説明

ロータリ耕耘装置

【課題】畝立て作業時において平板の下辺部の横方向中央部を規制部材に掛止させる際に別部材を使用する必要のないロータリ耕耘装置を提供すること。
【解決手段】支持板25を縦向き姿勢に設定すると、規制部材15に係合して平板の横方向中央部21のカバー後方への移動を規制し、且つ支持板25を横向き姿勢に設定すると規制部材15との係合が解除されて平板の横方向中央部21のカバー後方への移動を許容する係合部25hを支持板25に備えてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有し、且つその上端部がロータリ耕耘装置のカバーの後端部に連結されている平板と、前記平板の下辺部の横方向中央部を掛止して該横方向中央部が前記カバーの後方に移動するのを規制可能な規制部材と、前記平板の下辺部に沿った横向き姿勢で横方向に並設した状態、及び前記平板の横方向の中央部に縦向き姿勢で横方向に並設した状態に姿勢変更自在に前記平板に取り付けられる2つの支持板とを備えるロータリ耕耘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記ロータリ耕耘装置は、その規制部材による規制を解除して、耕起した土を整地板の下辺部で平らにならす均平作業と、規制部材で平板の下辺部の横方向中央部の移動を規制し、整地板の左右の横側部を斜め後方に折れ曲がるようにして、ロータリ耕耘装置の左右両側に畝を形成する畝立て作業とを実施することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−225731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のロータリ耕耘装置では、畝立て作業を実施する際、平板の下辺部の横方向中央部を、抵抗棒の接地部(規制部材)に掛止するために、別途ベータピン等の抜け止め用の部材を取り付ける必要がある。そのため、そのような抜け止め部材の取り付けに手間がかかるだけでなく、抜け止め部材が紛失する虞もあり、改善の余地が残されていた。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、畝立て作業時において平板の下辺部の横方向中央部を規制部材に掛止させる際に別部材を使用する必要のないロータリ耕耘装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るロータリ耕耘装置の第1特徴構成は、可撓性を有し、且つその上端部がロータリ耕耘装置のカバーの後端部に連結されている平板と、前記平板の下辺部の横方向中央部に接触して該横方向中央部が前記カバーの後方に移動するのを規制可能な規制部材と、前記平板の下辺部に沿った横向き姿勢で横方向に並設した状態、及び前記平板の横方向の中央部に縦向き姿勢で横方向に並設した状態に姿勢変更自在に前記平板に取り付けられる2つの支持板とを備え、前記支持板を縦向き姿勢に設定すると、前記規制部材に係合して前記平板の横方向中央部のカバー後方への移動を規制し、且つ前記支持板を横向き姿勢に設定すると前記規制部材との係合が解除されて前記平板の横方向中央部のカバー後方への移動を許容する係合部を、前記支持板に備える点にある。
【0006】
〔作用及び効果〕
本構成のごとく、支持板が、規制部材と解除自在に係合し得る係合部を備えるものであれば、畝立て作業を実施する際に支持板を縦向き姿勢に設定して、その係合部と規制部材とを係合させることによって、平板の下辺部の横方向中央部を規制部材に対して容易に掛止させることができる。
従って、畝立て作業を実施する際に従来のように別部材としての抜け止め部材を取り付ける必要がないため、手間も掛からず、抜け止め部材の紛失を心配することもない。
また、2つの支持板を横向き姿勢に設定することによって、容易に係合状態を解除することができるため、畝立て作業から均平作業への切り替え作業も容易である。
【0007】
第2特徴構成は、前記規制部材が、前記平板の前側に配置される抵抗棒の下部に設けられている点にある。
【0008】
〔作用及び効果〕
本構成のごとく、規制部材を抵抗棒の下部に設けることによって、平板の横方向中央部のカバー後方への移動をより確実に規制することができる。また、既存の部材である抵抗棒を規制部材の支持用に利用することにより、構造の簡素化を図ることができる。
【0009】
第3特徴構成は、畝立て作業時において、前記規制部材が前記2つの支持板の間に位置し、前記2つの支持板を縦向き姿勢に設定すると、横一方の前記支持板の係合部が、前記規制部材の横一方部に係合し、横他方の前記支持板の係合部が、前記規制部材の横他方部に係合する点にある。
