レトルト2の外周面の形状によらず、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が、少なくとも六箇所で当接する。このため、レトルト2の外周面に対して、保持具の内周面が、滑りにくい。
【0077】
<第四実施形態>
本実施形態のロータリーキルンと第一実施形態のロータリーキルンとの相違点は、連結部材の構成のみである。ここでは、相違点についてのみ説明する。図10に、本実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤの、上方に配置された連結部材付近の分解斜視図を示す。なお、図6と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0078】
図10に示すように、連結部材82は、コイルばね825に加えて、コイルばね826を備えている。コイルばね826は、隣り合う連結部811の間に介装されている。
【0079】
本実施形態のロータリーキルンは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のロータリーキルンと同様の作用効果を有する。本実施形態のロータリーキルンによると、隣り合う保持具81間の間隔が狭まる方向のみならず、拡がる方向にも、付勢力を作用させることができる。このため、二つのコイルばね825、826の付勢力が釣り合う位置を基準に、保持具81と連結部材82とで形成されるリングの周方向全長を、弾性的に調整することができる。
【0080】
<その他>
以上、本発明のロータリーキルンの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0081】
例えば、連結部材82のコイルばね825、826の代わりに、ゴム部材を配置してもよい。また、レトルト2は、カーボン製、あるいは鋼製であってもよい。また、自然状態の保持具81の内周面の曲率は、特に限定しない。例えば、保持具81の内周面は、平面状であってもよい。また、保持具81の内周面に、曲率中心がレトルト2の径方向外側に配置されるように、逆向きの曲率を付与してもよい。
【0082】
また、本発明のロータリーキルンは、特に内径が150mm以上のセラミック製のレトルト2を有するロータリーキルン1として具現化するのに適している。その理由は、内径が150mm以上の場合、真円度が急激に低下するからである。
【0083】
また、上記実施形態においては、タイヤ8F、8Rを本発明のリング部材としたが、スプロケット24を本発明のリング部材としてもよい。この場合、図3に示す外輪80の外周面に、スプロケット24の外周面の歯を形成すればよい。また、ギアを本発明のリング部材としてもよい。
【0084】
また、上記実施形態においては、円筒状のレトルト2を用いたが、レトルト2の形状は特に限定しない。例えば、四角筒状のレトルトを用いてもよい。この場合、保持具81は、レトルトの外周面の平面部ごとに、四つ配置するのが好ましい。また、六角筒状のレトルトを用いてもよい。この場合、保持具81は、レトルトの外周面の平面部ごとに、六つ配置するのが好ましい。また、隣接する二面を一つの保持具81で保持する場合は、保持具81を三つ配置すればよい。また、八角筒状のレトルトを用いてもよい。この場合、保持具81は、レトルトの外周面の平面部ごとに、八つ配置するのが好ましい。また、隣接する二面を一つの保持具81で保持する場合は、保持具81を四つ配置すればよい。
【符号の説明】
【0085】
1:ロータリーキルン、2:レトルト、3:スクリューフィーダー、4:上流側フード、5:ホッパー、6:加熱部、7:下流側フード、8F:タイヤ、8R:タイヤ、9:架台。
24:スプロケット、30:供給パイプ、31:シャフト、32:スクリュー、40:レトルト挿入孔、41:供給パイプ挿入孔、70:レトルト挿入孔、71:ロータリーバルブ、72:ロータリーバルブ、80:外輪、81:保持具、82:連結部材、83:隙間、84:リンクアーム、85:外端用ピン部材、86:内端用ピン部材、90L:ローラー、90R:ローラー、91L:ローラー、91R:ローラー、92:軸受部。
311:スプロケット、800:外端取付孔、810:内端取付部、810a:内端取付孔、811:連結部、811a:連結孔、820:ボルト、821:ナット、822〜824:ワッシャーリング、840:外端、840a:外端孔、841:内端、841a:内端孔。
A1:中心軸、A2:中心軸。
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸方向に搬送しながら被処理物に熱処理を施すロータリーキルンに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリーキルンは、円筒状のレトルトと、架台と、を備えている。レトルトは略水平に配置されている。レトルトの外周面には、リング状のタイヤが配置されている。一方、架台には、ローラーが配置されている。ローラー上でタイヤを転動させることにより、レトルトを軸回りに回転させることができる。
【0003】
レトルトおよびタイヤは、一般的に、SUS(ステンレス鋼)などの金属製である。このため、簡単にレトルトにタイヤを取り付けることができる。しかしながら、被処理物の特性などによっては、セラミック製、カーボン製など非金属製のレトルトを用いる場合がある。この場合、レトルトにタイヤを取り付けるのが困難である。また、レトルトの熱膨張率とタイヤの熱膨張率との差により、タイヤからレトルトに過剰な応力が加わる場合がある。
【0004】
そこで、特許文献1には、熱膨張率差によりレトルトに加わる応力を、抑制可能なロータリーキルンが紹介されている。図11に、同文献記載のロータリーキルンの径方向断面図を示す。図11に示すように、ロータリーキルン100は、レトルト101と、タイヤ102と、一対のローラー103と、を備えている。レトルト101は、セラミック製であって、円筒状を呈している。タイヤ102は、レトルト101の外周面に配置されている。
【0005】
タイヤ102は、外輪102aと、三つのばね部材102bと、隙間102cと、を備えている。外輪102aは、リング状を呈している。外輪102aの内周面には、ガイドリブ104が配置されている。ガイドリブ104は、周方向に延在している。隙間102cは、外輪102aの内周面と、レトルト101の外周面と、の間に区画されている。ばね部材102bは、M字状を呈している。ばね部材102bのM字両端には、一対の被ガイド片105が配置されている。被ガイド片105は、ガイドリブ104に摺接している。ばね部材102bの二つのM字頂部は、レトルト101の外周面に弾接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−250475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のロータリーキルン100によると、外輪102aの内周面と、レトルト101の外周面と、の間に、隙間102cが区画されている。このため、外輪102aおよびレトルト101が熱により変形しても、当該変形量を隙間102cが吸収することができる。したがって、タイヤ102からレトルト101に、過剰な応力が加わりにくい。
【0008】
しかしながら、同文献記載のロータリーキルン100によると、三つのばね部材102bが、レトルト101の周方向に連なって配置されていない。このため、三つのばね部材102bによる拘束から、レトルト101が外れることも考えられる。この場合、例えば、レトルト101と、被ガイド片105と、が干渉するおそれがある。
【0009】
また、同文献記載のロータリーキルン100によると、タイヤ102の取付作業が煩雑である。すなわち、タイヤ102を取り付ける場合は、まずレトルト101の径方向外側にタイヤ102を配置し、次いで合計六つの被ガイド片105を、ガイドリブ104に対して、各々スライドさせ、最後にタイヤ102の中心軸と、レトルト101の中心軸と、を一致させる必要がある。このため、タイヤ102の取付作業が煩雑である。
【0010】
本発明のロータリーキルンは、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、タイヤやスプロケットやギアなどのリング部材からレトルトに熱膨張率差による過剰な応力が加わりにくく、確実にレトルトを保持することが可能であり、リング部材の取付作業が簡単なロータリーキルンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記課題を解決するため、本発明のロータリーキルンは、略水平に配置され軸回りに回転可能な筒状のレトルトと、該レトルトの外周面に配置されるリング部材と、を備えてなるロータリーキルンであって、前記リング部材は、外輪と、前記レトルトの前記外周面に当接する内周面を有すると共に周方向に並んで配置される三つ以上の保持具と、隣接する該保持具同士を弾性的に連結し該保持具と共に該レトルトの該外周面を環状に囲む連結部材と、該外輪と該保持具との間に区画される隙間と、を備えることを特徴とする(請求項1に対応)。
【0012】
本発明のロータリーキルンによると、外輪と保持具との間に、隙間が区画されている。このため、外輪およびレトルトが熱により変形しても、当該変形量を隙間が吸収することができる。したがって、レトルトの熱膨張率とリング部材の熱膨張率との差により、リング部材からレトルトに過剰な応力が加わりにくい。
【0013】
また、本発明のロータリーキルンによると、保持具と連結部材とが連なって形成されるリングにより、レトルトが径方向外側から囲まれている。このため、確実にレトルトを保持することができる。また、保持具は三つ以上配置されている。この点においても、確実にレトルトを保持することができる。
【0014】
また、本発明のロータリーキルンによると、隣り合う保持具同士を連結部材で連結することで、レトルトにリング部材を取り付けることができる。このため、リング部材の取付作業が簡単である。
【0015】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記リング部材は、ローラーに転動可能に載置されるタイヤである構成とする方がよい(請求項2に対応)。本構成によると、レトルトの熱膨張率とタイヤの熱膨張率との差により、タイヤからレトルトに過剰な応力が加わりにくい。また、本構成によると、確実にレトルトを保持することができる。また、本構成によると、タイヤの取付作業が簡単である。また、本構成によると、レトルトに対するタイヤの安定性が高い。
【0016】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記レトルトは、円筒状である構成とする方がよい(請求項3に対応)。本構成によると、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、滑りにくい。以下、その理由を説明する。
【0017】
すなわち、一般的に、円筒状のレトルトの外周面は真円状(詳しくは、レトルトの径方向断面における外周面(外周線)が真円状)に設計される。同様に、リング部材の内周面も真円状に設計される。両部材が設計どおりに作製されれば、リング部材はレトルトに全周的に面接触することになる。このため、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、滑りにくい。
【0018】
ところが、実際には、設計どおりに作製できず、レトルトの真円度が低い場合がある。例えば、作製後のレトルトの外周面が楕円状の場合がある。この場合、真円状のリング部材は、楕円状のレトルトに対して、二箇所で当接することになる。このため、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、滑りやすい。
【0019】