【0010】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、規制部材の横一方部と横他方部のそれぞれが、2つの支持板のそれぞれの係合部と係合するため、バランス良く安定した掛止状態が保たれる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】歩行型作業機の全体側面図である。
【図2】歩行型作業機の全体平面図である。
【図3】ロータリ耕耘装置の縦断側面図である。
【図4】均平作業時のロータリ耕耘装置の背面図である。
【図5】平板、中部材、及び支持板の要部拡大図である。
【図6】畝立て作業時の支持板の要部を拡大した背面図である。
【図7】畝立て作業時の規制部材の平面図である。
【図8】均平作業時のロータリ耕耘装置の斜視図である。
【図9】畝立て作業時のロータリ耕耘装置の縦断側面図である。
【図10】畝立て作業時のロータリ耕耘装置の背面図である。
【図11】畝立て作業時のロータリ耕耘装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態〕
図1〜図11に基づいて、本発明に係るロータリ耕耘装置8を歩行型作業機に適用した場合の実施形態について説明する。
図1及び図2に示すように、歩行型作業機は、ミッションケース1の下部の右及び左側部に車軸2が備えられ、右及び左の車軸2に走行用の車輪3が連結されており、ミッションケース1の前部に連結された支持フレーム4にエンジン5が支持されて構成されている。
【0013】
ミッションケース1の上部から斜め後方下方に伝動ケース6が延出されて、伝動ケース6から斜め後方上方に操縦ハンドル7が延出されており、伝動ケース6にロータリ耕耘装置8が備えられている。
【0014】
図1及び図2に示すように、ロータリ耕耘装置8は、伝動ケース6の下部から右及び左側に駆動軸9が延出されて、右及び左の駆動軸9に複数の正逆転爪10が固定されており、正逆転爪10の上方を覆うカバー11、抵抗棒12、及び整地部材17を備えて構成されている。右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10は、通常は正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動されるのであり、逆転方向(図3の矢印A2の方向)にも回転駆動することが可能である。
【0015】
図3及び図4に示すように、カバー11は、半円筒状の天井部11aの右及び左側部に、扇形状の横壁部11bが連結されて構成され、伝動ケース6の上方、右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10の上方を覆っており、伝動ケース6のブラケット(図示せず)にカバー11の天井部11aが連結されている。
【0016】
図3及び図4に示すように、伝動ケース6に固定されたブラケット13が後方に延出され、幅狭の角パイプ状のブラケット14がブラケット13に固定されて、ブラケット14が天井部11aの開口部から上方に突出している。ブラケット14の右側面の開口部(図示せず)には、抵抗棒12をブラケット14に固定するためのロックボルト16が設けられており、ブラケット14の上部の後方側面には、図3の仮想線に示すように正逆転爪10のメンテナンス等を行う際に平板18の中部材21を掛止することによって平板18を捲り上げた状態に保持し得る第1フック部14aが設けられている。
【0017】
図3及び図4に示すように、抵抗棒12は細長い棒状に構成されており、その下部に板状の規制部材15が設けられている。図7に示すように、規制部材15は、平面視において、抵抗棒12の側ほど先細となるテーパー面を有する。そして、そのテーパー面から車体後方に延びる左右の側面には、規制部材15の横方向中央を中心線Cとして平面視で左右対称となるように、被係合凹部15aが形成されている。また、規制部材15には、移動用車輪を取り付けるための貫通孔15bが形成されている。
【0018】
抵抗棒12の上部には、その長手方向に沿って、複数個の固定孔12aが開口されている。図3及び図4に示す状態は、抵抗棒12がブラケット14に挿入されて、ロックボルト16が抵抗棒12の固定孔12aの一つに挿入された状態であり、抵抗棒12がブラケット14に固定された状態である。この状態で、伝動ケース6の真後ろに抵抗棒12が位置しており、カバー11の後端部の左右方向中央部の下方に規制部材15が位置している。
【0019】
図3及び図4に示す状態において、右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10を正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動しながら前進することにより、圃場の耕耘(耕起)が行われる。抵抗棒12の下端が圃場に接地することにより、圃場に対するロータリ耕耘装置8の高さが決められて、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さが決められる。