この点、本構成によると、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、少なくとも三箇所で当接する(保持具の配置数が多いほど当接箇所が多くなる)。すなわち、レトルトの外周面が真円状であっても、あるいは楕円状、長円状、異形状などであっても、レトルトの外周面の形状によらず、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、少なくとも三箇所で当接する。このため、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、滑りにくい。
【0020】
また、保持具の配置数が二つ以下の場合、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、二箇所で当接することもあり得る。この場合、二箇所の当接部分を結ぶ仮想軸を中心に、レトルトに対してリング部材がぐらつくことも考えられる。このように、保持具の配置数が二つ以下の場合、レトルトに対するリング部材の安定性が低い。この点、本構成によると、保持具の配置数が三つ以上である。このため、レトルトに対するリング部材の安定性が高い。
【0021】
(4)好ましくは、上記(3)の構成において、前記保持具は、可撓性を有し、自然状態における該保持具の前記内周面の曲率と、前記レトルトの前記外周面の設計曲率と、は異なる構成とする方がよい(請求項4に対応)。
【0022】
つまり、本構成は、取付前の自然状態(拘束されていない状態)の保持具の内周面の曲率と、レトルトの外周面の設計曲率と、を一致させないものである。本構成によると、保持具を取り付ける際、保持具の内周面の形状がレトルトの外周面の形状に沿うように、保持具が弾性変形する。このため、当該弾性変形による復元力を利用して、保持具の内周面をレトルトの外周面に弾接させることができる。したがって、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、さらに滑りにくくなる。
【0023】
(5)好ましくは、上記(3)または(4)の構成において、前記保持具は、三つ配置されている構成とする方がよい(請求項5に対応)。保持具の配置数が多いほど、レトルトの外周面に対する、保持具の内周面の当接箇所が多くなる。このため、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、さらに滑りにくくなる。その反面、保持具の配置数が多いほど、リング部材の部品点数が多くなる。このため、リング部材の構造が複雑化する。
【0024】
この点、本構成によると、保持具が三つだけ配置されている。すなわち、レトルトに対してリング部材を安定して取り付けることができる最小配置数だけ、保持具が配置されている。このため、リング部材の安定性を確保しつつ、リング部材の部品点数を少なくすることができる。また、リング部材の構造を簡単にすることができる。
【0025】
(6)好ましくは、上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、前記リング部材は、さらに、前記隙間に配置され、前記外輪に揺動可能に支持される外端と、前記保持具に揺動可能に支持される内端と、を持つリンクアームを有する構成とする方がよい(請求項6に対応)。
【0026】
本構成によると、リンクアームの外端を中心に、リンクアームの内端と共に、保持具を揺動させることができる。このため、保持具の径方向位置を調整することができる。また、本構成によると、リンクアームの内端を中心に、保持具を揺動させることができる。このため、保持具の内周面の角度を調整することができる。このように、本構成によると、レトルトの外周面の形状や曲率や径などに対する、保持具の適応性が高くなる。
【0027】
特に本構成と、上記(3)ないし(5)のいずれかの構成と、を組み合わせると、リング部材の取付作業が簡単になる。例えば、レトルトの真円度が低くかつリング部材の真円度が高い場合、取付後のリング部材の滑りを抑制するため、リング部材とレトルトとの当接面積が大きくなる角度を探しながら(例えばレトルトに対してリング部材を回しながら)、リング部材を取り付ける必要がある。このため、リング部材の取付作業が煩雑である。
【0028】
これに対して、本構成の場合、リンクアームにより、保持具を自在に動かすことができる。このため、保持具とレトルトとの当接面積が大きくなる角度を探しながら、リング部材を取り付ける必要がない。したがって、リング部材の取付作業が簡単である。
【0029】
(7)好ましくは、上記(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記レトルトは、セラミック製である構成とする方がよい(請求項7に対応)。セラミック製のレトルトは、まず成形し、次いで焼成することにより、作製される。成形直後かつ焼成前のレトルトは軟らかい。このため、成形された形状を、維持するのが困難である。このため、例えば、自重などにより、レトルトが変形してしまう場合がある。この場合、変形した形状のまま、レトルトは焼成されることになる。したがって、焼成後のレトルトの外周面の面精度(設計面に対する実際の面の再現度)が低下してしまう。
【0030】
この点、本発明のロータリーキルンによると、レトルトの外周面の面精度によらず、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、少なくとも三箇所で当接する。このため、確実にレトルトを保持することができる。
【0031】
また、本発明のロータリーキルンによると、外輪と保持具との間に、隙間が区画されている。このため、リング部材から、セラミック製のレトルトに、熱膨張率差による過剰な応力が加わりにくい。
【0032】
特に本構成と、上記(3)ないし(5)のいずれかの構成と、を組み合わせると、焼成後のレトルトの外周面の真円度が低い場合であっても、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、少なくとも三箇所で当接することになる。このため、レトルトの外周面に対して、保持具の内周面が、滑りにくい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、タイヤやスプロケットやギアなどのリング部材からレトルトに熱膨張率差による過剰な応力が加わりにくく、確実にレトルトを保持することが可能であり、リング部材の取付作業が簡単なロータリーキルンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第一実施形態のロータリーキルンの斜視図である。