【0020】
本実施形態においては、必要に応じてロータリ耕耘装置8の耕耘深さを変更することができる。例えば、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さをより深く設定したいとするなら、ロックボルト16を回して取り外した後、抵抗棒12を上方向に移動させ、ロックボルト16を、抵抗棒12のより下方に位置する別の固定孔12aに再び螺入して抵抗棒12を固定すれば良い。これにより、ロータリ耕耘装置8に対する抵抗棒12の高さがより高い位置に変更されるため、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さもより深く設定される。一方、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さをより浅く設定したいとするなら、ロックボルト16を回して取り外した後、抵抗棒12を下方向に移動させ、ロックボルト16を、抵抗棒12のより上方に位置する別の固定孔12aに再び螺入して抵抗棒12を固定すれば良い。
【0021】
図2、図3、図4に示すように、整地部材17は、可撓性を有するゴム板等により構成される横長状(長方形状)の平板18と、金属製の中部材21と、金属製で長板状の2枚の支持板25,25とを備えて構成されている。尚、中部材21及び支持板25の材質としては金属製に限らず、例えば、硬質の樹脂板(透明板、着色板等)等を採用しても良い。
【0022】
平板18の上辺部18aが、天井部11aの後端部11cと略同じ長さに設定されており、天井部11aの後端部11cの上面に沿って、平板18の上辺部18aが載せ付けられており、平板18の上辺部18aと略同じ長さを備えた固定部材19(金属製の細長い平板)が載せ付けられている。
【0023】
天井部11aの後端部11cと、平板18の上辺部18aと、固定部材19とに亘って貫通させた4つのボルト20のそれぞれを、平板18の裏面側からナット22で締結することによって、平板18の上辺部18aが天井部11aの後端部11cに横方向に沿って連結される。尚、本明細書中、平板18の表面を歩行型作業機の後方に面する側とし、裏面をロータリ耕耘装置8に面する側とする。
【0024】
図4に示すように、中部材21は、平板18の表面側の下辺部の横方向中央部に設けられている。図4及び図5(a)に示すように、中部材21は、その中央部と、平板18の下辺部の横方向中央部とに亘って貫通させた2つのボルト23のそれぞれを、平板18の裏面側からナット(図示せず)で締結することで固定される。
【0025】
図4及び図5(a)に示すように、中部材21の左右両側には、第1頭付きピン27と第2頭付きピン28が、図4及び図5(a)の紙面の上下方向に並設されており、中部材21の下端部には、鋸歯状の整地部21aが設けられている。
【0026】
図5(b)に示すように、第1頭付きピン27の先端部の側面に、軸径方向に貫通する第1ピン貫通孔27aを設けており、第2頭付きピン28の先端部の側面にも同様に、軸径方向に貫通する第2ピン貫通孔28aを設けている。
【0027】
図4及び図5(a)に示すように、整地部21aの横方向中央には正方形の貫通孔21bが設けられている。この貫通孔21bは、図9に示すように、規制部材15を挿通させるためでだけでなく、図3に示すように、ブラケット14の第1フック部14aに着脱自在に掛止させることもできる。
【0028】
図4及び図5(a),(b)に示すように、支持板25には、第1頭付きピン27を挿通させる長孔25aと、第2頭付きピン28を挿通させる円弧長孔25dと、均平作業時の土圧を受けて中部材21と当接したときの反力受けとなる受け部25bと、鋸歯状の整地部25fと、及び係合部25hを設けている。
【0029】
円弧長孔25dは、図5(a)の第1頭付きピン27の位置に相当する仮想点P1を中心として長孔25aの周りに円弧状に開口された長孔であって、支持板25を中部材21に取り付けたときに長孔25aの上側に位置するように設けられている。円弧長孔25dの一端には、支持板25の長辺方向に長い長孔部25eが形成されており、長孔部25eは支持板25を縦向き姿勢に保持する機能を有する。
【0030】
係合部25hは、支持板25を縦向き姿勢に設定すると、規制部材15の被係合凹部15aに係合して平板18の下辺部18bの中部材21(横方向中央部)のカバー11の後方への移動を規制し、且つ支持板25を横向き姿勢に設定すると規制部材15との係合が解除されて平板18の下辺部18bの中部材21のカバー11の後方への移動を許容するように構成される。
【0031】