【図2】同ロータリーキルンの分解斜視図である。
【図3】同ロータリーキルンの前方のタイヤ付近の斜視図である。
【図4】同タイヤ付近の分解斜視図である。
【図5】同タイヤ付近の径方向断面図である。
【図6】同タイヤの上方に配置された連結部材付近の分解斜視図である。
【図7】レトルトの外周面が楕円状の場合の、同ロータリーキルンの前方のタイヤ付近の径方向断面図である。
【図8】第二実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤ付近の径方向断面図である。
【図9】第三実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤ付近の径方向断面図である。
【図10】第四実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤの、上方に配置された連結部材付近の分解斜視図である。
【図11】従来のロータリーキルンの径方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明のロータリーキルンの実施の形態について説明する。
【0036】
<第一実施形態>
[ロータリーキルンの構成]
まず、本実施形態のロータリーキルンの構成について説明する。図1に、本実施形態のロータリーキルンの斜視図を示す。図2に、同ロータリーキルンの分解斜視図を示す。図1、図2に示すように、ロータリーキルン1は、主に、レトルト2と、スクリューフィーダー3と、上流側フード4と、ホッパー5と、加熱部6(図1においては透過して、図2においては省略して、それぞれ示す。)と、下流側フード7と、前後一対のタイヤ8F、8Rと、架台9とを備えている。
【0037】
図1に太い点線で示すように、被処理物は、外部からホッパー5に投入される。投入された被処理物は、スクリューフィーダー3→レトルト2→下流側フード7→ロータリーバルブ71、72の順に、各部材を通過する。そして、外部に払い出される。レトルト2の内部を通過する際、加熱部6からの熱により、被処理物に所定の熱処理が施される。
【0038】
(架台9)
架台9は、机状を呈している。架台9は、一対のローラー90L、90Rと、一対のローラー91L、91Rと、一対の軸受部92と、を備えている。これらの部材は、架台9上面に、前後方向に並んで配置されている。
【0039】
一対のローラー90L、90Rは、架台9上面の前縁に配置されている。ローラー90L、90Rの回転軸は、各々、前後方向に延在している。一対のローラー90L、90Rは、左右方向に並んで配置されている。一対のローラー91L、91Rは、架台9上面の、中央やや後方に配置されている。一対のローラー91L、91Rの回転軸は、各々、前後方向に延在している。一対のローラー91L、91Rは、左右方向に並んで配置されている。一対の軸受部92は、架台9上面の後縁付近に配置されている。一対の軸受部92は、前後方向に並んで配置されている。一対の軸受部92の軸貫通孔は、前後方向に同軸状に並んでいる。
【0040】
(レトルト2)
レトルト2は、セラミック製であって、前後方向に延在する円筒状を呈している。レトルト2の外周面は、真円状を呈している。スプロケット24は、鋼製であって、レトルト2における、タイヤ8Rよりも後方に周設されている。駆動装置(図略)からの駆動力がスプロケット24に伝達されることにより、レトルト2は、ローラー90L、90R上、およびローラー91L、91R上で、軸回りに回転可能である。なお、レトルト2は、略水平に配置されているが、被処理物を流動させるため、厳密には後方から前方に向かってやや下向きに傾斜している。
【0041】
(加熱部6、下流側フード7、上流側フード4)
加熱部6は、直方体箱状を呈している。加熱部6の内面には、ヒータ(図略)が配置されている。レトルト2は、加熱部6を前後方向に貫通している。レトルト2の軸方向(前後方向)略中央部分は、加熱部6に収容されている。
【0042】
下流側フード7の上部は直方体箱状を、下部は下方に尖る四角錐箱状を、それぞれ呈している。下流側フード7上部の後壁には、レトルト挿入孔70が開設されている。レトルト挿入孔70には、レトルト2の前端が収容されている。レトルト挿入孔70の孔縁とレトルト2外周面との間には、摺動シール部材(図略)が介装されている。下流側フード7の下方には、ロータリーバルブ71、72が上下方向に連設されている。
【0043】
上流側フード4は、中空円柱状を呈している。上流側フード4の前壁には、レトルト挿入孔40が開設されている。レトルト挿入孔40には、レトルト2の後端が収容されている。レトルト挿入孔40の孔縁とレトルト2外周面との間には、摺動シール部材(図略)が介装されている。上流側フード4の後壁には、供給パイプ挿入孔41が開設されている。
【0044】
(スクリューフィーダー3、ホッパー5)
スクリューフィーダー3は、供給パイプ30(図2においては透過して示す。)とシャフト31とスクリュー32とを備えている。供給パイプ30は、軸方向(前後方向)に延びる円筒状を呈している。供給パイプ30は、上流側フード4の供給パイプ挿入孔41に挿入され、固定されている。供給パイプ30の前端は、レトルト2内部に開放されている。
【0045】
シャフト31は、丸棒状を呈している。シャフト31は、供給パイプ30の径方向内側に、同軸状に配置されている。シャフト31の後端は、供給パイプ30の後方に突出している。シャフト31の後端は、前記一対の軸受部92により、回転可能に支持されている。
【0046】
シャフト31後端における、一対の軸受部92同士の間には、スプロケット311が周設されている。スプロケット311を介して、外部からシャフト31に駆動力(回転力)が伝達される。