係合部25hは、図6に示す支持板25の縦向き姿勢で、支持板25の下部内側箇所に形成されている。支持板25の下部内側箇所には、下端側ほど外側に位置するように湾曲した湾曲部25Aが形成されており、この湾曲部25Aの上部が、係合部25hとして機能する。尚、図6における支持板25の下部内側箇所に、下端側ほど外側に位置するように、直線状に傾斜した傾斜部を形成し、この傾斜部の上部が係合部25hとして機能するように構成しても良く、図6における支持板25の下部内側箇所に、上下向き直線状の直線部を形成し、この直線部が係合部25hとして機能するように構成しても良い。
【0032】
2枚の支持板25は、以下に示すようにして中部材21に取り付けられる。先ず2枚の支持板25の端部のそれぞれを中部材21の左右両側に配置し、各支持板25の長孔25a及び円弧長孔25dのそれぞれに、第1頭付きピン27及び第2頭付きピン28を挿通させる。
【0033】
長孔25aから出ている第1頭付きピン27の先端部に、長孔25aの幅よりも大きな外径を有する第1平座金29を取り付けて第1頭付きピン27の第1ピン貫通孔27aに第1ベータピン31の一端を差し込むと共に、円弧長孔25dから出ている第2頭付きピン28の先端部にも同様に、円弧長孔25dの幅よりも大きな外径を有する第2平座金30を取り付けて、第2頭付きピン28の第2ピン貫通孔28aに、第2ベータピン32の一端を差し込む。このとき、第1平座金29は、第1ベータピン31と支持板25との間に位置し、第2平座金30は第2ベータピン32と支持板25との間に位置する。
【0034】
第1頭付きピン27は、第1ベータピン31と第1平座金29から構成される第1抜け止め部によって、長孔25aから抜けないように抜け止めされており、第2頭付きピン28についても同様に、第2ベータピン32と第2平座金30から構成される第2抜け止め部によって、円弧長孔25dから抜けないように抜け止めされている。
【0035】
上記構成により、右及び左の支持板25,25は、第1及び第2頭付きピン27,28の軸方向に抜け止めされた状態で中部材21に支持されており、第1頭付きピン27の軸を回動支点として、支持板25を円弧長孔25dに沿って回動させることによって、第2頭付きピン28が円弧長孔25dに沿って案内される。その結果、右及び左の支持板25,25は、図4及び図8に示すように平板18の下辺部18bに沿った横向き姿勢で横方向に並設した状態、又は図10及び図11に示すように平板18の横方向の中央部に縦向き姿勢とした状態にスムーズに姿勢変更することができるように構成される。
【0036】
次に、均平作業について説明する。
図4,図5,図8に示すように、均平作業を行う場合、縦向き姿勢にある右及び左の支持板25,25を、第1頭付きピン27を回動支点として、円弧長孔25dに沿って下方向に回動させる。これにより右及び左の支持板25,25を平板18の下辺部18bに沿った横向き姿勢で横方向に並設させて、各支持板25の円弧長孔25dの端部を、中部材21の第2頭付きピン28に当接させる。このとき、図4に示すように中部材21の整地部21aと、右及び左の支持板25,25のそれぞれの整地部25fとが直線状に連設される。
【0037】
均平作業においては、規制部材15は中部材21の貫通孔21bから外しておく。これにより図8に示すように、平板18の下辺部18bが、2枚の支持板25により支持された状態でカバー11の後端部11cから垂れ下がる状態となる。
【0038】
図8に示すように、機体の前進に伴い、ロータリ耕耘装置8において、右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10を正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動することにより、耕起された土が平板18の裏面により受け止められて、平板18の全体が後方に移動し、平板18の下辺部18bに設けられている中部材21の整地部21aと、2枚の支持板25の整地部25fによって均平面が形成される。
【0039】
次に、畝立て作業について説明する。
図6、図9及び図10に示すように、畝立て作業を行う場合、横向き姿勢にある2枚の支持板25を、第1頭付きピン27を回動支点として、円弧長孔25dに沿って上方向に回動させることによって、平板18の横方向の中央部に縦向き姿勢として、次に支持板25を少し下方に移動させて、中部材21の第2頭付きピン28を円弧長孔25dの長孔部25eに掛止させる。これにより、2枚の支持板25が、平板18の横方向の中央部に縦向き姿勢で横方向に並設した状態に保持される。尚、図10に示すように、本実施形態においては、縦向き姿勢にある支持板25の整地部25fに連設する傾斜部分25g、及び中部材21の整地部21aの端の部分21cが共に仮想延長線B1の方向に沿うように設定されている。