【0047】
スクリュー32は、螺旋状を呈している。スクリュー32は、シャフト31と共に、供給パイプ30の径方向内側に収容されている。スクリュー32は、シャフト31の外周面に周設されている。前記スプロケット311を介してシャフト31に伝達される回転力により、スクリュー32は、シャフト31と共に、シャフト31の軸回りに回転する。
【0048】
ホッパー5は、上蓋付きホッパーであって、上部は円筒状を、下部は下方に尖る円錐箱状を、それぞれ呈している。ホッパー5は、供給パイプ30の上方に固定されている。ホッパー5には、被処理物が貯留されている。
【0049】
(タイヤ8F、8R)
タイヤ8Fは、レトルト2の前端付近の外周面に配置されている。タイヤ8Fは、一対のローラー90L、90R上に転動可能に載置されている。タイヤ8Rは、レトルト2の後端付近の外周面に配置されている。タイヤ8Rは、一対のローラー91L、91R上に転動可能に載置されている。
【0050】
前後一対のタイヤ8Fとタイヤ8Rとは、前後方向に対称に配置されている。タイヤ8F、8Rの構成は同じである。よって、ここでは、タイヤ8Fについてのみ説明し、タイヤ8Rについての説明を兼ねるものとする。
【0051】
図3に、本実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤ付近の斜視図を示す。図4に、同タイヤ付近の分解斜視図を示す。図5に、同タイヤ付近の径方向断面図を示す。なお、図4においては、レトルト2を透過して示す。図3〜図5に示すように、タイヤ8Fは、外輪80と、三つの保持具81と、三つの連結部材82と、隙間83と、三つのリンクアーム84と、を備えている。
【0052】
外輪80は、鋼製であって真円リング状を呈している。外輪80の前面には、外端取付孔800が穿設されている。外端取付孔800は、周方向に120°ずつ離間して、合計三つ配置されている。外輪80の中心軸A1と、レトルト2の中心軸A2と、は略一致している。
【0053】
保持具81は、鋼製であって部分円弧状を呈している。図5に細線で示すように、レトルト2に取り付けられる前の自然状態の保持具81の内周面の曲率は、レトルト2の外周面の設計曲率よりも、大きく設定されている。このため、保持具81は、広げられた状態で(曲率を小さくされた状態で)、レトルト2の外周面に取り付けられている。保持具81の内周面は、レトルト2の外周面に、線接触している。すなわち、三つの保持具81は、レトルト2に、略120°ずつ離間した三箇所で、線接触している。保持具81の周方向略中央には、内端取付部810が配置されている。内端取付部810には、内端取付孔810aが穿設されている。保持具81の周方向両端は、径方向外側に折り曲げられている。一対の当該屈曲部分には、各々、連結部811が形成されている。隙間83は、外輪80の内周面と、保持具81の外周面と、の間に区画されている。
【0054】
リンクアーム84は、鋼製であって、細板状を呈している。リンクアーム84は、外輪80と保持具81とを、径方向に連結している。リンクアーム84は、合計三つ配置されている。リンクアーム84は、外端840と、内端841と、を備えている。外端840には、外端孔840aが穿設されている。外端孔840aは、外輪80の外端取付孔800と、前後方向に並んでいる。これら外端孔840aと外端取付孔800とには、外端用ピン部材85が挿入されている。このため、リンクアーム84は、外端用ピン部材85を中心に、揺動可能である。内端841には、内端孔841aが穿設されている。内端孔841aは、保持具81の内端取付孔810aと、前後方向に並んでいる。これら内端孔841aと内端取付孔810aとには、内端用ピン部材86が挿入されている。このため、保持具81は、内端用ピン部材86を中心に、揺動可能である。
【0055】
連結部材82は、周方向に隣接する保持具81同士を連結している。すなわち、三つの連結部材82と、三つの保持具81と、が交互に連なることにより、レトルト2を、径方向外側から包囲している。図6に、本実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤの、上方に配置された連結部材付近の分解斜視図を示す。図6に示すように、連結部材82は、ボルト820と、ナット821と、ワッシャーリング822〜824と、コイルばね825と、を備えている。保持具81の連結部811には、連結孔811aが穿設されている。ボルト820は、隣り合う一対の連結孔811aを、右側から左側に、貫通している。ナット821は、ボルト820の貫通端(左端)に螺着されている。ワッシャーリング822は、ボルト820の頭部と、右側の連結部811と、の間に介装されている。ワッシャーリング823、824は、ナット821の右側に連設されている。コイルばね825は、ワッシャーリング823と、左側の連結部811と、の間に介装されている。コイルばね825には、ボルト820とナット821とを締結することにより、伸張方向の付勢力が蓄積されている。すなわち、コイルばね825は、左側の連結部811を、右側に付勢してる。言い換えると、コイルばね825の付勢力は、左右一対の連結部811を互いに近づける方向に、作用している。
【0056】
[タイヤの取付方法]
次に、本実施形態のロータリーキルンの、タイヤの取付方法について説明する。図5に示すように、タイヤ8Fの取付においては、まず、リンクアーム84を径方向外側に揺動させることにより、三つの保持具81の径方向内側に、比較的大きなスペースを確保する。次いで、タイヤ8Fを、レトルト2の径方向外側に配置する。それから、周方向に隣接する保持具81同士を、連結部材82により、連結する。このようにして、タイヤ8Fを、レトルト2に装着する。
【0057】
[レトルトの外周面が楕円状の場合の動き]
次に、本実施形態のロータリーキルンの、レトルトの外周面が楕円状の場合の動きについて説明する。図7に、レトルトの外周面が楕円状の場合の、本実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤ付近の径方向断面図を示す。なお、図7は、図5と対応している。