【0040】
図6及び図7に示すように、畝立て作業においては、規制部材15を中部材21の貫通孔21bに挿入すると、規制部材15が2つの支持板25の間に位置する。そして、上述のように2枚の支持板25を回動させた後、支持板25を少し下方に移動させて、中部材21の第2頭付きピン28を円弧長孔25dの長孔部25eに掛止させると、右側の支持板25の係合部25hが、規制部材15の右側の被係合凹部15a(横一方部)に入り込んで係合し、左側の支持板25の係合部25hが、規制部材15の左側の被係合凹部15a(横他方部)に入り込んで係合して、平板18の中部材21が規制部材15に掛止される。
【0041】
これにより、平板18の下辺部18bの中部材21(横方向中央部)の後方への移動が規制されるため、図9及び図10に示すように、機体の前進に伴って、正逆転爪10の正転方向(図9の矢印A1の方向)の回転駆動によって耕起された土が平板18により受け止められると、平板18の下辺部18bの中部材21がカバー11の後方に移動せず、平板18の左右の横側部が後方に移動することになる。
【0042】
その結果、図11に示すように、平板18における仮想延長線B1(図4及び図10参照)を折り曲げ線として、平板18の左右の横側部が斜めに後方に折れ曲がるような状態となる。
【0043】
そして、図11に示すように、平板18の下辺部18bの左右中央部と中部材21によって畝Cの底部C1が形成され、平板18の折れ曲がった左右の横側部によって、右及び左の横側の畝Cの壁部C2が形成される。
【0044】
また、本実施形態においては、支持板25を少し上方に移動させて、中部材21の第2頭付きピン28を円弧長孔25dの長孔部25eから外すと共に、中部材21の第1頭付きピン27を長孔25aの他端側に配置させることによって、支持板25の係合部25hと、規制部材15の被係合凹部15aとの係合が解除されるように構成されている。
【0045】
尚、支持板25の係合部25hと、規制部材15の被係合凹部15aとの係合を解除させる態様については、上記実施形態に限定されるものでなく、支持板25を少し上方に移動させて、中部材21の第2頭付きピン28を円弧長孔25dの長孔部25eから外した後、支持板25を、第1頭付きピン27を回動支点として、円弧長孔25dに沿って下方向に回動させる途中の姿勢において、支持板25の係合部25hと、規制部材15の被係合凹部15aとの係合が解除されるように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したように、本発明は、走行用の車輪とロータリ耕耘装置とを別々に備えた歩行型作業機ばかりではなく、走行用の車輪を廃止し、右及び左の車軸に正逆転爪を連結してロータリ耕耘装置を構成した歩行型作業機や、乗用型のトラクタに装備されるロータリ耕耘装置に使用される整地部材に有用である。
【符号の説明】
【0047】
11 カバー
12 抵抗棒
15 規制部材
18 平板
18b 下辺部
21 中部材(横方向中央部)
25 支持板
25h 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有し、且つその上端部がロータリ耕耘装置のカバーの後端部に連結されている平板と、
前記平板の下辺部の横方向中央部を掛止して該横方向中央部が前記カバーの後方に移動するのを規制可能な規制部材と、
前記平板の下辺部に沿った横向き姿勢で横方向に並設した状態、及び前記平板の横方向の中央部に縦向き姿勢で横方向に並設した状態に姿勢変更自在に前記平板に取り付けられる2つの支持板とを備え、
前記支持板を縦向き姿勢に設定すると、前記規制部材に係合して前記平板の横方向中央部のカバー後方への移動を規制し、且つ前記支持板を横向き姿勢に設定すると前記規制部材との係合が解除されて前記平板の横方向中央部のカバー後方への移動を許容する係合部を、前記支持板に備えてあるロータリ耕耘装置。
【請求項2】
前記規制部材が、前記平板の前側に配置される抵抗棒の下部に設けられている請求項1に記載のロータリ耕耘装置。
【請求項3】
畝立て作業時において、前記規制部材が前記2つの支持板の間に位置し、前記2つの支持板を縦向き姿勢に設定すると、横一方の前記支持板の係合部が、前記規制部材の横一方部に係合し、横他方の前記支持板の係合部が、前記規制部材の横他方部に係合する請求項1又は2に記載のロータリ耕耘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−60935(P2012−60935A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208281(P2010−208281)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】