【0058】
図7に示すように、レトルト2の外周面は、上下方向に潰れた楕円状を呈している。なお、図7に一点鎖線で示すのが、図5のレトルト2の形状(真円状)である。レトルト2の外周面の上下区間の曲率は、真円に対して小さくなっている。レトルト2の外周面の左右区間の曲率は、真円に対して大きくなっている。三つの保持具81は、レトルト2の外周面を、下方、右上方、左上方の三方から覆っている。このうち、下方の保持具81の内周面の曲率と、レトルト2の外周面の下区間の曲率と、は近似している。このため、下方の保持具81は、比較的広い面積で、レトルト2に面接触している。また、右上方の保持具81および左上方の保持具81は、レトルト2に線接触している。また、レトルト2の外周面の周方向全長に応じて、連結部材82のコイルばね825は、伸縮している。
【0059】
このように、レトルト2の外周面が楕円状であっても、三つの保持具81の内周面は、しっかりとレトルト2の外周面に、当接している。また、外輪80の中心軸A1と、レトルト2の中心軸A2と、は略一致している。
【0060】
[レトルトおよびタイヤが熱変形する場合のタイヤの動き]
次に、本実施形態のロータリーキルンの、レトルトおよびタイヤが熱変形する場合の動きについて説明する。図5に示すように、外輪80が径方向内側に熱膨張する場合は、隙間83により、外輪80から保持具81に、応力が加わるのを、遮断することができる。また、レトルト2が径方向外側に熱膨張する場合は、連結部材82のコイルばね825が収縮することにより、当該変形を吸収することができる。並びに、隙間83により、レトルト2の変形を吸収することができる。また、保持具81が周方向に熱膨張する場合は、連結部材82のコイルばね825が伸張することにより、当該変形を吸収することができる。また、図4に示すように、熱変形により、外輪80の外端取付孔800と、保持具81の内端取付孔810aと、の相対的な位置関係が変わる場合は、リンクアーム84が揺動することにより、当該変化を吸収することができる。
【0061】
[作用効果]
次に、本実施形態のロータリーキルンの作用効果について説明する。本実施形態のロータリーキルン1によると、図5に示すように、外輪80と保持具81との間に、隙間83が区画されている。このため、外輪80およびレトルト2が熱により変形しても、当該変形量を隙間83が吸収することができる。したがって、レトルト2の熱膨張率とタイヤ8F、8Rの熱膨張率との差により、タイヤ8F、8Rからレトルト2に過剰な応力が加わりにくい。また、保持具81の内周面とレトルト2の外周面との間にも、隙間が区画されている。この点においても、レトルト2に過剰な応力が加わりにくい。
【0062】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、図5に示すように、三つの保持具81と三つの連結部材82とが、交互に連なって形成されるリングにより、レトルト2が径方向外側から囲まれている。このため、確実にレトルト2を保持することができる。
【0063】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、隣り合う保持具81同士を連結部材82で連結することで、レトルト2にタイヤ8F、8Rを取り付けることができる。このため、タイヤ8F、8Rの取付作業が簡単である。
【0064】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が、少なくとも三箇所で当接する。すなわち、レトルト2の外周面の形状が、図5に示す真円状であっても、あるいは図7に示す楕円状であっても、レトルト2の外周面の形状によらず、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が、少なくとも三箇所で当接する。このため、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が、滑りにくい。また、本実施形態のロータリーキルン1によると、保持具81の配置数が三つである。このため、レトルト2に対するタイヤ8F、8Rの安定性が高い。
【0065】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、自然状態の保持具81の内周面の曲率と、レトルト2の外周面の設計曲率と、が一致していない。このため、保持具81を取り付ける際、保持具81の内周面の形状がレトルト2の外周面の形状に沿うように、保持具81が弾性変形する。したがって、当該弾性変形による復元力を利用して、保持具81の内周面をレトルト2の外周面に弾接させることができる。この点においても、本実施形態のロータリーキルン1は、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が滑りにくい。
【0066】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、リンクアーム84の外端840を中心に、リンクアーム84の内端841と共に、保持具81を揺動させることができる。このため、保持具81の径方向位置を調整することができる。また、本実施形態のロータリーキルン1によると、リンクアーム84の内端841を中心に、保持具81を揺動させることができる。このため、保持具81の内周面の角度を調整することができる。このように、本実施形態のロータリーキルン1によると、レトルト2の外周面の曲率や径などに対する、保持具81の適応性が高くなる。
【0067】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、リンクアーム84により、保持具81を自在に動かすことができる。このため、保持具81とレトルト2との当接面積が大きくなる角度を探しながら、タイヤ8F、8Rを取り付ける必要がない。この点においても、タイヤ8F、8Rの取付作業が簡単である。
【0068】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、保持具81が三つだけ配置されている。このため、タイヤ8F、8Rの安定性を確保しつつ、タイヤ8F、8Rの部品点数を少なくすることができる。また、タイヤ8F、8Rの構造を簡単にすることができる。
【0069】
また、本実施形態のロータリーキルン1によると、同長の三つのリンクアーム84により、三つの保持具81が揺動可能に支持されている。このため、レトルト2の形状によらず、外輪80の中心軸A1と、レトルト2の中心軸A2と、を一致させやすい。
【0070】
また、レトルト2は、セラミック製である。このため、図7に示すように、楕円状に変形しやすい。しかしながら、本実施形態のロータリーキルン1によると、レトルト2の外周面の真円度によらず、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が、少なくとも三箇所で当接する。このため、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が、滑りにくい。
【0071】
<第二実施形態>
本実施形態のロータリーキルンと第一実施形態のロータリーキルンとの相違点は、自然状態の保持具の内周面の曲率が、レトルトの外周面の設計曲率よりも、小さく設定されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0072】
図8に、本実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤ付近の径方向断面図を示す。なお、図5と対応する部位については、同じ符号で示す。図8に細線で示すように、レトルト2に取り付けられる前の自然状態の保持具81の内周面の曲率は、レトルト2の外周面の設計曲率よりも、小さく設定されている。このため、保持具81は、狭められた状態で(曲率を大きくされた状態で)、レトルト2の外周面に取り付けられている。
【0073】
本実施形態のロータリーキルンは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のロータリーキルンと同様の作用効果を有する。本実施形態のロータリーキルンのように、自然状態の保持具81の内周面の曲率を、レトルト2の外周面の設計曲率よりも、小さく設定してもよい。
【0074】
<第三実施形態>
本実施形態のロータリーキルンと第一実施形態のロータリーキルンとの相違点は、保持具、連結部材、リンクアームの配置数が、各々、六つである点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0075】
図9に、本実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤ付近の径方向断面図を示す。なお、図5と対応する部位については、同じ符号で示す。図9に示すように、レトルト2は、合計六つの保持具81により囲まれている。保持具81と外輪80とは、リンクアーム84により、連結されている。また、隣接する保持具81同士は、連結部材82により、連結されている。
【0076】
本実施形態のロータリーキルンは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のロータリーキルンと同様の作用効果を有する。本実施形態のロータリーキルンによると、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が、六箇所で当接している。すなわち、レトルト2の外周面が真円状であっても、あるいは楕円状、長円状、異形状などであっても、レトルト2の外周面の形状によらず、レトルト2の外周面に対して、保持具81の内周面が、少なくとも六箇所で当接する。このため、レトルト2の外周面に対して、保持具の内周面が、滑りにくい。
【0077】
<第四実施形態>
本実施形態のロータリーキルンと第一実施形態のロータリーキルンとの相違点は、連結部材の構成のみである。ここでは、相違点についてのみ説明する。図10に、本実施形態のロータリーキルンの前方のタイヤの、上方に配置された連結部材付近の分解斜視図を示す。なお、図6と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0078】
図10に示すように、連結部材82は、コイルばね825に加えて、コイルばね826を備えている。コイルばね826は、隣り合う連結部811の間に介装されている。
【0079】
本実施形態のロータリーキルンは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のロータリーキルンと同様の作用効果を有する。本実施形態のロータリーキルンによると、隣り合う保持具81間の間隔が狭まる方向のみならず、拡がる方向にも、付勢力を作用させることができる。このため、二つのコイルばね825、826の付勢力が釣り合う位置を基準に、保持具81と連結部材82とで形成されるリングの周方向全長を、弾性的に調整することができる。
【0080】
<その他>
以上、本発明のロータリーキルンの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0081】
例えば、連結部材82のコイルばね825、826の代わりに、ゴム部材を配置してもよい。また、レトルト2は、カーボン製、あるいは鋼製であってもよい。また、自然状態の保持具81の内周面の曲率は、特に限定しない。例えば、保持具81の内周面は、平面状であってもよい。また、保持具81の内周面に、曲率中心がレトルト2の径方向外側に配置されるように、逆向きの曲率を付与してもよい。
【0082】
また、本発明のロータリーキルンは、特に内径が150mm以上のセラミック製のレトルト2を有するロータリーキルン1として具現化するのに適している。その理由は、内径が150mm以上の場合、真円度が急激に低下するからである。
【0083】
また、上記実施形態においては、タイヤ8F、8Rを本発明のリング部材としたが、スプロケット24を本発明のリング部材としてもよい。この場合、図3に示す外輪80の外周面に、スプロケット24の外周面の歯を形成すればよい。また、ギアを本発明のリング部材としてもよい。
【0084】
また、上記実施形態においては、円筒状のレトルト2を用いたが、レトルト2の形状は特に限定しない。例えば、四角筒状のレトルトを用いてもよい。この場合、保持具81は、レトルトの外周面の平面部ごとに、四つ配置するのが好ましい。また、六角筒状のレトルトを用いてもよい。この場合、保持具81は、レトルトの外周面の平面部ごとに、六つ配置するのが好ましい。また、隣接する二面を一つの保持具81で保持する場合は、保持具81を三つ配置すればよい。また、八角筒状のレトルトを用いてもよい。この場合、保持具81は、レトルトの外周面の平面部ごとに、八つ配置するのが好ましい。また、隣接する二面を一つの保持具81で保持する場合は、保持具81を四つ配置すればよい。
【符号の説明】
【0085】
1:ロータリーキルン、2:レトルト、3:スクリューフィーダー、4:上流側フード、5:ホッパー、6:加熱部、7:下流側フード、8F:タイヤ、8R:タイヤ、9:架台。
24:スプロケット、30:供給パイプ、31:シャフト、32:スクリュー、40:レトルト挿入孔、41:供給パイプ挿入孔、70:レトルト挿入孔、71:ロータリーバルブ、72:ロータリーバルブ、80:外輪、81:保持具、82:連結部材、83:隙間、84:リンクアーム、85:外端用ピン部材、86:内端用ピン部材、90L:ローラー、90R:ローラー、91L:ローラー、91R:ローラー、92:軸受部。
311:スプロケット、800:外端取付孔、810:内端取付部、810a:内端取付孔、811:連結部、811a:連結孔、820:ボルト、821:ナット、822〜824:ワッシャーリング、840:外端、840a:外端孔、841:内端、841a:内端孔。
A1:中心軸、A2:中心軸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平に配置され軸回りに回転可能な筒状のレトルトと、該レトルトの外周面に配置されるリング部材と、を備えてなるロータリーキルンであって、
前記リング部材は、外輪と、前記レトルトの前記外周面に当接する内周面を有すると共に周方向に並んで配置される三つ以上の保持具と、隣接する該保持具同士を弾性的に連結し該保持具と共に該レトルトの該外周面を環状に囲む連結部材と、該外輪と該保持具との間に区画される隙間と、を備えることを特徴とするロータリーキルン。
【請求項2】
前記リング部材は、ローラーに転動可能に載置されるタイヤである請求項1に記載のロータリーキルン。
【請求項3】
前記レトルトは、円筒状である請求項1または請求項2に記載のロータリーキルン。
【請求項4】
前記保持具は、可撓性を有し、
自然状態における該保持具の前記内周面の曲率と、前記レトルトの前記外周面の設計曲率と、は異なる請求項3に記載のロータリーキルン。
【請求項5】
前記保持具は、三つ配置されている請求項3または請求項4に記載のロータリーキルン。
【請求項6】
前記リング部材は、さらに、前記隙間に配置され、前記外輪に揺動可能に支持される外端と、前記保持具に揺動可能に支持される内端と、を持つリンクアームを有する請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のロータリーキルン。
【請求項7】
前記レトルトは、セラミック製である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のロータリーキルン。
【請求項1】
略水平に配置され軸回りに回転可能な筒状のレトルトと、該レトルトの外周面に配置されるリング部材と、を備えてなるロータリーキルンであって、
前記リング部材は、外輪と、前記レトルトの前記外周面に当接する内周面を有すると共に周方向に並んで配置される三つ以上の保持具と、隣接する該保持具同士を弾性的に連結し該保持具と共に該レトルトの該外周面を環状に囲む連結部材と、該外輪と該保持具との間に区画される隙間と、を備えることを特徴とするロータリーキルン。
【請求項2】
前記リング部材は、ローラーに転動可能に載置されるタイヤである請求項1に記載のロータリーキルン。
【請求項3】
前記レトルトは、円筒状である請求項1または請求項2に記載のロータリーキルン。
【請求項4】
前記保持具は、可撓性を有し、
自然状態における該保持具の前記内周面の曲率と、前記レトルトの前記外周面の設計曲率と、は異なる請求項3に記載のロータリーキルン。
【請求項5】
前記保持具は、三つ配置されている請求項3または請求項4に記載のロータリーキルン。
【請求項6】
前記リング部材は、さらに、前記隙間に配置され、前記外輪に揺動可能に支持される外端と、前記保持具に揺動可能に支持される内端と、を持つリンクアームを有する請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のロータリーキルン。
【請求項7】
前記レトルトは、セラミック製である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のロータリーキルン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−64386(P2011−64386A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215047(P2009−215047)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(390008431)高砂工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(390008431)高砂工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】
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